平成15年度 「皮膚」 卒業試験

 

問題1  診断上、血清反応が重要ではないと思われる疾患は次のうちどれか。

.梅毒 b.成人T細胞リンパ腫/白血病(ATL) c.伝染性紅斑 d.非定型抗酸菌症 e.Gianotti

(解答)d  非定型抗酸菌症はいずれかの抗酸菌同定法(DNAプローブ法、DNA-DNAハイブリダイゼイション法など)により診断される。皮膚非定型抗酸菌症の原因菌としては(熱帯)魚槽、塩水プールでよく繁殖するM.marinumが多い(皮膚非定型抗酸菌症の64%)。他の選択肢に関して、それぞれの原因となる病原体は a.梅毒スピロヘータ、b.HTLV-1、c.ヒトパルボウイルスB19、e.HBV、である。いずれも診断に際し血清反応が重要となる。

 

問題2  尋常性乾癬の病理組織像で正しいのはどれか。

(1) 錯角化  (2) 角層下リンパ球性微小膿瘍   (3) 顆粒層の肥厚 (4) 真皮乳頭の延長  

(5) 真皮上層のリンパ球浸潤 

 a.123  b.125  c.145  d.234  e.345

(解答)c    (2) × Munro’s microabscess:多核白血球からなる無菌性小膿瘍

(3) × 顆粒層は消失し、表皮突起が下方へ延長する 

 

問題3  表皮下水疱をつくるものはどれか。

(1)妊娠性疱疹    (2)線状IgA皮膚症    (3)Hailey-Hailey

(4)疱疹状天疱瘡   (5)後天性表皮水疱症

 a.123  b.125  c.145  d.234  e.345

(解答)b  水疱には表皮内水疱と表皮下水疱がある。

表皮内水疱(弛緩性水疱)水疱を保てず、びらんになりやすい。天疱瘡など。

表皮下水疱(緊満性水疱)疱膜が厚く、緊満した水疱を作る。類天疱瘡、疱疹状皮膚炎など。

 

問題4  サルコイドーシスの診断に有用な検査はどれか。

(1) 内臓悪性腫瘍検査  (2) ツベルクリン反応  (3) 皮膚、リンパ節の生検 (4) 心電図  (5) 糖負荷試験

 a.123  b.125  c.145  d.234  e.345

(解答)d   サルコイドーシスでは、b. ツベルクリン反応はしばしば減弱する。

c. 皮膚、リンパ節生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が特徴。 d. 心サルコイドーシスを合併すれば心ブロック、不整脈、アダムス・ストークス症候群が見られる。

 

問題5  消化管障害を合併しやすい疾患の組合せはどれか。

(1) Peutz-Jeghers症候群  (2) Von Recklinghausen  (3) 梅毒

(4) Gardner症候群   (5) 悪性萎縮性丘疹症(Degos病)  (6) Albright症候群

 a.145  b.246  c.125   d.236  e.135

(解答)a  Peutz-Jeghers症候群遺伝性(常優)。口唇、口腔粘膜、掌蹠の多発性小黒褐色斑と消化管ポリポーシスを伴う。

Von Recklinghausen遺伝性(常優)。末梢神経の多発性神経線維腫。皮膚にカフェオレ斑が生じる。

Gardner症候群家族性大腸ポリポーシス。頸部・顔面・体幹・四肢などに皮膚の嚢腫様病変、多発性骨腫を伴う。

悪性萎縮性丘疹症(Degos病)病初期には発疹のみであるが、やがて急性腹症を発症して死亡する。病態は皮膚・腸管粘膜の閉塞性細小動脈炎である。

Albright症候群褐色斑、腸管骨線維性異形成、性的早熟を3主徴とする。褐色斑は辺縁鋸歯状で、von Recklinghausen病のカフェオレ斑と対比される。

 

問題6  正しいのはどれか。

(1)紫斑は硝子圧にて消退する。  (2)膿疱は真皮上層の好中球の集簇である。

(3)水疱には表皮内あるいは表皮下のものがある。

(4)基底層の液状変性はSLE、皮膚筋炎、ビダール苔癬でみられる。

(5)掌蹠膿疱症の膿疱は無菌性である。

  a.(1)(2)  b.(2)(3)  c.(3)(4)  d.(3)(5)  e.(4)(5)

(解答)d  (1) × 硝子法で消失するのは紅斑。  (2) × 水疱の内容が膿からなるもの。 

(4) × 基底層の液状変性は細胞障害性T細胞による組織障害の結果としての空胞変性である (急性GVHDなど)。SLEや皮膚筋炎ではむしろ紅斑、紫斑、小水疱などがみられる。

 

問題7  痛みを伴うことが多い腫瘍はどれか。

(1) グロームス腫瘍  (2) 外傷性神経腫  (3) 血管脂肪腫  (4) 血管平滑筋腫

 a.(1)(3)(4)のみ  b.(1)(2)のみ  c.(2)(3)のみ  d.(4)のみ  e.(1)~(4)のすべて

(解答)e   圧痛が起こりやすい皮膚良性腫瘍(Painful ANGELS)(授業ノートより)

  Aangiolipoma        Nneuroma         Gglomus tumor

  Eeccrine spiradenoma  Lleiomyomaangio)  SSchwannoma

 

問題8  有棘細胞癌について正しい記載の組合せはどれか。

(1)基底細胞癌に比べ転移の頻度が高い。 (2)前癌病変の認められる場合が多い。

(3)放射線と紫外線はいずれも発癌作用がある。

(4)高度の熱傷瘢痕でも有棘細胞癌をおこすことはあるが、むしろ基底細胞癌発症の方が多い。

  a.(1)(2)のみ   b.(2)(3)のみ   c.(2)(4)のみ  d.(4)のみ      e.(1)~(4)のすべて

(解答)b  (1)× 基底細胞癌が転移を生じることはまれ。 

(2) Bowen病や日光角化症(老人性角化症)がその例である。

(4)×本邦では有棘細胞癌の原因として以前は熱傷瘢痕が最も多かった。(今は日光角化症)

