平成16年度 「アレルギー・膠原病」 概説試験

 

解答作成には授業プリント、イヤーノート2003を使用しました。また、解説の中の略称例として、「P3」は「授業プリント3ページまたは3枚目」、「H15-2」は「15年度概説の2」、「YN-F62」は「イヤーノートのF62ページ」を指します。

1.以下の空欄をうめよ。
)年米国の病理学者( )は、わずか2ページの論文をJAMA(米国医師会雑誌)に発表した。この論文で( )は、当時の常識であった「疾患はある臓器が障害される結果発症する」という考えとは異なる「( )( )という疾患では病変の主座が特定の臓器ではなく、広く結合組織という系にある」という知見を示し、初めて( )病という概念を提唱した。( )病は前述のごとく病理学的な概念であり、全身の( )線維に( )変性という共通の病変を認める。
その後、彼は1950年に、( )( )に加えて( )( )( )( 10 )の合計6疾患をこの概念を満たす疾患として発表した。
この概念は基本的には現在まで受け継がれ、今日的には( )病は「結合組織と血管を病変の主座として、臨床免疫学的には多彩な( 11 )を血中に認める、多臓器の難治性慢性炎症性疾患」として定義される。欧米ではほぼ同じ概念として( 12 )病とも呼ばれる。
(5)病は、臨床免疫学的な側面から考えた時には( 13 )疾患に近縁であり、また臨床的には運動器の疼痛を伴うことから( 14 )疾患に含まれる。

<解答> (1)1942、(2)Paul Klemperer、(3)全身性エリテマトーデス(4)強皮症(5)膠原、(6)フィブリノイド、(7)関節リウマチ(8)皮膚筋炎・多発筋炎(9)結節性多発動脈炎

(10)リウマチ熱 (11)自己抗体、(12)結合組織、(13)自己免疫、(14)リウマチ性
<解説> 5/17堀内先生P2、H14-2

2.活動期全身性エリテマトーデス(SLE)によく見られる検査所見はどれか。
1)リンパ球減少   2)CRP強陽性     3)尿タンパク陽性   4)低補体血症
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> a     <解説> 5/24堀内先生P1~、YN-F50
(1)○ 特にTリンパ球が減少。 (2)× 活動期でも上がらない。高値のときは感染症の合併を疑う。
(3)○ タンパク尿、血尿、細胞性円柱。  (4)○ 活動期に下がる。

3.ベーチェット病について正しいのはどれか。
1)ぶどう膜炎、外陰部潰瘍の存在が診断に特に重要である  2)HLA-B51陽性が診断の参考となる
3)活動期には補体が低下する  4)南半球に多い疾患である
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> b    <解説> 5/31堀内先生P6、YN-F6869
(1)○…他に口腔内アフタ、皮膚症状。 (2)○…陽性率5070%。 (3)×…活動期に上昇する。
(4)×…中近東、地中海沿岸、韓国、中国に頻発し、シルクロード病ともいわれる。

 

4.強皮症(diffuse type)について正しいのはどれか。
1)副腎皮質ステロイド剤が著効する      2)レイノー症状が発症に先行することが多い
3)肺線維症が代表的な内臓所見である  4)全国で50万人の患者が存在する
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> c     <解説> 5/24堀内先生P3、YN-F54
   強皮症=全身性硬化症
(1)×…著効することはないかと。浮腫にはステロイドを使用。
(2)○  (3)○…下肺野に起こり、感染症を起こす。
(4)×…患者数は人口10万に対し5人。

5.混合性結合組織病(MCTD)について正しいものはどれか。
1)SLE、関節リウマチ、強皮症の症状、所見が混在する
2)比較的予後良好であるが、肺高血圧の合併した場合は注意が必要
3)鎮痛解熱剤による無菌性髄膜炎を起こすことがある  4)男女比は5:1で男性に多い
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> c    <解説> 5/31堀内先生P5、YN-F58
(1)×…SLE、強皮症、皮膚筋炎/多発筋炎。
(2)○…肺高血圧は5%に合併し難治性。在宅酸素療法が必要になる。  (3)○…選択肢から。
(4)×…1:1315で女性に多く、30代がピーク。

