平成16年度 「アレルギー・膠原病」 卒業試験

 

 

1. この文章を読んで以下の問いに答えよ。

22歳の女性。以前よりレイノー症状はあった。初産3週間後より多関節痛を訴えるため、産科より紹介されて受診。産科的には問題ない。主訴は多関節痛、筋痛、全身倦怠感。既往歴、家族歴に特記すべきことなし。  現症:身長160cm、体重53kg、血圧130/80、脈拍72/分整、球結膜に黄疸なし、瞼結膜は軽度貧血様、頚部・腹部・胸部に異常なし、膝蓋腱反射は正常、筋力低下や筋把握痛はなし、下腿浮腫なし、手背腫脹を認め、両側の手指硬化を伴う。指尖の陥凹性瘢痕はない。右第23指のPIP関節、左第3指のMP関節、両手関節の運動痛と圧痛を認める。

一般検査所見:検尿異常なし、血沈50mm/hr、白血球3200/μl、赤血球380/μlHb 8.9g/dlHt 30%、電解質正常範囲、ALT 90IU/lAST 30IU/lALP正常、リウマトイド因子陰性、斑紋型抗核抗体陽性。

1)診断に必要な血液検査の組み合わせはどれか。

(1) CRP  (2) U1-RNP抗体  (3) 血小板数   (4) CPK  (5) フェリチン

a (1,2,3)b(1,2,5)c(1,4,5)d(2,3,4)e(3,4,5)

2)必要な画像診断はどれか。

(1) 手指X線撮影   (2) 胸部X線撮影   (3) 上部消化管X線検査   (4) 腹部超音波検査

(5) 腹部CT検査

a(1,2)b(1,5)c(2,3)d(3,4)e(4,5)

3)鑑別診断としていかなるものが考えられるか(5つ以内)。

<解答例>

1)      b   (1) (2) 混合性結合組織病で陽性 (3) SLEでしばしば減少する (4) 強皮症で軽度上昇することあり (5) RAで血清フェリチン上昇。あと貧血あるし・・・

2)      a      (1) (2) 膠原病は間質性肺炎を合併することがある

3)      全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織病、PMDM、血管炎症候群

 

2. この文章を読んで以下の問いに答えよ。

48歳女性、5年前蝶形紅斑にて発症、SLEの診断のもとにメチルプレドニゾロンパルス療法を施行された。その後経口にてプレドニゾロン50mgを投与され、臨床症状、検査所見の改善に伴い漸減し、5ヶ月後より10mgの維持量で経過を追っていた。最近、左股関節痛が出現し、痛みのため歩行困難となり来院した。発熱なく、他の関節に炎症所見なし。血沈23mm/hrCRP(-)、抗核抗体160倍、抗DNA抗体13U/mlCH50 36.6U/ml、リウマトイド因子陰性。

1)最も考えられる診断は何か。

a. SLEの再燃  b. 大腿骨頭壊死  c. 坐骨神経痛

d. 大腿骨頚部骨折  e. 関節リウマチの合併  f. 骨粗鬆症

2)確定診断に有用な検査はどれか。

(1) 股関節X線検査  (2) MRI  (3) 骨シンチ  (4) 腹部CT

a(1,3,4)b(1,2,3)c(2,3)d(4のみ)e(すべて)

<解答例>  1) b  2) b

 

3.この文章を読んで以下の問いに答えよ。

46歳主婦。主訴:発熱、嘔吐。

現病歴:10年前に眼球乾燥感、5年前に口腔内乾燥感、4年前にレイノー症状が生じたが放置していた。最近、両手指の関節痛を訴えて某医を受診し、イブプロフェンを処方され内服した。その翌日に頭痛、40℃の発熱、悪寒、嘔気、嘔吐が出現したため紹介され入院した。既往歴、家族歴に特記事項なし。

現症:血圧108/72、脈拍108/分整、耳下腺・顎下腺の腫脹はない。呼吸音・心音に異常なし。腹部に異常なし。両側MPPIP関節の腫脹と熱感を認める。神経学的所見では意識は軽度障害、項部硬直がある。

