平成17年度「遺伝学」追試験

(獲得)

平成18年3月8日

 

 

 

問題1 下記の(1)~(2)の問について、解答欄に記入しなさい。[12点]

 

(1)   ゲノム情報の特殊性について3点挙げなさい。[6点]

 

(2)   遺伝医学の特性について3点挙げなさい。[6点]

 

 

 

問題2 次の記述について正しいものに○、誤りに×をつけ、解答欄に記入しなさい。[2点×48]

 

     ある集団で約1万人の出生あたり1人罹患する常染色体劣性遺伝病では、その集団に保因者が約50人に1人存在する。

 

     単一遺伝病の原因遺伝子を同定するためには、まずパラメータの設定を要しないノンパラメトリック連鎖解析を実施し、候補染色体領域を得る。

 

     多因子疾患の連鎖解析には罹患同胞対解析が行われることが多い。

 

     相関解析の結果、ある遺伝マーカーにおいて有意差を認めた場合、その遺伝マーカー多型が病気の原因であることが多い。

 

 

 

問題3 哺乳動物雌はXX性染色体構成を示す。1本は活性化、他方は不活化された状態にあり、雄XYとの間で遺伝子量の均衡を保っている。この現象に関する以下の記述に関して正しいものを選び、解答欄にその番号を記入しなさい。[10]

 

     発生初期に2本の活性化されたX染色体の片方が不活化される。

 

     生殖系列細胞で不活化されたX染色体は受精後1本が活性化される。

 

     47,XXYKleinfelter症候群)では2本のX染色体は活性化状態にある。

 

     X染色体の不活化はランダムに決定される。

 

     X染色体の活性化はノンランダムに決定される。

 

     不活化されたX染色体は細胞分裂後の娘細胞で活性化されることがある。

 

     不活化されたX染色体は細胞分裂後の娘細胞でも不活化されている。

 

 

 

問題4 DNAを構成する4個の塩基、A,C,G,Tのモル数での割合がそれぞれa,c,g,tであるとする。以下の関係式で、2本鎖DNAで常に成立するものに○、また常には成立しないものに×を解答欄に記入しなさい。[2×510]

 

 

 

a/c = g/t a/g = c/t a/t = c/g a/c = t/g   a/g = t/c

 

 

 

 

 

問題5 次の中から正しい文を5つ選びその番号を解答欄に記入しなさい。[2×510]

 

 

     丸い種子をもつエンドウの純系と、しわの種子をもつえんどうの純系とを交配して得られるF1は全て丸い種子をもつエンドウである。F1をさらに交配した場合、丸の種子をもつエンドウと、しわの種子をもつエンドウの頻度比は32となる。

 

     Hardy-Weinbergの法則においては、あるアレルの遺伝子頻度はヘテロ接合体の頻度にホモ接合対の頻度の半分を加えた値となる。

 

     100万人に1人罹患者が見られる常染色体劣性遺伝病においては、ヘテロ接合体の頻度は0.02である。

 

     Hardy-Weinbergの法則によれば、親の世代での遺伝子頻度が雌雄で0.60.2と異なる場合、子供の世代ではこの遺伝子頻度の雌雄比は31になる。

 

     近親交配は選択交配に比べ、集団の遺伝的構成を変化させる可能性が高い。

 

     親縁係数(coefficient of kinship)はある個体の持つ2個の相同遺伝子が、共通の祖先遺伝子に由来する確率である。

 

     近親交配の子では、近親交配でない子に比べ、頻度の高い劣性遺伝子病の方が低い場合より、罹患リスクは高くなる。

 

     集団サイズが小さくなると、その遺伝子構成は偶然的遺伝子頻度の浮動の影響を受けにくくなるが、これを瓶首効果という。

 

     超優性によると致死的な遺伝子が集団内に高い頻度で維持されていることを説明できる。

 

     アデニンからチミンへの変化をtransitionと呼ぶ。

 

     transitionよりtransversionの方が頻度が高い。

 

     通常の遺伝子ではサイレント変異よりミスセンス変異の方が頻度が高い。

 

     コード領域内の3塩基の欠失や挿入ではフレームシフトが起きる。

 

     ヒトのゲノム上のCpA配列では突然変異が起きやすい。

 

     塩基の互変異性体でG:TA:Cなどのプリン:ピリミジンのミスマッチが起きることがあるが、プリン同士のミスマッチが起きることはない。

 

     遺伝子変換では通常供与側の遺伝子の塩基配列は変化しない。

 

     機能喪失変異では通常優生遺伝病となる。

 

     優性阻害変異、遺伝子が欠失している場合に比べ症状が重い。

 

     イントロン内の1塩基置換でスプライシングの異常が起きることがある。

 

