肝・胆・膵 平成18年度概説
【1】 血液検査の結果、総ビリルビン3.0mg/dl、直接ビリルビン0.9mg/dlであった。
考えられる疾患を選べ。
a)Roter症候群 b)Dubin-Johnson症候群 c)Gilbert症候群
d)Crigler-Najjar症候群 e)溶血性貧血
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:3
解説:abは直接優位、cdeは間接優位
a)× 詳細は不明。ビリルビンの摂取障害、輸送障害に起因
b)× 抱合物を輸送するトランスポーター異常
c)○ BUGT活性の低下による抱合能異常
d)○ BUGT活性低下(欠損)による抱合能異常 e)○
【2】 アルカリフォスファターゼ(ALP)、γ−GTPについての解釈で正しいものを選べ。
a)これらの酵素は胆道系酵素とよばれ、それらの上昇は胆管の障害・病変、胆汁うっ滞を反映している。
b)これらの酵素は薬剤性肝障害でトランスアミナーゼに比して優位に上昇してくる。
c)ALPのアイソザイムには、主に骨型、肝型、胎盤型、肺型がある。
d)ALPはアルコール摂取にてその合成に誘導がかかり、上昇してくる。
e)γ−GTPはアルコール摂取にてその合成に誘導がかかり、上昇してくる。
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:4
a)○ b)○ c)× 肺型はない d)× γ-GTPのみ上昇 e)○
【3】肝炎ウイルスに関する記述で正しいものを選べ。
a)A型肝炎ウイルスは経口感染する。
b)A型肝炎ウイルス既感染であっても、再感染する可能性が高い。
c)B型肝炎ウイルスは性交によっては感染しない。
d)B型肝炎ウイルスの母子感染の率は高い。
e)C型肝炎ウイルスの針刺し事故による感染は、B型肝炎ウイルスの場合よりもその率 は低い。
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:5
a)○ b)× ワクチンが有効で免疫は一生続く c)× d)○
e)○ B型が6〜30%、C型は0.4〜6%ちなみにHIVは0.25〜0.4%
【4】肝細胞癌に関する記述で正しいものを選べ。
a)肝細胞癌の腫瘍マーカーとしては、αフェトプロテインとCA19-9が有用である。
b)転移性肝癌との鑑別には67Ga-citrateによる肝シンチグラフィーが有用である。
c)腹部超音波検査では2cm以下の肝細胞癌の検出率は低い。
d)ダイナミックCTにおいて、肝細胞癌は肝動脈相で造影され、門脈相では造影されない為に、いわゆるhigh→lowパターンを示す。
e)肝細胞癌の症例の多くは肝硬変を発生母地として持っている。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:5
a)× CA19-9→PIVKAU b)× エコー、造影CT c)× d)○ e)○
【5】劇症肝炎について正しい記述を選べ。
a) 血漿交換は劇症肝炎の治療において有用である。
b) 劇症肝炎は症状発現後8週間以内に高度の肝障害に基づいて肝性脳症U度以上の脳症を示し、プロトロンビン時間40%以下を示すものである。
c) 劇症肝炎で発症後10日以内に脳症を発現する急性型の方が、それ以降に脳症を発症する亜急性型より予後が良い。
d) A型肝炎のほうがB型肝炎より劇症化しやすい。
e) 劇症肝炎は肝移植の対象にならない。
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:1
a)○ b)○ c)○ d)× e)× 肝移植の生存率は約80%で予後良好となる
【6】34歳の男性。10日前に39℃の発熱があり、感冒と思い市販薬を服用していた。家族に黄疸を指摘され5日前に来院し入院した。入院後、全身倦怠感と食欲不振とが急激に増強してきた。昨日から昏睡状態となった。呼気にアンモニア臭がある。血清生化学所見:総ビリルビン14mg/dl、AST 1260U/l(正常40以下)、ALT 1460U/l(正常35以下)、プロトロンビン時間15%(正常80〜120)。IgM型HA抗体陽性、IgG型HA抗体陰性、HAV-RNA陰性、IgM型HBc抗体陰性、HBs抗原陰性、HBs抗体陽性、HCV抗体陰性、HCV-RNA陰性であった。以下の記述で正しいものを選びなさい。
a)劇症肝炎の急性型である。
b)劇症肝炎の亜急性型である。
c)重症肝炎であるが劇症肝炎ではない。
d)性交により感染したと考えられる。
e)経口感染したと考えられる。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:2
解説:A型肝炎ウイルスによる急性型劇症肝炎
【7】64歳の男性。2ヶ月前から始まった倦怠感、食欲不振を主訴として来院した。胸部にクモ状血管腫、手掌紅斑を認めた。肝は触知しなかった。白血球3000/mm3,赤血球350万/mm3,血小板6万/mm3,総ビリルビン1.2mg/dl,アルブミン3.0mg/dl,AST 69U/L,ALT 48U/L,ヘパプラスチンテスト45%(正常80%以上),αフェトプロテイン350ng/dl(正常10以下),cA19-9,cEAはともに正常範囲内,HBs抗原陰性,HCV抗体陽性であった。腹部エコーにて肝左内側区域に直径2cmの低エコーを呈するSOL(space occupied lesion)を認めた。以下の記述で正しいものはどれか。
a) エコー上のSOLは肝血管腫である可能性が高い。
b) エコー上のSOLは胆管癌である可能性が高い。
c) エコー上のSOLは肝細胞癌である可能性が高い。
d) SOL以外の肝は肝硬変である。
e) SOL以外の肝は慢性肝炎である(肝硬変ではない)。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:4
