平成15年度 「アレルギー・膠原病」 卒業試験

 

 

1.24歳の女性。妊娠5ヶ月より時々微熱、倦怠感、脱毛を認めるようになった。産科では、血圧110/64mmHg,2+のタンパク尿、Hb999/dl,WBC3200/ul,Plt6/μlを指摘された。肝機能、腎機能には異常なし。妊娠7ヶ月目に切追流産となったが軽快した。精査をすすめられ当科を紹介された。既往歴では、下肢静脈血栓症が2回見られた。なお胎児の心音に異常はないが、週数齢に比べて発育の遅延を認める。現症では、軟口蓋に潰瘍形成、腋窩リンパ節の腫大を認めた。

1)もっとも考えられる診断名を2つ挙げよ。

2)確定診断に必須である検査、今後の治療方針決定に必須である血液検査を挙げよ(1O個以内)

3)この患者の治療で正しいものを1つ選べ。

a)帝王切開   b)抗生物質の投与   c)γグロブリン投与

d)血漿交換と免疫抑制剤の投与    e)副腎皮質ステロイド剤の投与

1   SLE、抗リン脂質抗体症候群

  2)  LE因子、抗DNA抗体、抗Sm抗体、CRP、赤沈、血清梅毒反応、C3CH50、抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラントなど

   3)e

(解説)診断は容易であり、診断基準や活動性の活動性の判定基準となるものを検査項目にあげればいいと思う。治療だが、妊娠中のSLEの治療法は基本的に非妊娠時と同様であり、副腎皮質ステロイド剤が中心となる。(NEW産婦人科学)静脈血栓症の再発予防として少量アスピリンの投与も必要であると思う。

 

2.52歳の女性。10年前からレイノー現象、手指の腫脹、関節痛があった。最近、労作時に軽度の息切れ、咳そうが出現し、また朝髪をとかしづらくなったため受診した。身体所見では、発熱無し。四肢末梢から上腕、顔面の皮膚が硬化し、手指の関節背面にはやや赤くなった局面に落屑を認めた。検査所見では、尿タンパク、血尿は陰性。赤沈値12mmlh,WBC5800/μ1、抗DNA抗体陰性、リウマトイド因子320倍。

1)さらに知りたい情報として童要なのはA-Eの組み合わせのうちどれか。

a)針反応   b)聴診所見  c)筋の把握痛  d)徒手筋カテスト  e)脱毛の有無

A.(a,b,c)  B.(a,b,e)  C.(a,d,e)  D.(b,c,d)  E(c,d,e)

2)診断に有用な検査はどれか。

a)胸部X線検査   b)筋電図  c)筋生検   d)甲状腺機能検査   e)腎生検

A.(a,b,c)  B.(a,b,e)  C.(a,d,e)  D.(b,c,d)  E(c,d,e)

3)生化学検査では血済CK値は2500IU/1、血清学的検査では抗トポイソメラーゼ抗体(Scl-70抗体)が陽性で、抗核抗体は陰性であった。考えられる疾患はどれか、

a)全身性エリテマトーデス  b)皮膚筋炎  c)全身性硬化症

d)混合性結合組織病     e)リウマチ性多発筋痛症

A.(a,b)  B.(a,e)  C.(b,c)  D.(c,d)  E.(d,e)

4)本疾患で注意するべき合併症は何か。一つ選べ。

A.脳硬塞    B.悪性腫蕩   C.細菌性肺炎  D.大腿骨頭壊死   E無菌性髄膜炎

答 1D or E  2A 3C  4B

(解説)病歴から問題3の選択肢の疾患が鑑別にあがる。問題1a)はBechet病の検査である。b)は呼吸器症状があり、c)はPMRの鑑別として、d)DMの鑑別として、e)はSLEの鑑別として、それぞれ必要な気がする。問題2a)は呼吸器症状もあり行う必要はあるだろう。b)、c)はDMPMRの鑑別のために必要な検査である。d)、e)はよくわからない。問題3CKの上昇からDMが、抗Scl-70抗体陽性からSScが疑われ、抗RNP抗体陰性からMCTDが否定される。問題4DMの合併症として悪性腫瘍に注意する必要がある。

 