6.全身性エリテマトーデスの診断に役立つ症状はどれか。
1)紫外線に過敏である  2)骨の破壊を伴う激しい関節炎を認める  3)脱毛  4)痙攣発作
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> a      <解説> 5/24堀内先生P1~
(1)○…誘因、増悪因子の一つ。    (2)×…関節変形や骨びらんは稀。関節炎は95%に合併。
(3)○…前髪が短く、円形。可逆性。 (4)○…15%。てんかんとの鑑別重要。

 

7.次にあげるループス腎炎の組織所見のうちネフローゼ症候群を呈する頻度が高いものはどれか。
1)正常糸球体(WHO Ⅰ型)  2)純粋なメザンギウム変化型(WHO Ⅱ型)
3)びまん性増殖性糸球体腎炎(WHO Ⅳ型)  4)膜性糸球体腎炎(WHO Ⅴ型)
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> d      <解説> 5/24堀内先生P1、YN-F48
(1)× Ⅰ型は尿所見正常もしくは、まれにごく軽度の顕微鏡的血尿がみられる。
(2)× Ⅱ型はときに軽度の顕微鏡的血尿とタンパク尿がみられる。大量ステロイド不要。
(3)○ Ⅳ型の多くはネフローゼ症候群を呈する。著しい低補体血症と腎機能低下を伴い、腎不全に至るものも少なくない。大量ステロイドが必要。
(4)○ Ⅴ型はタンパク尿は高度でネフローゼ症候群を呈することが多い。

 

8.抗リン脂質抗体症候群について正しいものはどれか。
1)出血傾向を伴う        2)習慣性流産を合併することが多い
3)aPTTの延長が見られる 4)血小板の増加を伴う
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> c      <解説> YN-G90
(1)×…血小板は減少するが、出血傾向はきたさないことが多い。
(2)○…治療には少量アスピリンとヘパリンを併用。ワーファリンは催奇性があるので使えない。
(3)○…正常血漿を投与しても是正されない。  (4)×…減少する。

9.皮膚筋炎について正しいものはどれか。
1)ヘリオトロープ疹が見られる       2)筋酵素が上昇する
3)悪性腫瘍を合併する頻度が高い  4)筋生検で筋線維の変性、細胞浸潤が見られる
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> e      <解説> 5/24堀内先生P3、YN-F50
(1)○…他にGottron徴候、多型皮膚萎縮症。
(2)○…CKは治療効果判定にも用いる。赤沈上昇は筋ジストロフィーとの鑑別重要。
(3)○…30%に合併し、高齢者ほど多くなる。胃癌、肺癌、子宮癌、悪性リンパ腫が多い。
(4)○…特に近位筋に筋線維の変性、萎縮、再生や小リンパ球浸潤が見られる。

10.シェーグレン症候群について正しいものはどれか。
1)20~30歳代の若年女性に多い  2)しばしば耳下腺が腫脹する
3)間質性腎炎を合併することがある  4)唾液腺の組織所見では好中球優位の浸潤が認められる
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> c       <解説> 5/31堀内先生P4、YN-F64
(1)×…40代の中年女性に多い。
(2)○…唾液腺、涙腺などの外分泌腺が腫脹する。分泌機能が下がる。
(3)○…他に尿細管性アシドーシスtype1、Fanconi症候群も合併することがある。
(4)×…好中球ではなく単核球。

11.成人スチル病について正しいものはどれか。
1)40度におよぶ弛張熱あるいは間歇熱が見られる
2)発熱時のサーモンピンク色紅斑の出現は診断の有力な根拠となる
3)原則としてリウマトイド因子、抗核抗体は陰性である  4)高率にフェリチンが著増する
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.3,4  e.すべて

<解答> e     <解説> 5/31堀内先生P6、YN-F47
(1)○…1週間以上続く。高熱と(2)の発疹が関節痛に先行する。
(2)○…頚部、体幹、四肢近位部の小さな紅斑。  (3)○
(4)○…他に赤沈上昇、WBC10000/mm^380%以上の好中球の増加を伴って)。

