平成17年度 「血液」 概説試験

(獲得)

○ 実施日: 2005.11.16

○ 試験時間: 90

○ 問題用紙: 問題用紙・解答用紙共通で20ページ程の冊子に。左側に問題、右側に解答欄。

○ 不合格: 0人

○ コメント: 8割は過去問から、といった感じ。今年の卒試と同じ問題も多かった。

席は自由。試験官は3人(1人はすぐ帰った。1人は前。1人は後ろ)。

 

 

【1】 造血幹細胞、造血因子につき、それぞれ 100 字以内で説明せよ。

 

[解説]

造血幹細胞

造血幹細胞とは、多分化能により必要に応じて生体内に各系統の血液細胞を補充するという能力を持つと同時に、自己複製能により自分と同じ細胞を産生して造血幹細胞の数を維持するという能力を持つ細胞である。

造血因子

造血幹細胞が分化・増殖して成熟血球が産生される過程には,さまざまなサイトカイン(造血因子)が関与しており,寿命によって失われた血球を絶えず作り続ける定常状態の造血(構成的造血:constitutive hematopoiesis)と, さまざまな刺激に対する反応としての造血(誘導的造血:inducible hematopoiesis)が必要に応じ行われている。

 

 

【2】 次のうち誤っているものはどれか。 1 つ選びなさい。

1) FISH 法は染色体異常検査法である。

2) PCR 法を用いて遺伝子異常を調べることができる。

3) フローサイトメトリーを用いて遺伝子異常を調べることができる。

4) G-band 法は染色体異常検査法である。

 

[解説]

遺伝子検査:PCR、

染色体検査:FISH、G-band

細胞検査:フローサイトメトリー

[用語]

FISH法:目的の遺伝子やDNA断片が染色体のどこに存在するかがわかる。非アイソトープ化合物で標識したDNA断片を1本鎖にした染色体とハイブリダイゼーションさせて求める。

フローサイトメトリー:細胞浮遊液を高速で流し,測定することにより細胞の同定や細胞群を構成する種々の細胞の存在比、細胞1個1個の相対的大きさや形状,内部構造の違い、DNAやタンパク質,カルシウムなどの細胞内での存在比などを分析することができる

G-band法:

 

 

【3】 Hb6.0g/dl の貧血患者さん (MCV70,MCH20) について誤っているものを選びなさい。

1) 大球性貧血である。

2) 消化管出血が原因のことがある

3) ばち状爪が見られることがある。

4) 鉄欠乏性貧血が疑われる。

 

[解] 1)

正常値 Hb:12~18、MCV80~100、MCH28~32

MCV(mean corpuschlar volume):1個あたりの赤血球の容積、MCH(mean corpuscular hemoglobin):赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの量

1)MCH<80より小球性である。

2)、4)Hb<12より鉄欠乏を疑う。症状:細胞増殖不全によるスプーン爪、舌炎、口角炎、食道粘膜萎縮、原因不明の異食症など

3)ばち状爪は①中枢性チアノーゼや肺疾患、心疾患などの低酸素を伴うもの、②胆汁性肝硬変や局所性腸炎など消化器系疾患など、で起こるようなので鉄欠乏性貧血が数年続けばなるかも(?)

[付記]疑う疾患

小球性低色素性貧血:鉄欠乏性貧血、サラセミア症候群、鉄芽球性貧血、無トランスフェリン血症、妊娠貧血、慢性炎症に伴う二次性貧血

正球性正色素性貧血:溶血性貧血、急性貧血、再生不良性貧血、白血病、感染症、悪性腫瘍

大球性(正色素性)貧血:悪性貧血(ビタミンB12欠乏など)、葉酸欠乏性貧血、肝障害の貧血

 

 

【4】 下記の問に答えよ。

(1) 成人男性の基準範囲を赤血球、白血球、血小板について記せ。

(2) Wintrobe の赤血球指標である MCV( 平均赤血球容積 ) の基準範囲の大凡の値をその単位と共に記せ。

(3) 小球性低色素性貧血の定義何か。 MCV( 平均赤血琢容積 ) と MCHC( 平均赤血球ヘモグロビン濃度 ) の数字を持って表現せよ。

(4) 血球検査・凝固検査用に採血した後、検査をするまでの間で守らなければならない点を挙げよ。

 

