平成17年度 統合生理学(1生理)
前期試験
2005.9.5 実施
A.
1.皮膚からの求心性(感覚)線維を径の大きい順に
3 つに分類し、それぞれの線維がどのような感覚情報を伝えるかを述べなさい。
生理学テキスト
P123 を参照
2.触情報を伝える経路には
2 つあるが、それらの末梢から大脳皮質に至る伝達経路を図示し、関連する神経節、神経核および神経路の名称を記しなさい。ただし末梢感覚器について述べる必要はない
生理学テキスト
P 131 を参照
3.
痛覚系に関する記述で、
( ) の中に入れる最も適当な語句を回答欄に記入しなさい。
1) 痛覚情報を伝える線維のうち有髄の線維は
( l ) 線維と呼ばれ、 ( 2 )
および ( 3 ) 情報を運び、運ばれる感覚は
( 4 )、( 5 ) また ( 6 )
などの特徴を持つ。一方、C線維は
( 7 ) や ( 8 ) および ( 9 )
感覚を伝え、運ばれる感覚は
( 10 ) 、 ( 11 ) および ( 12 )
などの特徴を持つ。
2) 組織の障害時に分泌されるものとして
( 13 ) 、( 14 ) や ( 15 )
と Mast cell から分泌される( 16 )
および C線維終末から分泌されるペプチドとして
( 17 ) などがあり、それらが組織の炎症を修飾する。
3) 中枢神経内には痛みの伝達を抑制する部位が見いだされているが、それらには
( 18 ) から分秘される ( 19 )
があり、この物質はランナーズハイや針鎮痛に関与していることが示唆されている。中脳のレベルでは
( 20 ) の刺激で鎮痛が起こることが知られており、そこからの線維は延髄に下行して
( 21 ) 核を興奮させ、
(21) からの線維は脊髄後角に
( 22 ) を分泌する。また、(21)
と 同様にアミン類を含む神経核として
( 23 ) 核があり、 ( 24 )
を分泌する。
解答:(1)Aδ (2)痛覚 (3)温度覚 (4)速い (5)限局性 (6)持続が短い (7)痛覚 (8)温度覚 (9)化学感覚 (10)遅い (11)瀰漫性 (12)持続が長い (13)ブラジキニン (14)プロスタグランディン (15)ATPまたはカリウムイオン (16)ヒスタミン (17)サブスタンスP (18)視床下部 (19)β-エンドルフィン (20)中脳水道灰白質 (21)縫線核 (22)セロトニン (23)青斑核 (24)ノルアドレナリン
順不同(2,3)(4,5,6)(7,8,9)(10,11,12)(13,14,15)
4.運動系の機能には感覚系からの入力が重要な働きをしている。
1) 錐体路、 2) 錐体外路、
3) 制御回路および、4) 最終共通回路である運動ニューロンにそれぞれどのような感覚情報が入力するか記しなさい。
1) 錐体路: 後索路および脊髄視床路から触、圧、温痛覚の入力がある。また、特殊感覚
( 視覚、聴覚、平衡覚、味覚、嗅覚
) からの入力を受ける。
2) 錐体外路: 脳幹網様体に入力するあらゆる感覚情報が視床を介して入力する。
3) 制御回路: 意識にのぼらない固有感覚。筋紡錘やゴルジ腱器官からの情報を受ける。
4) 最終共通経路: 脊髄反射および脳幹部反射に関する情報。筋紡錘からの入力。
5.錘外筋線維、錘内筋線維、
2種類の脊髄運動ニューロンで構成される回路を図示し、関与する神経線維などの名称を記入しなさい。
生理学テキスト
P90 とプリントを参照
6.最終共通経路
( 運動ニューロン ) 、錐体路、錐体外路、小脳統御回路および基底核統御回路の5つのレベルが障害された時のそれぞれの症状を記しなさい。
プリントの表を参照
B.