検査所見:白血球7400/μl、赤血球382/μlHb 11.5g/dlHt 33.7%、血小板 17.2/μl、血沈 42mm/hrCRP 3.8mg/dlRA 48.5IU/mlIgG 2334mg/dlIgA 384mg/dlIgM 67mg/dlCH50 55U/mlC3 82mg/dlC4 29mg/dl、抗核抗体320(speckled pattern)、電解質正常、BUN 11mg/dlCr 0.4mg/dl、検尿 蛋白(-) 潜血(-)、髄液検査:初圧18cm、終圧15cm、細胞数1112/3(好中球1096、リンパ球16)、蛋白56mg/dl、糖67mg/dl

1)考えられる疾患はどれか。

(1) 全身性エリテマトーデス  (2) 抗リン脂質抗体症候群   (3) シェーグレン症候群

(4) 無菌性髄膜炎         (5) 結節性多発動脈炎      (6) 関節リウマチ

a(1,2)b(1,5)c(2,3)d(3,4)e(4,5)f(5,6)g(2,6)

2)診断のために有用な検査所見はどれか。

(1) SS-A抗体  (2) 髄液培養検査  (3) ANCA(抗好中球細胞質抗体)

(4) 梅毒検査  (5) ローズベンガルテスト

a(1,2,3)b(1,2,5)c(1,4,5)d(2,3,4)e(3,4,5)

3)現時点の治療として妥当なものを2つ選べ。

A 抗生物質投与       B 血漿交換療法     C 副腎皮質ステロイド剤投与

D 免疫抑制剤投与     E 抗凝固療法       F 非ステロイド性抗炎症剤投与

<解答例> 1) d 2) b 3) A,B

1) よくわかりませんが、SjSの症状と項部硬直があるので

2) 上記の理由より 3) SjSC,D,Fは原則として用いられない。

 

4.膠原病は女性に多いが、それに関連した以下の問いに答えよ。

1)男女比が110と圧倒的に女性に多い疾患を2つ挙げよ。

2)女性に多い理由を述べよ。

<解答例>

1) シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス

2) ? 黄体ホルモンであるプロゲステロンがTh2を活性化して液性免疫を亢進させるから?

 

5.下記の項目につき、正しい組み合わせを選び解答欄に記せ。

1)1987年のアメリカリウマチ学会のRA診断基準に含まれるものは。

a. 手関節またはMP、またはPIP関節領域の腫脹  b. 血清TNFαの上昇

c. リウマトイド因子陽性  d. CRP2.0mg/dl以上  e. 手指、手関節のX線異常所見

(1)abc (2)ace (3)bcd (4)bde (5)すべて

<解答例> (2)

アメリカリウマチ学会RA診断基準以下の7項目のうち4項目以上を満たすとリウマチと診断

1.少なくとも1時間以上持続する朝のこわばり (6週以上持続)

2.3個以上の関節の腫脹 (6週以上持続)

3.手(wrist)MCP(中手指節関節)PIP(近位指節関節)の腫脹 (6週以上持続)

4.対称性関節腫脹  5.手、指のX線の変化

6.皮下結節(リウマトイド結節)  7.リウマトイド因子の存在

 

2)以下より正しいものを選べ。

a. RASLEに比べると男性患者が多く、発症男女比は1:1である。

b. RA患者ではリウマトイド因子陽性は50%以下である。

c. 強皮症患者の手指変化は指尖部より始まることが多い。

d. SLEにおける関節炎では、関節破壊は顕著ではない。

e. ライター症候群患者ではパルボウイルス感染症が誘因となっていることが多い。

(1)ab (2)bc (3)cd (4)bd (5)de

<解答例> (3)

a. × 男女比はRASLEそれぞれ15110。 b. × RA患者の約80%で陽性。 

c. たぶん○。  d. SLEでは通常、骨の破壊や変形を伴わない。 

e. × ライター症候群はクラミジア感染が契機になる。

 

3)以下より正しいものを選べ。

a. RA治療では副腎皮質ステロイドの使用は禁忌である。

b. RAの活動期には末梢血の好中球数は一般に減少する。

c. 悪性関節リウマチでは免疫複合体価が上昇することが多い。

d. 続発性アミロイドーシスの原因疾患として最も頻度が高いのはSLEである。

e. メトトレキサートはRA治療において有効率が高く。効果発現は他のDMAEDよりも早い。

(1)ac (2)bc (3)bd (4)ae (5)ce

<解答例> 5)

a. × b. ? c. たぶん○ そういうこともあるらしい d. × SLEではなく関節リウマチ約6割 e.

