平成16年度 「皮膚」 概説試験
問題1.以下の1)~5)の文章に対し、正しいものに○、誤っているものに×を解答欄に記入せよ。 |
(解答) 1)×2)×3)×4)×5)×
1) ランゲルハンス細胞は骨髄由来です。(STEP皮膚科 p.15)
2) メラノサイトで産生されたメラニンはケラチノサイトに移行します。(STEP皮膚科 p.12)
3) デスモソームの構成蛋白であるデスモグレインへの自己抗体が産生されます。(STEP p.170)
4) 棘融解はデスモゾームの変性・形成不全によるもので、天疱瘡などで起こります。(STEP p.51)
5) ケラチン5、14の異常は単純型です。栄養障害型は7型コラーゲンの異常です。(STEP p.181)
問題2.以下の1)~6)の設問に対しa~eのうち1つを選び記号を解答欄に記入せよ。 |
(解答) b)
1. ○ 他にカバーマークで隠すという方法も場合によっては行われます。(STEP皮膚科 p.262)
2. ○ Qスイッチルビーレーザー著効。年齢とともに消退傾向。
3. × 日焼けをさせるPUVA療法。健常部の皮膚移植も試みられています。(STEP皮膚科 p.250)
4. × 色素レーザー光線治療。Sturge-Weber症候群、Klippel-Weber症候群の部分症状のことも。(STEP p.264)
II.アジソン病について正しいものを選べ。 |
(解答) a)
1. ○ それによりメラノサイト刺激ホルモン、ACTH分泌が過剰になり、色素沈着が生じます。(STEP皮膚科 p.256)
2. × 結核性のものが37%、特発性が42%です。結核によるものは激減。(year note 2004 D-58)
3. ○ 症状は、コルチゾール欠乏(やせ、脱力、食欲不振、低血糖、倦怠感)、アルドステロン欠乏(Na↓、K↑、低血糖、代謝性アシドーシス)、アンドロゲン欠乏(無月経、腋毛・恥毛の脱落、骨粗鬆症)、ACTH↑(色素沈着)からなる。(year note 2004 D-58)
4. ○ 頬粘膜、歯肉部の他、顔面、手背など衣服の擦れる部位、手のしわや腋窩など。(内科診断学p.887)
III.正しいものを選べ。 |
(解答) e)
1. ○ 原発性・多発性骨髄腫ではAL、続発性・遺伝性ではAAよりなる。(year note 2004 D-120)
2. ○ Ehlers-Danlos症候群。膠原線維合成経路に異常があります。(STEP皮膚科 p.242)
3. ○ 痛風結節は皮下結節で、結節自体には痛みはありません。偽痛風はリン酸カルシウム。(STEP p.241)
4. ○ ポルフォリン体はヘムを合成する途中の物質で、光線曝露により励起されます。急性間欠性ポルフォリン症では前駆体が蓄積するので光線過敏は見られません。(STEP皮膚科 p.234-235)
IV.結節性紅斑を生じやすい疾患を選べ。 2.アナフィラクトイド紫斑 3.ベーチェット病 4.サルコイドーシス |
(解答) a)
1. ○ 感染症で最多。(STEP皮膚科 p.118)
2. × 名前の通り紫斑が起こります。紫というより紅色だそうですが・・・。(STEP皮膚科 p.130)
3. ○ 生じる疾患は他に潰瘍性大腸炎、Crohn病、サルコイドーシス、リウマチなど。(STEP皮膚科 p.118) 4. ○ 上記の通り。
V.全身性エリテマドーデスの皮膚症状を選べ。 |
(解答) e)
全身性エリテマトーデスの皮膚症状:蝶形紅斑、手掌および手指の紅斑、頭部脱毛、皮下硬結、皮下結節、光線過敏、粘膜疹。また、レイノー症状はほぼ必発。(STEP皮膚科 p.203-205)
1. ○ 60%に見られます。(year note 2004 F-49)
2. ○ 顔面、耳介、前胸部V野に起こります。(STEP皮膚科 p.205) 4. ○ 寒冷、振動、ストレスなどの刺激によって、手指に蒼白、チアノーゼ、紅斑の変化を生じ、数分でもとに戻る。
VI.皮膚筋炎で正しいものを選べ。 |
(解答) e)
1. ○? 内臓悪性"腫瘍"だと思いますので○でしょう。(STEP皮膚科 p.215)
2. ○ 間質性肺炎(肺線維症)は5-10%でみられます。(STEP皮膚科 p.215)
3. ○ 血清CPK値を参考にしながら投与量を調節します。(STEP皮膚科 p.216)
4. ○ 他に肘、膝などにも見られます。(STEP皮膚科 p.214)