 [解]

(1)赤血球:410~530万/μl 、白血球:4000~8000/μl 、血小板15~40万/μl

(2)80~100fl(フェムリットル)

・MCV:赤血球1個あたりの平均の容積。80~100

  MCV(単位はfl)=(Ht/RBC)×10 ^15

・MCH:赤血球1個あたりのHb量。 28~32

  MCH(単位はpg)=(Hb/RBC)×10^12

・MCHC:赤血球1個あたりのHb濃度。 31~36

  MCHC(単位は%)=Hb/Ht ×100

(3)MCV<80 MCHC<30

(4)過去問参照。

 

 

【5】 鉄代謝で誤っているのはどれか。

a 鉄貯蔵蛋白であるフェリチンは、鉄を 2000~5000 原子まで貯蔵できる。

b フェリチンは、主として血清中に存在する。

c 正常成人男性の場合、生体内総鉄量の約 30% が貯蔵されている。

d ヘモジデリン鉄は、生体の活動に再利用できない。

e 全血 200ml には、鉄が約 100mg 含まれている。

 

[解答]

 a.○(4500まで) b.×(肝臓や脾臓などの網内系細胞に蓄えられる。) c.○(2/3がヘム鉄として、1/3が貯蔵鉄として存在する) d.○(フェリチンが変性した不溶性の塊で容易に使えない) e.○(体内に3~4gの鉄)

 

 

【6】 以下に挙げた貧血の症状を、 A: 低酸素による症状、 B: 心肺の代償作用による症状、 C: 貧血の原因に基づく特殊症状、に分類せよ (A~Cの記号で答えなさい ) 。

1) 血管雑音     2) 筋痛

3) 異食症      4) 息切れ

5) 毛細血管拍動  6) 黒色便

7) 失神発作     8) 頻脈

9) 頭痛        10) 心雑音

 

 

【7】 Hb 値による WHO の貧血の定義で誤っているのはどれか。

1) 幼児 (6M~6Y) では、 11g/dl 以下である。

2) 小児 (6~14Y) では、 12g/dl 以下である。

3) 成人男性では、 13g/dl 以下である。

4) 成人女性 ( 閉経前 ) では、 12g/dl 以下である。

5) 妊婦では、 14g/dl 以下である。

 

[解] 5)

11g/dl 以下。

女性の基準値が12~16であること。3ケ月前後に最低値をとり、以後除々に加齢増加して約10歳で成人値に達する。思春期、妊娠時、授乳時は低い。

などから4)と5)の矛盾で解く問題かと。

 

 

【8】 急性白血病の F A B 分類について正しい記述を a~e の中から選べ。

(1) 急性単球性白血病では歯肉の腫脹や血清リゾチームの高値が認められる。

(2) 急性骨髄性白血病分化型では A u e r 小体を認めることはまれである。

(3) 急性赤白血病では貧血は軽度であり、高率に D I C を合併する。

(4) 急性前骨髄性白血病ではしばしば faggot cell が認められる。

(5) 急性巨核芽球性白血病ではしばしば骨髄繊維化を伴う。

a (1)(2)(3)  b (1)(2)(5)  c (1)(4)(5)  d (2)(3)(4)  e (3)(4)(5)

 

[解] c

1)○単芽球は組織浸潤傾向が強いためM4、M5は歯肉腫脹。単球にはリゾチームが豊富なためM4、M5では高値となる。

2)×分化型で認められる。Auer小体:好中球などの顆粒の中に含まれるアズール顆粒の塊。主成分はPO(ペルオキシダーゼ)など

3)×赤白血病とよばれる高度の貧血をきたす。DICはM3。急性赤白血病: 骨髄中の芽球の、50%以上が赤芽球系、30%以上が骨髄芽球、PAS 染色で染めると、強陽性。AMLの中でもっとも予後が悪い。

4)○。faggot cellはAuer小体が薪の束のようになったもの。M3では分化が進んでるためMPO染色ではほぼ100%陽性となるほど。

5)○血小板に含まれる繊維芽細胞の増殖を促すサイトカインの逸脱による

 