a)× b)× c)○ e)×
d)○ クモ状血管腫、手掌紅斑がみられ、血小板10万以下なので肝硬変である
【8】A型肝炎ウイルスとE型肝炎ウイルスに関して正しい記載を選べ。
a) 慢性化することがある。
b) 肝炎発症時にはウイルスは体内に残っていない。
c) 経口感染する。
d) 日本での若年者のA型肝炎ウイルス陽性者は年々少なくなっている。
e) E型は輸入感染症のみである。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:4
a)× b)× c)○ d)○ e)×
【9】C型肝炎に関して正しい記載はどれか。
a) 日本国内で多く認められるウイルスのセロタイプは1型である。
b) C型急性肝炎のうち約2割は自然に治癒する。
c) 慢性肝炎の主たる原因は母子感染である。
d) 肝硬変にまで至るとインターフェロンでウイルスが消失しても肝硬変は進行する。
e) 感染のごく初期からHCV抗体が陽性化する。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:1
a)○ 1b型が多い b)○ c)× 針、輸血が多い d)× e)×
【10】慢性肝炎に関して正しい記載はどれか。
a)4ヶ月以上の肝機能障害とウイルス感染が持続している状態をいう。
b)一般にC型肝炎では肝炎発症後10〜20年で肝硬変に進展する。
c)新犬山分類では肝炎はFibrosisとActivityで評価する。
d)門脈域の好中球浸潤と肝小葉の脂肪変性・壊死が特異的。
e)B型に比べC型は慢性肝炎の状態からは発癌しやすい。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:3
a)× 6ヶ月以上 b)○ c)○ d)× リンパ球浸潤 e)× 逆
【11】肝硬変に合併しやすいのはどれか。
a)血球細胞の上昇 b)血中アンモニアの上昇 c)高アルドステロン血症
d)高尿酸血症 e)高アルブミン血症
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:3
a)× 減少(脾腫による) b)○ 肝性脳症の一因
c)○ ステロイドホルモンの異化障害による
d)× 高尿酸血症は原発性のほか、薬物、造血器疾患、腎不全にみられる
e)× 低アルブミン血症
【12】肝硬変の合併症で一番多いのはどれか。
a)心機能亢進 b)肝肺症候群 c)膵機能亢進 d)肝腎症候群 e)門脈圧亢進症
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:5
【13】肝硬変をきたさないものはどれか。
a)アミロイドーシス b)ヘモジデローシス c)Wilson病
d)α1アンチトリプシン欠乏症 e)Non-alcoholic steatohepatitis
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:1
a)○ b)○ c)× d)× e)×
【14】自己免疫性肝炎に関して正しくない記載はどれか。
a)抗核抗体が陽性となるが、抗ミトコンドリア抗体は陰性である。
b)組織学的に形質細胞の浸潤を特徴とする。
c)血清γグロブリン値またはIgG値の高値を認める。
d)薬剤服用を原則として認めない。
e)急性肝炎で発症するのはまれである。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:4
a)○ 抗ミトコンドリア抗体はPBCで陽性 b)○ c)○
d)× ステロイドが第一選択 e)○ 慢性に経過する
【15】膵液について正しい組み合わせを選べ。
a)膵液は透明、無味無臭である。
b)インスリンは膵液中に分泌される。
c)膵液は重炭酸イオンによりpHはアルカリ性に保たれている。
d)膵液中にはさまざまな消化酵素が含まれている。
1)ab 2)ad 3)bc 4)acd 5)すべて
答:4
a)○ b)× c)○ d)○
【16】消化吸収について正しい組み合わせを選べ。
a)十二指腸膵頭切除をした症例では、鉄の主要吸収部位が主に十二指腸のため、鉄欠乏性貧血を起こしやすい。
b)胆汁酸の主たる吸収部位は回腸である。
c)カルシウムは能動的に上部小腸で吸収され、ビタミンEはカルシウムの吸収を促進する。
d)脂溶性ビタミンとビタミンB12以外の水溶性ビタミンは主に回腸から吸収される。
1)ab 2)cd 3)acd 4)bcd 5)すべて
答:1
a)○ b)○ c)× ビタミンD d)× 空腸
【17】膵嚢胞性疾患について正しい記述はどれか。正しい組み合わせを選べ。
a)漿液性嚢胞腫瘍は悪性化することが多く、手術が原則である。
b)粘液性嚢胞腫瘍は膵管と交通がないことが特徴である。
c)膵管内乳頭腫瘍は主膵管型と分枝膵管型に分類される。
d)膵管内乳頭腫瘍ではVater乳頭口の開口が特徴である。
e)膵仮性嚢胞の内空は上皮で覆われている。
1)abc 2)acd 3)bcd 4)cde 5)ace
答:3
a)× 経過観察 b)○ c)○ d)○
e)× 仮性嚢胞は上皮で覆われていないものである
【18】膵癌について正しい記述はどれか。正しい組み合わせを選べ。
a)組織型では腺房細胞癌が最も多い。
b)膵頭部癌では黄疸、膵尾部癌では腹痛、体重減少が見られることが多い。
c)膵癌の化学療法では、現在5-FUやgemcitabineなどが用いられている。
d)血清エラスターゼ1は膵癌による膵管の閉塞を反映して高値となる。
e)一般に血中腫瘍マーカーは膵癌の治療判定には有用できない。
1)abc 2)bcd 3)cde 4)bde 5)abe
答:2
a)× 膵管上皮由来がほとんど b)○ c)○ d)○ e)× 有用