     トリプレット病は分散型反復配列のリピート数の増加により起きる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問題9 次の問(1)、(2)に答えなさい。[3点]

 

(1)   ある集団で他人同士の結婚の場合、4万出生に1人発症する常染色体劣性遺伝病の保因者頻度は次のうちのどれか。正しいものを選んで、解答欄に番号を記入しなさい。

 

     1/20,000, ② 1/10,000 ③ 1/1,000, ④ 1/200, ⑤ 1/100

 

(2)   遺伝相談についての次の文章の中から正しいものを2つ選び、解答欄に番号を記入しなさい。

     重症な遺伝病では、次子を持たないように指導する。

     X連鎖性の遺伝病の場合、父が罹患していたとき息子は発症すると考えられるのでカウンセリングを行うことが望ましい。

     遺伝相談施設で遺伝子診断ができないときには、無理をしてそれに言及しないほうがよい。

     遺伝相談を行う前に、現時点で問題になっている遺伝病の正確な診断が先決である。

     クライアントは患者自身とは限らない。

 

問題10 次の(A)、(B)の遺伝子治療についての記載のうち、それぞれ正しいものを2つ選び、解答欄に番号を記入しなさい。また、(C)に示すウイルスベクターのうち、非分裂細胞への遺伝子導入ができないものはどれか。その番号を解答欄に記入しなさい。[3点]

 

(A)

①遺伝子標識が含まれる。

②米国で行われている臨床試験の対象疾患で最も多いのは先天代謝異常である。

③ADA欠損症では正常遺伝子を導入された細胞が増殖優位性を有する。

④対象疾患は患者の生命を脅かす重篤な疾患に限られる。

⑤対象遺伝子の発現を制御ができることが必須条件である。

 

(B)

in vivo法ではex vivo法よりも遺伝子導入細胞の安全性を事前にチェックしやすい。

in vivo法ではベクターの投与が簡単であり、コストダウンがはかれる。

ex vivo法による遺伝子導入では、ウイルスベクターが主に用いられる。

④物理化学的方法は、とくに初代培養細胞への遺伝子導入に適している。

⑤挿入できる外来遺伝子のサイズが最も小さい遺伝子治療用ウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。

 

(C)

①オンコレトロウイルスベクター

②レンチウイルスベクター

③アデノウイルスベクター

④アデノ随伴ウイルスベクター

⑤センダイウイルスベクター

 

問題11 UPGMA法に基づいて次のアミノ酸置換数の表から脊椎動物の分子系統樹を作成しなさい。[10点]

 

 

ヒト

ウシ

カンガルー

コイ

ヒト

 

      17

      27  

      68

ウシ

 

 

      26

      65

カンガルー

 

 

 

      71

コイ

 

 

 

 

                     

 

 

 

 

 

問題12 次の文章の①~⑩の括弧の中に適切な語句または数字を、解答欄に記入しなさい。[1 x 10 = 10点]

 

ヒトゲノム計画は約3000Mbのヒトゲノム全塩基配列を決定し、そこからヒトの全遺伝子を同定する国際プロジェクトである。この計画は( ① )年に公式に発足した。そして2003年に全ゲノム(ユークロマチン領域)の約99%が、1977年に開発された( ② )法によって高精度に配列決定された。その達成には、自動機器の代表である( ③ )の開発や、データ即時公開など往来にない国際協調体制があった。200410月に発表された完成版の解析の結果、ヒトのたんぱく質をコードする遺伝子数は約( ④ )で、フグからヒトにいたる脊椎動物はほぼ同じ遺伝子数をもつことが判明した。しかし。約8,000個におよぶ( ⑤ )をコードしない、いわゆるノンコーディングRNAも数多く発見され、遺伝子そのものの定義が渾沌としてきている。

ヒト遺伝子の大部分が明らかになったことによって、医学の分野では、国民の10~20%が罹るといわれる( ⑥ )である高血圧、糖尿病、ぜんそく等のリスク遺伝子の同定が加速し、それを基にした診断や治療法の開発が展開すると期待される。しかし、( ⑥ )は遺伝要因と( ⑦ )の両方及び複数のリスク遺伝子がその発症に関与するため、発症に関連する全遺伝子の同定は容易ではない。( ⑥ )にかかわる遺伝子の同定には、ゲノム配列上の( ⑧ )情報がとくに有効であると考えられ、現在その収集が世界的に進められている。また、( ⑧ )情報は薬剤に対する個人の副作用の程度にも関連があり、個人の体質にあった薬剤投与である( ⑨ )医療の確立も期待される。このように、膨大な量のゲノム情報やさまざまな生物情報がまずます蓄積される状況となり、今後の生命科学分野ではコンピュータを活用した( ⑩ )という分野/技術が重要となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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