血液平成18年度概説
○
2006.12.4実施。試験時間120分。
○
不合格:2人
【1】 造血幹細胞について100字以内で述べよ。
答:造血幹細胞とは、多分化能と自己増殖能をもつ未熟な細胞である。
【2】 誤っているものを選べ。
1)FISH法は染色体異常検査法である。
2)PCR法を用いて遺伝子異常を調べることができる。
3)フローサイトメトリーを用いて遺伝子異常を調べることができる。
4)G-band法は染色体異常検査法である。
答:3
【3】 Hb6.0g/dlの貧血患者さん(MCV70,MCHC20)について誤っているものを選べ。
1)小球性貧血である。
2)消化管出血が原因のことがある。
3)ばち状爪が見られることがある。
4)貧血の原因としてビタミンB12欠乏が疑われる。
答:4
1)○ 2)○ 消化器癌←男で鉄欠乏 3)スプーン様 4)×
【4】 1歳児の末梢血として異常値はどれか?
a)好中球60%
b)好酸球6%
c)好塩基球6%
d)単球6%
e)リンパ球60%
1.ab 2.ac 3.be 4.ce 5.de
答:2
【5】 正しいものを選べ。
a)第]V因子欠乏−APTT,PTともに延長
b)フィブリノーゲン欠乏−APTT,PTともに延長
c)第8因子欠乏−APTT延長,PT正常
d)第7因子欠乏−APTT正常,PT延長
e)第10因子欠乏−APTT正常,PT延長
1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde
答:4
a)× ともに正常 b)○ c)○ d)○ e)× ともに延長
【6】 寿命が最も短い血球はどれか?
a)血小板
b)赤血球
c)好中級
d)単球
e)リンパ球
答:c
a)10日 b)120日 c)末梢血中では10時間 d)2〜3日(血管内で)
e)3〜4日のものと100〜170日のもの
【7】 鉄代謝で誤っているものはどれか。
a)鉄貯蔵蛋白であるフェリチンは、鉄を 2000〜5000 原子まで貯蔵できる。
b)フェリチンは、主として血清中に存在する。
c)正常成人男性の場合、生体内総鉄量の約 30% が貯蔵されている。
d)ヘモジデリン鉄は生体の活動に再利用できない。
e)全血 200ml には鉄が約 100mg 含まれている。
答:b
b)× 肝、脾
【8】 以下の記述で正しいものを選べ。
a) 鉄芽球貧血では環状鉄芽球が減少する。
b) 骨髄異形成症候群の骨髄は低形成である。
c) 巨赤芽球貧血ではPAS陰性の巨赤芽球が出現する。
d) 再生不良性貧血では脂肪髄となる。
e) 多発性骨髄腫では骨髄に異形成髄芽球が出現する。
1. ab 2. ae 3. bc 4. cd 5. de
答:4
a)×
ヘム合成障害による無効造血。環状鉄芽球が特徴 b)×
c)○
一般に陰性。赤白血病(M6)ではPAS陽性率が増える。 d)○ e)×
【9】 急性白血病のFAB分類について正しい記述を選べ。
1)急性単球性白血病では歯肉の腫脹やリゾチームの高値が認められる。
2)急性骨髄性白血病分化型ではAuer小体を認めることは稀である。
3)急性赤白血病では貧血は軽度であり、高率にDICを合併する。
4)急性前骨髄性白血病ではしばしばfaggot cellが認められる。
5)急性巨核芽球性白血病ではしばしば骨髄線維化を伴う。
a.123 b.125 c.145 d.234 e.345
答:c
M3⇒DIC M2,M4,M5⇒髄外腫瘤 M4,M5⇒リゾチーム高値 M3⇒faggot cell
M2⇒Auer小体(M2以外にもある) M7⇒骨髄線維症
【10】急性白血病について正しい記述をa〜eの中から選べ。
1)明らかな臨床症状が現れないことがある。
2)化学療法の既往のある患者に発症することがある。
3)出血傾向はDIC(播種性血管内凝固症)を併発しない限り生じない。
4)血液検査にて必ず白血球増加が認められる。
5)診断のためには骨髄穿刺が必須である。
a.123 b.125 c.145 d.234 e.345
答:b
【11】急性白血病の分類について正しい記述を選べ。
1)骨髄中の芽球のペルオキシダーゼ染色陽性率が10%未満の場合は、急性リンパ性白血病に、それ以上では急性骨髄性白血病に亜分類される。
2)骨髄中の芽球の比率が20%以上を急性白血病とし、それ未満のものは骨髄異形成症候群に分類される。
3)急性リンパ性白血病は小児に多く、急性骨髄性白血病は成人に多い。
4)巨核芽球性白血病の診断にはCD10陽性であることが必要である。
5)急性前骨髄球性白血病では8;12転座が多く認められる。
a.134 b.12 c.23 d.4のみ e.1〜4のすべて
答:c
1)× 3% 2)○ 3)○ 4)× CD41 5)×
【12】急性白血病について正しい記述を a〜e の中から選べ。
1)急性白血病の分類には形態学を主体とするFAB分類と、染色体・遺伝子レベルでの解析を加味したWHO分類がある。
2)急性骨髄性白血病のFAB分類では、骨髄中芽球が20%以上を占める場合を白血病とし、WHO分類では芽球が30%以上としている。
3)急性白血病は長期予後が不良なため、第一寛解期でも同種造血幹細胞移植を行う。
4)急性白血病の治療においては、適切な支持療法(感染対策・輸血など)が不可欠である。
5)毎年造血幹細胞移植を受ける症例数は増加している。
a.123 b.125 c.145 d.234 e.345
答:c
【13】急性白血病の染色体異常のうち予後不良なものをa〜eの中から選べ。
1)t(1;5) 2)t(9;22) 3)‐5 4)inv(16) 5)t(8;21)
a.12 b.23 c.34 d.45 e.15
答:b
【14】慢性骨髄性白血病について正しいものは?