3,SLEの発症あるいは増悪に関わる重要な因子として日光暴露が知られている。日光暴露が発症、増悪に関与する機序について知る所を記せ。

答 わかりません

4・膠原病における検査について正しい組み合わせはどれか。

(1)抗核抗体価の定期的測定はSLEの疾患活動度の経過観察に有用である。

(2)悪性関節リウマチでは血清補体値の低下は診断の参考になる。  (3)補体の活性化経路は3経路ある。

(4)日本人のべ一チェツト病患者では、HLA-B51との関連が指摘されている。

(5)補体C7欠損症はSLEを合併しやすい。

a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

答 d

(解説)(1)SLEの活動性を見るものとして発熱・関節痛・紅斑・口腔潰瘍・脱毛・赤沈・補体・WBC・アルブミン・LE細胞などがある。(5)は補体C7欠損症では再発ナイセリア感染症を合併しやすい。SLEの合併は補体C1,C2欠損症で多い。

 

5.レイノー現象を認める患者の鑑別を行う上で必要な検査はどれか。

(1)SS-B抗体   (2)抗マイクロゾーム抗体   (3)抗ミトコンドリア抗体

(4)Scl-70抗体  (5)抗セントロメア抗体

a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)

答 e

(解説)レイノー現象をきたしやすい疾患として、SScMCTDSLEPM/DMなどがあげられる。SScを考慮すると(4)(5)となる。

 

6.73歳女性。1ヶ月前から抗生剤に不応性の38℃を越える弛張熱が続いており、この間に体重が3kg減少した。両側下肺野にfinecrack1eを聴取する。検査では尿蛋白(2+)、糖()、潜血(3+)BUN483mg/d1,Cr24mg/dl,CRP14.8mg/d1であった。診断上最も重要な検査はどれか。1つ選べ、

a.抗二本鎖DNA抗体 b.PR3-ANCA c.MPO-ANCA d.Jo-1抗体 e.抗カルジオリピン抗体

答 c

(解説)症状からすると顕微鏡的PNが疑われる。aSLEbWegener肉芽腫、dPM/DMeは抗リン脂質抗体症候群に関係がある。

 

7・シクロフォスファミド療法の適応となるのはどれか。

(1)巨細胞性血管炎        (2)高安動脈炎       (3)結節性多発動脈炎

(4)ウェゲナー肉芽腫症      (5)アレルギー性肉芽腫性血管炎

a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)

答 d

(解説)(3)(4)は原則として、副腎皮質ステロイドと免疫抑制剤の併用療法を行う。(1)(2)(5)は副腎皮質ステロイドが奏効する。

 

8.症例63歳男  主訴:呼吸困難、皮膚潰瘍

現病歴:52(1992)のときに関節リウマチ(RA)の診断を受け、近医にてブシラミン内服治療の金製剤の注射治療を受けていた20034月ごろよりRA症状の増悪とともにリウマトイド因子(RF)の上昇傾向をみとめた、6月初旬には発熱傾向(37-38)、乾性咳そう、呼吸困難が出現してきたため630日に外来受診後すぐに入院となった。喀痰なし。糖尿病や結核の既往なし。肝機能や腎機能の異常を指摘されたことはない。白血球増多あり。CRP21.5mg/dl,CH50 12U/1(正常30-40),lC-C1q6.2mg/ml(正常2.9以下)

1)直ちに(入院当日に)行うべき検査を下記から選べ。(いくつ選んでもよい)

a.胸写   b.結核菌胃液培養   c.動脈血ガス分祈  d.換気血流シンチ  

e.スパイログラム(呼吸機能検査)

2)酸素吸入を開姶して患者の一般状態は安定した。両側下肺野に乾性ラ音を聴取し、胸写上背側に粒状網状影が広がっていため採血検査で治療評価のマーカーになりそうなものはどれか。(いくつ選んでもよい)