【19】薬剤性肝炎についての記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
a)急性期には肝細胞の変性・壊死が見られる。
b)抗生剤、鎮痛剤が原因となることがある。
c)組織学的に自己免疫性肝炎と鑑別が困難である。
d)原因となる薬剤を中止することで改善する。
e)肝細胞内に胆汁うっ滞を伴うことがある。
1)ace 2)bcd 3)ad 4)bc 5)すべて
答:5
【20】膵管内乳頭粘液性腫瘍についての記述で、正しいものの組み合わせを選べ。
a)膵管上皮由来の腫瘍である。
b)膵管内にとどまらず周囲膵実質に浸潤することもある。
c)中年女性の膵尾部に好発する。
d)多くは10歳以下の小児、特に男児に発生する。
e)一般的には主膵管との交通はない。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:1
a)○ b)○ 病理学的には浸潤癌も含まれている c)× 男、膵頭部に多い
d)× 壮年〜高年男性に多い e)× 必ずある
【21】膵内分泌腫瘍について正しいものを選べ。
a)インスリノーマは膵頭部が好発部位である。
b)ホルモン産性腫瘍であるためホルモン療法が奏効する。
c)膵腺房細胞由来の腫瘍である。
d)本症の約10%はMultiple endocrine neoplasia(MEN)1型に属す。
e)病理診断においては、特殊染色・免疫染色あるいは電子顕微鏡的検索が必要となる。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:5
a)× 体尾部に多い b)× c)× d)○
e)○ 抗インスリン抗体などを用いる
【22】胆嚢についての記述で、正しいものの組み合わせを選べ。
a)胆嚢癌は原発性腺癌が最も多い。
b)胆嚢コレステロールポリープは前癌病変である。
c)胆嚢癌の肉眼形態は陥凹型が最も多いため穿孔しやすい。
d)胆嚢癌は胆汁を過剰分泌するため下痢症状が発見の契機となる。
e)胆道膵管合流異常症は胆嚢癌の発生頻度を増加させる。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:2
a)○ b)× c)× 結節浸潤型が多い
d)× 無症状で進行すると閉塞性黄疸になることが多い e)○
【23】肝臓の解剖について正しいのはどれか。
a)Cantli線とは門脈臍部と下大静脈を結ぶ線である。
b)肝臓前区はS5及びS8からなる。
c)肝円索は胎児期の臍静脈の名残である。
d)肝十二指腸間膜内には肝動脈・総胆管・門脈・下大静脈が走行している。
e)右肝動脈が上腸間膜動脈起始部から分枝する変異は約20%に認められる。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:3
a)× 胆嚢と下大静脈を結ぶ線 b)○ c)○ d)×
e)×? プリントを見る限り20%程度ありそうですが…
【24】肝血管腫について正しいのはどれか。
a)30〜50歳の男性に多い。
b)超音波断層像はモザイクパターンを示す。
c)Kasabach-Merritt症候群を呈する場合は手術適応である。
d)血管造影にて特徴的な綿花状陰影が認められる事が多い。
e)血清AFP値が高値を示す。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:4
a)× 女性に多く、先天性のものが多い
b)× 境界は細かい凹凸で、内部は均一な高エコー c)○ d)○ e)×
【25】肝細胞腺腫について正しいのはどれか。
a)経口避妊薬との関連がある。
b)高分化型肝細胞癌との鑑別は困難である。
c)悪性化はない。
d)CTにて辺縁に石灰化が多く認められる。
e)破裂や腫瘍内出血を来しやすい。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:2
a)○ b)○ c)× 悪性かは稀だがある d)×
低吸収領域として描出 e)○
【26】肝内胆管癌について正しいのはどれか。
a)30〜40歳代の男性に多い。
b)嚢胞腺癌が多い。
c)病理組織学所見上、胆汁産生を高頻度に認める。
d)血清CEA値が上昇する。
e)選択的動脈造影にて濃染像が認められる。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:4
a)× 60歳以上にピーク、性差なし b)× 管状腺癌が多い
c)× d)○ e)×
【27】原発性肝癌について正しいのはどれか。
a)我が国では肝細胞癌の原因としてB型肝炎が最も多い。
b)胆管細胞癌の中で比較的予後良好なのは胆管内発育型である。
c)肝細胞癌の転移は肝内が最も多い。
d)肝細胞癌は胆管細胞癌より予後良好である。
e)肝細胞癌の病巣を切除すれば再発はまれである。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:4
a)× C型が多い b)○ c)○ d)○ e)×
【28】肝細胞癌について正しいのはどれか。
a)超音波検査におけるbull’s eye signが特徴的な所見である。
b)単発、最大腫瘍径3cm、脈管侵襲なし、であればStageUである。
c)肝切除中の出血を減少させるにはPringle法が有用である。
d)門脈本幹への腫瘍塞栓を伴うものには動脈塞栓術がよい適応である。
e)ICG(15分値)35%であれば肝右葉切除は可能である。
1)acd 2)ab 3)bc 4)dのみ 5)a−eすべて
答:3
a)× モザイクパターン、後方エコー増強。bull’s eye signは転移性肝癌
b)○ T2N0M0なのでStageU c)○ d)× 禁忌 e)× 10%未満で可能
【29】脳死移植について正しいものはどれか。