12.関節リウマチとNSAIDsについての記載で、正しい組み合わせの記号を書きなさい。

1)関節リウマチの女性は、健康女性に比べて妊娠しにくく、妊娠中の合併症が多い。

2)NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害する。COX-1は胃や腎臓に恒常的に発現しており、このCOX-1を特異的に阻害することで、NSAIDsのもつ、消化管潰瘍や間質性腎炎の副作用を回避することが出来る。

3)早期関節リウマチに対しては、重篤な副作用があるDMARDsは使わずに、比較的安全なNSAIDsを用いて、積極的に治療を開始する。

4)関節リウマチ患者の寿命が有意に短いことには、その治療薬がもつ有害事象の関与もある。そして、NSAIDsは、関節予後を改善しない。
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.4のみ  e.すべて

<解答> d        <解説> 6/1中島先生P4~5、YN-F41H15-7
(1)×…妊娠能力に差はなく、合併症も増加しない。
(2)×…NSAIDsCOX-1阻害→PG減少→胃酸分泌↑、腎機能↓。
(3)×…NSAIDsDMARDsの併用が基本。    (4)○

13.DMARDsについての記載で、正しい組み合わせの記号を書きなさい。

1)ブシラミンの副作用として、血小板減少がよく見られるので、フォローには血液学的検査が必要である。

2)ブシャール結節やヘバーテン結節を呈している場合は、関節リウマチの病勢が強い時なので、積極的にDMARDsを用いて治療を行う。

3)妊娠中に関節リウマチは、改善することが多いことが知られている。しかし、悪化した際は、ステロイドは妊娠中毒症を発症させ、胎児に対し催奇形性があるので、使用を避け、DMARDsで積極的に治療する。

4)メソトレキセートの副作用の中には、重篤な間質性肺炎があるので、服用中の患者さんの呼吸器症状の有無を確認することは重要である。
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.4のみ  e.すべて

<解答> d    <解説> 6/1中島先生、H15-8

(1)×…ブシラミンの副作用は発疹、骨髄抑制、ネフローゼなど。血小板減少は金製剤の副作用。

(2)×…ブシャール結節やヘバーテン結節は変形性関節症。ブシャール結節はPIP、ヘバーデン結節はDIP

(3)×…ステロイドは妊娠に対して最も安全に使用できる治療薬。DMARDsの安全性は未確認。

(4)○…他に消化器症状、口内炎、肝障害など。

 

14.免疫抑制剤、抗サイトカイン療法について正しい組み合わせの記号を書きなさい。
1)サイクロスポリンは、シクロフィリンを有するTリンパ球と肝細胞の増殖を特異的に抑える免疫抑制剤であるので、T細胞の増殖を阻害するが、肝臓には影響を与えない血中濃度を維持することが副作用回避の手だてである。
2)ループス腎炎のびまん性増殖性糸球体腎炎(WHO 型)に対しては、大量のステロイド療法を行う。免疫抑制剤は、高頻度に精神症状(CNSループス)を併発させるので使用しない。
3)キャッスルマン症候群の特効薬である抗IL-10受容体抗体は、日本で研究開発された薬剤であり、関節リウマチにも効果的であることが明らかになりつつある。
4)抗TNF-α抗体の臨床応用が日本でも始まってきたが、副作用としては、細胞内寄生体感染症、特に結核の発症が心配されている。
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.4のみ  e.すべて

<解答> a       <解説> 6/1中島先生、H15-9
(1)×…肝臓ではなく腎臓。尿細管壊死などを起こしうる。
(2)×…致命的(CNSループス等)な時に免疫抑制剤を使う。
(3)×…キャッスルマン症候群はIL-6産生過剰を伴う胸腺腫のため治療薬は抗IL-6受容体抗体。

(4)○…他に投与中止後の跳ね返り現象の可能性も。MTXとの併用で効果の持続、増強が得られる

 

15.全身性硬化症について、正しい組み合わせの記号を書きなさい

1.びまん型全身性硬化症の患者には、Scl-70抗体の出現率が高く、限局型には抗セントロメア抗体の出現率が高い。

2.肺に網状影が出現し、間質性肺炎を疑う場合には、胸部CT検査とガリウムシンチ検査による活動性の評価を行う。

3.食道の蠕動運動が低下し、逆流性食道炎を併発した場合は、大量ステロイド治療を開始する。

4.指が腫脹し、こぶしが握れなくなった状況は、硬化症の病勢が強くなった場合であり、積極的に免疫抑制剤を加える。
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.4のみ  e.すべて