1)好中球アルカリホスファターゼ活性が低下する。
2)急性転化する際は常に急性骨髄性白血病になる。
3)フィラデルフィア染色体が認められる。
4)好塩基球の増多が認められる。
a.134 b.12 c.23 d.4のみ e.全て
答:a
1)○ 2)× 異なる病気 3)○ 4)○
【15】再生不良性貧血で認められる検査所見の組みあわせを選べ。
1)汎血球減少 2)骨髄低形成 3)網赤血球増加 4)相対的リンパ球の減少
a.134 b.12 c.23 d.4のみ e.全て
答:b
【16】骨髄異形成症候群(MDS)の治療について正しいものを選べ。
1)G-CSFの長期投与は造血能全般を改善させるのに有効である。
2)末梢血血小板数が2万/μl以下になると血小板輸血による補充が望ましい。
3)低リスクで血球減少が少ないものは経過観察に留める。
4)同種造血幹細胞移植は現在根治を期待できる唯一の治療法である。
5)免疫抑制剤は高リスクMDSの治療法として期待される。
a.12 b.15 c.23 d.34 e.45
答:c
【17】以下に示す単語と関わりの深いものを選べ。
@
液性免疫:1)Tリンパ球 2)Bリンパ球
A ホジキンリンパ腫:1)節性 2)節外性
B Reed Sternberg細胞:1)Tリンパ球 2)Bリンパ球
C 臨床病期:1)WHO分類 2)Ann Arbor分類
D CD20抗原:1)Tリンパ球 2)Bリンパ球
答:@2 A1 B2 C2 D2
【18】以下の文章につき、正しいものには○を、間違っているものには×をつけよ。
@ 形質細胞はTリンパ球が最終分化した細胞であり、免疫グロブリンを産生する。
A 良性M蛋白血症が、多発性骨髄腫などのリンパ球系悪性腫瘍に移行する割合は、10年間で約50%程度である。
B 多発性骨髄腫のStageVでは、抗ガン剤を用いた治療のみでは治療は困難で、経過観察することが多い。
C 若年の多発性骨髄腫に対し、同種造血幹細胞移植の有効性が示されている。
D 多発性骨髄腫では、末梢血で赤血球のRouleaux formationがよく見られる。
E 慢性リンパ性白血病と診断した場合、病期が進行していない(Rai分類で0-U)時から治療を開始したほうが予後が良い。
F 慢性リンパ性白血病はBリンパ球の腫瘍であるが、細胞表面にCD5を発現していることが多い。
G 慢性リンパ性白血病では、眼底にソーセージ様静脈怒張が見られることが多い。
H マクログロブリン血症では、脾腫を合併することが多い。
I マクログロブリン血症では、IgG産生細胞が単クローン性に増殖した疾患である。
答:@× A× B× C○ D○ E× F○ G× H○ I×
【19】血栓症をきたす病態はどれか。2つ選べ。
a)抗リン脂質抗体症候群
b)フォンウィルブランド病
c)ベルナール・スーリエ症候群
d)ヘパリン起因性血小板減少症
e)血小板無力症
答:a,d
【20】関連のあるものを選べ。
1)血栓性血小板減少性紫斑病−ADAMTS13
2)特発性血小板減少性紫斑病−骨髄巨核球低下
3)ワーファリン−出血時間延長
4)アンチトロンビン−APTT減少
5)選択肢忘れました。すみません。
答:1
1)○ ADAMTS13の欠乏 2)× 巨核球は正常〜増加 3)× 4)×
【21】血栓症のリスクとなるものを選べ。
a)プロテインC増加
b)アンチトロンビン増加
c)プロテインS減少
d)プラスミノゲン増加
e)α2アンチプラスミン減少
答:c
【22】以下の文章で正しいものには○、誤っているものには×をつけよ。
@ 小児がんの発生頻度は、15歳未満の小児人口10万人にたいして10人である。
A 小児急性リンパ性白血病では、HLA一致の同胞が存在すれば第一寛解期早期に同 種造血幹細胞移植を行うべきである。
B 小児がん治療後の晩期障害として、成長障害・内分泌・臓器機能障害・二次がんなどが挙げられる。
C 小児の急性白血病のうち骨髄性が50%を占める。
D 白血病の再発部位として精巣、骨髄がある。
答:@○ A× B○ C× D○
【23】小児の血液疾患について正しい組み合わせはどれか。
1)牛乳を多飲する小児に低蛋白血症を伴う鉄欠乏性貧血をみることがある。
2)ヘリコバクター・ピロリ感染症は鉄欠乏性貧血の原因となる。
3)特発性血小板減少性紫斑病の小児は慢性化することが多い。
4)重症再生不良性貧血小児に対する第一選択の移植幹細胞はHLA一致同胞の末梢血 である。
