腎・高血圧平成18年度概説
<腎臓病理>
【2】腎臓で産生されるものはどれか?
1)尿素
2)クレアチニン
3)尿酸
4)アンモニア
5)β2ミクログロブリン
答:4(H+を排泄する機構の1つ)
【3】尿中Na排泄量が低下するのはどれか。
1)肝硬変
2)Addison病
3)ADH分泌異常症候群
4)甲状腺機能低下症
5)腎前性急性腎不全
A.12 B.15 C.23 D.34 E.45
答:B
【5】18歳男性、部屋で倒れているところを友人が発見。救急車で担送される。
来院時の検査所見は血清Na150mEq/l,K4.3mEq/l,Cl106mEq/l,動脈血液ガス所見pH7.54,p(CO2)12mmHg、HCO3-10mEq/l.この患者の酸塩基平衡はどれか?
1)呼吸性アルカローシス
2)呼吸性アシドーシス
3)代謝性アルカローシス
4)代謝性アシドーシス
A.134 B.12 C.23 D.4 E.1〜4
答:A
解説:酸・塩基平衡の障害は、単独のものと混合性のものがある。混合性の評価には呼吸・腎の代償反応との鑑別が重要である。
例えば代謝性アシドーシスが起こると、呼吸が代償的に換気量を増やし、CO2分圧が低下するが、これ自体は呼吸性アルカローシスではない。
鑑別の方法はいくつかあるが、この問題の場合、代償の限界値によって判定できる。
pCO2,HCO3-の正常値はおよそそれぞれ40mmHg,24mEq/lである。
代償の限界はpCO2>15,HCO3->18(急性),HCO3->12(慢性)であるので、この症例ではpCO2,HCO3-の異常は代償によるものではないことが結論できる。
したがって、呼吸性アルカローシスと代謝性アシドーシスであることがわかる。
次に、代謝性アルカローシスがあるかを考えるが、それは以下のように行う。まずアニオンギャップを計算すると、34となる。これから正常値を引くと、34-12=22となる。
補正HCO3-はHCO3-の値と、上で計算したアニオンギャップのずれの和で定義され、それは今の場合32となる。これが26より大きい場合に、代謝性アルカローシスもあると判定できる。したがって、代謝性アルカローシスもあることがわかる。
一方、呼吸性アルカローシスと呼吸性アシドーシスは共存しないので、答はAになる。
このような三者の混合性酸塩基平衡障害は敗血症などによる多臓器不全やアスピリン中毒などで起こり、この患者は重症であることが予測される。
【7】55歳女性。15年前から慢性関節リウマチに罹患し、昨年より金製剤にて治療。
最近浮腫が憎悪したため、精査を希望した。
尿所見:尿蛋白3+(5.5g/dl),潜血±,糖−
CBC:TP5.0g/dl,TC385mg/dl,BUN12mg/dl,Cr0.8mg/dl
考えられるのは、
1)アミロイドーシス
2)膜性腎症
3)巣状糸球体硬化症
4)腎皮質壊死
5)腎梗塞
A(12) B(15) C(23) D(34) E(45)
答:A
【8】15歳女性、上気道炎後10日の症例。尿蛋白2+ 潜血2+、扁桃発赤を認める。(その他に検査データが挙げられていましたが、溶連菌感染後AGNに矛盾しない所見です。)このとき検査すべき項目は?