<解答> b        <解説> 6/1中島先生、YN-F5456
(1)○…P10Scl-70抗体は現在抗Topo-1抗体と呼ぶ。
(2)○…下肺野の難治性の肺線維症→治療はステロイドや免疫抑制剤(サイクロフォスファミド)。
(3)×…P11。ステロイドではなくPPI(プロトンポンプインヒビター)を用いる。
(4)×…P11。免疫抑制剤ではなくステロイドを用いる。

16.多発性筋炎・皮膚筋炎について正しい組み合わせの記号を書きなさい。

1.抗Jo-1抗体陽性の多発性筋炎の患者は、予後が悪いので、γ-グロブリン大量静注療法を早期から開始する。

2.急激な高血圧症状を呈する腎症を合併することがあるので、腎機能の定期的な検査を行い、発症した際にはカルシウム拮抗剤を第一選択として治療する。

3.遺伝性、家族性の発現が多いので、家族歴を十分に聴取することは、診断確定のために重要である。

4.筋炎症状のない皮膚筋炎患者の際には、急性間質性肺炎の合併の可能性に注意して治療を行う。
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.4のみ  e.すべて

<解答> d      <解説> 6/1中島先生P11YN-F5758

(1)×…抗Jo-1抗体陽性は予後を悪化させる因子である肺線維症を伴う症例に多い。ただ、γ-グロブリン大量静注療法は一般的でなく、シクロスポリンを用いる。

(2)×…原則として腎障害は合併しない。「急激な高血圧症状を呈する腎症を合併する」はおそらく強皮症の腎クリーゼのことで、治療にはACE阻害薬が用いられる。

(3)×…遺伝性、家族性はほとんどない。

(4)○…(1)にも書いた通り、肺線維症が合併すると予後不良。10%に見られステロイドには反応しないのでシクロスポリンを用いる。他に悪性腫瘍の合併も重要で、胃癌、肺癌、子宮癌、悪性リンパ腫が多い。

 

17.血管炎について正しい組み合わせの記号を書きなさい。

1.アレルギー性肉芽腫性血管炎には、リウマチ性多発筋痛症の合併の可能性に注意して治療を行う

2.ウェゲナー肉芽腫症患者には、高率にPR3-ANCAが見られ、ステロイド剤と免疫抑制剤シクロフォスファミドを併用して治療を行う。

3.Henoch-Schonlein purpuraの患者の治療に関しては、腎障害をはじめとずる臓器障害の合併がある場合にステロイド剤使用を選択する事が多い

4.古典的多発性動脈炎患者には、MPO-ANCAが認められ、細動脈以下の病変はないので、ステロイド剤単独で治療を行う。
a.1,3,4  b.1,2  c.2,3  d.4のみ  e.すべて

<解答> c       <解説> 5/25塚本先生
(1)×…P1、YN-F61。アレルギー性肉芽腫性血管炎=Churg-Strauss症候群。リウマチ性多発筋痛症が合併するのは巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)。
(2)○…P2、YN-F62。免疫抑制剤を主、ステロイドを従として腎病変をみる前に治療開始する。
(3)○…選択肢から。成人にはステロイド、免疫抑制剤、小児にはサリチル酸。
(4)×…P1。ステロイドと免疫抑制剤との併用で10%だった5生率が80%になった。また、細動脈以下は顕微鏡的多発血管炎。

18.膠原病における検査について正しい組み合わせはどれか。
(1)全身性硬化症――抗核小体抗体  (2)シェーグレン症候群――抗ガラクトース欠損IgG抗体
(3)レクチン経路―――B因子  (4)LE細胞―――DNA-ヒストン複合体
(5)ループス腎炎(LN)WHO分類型―――Focal LN
a.1,2,3  b.1,2,5  c.1,4,5  d.2,3,4  e.3,4,5

<解答> c     <解説> 5/18塚本先生
(1)○…P2。   (2)×…P2。抗ガラクトース欠損IgG抗体はRA
(3)×…P2。B因子は第二経路。   (4)○…P1。  (5)○…P2。