 

問題9  直射日光を避けるべき疾患はどれか。

(1)色素性乾皮症  (2)尋常性乾癬  (3)ペラグラ  (4)DLE

a.12のみ  b.23のみ  c.24のみ   d.4のみ  e.1~4のすべて

(解答)e  いずれも日光により誘発・悪化をきたす疾患である。DLESLEの皮膚限局型のこと。

 

問題10  生下時には何もなかった顔面に、生後数ヶ月目に点状の紅斑として始まり、急に増大してきた紅色腫瘤がある。自覚症状はない。以下の診断のうち可能性のあるものはどれか。

(1)苺状血管腫  (2)海綿状血管腫  (3)赤酒様血管腫  (4)サモンパッチ

 a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.いずれでもない。

(解答)a    (1) ○ 苺状血管腫生後23週間(遅くとも3ヶ月)以内に虫刺され様の紅色丘疹として発生し、12週間で急速に拡大する鮮紅色の隆起性病変である。

(2)× 海綿状血管腫生来性で、ほぼ可変。加齢とともに多少増大する。

(3)× 赤酒様血管腫出生時から認められる非隆起性赤色斑。

(4)× サモンパッチ(正中部母斑)新生児期から乳児初期にかけて生じる眉間、前額正中、上眼瞼内側、人中、項部などにみられる境界不鮮明、色調にむらのある隆起しない病変。

 

 

 

問題11  つぎのうち誤っているのはどれか(1つだけ)。

a.全身性エリテマトーデスでは血小板数が減少することがある。

b.アナフィラクトイド紫斑では内臓病変を伴わない。

c.尋常性乾癬の鱗屑をはがすと点状小出血が生ずる。

d.Letterer-Siwe病の皮疹は紫斑と鱗屑を伴う小丘疹である。

e.毛細血管拡張性肉芽腫は易出血性である。

【解答】b   (CHART皮膚科)  a) SLEでは、汎血球減少。

b)× =アレルギー性紫斑病、Shonlein-Henoch紫斑病。紫斑(小児下肢に多い)+関節痛、消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢、下血、血便)。血管内皮の壊死性血管炎。

c) 尋常性乾癬ではAuspitz現象陽性(鱗屑を剥がすと点状出血)、Kobner現象陽性(健常部をこすると同じ皮膚病変を生じる)。

d) 悪性の間葉系腫瘍の1つ。皮膚所見は鱗屑を伴う出血性丘疹、掌蹠の点状紫斑、頭部の黄褐色痂皮。

e) 良性の間葉系腫瘍の1つ。口唇、指、顔面に好発し、易出血性。

 

問題12  悪性黒色腫で正しいものはどれか。

 (1)日本人では末端黒子型が多い。  (2)末端黒子型は一般に予後が良い。

 (3)悪性黒子型は顔面に好発する。  (4)結節型は中でも予後不良である。

 a.123  b.134  c.234   d.全て正しい   e.全て正しくない

【解答】b  (CHART皮膚科)   1) 末端黒子型=足底・手掌・爪周囲。 2)× 予後悪い。

 3) 悪性黒子型は顔面に好発で、比較的予後は良い。 4) 最も予後悪い。

 

問題13  次のうち原因微生物が病変部より比較的容易に検出できるのはどれか。

(1)癜風 (2)白癬疹 (3)伝染性紅斑 (4)バザン硬結性紅斑 (5)扁平コンジローマ

 a.(1)(2)  b.(1)(5)  c.(2)(3)  d.(3)(4)  e.(4)(5)

【解答】b  (CHART皮膚科) 

1) 青年~中年の多汗症の胸・背部、夏に灰白色or褐色斑。直接鏡検でMalassezia furfur認める。

2)× 足白癬の急性増悪時にに手指にみられる小水泡、丘疹。白癬菌(-)  3)× HPV-B19

4)× 下腿伸側の皮膚結核。自発痛、圧痛のない皮下硬結で、潰瘍化することがある。皮下脂肪織 の結核性肉芽腫脂肪織炎。

5) 梅毒の病原体はトレポネーマ・パリドゥム。トレポネーマの存在する皮疹は、硬性下疳(第1期)、扁平コンジローム・梅毒性粘膜疹(第2期)

 

問題14  正しいのはどれか。

 (1)尋常性白斑は女性に好発する。 (2)脱色素性母斑にはメラノサイトは存在しない。

 (3)眼皮膚白皮症は常染色体劣性遺伝である。(4)Sutton現象は悪性黒色腫にもみられる。

 (5)老人性白斑は露出部に多い。

 a.(1)(2)  b.(1)(5)  c.(2)(3)  d.(3)(4)  e.(4)(5)

【解答】d  (CHART皮膚科)  1)×? 男女差の表記なし。完全脱色素斑。

2)× メラノサイトの数は正常。ケラチノサイト内のメラノソームが少ない。皮膚色よりやや淡い白斑。 3) 常・劣遺伝。メラノサイト(+)  4) Sutton後天性遠心性白斑は、母斑細胞母斑を中心として発生する周囲の円形状の白暈。中心の母斑は自然退縮傾向。尋常性白斑を合併することが多く、悪性黒色腫に合併することがある。

 