1)ASO
2)IgA
3)抗好中球細胞質抗体
4)抗糸球体基底膜抗体
5)血清補体価
a.12 b. 15 c. 23 d. 34 e. 45
答:b
【9】IgA腎症の予後に関わりが深いものを選べ。
1)血尿 2)蛋白尿 3)高血圧 4)血清IgA高値
A.134 B.12 C.23 D.4 E.すべて
答:c
【10】次の組合せで誤っているものを選べ。
1)糖尿病性腎硬化症−spike
2)アミロイドーシス−Kimmelstiel‐Wilson結節
3)ループス腎炎−hump
4)急性糸球体性腎炎−wire‐loop‐leision
A.134 B.12 C.23 D.4 E.すべて
答:E
解説:spike⇒膜性腎症 Kimmelstiel-Wilson結節⇒糖尿病性腎硬化症
hump⇒急性糸球体腎炎 wire loop leison⇒ループス腎炎
【11】蛋白尿の選択性(selectivity index)を示すクリアランス比として正しいものを選べ。
A)アルブミンとβ2ミクログロビン
B)アルブミンとトランスフェリン
C)IgAとIgG
D)IgGとIgM
E)IgGとトランスフェリン
答:E
【13】ネフローゼ症候群について記述した文章を示す。最も可能性がある組織学的診断を下の選択肢の中から選択せよ。
1)尿蛋白の選択性が高く、蛍光抗体法(FM)では全て陰性である。
2)高齢者で、徐々に浮腫が増強し、FMでIgGと補体C3が糸球体基底膜に顆粒状に沈着する。
3)自己抗体陰性で、持続的な低補体血症を呈し、糸球体病変は分葉状増殖を示す。
4)低蛋白性の尿蛋白を呈し、糸球体係蹄の一部に分節性の硬化病変を示す。
[選択肢]
(1)膜性増殖性糸球体腎炎 (2)微小変化群 (3)ループス腎炎 (4)糖尿病性腎症
(5)紫斑病性糸球体腎炎 (6)IgA腎症 (7)巣状糸球体硬化症 (8)悪性腎硬化症
(9)膜性腎症
答:1)2 2)9 3)1 4)7
【14】尿細管アシドーシスをきたす疾患は?
1)goodpasture症候群
2)FANCONI症候群
3)sjogren症候群
4)多発性骨髄腫
5)原発性アルドステロン症
A.123 B.125 C.145 D.234 E.345
答:D
1)× 2)○ 近位型 3)○ 近位型 4)○ Fanconi症候群をきたす 5)×
【15】27歳男性、主訴は蛋白尿。小学校の時から聴力検査で異常を指摘されていた。1月4日、感冒で近医受診、蛋白尿を指摘されて当院受診となった。父親は10年前から血液透析を受けている。兄は検診で尿蛋白を指摘されている。
尿蛋白2+ 0.52g/日 潜血−
生化学:血清総蛋白7.2g/dl (アルブミン64.7%),総コレステロール228,HDL63,尿中窒素12.4mg/dl,クレアチニン0.84mg/dl,尿酸6.7mg/dl,ARLO 359U/dl,RA 1U/dl,CH50 43.9mg/dl,Ccr
122.1mg/dl,抗核抗体(-),抗DNA抗体<2.5 HBsAb(-) HCV Ab(-)
設問1 組織学的所見としてあてはまるものを選べ
1)蛍光抗体法において、糸球体へのIgGの線状の沈着
2)電子顕微鏡下で基底膜にspikeが形成されている
3)電子顕微鏡下で上皮下に高電子密度沈着物を認める
4)細胞間質に泡沫細胞が見られる
5)電子顕微鏡で糸球体基底膜の層状の肥厚を伴う
A.12 B.15 C.23 D.34 E.45
答:E(Alport症候群/コラーゲンWのα3,α4,α5鎖の異常)
設問2 次のうち、誤りを選べ。
1)伝音性難聴を伴う
2)女性のほうが男性よりも予後が不良である
3)電子顕微鏡で糸球体基底膜の菲薄化が見られる
4)80%がX伴性遺伝となる
A.1のみ B.14 C.23 D.124 E.1〜4すべて