 

【9】 急性白血病について正しい記述を a~e の中から選べ。

(1) 明らかな臨床症状があらわれないことがある。

(2) 化学療法の既往のある患者に発症することがある。

(3) 出血傾向は D I C ( 播種性血管内凝固症 ) を併発しない限り生じない。

(4) 血液検査にて必ず白血球増加が認められる。

(5) 診断のためには骨髄穿刺が必須で、ある。

a (1)(2)(3)  b (1)(2)(5)  c (1)(4)(5)  d (2)(3)(4)  e (3)(4)(5)

 

[解]?

1)?

2)○一部の抗癌剤(アルキル化薬、トポイメラーゼⅡ阻害薬など)によるDNA損傷による

3)×血小板の産生も抑制されているため、皮膚の点状出血、鼻出血、歯肉出血などの粘膜出血をきたす。

4)○認められないこともある。あまりに異常な白血球は骨髄で破壊され末梢にでてこない。

5)○末梢血検査で白血病が疑われた場合、血液内科専門医を受診する必要がある。白血病が疑われる場合、すぐに骨髄穿刺による検査を行い、最終診断を確定する。

 

 

【10】 A L L ( 急性リンパ性白血病 ) の治療について正しい記述を a~e の中から選べ。

(1) 成人A L Lの長期生存率は 60 % である。

(2) A L L と診断したら、全例に骨髄移植を行なう。

(3) 寛解導入療法が奏功したら同じ治療を地固め療法として繰り返す。

(4) 中枢神経系白血病の予防は必要である。

(5) Ph1 染色体をもつ症例の予後は不良である。

a (1)(2)  b (2)(3)  c (3)(4)  d (4)(5)  e (1)(5)

 

[解] d

1)× 30% (完全寛解率は70%、小児では完全寛解率90%の長期生存率70%)

2)× 前処置やGVHDによる死亡も懸念される危険な治療法であり、化学療法よりも優れた成績を挙げられると予想される場合にのみ行われる(50歳以下)。Ph陽性ALLや乳児ALLなど予後の悪いもの、小児ALLの再発など。 

3)× 地固め療法では寛解導入に用いた薬とは交差耐性のない薬剤を併用する。

 寛解導入療法→[完全寛解]→地固め療法→[退院]→維持・強化療法となる。強さは寛解導入療法=地固め療法>強化療法>維持療法。

 完全寛解(complete remission:CR):骨髄の芽球が5%未満となり、赤血球系、白血球系、血小板系の細胞が正常に存在する状態。

4)○? 小児のALLでは不可欠。成人のはわかりません。

5)○ ALLの予後不良因子:Ph(フィラデルフィア)染色体t(9,22)、乳児白血病t(4,11)、白血球3万↑、30歳↑など。

 

 

【11】 急性白血病の分類と臨床病態について関係の深い組み合せを a~e の中から選べ。

(1) バーキット型急性リンパ性白血病 HTLV―Ⅰ抗体

(2) 急性骨髄性白血病分化型 髄外腫癌

(3) 急性前骨髄性白血病 D I C

(4) 急性単球性白血病 血清リゾチーム高値

(5) 急性赤白血病 骨髄の繊維化

a (1)(2)(3)  b (1)(2)(5)  c (1)(4)(5)  d (2)(3)(4)  e (3)(4)(5)

 

 [解] d (?)

1)× バーキット型リンパ性白血病:アフリカ型と非アフリカ型に分けられ、アフリカ型のほぼ100%にEBVのゲノムが検出される。t(8,22)t(2,8)t(8,14)の3種類があり、c-MYCが発現している。

 HTLV-1:成人T細胞白血病の起炎ウィルス、九州に多く、120万人のキャリアがいる。垂直感染、性感染、血液感染。

2)? 急性骨髄性白血病分化型:M2のこと。幼若芽球の10%以上が、前骨髄球以降に分化。成熟に伴い細胞質内の顆粒が豊富、Auer 小体。

 髄外腫癌:??