19.正しい組み合わせはどれか。
(1)高安動脈炎――HLA-B51  (2)アレルギー性肉芽腫性血管炎――P-ANCA陽性
(3)免疫複合体測定―――C1q法  (4)赤沈―――炎症病態に対する高い特異性
(5)斑紋型抗核抗体―――二本鎖DNA
a.1,2  b.1,5  c.2,3  d.3,4  e.4,5

<解答> c        <解説> 5/1825塚本先生
(1)×…HLA-B51はベーチェット病(5/18P2)。高安動脈炎はHLA-P52で重症に(5/25P1)。
(2)○…5/25P2。6~7割。
(3)○…5/18P1。Cd法もある。
(4)×…5/18P1。赤沈は簡便だが判定に関する因子が多く、炎症マーカーとして特異性は低い。
(5)×…5/18P1。斑紋型抗核抗体はU1-RNDSmSS-B。二本鎖DNAは辺縁型。

20.血管炎症候群につき正しい組み合わせはどれか。
(1)ヘノッホ・シェーンライン紫斑病―IgE上昇  (2)高安動脈炎血管分類型―大動脈弓型
(3)結節性多発動脈炎―――腹部大動脈分枝の多発動脈瘤
(4)ウェゲナー肉芽腫症―――ST合剤  (5)巨細胞性血管炎―――50歳未満
a.1,2  b.1,5  c.2,3  d.3,4  e.4,5

<解答> d       <解説> 5/25塚本先生
(1)×…P2。IgAが上昇。   (2)×…P1。大動脈弓型は型。
(3)○…P1。血管造影で腹部大動脈分枝に小動脈瘤が見られる。
(4)○…P2。ST合剤は寛解期に飲んで再発を予防する。普段は免疫抑制剤とステロイド併用。
(5)×…P1。巨細胞性血管炎=側頭動脈炎。50歳以上の中年女性に多い。

21.関節リウマチの病態に基づく新しい治療方法を説明し、それらの治療の今後の問題点について説明しなさい。

解答 最近行われている治療として抗TNFα抗体(Infliximab)、TNF受容体-Fc融合蛋白(Etanercept)を用いた治療がある。

TNFα抗体は抗サイトカイン療法の一つであり、使用する抗体はネズミで作ったヒトのTNFαに対する抗体の結合部分をヒトの抗体の一部と結びつけたもので、2~4週間ごとに静脈注射で投与する。これまでの薬剤抵抗性のRAにも有効性が認められている。しかし、抗サイトカイン療法にはサイトカインの本来の機能を阻害する、他の自己免疫疾患に移行する、抗体のヒト型化が必要である、注射投与が主流であるなどの問題点も存在する。抗TNFα抗体もその例外ではなく、元々腫瘍壊死因子として同定されたものであることに関して、短期では癌の発症は少ないが長期的な検討が必要であったり、投与中止後の跳ね返り現象(症状の悪化)、アレルギー反応の可能性があったり、結核などの感染症、呼吸困難などを引き起こす可能性があったりと今後解決されるべき問題点も多い。最近、免疫抑制剤MTXとの併用で副作用の軽減、効果の増強、持続が得られることが分かってきた。
TNF
受容体-Fc融合蛋白は細胞表面のTNF受容体(p75分子)の一部と同じ構造の物質である可溶性TNF受容体を作り、ヒトの抗体の一部と結びつけたものである。この可溶性受容体がTNFαと結合して細胞上のTNFα受容体への結合を阻害する。皮下注射で週2回投与し、MTXが無効なRAに併用する。投与中止後の跳ね返り現象や感染症などの副作用も心配されており、日本ではまだ認可されていない。
解説 5/28大塚先生P2、6/1中島先生P6~8、YN-F42。大塚先生のプリントにはCOX-2阻害薬やDMARDsなども挙げられていますが、ここでは生物製剤について書いてみました。

22.アレルギーに関する以下の問に答えよ。  1)誤った組み合わせはどれか。

a.型アレルギー反応  スクラッチテスト  b.型アレルギー反応  Coombs試験
c.型アレルギー反応  血清病  d.型アレルギー反応  貼付試験
e.型アレルギー反応  Arthus型皮膚反応