答:D
1)× 感音性難聴 2)× 逆 3)○ 基底膜の菲薄化と肥厚 4)× 85〜92%
【16】血清補体値が減少する腎疾患の組み合わせを選べ。
1)急性糸球性腎炎
2)IgA腎症
3)紫斑病性腎炎
4)C型肝炎ウイルス関連腎症
5)ループス腎炎
a.123 b.125 c.145 d.234 e.345
答:C
解説:補体が低下するもの⇒急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、ループス腎炎
4はクリオグロブリン血症による膜性増殖性糸球体腎炎になる。
【17】糖尿病性腎症について正しいものはどれか。
1)初期には糸球体濾過量は増加する。
2)腎不全の進行に伴いインスリン需要量は減少する。
3)アルドステロン分泌は増加している。
4)尿に赤血球円柱を認める。
5)腎不全の進行は比較的緩徐である。
A.12 B.15 C.23 D.34 E.45
答:A
【19】血清クレアチニン値5.0mg/dlの患者において、急性腎不全と慢性腎不全の鑑別診断に有用な検査はどれか。
A)24時間クレアチニンクリアランス
B)パラアミノ馬尿酸(PAH)クリアランス
C)レノグラフィー
D)腎エコー検査
E)尿中ナトリウム濃度
答:D(肥大か萎縮かで判定)
【20】急性腎不全の予防法について誤っているものを選べ。
1)手術時(特に心血管、大動脈、胆道)には補液を十分行う。
2)ヨード系造影剤使用に当たっては使用量を少なくする。
3)ヨード系造影剤使用に当たっては糖尿病性腎症患者では生食などの補液により予防する。
4)シスプラチン使用時には補液を十分に行う。
5)心臓カテーテル検査後に透析を行い、ヨード系造影剤を除去する。
答:5
解説:透析は予防法ではなく乏尿、代謝性アシドーシス、高カリウム血症などをきたした時に行うことがあるだけである。(新臨床外科学)
【21】急性腎不全の鑑別について。正しいものを三つ。
1)腎性腎不全ではFENaが1.0以下
2)腎前性腎不全では尿浸透圧が500mOsm/kg・H2O以下
3)腎性腎不全では尿Na濃度が40mEq/l以上
4)腎前性では尿・血清クレアチニン比が20以上
5)腎性腎不全では尿・血清尿素窒素比が10以上
A.123 B.125 C.145 D.234 E.345
答:E
1)× 腎前性 2)× 500以上 3)○ 4)○ 5)○
【22】慢性糸球体腎炎で外来通院中の患者の血清クレアチニン濃度を示す。
2005年1月:
0.9mg/dl
2005年6月: 1.0mg/dl
2006年1月: 1.1mg/dl
2006年6月: 1.3mg/dl
このままの進行速度でいくと、透析導入になるのはいつと予測できるか。
A)2008年 B)2009年 C)2010年 D)2011年 E)2012年
答:B
解説:血清Crの逆数が時間と比例。透析導入基準で30点となる血清Cr8以上を導入の目安とすると、半年で1/Crが0.11程度減少しているので、2009年に透析導入となりそうである。
【23】高K血症に対する緊急措置として正しいのはどれか。
1)8.5%グルコン酸カルシウムを静注
2)10%グルセオールを静注
3)20%マンニトール静注
4)7%重炭酸ナトリウムを静注
5)イオン交換樹脂を注腸
答:145
【24】慢性腎不全に特徴的な症候はどれか?
1)代謝性アシドーシス
2)低カルシウム血症
3)低マグネシウム血症
4)低尿酸血症
5)高リン血症
A(123) B(125) C(145) D(234) E(345)
答:B
解説:高カリウム、低カルシウム、高リン、高マグネシウム、アシドーシス。
尿酸は腎障害で増加。(腎臓内科テキスト)
【25】最近のわが国の透析導入患者の基礎疾患として頻度の増加している疾患はどれか?