a)脳死とは脳幹を含めて脳全体の機能が失われた状態をいう。
b)法的脳死判定は6時間以上の間隔をおいて少なくとも2度行われる。
c)脳死者の家族といえども優先的に移植を受けられない。
d)年齢に関係なく臓器を摘出できる。
e)臓器移植に対して脳死者の家族は反対できない。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:1
a)○ b)○ c)○ d)× 15歳以上のみ e)×
【30】特発性門脈圧亢進症に関して正しい記載はどれか。
a)男性に多い。 b)肝機能障害は軽度である。
c)脾摘により汎血球減少は改善される。 d)著明な脾腫を認める。
e)肝小葉構造に改築がみられる。
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:2
a)× 50歳代の女性に多い b)○ c)○ d)○ e)× 肝硬変でみられる
【31】腹腔鏡下胆嚢摘出術について正しいのはどれか。
a)気腹には化学的に安定なヘリウムガスが多く用いられている。
b)気腹圧をできるだけ高くして十分な視野を得ることが重要である。
c)手術既往のある症例は、腹腔鏡下の手術は適応とならない。
d)気腹法は腹壁吊り上げ法に比べ、高炭酸血症の合併症が多い。
e)胆石症に対する術式としては、開腹術よりも施行症例が多い。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:5
a)× CO2を用いる b)× c)× d)○ 換気量を増やす必要がある e)○
【32】胆石症について正しい記載はどれか。
a)胆石症の約80%は腹部単純レントゲン上陽性に描出される。
b)ビリルビン結石は、層状構造を示す。
c)中年の女性に多い。
d)胆石症非合併例に比し、胆嚢癌の合併が多い。
e)超音波検査での検出率は約30%である。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:3
a)× 検出率は低い b)○ c)○ fatty,forty,female
d)× 有胆嚢結石患者が胆嚢癌になる確率は低い e)× 検出率は低い
【33】肝内結石症について誤った記載はどれか。
a)アジア地域に多い。 b)肝膿瘍を来しやすい。
c)一度きちんと治療すれば、再発しにくい。 d)胆石溶解剤の良い適応である。
e)肝の片葉に限局している場合には、胆道鏡下切石術の良い適応である。
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:3
a)○ b)○ 肝内結石に胆管炎を合併すると肝膿瘍へ進行しやすい
c)× 再発しやすい d)× 治療は胆道鏡下切石術か肝切除
e)× 肝切除の適応
【34】肝内胆石症について正しいものはどれか。
a) 最近欧米なみにわが国でも症例が増加している。
b) 胆道鏡を用いた治療の完全切石率は約90%である。
c) 胆管癌の合併率が高い。
d) 胆管狭窄を伴うことが多い。
e) 肝切除の対象とはならない。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:4
a)× アジアに多い b)× 肝切除以外での根治は難しい
c)○ 肝内結石のある胆管狭窄部近傍に発生しやすい d)○
e)× 肝の片葉に限局しているときは肝切除
【35】急性胆道感染症について正しい記載はどれか。
a)胆嚢壁の3重構造は、急性胆嚢炎のエコー像の特徴である。
b)経皮経肝胆嚢ドレナージは急性胆嚢炎に対する治療法のひとつである。
c)急性閉塞性化膿性胆菅炎(AOSC)は抗生剤によく反応するので、まず保存的に薬剤治 療を試みる。
d)胆道感染の主要な菌種は、グラム陽性球菌である。
e)経十二指腸的逆行性感染は、胆道感染の重要な経路である。
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:4
a)○ b)○ c)× 保存的治療では死亡する。ERBDが必要
d)× グラム陰性菌が多い e)○
【36】膵臓の解剖について正しいものを選べ。
a)膵臓は第1〜2腰椎の高さに位置する。
b)膵臓は後腹膜臓器で、臓器全体が腹膜に覆われる。
c)総胆管は膵内を走行しない。
d)膵頭部と体部の境界は上腸間膜静脈の左側縁である。
e)Wirsung管は副乳頭に開口する。
1)ab 2)ad 3)bc 4)cd 5)de
答:2
a)○ b)× c)× d)○ e)× Santorini管
【37】膵・腎臓移植について正しいものを選べ。
a)2型糖尿病で慢性腎不全を合併している患者は主な対象である。
b)膵移植の目的はインスリン分泌を再開させ糖代謝を是正することである。
c)膵移植の1年生着率は80%をこえる。
d)移植をしても2次的合併症(網膜症等)の進行は緩和されない。
e)膵島移植と比較すると生着率は劣る。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:3(『新臨床外科学』参照)
a)× 1型糖尿病が対象 b)○ c)○ d)× e)× 膵島移植は生着率が悪い
【38】膵・腎臓移植について正しいものを選べ。
a)膵臓は2つに分け、腎臓と共に別々のレシピエントに移植する。
b)摘出した膵臓はレシピエントの腸骨窩で腸骨動静脈と血管吻合し、移植する。
c)膵液のドレナージ法には消化管ドレナージ法と膀胱ドレナージ法がある。
d)移植後すぐに内・外分泌機能が再開されることはない。
e)本邦で生体膵移植が行われたことはない。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:3(『新臨床外科学』参照)
a)× b)○ c)○ 最近は腸管吻合が増えてきている d)× e)×?
