平成17年度 細胞システム生理学(2生理) 前期試験

(獲得)

2005.9.26 実施

 

 

【1】 次の(1)~(7)の文章について、誤りがあれば修正して、正しい文章にしなさい。ただし修正は最小限にすること。また、誤りがない場合は何も書かなくてよい。(各2点)

(1) GABA-A 受容体は内蔵するチャネル内を Na+ イオンが移動することで膜電位を変化させる。

(2) ピクロトキシンはグリシン受容体を抑制するが、GABA-A 受容体は抑制しない。

(3) グリシン受容体を活性化すると神経細胞が興奮することがある。

(4) 代謝型グリシン受容体はクロライドイオンを通すチャネルを持っている。

(5) 興奮性アミノ酸には NMDA や AMPA があり、脳内で興奮性伝達物質として働いている。

(6) 神経―筋接合部では副交感神経の神経終末部からアセチルコリンが放出される。

(7) 神経―筋接合部のアセチルコリンは MAO によって分解されて酢酸が神経終末部に取り込まれる。

 

 

【2】 ヤリイカから巨大軸索を摘出して図Aの様な実験標本を作成し、電気刺激により発生する活動電位を測定した。軸索の内部の溶液(細胞内液)と外部の溶液(細胞外液)が正常な条件下では、活動電位は図Bの様になった。下記の (1)~(3) の条件下では活動電位の波形はどのように変化するか。それぞれの図に図示し、その理由を簡潔に説明しなさい。なお、各図には正常時の活動電位の波形が細い線で描いてある。(各4点)


(1) 細胞外液の Na+ を 33% に減少させた場合。

(2) K+チャネル桔抗薬のテトラエチルアンモニウム (TEA) を加えた場合。

(3) 局所麻酔薬のリドカイン (l idocaine) を加えた場合。

 

 

【3】 次の (1)~(5) の設問に答えなさい。(各2点)

(1) 哺乳動物の心臓には4つの弁がある。心臓の心房部分を取り除き、上から見た時の各弁の位置を図示し、各弁の名称を記入しなさい。ただし、解答用紙の上方を人の前方 (胸骨側) とし、解答用紙の下方を人の後方 (脊椎骨側) として下さい。また、弁の大きさ (弁輪部分の大きさ) と弁尖 (弁の切れ目) の数も、実際に即して図示しなさい。

(2) 肺門部 (血管や気道が肺に入る部分) において、肺動脈と肺静脈はどちらが上方に位置しますか?

(3) 冠動脈の血痕潅流 (血液が冠動脈に流れ込むこと) は収縮期、あるいは、拡張期のどちらにより効率的に行われますか?

(4) 正常心電図における T波は、心室筋の脱分極を反映しますか、あるいは、再分極を反映しますか?

(5) 正常心電図のほとんどの誘導において、T波は上を向きますかそれとも下を向きますか?

 

 

【4】 内科の教科書を見ると、下壁 (左心室の下方部分の壁) の心筋梗塞 (急性期ではなく、数日以上経過したっもの) の心電図においては、Ⅱ誘導、Ⅲ誘導、aVF誘導に q 波が現れると書いてありました。また、前壁 (左心室の前方部分の壁) の心筋梗塞 (同じく数日以上経過したもの) の心電図においては、V2誘導、V3誘導、V4誘導に q 波 (あるいは QS 波) が現れると書いてありました。心筋梗塞とは、冠動脈の一部が閉塞し、冠動脈血流が途絶えるため、その血管の潅流領域の心筋が壊死に陥る状態であり、その部分の電気現象(心臓ベクトル) がなくなることになります。それでは、なぜ、下壁の心筋梗塞では、四肢誘導に異常が現れやすく、前壁の心筋梗塞では、胸部誘導に異常が現れやすいのか、ベクトル心電図の変化を考えて、生理学的に説明しなさい。(5点)

 

 

【5】 下図は血管系を機能的に区分し、各区分で血管系内の圧力がどの様に変化するか示した図である。

(1)    圧力を示した線が途中で切れているが、線をかき加えてこの図を完成させなさい。(3点)