1)慢性糸球体腎炎
2)腎硬化症
3)糖尿病性腎症
4)嚢胞腎
5)慢性腎于腎炎
A(12) B(15) C(23) D(34) E(45)
答:C
【26】56歳男性。以前より腎機能障害、高血圧を指摘されていた。感冒に罹患し38℃の発熱が3日間続き食欲もなく臥床していた。水分、食事摂取は不良であった。その後尿量が減少し、著明な全身倦怠感と下肢に高度の脱力感が出現したので受診した。母方に3人兄弟姉妹のうち2人慢性透析患者がいる。
身長168cm,体重68kg,脈拍血圧に異常はない。眼瞼貧血様、口臭あり(尿臭)、皮膚粘膜に脱水所見がある。腹部に両側長径18cm横径13cmの腫瘤を触れた。
血算:Hb10,WBC10800,Plt120000
生化:Na148,K7.6,Cl108,BUN140,Cr6.0,HbAlc4.5
血液ガス:pH7.14,HCO312,PaO298,PCO216
(設問1)アニオンギャップを計算し最も近いものを選びなさい。
(カリウムは除いて計算すること)
A.22 B.28 C.32 D.36 E.40
答:B
(設問2)この疾患について間違っているものを1つ選びなさい。
A)家族歴がある。
B)病変は片側性である。
C)肝にも病変が見られる。
D)脳動脈瘤を伴うことがある。
E)腎性高血圧の原因となる。
答:B
(設問3)この状態を改善するために行う処置はどれか。
1)血液透析
2)スピロノラクトン投与
3)輸血
4)ブドウ糖インスリン療法
5)重曹投与
答:145(高カリウムに対する処置)
【27】Alport症候群の組織所見で正しい組み合わせを選べ。
1)間質に泡沫細胞が見られる。
2)基底膜にspikeがある。
3)蛍光抗体法でIgGが線状に染色される。
4)電子顕微鏡で上皮に高電子密度沈着物が認められる。
5)電子顕微鏡で基底膜緻密層の多層化が認められる。
A.12 B.15 C.23 D.34 E.45
答:B
【28】人工腎臓(血液透析・腹膜還流)によって速やかな改善が期待できる病態として正しい組み合わせはどれか。
1)肺水腫
2)代謝性アシドーシス
3)高カリウム血症
4)腎性貧血
5)尿毒症性抹消神経障害
A.123 B.125 C.145 D.234 E.345
答:A
【29】持続携行式腹膜透析(CAPD)を血液透析と比べた場合、正しいのはどれか。
1)塩分、水分制限は穏やかである。
2)社会復帰が困難である。
3)高脂血症を起こしやすい。
4)残腎機能が保たれる。
5)血圧の変動が少ない。
A.123 B.125 C.145 D.234 E.345
答:C
【30】PTHについて正しいものを選べ。
1)高リン血症によりPTHの分泌は増加する。
2)高カリウム血症によりPTHの分泌は増加する。
3)PTH分泌増加により骨代謝回転は低下する。
4)ビタミンD投与によりPTH分泌は低下する。
5)透析患者ではPTHに対する骨の感受性が健常者より低下している。
A.123 B.125 C.145 D.234 E.345
答:C
1)○(新臨床外科学) 2)× 3)× 亢進する(骨吸収・骨形成ともに増加)
4)○ ビタミンDが核内受容体に結合し、転写を抑制する(医学大辞典)
5)○ 2次性副甲状腺機能亢進症の原因の1つ(新臨床外科学)
<高血圧>
【1】正しい組み合わせを選べ。
1)本態性高血圧患者では腎臓の圧利尿曲線は右方に偏位している。
2)大動脈および太い動脈の伸展性が低下すると収縮期血圧および脈圧が上昇する。
3)孤束核の活動亢進は交感神経を抑制して血圧低下をもたらす。
4)腎臓による体液量調節機構は急性血圧機構において最も重要な役割を果たす。
5)動脈圧受容体は主に左心房や肺静脈に存在する。
A.123 B.125 C.135 D.234 E.235 F.345
答:A
1)○ 2)○ 高齢者に見られる 3)○ 圧受容器反射の回路 4)× 5)×
【4】次の症例について答えよ。
症例:52歳男性
病歴:45歳頃より会社の健康診断で肥満、尿糖陽性、血糖値軽度上昇を指摘されていたが、放置。本年の健康診断で、さらに尿蛋白と高血圧(160/92mmHg)を指摘され当院を紹介された。
家族歴:父親に高血圧、母親に糖尿病
既往歴:特になし
生活歴:喫煙30本/日、ビール500ml/日
外来時診察所見:167cm,82k,脈拍72回/分,血圧162/96mmHg(座位・右),
甲状腺腫なし、頚部雑音なし、心音・呼吸音異常なし、腹部所見なし、下肢浮腫なし
神経学的所見:膝蓋腱反射軽度低下、下肢振動覚軽度低下、
眼底(右)Keith-WagenerT度、 点状出血二カ所、白斑なし