 

4)以下より正しいものを選べ。

a. 急性肺炎ではリウマトイド因子が陽性となることが多い。

b. シェーグレン症候群ではリウマトイド因子が陽性になることが多い。

c. RAによる貧血では巨赤芽球性貧血の形をとることが多い。

d. メトトレキサートの副作用として間質性肺炎は頻度が低いが重篤であるので注意を要する。

e. RAの手のX線写真上stage2では関節硬直が生じている。

(1)ab (2)bd (3)be (4)ad (5)ce

<解答例> 2)

a. × b. ○ c. × 巨赤芽球性貧血はビタミンB12不足 d. ○ 

e. ×  stage1  X線写真上に骨破壊像はない

stage2  X線学的に軽度の軟骨下骨の破壊を伴う。あるいはオステオポローゼ(骨そしょう)がある。軽度の軟骨破壊はあってもよい。関節変形はない。

Stage3 X線学的に軟骨および骨の破壊がある。オステオポローゼがある。関節変形がある。骨性強直を伴わない。

Stage4 繊維性あるいは骨性強直がある。

 

6.関節リウマチとNSAIDsについての記載で、正しい組み合わせの記号を選べ。

1.RAの薬物療法は、痛み、こわばり、倦怠感などの患者の苦痛を軽減し、QOLの改善を図ることある。しかし、NSAIDsによる治療は、関節予後を改善しない。

2.関節リウマチ患者の寿命が有意に短いことには、RA自体の病態とその治療薬がもつ有害事象の関与がある。

3.NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害する。COX-1は、胃や腎臓に恒常的に発現しており、このCOX-1を特異的に阻害することで、NSAIDsのもつ消化管潰瘍や間質性腎炎の副作用を回避することができる

4.早期関節リウマチに対しては、副作用があるDMARDsは使わずに、比較的安全なNSAIDsを用いて、積極的に治療を開始する。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  d)4のみ e)すべて

<解答例> b) 2003年度概説試験の問題9

1. ○ 2. ○ 3. × 「おり、このCOX-1を特異的に」→「いる。COX-2を特異的に」 4. × 併用する

 

 

7.DMARDsについての記載で、正しい組み合わせの記号を選べ。

1.ブシラミンの副作用として、顆粒球減少がよく見られるので、フォローには血液学的検査が必要である。

2.妊娠中に関節リウマチは改善することが多いことが知られている。しかし、悪化した際はステロイドは妊娠中毒症を発症させ、胎児に対して催奇形性があるので、使用を避け、DMAEDsで対症的に治療する。

3.DMARDsの副作用として腎障害がしばしば見られるため、フォローには尿検査が必要である。

4.メトトレキサートの副作用の中には、重篤な間質性肺炎があるので、服用中の患者さんの呼吸器症状の有無を確認することは重要である。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  d)4のみ  e)すべて

<解答例> d) 2003年度概説試験の問題10

1のブシラミンは比較的副作用は少ない。2DMARDsには催奇形性を持つものがある。3はフォローとして尿検査を用いるか??・・・2003年度概説試験の問題10の解説より

 

8.免疫抑制剤、抗サイトカイン療法について正しい組み合わせの記号を選べ。

1.サイクロスポリンは、シクロフィリンを有するTリンパ球と腎の細胞の増殖を特異的に抑える免疫抑制剤であるので、T細胞の増殖を阻害するが、腎臓には影響を与えない血中濃度を維持することが副作用の回避の手立てである。

2.ループス腎炎のびまん性増殖性糸球体腎炎(WHOⅣ型)に対しては、大量のステロイド療法を行う。免疫抑制剤は、高頻度に精神症状(CNSループス)を併発させるので使用しない。

3.キャッスルマン症候群の特効薬である抗IL-6受容体抗体は、日本で研究開発された薬剤であり、関節リウマチにも効果的であることが明らかになりつつある。

4.TNF-α抗体の臨床応用が日本でも始まってきたが、副作用としては、細胞内寄生体感染症、特に結核の発症が心配されている。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  d)4のみ  e)すべて

<解答例> a) 2003年度概説試験の問題11

2はループス腎炎(WHO-型)ではステロイドに免疫抑制剤を併用したほうが予後は改善する。3,4も最近のトピックとして大事のようである。・・・2003年度概説試験の問題11の解説より

 

9.膠原病における検査について正しい組み合わせはどれか。

1.蛍光抗体法による抗核抗体染色型分類で斑紋型を示す場合の対応抗原はU1-RNPSmSS-B等である。

2.梅毒血清反応生物学的偽陽性は抗リン脂質抗体の存在により生じる。

3.免疫複合体の測定法にはC1q法やC3d法等がありⅡ型アレルギーが関与する病態の把握に有用である。

4.全身性エリテマトーデスではCRPと赤沈は並行して変動することが多い。

5.リウマトイド因子は関節リウマチに高い頻度で現れるが疾患特異性は高くない。

a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5

<解答例> b)

1. ○ 2. たぶん○ 3. ? 