【39】次の文章の内誤ったものを選べ。
a)赤血球の平均寿命は120日である。
b)黄疸解除には、胆汁内瘻が胆汁外瘻より優れている。
c)閉塞性黄疸時には直接ビリルビンが優位となる。
d)閉塞性黄疸では尿中ウロビリノーゲンが陽性となる。
e)Crigler-Najjar症候群ではビリルビン抱合障害があり直接ビリルビンが増加する。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:5
a)○ b)○ c)○ d)× e)×
【40】次の文章の内誤ったものを選べ。
a)心窩部中央をHead胆嚢圧痛点と呼び、胆石症の所見として重要である。
b)下部胆道系悪性腫瘍ではCourvoisier徴候がみられることがある。
c)Caput medusaeは門脈圧亢進症の所見である。
d)急性閉塞性化膿性胆管炎患者では、内視鏡的逆行性胆管造影などによる緊急胆道ドレナージが必須である。
e)胆汁酸は主に空腸粘膜より吸収される。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:2
a)× Solar点 b)○ c)○ d)○ e)× 回腸
【41】膵胆道系外科解剖について誤っているもの1つはどれか。
a)Calotの三角は胆嚢管、総肝管、肝下面で囲まれた三角形である。
b)総胆管と主膵管は通常、十二指腸壁内で合流する。
c)総胆管は副膵管の背側にある。
d)肝十二指腸間膜で最も大きいのは門脈である。
e)Replaced右肝動脈は通常、肝十二指腸靭帯の正中側を走行する。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:5
e)× 外側
【42】胆石症について正しいもの1つはどれか。
a)疼痛、発熱、ショックをCharcotの3徴という。
b)Mirizzi症候群は胆嚢頚部結石の十二指腸の圧迫による。
c)confluence stoneは胆嚢管の結石が胆管に内瘻を形成し、胆管内に露出したものである。
d)MRIは胆石での石灰化の描出に優れている。
e)胆嚢全体の石灰化をstrawberry gallbladderという。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:3
a)× 発熱、黄疸、腹痛で3つ揃うと急性胆管炎の確定診断となる
b)× c)○ d)× e)× 陶器様胆嚢という。strawberry gallbladderは
びまん性の胆嚢コレステロローシス
【43】胆石症について、間違ったもの1つはどれか。
a)胆石による胆嚢・結腸瘻では胆管内ガス像を認める。
b)胆石が乳頭部に嵌頓して起こる膵炎を胆石膵炎という。
c)腸管に排泄された胆石によるイレウスを胆石イレウスという。
d)胆嚢炎にガス産生菌感染を伴うと、黄色肉芽腫性胆嚢炎という。
e)胆嚢穿孔により、胆汁性腹膜炎となる。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:4
d)× 気腫性胆嚢炎という(重症)
【44】肝内結石症について間違ったもの1つはどれか。
a)コ系石が多い。 b)アジアに多い病気である。
c)肝膿瘍の合併を10%に認める。 d)肝左葉外側区域に多い。
e)肝萎縮があれば罹患肝の肝切除の適応となる。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:1
a)× ビリルビンカルシウム石
【45】AOSC(急性閉塞性化膿性胆管炎)について間違ったもの1つはどれか。
a)AOSCではエンドトキシン血症が惹起される。
b)胆嚢摘出術が適応である。
c)原因として胆管結石の嵌頓が最も多い。
d)老人では症状呈さず、重症化しうる。
e)起炎菌は大腸菌が多い。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:2
【46】胆嚢ポリープについて間違ったもの1つはどれか。
a)コレステロールポリープがもっとも多い。
b)悪性ポリープは15mm以上が多い。
c)多発ポリープは胆嚢癌に多い。
d)悪性ポリープは無茎性が多い。
e)良悪性鑑別に術中迅速診断が行われることがある。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:3
a)○ 圧倒的多数 b)○ 10mm以上は要注意 c)× d)○ e)○
【47】胆管癌について間違ったもの1つはどれか。
a)女性に多い。
b)非切除例にはステント挿入が適応となる。
c)肝門部胆肝癌をKlatskin腫瘍という。
d)下部胆管ではCourvoisier徴候認める。
e)下部胆管癌は(幽門輪温存)膵頭十二指腸術の適応となる。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:1
a)× 男性に多い b)○ c)○ d)○ e)○ 多く行われている
【48】膵嚢胞性腫瘍について正しいもの2つはどれか。
a)膵漿液嚢胞性腫瘍は悪性例が多い。
b)粘液嚢胞腺腫に対して嚢胞・胃吻合術が適応である。
c)膵管内乳頭腫瘍は高齢、男性に多い。
d)粘液嚢胞腺癌は通常型膵癌同様、拡大膵切除の適応である。
e)粘液嚢胞性腫瘍は通常、膵管との交通を認める。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:4
a)× ほとんど良性 b)× すべてが膵切除の適応 c)○ d)○
e)× 膵管との交通は少ない
【49】膵内分泌腫瘍について間違ったもの1つはどれか。
a)インスリノーマは単発、良性が多い。
b)多発の検索には術中超音波検査が有用である。
c)インスリノーマの局在診断としてSASIテストがある。
d)通常血流に富む腫瘍である。
e)ガストリノーマは多発、悪性が多い。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:3
