平成17年度 細胞システム生理学(2生理) 最終試験

 

平成17年2月27日(火)



 

【3】止血の機序について説明しなさい。(10点)

 

解答例:血管損傷が起こるとまず細動脈血管収縮が短時間に起こる。これは反射性神経原性機構によるもので、エンドセリンなどの因子の局所分泌によって促進される。その後損傷された内皮細胞部位に血小板が接着し活性化され、それによって血小板の形状の変化と分泌顆粒の放出を生じる。数分以内に放出物はさらに血小板を引き寄せ(凝集)、止血栓を形成する(一次止血)。また組織因子という内皮細胞によって合成される膜結合性凝固促進因子も損傷部位で放出され、血小板因子と共に凝固カスケードを活性化してトロンビンの活性化を最大にする。次いでトロンビンは血中のフィブリノーゲンを不溶性のフィブリンに分解し、フィブリン網を沈着させる。トロンビンはさらに血小板を引き寄せ顆粒の放出をもたらす(二次止血)。フィブリンの重合と血小板凝集によって充実性の永久止血栓が形成され、さらなる出血を防ぐ。この時点で逆方向の調節機構が始動して損傷部の止血栓形成を抑える。

 

【4】次の文の(1)~(10)内に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。(各1点)

 

(A)神経筋接合部が障害される疾患として(1)、Lambert-Eaton症候群や神経性筋強直症が知られている。(1)はニコチン性アセチルコリン受容体に対する(2)が原因であり、Lambert-Eaton症候群は(3)に存在するP/Q型電位依存性カルシウムチャネルに対する(2)が原因である。また、神経性筋強直症は(3)に存在する電位依存性Kチャネルに対する(2)が原因である。

 

(B)心電図上においてQRSの開始点からT波の終了までの時間をQT時間と定義する。QRSは心筋の活動のうち(4)を反映した波であり、T波は(5)を反映した波である。正常なヒトの心電図ではQT時間は約0.3秒程度であるが、0.44秒以上のものをQT時間の延長とすることが多い。近年、QT延長症候群と呼ばれる心筋疾患の原因が分かってきた。QT時間の延長の原因としては心筋活動電位の第0相(脱分極相)を形成する電位依存性(6)チャネルの(7)の障害や、第3相(再分極相)に関与する電位依存性(8)チャネルの機能低下が示唆されている。

 

(C)細胞内のカルシウムイオン貯蔵部位である小胞体上には2種類のカルシウムチャネルがある。一つはIP3受容体であり、もう一つは(9)受容体である。(9)受容体はカフェインや(10)イオンにより活性化される。(9)受容体の変異によりカフェインや(10)イオンに対する感受性が高くなり、容易にカルシウムが遊離される。これがハロセン麻酔時に発症する悪性高熱症の本態である。

 

解答:(1)重症筋無力症(2)自己抗体(3)神経終末(4)心室筋の興奮(5)心室の再分極(6Na7)活性化(8K9)リアノジン(10Ca2+

 

【5】それぞれの問に答えなさい。

なお、解答はそれぞれの問の主文の後にある(  )に記入しなさい。

1.イオンチャネルをイオンが透過する際の主なエネルギーはどれか。(  )

 a) 濃度差。

  b) 浸透圧。

  c) ATP

  d) 電気化学勾配。

  e) 電位。

2.イオンチャネルに関して正しいのはどれか。(  )

 a) 電位依存性NaチャネルはチャネルポアにNa結合部位をもつ。

  b) 電位依存性KチャネルはチャネルポアにK結合部位をもつ。

  c) 電位依存性Ca2チャネルはチャネルポアにCa2結合部位をもつ。 

 d) 電位依存性ClチャネルはチャネルポアにCl結合部位をもつ。

3.電気シナプスについて正しいのをすべて選べ。(  )

 a) 運動神経と骨格筋の間の情報伝達を担う。

  b) 迷走神経と心筋の間の情報伝達を担う。

  c) 自律神経節前線維と神経節ニューロンの情報伝達を担う。

  d) 骨格筋間の情報伝達を担う。

  e) 心筋間の情報伝達を担う。

4.跳躍伝導は次のどこでみられるか。(  )

 a) ランビエ絞輪。

  b) 骨格筋線維。

  c) 無髄神経線維。

  d) 特殊心筋線維。

  e) 神経筋接合部。

5.胃酸の分泌を抑制する因子はどれか。(  )

 a) アセチルコリン。

  b) ガストリン。

  c) ヒスタミン。

  d) プロトンポンプ阻害薬。

  e) 迷走神経刺激。

6.膵液について正しいのはどれか。(  

 a) 酸性である。

  b) ペプシンを含む。

  c) リパーゼを含む。

  d) マルターゼを含む。

  e) 脂肪の乳化に重要である。

7.赤血球について正しいのはどれか。(  )

 a) 血液1ml(ミリリットル)中に450万個~500万個ある。

  b) 血液中に占める容積は約4050%である。

  c) 直径は毛細血管の内径より小さい。

  d) 生理食塩水(100mlの水に0.9グラムの食塩)に入れると溶血する。

  e) 循環血液中での寿命は約10日である。

8.肺の残気量に関して正しいのはどれか。(  )

 a) 安静呼気の状態で肺に残っているガスの量である。

  b) 安静吸気の状態で肺に残っているガスの量である。

  c) 一般に45歳のときより75歳では増加する。

  d) 成人では500ml以下である。

  e) 無気肺において増加する。

9.血液の酸素飽和曲線を左へ移動させる要因として正しいのはどれか。(  )

 a) pHの低下。

  b) 温度の上昇。

  c) 二酸化炭素分圧の増加。

  d) ヘモグロビン鉄原子の酸化。

10.血管内皮細胞が産出して血管平滑筋を弛緩させる因子はどれか。(  )

 a) エンドセリン。

  b) 一酸化炭素。

  c) ノルアドレナリン。

  d) トロンボキサンA2

  e) アンジオテンシンⅡ

 

解答:問1. d)  問2. c)  問3. a) b) c)  問4. a)  問5. d)

6. c)  問7. b)  問8. c)  問9. d)  問10. b)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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