      (生理学テキスト第 4 版 278 ページ図 15・4 ポンプ部分の圧力のみが描いてある)

(2)    上図の (a) 空気室血管 (b) 抵抗血管 (c) 容量血管について簡潔に説明しなさい。(各3点)

 

 

【6】 微小終板電位とは何か、簡潔に説明せよ。(5点)

 

 

【7】 骨格筋の興奮収縮連関にはカルシウムイオンや ATP が重要な役割を果たす。骨格筋が静止状態から収縮して再び静止状態に至る過程について、カルシウムイオンや ATP の働きがわかるように説明しなさい。(12点)

 

 

【8】 以下の体液と腎臓に関する説明文の中の (   ) に適する語を解答欄に記せ。(各1点)

体液は、細胞内液、 ( 1 ) 、血漿の3つに区分される。血漿の量は体重の ( 2 ) % である。各区分における体液の組成を比較すると、細胞内液は ( 3 ) が、血漿には ( 4 ) が他の区分より多い。これはそれぞれの区分の境界となる、 ( 5 ) のイオン透過性、 ( 6 ) における (4 と同じ) の透過性が低いためである。

腎臓は体液の恒常性維持に重要な役割を果たす。輸入細動脈から流入した血漿はまず、 ( 7 ) で濾過される。濾過された原尿にはグルコースやアミノ酸などが含まれるが、 ( 8 ) は含まれない。グルコース やアミノ酸は近位尿細管でそのほとんどが ( 9 ) イオンとの ( 10 ) によって再吸収される。ヘンレ係蹄の下行脚では ( 11 ) が、上行脚では ( 12 ) が再吸収される。この上下行脚の吸収性の違いによって管内の浸透圧はヘンレ係蹄の頂点では ( 13 ) なり、ヘンレ係蹄を上行するにつれて次第に( 14 ) なる。

次いで、遠位尿細管、集合管で再吸収が行われる。特に、集合管での再吸収によって尿の濃縮・希釈の最終的な調節が行われる。 ( 15 ) ホルモンであるパソプレッシンは ( 16 ) が高くなると血中に放出される。バソプレッシンは集合管細胞の血管側にある V2 受容体に結合し、Gタンパク質を介して ( 17 ) を活性化する。その結果、細胞内 ( 18 ) 濃度が上昇して最終的に、( 19 ) をリン酸化、あるいは (19 と同じ) を細胞膜に組み込んで水の再吸収を促し、尿が ( 20 ) される。近位原細管やヘンレ係蹄における再吸収を不可避的吸収と言う。これに対して集合管における再吸収を ( 21 ) 吸収という。

 

 

【9】 以下の G タンパク質連結型受容体に関する説明文の中の (   ) に適する語を解答欄に記せ。(各1点)

アセチルコリン (ACh) 受容体の中で、G タンパク連結型受容体を ( 1 ) 性Ach受容体と呼ぶ。この受容体は交感神経細胞や心筋などに発現しているが、それぞれの受容体が活性化されると異なる効果が現れる。交感神経細胞では G タンパク質が活性化され、最終的に K チャネルが ( 2 )。一方、心筋では G タンパク質の ( 3 ) サブユニットが直接 K チャネルを ( 4 ) する。

 

 

【10】 以下の卵巣に関する説明文の中の (   ) に適する語を解答欄に記せ。(各1点)

卵巣被膜の下には出生時にはすでに多数の原始卵胞があり、原始卵胞はそれぞれが l 個づつの未成熟の卵子を含んでいる。そのうちのいくつかは ( 1 ) の初めに大きくなりはじめ、その周囲に腔 ( 洞 ) を形成する。卵胞の最終的な成熟には ( 2 ) が必要であり、成熟した卵胞は ( 3 ) と呼ばれる。大きくなった卵胞は破れて卵子を放出する。これが排卵であり、排卵で破裂した卵胞は ( 4 ) で満たされる。排卵の際、卵胞から腹腔内へ少量出血すると、これにより腹膜を刺激して一過性の下腹痛を起こすことがある。排卵後、卵胞の顆粒細胞とそれを包む莢膜細胞は急速に増殖して ( 5 ) 細胞となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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