問題3.以下の設問に対しa~eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 a)1,2,3 b)2,3,4 c)3,4,5 d)1,2,5 e)2,4,5 |
(解答) a)
1. ○ 部位だけでなく症状も異なります。(STEP皮膚科 p.92)
2. ○ Th2型免疫反応が優位になっていることに関連します。(STEP皮膚科 p.91)
3. ○ 代表的な合併症です。他には感染症など。(STEP皮膚科 p.95)
4. × Th2が優位になっています。(STEP皮膚科 p.90)
5. × 発汗・皮脂分泌が共に低下します。(STEP皮膚科 p.91)
II.アトピー性皮膚炎に関して正しい組み合わせはどれか。 (2)原因療法として食物除去療法を行うことがある。 (3)肥厚性癒痕をきたしやすい。 |
(解答) d)
1. ○ ウイルス感染が合併して起こります。(STEP皮膚科 p.95)
2. ○ 特定のものを摂取した後に明らかに増悪する場合にそれを制限します。(STEP皮膚科 p.96) 3. × 様々な症状がありますが、肥厚性瘢痕はないようです。(STEP皮膚科 p.92-93)
4. × 免疫抑制薬とステロイドが外用療法の基本です。(STEP皮膚科 p.96)
5. ○ 80%の患者で高値です。(STEP皮膚科 p.91)
III.アレルギー性接触皮膚炎に関して正しい組み合わせはどれか。 |
(解答) d)
(1)
○ 4型反応、つまり遅延型皮膚反応のプロトタイプです。(STEP皮膚科 p.87)
(2)
○ アレルギー性が疑われれば行います。(STEP皮膚科 p.88)
(3)
× 原因物質を取り除き、ステロイド外用、抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬を内服します。
(4)
× Th1優位のようです。(STEP皮膚科 p.87)
(5)
○ ランゲルハンス細胞は抗原提示細胞の一種です。
問題4.以下の設問に対しa~eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 |
(解答) ?
1. ○? スポロトリキン抗原による皮内反応は特異性が高く診断に有用、らしいです(戸田新細菌学p.) 2. ? する、という資料はないようですが・・・。
3. ×? PAS染色で菌要素を認めますが、有用ではないようです。(STEP皮膚科 p.366)
4. ×? 培養はサブローブドウ糖寒天培地で行います。(STEP皮膚科 p.366)
II.スポロトリコーシスについて正しいものは何れか。 |
(解答) a)?
1. ○ 高温では発育しないので身体の末端に生じます。(STEP皮膚科 p.366)
2. ×? 関連する資料が見つかりませんでした。治療としてはヨードカリ、抗真菌薬を内服します。アンホテリシンBはポリエン系抗真菌薬です。(STEP皮膚科 p.366)
3. ○ 熱傷に注意しましょう。(STEP皮膚科 p.366)
4. ○ 自然界の常在菌で、外傷から侵入します。(STEP皮膚科 p.366)
III.次の白癬のうち通常内服療法の適応となるのは何れか。 |
(解答) c)?
基本的に浅在性は外用、深在性は内服のようです。
1.×? 選択肢より。浅在性なので外用?
2.○? 選択肢より。深在性となりケルスス禿瘡となると内服します。(STEP皮膚科 p.361)
3.○ 爪白癬は抗真菌薬を内服して治療します。(STEP皮膚科 p.361)
4.× 趾間型は外用。角化型は内服して治療します。(STEP皮膚科 p.360)
IV,次の疾患と原因菌の組合せのうち正しいものは何れか。 |
(解答) b)
1. ○ 臨床的にはクロモミコーシスと呼ばれるそうです。(STEP皮膚科 p.367)
2. ○ ペットから感染して頭部白癬を起こし、ケルスス禿瘡にいたる事も。(STEP皮膚科 p.361)
3. × カンジダ(大部分はCandida
albicans)によるおむつかぶれのことです。(STEP皮膚科 p.363)
Cryptococcus neoformansはクリプトコッカス症の原因菌。
4. × 原因菌はSporothrix
schenchii。(STEP皮膚科 p.366)
Aspergillus flavusはアスペルギルス症の原因菌。
問題5.以下の設問に対しa~eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 |
(解答) e)?
