平成17年度 免疫学 本試験
(獲得)
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実施日: 2005.9.22
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試験時間: 90分
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問題用紙はA4が3枚、解答用紙は白紙のB4が1枚。
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不合格: 25人
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総括: 過去問を受け継ぎつつ一部改良っぽい感じ。試験官は1人。
A.感染防御免疫を大きく2つに分類して、それぞれの定義と関与する免疫担当細胞をあげてその特徴を説明しなさい。
1.自然免疫
MφやNKcellによる非特異的免疫。あらかじめ備わっている細胞によってなされるため感染早期に働くが非持続的である。
2.適応免疫
Bcellによる液性免疫とTcellによる細胞性免疫がある。ともに抗原特異的であり、Mφや樹状細胞による抗原提示を受けてから働く。そのため初感染では時間がかかるが、記憶が残るため再感染時には素早く働く。
B.B細胞とT細胞のそれぞれの抗原レセプターの多様性の産生機構について述べなさい。(H11本試1、H14本試11参照)
1.Bcell
発現している抗体によって抗原認識がされる。抗体はH鎖とL鎖からなり、H鎖とL鎖の組み合わせにより多様性が生まれる。H鎖のV、D、J遺伝子とL鎖のV、J遺伝子にRAG酵素によって組み換え配列のところで再編成がおこり、その組み合わせによっても多様性が生まれる。
また、terminal deoxynucleotidyl transferaseにより切断面にランダムに塩基を付け足すによってN-sequenceと呼ばれる超可変領域を作り出す。さらに、Bcellが抗原により刺激を受けたときに、胚中心にてAID遺伝子により抗原結合部位で体細胞高頻度突然変異が起こる。これらによってさらに多様性が生み出される。
2.Tcell
TCRによって抗原認識を行う。TCRはα鎖とβ鎖からなり、抗体と同様にα鎖とβ鎖の組み合わせ、遺伝子再編成やN-sequenceの付加により多様性が生み出される。
C.次の( )内に適切な用語を解答欄に記入せよ。
主要組織適合抗原(MHC)は、抗原ペプチドを( 1 )に提示することで免疫応答を惹起する。MHCはクラスT分子とクラスU分子に大別される。クラスT分子は、細胞内に侵入したウイルス等の内在性抗原を主に提示するが、その際ユビキチン化されたタンパク抗原は( 2 )で分解され、エネルギー依存的に( 3 )を介して輸送されクラスT分子へとローディングされる。一方クラスU分子は細菌などの外来性抗原を主に提示する。MHCクラスU分子は( 4 )と会合した形で、小胞体からゴルジ体を経て、エンドソームへと運搬される。この過程で(4)は分解され、CLIPと呼ばれるペプチドフラグメントとしてクラスU分子のペプチド結合溝を占拠しているが、これは( 5 )によって除去され、最終的に細胞内にとりこまれた外来抗原由来のペプチドがクラスU分子と結合することになる。
1Tcell 2プロテアソ―ム 3TAP 4インバリアント鎖 5HLA-DM
D.次のうち正しいものには○、間違っているものには×を記せ。
(1)(樹状細胞はナイーブT細胞を活性化することができる。
(2)未熟樹状細胞は成熟樹状細胞より貪食能が強い。
(3)未熟樹状細胞は成熟樹状細胞に比べ、抗原提示能が強い。
(4)形質細胞様樹状細胞はウイルス感染により多量のインターフェロンα/βを産生する。
(5)樹状細胞は死細胞を貪食して、効率よくMHCクラスT分子にそれ由来の抗原ペプチドを提示できる。
1○ 2○ 3×(強い→弱い) 4○
5○(クロスプレゼンテーション/樹状細胞のみクラスT・U両方で抗原提示ができる)
E.ヘルパーT細胞には大きく分けてTh1とTh2がある。それぞれTh1、Th2について答えよ。
(1)抗原提示細胞や環境からのサイトカインでそれぞれのT細胞への分化を規定する重要なサイトカインは何か?
(2)それぞれのT細胞の分化を規定する重要な転写因子は何か?
(3)それぞれのT細胞から放出される目印ともいえる特に重要なサイトカインは何か?
(1)Th1/Th2でIL-12/IL-4
(2)T-bet/GATA3
(3)IFN-γ、IL-2/IL-4、5、6、10、13
F.以下の免疫疾患は主にどちらのT細胞が主役を演じるか?