解答 e
解説 5/7久保先生P3、H15-10(1)H14-11(1)
a○…他にプリックテスト、皮内テスト。b○c○d○e×…Arthus型皮膚反応は型。

2)喘息について正しいのはどれか
(1)アトピー型では遅発型喘息反応はほとんどおこらない
(2)気管支拡張薬は非アトピー型よりアトピー型の方が有効である
(3)小児喘息はアトピー型の割合が非アトピー型の割合より少し多い
(4)アトピー型、非アトピー型で気道の炎症や気道過敏性に差異はみられない
(5)成人ではアトピー型と非アトピー型がほぼ同じ割合である
a.1,2  b.1,5  c.2,3  d.3,4  e.4,5

解答 e.
解説 久保先生、H15-10(2)H14-11(2)
(1)×…おこる。(2)×…非アトピー型に有効。(3)×…アトピー>>非アトピー。

(4)○…両者の症状は同じ。(5)○

3)アレルギー疾患の治療について正しいのはどれか。
(1)自己管理が重要である  (2)抗アレルギー薬はよく使われる

(3)ステロイド薬は副作用のためあまり使われない
(4)免疫療法は行われない  (5)心理療法も行われることがある
a.1,2,3  b.1,2,5  c.1,4,5  d.2,3,4  e.3,4,5

解答 b
解説 5/10久保先生P1表
(1)○…慢性疾患なので。ポイントは環境整備と薬物療法。(2)○…抗ヒスタミン薬、気管支拡張薬など。(3)×…使う。(4)×…行う。(5)○…他の科目でも久保先生出題で「心理療法を行う」系の選択肢は必ず○。

4)減感作(免疫)療法に関して正しいのはどれか。
(1)皮内注射で施行する  (2)副作用としてアナフィラキシーを起こす
(3)カンジダによる減感作も行われる  (4)最初の皮膚反応の大きさで維持量の目安をきめる
(5)遮断抗体はIgA抗体に属する
a.1,2,3  b.1,2,5  c.1,4,5  d.2,3,4  e.3,4,5

解答 d
解説 久保先生、H15-10(4)H14-11(4)
(1)×…皮下。(2)○…蕁麻疹、鼻炎、喘息も。
(3)○?…選択肢から。前年度の解答によると細菌、真菌、食物は用いないらしいですが…。
(4)○(5)×…IgG

5)気管支喘息の二相性反応について正しいのはどれか。
(1)細胞性免疫と体液性免疫が関与していることをいう
(2)遅発型反応は細胞性免疫が関与している  (3)即時型反応と体液性免疫が関与している
(4)即時型反応は吸入誘発試験の15分後ぐらいに生じる
(5)喘息患者では二相性反応が必ずしもみられない
a.1,2  b.1,5  c.2,3  d.3,4  e.4,5

解答 e
解説 5/7久保先生P2表、H15-10(5)H14-11(5)
(1)×…即時型反応と遅発型反応。(2)×…炎症細胞(好酸球、好中球、Mφ、Tリンパ球etc)。(3)×…肥満細胞。(4)○(5)○

6)抗アレルギー薬の作用機序として正しいのはどれか。
(1)ロイコトリエン拮抗作用 (2)H1受容体拮抗作用 (3)アラキドンサン酸受容体拮抗作用
(4)シクロキシゲナーゼ阻害作用  (5)Th1サイトカイン産生抑制作用
a.1,2  b.1,5  c.2,3  d.3,4  e.4,5

解答 a
解説 5/10久保先生P1表、H15-10(6)H14-11(6)
(1)○(2)○(3)×(4)×(5)×…Th2。

7)吸入ステロイド薬連続使用により起こりうる副作用はどれか。
(
)嗄声  ()女性化乳房  ()高ナトリウム血症  ()口腔内カンジダ症  ()副腎機能抑制
a.1,2,3  b.1,2,5  c.1,4,5  d.2,3,4  e.3,4,5

解答 c

解説 5/10久保先生P2、H15-10(7)H14-11(7)
(1)○(2)×…吸入では全身性の副作用は起こらない。内服では生じうる。(3)×(4)○(5)○

 