3)○急性前骨髄性白血病:M3のこと。本症の90%に染色体異常 t(15;17)を認める。アズール顆粒や、Auer 小体が束となった faggot 細胞、MPOではほぼ100%陽性。初診時に、すでにDICを合併していることが多く、速やかに、ヘパリンとアンチトロンビン3を投与。ATRA(all-trans retinoic acid)による分化誘導療法で寛解率90%。

 DIC:播種性血管内凝固=汎発性血管内凝固症。⇒全身の細小血管に血栓が形成された状態となること。血小板や各種の凝固因子が消費されるために出血傾向がみられる。又、微小血栓によって各種の臓器に虚血性の変化を生じる。

4)○ 8.(1)参照。

5)× 8.(3) 、 8.(5)参照。

 

 

【12】 急性白血病の分類について正しい記述を a~e の中から選べ。

(1) 骨髄中の芽球のペルオキシダーゼ染色陽性率が10%未満の場合は急性リンパ性白血病に、それ以上では急性骨髄性白血病に亜分類される。

(2) 骨髄中の芽球の比率が20%以上を急性白血病とし、それ未満のものは骨髄異形成症候群に分類される。

(3) 急性リンパ性白血病は小児に多く、急性骨髄性白血病は成人に多い。

(4) 巨核芽球性白血病の診断にはCD1O陽性であることが必要である。

(5) 急性前骨髄球性白血病では 8;12 転座が多く認められる。

a (1)(3)(4)  b (1)(2)  c (2)(3)  d (4)のみ  e (1)~(4)のすべて

 

【13】 成人急性白血病の治療について正しい記述を a~e の中から選べ。

(1) 化学療法に共通の副作用として、骨髄抑制、肝障害、脱毛などがある。

(2) 急性骨髄性白血病分化型では、 all-trans retinoic acid(ATRA) による分化誘導療法が有用である。

(3) 骨髄移植は有効であり、全例に実施すべきである。

(4) G-CSF は化学療法後の好中球の回復を促進する。

(5) 急性リンパ性白血病では、小児に比較すると成人の方が予後が悪い。

a (1)(2)(3)  b (1)(2)(5)  c (1)(4)(5)  d (2)(3)(4)  e (3)(4)(5)

 

【14】 急性白血病について正しい記述を a~e の中から選べ。

(1) 急性白血病の発症頻度は年間10万人あたり約4人であり、うち70%を急性骨髄性白血病が占める。

(2) 発症年齢の中央値は60歳である。

(3) 成人では急性リンパ性白血病が多いが、小児では急性骨髄性白血病が多い。

(4) 成因としてはウイルス、放射線、化学療法剤など、原因の明らかなものがほとんどである。

(5) 急性白血病の3大徴候として、発熱、出血傾向、貧血がある。

a (1)(2)(3)  b (1)(2)(5)  c (1)(4)(5)  d (2)(3)(4)  e (3)(4)(5)

 

【15】 急性白血病について正しい記述を a~e の中から選べ。

(1) 急性白血病の分類には形態学を主体とするFAB分類と、染色体・遺伝子レベルでの解析を加味したWHO分類がある。

(2) 急性骨髄性白血病のFAB分類では、骨髄中芽球が20%以上を占める場合を白血病とし、WHO分類では芽球が30%以上としている。

(3) 急性白血病は長期予後が不良なため、第一寛解期でも同種造血幹細胞移植を行う。

(4) 急性白血病の治療においては、適切な支持療法 ( 感染対策・輸血など ) が不可欠である。

(5) 毎年造血幹細胞移植を受ける症例数は増加している。

a (1)(2)(3)  b (1)(2)(5)  c (1)(4)(5)  d (2)(3)(4)  e (3)(4)(5)

 

【16】 急性白血病の染色体異常のうち予後不良なものを a~e の中から選べ。

(1) t (15;17)

(2) t (9;22)

(3) -5

(4) inv(16)

(5) t (8;21)

a (1)(2)  b (2)(3)  c (3)(4)  d (4)(5)  e (1)(5)

 