問題15  脱毛を起こすことがある疾患はどれか。

 (1)白癬  (2)梅毒  (3)エリテマトーデス  (4)ハンセン病

 a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1~4のすべて

【解答】e  (CHART皮膚科)   1) 頭部白癬では脱毛斑。 

 2) 第2期(3ヶ月~3年)で、梅毒性脱毛症(円形orびまん性)。

 3) 蝶形紅斑、手足、粘膜の滲出性紅斑、爪囲紅斑、脱毛、光線過敏、etc…

 4) Hansen病のらい腫型(L型)は、獅子面、らい細胞、らい腫(leproma)、脱毛。

 

問題16 適切な組み合わせはどれか

(1) 尖圭コンジローマ…Treponema  pallidum  (2) 尋常性狼瘡…Mycobacterium  leprae

(3) 乳児寄生菌性紅斑…Malassezia  furfur  (4) スポロトリコーシス…Sporothrix  schenckii

a. (1) (3) (4)   b. (1) (2)   c. (2) (3)   d.(4)のみ   e. (1)(4)のすべて

解答 d.  (1)→Human papilloma virus   (2)→Mycobacterium tuberculosis  (3)→Candida albicans

 

問題17 性行為感染症として罹患しうるものはどれか

(1) 疥癬  (2) 線状皮膚炎  (3) 後天性免疫不全症候群  (4) 陰茎カンジダ症

a. (1) (3) (4)   b.(1) (2)    c. (2) (3)   d. (4)のみ   e.(1)(4)のすべて

解答 a.  (2) アオバアリガタハネカクシ をつぶし、虫体に含まれた毒素による。

 

問題18 次のうち正しいのはどれか

(1) 癜風は青年男子の躯幹に好発する。 (2) カンジダ性指間びらん症は乳幼児の第1指間に好発する。

(3) 黒色分芽菌症にはヨウ化カリウムが奏効する。

(4) 後天性免疫不全症候群では高頻度に口腔カンジダ症を合併する。

(5) 陰部疱疹ではHSV-2が分離されることが多い。

a. (1) (2) (3)  b.(1) (2) (5)  c.(1) (4) (5)  d.(2) (3) (4)  e.(3) (4) (5)

解答 c.  (2) 水仕事をする人の第3指間に好発する。(3) 治療は切除、5-FU内服、アンホテリシンB局注。ヨウ化カリウムが奏効するのはスポロトリコーシス

 

問題19 次の文章で壊死性筋膜炎について正しいものはどれか。

(1) 病変の主座は浅筋膜から皮下組織にかけてである。

(2) 早期より切開、デブリードマンなどの外科的処置が必要である。

(3) 四肢に好発し、有痛性のことが多い。 (4) 早期からの強力な抗生剤の投与が必要である。

a. (1) (3) (4)  b. (1) (2)  c. (2) (3)  d. (4) のみ e. (1)(4)のすべて

解答 e.

 

問題20 次の文章の中で正しいものはどれか。

(1) メッシュ植皮は顔面の熱傷に対してよい適応である。

(2) 凍結乾燥豚皮などの生体包帯は深達度2度熱傷が最も良い適応である。

(3) 腱、骨が露出した熱傷には全層植皮がよい適応となる。

(4) 手背の2度熱傷の方が手掌のものより機能障害を残しやすい。

a. (1) (3) (4)  b. (1) (2)  c. (2) (3)  d. (4)のみ e. (1)(4)のすべて

解答  d.  (1)メッシュ植皮とは、広範囲に植皮する場合、メッシュダーマトームを用いて、植皮片を2-5倍のメッシュ状に拡大したものを植皮。整容的、機能的に劣る。

(2) 浅達度2度熱傷が適応  (3) 10/1000インチ前後の薄い分層植皮を用いる。生着率が高い。全層植皮は、顔面、手掌、足底など整容的、機能的再建が必要な時に用いる。

 

 

 

問題21 ケロイドの好発部位はどこか。

(1) 下顎部 (2) 耳 (3) 頭皮 (4) 手背  (5)

a. (1) (2) (3)  b. (1) (2) (5)  c. (1) (4) (5)  d. (2) (3) (4)  e. (3) (4)(5)

解答 b.  ケロイドは前胸、背、頬顎部のざ瘡後に多発

 

問題22 紅皮症の原因疾患になりうるのはどれか。

(1) 薬疹  (2) 乾癬  (3) 蕁麻疹  (4) 麻疹  (5) 悪性リンパ腫

a. (1) (2) (3)  b. (1) (2) (5)  c. (1) (4) (5)  d. (2) (3) (4)  e. (3) (4)(5)

解答 b.  湿疹続発性、各種疾患続発性、中毒性、落屑性、腫瘍性紅皮症がある。

(1) ピラツォロン系、カルバマゼピン系、INAH、抗生物質などで起こる。 (2) 汎発化すると乾癬性紅皮症となる。

 

問題23  誤っているのはどれか。

a. 角層は紫外線防御に有力な役割を演じる。 b. 長波長紫外線(UVA)は窓ガラスを貫通する。

c. 日焼け(sunburn)は長波長紫外線によって起こる。

d. MEDは、通常、中波長紫外線(UVB)で測定する。 e. 可視光線は真皮深層まで到達する。

解答 c.  日焼けは中長波紫外線によって起こる。

MED:最小紅斑量;紫外線紅斑を生じるのに必要な最も少ないUVBの量

 

問題24 C型肝炎ウイルス感染症に合併するのはどれか。

(1) 環状肉芽腫  (2) 好酸球性膿疱性毛包炎  (3) クリオグロブリン血症

(4) 扁平苔癬    (5) 皮膚そう痒症

a. (1) (2) (3)  b. (1) (2) (5)  c. (1) (4) (5)  d. (2) (3) (4)  e. (3) (4)(5)

解答 e.  (1) 糖尿病に合併することが多い。 (2) AIDSに合併することがある。

 