1.下図は、網膜を模式的に示したものである。(1)~(4)の問いに答えなさい。
(1)光の入射方向はAかBか。
(2)かっこ内に適切な語句を入れなさい。
アおとびイは( a )細胞で、それぞれ、ア( b )細胞、イ( c )細胞といい、光が当たると( d )する。エは、( e )細胞で光の情報を中枢神経系へと伝える。網膜の( f )半分からの情報は、( g )で交叉し、対側の( h )および( i )を経て、大脳皮質視覚野へ到達する。
解答: (1) A
(2) a:視細胞 b:杆(状)体 c:錐(状)体 d:過分極 e:神経節細胞 f:鼻側 g:視交叉 h:内側膝状体 i:視放線
2.聴覚に関する以下の文章のかっこ内に適切な語句又は数字を入れなさい。
(1) 10dB SPL の音圧を
10倍にすると、その音圧レベルは
( ) dB SPLになる。
(2) 等感曲線において、
( ) kHzでは、ホーン
(phon) の値は、音圧レベル
(dB SPL)に等しい。
(3) 蝸牛は、基底部から頂部までに
( ) 回転する。
(4)
Bekesy の進行波説によると、鍋牛の頂点に行くほど基底膜の硬直性が
( ) なので、低周波による進行波のピークは
( ) 近くにできる。
(5) 耳小骨筋反射には、三叉神経および
( ) 神経が関与している。
(6) 鍋牛マイクロフォン電位は、有毛細胞の
( ) 電位の総和で、 ( )
の変位の振幅を反映する。
(7) 単一聴神経線維の応答野の特徴は、
( ) 域遮断 ( ) 域漸増である。
(8) 両耳機能による音源定位には、
( ) 取引がある。
解答:(1)30 (2)1 (3)2+3/4 (4)小、頂点 (5)顔面 (6)受容器、基底膜 (7)高、低 (8)時間-強さ
3.
平衡覚に関する以下の文章のかつこ内の語句の正しい方を○で、囲みなさい。
(1) 耳石器は( 回転加速度、重力 )に応答する。
(2) 三半規管の有毛細胞は、1本の
( 不動毛、動毛 ) をもつ。
(3) 左回りに回転すると、回転中は、水平半規管の内リンパが ( 左、右 )
の膨大部へ向かつて流れることになり、(
左、右 ) の前庭神経の活動が上昇する。この時、右眼の外直筋は、
( 弛緩、収縮 ) し、右眼球は、ゆっくり
( 右、左 ) へ、そして急速に
( 右、左 ) へ動く。この時、眼振の方向は
( 右、左 ) で、回転が止まると、全く逆のことが起こる。
(4) caloric テストで、後傾頭位で右の外耳道に冷水を入れると、三半規管の内リンパは、対流によって膨大部に対して
( 近づく、遠ざかる ) に移動し、その結果、(
右、左 ) 方向の眼振が起こる。
(5) 乗り物酔いは、前庭-
( 小脳、自律 ) 反射の異常によって起こる。
解答:(1)重力
(2)動毛
(3)左、左、収縮、右、左、左
(4)遠ざかる、左
(5)自律
C.
1.頚動脈洞をマッサージした時に起こる動脈圧受容器反射について
(1) 求心路と投射する中枢を述べよ。
(2) 同反射は
2種類の遠心路 ( 迷走神経と交感神経
) を経由して効果器に作用するが、その効果器と反応について述べよ。
解答:(1)求心路:
舌咽神経 、中枢:
延髄
(2)迷走神経充進による、心臓の抑制
( 除脈、心収縮力の低下、心拍出量の減少
)
交感神経抑制による、心臓の抑制
( 除脈、心収縮力の低下、心拍出量の減少
)、副腎髄質からのカテコラミシの分泌抑制、血管の拡張
2.関連痛が発生する機序を、図を使って説明せよ。
3.12対の脳神経の中で、脳幹に起始核を持つ9対の脳神経を列挙せよ。
解答:Ⅲ動眼、Ⅳ滑車、Ⅴ三叉、Ⅵ外転、Ⅶ顔面、Ⅸ舌咽、Ⅹ迷走、ⅩⅠ副、ⅩⅡ舌下。
D.
1.嗅細胞における嗅覚受容体の発現様式と、嗅細胞レベルでのニオイの識別機構について簡潔に説明せよ。
キーワード:
・One cell-one receptor
rule
・似た構造の複数の物質に反応
・反応する物質の組み合わせと反応の強さで作られるパターンによる区別
2.嗅球において嗅覚情報は著明に増幅される。この機序について簡潔に説明せよ。
キーワード:
・Glomerular convergence
・嗅細胞 → 嗅球の僧帽細胞、房飾細胞
・同一受容体を発現した嗅細胞の情報は同一糸球体へ
・著明な収束
3.味覚刺激が神経インパルスに変換される過程を簡潔に説明せよ。
キーワード:
・第二次感覚細胞
・脱分極性受容体電位
・ノルアドレナリン
・アナログ情報 → デジタル情報(インパルス頻度)
4.味覚情報の伝達についての二つの説を簡潔に説明せよ。
キーワード:
・Labeled-line pathway
・Across-fiber pattern pathway
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