4. × SLEでは赤沈が著名に亢進するものの、CRPが弱陽性あるいは陰性となる。 5.

 

10膠原病に合併する間質性肺炎の活動性評価に有用な検査はどれか。

1.Jo-1抗体  2. KL-6  3. ガリウムシンチ  4. Scl-70抗体  5. 肺血流シンチ

a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5

<解答例> a)

1. PM/DMや肺病変を合併する筋炎で認められる自己抗体 2. 間質性肺炎で上昇 3. 全身の炎症や腫瘍を検出。マリリンでよく使う 4. 強皮症で認められる自己抗体 5. 肺塞栓、肺梗塞の検索に使う

 

11血管性症候群につき正しい組み合わせはどれか。

1.巨細胞性血管炎は50歳以上の女性に多い。

2.Henooch-Schonlein紫斑病の皮膚組織所見では肉芽腫性またはフィブリノイド動脈炎がみられる。

3.古典的PNでは血管造影検査において腹部大動脈分枝の多発小動脈瘤を認めることが診断の決め手となることがある。

4.ウェゲナー肉芽腫症では寛解維持にST合剤が有用である。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  d)4のみ e)すべて

<解答例> a)

1. ○ 2. たぶん× PNの話では? 3. ○ 4. カリニ肺炎の予防にもなる

 

 

12血管炎症候群のうち小血管の血管炎に分類されるものはどれか。

1. 巨細胞性血管炎      2. 高安動脈炎    3. 結節性多発動脈炎

4. ウェゲナー肉芽腫症   5. アレルギー性肉芽腫性血管炎

a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5

<解答例> e)

大血管の血管炎・・・巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)、高安動脈炎

中血管の動脈炎・・・結節性多発動脈炎、川崎病

小血管の動脈炎・・・Wegener肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、顕微鏡的多発血管炎

HenochSchnolein紫斑病、特発性クリオグロブリン血症、皮膚白血球破砕血管炎

 

 

13アレルギーに関する以下の問いに答えよ。

1)誤った組み合わせはどれか。

a.I型アレルギー反応 スクラッチテスト  b.II型アレルギー反応 Coombs試験

c.III型アレルギー反応 血清病  d.IV型アレルギー反応 貼付試験

e.IV型アレルギー反応 Arthus型皮膚反応

<解答例> e.     b.○ c.○ d.○ e.× Arthus型皮膚反応→Ⅲ型アレルギー反応

 

2)気管支喘息の原因抗原検索のための検査はどれか。

1. プリックテスト  2. RIST(RadioImmunoSorbent Test)

3. リンパ球幼若化試験  4. RAST(RadioAllergoSorbent Test)  5. アレルゲン吸入誘発試験

a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5

<解答例> c) 1.2.×抗原非特異的3.×IV型アレルギー4.5.

 

3)喘息について正しいのはどれか。

1. アトピー型では遅発型喘息反応はほとんど起こらない。

2. 気管支拡張薬は非アトピー性型よりアトピー型のほうが有効である。

3. 小児喘息はアトピー型の割合が非アトピー型の割合より少し多い。

4. アトピー型、非アトピー型で気道の炎症や気道過敏性に差異は見られない。

5. 成人ではアトピー型と非アトピー型がほぼ同じ割合である。

a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5

<解答例> e) H.16概説の22.2)と全く同じ。

 

 

4)気管支喘息の二相性反応について正しいのはどれか。

1.細胞性免疫と体液性免疫が関与していることをいう。  2.遅発型反応は細胞性免疫が関与している。

3.即時型反応と遅発型反応がある。  4.即時型反応は吸入誘発試験の15分後くらいに生じる。

5.喘息患者では二相性反応は必ずしも見られない。

a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5

<解答例> e)       1.× 2.× 好酸球が関与。 3.○ 4.○ 5.