1. ○ ケラチン線維が異常となり、表皮細胞同士の結合が弱くなります。(STEP皮膚科 p.187)
2. ○ 分娩された時にフィルム状の膜に覆われています。(STEP皮膚科 p.188)
3. ○? 悪性腫瘍の合併が特徴らしいのでそれにより栄養障害が起こる・・・?
4. ○ 毛孔性角化とあるのでおそらく○ではないでしょうか。
II.疾患と病理組織像の組み合わせで正しいものを選べ |
(解答) b)
1. ○ 他に角層肥厚、角質細胞内の多数の脂肪滴。(4/21授業プリント)
2. × 顆粒層は正常です。角質肥厚が起こります。(4/21授業プリント)
3. ○ 苔癬型組織反応が多数起こります。(4/21授業プリント)
4. × Thost-Unna型は顆粒変性(-)。顆粒変性(+)はVorner(oにウムラウト)型
5. × 病理組織所見ではKogoj海綿状膿疱を認めます。
III.乾癬について正しいものを選べ |
(解答) c)
1.× 選択肢より。 2.× 鱗屑を剥離していくと点状出血を認める現象です。(STEP皮膚科 p.47)この文はKobner(oにウムラルト)現象の説明。
3.○ 皮疹の1~2週間前に咽頭炎や扁桃炎が先行することが多いです。
4.○ 本邦の有病率は0.02~0.1%。白人は2~3%。
5.× 乾癬、扁平苔癬、自家感作性皮膚炎、青年性扁平疣贅などで見られます。(STEP p.47)
問題6.以下の設問に対しa~eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 |
(解答) a)
1. ○ 良性の腫瘍で80歳を超えるとほぼ100%の人にみられます。(STEP皮膚科 p.276)
2. × 顔に出来ることはあるのでしょうか・・・?
3. × 生じるのは紅斑のようです。(STEP皮膚科 p.149)
4. × 中年以降の?幹、四肢に生じる褐色調の角化局面です。(STEP皮膚科 p.282)
II.「皮膚原発性上皮性悪性腫瘍であり,進行しても転移はごく稀である。」この記載にあうものはどれか。 |
(解答) a)
1. ○ 中年以降の顔面に前駆症状なしに好発。転移は稀。(STEP皮膚科 p.285)
2. ×? 選択肢より。線維芽細胞様紡錘形細胞の増殖からなる低悪性度肉腫。
3. × 真皮下層~皮下組織層にわたる毛母細胞由来の良性腫瘍。(STEP皮膚科 p.279)
4. × 転移を起こします。(STEP皮膚科 p.285)
III.次の悪性黒色腫に関する記載で誤りはどれか。 |
(解答) b)
1.× 逆です。白人に多く、黄色人種は少なく、黒人にはまれです。(STEP皮膚科 p.288)
2.○? 巨大色素性母斑は発生母地になるようです。(STEP皮膚科 p.292)
3.×? そのようなデータは見つかりませんでしたが・・・。
4.×? 他の病型に比べ悪性度が高いようです。
問題7.以下の設問に対しa~eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 |
(解答) a,e a.○ b.× ワクチンはまだ開発されていない。
c.× 治療はアシクロビル、バラシクロビル。 d.× リバビディンはC型肝炎の治療薬。e.○
II.皮膚の黄色ブドウ球菌感染症について正しい記述を選びなさい。 |
(解答) c)?
1. ○ 多くは黄色ブドウ球菌が原因です。(STEP皮膚科 p.319)
2. ×? ありうる話ですがよく分かりません。
3. × 血中には入りません。入るとSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)となります。
4. ○ そのようです。 5. ○? 選択肢より。
III.最近の性感染症の動向について正しいものを選びなさい。 |
(解答) c)
1.× 選択肢より。 2.○ 異性間の性的接触による患者の増加が著しくなってきている。
3.○ ペニシリン療法にて治療します。
4.× HPV6型と11型が80~90%を占めています。(STEP皮膚科 p.350)
5.× オウム病、肺炎などが有名です。
問題8.以下の設問に対し記号を解答欄に記入せよ。 II.左上肢の熱傷の重症度は 1.1度熱傷 2.2度熱傷 3.3度熱傷 4.4度熱傷 |
I (解答) 2. 9の法則では9%、5の法則では10%です。
II (解答) 2. 紅斑で1度、水疱・びらんで2度、壊死・炭化で3・4度となります。
III.熱傷について下記の文の正しいものには○、誤ったものには×をつけなさい。 |
(解答) 1.×2.×?3.×4.○
1.× 菌交代現象を避けるために初期には投与しない。
2.×? 痂皮下で上皮化を待つとのことなので×? 3.× 消毒は不要。
4.○ 真皮深層で瘢痕化するとのこと。
問題9.下記の文の正しいものには○、誤ったものには×を解答欄に記入せよ。 |
(解答) 1.○2.×3.○4.×
1. ○ 2.