5)先天性第]V因子欠乏患者ではAPTTが延長する。
a.12 b.15 c.23 d.34 e.45
答:a
1)○ 2)○ 3)× 4)× 骨髄から 5)× PT,APTTともに延長
【24】正しいものはどれか。2つ選びなさい。
1)小児がんでは、成人における悪性腫瘍と比べ、造血器腫瘍、肉腫、胎児性腫瘍、脳腫瘍などの割合が高い。
2)小児がんは、成人における癌と比べ、増殖速度が遅く、診断時すでに全身に広がっている可能性は低い。
3)小児白血病の30〜40%が急性リンパ性白血病である。
4)晩期障害を回避するために、急性リンパ性白血病患児に対する頭蓋放射線照射は禁忌である。
5)小児急性リンパ性白血病の予後因子として、診断時年齢、診断時白血病数などがあげられる。
答:1,5
【26】血液製剤の適正使用について正しい文章を選べ。
a)48才男性、肝硬変で入院中。食欲不振のため入院となった。軽度の浮腫、腹水を認める。血清アルブミン値が2.2g/dlと低値であったため、アルブミン製剤を投与した。
b)19才男性、再生不良性貧血で入院中。高度の貧血に伴う労作時息切れあり。出血、感染症状はない。本日の採血で血小板数1万であったため、血小板10単位をオーダーした。
c)56才、急性白血病で入院中。Hb5.0g/dl.薬剤投与の副作用でカリウム5.0mEq/Lと軽度の上昇あり。赤血球輸血をオーダーした。溶血を懸念して血液製剤への放射線照射はしないように依頼した。
d)60才男性、胃潰瘍からの出血で入院、吐血量約500ml,脈拍88/分,血圧110/64mmHg,Hb10.0g/dl.血小板数,PT,APTT正常。至急、赤血球2単位と新鮮凍血漿5単位を輸血した。
e)13才女性。Hb5.9g/dlの高度の鉄欠乏製貧血で受診。運動時に動悸を感じる。鉄剤投与を開始した。効果が現れるまでのことが心配であったが赤血球輸血はしなかった。
答:e
【27】輸血の副作用について間違っているものはどれか。
a)TRALI(Transfusion-related
acute lung injury)は輸血1〜2時間で急激な呼吸困難を発症し、胸部単純X線上肺水腫がみられる。
b)輸血後GVHDを予防するには親近者血液を輸血することが望ましい。
c)血液製剤からの白血球除去は輸血後GVHDの予防に有効である。
d)ABO不適合輸血による副作用はA型血液をAB型の人に輸血するほうが、AB型血液をA型の人に輸血するよりも重症化する。
e)遅発性溶血性輸血後反応ではABO以外の抗原が不適合なため受血者の体内で抗体が産生され輸血した赤血球が破壊される。
1.ab 2.ad 3.bd 4.de 5.bc
答:3
【28】輸血副作用について正しい文章を選べ。
1)手術で大量出血が予想されるときは、いつでも輸血できるように、至急院内に近親者を集めるべきだ。
2)TRARIは輸血後数時間内に起こる心原性肺水腫である。
3)ABO不適合による副作用は、補体活性化によるDICや腎不全である。
4)血液製剤からの白血球除去は輸血副作用軽減に有効である。
5)抗A、B抗体はIgG抗体である。
a.12 b.15 c.23 d.34 e.45
答:d
1)× 2)× 3)○ 4)○ 5)× IgM
TRARI⇒供血者の血漿中にある好中球やリンパ球に対する抗体→補体活性化→血管透過性亢進→肺水腫
【29】正しい組合せを選べ。
a)単球―マクロファージ系細胞のマーカーとしてCD20が挙げられる。
b)histiocytosis XはLangerhans細胞の異常増殖であり、増殖細胞はAzur顆粒をもつ。
c)Gaucher病では細胞質にグルコシルセラミド(グルコセレブロシド)の蓄積されたGaucher細胞がみられる。
d)正常胸腺ではHassall小体がみられる。
e)胸腺腫の悪性のものを胸腺癌と呼ぶ。
1. ab 2. ae 3. bc 4. cd 5. de
答:4
e)胸腺腫、胸腺癌は胸腺上皮性腫瘍であるが、異なる病気。胸腺腫は良性・悪性どちらもあるが基本的に悪性。縦隔腫瘍で最も多く、予後は比較的良い。
【30】GVL効果について100字以内で述べよ。
答:ドナーのT cellがレシピエントの白血病細胞を攻撃することにより、抗白血病効果がある。これをGVL効果といい、一種の免疫療法である。
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||