検査:検尿 蛋白+ 尿糖++ 潜血− 尿沈渣・円柱なし 血計正常
このような患者の治療方針で正しい組合せを選べ。
1)第一選択の降圧薬としてレニン・アンジオテンシン系阻害薬が好ましい。
2)慢性糸球体腎炎の合併が強く疑われるため、腎生検が必須である。
3)降圧目標レベルは130/80mmHg未満に設定する。
4)カルシウム拮抗薬は禁忌である。
A)1のみ B)3のみ C)13 D)34 E)134 F)すべて
答:C(糖尿病)
1)○ 2)× 3)○ 4)× しばしば用いられる
【5】老年者高血圧の治療に関する記述として誤った組み合わせを選べ。
1)75歳以上の高血圧は治療を必要としない。
2)老年者であっても生活習慣の修正、特に減塩が必要である。
3)老年者の服用頻度が高い非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)は一部の降圧の作用を減弱する。
4)第一選択薬としてβ遮断薬が推奨される。
5)合併症のない老年者高血圧の降圧目標は125/75mmHg未満とする。
A(1,3,4) B(1,2,5) C(1,3,5) D(1,4,5) E(2,3,4) F(3,4,5)
答:D
【6】降圧薬と副作用の組合せが正しいものを選べ。
1)ACE阻害薬…乾咳、高カリウム血症
2)Ca拮抗薬…浮腫、動悸、便秘
3)サイアザイド系降圧利尿薬…高尿酸血症、低カリウム血症
4)α遮断薬…起立性低血圧、浮腫
5)β遮断薬…徐脈、耐糖能障害
A(123)B(124)C(234)D(235)E(345)F(すべて)
答:A
1)○ 2)○ 3)○ 4)× 浮腫はない 5)× 耐糖能障害はない。むしろ低血糖に対する反応を抑制するので血糖降下治療をしている糖尿病患者には注意が必要。
【7】非薬物療法の中で降圧効果が認められているものはどれか。
1)体重減量 2)減塩 3)ビタミンC 4)適度な運動 5)アスピリン
A(123) B(124) C(125) D(235) E(345)
答:B
【8】正しい組み合わせを選べ。
1)血圧レベルは脳卒中と深い関連があるが、虚血性心臓病との関連はない。
2)本邦の疫学研究では血圧値が140/90mmHg以上では脳梗塞の発症リスクが増加することが示されている。
3)本邦の食塩摂取量は戦後一貫して低下し目標値に達している。
4)数回の来院で安定して血圧150/95mmHg以上を高血圧と定義する。
5)家庭血圧測定での血圧は、白衣高血圧の除外に役に立つ。
A.12 B.25 C.134 D.245 E.135 F.すべて
答:B
【9】正しいものを選べ。
1)カルシウム拮抗薬とβ遮断薬の組み合わせは有効である。
2)気管支喘息患者へのカルシウム拮抗薬の投与は禁忌である。
3)利尿薬とACE阻害薬の組み合わせは有効である。
4)妊婦にはACE阻害薬の投与は禁忌である。
5)本邦の高血圧治療ガイドラインでは第一次選択薬に利尿薬は含まれていない。
A(123) B(124) C(134) D(345) E(135) F(すべて)
答:C
【10】正しくないものを選べ。
1)脳梗塞患者では血圧が上昇していることが多く、再発予防のため早急に至適血圧 (120/75mmHg未満)にする必要がある。
2)ACE阻害薬は腎機能を悪化させるため、慢性腎不全では使用しない。
3)左室肥大の改善効果はβ遮断薬が最も強い。
4)閉塞性動脈硬化症では浮腫の副作用があるカルシウム拮抗薬は使用しない。
5)利尿薬は尿酸排泄を促進するため痛風を有する高血圧患者でよく使用される。
A(123) B(124) C(134) D(345) E(135) F(すべて)
答:F
【11】原発性アルドステロン症に関して正しいのはどれか。
1)二次性内分泌性高血圧の中で最も頻度が高い。
2)血漿レニン活性やコルチゾール濃度はともに低い。
3)低カリウム血症、代謝性アルカローシスが見られる。
4)特発性アルドステロン症の治療ではまず副腎摘出術を考える。
5)腺腫によるものは、ACTH依存性である。
A(1,2,3) B(1,2,5) C(1,3,5) D(2,3,4) E(2,3,5) F(3,4,5)
答:C
1)○ 2)× コルチゾールは正常(医学大辞典) 3)○
4)×
スピロノラクトンを用いる 5)○
【12】褐色細胞腫について正しいものを選べ。
1)発生部位として後腹膜腔が最も多く、しかも半数以上は悪性である。
2)副腎髄質や傍神経節に存在するクロム親和性細胞が腫瘍化したものである。
3)主症状として頭痛、発汗、動悸があげられる。
4)降圧治療をする場合にはβ遮断薬を第一選択薬とする。