問題25 下記はいずれも顔面に多発性丘疹を生じる疾患である。特に丘疹が眼瞼に好発するものはどれか。 (1) 尋常性ざ瘡   (2) 顔面播種状粟粒性狼瘡  (3) 汗管腫

(4) 多発性丘疹状毛包上皮腫  (5) Bourneville-Pringle母斑症

a. (1) (2)  b.(1) (5)  c. (2) (3)  d. (3) (4)  e. (4) (5)

解答 c. or (d)  (1) 毛孔一致性の丘疹  (2) 下眼瞼部、上口唇部、前顎部、頬部に好発

(3) 女性の眼瞼、前胸部に好発  (4) 眼瞼内側より鼻背部、左右鼻唇溝部、口囲に好発

(5) 常染色体優性遺伝、知能障害、てんかん発作、脂腺腫(顔)が3主徴

 

問題26 レックリングハウゼン病にみられる症状を選べ。

(1) カフェオーレ斑  (2) 聴神経腫瘍  (3) 脊椎側彎  (4) 神経線維腫

a. (1) (3) (4)  b. (1) (2)  c. (2) (3)  d. (4)のみ e. (1)(4)のすべて

解答 e.

 

問題27 誤っているのはどれか

(1) フォークト・小柳・原田病では両側ブドウ膜炎に引き続き、皮膚に色素沈着を生じる。

(2) 肝斑は主として30歳以上の男性の頚部に生じる。

(3) 副腎皮質機能亢進症によりアジソン病を生じる。

(4) 尋常性白斑では紫外線療法は禁忌である。

a. (1) (3) (4)  b. (1) (2)  c. (2) (3)  d. (4)のみ e. (1)(4)のすべて

解答 e.   (1) 皮膚に色素沈着白斑、白毛 (2) 男性女性  (3) 亢進低下

   (4) 尋常性白斑の治療は、PUVA療法(ソラレンとUVAの併用)

 

問28  膠原病の皮膚症状と皮膚組織所見の組み合わせのうち誤った記載を選べ。

a.日光過敏症 SLE    b.ニコルスキー(Nickolsky)現象 MCTD

c.石灰沈着 CREST   d.表皮基底膜の液状変性 SLE   e.毛孔の拡大と角栓 DLE

解答)b

a.○:光線過敏症はSLEの11の診断基準の一つ。(今日の治療指針2003;SLE)

b. ×:ニコルスキー現象は臨床的に皮疹のない皮膚面に指先などで機械的圧迫を加えると,容易に表皮剥離や水疱を生ずる現象で,尋常性天疱瘡やSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)で多く見られる。(南山堂医学大辞典;ニコルスキー現象)

c. ○:進行性全身性硬化症(PSS)のなかで石灰化症calcinosisC),レイノー現象Raynaud's phenomenonR),食道蠕動運動低下esophageal dysfunctionE),手指硬化sclerodactylyS),毛細血管拡張症telangiectasiaT)がみられるものをCREST症候群と呼ぶ.本症はPSSと比べると,生命予後は良好であり,PSSから亜型として分類する臨床的意味がある.(南山堂医学大辞典;クレスト(CREST)症候群)

d.○ SLEの皮膚の病理組織所見は,表皮細胞の角化,基底層の液状変性,真皮血管周囲の細胞浸潤が基本的な所見である.(新臨床内科学;SLE)

e. ○:DLEの病理組織では著明な角化と角栓を伴い,表皮は萎縮性,基底細胞層に液状変性を認め,真皮血管周囲,毛嚢,汗腺周囲にリンパ球浸潤を認める。(皮膚疾患治療指針;DLE)

 

問29  薬剤の全身投与による副作用で誤っているものはどれか。

a.光線過敏症 消炎剤(ピロキシカムなど) b.肺線維症 ブレオマシイン(ペプロマイシン)

c.脱毛 抗腫瘍剤 d.多毛 シクロスポリン e.色素沈着 ステロイド

解答)e

a. ○:ピロキシカムは発疹,そう痒感,光線過敏症等の過敏症を起こすことがある(治療薬マニュアル2003;ピロキシカム)

b.○:ブレオマイシンは抗腫瘍薬で扁平上皮癌に多く用いられるが,間質性肺炎,肺線維症などの重篤な副作用を引き起こす事がある.(南山堂医学大辞典;ブレオマイシン)

c. ○:薬剤による脱毛の多くは抗腫瘍剤(シクロホスファミド,ビンクリスチンなど),精神神経用剤(トリパラノール),抗凝固剤(ヘパリンなど),抗甲状腺剤(チオウラシル)などで引き起こされる.(内科診断学;脱毛症)

d.○:シクロスポリンは多毛の原因となる。(治療薬マニュアル2003;シクロスポリン)

e.×?:色々調べてみたのですが,ステロイド外用は色素沈着の原因とはいえない,という否定的な意見が多いようです。皮疹などの後遺症としての色素沈着と,ステロイド外用による副作用が混同されているのでは・・という意見がありました。内服では?と思い調べたのですがこれも良くわかりませんでした。一応eを答えとしておきます。

 

問30 正しいものを選べ。

(1)毛孔性苔癬は主に若年女性の上腕伸側に認められる。

(2)良性型黒色表皮腫では主に肥満に合併する。 (3)扁平苔癬は薬剤惹起性のものが多い。

(4)ジベルばら色粃糠疹は自然治癒しやすい。

a.134のみ b.12のみ c.23のみ d.4のみ   e.1~4のすべて

解答)a  (1):毛孔性苔癬は毛孔部が角化するもので,小児,思春期女子に多く,四肢伸側(特に上肢)に多発する。角質溶解剤の外用やビタミン剤内服で治療し,加齢とともに軽快する。(南山堂医学大辞典;毛孔性苔癬)