【17】 慢性骨髄性白血病について、正しい組み合わせを選べ。

1) 好中球アルカリフォスファターゼ (NAP) 活性が、低下する。

2) 急性転化をする際は、常に急性骨髄性白血病になる。

3) フィラデルフィア染色体が認められる。

4) 好塩基球の増多が認められる。

a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.4のみ  e.すべて

 

【18】 再生不良性貧血で認められる検査所見の組み合わせを選べ

1) 汎血球減少

2) 骨髄低形性

3) 網赤血球増加

4) 相対的リンパ球の減少

a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.4のみ  e.すべて

 

【19】 以下にしめす単語は各々 1 及び 2 のいずれと関連が深いと考えられますか。答えは番号で示して下さい。

(1) 細胞性免疫 : 1.T リンパ球、 2.B リンパ球

(2) Reed-Sternberg細胞 : 1.ホジキンリンパ腫、 2.非ホジキンリンパ腫

(3) 濾胞性リンパ腫 : 1.T リンパ腫、 2.B リンパ腫

(4) バーキットリンパ腫 : 1.T リンパ腫、 2.B リンパ腫

(5) 胃MALTリンパ腫 : 1.T リンパ題、 2.B リンパ鍾

 

【20】 次の文章の( )内に適当な言葉を下の言葉から選び、A~Jの( )に対応する番号(1~25)を記せ。

骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome ; MDS)は別名( A )と称し、通常の貧血治療薬の鉄剤やビタミンでは治らない慢性進行性の造血障害で高率に白血病に移行することから( B )と位置付けられる。発病年齢のピークは( C )歳代にある。MDSの本態は多能性造血幹細胞の( D )異常に基づく疾患である。MDSは骨髄では活発に造血しているにもかかわらず、骨髄細胞の分化成熟に異常を来たし、正常な血球を供給できない状態( E )にある。多彩な血球形態異常は( E )を反映する変化で、その原因としてアポトーシスが関与すると考えられている。

主な症状としては貧血一般症状(顔面蒼白、息切れ、易疲労感、動悸、頭痛、めまい)、白血球減少による症状(細菌感染、ウィルス感染、発熱)、血小板減少による症状(皮膚や粘膜の出血斑、歯肉出血、鼻出血)などがある。末梢血所見としては正球性ないし大球性貧血、白血球減少、血小板減少、(汎血球減少)。好中球のぺルゲル(Pelger)様核奇形、顆粒形成不全、巨大血小板、好中球アルカリフォスファターゼ活性( F )、ペルオキシダーゼ活性( G )などの異常。骨髄所見としては有核細胞数は正常ないし増加、一般に赤芽球過形成、赤芽球は多核化や核の幼若化した巨赤芽球様変化(megaloblastoid)PAS染色陽性赤芽球を認めることもある。鉄芽球性貧血では( H )鉄芽球が認められる。巨核球系では微小巨核球(顆粒球の2倍程度の大きさ)

生化学所見:LDHおよび間接ビリルビンの上昇がみられる。血清ビタミンB12は( I )、血清鉄およびフェリチンは正常ないし増加し、不飽和血結合能は減少することが多い。骨髄細胞の染色体検査では約70%に異常をみとめ、5q--7+820q-21p+-Yなどの頻度が高い。MDSではFAB分類が主に用いられているが、WHO分類も用いられるようになってきた。FAB分類では( J )MDSの一病型とされていたが、WHO分類では骨髄増殖性疾患に分類される。治療反応性や予後は国際ステアリンゴシステム(IPSS)で予測できる。低リスク群では無治療観察、血球減少が進行すれば蛋白同化ホルモンによる造血刺激療法、血球減少が主体の中間リスク群では免疫抑制療法、芽球増殖をともなう中間リスク群では化学療法や分化誘導療法、高リスク群では多剤併用化学療法や造血幹細胞移植(高齢者ではミニ移植)が行われる。

 

<語群>1.不応性貧血 2.無効性貧血 3.有効造血 4.無効造血 55060 66070 77080 8.クローン性 9.非クローン性 10.多クローン性 11.上昇 12.低下 13.過剰 14.欠損 15.正常ないし低下 16.正常ないし上昇 17.真性多血症 18.骨髄線維症 19.慢性骨髄単球性白血病 20.輪状 21.円形 22.環状 23.前白血病状態 24.前再生不良性状態 25.前巨核球性状態