 

5)アスピリン喘息について正しいものはどれか。

1. 非アトピー性である。  2. 食用黄色4号でも生じる。  3. 高齢者よりも若年者で多く見られる。

4. 診断には皮内反応が有用である。  5. 男性よりも女性に多く見られる。

a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5

<解答例> b)    1.○ 2.○ 3.× 4.× IgE抗体の関与は否定的。 5.○ 女性は男性の1.5倍。 

 

6)ステロイド薬連続服用により起こりうる副作用はどれか。

1. 低ナトリウム血症   2. 女性化乳房  3. 筋力低下 4. 骨粗鬆症  5. 不整脈

a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5

<解答例> d)   1.× 高ナトリウム、低カリウム血症 3.○ 4.

 

7)心因が関与していると考えられるアレルギー疾患について正しいのはどれか。

1. 身体的治療のみに終始すると難治化の原因となる。

2. 条件付け反応によりアレルギー症状の発現がみられる。

3. 抗不安薬は呼吸抑制がみられているので用いない。

4. 気道過敏性亢進を示す症例はまれである。

5. 心因性喘息の発作時の治療には心理的アプローチを優先するべきである。

a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5

<解答例> a)

 

8)40歳女性。30歳より気管支喘息の治療中である。感冒のため解熱剤を内服した。15分後より突然強い呼吸困難が出現し、30分後救急車にて外来受診。来院時、意識清明、脈拍微弱、血圧72/40mmHg、呼吸音減弱。この患者の処置について正しいものはどれか。

1.アミノフィリン静注を行う。  2.アドレナリンの皮下注を行う。

3.状態に応じて気管内挿管を行う。 4.ステロイド吸入を行う。 5.抗ヒスタミン薬を筋注する。

a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5

<解答例> a)  5.× 発作の予防薬。

 

149ヶ月の乳児。7日前から3839℃の発熱が持続し、抗生物質を投与されたが解熱しないので来院した。両側眼球結膜が充血し、口唇の紅潮、苺舌および口腔粘膜の発赤を認める。右側頸部に2㎝大のリンパ節を触知する。体幹と四肢末端とに紅斑がみられる。BCG接種部位が発赤している。この疾患について正しいのはどれか。1つ以上選べ。

1.BCG接種部位の発赤はこの疾患に特異度が高い。  2.4歳以下に好発する。

3.血小板が増多する。 4.冠動脈病変を合併する。 5.副腎皮質ステロイド薬が第一選択である。

<解答例> 2. 3. 4. 

口唇の紅潮、苺舌、四肢末端の紅斑、BCG接種部位の発赤などから川崎病が疑われる。

 

15次の文を読み、以下の問いに答えよ。

9歳の女児。持続する発熱を主訴として来院した。

現病歴:10日前に38℃台の発熱があり、同時に紅色、斑状の発疹が主として躯幹に散在的に出現した。近医にて、蕁麻疹らしいと診断され投薬を受けた。発疹はその後出没していたが、3日ほどで消失した。 しかし、37℃~39℃の発熱は持続し、膝や足の関節を痛がることがあった。この間、咳や鼻水が出るなどの症状はなかった。解熱傾向がないので来院した。

既往歴:5歳頃から気管支喘息の発作が起こるようになり、現在もその都度治療を受けている。

家族歴:父親にアレルギー性鼻炎がある。

現症:身長121cm、体重23kg、体温38.2℃。血圧122/68mmHg。脈拍102/分、整。

全身状態は比較的よい。頸部に径5mmほどのリンパ節を左に2個、右に3個触知するが、圧痛はない。胸部聴診で心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音は正常で、ラ音はない。腹部触診で肝、脾および異常腫瘤を触れない。

検査所見:赤血球387/μlHb 10.8/dlHt 32%、白血球11800/μl(好中球桿状核32%、好中球分葉核46%、好酸球2%、単球3%、リンパ球17%)、網赤血球10‰、血小板35/μl。赤沈52m/hrCRP 5+

1)この時点の症状と所見から可能性が少ない疾患はどれか。2つ選べ。

1. 敗血症  2. リウマチ熱  3. 若年性関節リウマチ

4. アナフィラクトイド紫斑病  5. EBウイルス感染症

a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5

<解答例> b)

1.× 全身状態が比較的良いことから、否定的。 5.× リンパ球優位に増加。

 