8)ステロイド薬について正しいのはどれか。
(1)小児では特に成長発育の抑制はおこさない  (2)重要な副作用として大腿骨骨頭壊死がある
(3)内服中に生じた糖尿病では直ちに中止すべきである
(4)持続的筋注ステロドは使用してはならない

(5)長期投与に際しては筋萎縮、ミオパチーがみられる
a.1,2  b.1,5  c.2,3  d.3,4  e.4,5

解答 e
解説 5/10久保先生P2、H15-10(8)H14-11(8)
(1)×…おこす。(2)×…確かに起こるが重要か疑問。(3)×…2002年概説では〇だが、ステロイド離脱症候群ではないかと…自信ありません。(4)○(5)○…骨粗鬆症も。

 

23.以下の( )の中に適当な語句を入れよ。
若年性関節リウマチ診断の手引き
1.6週間以上続く(  1  )
2.6週間未満の場合には、次の1項目を伴うもの
a.(  2  )  b.リウマトイド疹  c.(  3  )  d.朝のこわばり
e.屈曲拘縮  f.頸椎の疼痛またはレントゲン像の異常  g.リウマトイド因子陽性
リウマチ熱の診断基準
1.主症状
1)(  4  )  2)(  5  )  3)(  6  )  4)輪状紅斑  5)皮下小結節

解答 (1)多関節炎、(2)虹彩炎、(3)弛張熱、(4)心炎、(5)多関節炎、(6)舞踏病
解説 4/27原先生P2表22-1P1表8、H15-11H14-12

 

24.正しいものを選べ。
1)ラングハンス細胞は表皮内に存在する抗原提供細胞である。
2)ウルシによる接触皮膚炎の人はサクラソウにも接触皮膚炎を起こしやすい。
3)アトピー性皮膚炎では血中IgE値や好酸球数値が増加しやすい。
4)Th2細胞はインターフェロンガンマを産生する。

解答 3)
解説 4/30古江先生、H15-12H14-15
(1)×…P1。ラングハンスではなくランゲルハンス。
(2)×…選択肢より。感作源によるのでは?
(3)○…P3。アトピー素因によりIgE↑→肥満細胞活性化→脱顆粒→Th2優位→好酸球↑。喘息でもIgE↑。
(4)×…P3。Th1→IFN-γ、IL-2、TNFTh2→IL-4、5、1013

25.薬疹について正しいものに○、誤っているものに×をつけよ。
a)播種状紅斑丘疹型が最も多い。  b)同じ薬剤で異なる発疹型をとることがある。
c)治療の基本は原因薬剤の中止である。
d)パッチテスト、DLST(薬剤リンパ球刺激試験)で陰性であれば、原因薬剤から除外できる。
e)HHV6(human herpes virus6)の関与する重症型の薬疹がある。
f)ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)の投与は禁忌である。

解答&解説 6/4占部先生
a)○…P1右の一番下。
b)○…P2右の3、4番目。ただし一部の薬剤では病型との間に明確な相関あり。
c)○…P1右の2番目、P3左の一番下、右の一番上。
d)×…P3左の3、4番目。現状ではいずれの検査にも限界があるので除外できないのではないかと。
e)○…P2右の2番目。Hypersensitivity syndromeのこと。
f)×…P3左の一番下、右の一番上。ステロイド全身投与が原則。

26.全身性強皮症でみられる症状に○、一般に見られないものに×をつけよ。
a)レイノー症状    b)pitting scar     c)手指末端の硬化
d)舌小帯の短縮    e)爪上皮の延長    f)両下肺野の線維症

解答&解説 5/21占部先生P
全部○。

27.関節リウマチの画像診断に関して、正しいものを選べ

(1)関節リウマチの関節の単純X線所見として軟部組織腫脹、関節裂隙の狭少化、関節周囲の骨萎縮、骨びらん、アラインメント異常、関節強直などがある。

(2)骨関節破壊進行度のX線評価法としては、SteinbrockerのX線stage分類よりもLarsenのX線Grade分類やSharp法などの方が鋭敏で、よく用いられている。