 

 

【21】 以下の文章につき、正しいものには○を、間違っているものには×をつけよ。

(1) 形質細胞は T リンパ球が最終分化した細胞であり、免疫グロブリンを産生する。

(2) 良性 M 蛋白血症が、多発性骨髄腫などのリンパ球系悪性腫瘍に移行する割合は、10年間で約10%程度である。

(3) 多発性骨髄腫の Stage I では、抗癌剤を用いた治療のみでは治癒は困難で、経過観察することが多い。

(4) 若年の多発性骨髄腫に対し、同種造血幹細胞移植の有効性が示されている。

(5) 多発性骨髄腫では、末梢血で赤血球の Rouleaux formation がよく見られる。

(6) Bence-Jones 蛋白は、免疫グロブリンL鎖由来であり、酢酸緩衝液存在下では、56度で白濁するものの、煮沸すると再融解する。

(7) 慢性リンパ球性白血病と診断した場合、病期が進行していない (Rai分類で0-II) 時から治療を開始した方が予後が良い。

(8) 慢性リンパ球性白血病では、脾腫はほとんど見られない。

 

【22】 小児の血液疾患について正しい組み合わせはどれか。

(1) 牛乳貧血をきたす乳児には、高蛋白血症をみることが多い。

(2) ヘリコバクターピロリ感染症は鉄欠乏性貧血の原因となる。

(3) EB ウイルスは血球貧食症候群をおこす。

(4) 肝炎後におこる再生不良性貧血は自然治癒することが多い。

(5) 先天性第ⅩⅢ因子欠乏症患者では PT が延長する。

a.(1),(2)  d.(3),(4)  b.(1),(5)  e.(4),(5)  c.(2),(3)

 

【23】 次の文章を読み正しいものには○、誤っているものには×を記入しなさい。

(1) 出生時の末梢血ヘモグロビン値の正常値は 13g/dl 程度である。

(2) 小児白血病の 70~80% は急性リンパ性白血病 (ALL) である。

(3) 小児 ALL の 80% 以上は 1 歳未満に発症する。

(4) 小児 ALL では通常、第1寛解期において同種造血幹細胞移植術が実施される。

(5) 小児 ALL では、患児の 70~80% 以上が 5年以上の生存するものと予測される。

 

【24】 正しいものはどれか。 2つ選びなさい。

(1) 小児がんの発生頻度は、15 歳未満の小児人口 100万人に対し約 1.4人である。

(2) 小児がんのうち最も頻度が高いのは、急性骨髄性白血病である。

(3) 小児がんでは、成人における悪性腫鷹と比べ、造血器腫瘍・肉腫・胎児性腫瘍・脳腫瘍などの割合が高い。

(4) 小児がんは、成人における癌と比べ、増殖速度が速く、診断時にすでに全身広がっている可能性が高い。

(5) 小児がんに対する化学療法は、多剤併用ではなく単剤で行う。

a(1)、 b (2)、 C (3)、 d (4)、 e(5)

 

【25】 正しいものはどれか。 2つ選びなさい。

(1) ドナー登録数 ( 臍帯血保存数 ) および、移植実施数は、骨髄バンク・臍帯血バンクともんび年々減少傾向である。

(2) 小児における造血幹細胞移植の適応疾患は、腫瘍性疾患のみである。

(3) 末梢血幹細胞移植後の好中球の回復は、一般に骨髄移植や臍帯血移植に比べ遅い。

(4) 小児患者における造血幹細胞移植後のGVHD( 移植片対宿主病 ) は、成人患者と比較して頻度が低く軽度であることが多い。

(5) 小児がん治療後の晩期障害として、成長障害・内分泌障害・臓器機能障害・二次がんなどが挙げられる。

a(1)、 b (2)、 C (3)、 d (4)、 e(5)

 

【26】 常染色体優性遺伝形式をとる先天性出血性疾患をえらべ。

a. Bernard-Soulier 症候群

b. 血友病 B

c. 先天性 V 因子欠損症

d. von Willebrand 病

e. 血小板無力症

 