 

(2)×:肥満に合併するのは仮性型で,良性型は内分泌障害や先天異常を伴うことが多い。(南山堂医学大辞典;黒色表皮腫)

(3):本症の病因は不明なことが多いが,最近は薬剤やウイルスなどが指摘されている.前者では脳循環改善薬,降圧薬など比較的長期間投与された後に生じることが多く,後者ではC型肝炎ウイルスの関与が指摘されている.(今日の治療指針;扁平苔癬)

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(4)23cmと比較的大型の皮疹が12個生じ(初発疹),約1週間後体幹~四肢近位側に軽い紅斑と鱗屑からなる指頭大の皮疹を散布性に多発する.痒み以外に全身症状はなく,3~6週で自然消退する。(南山堂医学大辞典;ジベルバラ色粃糠疹)

 

問31  正しいものを選べ。

(1)尋常性乾癬の皮疹部は悪性リンパ腫に移行しやすい。

(2)尋常性乾癬患者健常部を刺激することにより乾癬皮疹が生ずることをアウスピッツ現象という。

(3)尋常性乾癬の治療には免疫抑制剤のFK506内服が使われている.

(4)急性滴状乾癬では上気道感染から起こりやすい。

a.134のみ b.12のみ c.23のみ d.4のみ   e.1~4のすべて

解答)d?  (1)×?:移行しやすいとはいえないかと・・

(2)×:アウスピッツ現象はアウスピッツ血露現象とも呼ばれ,鱗屑を剥離すると点状出血をみるものを呼ぶ。

(3)×:シクロスポリン(サンデミュン,ネオーラルなど)はアトピーにも尋常性乾癬にも使われていますが,FK506/タクロリムス(プロトピック)の適応はアトピー性皮膚炎のみのようです。

(4):滴状乾癬は咽頭炎や扁桃腺炎が先行し,それに引き続いて雨滴状の細かい乾癬皮疹が急激に出現

 

問32  アトピー性皮膚炎について正しいものはどれか。

(1)血中IgEが高値のことが多い。 (2)痒みが強く,苔癬化局面を形成することが多い。

(3)皮膚のバリアー機能が低下していることが多い。

(4)治療のfirst choiceはステロイド内服である。

(5)紅色皮膚描記症が陽性のことが多い。

a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4)  e.(3)(4)(5)

解答)a  (1):血清IgE値も発疹の持続期間の長い患者では高値を示すことが多い.しかし,2割程度の患者では血清IgE値が正常である.(今日の診断指針2003;アトピー性皮膚炎)

(2):慢性に経過し,完成された病巣では苔癬化が著明であるが,機械的刺激を受けやすい部位が侵されやすい.そう痒は常に著しく,しばしば発作的である.(南山堂医学大辞典;アトピー性皮膚炎)

(3):アトピー性皮膚炎の原因はまだ十分分かっていないが,皮膚の乾燥,皮膚のバリアー機能の障害,ダニ,ハウスダスト等の外的な刺激に対するアレルギー性炎症反応,精神的ストレスなど多くの因子の関与が指摘されている.そして,これらの因子が相乗的に作用し,痒みの持続,掻破行動,皮疹の増悪が慢性的に続き,悪循環を形成する.

(4)×:アトピー性皮膚炎の薬物療法では対症療法が中心となる.痒みに対しては止痒作用のある薬剤(抗ヒスタミン剤,抗アレルギー薬)の内服,および皮膚病変の性状に応じた外用剤の選択を行う.湿潤傾向のある時にはステロイド外用剤と亜鉛華単軟膏の重層法を行う.また,寛解時には保湿剤を外用する.(以上,治療薬マニュアル;アトピー性皮膚炎)

内服薬ではステロイドは第1選択とは思われないので,×かと.

(5)×:アトピー性皮膚炎患者の皮膚に線状の機械的刺激を加えると擦過部に一致した線状の貧血斑をきたすことが多く,白色皮膚描記症dermographismus albusと呼ばれる.(南山堂医学大辞典;皮膚描記症)

 

 

問33  正しいものを選べ.

a.鉄欠乏性貧血では著明な爪の肥厚を伴う. b.抗セントロメア抗体は皮膚筋炎に出現しやすい。

c.爪郭の点状出血は結節性多発性動脈炎に出現しやすい.

d.全身性アミロイドーシスでは皮膚症状は出現しない. e.基底細胞癌は顔面に好発する.

解答)e   .鉄欠乏性貧血では爪甲が陥凹するスプーン爪が認められる.(南山堂医学大辞典;スプーン爪)爪の肥厚は爪白癬などで起こりやすい。

b.×:抗セントロメア抗体はSScやCREST,Raynaud症候群などで陽性となる。(臨床検査データブック;抗セントロメア抗体)

c.×:爪郭の点状出血はOsler病に認められる.(南山堂医学大辞典;爪病)

d.×:顔面の小丘疹,眼瞼の出血斑などの皮膚症状が見られる。(今日の診断指針;皮膚アミロイドーシス)

e. ○:高齢者の顔面,特に下眼瞼下・鼻部・上口唇に好発。黒い丘疹の縁取り,中央部潰瘍が典型。(皮膚疾患治療指針;基底細胞癌)

 

問34 薬疹の記載について正しいのはどれか。

(1)TEN型薬疹は死に至ることもまれではない.

(2)固定薬疹は原因薬剤を摂取するたび異なる部位に出現する.