a.CEA   b.KL-6   c.SP-D   d.CPK   e.LDH

3)検査の結果、肺病変は間質性肺炎と診断された。治療方針として適当なものはどれか。

a. RAの増悪傾向をともなった間質性肺炎であるので、RA治療効果の増強のために金注射量を増やす。

b.間質性肺炎の原因は不明であるが、細菌感染が否定できないので抗生剤点滴静注のみで様子をみる。

c.金注射を中止し、感染症の合併を注意しながらステロイド剤の大量療法(パルス療法)を開始する。

d.RA治寮が不完全で悪性関節リウマチになったので、最も有効性の高いメトトレキサートを開始する。

e.悪性関節リウマチであるが、感染症も否定できないのでステロイドを少量から増量する。

答 1)a,b,c,e   2)b,c   3)c

(解説)RAからMRAへ移行した症例であると考えられる。1)は呼吸状態を把握するのにa,c,eが必要であると思うが・・・。直ちに必要か?bも感染が否定できないため必要である。2)は間質性肺炎のマーカーとしてはb,cが知られている。eも上昇するが特異的ではないためマーカーとしては不適当か。

3)MRAの治療としては副腎皮質ステロイド大量療法、場合によっては副腎皮質ステロイドパルス療法や免疫抑制剤の投与が必要になってくる。

 

9.関節リウマチとNSAIDsについての記載で、正しい組み合わせの記号を書きなさい。

1. RAの薬物療法は、痛み、こわばり、倦怠感などの患者の苦痛を軽減し、QOLの改善を図ることにある。しかし、NSA1Dsによる治療は、関節予後を改善しない。

2. RA患者の寿命が有意に短いことには、RA自体の病態とその治療薬がもつ有害事象の関与がある。

3.NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害する。COX-1は、胃や腎臓に恒常的に発現しており、このCOX-1を特異的に阻害することで、消化管潰瘍や間質性腎炎の副作用を回避することが出来る。

4.早期関節リウマチに対しては、副作用があるDMARDsは使わずに、比較的安全なNSA1Dsを用いて、積極的に治療を開始する。

a)1,3,4 b)1,2 c)2,3 d)4のみ e)すべて

答 b  (解説)1.2.3.×逆4.×まずは理学療法

 

10DMARDsについての記載で、正しい組み合わせの記号を書きなさい。

1.ブシラミンの副作用として、顆粒球減少がよく見られるので、フォローには血液学的検査が必要である。

2.妊娠中に関節リウマチは、改善することが多いことが知られている。しかし、悪化した際は、ステロイドは妊娠中毒症を発症ざせ、胎児に対し催奇形性があるので、使用を避け、DMARDsで積極的に治療する。

3.DMARDsの副作用として腎障害はしばしば見られるため、フォローには尿検査が必要である

4.メソトレキセートの副作用の中には、重篤な間質性肺炎があるので、服用中の患者さんの呼吸器症状の有無を確認することは重要である。

a)1,3,4 b)1,2 c)2,3 d4のみ e)すべて

答 d

(解説)1のブシラミンは比較的副作用は少ない。2DMARDsには催奇形性を持つものがある。3はフォローとして尿検査を用いるか??

 

11.免疫抑制剤、抗サイトカイン療法について正しい組み合わせの記号を書きなさい。

1. サイクロスポリンは、シクロフィリンを有するTリンパ球と腎の細胞の増殖を特異的に抑える免疫抑制剤であるので、T細胞の増殖を阻害するが、腎臓には影響を与えない血中濃度を維持することが副作用回避の手だてである。

2. ループス腎炎のびまん性増殖性糸球体腎炎(WHO4)に対しては、大量のステロイド療法を行う。免疫抑制剤は、高頻度に精神症状(CNSループス)を併発させるので使用しない。

3. キャッスルマン症候群の特効薬である抗1L-6受容体抗体は、日本で研究開発された薬剤であり、関節リウマチにも効果的であることが明らかになりつつある。

4. TNF-α抗体の臨床応用が日本でも姶まってきたが、副作用としては、細胞内寄生体感染症、特に結核の発症が心配されている。

a)1,3,4 b)1,2 c)2,3 d)4のみ e)すべて

答 a

(解説)2はループス腎炎(WHO-Ⅳ型)ではステロイドに免疫抑制剤を併用したほうが予後は改善する。3,4も最近のトピックとして大事のようである。

 

 

12.アレルギーに関する以下の問いに答えよ。

 

1)誤った組み合わせはどれか。

a.1型アレルギー反応:皮内反応  b.Ⅱ型アレルギー反応:溶血反応  c.Ⅲ型アレルギー反応:血清病

d.lV型アレルギー反応:ツべルクリン反応  e.1V型アレルギー反応:プリツクテスト

 