【27】 血柱症のリスクとなる病態はどれか。

a.プロテインC増加

b. アンチトロンビン増加

c. プロテイン S 低下

d. プラスミノゲン増加

e. α2-アンチプラスミンの低下

 

【28】 特発性血小板減少性紫斑病について誤りはどれか。

a.プレドニゾロンは有効である。

b. 鉄欠乏性貧血を合併することがある。

c. 自己免疫性溶血性貧血を合併することがある。

d. ヘリコパクタ・ピロリの除菌が有効である。

e. 摘脾の有効率は20~30%である。

 

【29】 以下の記述で、正しいものの組み合わせを選べ。

a. リンパ節の胚中心は主として T 細胞で構成される。

b. Castleman 病は、その組織像から hyaline vascular type と histiocytic type に分けられる。

c. Hodgkin 病の組織像において、Reed-Sternberg 細胞や Hodgkin 細胞の背景に存在するリンパ球には異型がみられない。

d. Burkitt リンパ腫の組織像の特徴の1つとして、星空像が挙げられる。

e. 胃 MALT ( 粘膜関連リンパ組織型 ) リンパ腫の発生には Epstein-Barr ウイルス感染が強く関与する。

1)  a b   2) a e   3) b c   4) c d   5) d e

 

【30】 輸血検査について正しい文章を (1) から (5) のなかから選べ。

a 輸血を受ける可能性のある患者が入院した際には、不規則抗体スクリーニングをあらかじめ施行しておく。

b 血液型のおもて試験では受血者血清中の抗 A 抗体、抗 B 抗体の存在を調べる。

c ABO 血液型判定ミスの原因として最も多いのは ABO 亜型によるものである。

d 交差適合試験の主試験では供血者血清と患者血球の適合を調べる。

e 交差適合試験のガラス板法では IgG 抗体を検出する。

(1)a  (2)b  (3)c  (4)d  (5)e

 

【31】 血液製剤の適正使用について正しい文章の組み合わせを (1) から (5) のなかから選べ。

a 34歳女性、貧血で受診、鉄欠乏性貧血と診断されたが Hb 6g/dl と高度の貧血を認めたため症状は軽かったが濃厚赤血球 2 単位を輸血した。

b 低栄養状態の 42歳男性に、栄養補給のため新鮮凍結血漿 5 単位の輸血を行った。

c 1年前に再生不良性貧血と診断され、慢性的に血小板が l x 10~4/μl 以下である 15 歳女性患者が本日外来受診時、血小板数が0.8 x 10~4/μl で、あったため、明らかな出血症状は認めなかったが、予防的に血小板輸血を行った。

d 体重 40kg の患者に血小板濃厚液 ( 10 単位 ) を輸血した場合、末梢血血小板数は 4-6 x 10~4/μl 増加する。

e 体重 50kg の患者に、血清アルブミン値を 1g/dl 上昇させるためには約 50 グラムのアルブミンが必要となる。

(1)a,b  (2)c,d  (3)a,d  (4)b,d  (5)d,e

 

【32】 輸血副作用について誤った文章の組み合わせを (l) から (5) のなかから選べ。

a TRALI (transfusion related acute lung injury) は輸血 1-2 時間で急激な呼吸困難を発症し、胸部X線上、肺水腫を呈する。

b 輸血後 GVHD を防止するために、なるべく近親者の血液を輸血することが望ましい。

c 血液製剤からの白血球除去は輸血副作用軽減に有効である。

d 濃厚赤血球を誤って、A 型製剤を AB 型患者に投与した場合には、AB 型製剤を A 型患者に投与した場合より重症化しやすい。

e 遅発性溶血性副作用は、ABO以外の血液型不適合の赤血球が輸血された場合、    患者がその赤血球に対する抗体を産生し、輸血された赤血球を破壊する反応である。

(1)a,b  (2)c,d  (3)a,d  (4)b,d  (5)d,e

 

【33】 同種造血幹細胞移植後に生じる急性 GVHD につき、

(1) 担当細胞を記せ。

(2) 好発臓器を 3 つ記せ。

 

【34】 GVL につき、知ることを 100 字以内で述べよ。

 

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送