5)甲状腺髄様癌を合併するSipple症候群では家族性、両側性のことが多い。
A(123)B(125)C(234)D(235)E(345)
答:D
1)×
悪性は10% 2)○ 3)○ 4)× α1ブロッカー 5)○
【13】( )内の正しいものを選べ。
1)血圧は一般に昼間高く、夜間就寝中に低下する日内変動を示すが(dipper)、夜間の血圧降下が減少ないし消失する状態はnon-dipperと定義され、non-dipperパターンを呈する高血圧患者はdipperと比較して、一般的に臓器障害の合併は(A:少ない、B:多い、C:同程度である)。
2)大動脈炎症による腎動脈狭窄は腎動脈の(A:起始部、B:中間部、C:遠位側)に多い。
3)腎静脈分腎レニン検査で、腎動脈狭窄側の静脈血レニン活性が健常側に比し(A:1.3、B:1.5、C:1.7)以上の場合、有意な左右差があるとみなされる。
4)腎血管性高血圧では、アンジオテンシン変換酵素阻害薬のカプトプリル負荷により血漿レニン活性は(A:著しく低下する、B:不変である、C:著しく上昇する)。
答:1)B 2)A 3)B 4)C
【14】先天性副腎過形成に伴う高血圧に関して正しい組み合わせを選べ。
1)高血圧とともに高カリウム血症がみられる。
2)高血圧をきたすのは11β-hydroxylase欠損症と17α-hydroxylase欠損症である。
3)酵素欠損のためにコルチゾルが低下した結果、ACTH分泌亢進をきたす。
4)治療は、まず副腎摘出術を考える。
A(1、2) B(1、3) C(2、3) D(2、4) E(3、4)
答:C
4)× グルココルチコイドの連日投与による下垂体ACTH抑制(ハリソン内科学)
【15】アンジオテンシンU受容体拮抗薬の禁忌、または適していない病態を選べ。
1)両側性腎動脈狭窄
2)高カリウム血症を伴う腎不全
3)妊娠高血圧
4)うっ血性心不全
5)糖尿病合併高血圧
A(123) B(125) C(135) D(234) E(235) F(345)
答:A
<小児科>
【1】以下の中から正しいものを2つ選べ。
A)羊水過少は腎低形成の原因でありPotter症候群になる。
B)尿希釈力は新生児でも成人と同レベルである。
C)GFRは生後6カ月で成人レベルに達する。
D)小児期の血清クレアチニン量は総筋肉量に比例して乳児期以降年齢とともに増加する。
E)年齢が低いほど体内総水分量の割合は大きいが、細胞外液量は比較的一定である。
答:BD
A)× 肺低形成 B)○ C)× 3才ごろに成人レベル D)○ E)×
【2】正しいものを二つ選べ。
A)循環血液量は体重の15%程度である。
B)必要(維持)輸液量は単位代謝量あたりで表すのが理論的には正しく、体重15sの小児の必要水分量は一日2.5Lである。
C)通常不感蒸泄量は必要水分量の約45%である。
D)小児が脱水に陥りやすい最大の理由は体重あたりの必要水分量が多く、水分の回転率が高いためである。
E)脱水症に対する初期急速輸液は不足しているナトリウムとカリウムを補充するため、カリウムを含んだ輸液製剤を用いる。
答:CD
A)× B)× 1.25L C)○ D)○ E)× 初期はカリウムなしの輸液
【3】正しいものを2つ選べ。
A)フィンランド型先天性ネフローゼ症候群は、nephrin蛋白の先天的異常が原因である。
B)Alport症候群は85〜92%がX染色体性で、W型コラーゲンの遺伝子異常によって起こり、女性の方が男性よりも重篤である。
C)Henoch-Scholein Purpuraの三大症状は紫斑、腹部症状、関節症状である。
D)HUS(溶血性尿毒症症候群)の三大症状は溶血性貧血、血小板増多、腎障害である。
E)小児の慢性腎不全の原因は成人と同様、IgA腎症である。
答:AC
A)○ B)× 男が重篤 C)○ D)× 血小板減少 E)× 遺伝性、先天性が多い
【4】急性糸球体腎炎についての下の文より正しいものを二つ選べ。
A)A群β溶連菌の感染後に発症することが多い。
B)血尿、低血圧、浮腫が三大主徴である。
C)一過性の低補体血症が見られる。
D)診断には腎生検が必要。
E)ステロイド薬による治療が有効である。
答:AC
A)○ B)× 高血圧 C)○
D)× 補体価、ASO、ASK、症状などで診断でき、通常腎生検はしない
E)× 病初期のステロイドは禁忌。治療は保温、安静、食事療法が基本
【5】5才男児、全身の浮腫が主徴で、尿蛋白3+,潜血−,血液学検査ではBUN10r/dl,Cr0.4r/dl,血清総蛋白4.7g/dl,血清アルブミン2.0g/dlであった。
補体価正常、抗核抗体−.