2)喘息について正しいのはどれか。

(1)アトピー型では遅発型喘息反応はほとんどおこらない。

(2)気管支拡張薬は非アトピー型よりアトピー型の方が有効である。

(3)小児喘息はアトピー型の割合が非アトピー型の割合より少し多い。

(4)アトピー型、非アトピー型で気道の炎症や気道過敏性に差異はみられない。

(5)成人ではアトピー型と非アトピー型がほぼ同じ割合である

a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)

 

3)ブレルギー検査法について正しいのはどれか。

(1)スクラッチテストはⅠ型アレルギー反応を調べる検査法である。

(2)immune comp1ex測定はⅡ型アレルギー反応を調べる検査法である。

(3)溶解反応はⅢ型アレルギー反応を調べる検査法である。

(4)リンパ球幼若化試験はⅣ型アレルギー反応を調べる検査法である。

(5)補体はⅢ型アレルギー反応に関係している。

a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)

 

4)減感作(免疫)療法に関して正しいのはどれか。

(1)皮内注射で施行する。  (2)副作用としてアナフィラキシーを起こす。

(3)カンジダによる治療は推奨されない。

(4)注射局所の皮膚反応の大きさを維持量の目安とする。  (5)遮断抗体はIgA抗体に属する。

a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)

 

5)気管支喘息の二相性反応について正しいのはどれか。

(1)細胞性免疫と体液性免疫が関与していることをいう。  (2)遅発型反応は細胞性免疫が関与している。

(3)即時型反応と遅発型反応がある。  (4)即時型反応は吸入誘発試験の15分後ぐらいに生じる。

(5)喘息患者では二相性反応が必ずしもみられない。

a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)

 

6)抗アレルギー薬の作用機序として正しいのはどれか。

(1)ロイコトリエン拮抗作用  (2)トロンボキサンA2受容体拮抗作用  (3)H2受容体拮抗作用

(4)シクロキシゲナーゼ阻害作用  (5)Th1サイトカイン産生抑制作用

a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)

 

7)吸入ステロイド薬連続使用により起こりうる副作用はどれか。

(1)高ナトリウム血症    (2)女性化乳房  (3)嗄声 (4)口腔内カンジダ症   (5)副腎機能抑制

a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)

 

8)ステロイド薬について正しいのはどれか。

(1)小児では成長発育の抑制をおこす。  (2)重要な副作用として大腿骨骨頭壊死がある。

(3)内服中に生じた糖尿病では直ちに中止すべきである。

(4)持続的筋注ステロイドは使用してはならない。

(5)長期投与に際しては筋萎縮、ミオパチーがみられる。

a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)

答 1) e 2) e 3) c 4) d  5) e 6) a 7) e 8) b 

(解説)過去にも同じ問題が多数あるのでそちらをみてください。

 

13.9歳の女児。1週間前から発熱、関節痛、食欲不振、顔面の蝶形紅斑を認め来院した。赤血球345/μ1,Hb9,69/dlHt29.5%、白血球2000/μ1(好中球分葉核26%、好酸球1%、リンパ球73%)、血小板9/μ1。赤沈30mm/1時間。CRP()、尿所見:蛋白(++)、糖()、沈さに赤血球40/1視野、白血球25/1視野を認める。この症例について、次の問いに答えよ。

1)診断に必要な検査はどれか。

(1)腎生検     (2)骨髄穿刺   (3)血清IgA   (4)血清補体価   (5)DNA抗体

a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)

 

2)想定される疾患について正しいのはどれか。一つ選べ。

a診断には腎生検が必須である。  b全身の炎症性疾患である。

c肝炎は主要な合併症である。  dステロイドホルモンで完治する。  e予後はよい。

 

3)正しいのはどれか。

(1)リウマチ性心炎では冠動脈が侵されやすい。  (2)若年性関節リウマチでは心筋炎を伴いやすい。

(3)全身性エリテマトーデスでは関節炎を伴いやすい。  (4)皮膚筋炎では歩行障害が見られやすい。

a(1),(2) b(1),(3) c(2),(3) d(3),(4) e(1),(4)