(3)早期RAの関節滑膜炎、骨びらんの描出にはMRI(核磁気共鳴法)が優れている。

(4)頸椎環軸椎亜脱臼の診断および評価には頸椎動態単純X線側面像およびMRIが用いられる。

(5)骨シンチグラフィーでは活動性滑膜炎のある関節にRIの集積が見られることが多い。
a.1,2,3  b.1,2,5  c.1,4,5  d.2,3,4  e.1~5すべて

解答 e
解説 5/27首藤先生、H15-16、H14-20
(1)○…P6。(2)○…P6。(3)○…P6。選択肢より。(4)○…P4。(5)○…P7。

28.関節リウマチの手術的治療について正しいものを選べ。

(1)薬物療法を含めた保存療法に抵抗する症状を有する破壊された関節に対しては、手術的治療が考慮される。

(2)関節リウマチ患者は、易感染性ではないので、術後感染に対し特に配慮が必要ではない。

(3)関節リウマチ患者の全身麻酔に際しては、術前に環軸椎亜脱臼などの頸椎の状態を評価しておくことが必須である。

(4)足趾の変形や足底の胼胝(べんち)形成に伴う歩行障害に対して切除関節形成術(resection arthroplasty)は有効な治療法である。
a.1,3,4のみ  b.1,2のみ  c.2,3のみ  d.4のみ  e.1~4すべて

解答 a
解説 5/27首藤先生、H15-18、H14-21
(1)○…P9。(2)×…P10。易感染性である。(3)○…P10。(4)○…P11

 

29.関節リウマチに対する人工関節手術に関して正しいのはどれか

(1)人工関節置換術は破壊された関節の機能再建を目的とする手術であり、股関節、膝関節の人工関節置換術後の長期成績は安定している。

(2)60歳以下の患者に人工関節置換術を行うことはない。

(3)人工股関節置換術後の関節リウマチ患者は、変形性股関節症患者に比べ、脱臼の心配は少ない。

(4)人工股関節置換術の合併症として人工関節の脱臼、感染、ゆるみ、摩耗、深部静脈血栓症、肺塞栓などは極めてまれなので術前に患者には説明する必要はない。

(5)破壊された足関節に対する足関節固定術は、術後の長期成績も安定しており、一般的に行われている。
a.1,2  b.1,5  c.2,3  d.3,4  e.4,5

解答 b
解説 5/27首藤先生P1011、H15-19、H14-21
(1)○…ただし人工足関節については長期の安定性が今ひとつ。
(2)×…一般には60歳以上が適応だが、症状次第ではその限りではない。(3)×(4)×
(5)○…(1)で書いた通り人工足関節については長期の安定性が今ひとつなので、代わりに足関節固定術が行われている。

 

30.血清反応陰性脊椎関節症に分類される疾患を選べ。
(1)リウマチ性多発筋痛症   (2)強直性脊椎炎   (3)反応性関節炎
(4)乾癬性関節炎         (5)痛風
a.1,2,3  b.1,2,5  c.1,4,5  d.2,3,4  e.3,4,5

解答 d
解説 5/27首藤先生P12、H15-20、H14-22
(1)×(2)○…他にライター症候群、腸疾患に伴う関節炎も。(3)○(4)○(5)×

 

31.強直性脊椎炎に関して、正しいものを選べ
(1)30~40歳代の発症が多い。  (2)男性に多い。
(3)痛みは、夜間や朝方に強く、運動により軽快することが特徴である。
(4)初期症状としては、腰部、唇部、背部の痛みなどが多い。
(5)HLA-B7が90%以上の症例で陽性である。
a.1,2,3  b.1,2,5  c.1,4,5  d.2,3,4  e.3,4,5

解答 d
解説 5/27首藤先生P12
(1)×…1020歳代。(2)○…5:1で男性に多い。(3)○(4)○(5)×…HLA-B27が陽性。

 

 

32.リウマチ性多発筋痛症の特徴として適切なものはどれか
(1)頚部から肩にかける痛みとこわばり    (2)血沈の亢進
(3)発熱     (4)体重減少      (5)ステロイドが有効
a.1,2,3  b.1,2,5  c.1,4,5  d.2,3,4  e.1~5すべて

解答 e                                                       
解説 5/27首藤先生P1415
(1)(2)○…40mm/時以上。(3)○…37以上。(4)(5)○

 

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