× EBウイルスです。
3. ○ 4.
× 黒色期(黒色壊死)、黄色期(黄色壊死)、赤色期(肉芽形成)、白色期(上皮化)です。
問10.正しい文章の組み合わせはどれか。a~eの記号を1つ選び解答欄に記入せよ。 |
(解答) b)
1. ○ UVBは真皮上層あたりまで侵入して日焼けを起こします。(STEP皮膚科 p.143)
2. ○ 真皮血管や異物が皮表より透見出来るのはそのためです。(STEP皮膚科 p.145)
3. × 選択肢より。春先に強まるようですが最も強いわけではない?
4. × 被覆部の細かいしわは加齢によるものなので×?
5. ○ 白はよく透過させ、黒は白の1/10程度しか透過させないようです。
問題11.以下の設問に対しa~eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 |
(解答) c)
a)× 皮膚浸潤は約50%の患者に見られます。(STEP皮膚科 p.299)
b)× 異型リンパ球の大小の腫瘍が形成されます。(STEP皮膚科 p.295)
c)○? 生じることもあるのでは・・・?
d)× 予後の良い例もあります。(STEP皮膚科 p.301)
e)× T細胞性が70~80%を占めます。(STEP皮膚科 p.294)
II.次の文章で正しいものはどれか。 |
(解答) c)?
a)×? まずない、とは言い切れないような・・・。
b)×? 高コレステロール血症では眼瞼にも黄色腫が起こりますが・・・。
c)○? 比較的短期間で起こるようですが・・・。
d)? 透析により起こることはあるようですが・・・。
e)× 脂漏性角化症が多発するものを言います。(STEP皮膚科 p.276)
III.次の文章で誤ったものはどれか。 c)ケラチノサイトは接着分子を発現する。 |
(解答) a)?d)?
a)×? IL-6は関与していないようです。
b)○ 紅斑期、扁平浸潤期を経て腫瘍期となります。(STEP皮膚科 p.295)
c)? 接着分子というのが何のことかイマイチ分かりませんが、ケラチンを発現します。(STEP皮膚科 p.6) d)×? サイトカインを分泌するという資料がチラホラあります。
e)○ 病原体が皮膚内に侵入すると、病原体を補足し、所属リンパ節へと遊走し、抗原情報をTリンパ球に伝達します。(STEP皮膚科 p.15)
問題12.以下の設間に対して記号a~eを選び解答欄に記入せよ。 |
(解答) a),c)
アロプリノールによる固定薬疹だと考えられます。
a)○ 重症例は入院治療を原則とします。(4/30授業プリント)
b)× 摂食困難という事から十分とは言えません。
c)○ 原因薬剤の投与は中止します。(4/30授業プリント) d)× 同上。
e)× 肥満細胞腫(色素性蕁麻疹)で見られる著しい隆起です。(STEP皮膚科 p.47)
II.蕁麻疹関連疾患について正しいものを1つ選べ。 |
(解答) d)?
a)×赤色描記症です。白色はアトピー性皮膚炎。 b)×そのような資料は見つかりませんでした。
c)×? 遺伝型はわが国に十数家系ということで遺伝性の方が少なそうですが・・・。
d)○? 青年期には多いようです。 e)× 小麦が原因と考えられているようです。
III.薬疹の病型と原因薬剤の組み合わせで正しいものを2つ選べ。 |
(解答) a)c)
a)○ 解熱消炎鎮痛薬が60%、そのほかにもフェニトイン、アロプリノール、ミノサイクリン(STEP皮膚科 p.167)
c)○ 抗菌薬、抗癌剤などで起こります。ビタミンCの欠乏または代謝障害が関与しているとか。
d)× 金製剤、サイアザイド系利尿薬、ACE阻害薬、β‐ブロッカー、抗結核薬、降圧薬のメチルドーパ、テトラサイクリン(STEP皮膚科 p.165) e)× 抗腫瘍剤により起こるそうです
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