答 1) e 2) b 3) d

(解説)病歴からSLEが最も考えられる。腎生検は腎機能低下の際に活動性を評価するために行われることもあるが、診断に必須の検査であるとはいえない。

 

14.次の文を読み、以下の問いに答えよ。

7歳の女児。持続する発熱を主訴として来院した。

現病歴.:10目前に38℃台の発熱があり、同時に紅色斑状の発疹が主として躯幹に散在性に出現した。近医にて、じんま疹らしいと診断され投薬を受けた。発疹はその後出現していたが、3日ほどで消失した。しかし、37℃~39℃の発熱は持続し、膝や足の関節を痛がることがあった。この間、咳や鼻水が出るなどの症状はなかった。解熱傾向がないので来院した。

既往歴:5歳頃から気管支喘息の発作が起こるようになり、現在もその都度治療を受けている。

家族歴:両親にアレルギー性鼻炎がある。

現症:身長121㎝、体童23kg、体温38.2℃。血圧122/68Hg。脈拍102/分、整。全身状態は比較的よい。頸部に径5㎜ほどのリンパ節を左に2個、右に3個触知するが、圧痛はない。胸部聴診で心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音は正常で、ラ音はない。腹部触診で肝、脾および異常腫瘤を触れない。

検査所見:赤血球387/μ1,H10.89/dlHt32%、白血球11800/μ1(好中球桿状核32%、好中球分葉核46%、好酸球2%、単球3%、リンパ球17%)、網赤血球10%、血小板35/μ1。赤沈52/時、CRP5分。

 

1)この心雑音について考えられるのはどれか。

(1)小児の生理的な無害性雑音        (2)発熱による機能性雑音

(3)貧血による機能性雑音    (4)心房中隔欠揖症の雑音     (5)心炎に伴う雑音

a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)

2)この時点の症状と所見から考えられる疾患はどれか。3つ選べ。

a敗血症  bリウマチ  c若年性関節リウマチ  d EBウイルス感染症

 

3)3目後、心尖部に3/6度の左方に放散する逆流性収縮期心雑音を聴取するようになり、次の検査所見を得た。血清IgM 82/dl(正常60100)lgG 1380/dl(正常10001200)IgA 120/d(正常100250)AS0 500単位(正當166以下)、抗核抗体陰性、リウマトイド因子陰性、血清補体価CH 5036単位(正常3040)。血液培養は陰性であった。

この患児にまず使用すべき薬剤はどれか。

 

(1)アザチオプリン  (2)ぺニシリン  (3)副腎皮質ステロイド薬  (4)アスピリン  (5)金製剤

a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)

答 1) b 2) a,b,c 3) c  (解説)国家試験85C4,5,6です。

 

152歳の女児、2週聞前から発熱,体幹部に紅色丘疹が出現。来院時、体温40℃、脈拍130/分。頸部両側に栂指頭大のリンパ節45個触知。心摩擦音を聴取。肝3㎝、碑6㎝触知。手指関節が腫脹し、疼痛のため動かさない。赤血球360/μ1、血色素9.5g/dl、白血球38.000/μ1(好中球70%、リンパ球24%、単球6%)、赤沈80/1時間、CRP4+、リウマトイド因子陰性、AS0 100単位、Paul-Bcmnel1反応16倍、抗核抗体陰性、C80/dl。胸部X写真上心胸廓比63%。心電図低電位、ST上昇あり、この症例について、次の問いに答えよ。最も疑わしい疾患はどれか、

a急性白血病     b伝染性単核球症   c敗血症   d川崎病   e若年性関節リウマチ

答 e

(解説)aも否定できないが、紅色丘疹や心外膜炎が合併するか?bは成人のEBV初感染によりおこる。cは否定はできないと思われるが・・・。dは川崎病の診断基準を参照。

 

16.9ヶ月の乳児。7日前から3839℃の発熱が持続し、抗生物質を投与されたが解熱しないので来院した。両側眼球結膜が充血し、口唇の紅潮、イチゴ舌および口腔粘膜の発赤を認める。右側頸部に2㎝大のリンパ節を触知する。体幹と四肢末端とに紅斑がみられる。BCG接種部位が発赤している。