(3)播種状紅斑丘疹型は紅皮症化することがある。

(4)薬疹が疑われたら,問診,パッチテストの順で検査を進める.

a.134のみ b.12のみ c.23のみ d.4のみ   e.1~4のすべて

解答)a   (1)TENは,広範な紅斑・水疱・表皮剥離・びらん・潰瘍を来す表皮の壊死性障害を特徴とした最重症型の表皮型多形滲出性紅斑である。肝障害,造血障害,気道障害による呼吸困難や,感染症を合併すると敗血症を起こし死亡することもある。(皮膚疾患治療指針;重症皮疹)

(2)×:固定薬疹は特定薬物の内服または注射のたびに,同一部位に反復惹起される限局型軽症型薬疹である。(南山堂医学大辞典;固定薬疹)

(3):時に紅皮症型に移行して重症となることがある。(治療薬マニュアル:薬疹の診方と対応)

(4):皮疹の性状,病歴などから薬疹が即時型アレルギー反応によるものか,遅延型アレルギー反応によるものかなどを検討する.検査はリンパ球刺激試験,皮内反応,貼付試験など安全なものから行う.(治療薬マニュアル;薬疹の診方と対応)

 

問35  痛風について正しいのはどれか。

(1)耳介および関節部の結節  (2)日光過敏  (3)肢端の壊疽

(4)高尿酸血症   (5)疼痛発作時の非ステロイド系抗炎症剤の使用

a.123 b.125 c.145 d.234 e.345

解答)c  (1):高度の高尿酸血症患者においては関節液中にも結晶が析出することがあり,放置例では皮下組織,耳介,骨内などに痛風結節(tophus, tophi)(尿酸塩結晶の類円形結晶塊)が形成される。(整形外科治療指針;痛風)  (5):痛風関節炎には速効性で鎮痛作用の強い非ステロイド抗炎症薬(NSAID)を,できるかぎり速やかに投与する.(治療薬マニュアル;痛風治療薬) ということで答えはcでしょう。  

(2)(3)は痛風の症状には見られないようです。

 

問36  ヨードカリが有効なのはどれか。

(1)スポロトリコーシス  (2)滴状類乾癬  (3)アトピー性皮膚炎

(4)尋常性天疱瘡  (5)Sweet病

a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)

 

 

解答)b  

(1)Sporothrix schenckiiによる慢性感染症.Sschenckiiは土壌・植物などにいて,外傷を契機に皮膚に感染する.温暖・高湿の地域に多い.吸入して肺に病変をつくることがあるが,稀である.外傷部位に,外傷治癒後12週間後,浸潤ある紅斑形成,徐々に増大,中心部自壊して増殖性潰瘍を形成する。ヨードカリが著効する。

(2)×:鱗屑をつけた淡紅色丘疹が多発。色素脱失,沈着を来す。個疹は数週間で出没し,慢性の経過をとる。急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(PLEVA)は急性の経過で全身に多様な発疹を生ずる。粃糠様鱗屑をつけた丘疹,小水疱,壊死,痂皮,色素脱失,沈着,痘瘡様の瘢痕など。治療はDDS内服が有効であるほか,副腎皮質ステロイドや抗生物質の内服,日光照射,プーバ(PUVA)療法が行われている。(皮膚疾患治療指針:類乾癬)  (3)×

(4)×:ステロイド内服療法が中心。他に血漿交換やγグロブリン大量投与など。

(5)Sweet病は,発熱,末梢血好中球増多,顔面・頚部・四肢に好発する有痛性隆起性紅斑ないし結節,病理組織学的に真皮内にびまん性好中球浸潤を認める,の4つを特徴とする疾患である。ステロイドの全身投与の他にヨードカリ,コルヒチンの内服療法が有効である.(今日の治療指針2002;Sweet病)

 

問37 急性湿疹で見られる病理組織学的所見を下記より選べ。

a.satellite cell necrosis     b.septal pannuculitis    c.leukosytoclastic vasculitis

d.spongiosis     e.Munro’s microabscess

解答)d

a. satellite cell(衛星細胞)は,骨格筋細胞や神経節における神経細胞体のような巨大細胞の表面に密着し,これを囲むように存在する細胞を言う。  b. pannuculitisは皮下脂肪〔組〕織炎を意味する。

c. 白血球破砕性血管炎(皮膚の急性血管炎であり,臨床的には特に下肢に触知できる紫斑をみることが特徴.また組織学的には,好中球とときには真皮小静脈周囲のフィブリンの滲出が特徴である.核の細破や赤血球の溢出を伴う.皮膚に限定される場合とHenoch-Schonlein紫斑病のように皮膚以外の他の組織にも病変をみる場合がある。)  d. 海綿状態,表皮の細胞間の炎症性の浮腫をいう。

e. マンロー微小膿瘍とは,乾癬の角質層にみられる多形核白血球の顕微鏡的集合を言う。

(以上,ステッドマン医学大辞典) 急性湿疹では浮腫性の紅斑をまず形成するので,dが正しいと思われます。

 

問38  ウイルス感染の関与により発症する事がある皮膚科領域の悪性腫瘍について,正しい組み合わせはどれか。

(1)バーキットリンパ腫 サイトメガロウイルス  (2)NK/T細胞リンパ腫 EBウイルス

(3)カポジ肉腫 ヒトヘルペスウイルス-8  (4)ボーエン病 単純ヘルペスウイルス2型

(5)疣贅状表皮発育異常症患者のSCC ヒトパルボウイルスB19

a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)

解答)c? (1)×:バーキットリンパ腫の原因ウイルスはEBウイルスである。(内科診断学;EBウイルス)

(2)?:EBウイルスはBリンパ球に感染する。が,伝染性単核球症ではEBウイルスが感染したBリンパ球に対してNK細胞が多数出現しこれを排除する(異型リンパ球の増加)。またCAEBV(慢性活動性EBウイルス感染症)ではT細胞性腫瘍を伴う場合がある。ということで?(戸田新細菌学;EBウイルス)

