平成18年度 免疫学 本試験

 

1.   感染防御機構のなかで獲得免疫系は、その機能が発現するまで数日を要する。この理由について述べよ。

 

2.   アレルギーを4型に分類して各々を説明せよ。

 

3.   胸腺におけるpositive selectionnegative selectionの免疫学的意義はなにか。

 

4.   補体系の主な作用を3つ挙げよ。

 

5.   免疫系は、外界異物の侵入を非自己として認識する。自然免疫系と獲得免疫系のそれぞれにおいて、非自己として認識される外界異物の名称、非自己を認識する受容体について記せ。

 

6.   次の(   )内に適切な用語を解答欄に記入せよ。

 

主要組織適合抗原(MHC)は、抗原ペプチドをT細胞受容体に提示することで免疫応答を惹起する。MHCはクラスT分子とクラスU分子に大別される。クラスT分子は、細胞内に侵入したウイルス等の内在性抗原を主に提示するが、その際ユビキチン化された蛋白抗原は( @ )で分解され、エネルギー依存的に( A )を介して輸送され、クラスT分子へとローディングされる。一方、クラスU分子は細菌等の外来性抗原を主に提示する。MHCクラスU分子は( B )と会合した形で、小胞体からゴルジ体を経て、エンドゾームへと運搬される。この過程で( B )は分解され、CLIPと呼ばれるペプチドフラグメントとしてクラスU分子のペプチド結合溝を占拠しているが、これは( C )によって除去され、最終的に細胞内にとりこまれた外来抗原由来のペプチドがMHCクラスU分子と結合することになる。

T細胞に抗原を提示する細胞を抗原提示細胞という。中でも、樹状細胞はナイーブT細胞を活性化できるという点で最も強力な抗原提示細胞である。樹状細胞の特徴の1つは、分化段階によってその機能が異なることである。例えば、成熟樹状細胞は、未熟樹状細胞と比較して、食作用活性が著しく( D )する。樹状細胞の中には、ウイルス感染により大量のT型インターフェロン(IFN-α/β)を産生するものがある。これが、( E )樹状細胞である。

( F )で分化・成熟したT細胞は、血液中から末梢リンパ節へと移動する。この移動に関わる走化性分子を総称して( G )と呼ぶ。リンパ節には高内皮細静脈(HEV)と呼ばれる特殊な血管があり、リンパ球は受容体を介してHEV上に発言した( G )と相互作用をする。この結果( H )が活性化され、リンパ球は血管内皮細胞と強く接着し、最終的には内皮細胞間隙を通ってリンパ節内に入る。リンパ節内で対応抗原に出会わなければ、リンパ球は輸出リンパ管からリンパ液中に移行し、胸管を介して血液中に戻り、再度リンパ組織へと移動する。このようなリンパ球の再循環を( I )という。

 

7.   CD8+T細胞の誘導・活性化におけるユビキチンプロテアソームシステムの機能を説明せよ。

 

8.   下記の文章はアポトーシスの特徴について述べたものである。カッコ内に入る語句を書きなさい。但し、解答は英語のみ。日本語・スペルミスは半分原点。

 

アポトーシスはプログラム細胞死の形態学的特徴を指す言葉であり、その特徴として細胞サイズの縮小、核内( 1 )の濃縮、( 2 )の切断、細胞膜のブレビング、等の特徴が現れる。これは細胞が膨大して破裂してしまう( 3 )としばしば対比される。

 

アポトーシスのシグナル伝達を司る分子群の中で、タンパク切断カスケードを形成しているタンパク質切断酵素は( 4 )と総称される。

 

増殖因子が欠乏したり、DNA傷害が起こったりするとBH3-onlyタンパク質は( 5 )へ移行し、抗アポトーシス分子である( 6 )等の機能を阻害する。その結果、( 5 )内部に存在する( 7 )が細胞質に放出され、これは最終的に( 4 )の活性化を誘導する。

 

( 2 )の切断時には、活性化された( 4 )が( 8 ※略語可)を切断する。( 8 )の切断は( 9 ※略語可)の活性化を引き起こし、その結果として( 2 )( 10 )単位で切断される結果、ゲル電気泳動にて約180bpのラダー状パターンが観察されるのである。

 

9.   HLAに関連し、次の問に答えよ。(正しい文章の組み合わせを選べ)

 問1

@遺伝子重複は遺伝子の多重性が生じる原動力となり、個体レベルというよりは、むしろ、ヒト集団レベルで多種多様の感染源に対応が可能となることに意義がある。

A遺伝子変換は遺伝子多型が生じる原動力となり、ヒト集団レベルというよりは、むしろ、個体レベルで多種多様な感染源に対応が可能となることに意義がある。

BHLA遺伝子領域は遺伝子密度が高く、遺伝子座間の組み換え頻度が低いことが、連鎖不平衡成立の一要因となっている。

C日本人においては、HLA-DRB1*0405およびHLA-DQB1*0401の遺伝子頻度はそれぞれ0.150.11である。したがって、HLA-DRB1*0405-HLA-DQB1*0401ハプロタイプの頻度は、0.15×0.110.0165となる。

 

A) 全て  B) @・A・B  C) @・A・C  D) @・A  E) B・C  F) @・B

G) A・B  H) @・C  I) Bのみ

 

 問2

@骨髄移植において、ドナーとレシピエント間のHLA遺伝子型適合は移植の成否を決定する重要な要素である。日本人においては、HLAクラスT遺伝子不適合は、クラスU不適合に比べ、移植片対宿主病発症率が高く、生存に対して重大な危険因子となる。

Aある特定のHLAタイプが疾患の発症と相関していても、HLA自体が必ずしもその原因遺伝子とは断定できない。その理由の一つとして、HLA遺伝子領域の強い連鎖不平衡が挙げられる。

B薬剤による自己タンパク分子の強制的な還元・化学修飾、加齢などがT細胞を活性化し、自己免疫様の免疫応答をもたらすことが、特定のHLAタイプと関連することがある。

C微生物由来のペプチドが自己ペプチドと分子擬態を示し、自己に対する免疫応答をもたらすことが、特定のHLAタイプと関連することがある。

 

A) 全て  B) @・A・B  C) @・A・C  D) A・B・C  E) @・B・C  F) @・A

G) B・C  H) @のみ  I) Aのみ

 

10.抗原刺激によって活性化されたCD4陽性ヘルパーT細胞は大きく分けてTh1Th2に分類される。

(1)Th1Th2分化に必要なサイトカインと転写因子を述べよ。

(2)B細胞はTh1,Th2によって産生されるサイトカインによってそれぞれ異なったクラスの抗体を産生するようになる。それぞれの抗体のクラスは何か。

(3)Th1Th2それぞれと関係の深い免疫応答、免疫疾患は何か。代表的なものを、それぞれひとつずつあげよ。

 

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