この疾患について正しいのはどれか。1つ以上選べ。

(1)春に多く発症する。      (2)4歳以下に好発する。   (3)血小板が増多する。

(4)冠動脈病変を合併する。  (5)副腎皮質ステロイド薬が第一選択である。

答 (1),(2),(3),(4)

(解説)川崎病の診断は容易である。治療としてはアスピリン内服とγ―グロブリン大量療法が大事である。

 

17.間違いはどれか。

1)ヒスタミンは血管内皮細胞に多く貯蔵されている。

2)閉鎖貼付試験(クローズドパツチテスト)は遅延型接触過敏症の診断に有用である。

3)アトピー性皮膚炎では好酸球やIgEが高くなりやすい。

4)免疫抑制薬外用薬であるFK506(タクロリムス)軟膏はアトピー性皮膚炎に有効である。

5)クインケ浮腫は奪麻疹の一つのタイプと考えられる。

答 1)    (解説)ヒスタミンは肥満細胞などに多く含まれている。

 

18. 皮膚筋炎で正しいのはどれか。

1)限瞼のヘリオトロープ斑がよくみられる。 2)手指関節背面の紅色兵疹(ゴツトロン徴候)が特徴的である。

3)成人では内臓悪性腫瘍の含併が多い。  4)肺線維症を伴うことがあるので注意が必要である。

a)1,3,4のみ b)1,2のみ c)2,3のみ d)4のみ e)1-4のすべて

答 e)       (解説)いずれもDMで大事なこと。

 

19.全身性強皮症の症状はどれか。

1)レイノー現象    2)顔面の浮腫性紅斑   3)手指のPitting scar  4)舌小帯の短縮

a)1,3,4のみ b)1,2のみ c)2,3のみ d)4のみ e)1-4のすべて

答 a) or e)

(解説)SScの皮膚症状は浮腫期硬化期萎縮期に分けられ、顔面の特徴としては仮面様顔貌が有名である。浮腫期に紅斑が生じるのだろうか??

 

20.関節リウマチ患者に見られる症状について正しいものを選べ。

(1)頸椎環軸椎亜脱臼の症状として、頑固な頚部痛、後頭部痛を訴えることが多い。

(2)足趾のMTP関節部の滑膜炎の症状として、足底の異和感、特に起床時に足の裏に何かを踏んでいるような感じを訴えることがある。

(3)手指、特に第4,5指が急に伸展できなくなった時には、伸筋腱断裂の可能性を考える。

(4)股関節付近の痛みを訴えた場合には、股関節の炎症や骨関節破壌による痛み以外に、恥骨の脆弱性骨折を鑑別することが重要である。

a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ  c(2),(3)のみ  d(4)のみ  e(1)(4)のすべて

答 e)  (解説)臨床講義の授業プリント参照。

 

21.関節リウマチの画像診断に関して、正しいものを選べ。

(1)早期関節リウマチの滑膜炎、骨びらんの描出にはMRI(核磁気共鳴法)が単純X線写真より優れており、滑膜炎は通常T1強調画像にて低信号、ガドリニウムにて増強される領域として描出される。

(2)早期関節リウマチの単純X線所見として軟部組織腫脹や関節周囲の骨硬化が特徴である。

(3)関節リウマチの単純X線所見は、アメリカリウマチ学会の診断基準に含まれている。

(4)LarsenスコアやSharpスコアは、骨関節破壊進行度のX線学的評価法である。

a(1),(3),(4)のみ  b(1),(2)のみ  c(2),(3)のみ  d(4)のみ  e(1)(4)のすべて

答 a

(解説)(2)は骨硬化骨萎縮である。ほかの選択肢も過去に頻出。SharpスコアよりはSteinbrocker分類が大事だと思われる。

 

22.血清反応陰性脊椎関節症に関して、正しいものを選べ。

(1)リウマチ性疾患に含まれ、通常、血清リウマトイド因子が陽性である。

(2)血清反応陰性脊椎関節症とは、強直性脊椎炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患に伴う関節炎などを含んだ総称である。

(3)靭帯や腱の付着部炎を伴うことが比較的多い。

(4)皮膚・限・消化器系などに合併症を伴うことが多い。  (5)HLA-DR4陽性例が多い。

a(1)(2)(3) b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5)

答 d

(解説)(1)RF陰性が定義である。(5)HLA-B27陽性例に多い。

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