関節炎リウマチ、花粉症、クローン病、喘息、遅延性過敏症(DTH)、アトピー性皮膚炎
Th1→関節炎リウマチ、クローン病、遅延性過敏症(DTH)
Th2→花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎
G.自然免疫系を担当する細胞を2つ選択せよ。
@ B細胞
A T細胞
B
マクロファージ
C
線維芽細胞
D
樹状細胞
B、D
H.外界異物を認識する非自己認識受容体を3つ選択せよ。
ア)T細胞受容体
イ)Fc受容体
ウ)Toll様受容体
エ)免疫グロブリン
オ)サイトカイン受容体
ア、ウ、エ
I.ハプテンキャリアーシステムを簡単に説明しなさい。→(H15追試5)
ハプテンとは抗原として抗体と結合することはできるが、それ自体では抗体産生へとはつながらない物質のことをいう。低分子のものが多い。しかしハプテンに蛋白などが結合すると対応する抗体が産生されることがある。この蛋白などをキャリアーといい、この抗体産生への流れをハプテンキャリアーシステムという。
J.IgAの構造、機能の特徴を説明しなさい。
血清中には主に単量体として存在するが、初乳、唾液、消化管などに分泌型抗体として二量体で存在する。この二量体の分泌型IgAは消化管や気道などの粘膜に存在するタンパク分解酵素に抵抗性であり、粘膜防御の発現に最も重要である。
K.以下の文章はアポトーシスのシグナル伝達系について述べたものである。カッコ内に入る語句を書きなさい。
アポトーシスのシグナル伝達系は( 1 )依存性経路と(1)非依存性経路に大別される。
(1)依存性経路は増殖因子の欠乏やDNA障害によって引き起こされるアポトーシスを関与する。例えば増殖因子であるIL-3に生存を依存するような細胞では、IL-3レセプターからのシグナルがBH3-onlyタンパク質である( 2 )のリン酸化を引き起こす。リン酸化された(2)は14-3-3に結合して細胞質内に捕捉されるため、(1)への移行が妨げられる。つまりIL-3という生存シグナルが存在する条件下ではアポトーシスが起こらないように制御されている。
一方で放射線等によってDNA二重鎖が切断されると、転写因子である( 3 )を介するアポトーシスが起こる。(3)は有名な癌抑制遺伝子産物で、その遺伝的な欠損はLi-Fraumani症候群として知られる。(3)はDNA傷害に反応して量が増大し、その結果、( 4 )や( 5 )といったBH3-onlyタンパク質の転写が活性化され、その発現量が増大する。
IL-3が欠乏したり、DNA傷害が起こったりするとBH3-onlyタンパク質である(2)や(4)や(5)は(1)へ移行し、抗アポトーシス分子である( 6 )や( 7 )等の機能を阻害する。その結果、(1)内部に存在する( 8 )が細胞質に放出され、これは( 9 )に結合することによって、さらに( 10 )の活性化を誘導する。この(10)はさらに下流の( 11 )を切断・活性化し、種々のタンパク質(基質)を切断することによって最終的にアポトーシスを引き起こす。この基質の代表例は( 12 ※略語可)である。通常(12)は( 13 ※略語可)と結合してその活性を阻害しているが、一旦(11)が活性化されると(12)が分解され、(13)が活性化される。その結果、DNAは( 14 )単位で切断され、電気泳動上約( 15 )bpのラダーが形成される。
(1) 非依存性経路は細胞表面に発現している( 16 )やTNFレセプターから伝達されるアポトーシスのシグナルに関与する。(16)の場合は、そのリガンドである( 17 )と結合すると3量体化されて活性化され、その細胞内にある( 18 )ドメインにFADDの(18)ドメインが結合する。FADDは(18)ドメイン以外に( 19 )ドメインを持っており、これが( 20 )の(19)ドメインに結合することによって(20)の活性化を引き起こす。(20)の活性化は下流の(11)の活性化に至る。それ以後は(1)依存性経路の場合と同じである。
1ミトコンドリア 2BAD 3p53 4Bid 5Bik 6Bcl-2 7Bcl-XL 8チトクロームC
9Apaf-1 10カスパーゼ9 11カスパーゼ3 12ICAD 13CAD 14ヌクレオソーム
15 146 16FAS 17FASリガンド 18Death 19DE 20カスパーゼ8
(追加) H16-10でのE1 E2 E3の働きについて
E1 ユビキチンの活性化
E2 E1→E3へとユビキチンを渡す担体
E3 基質を認識してE2に結合しているユビキチンを基質に連結する触媒活性
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