(3):HHV-8が内皮細胞に感染して腫瘍化することでカポジ肉腫が発症すると考えられている。(戸田新細菌学;ヒトヘルペスウイルス-8)   (4)(5)×:どちらもHPVが原因と考えられている。(戸田新細菌学:HPV)

 

 

問39 熱傷について下記の分の正しいものの組み合わせを選びaeの記号で答えよ。

(1)できるだけ早期から抗生物質の投与を行う (2)水疱蓋はできるだけ早期に除去する

(3)植皮術の場合,第1選択は同種移植である。 (4)後遺症として瘢痕萎縮が挙げられる

a.134のみ b.12のみ c.23のみ d.4のみ   e.1~4のすべて

解答)d?  (1)×:受傷直後の創面は無菌であり,日和見感染やMRSA感染を避けるため抗生物質の予防的投与は避けるべきである。(新臨床内科学;熱傷)

(2)×:水疱が形成されている場合は,感染防止のため内容を注射器で吸引し,水疱被膜を密着させる.すでに水疱が破れている場合には,原則としてこれを除去する.(治療指針2003;熱傷の局所療法)

(3)×?:自家移植のほうが生着は良いですが,広範囲の熱傷の場合で自家移植は難しい場合もあるので・・

(4):植皮を行った場合でも,肥厚性瘢痕や拘縮が起こりやすい。(今日の治療指針2003;熱傷治療)

 

問40 次のうち誤っているのはどれか。

(1)Candida albicansは健常人の口腔,消化管に常在する.

(2)Malassezia furfurはヒトの皮膚の常在真菌である.

(3)頭皮のフケや脂漏性皮膚炎には,Malassezia furfurが関与している.

(4)カンジダ性指間びらんは成年女子の第1~2指間に好発する.

a.134のみ b.12のみ c.23のみ d.4のみ   e.1~4のすべて

解答)b?  (2)Malassezia furfurは,癜風やマラセチア毛包炎の原因菌として患部から分離されるが,健常人の頭部や体部皮膚にも常在菌として生息することが多い.(南山堂医学大辞典;マラセチア)

(3)×?:Malassezia furfurは成人の表皮の角質層に限局して寄生し,落屑斑をつくる。(戸田新細菌学;マラセジア)フケ,脂漏性皮膚炎の原因菌とも言われていますが,選択枝的には×でしょうか・・

(4)×:カンジダ性指間びらんは水仕事の多い人に起こりやすく,第3、第4指間にしばしば見られる。

 

問題41 下記の文のうち正しいものを選べ

(1)種痘様発疹症は近年HHV-6の持続感染症であることが判明した。

(2)光線過敏性皮膚症の発症機序には光毒性と光アレルギー性がある。

(3)色素性乾皮症は紫外線によるDNA損傷を修復できないことにより生じる。

(4)褥瘡は臨床所見より、緑色期、黄色期、赤色期、白色期に区別される。

a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)(4)のすべて

解答 c  1) × HHV-6ではなくEBウイルスである。

3)  ピリミジンダイマーを除去し修復する酵素(DNA helicaseなど)の欠損による。

4) × 黒色期、黄色期、赤色期、白色期である。

 

問題42 誤りはどれか。

a)表皮内はランゲルハンス細胞と呼ばれる抗原提示細胞が存在する。

b)接触皮膚炎の原因物質の検索は主に皮内反応によって行う。

c)接触皮膚炎はT細胞が関与する遅延型皮膚過敏反応である。

d)アトピーとはIgEを産生しやすい体質をさす。

e)Th2細胞の活性化は好酸球を誘導しやすいと考えられている。

解答 b)    a)○ ランゲルハンス細胞は骨髄由来で表皮の数%を占め、細胞表面にMHCクラス分子を持ち、抗原情報をT細胞に伝達する。 b) × 貼付試験が有効である。  d)  アトピー素因については2003年度概説問題11を参照  e) ○ Th2が産生する主なサイトカインはIL-4IL-5IL-13であり、このうちIL-5は好酸球の分化促進・活性化に関与する。

 

 

問題43 左右の項目の組み合わせのうち、関係の深いものはどれか。

(1)基底細胞癌  核の柵状配列(nuclear palisading) (2)脂漏性角化症  Leser-Trelat症候群

(3)血管肉腫  IL-2療法  (4)隆起性皮膚線維肉腫  花むしろ構造(storiform pattern)

a.(1)のみ b. (1),(3),(4)のみ c.(2),(3)のみ d.(2),(4)のみ e.(1)(4)のすべて

解答 e  1)  腫瘍層の最外層で核が柵状配列をとる

2)  脂漏性角化症が短期間で多発し内臓癌を合併する症候群をLeser-Trelat症候群という

3)  IL-2によって誘導されるリンフォカイン活性化キラー細胞が血管内皮細胞を障害しやすい性質を利用。血管肉腫は外科的切除、化学療法、放射線療法などは無効。 

4)  腫瘍細胞は束状および花むしろ状に増殖する

 

問題44 次のうち、内臓悪性腫瘍の合併が多いものはどれか。

(1)蝶形紅斑  (2)バザン硬結性紅斑  (3)手掌紅斑  (4)匍行性花環状紅斑

a.(1),(3),(4)のみ b. (2),(3)のみ c. (1), (4)のみ d.(4)のみ e.(1)(4)のすべて

解答 d   1)×SLEに特徴的 2)×若い女性の下腿伸側に生じる暗赤色の硬結。抗結核薬を投与する。

3)× 肝硬変と関連 4)  環状紅斑の一種であり内臓悪性腫瘍の合併が多い。

 

問題45 抗ヒトIgG抗体を用いた蛍光抗体法にて表皮基底膜に線状の蛍光が認められた。まず疑うべき疾患は何か。 a.シェーグレン症候群 b.全身性強皮症 c.SLE d.皮膚筋炎 e慢性関節リウマチ