c)× SACIテスト
【50】次のうち誤りはどれか。
a)心窩部中央をSolar圧痛点と呼び、胆石症の所見として重要である。
b)Mayo-Robson点は胆石症の圧痛点であり、臍の右上方に位置する。
c)Caput medusaeは門脈圧亢進症の所見である。
d)HMG-CoA還元酵素はコレステロール合成の律速酵素である。
e)胆汁酸は主に空腸粘膜より吸収される。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:5
e)× 回腸
【51】Courvoisier徴候をきたすのはどれか。
a)肝内胆管癌 b)上部胆管癌 c)胆嚢癌
d)下部胆管癌 e)十二指腸乳頭部癌
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:5
【52】回腸が主要吸収部位であるものの正しい組み合わせを選べ。
a)鉄 b)カルシウム c)ビタミンB12 d)胆汁酸 e)脂肪
1)ab 2)bc 3)cd 4)de 5)すべて
答:3
【53】急性膵炎について正しいのはどれか。
a)上腹部に急性腹痛発作と圧痛がなくても、血中の膵酵素の上昇、画像で膵に急性膵炎に伴う異常があれば急性膵炎と診断してよい。
b)急性膵炎の診断がつけば入院にての加療が原則である。
c)急性膵炎では初期に十分な輸液投与を行うことが重要である。
d)急性膵炎の患者では造影CT検査は腎機能を悪化させるので禁忌である。
e)成因が胆石症の場合はすぐにERC(内視鏡的逆行性胆管造影)を行う。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:1
a)○ (@上腹部の急性腹痛発作と圧痛 A血中または尿中、腹水中の膵酵素上昇
B画像所見)@〜Bのうち2つ以上で診断 b)○ c)○ d)× 造影CTを行う
e)× 胆石性急性膵炎で黄疸の出現や増悪など遷延化が疑われる場合や、急性胆管炎の
合併などではERCPをすぐに行う。しかしそれ以外では急性膵炎の治療が優先
【54】65歳男性、大酒家。45歳時に慢性膵炎の診断を受け、投薬も受けるもアルコール摂取中止していない。最近は腹痛発作および血中膵酵素の上昇は認めない。しかし脂肪食摂取で下痢が出現、さらに耐糖能異常が出現してきた。本症例について正しいのはどれか。
a)検便でアザン染色にて脂肪便が存在する可能性が高い。
b)血中特異的膵酵素は低下している可能性が強い。
c)治療の原則は禁酒・脂肪食制限であるが十分な消化剤投与である程度の脂肪摂取は必要である。
d)アルギニン負荷試験でグルカゴン反応が低下している可能性がある。
e)慢性膵炎の非代償期でありPFD試験は上昇している可能性がある。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:4
解説:慢性膵炎非代償期
a)× 日本では脂肪便は少ない b)○ c)○ d)○ e)× 低下
【55】肝疾患と免疫グロブリンの関係で正しい組み合わせを選べ。
a)IgE高値・・・急性A型膵炎
b)IgM高値・・・原発性胆汁性肝硬変症
c)IgG高値・・・自己免疫性肝炎
d)IgA高値・・・アルコール性肝硬変症
e)IgG高値・・・薬剤性肝炎
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:2
【56】肝性脳症について正しい記述を3つ選べ。
a)肝性脳症U度以上では羽ばたき振戦を認めることが多い。
b)肝性脳症では尿素回路がうまく働かないため、血中のアンモニアが上昇している。
c)肝性脳症ではフィシャー比が上昇してくる。
d)肝性脳症では、アミノ酸の異常バランスを補正するために芳香族アミノ酸の輸液を行う。
e)肝性脳症では、合成2糖類(ラクチュロース等)の経口または注腸投与を行う。
1)abc 2)bcd 3)cde 4)abe 5)ade
答:4
【57】原発性胆汁性肝硬変について正しいものを選べ。
a)胆管造影が診断に有効である。
b)組織学的に小葉間胆管の破壊とその周囲の密なリンパ球浸潤が見られる。
c)門脈域に類上皮肉芽腫が見られることがある。
d)甲状腺機能低下症を合併することが多い。
e)肝内胆管癌の危険因子である。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:4
a)× 小葉間胆管に破壊性変化。診断は抗ミトコンドリア抗体と肝生検が中心
b)○ CNSDCとよばれる c)○ 『標準消化器病学』参照
d)○ 橋本病が合併しやすい疾患の1つである e)×
【58】幽門輪温存膵頭十二指腸切除術の合併症として誤っているのはどれか。
a)糖尿病 b)膵液瘻 c)胃内容排出遅延
d)逆行性胆管炎 e)胆汁性肝硬変
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:5
【59】肝類上皮性血管内皮腫epithelioid hemangioendotheliomaについて正しいのはどれか。
a)肝表面に多発する。
b)30〜50歳の女性に多い。
c)星芒状中心性瘢痕が特徴である。
d)免疫染色において第7因子が発現している。
e)間葉系悪性腫瘍である。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:2
a)○ b)× c)× 限局性結節性過形成の特徴
d)× 第8因子。他にもCD34など e)○
【60】次の文章の内誤っているのはどれか。
a)胆汁脂質は主に胆汁酸塩、リン脂質、およびコレステロールからなる。
b)ビリルビン分子は鉄原子を1個含む。
c)閉塞性黄疸ではビタミンKの吸収障害があり、出血傾向をきたす。
d)直接ビリルビンはグルクロン酸抱合されており、胆汁中に排泄される。