設問:次の文章で正しいものを二つ選べ。
A)本来は女児に多い可能性が高い。
B)高脂血症を伴うことが多い。
C)ステロイド薬に反応し、蛋白尿が消失し寛解する可能性が高い。
D)一度寛解したなら再発することはない。
E)腎生検ではびまん性のメザンジウムの増殖が見られることが多い。
答:BC(微小変化型ネフローゼ症候群)
B)○ 高脂血症はネフローゼ症候群でおこる。肝での代償性アルブミン合成亢進に伴うLDLやVLDLの合成亢進などによると考えられている。
<泌尿器>
【2】次のうち誤ってるものを二つ選べ。
1)続発性VURには膀胱鏡検査が大変有用である。
2)VURが腎盂・腎杯に達している場合、その程度は国際分類に従うとU度以上と判断できる。
3) 排泄性腎盂造影(IVP)は続発性VURの診断に使われる。
4)排尿時膀胱尿道造影においてVURとともに膀胱壁の不整(肉柱)像を伴う場合、続発性VURが疑われる。
5)逆流性腎症の評価には腎シンチグラフィが有用である。
答:13
1)× 参考所見である 3)× 腎瘢痕の診断や腎発育の評価
【3】
1)小児VURは軽度の場合には自然寛解が期待できるが、経過観察時には腎機能障害に注意しなければならない。
2)成人のVURは自然寛解が期待できないので、積極的逆流防止術を行う。
3)小児VURの保存的治療には必ず抗菌剤を使用する。
4)逆流防止術は尿管の直径に応じて粘膜下尿管の長さを決める。
5)逆流性疾患の原因としてVURはとても重要なので、感染、再発がない場合でも防止術が大切だという意見もある。
答:23
2)× 積極的に行う必要はなし 3)× 必ずではない
<移植>
【1】解剖について正しいものを選べ。
1)左腎は右腎より低いところにある。
2)左腎静脈は上腸管膜動脈の腹側を通っている。
3)左性腺静脈は直接下大静脈に還流している。
4)尿管は腸骨動静脈の腹側を通っている。
A.12 B.34 C.123 D.4 E.1〜4
答:D
【2】正しいものを選べ。
1)心停止後の腎提供にドナーカードは不要である。
2)法的脳死判定は8時間以上時間をあけて2回することが義務付けられている。
3)非血縁の家族ドナーでも移植は可能である。
4)透析患者でも肝臓、膵臓の提供は可能である。
A.14 B.23 C.134 D.2 E.すべて
答:C
【3】腎移植について正しいものを選びなさい。
1)ドナー腎動脈が3本あっても腎移植は可能である。
2)タクロリムス、シクロスポリンは同時に用いる免疫抑制剤である。
3)A型からO型、A型からAB型への腎移植では、後者の方が強力な免疫抑制剤が必要となる。
4)腹膜透析患者は、腎移植の禁忌である。
A(2,4) B(1,3) C(2,3,4) D(1のみ) E(1,2,3)
答:D
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