解答 c.   b.× 病態は活性化された線維芽細胞から過剰に産生された細胞外基質蛋白の沈着であり真皮の浮腫と膠原線維の増生を来す。 c○ 蛍光抗体直接法で表皮基底膜にIgGIgMC3の沈着(ループスバンド)  d. × 蛍光抗体法陰性。真皮上層にムチン性浮腫。  e. × 滑膜表層部にIgGが沈着

 

問題46 赤血球の遊出、血管周囲の好中球の浸潤、白血球の核破壊、血管壁の膨化とフィブリノイド変性が特徴的とされるのは、

a.アナフィラクトイド紫斑  b.慢性蕁麻疹  c.多形滲出性紅斑

d.Stevens-Johnson症候群  e.網状皮斑(livedo)

解答 a    a○下肢の真皮の小血管に上記の病変が生じて紫斑を認める。全身の血管が犯されたものがSchonlein-Henoch症候群。

b. × ヒスタミンによる毛細血管透過性亢進、血漿成分の組織内漏出に加えて好酸球、好中球、単核球などの細胞浸潤を伴う。

c. × 主に皮膚、ときに粘膜に虹彩状のもりあがりがあり滲出性を伴う紅斑を認める。原因は多岐にわたる。

d. ×多形滲出性紅斑のうち皮膚病変に広範な粘膜病変を伴い発熱等の全身症状を認める

e. × 比較的大きな網状から樹枝状の形態を示す紅斑。皮膚末梢循環障害により、毛細血管や最小血管の拡張、血流鬱滞が生じ、表皮の障害、真皮弾性線維の増生が起こる

 

問題47 生下時より顔面の片眼の周りに赤色のあざがあり、てんかん発作を生じた。考えられる疾患はどれか。

a.スタージ・ウェーバー症候群  b.クリッペル・ウェーバー症候群  c.ポイツ・イェーガー症候群

d.レックリングハウゼン病      e.プリングル病

解答 a   a)  顔面の片側の神経12枝支配領域の血管腫、同側の脳萎縮、石灰化、対側の痙攣発作を呈する症候群。精神遅滞、緑内障、牛眼を伴う。

b)  × 出生時より四肢の単純性血管腫、患肢の肥大延長を認める。

c)  × 口腔の皮膚や粘膜の色素斑、消化管ポリポーシスなどを主徴とする。

d)  × カフェオレ斑、皮膚の神経線維腫、小レックリングハウゼン斑、脊椎の側弯など。

e)      × 結節性硬化症。左右対称性の顔面の皮脂腺腫、葉状白斑、知能発達遅延、再発性痙攣発作を主症状とする。脳腫瘍を始めとして心臓に横紋筋肉腫、腎に血管脂肪腫などを合併する。

 

問題48 色素ダイレーザー照射療法が一般に効果があるものを選べ。

(1)黄色腫  (2)単純性血管腫(ポートワイン母斑)  (3)苺状血管腫  (4)尋常性白斑

a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)(4)のすべて

解答 c   4)× PUVA(光化学療法)の適応である。

 

 

問題49 生下時より前頭正中部および躯幹正中部に脱色素斑がみられた。骨、眼、聴力に異常は認められない。拡大、縮小傾向は見られない。診断名は?

a.まだら症(限局性白皮症)  b.尋常性白斑  c.全身性白皮症

d.フォークト小柳原田病     e.遺伝性対側色素異常症

解答 a)    a)  先天性の色素異常症であり、前額部白斑と前頭部白毛が特徴的。四肢、体幹では地図状白斑を対側性に認める。  

b) × 対側性ないしは分節状に白斑が生じる。後天性で拡大傾向を示すことが多い。

c)  × 常染色体劣性遺伝。全身のメラニン色素の減少ないし欠如により、髪が白く肌もやや白っぽいピンク色となる。チロシナーゼ活性陽性型と陰性型がある。

d)  × 髄膜炎、ブドウ膜炎後に脱毛、白毛、白斑が出現する。ブドウ膜炎、聴器障害、白斑、白毛、脱毛症の五つが特徴。

e)  × 常染色体優性遺伝。四肢末端に濃淡さまざまの褐色小斑および小脱色素斑が網目状に混在する。

 

 

問題50 菌状息肉症について正しいのはどれか。

(1)B細胞リンパ腫で、ATLと同様に南西日本に多発する。

(2)皮膚腫瘤として初発することが多く、進行が早い。

(3)病初期からの多剤併用療法と全身電子線照射により生存率が有意に延長した。

(4)表皮親和性をもって浸潤、増殖し、しばしば表皮内にポートリエ微小膿瘍がみられる。

 a. (1),(3),(4)のみ  b.(1),(2)のみ  c.(2),(3)のみ  d.(4)のみ  e.(1)(4)のすべて

解答 d.   1) × B細胞ではなくT細胞である。

2) × 非特異的紅斑として初発し、10-20年の紅斑期の後に、扁平浸潤期、腫瘤期を経て内臓へと病変が拡大する。

3) × 病初期では紫外線療法、γ-INF療法、ステイロイド外用療法などを行う。この疾患においては免疫を保つことが重要で、病初期の化学療法の予後はよくない。

4)  菌状息肉症は皮膚T細胞リンパ腫の一種であり、これらの多くの例でT細胞はCD4陽性ヘルパー/インデューサーT細胞の性格を持ち、これらの細胞成分由来の腫瘍は表皮内に浸潤、増殖する傾向がある。いくつかの腫瘍細胞が表皮内に集積してあたかも小さな膿瘍と見えるものがポートリエ膿瘍。

 

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