e)溶血性黄疸時にはウロビリノーゲンが尿中に増加する。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:2
a)○ b)× 含まない c)○ d)○ e)○
【61】次の文章の内誤っているのはどれか。
a)胆汁酸が欠乏すると脂肪酸吸収障害が起こる。
b)ビタミンKの吸収には胆汁酸が必要である。
c)ウルソデオキシコール酸の経口的投与によりコレステロール胆石を溶解しうる。
d)原発性胆汁性肝硬変では、ケノデオキシコール酸による治療が有効である。
e)胆汁外瘻はコレステロール合成を増加させる。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:4
d)× ウルソデオキシコール酸
【62】食道胃静脈瘤の治療に関して正しい記載はどれか。
a) 食道胃静脈瘤は出血をしていなければ基本的に治療をする必要はない。
b) 食道静脈瘤の治療として、βブロッカーを内服する場合がある。
c) 内視鏡的硬化療法(EIS)は内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)に比べて合併症が多い。
d) EISはEVLに比べて再発率が多い。
e) EISとEVLを併用して治療することはない。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:3
【63】肝膿瘍について正しいのはどれか。
a)医療の進歩により医原性肝膿瘍の頻度が低下した。
b)アメーバ性赤痢の約60%に肝膿瘍を認める。
c)アメーバ性肝膿瘍は単発の事が多い。
d)胆管性肝膿瘍ではグラム陰性桿菌が起炎菌となることが多い。
e)アメーバ性肝膿瘍ではアメーバの検出によって確定診断を行う。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:4
a)× 増加傾向 b)× c)○ d)○ e)× 検出率は低い
【64】生体肝移植について正しいものはどれか。
a)ドナー残肝量は20%あれば問題ない。
b)再建は肝動脈−肝静脈−門脈−胆管の順番でおこなう。
c)肝細胞癌に対する生体肝移植後の再発は肝外再発が多い。
d)HBcAb陽性のドナーからの生体肝移植では術後HB免疫グロブリンを使用する。
e)本邦ではドナーの肝不全死の報告はない。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:4
a)× 35〜40%以上必要 b)× 肝静脈から行う c)○ d)○ e)×
【65】肝門部胆管癌について正しいのはどれか。
a)尾状葉胆管は左右胆管から1本ずつ分枝している。
b)狭窄部位が肝管より高位にある場合はほとんどが切除不能である。
c)右肝動脈への浸潤が認められることは少ない。
d)限局性胆管炎は外側区域と後区域に多く発生する。
e)造影されていない胆管の検索にはMRCPが有用である。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:4?
a)× 尾状葉には3本の胆管 b)× c)× d)○?
e)×? マルチスライスCTによる3次元再構築像が有用のようです
【66】消化管ホルモンであるセクレチンの作用として正しい組み合わせを選べ。
a)膵液(水)分泌作用 b)胆嚢収縮作用 c)Oddi氏括約筋弛緩作用
d)インスリン分泌作用 e)重炭酸イオン産生作用
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:2
a)○ b)胆嚢収縮はCCKとガストリンの作用。セクレチンはCCKに拮抗する
作用がある(『標準生理学』参照)
c)× CCKや迷走神経刺激、β受容体刺激により弛緩する(『標準生理学』参照)
d)× e)○ セクレチンは細胞内cAMPを増加させ、導管細胞にあるCFTRとい
うタンパクを開口状態にする。これにより血清から細胞内へ重炭酸塩が入ってくる。
(『ハリソン内科学』参照)
【67】正常の肝組織について正しいのはどれか。
a)肝細胞は胆管細胞に比べミトコンドリアが豊富に存在する。
b)肝細胞索は通常肝細胞1列の索状構造よりなる。
c)Disse腔は肝細胞と類洞の間に存在する。
d)胆汁色素は肝細胞で合成後、類洞に排出される。
e)肝内で異物と認識された物質は主に伊東細胞が貪食する。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:1
a)○ b)○ c)○ d)× e)× 類洞上皮やクッパ細胞が貪食する
【68】現在(検査時)の肝(実質細胞)の合成能を見るのに最も適切なものはどれか2つ選びなさい。
a)アルブミン b)コリンエステラーゼ c)ヘパプラスチンテスト
d)プロトロンビン時間 e)コレステロール
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:4
【69】トランスアミナーゼAST,ALTについての解釈で正しいものを選べ。なお正常値はAST13〜33U/L,ALT6〜30U/Lである。
a) ASTは肝に特異的であるのに対し、ALTは肝以外にも赤血球や筋肉にも存在する。
b) 急性肝炎において、(1)AST/ALT=2000/1000と(2)AST/ALT=1000/2000では(1)がより病状(肝炎)が悪化する可能性が高い。
c) AST,ALTの上昇は肝実質細胞(肝細胞)の破壊を意味している。
d) C型肝炎の患者でALT60,AST70であった。これらトランスアミナーゼの値が低いので肝硬変症は考え難い。
e) ASTの半減期は約40時間でALTの約16時間に比べて長い。
1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de
答:3
a)× 逆 b)○ c)○ d)× e)× ALTの方が長い
【70】以下の記述の中で、正しい組み合わせを選べ。