2)3日後、心尖部に3/6度の左方に放散する逆流性収縮期心雑音を聴取するようになり、次の検査所見を得た。血清IgM 82mg/dl(正常60100)、IgG 1380mg/dl(正常9001200)、IgA 120mg/dl(正常100250)、ASO 500単位(正常166以下)、抗核抗体陰性、リウマトイド因子陰性、血清補体価CH 5036単位(正常3040)。血液培養は陰性であった。 この患児に追加すべき薬剤はどれか。1つ選べ。

1. エリスロマイシン   2. ペニシリン       3. 副腎皮質ステロイド薬

4. アスピリン        5. メトトレキサート

<解答例> 3.

 

1611歳女児。1週間前から発熱、関節痛、食欲不振、顔面の蝶形紅斑を認め来院した。赤血球345/μlHb 9.6g/dlHt 29.5%、白血球2000/μl(好中球分葉核26%、好酸球1%、リンパ球73%)、血小板9/μl。赤沈30mm/hrCRP(+)、尿所見:蛋白(++)、糖(-)、沈渣に赤血球40/1視野、白血球25/1視野を認める。この症例について以下の問いに答えよ。

1)診断に重要な検査はどれか。

1. 血清IgA  2. 血清補体価   3. DNA抗体  4. 腎生検  5. ASOASK

a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5

<解答例> c) 関節痛、蝶形紅斑、蛋白尿 などからSLEが疑われる。

5.リウマチ熱の診断に重要。

 

2)想定される疾患について正しいのはどれか。1つ選べ。

1.肝炎は主要な合併症である。  2.副腎皮質ステロイド薬で完治する。

3.発症には先行溶連菌感染がある。  4.診断には腎生検が必須である。

5.母親がこの疾患の場合、新生児に完全房室ブロックが起こることがある。

<解答例> 5.    3.× リウマチ熱で認められる。

 

172歳の女児。2週間前から発熱、体幹部に紅色丘疹が出現。来院時、体温40℃、脈拍130/分。頸部両側に拇指頭大のリンパ節4~5触知。心摩擦音を聴取。肝3cm、脾3cm触知。手指関節が腫脹し、疼痛のため動かさない。

赤血球360/μlHb 9.5g/dl、白血球38000/μl(好中球70%、リンパ球24%、単球6%)、赤沈80mm/hrCRP+4、リウマトイド因子陰性、ASO 100単位、Paul-Bunnell反応16倍、抗核抗体陰性、C3 80mg/dl。胸部X線写真上心胸郭比63%。心電位低電位、ST上昇あり。この症例について、次の問いに答えよ。

想定される疾患について正しいのはどれか。1つ選べ。

1.この患児で鑑別診断のため骨髄穿刺は必要である。  2.この患児には心内膜炎がある。

3.この疾患では補体は低下する。  4.この疾患では冠動脈にしばしば異常がくる。

5.リウマトイド因子陰性であるので若年性関節リウマチの可能性は低い。

<解答例> 1

2.× 心外膜炎。 3.× 小児SLEの診断基準の1項目。 4.× 川崎病に特徴的。 5.×

 

18正しいものを選べ

1)ラングハンス細胞は表皮内に存在する抗原提示細胞である。

2)漆による接触皮膚炎の人は桜草にも接触皮膚炎を起こしやすい。

3)アトピー性皮膚炎では血中IgE値や好酸球数値が増加しやすい。

4)Th2細胞はインターフェロンγを産生する。

<解答例> 3)     3)○ 4)× IFN-γ→Th1細胞が産生。

 

19疾患とその症状の正しい組み合わせに○、そうでないものに×をつけよ。

1)SLE  蝶形紅斑   2)皮膚筋炎 ゴットロン徴候   3)全身性強皮症 pitting scar

4)シェーグレン症候群 環状紅斑   5)結節性多発動脈炎 網状皮斑

6)MCT  手指のソーセージ様腫脹

<解答例> 1)○ 2)○ 3)○ 4)○ 5)○ 6)

 