a) 肝細胞の水腫様腫大は種々の原因の肝細胞障害で見られる。
b) 心不全によるうっ血は、門脈域周囲に見られることが多い。
c) 輸血による鉄の過剰で鉄が肝細胞に取り込まれることは少ない。
d) 閉塞性黄疸では肝細胞にも胆汁うっ滞が見られる。
e) 敗血症の際にKupffer細胞の腫大が見られることがある。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:3(『病理学 第6版』、『ロビンス基礎病理学』参照)
a)○ 感染症や中毒で見られる b)× 中心静脈周囲
c)× ヘモジデローシス、ヘモクロマトーシスの一因 d)○ e)○
【71】以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
a)自己免疫性肝炎では肝小葉に好中球のびまん性浸潤を認める。
b)原発性硬化性胆管炎では小葉間の小さな胆管が傷害されることは少ない。
c)原発性硬化性胆管炎は潰瘍性大腸炎を合併することがある。
d)肝細胞腺腫の発生に経口避妊薬が関与すると考えられている。
e)限局性結節性過形成は非肝硬変にみられることが多い。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:4
a)× リンパ球 b)○ c)○ 欧米では特に多い d)○ e)×
【72】薬剤性肝炎についての記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
a)急性期には肝細胞の変性・壊死が見られる。
b)組織像の違いにより、原因薬剤の推定が容易なことが多い。
c)アセトアミノフェンは胆汁うっ滞型の障害像を示すことが多い。
d)ステロイドは胆汁うっ滞型の障害像を示すことが多い。
e)原因となる薬剤を中止することで改善する。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
答:3
a)○ b)× c)× 肝細胞障害型 d)○ e)○
【73】胆嚢癌について間違ったもの1つはどれか。
a)深達度mの胆嚢癌は胆嚢全層切除術が適応となる。
b)進行胆嚢に対する肝切は左側よりの肝切が基本となる。
c)胆嚢癌の多発肝転移は手術適応とならない。
d)胆嚢癌の術前の壁深達度診断には超音波内視鏡が有用である。
e)深達度ssの胆嚢癌にはS4a+5の肝切が適応となる。
1)a 2)b 3)c 4)d 5)e
答:2
a)○ b)× 右 c)○ 肝転移、腹膜播種、No.16リンパ節転移は手術しない
d)○ e)○
以下の設問に1個だけ正しい場合は1、2個だけ正しい場合は2、3個だけ正しい場合は3、全て正しい場合は4、全て間違っている場合は5を選択せよ。
【74】
a)IgMタイプのHA抗体の上昇を確認した場合A型肝炎の既往をもっとも疑う。
b)HBVキャリアからは劇症肝炎は発生しない。
c)HBe抗体陽性はセロコンバージョンを意味しHBV感染の終息を意味する。
d)HBVは成人になってからの性的感染の場合、急性肝炎で終息するよりも慢性化しやすい。
答:1
a)× b)○ c)× d)×
【75】
a)肝細胞癌の治療では癌のstageと肝臓の予備能力を加味して治療方針を立てる。
b)肝臓原発の悪性腫瘍では肝細胞癌発生は3/4程度である。
c)転移性肝癌は超音波検査で典型的にはブルズアイの所見を呈する。
d)肝細胞癌でも高分化型の場合、造影CTでhigh-low patternにならないことが多い。
答:3
a)○ b)× 95%を占める c)○
d)○ 高分化型は門脈から栄養されるものが多い
【76】
a)自己免疫性肝炎(AIH)の診断基準としてIgMの高値がある。
b)AIHでは抗核抗体に加えて抗ミトコンドリア抗体の出現を認める。
c)AIHでは他の自己免疫疾患の合併はまれである。
d)PBCではステロイドを使用することはまれであるがAIHでは頻用する。
答:1
a)× IgG b)× 抗平滑筋抗体 c)×
d)○ PBCにはウルソデオキシコール酸が第一選択
【77】
a)薬剤性肝障害ではIgAの上昇を認めることもある。
b)一般に経皮薬では薬剤性肝障害を起こさない。
c)薬剤性肝障害のとき好酸球の上昇を認めることがある。
d)薬剤性肝障害ではAST/ALTの上昇を認めることが多く、ALP/γ−GTPの上昇は認められないことが多い。
答:2
a)○ IgAは慢性肝炎や肝硬変で増加するようです(『臨床検査法提要』参照)
b)× c)○ d)× 逆
【78】
a)HBV感染者はHCV感染者よりも肝細胞癌の若年発症のリスクが高い。
b)HBVウイルス陽性のみでは肝障害を起こしているかの判断は困難である。
c)HBVによる慢性肝炎の治療にインターフェロンを用いることがある。
d)HCVは感染後ほぼ全例急性肝炎を起こすことなくキャリアとなる。
答:3
a)○ b)○ c)○ d)×
【79】
a)慢性C型肝炎から肝硬変への移行を考えるデータとして血小板数の減少がある。
b)慢性C型肝炎の治療として近年ペグ化したインターフェロンとリバビリンの併用でほぼ全例の治癒が望めるようになってきた。
c)HCV抗体陽性はHCV RNA陽性を意味する。
d)HCV RNA高値の場合インターフェロンの効果は薄い。
答:2
a)○ 10万以下が目安 b)× c)× d)○
【80】
a)原発性胆汁性肝硬変(PBC)では皮膚の痒みが症状としてあることが多い。
b)PBCでは黄疸が明らかになると、移植を考慮する必要がある。
c)PBCでは肝硬変状態になっても、肝癌の発生はまれである。
d)PBCでは他の自己免疫疾患との合併はまれである。
答:3
a)○ b)○ 顕性黄疸は予後不良のサインで肝移植意外に根治的治療はない
c)○ 肝癌の頻度は高くなく、死因は肝不全と消化管出血が多い d)× 高頻度
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