20薬疹で正しいものに○、誤っているものに×をつけよ。

1)原因薬剤同定のための内服テストは禁忌である。

2)1つの薬剤でも蕁麻疹型、播種状紅斑丘疹型、多形紅斑型など様々な臨床型をとることがある。

3)固定薬疹とは一度薬疹を生じたら症状が固定し、なかなか治らないものを称する。

4)スティーブンジョンソン症候群型、中毒性表皮壊死症は重症型の薬疹で、通常全身管理を要する。

5)ステロイド剤の全身投与は禁忌である。

6)drug induced hypersensitivity syndromeではHHV6(ヒトヘルペスウイルス6型)が関与することが多い。

<解答例> 1)× 5分の1位の少量から誘発試験を行うことがある。 2)○ 3)× 同じ薬剤を服用するたびに、同一部位に再発。 4)○ 5)× Stevens-Johnson症候群などで行う。 6)

 

21関節リウマチの画像診断に関して、正しいものを選べ。

1.           早期関節リウマチの滑膜炎、骨びらんの描出にはMRIが単純X線写真より優れている。

2.           LarsenXgrade分類は、骨関節破壊進行度のX線評価法である。

3.           関節リウマチの単純X線所見は、アメリカリウマチ学会の診断基準に含まれている。

4.           早期関節リウマチの単純X線所見としては、軟部組織腫脹や関節周囲の骨萎縮が特徴である。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  d)4のみ e)すべて

<解答例> e) 

 

22関節リウマチの手術治療について正しいものを選べ。

1.           関節リウマチ患者は易感染性であるので、術後感染には特に注意が必要である。

2.           感染を伴う足底の胼胝(べんち)形成を認めた場合は、人工関節置換術を考慮する。

3.           全身麻酔になる可能性があれば挿管に備えて、術前に動態撮影で頚椎の状態を評価しておくことが必須である。

4.           手指、特に第45指が急に伸展できなくなった時には、伸筋腱断裂の可能性を考える。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  d)4のみ e)すべて

<解答例> a)?    2.× 4.○ 破壊された尺骨頭およびその背側脱臼による摩擦のため。

 

23関節リウマチに対する人工関節手術に関して正しいのはどれか。

1.           60歳以下の関節リウマチ患者には、人工関節置換術の適応はない。

2.           人工股関節置換術後の関節リウマチ患者は、あまり動かないので脱臼の心配はない。

3.           人工股関節置換術後の合併症として人口関節の脱臼、感染、ゆるみ、磨耗、深部静脈血栓症、肺塞栓などが重要である。

4.           患者が関節の痛みを訴えても破壊がなければ原則として人工関節置換術を行わない。

5.           膝および股関節に対する人工関節置換術は、術後の長期成績が安定している。

a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5

<解答例> e)  2.× 3.○ 

 

24関節リウマチ患者にみられる骨粗鬆症について正しいものを選べ。

1.  全身性骨粗鬆症と傍関節性骨粗鬆症に分けられる。

2.  ステロイド性骨粗鬆症では比較的高い骨密度でも骨折を起こしやすいことが特徴である。

3.  ステロイド投与後、短期間で骨密度が減少することが多い。

4.  脆弱性骨折は、脊椎椎体、大腿骨頸部、恥骨などに大きな外力なしに起きる。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  d)4のみ e)すべて

<解答例> e)   1.○ 4.

 

25強直性脊椎炎について正しいものを選べ。

1.           典型的には仙腸関節や脊椎連結部の慢性炎症のため、脊柱の強直が緩徐に進行していく。

2.           90%以上の症例でHLA-B27が陽性である。

3.           男女比は5:1と男性に多く、1020歳代に発症することが多い。

4.           初期症状は、腰部、臀部、背部、の痛みなどで非特異的で、痛みは夜間や朝方強く、運動により経過することが特徴とされる。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  d)4のみ e)すべて

<解答例> e) 

1.○ 2.○ 約95%に陽性。(健常な日本人での出現頻度は約1%) 3.○ 4.

 

26ライター症候群に関して、正しいものを選べ。

1.        古典的には、「関節炎、淋菌性尿道炎、結膜炎」の3徴を呈するものをライター症候群と呼んできた。

2.        反応性関節炎は、腸管や尿道などの微生物感染後に起こる化膿性関節炎である。

3.        最近は、「ライター症候群」を「反応性関節炎」の同義語として用いる傾向にある。

4.        反応性関節炎は、上肢に優位な対称性の多関節炎を呈することが多い。

5.        HLA-B27陽性の頻度は約90%である。

<解答例> 5

1.× 非淋菌性尿道炎 4.× 下肢に優位な非対称性の多関節炎。

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