平成16年度 「皮膚」 卒業試験
問題 1 以下の記載のうち正しい組合せはどれか。 (1) 外来の抗原を認識して (実際の免疫反応をつかさどる) リンパ球へと抗原情報を伝える細胞を抗原提示細胞と呼ぶ。表皮ではメルケル細胞がその役割を果たす。 (2) 表皮の最下層 ( 基底層 ) には色素を産生するメラニン産生細胞が存在するが、この細胞は発生学的には神経と同じく内胚葉由来である。 (3) 表皮と真皮結合組織との接合部分には乳頭状の凹凸があるが、マイスネル小体はここに分布する。手掌足底に多く、触覚に関与する神経終末と考えられている。 (4) パチニ小体は皮下脂肪組織に分布し、(消化管における機能と同様に)圧受容体と考えられている。 a . (1), (2) b .(1),(3) c .(2),(3) d . (2), (4) e .(3),(4) |
<解答> e 毎年のようによく出てくる問題 (1)× Langerhans細胞。Merkel細胞は、基底細胞層に存在する感覚受容体。 (2)× メラニン産生細胞は神経堤由来(外胚葉)。
問題 2 脱毛を起こすことがある疾患はどれか。 (1) 白癬 (2) 梅毒 (3) エリテマトーデス (4) ハンセン病 a .(1),(3),(4)のみ b .(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d . (4)のみ e .(1)~(4)のすべて |
<解答>e (1)○ 頭部白癬・ケルスズ禿瘡でよく起こる。 (2)○ 第2期に起こる。梅毒性白斑。
(3)○ 脱毛の他に蝶形紅斑や手足・粘膜の滲出性紅斑。 (4)○ らい菌が原因。らい腫型で発現。
問題 3 Langerhans 細胞について誤っているものを一つ選べ。 a.骨髄由来の細胞である。 b.Birbeck 頼粒を有する。 c.インターフエロンγを産生する。 d.正常皮膚では真皮浅層の小血管周囲に多く認められる。 e.毛包や脂腺、リンパ節や胸腺にも認められる。 |
<解答> d よく出る問題。 (4)× 表皮内の主に有棘細胞層中上層にまばらに存在している。
問題 4 皮疹が列序性に配列することがある疾患はどれか。 a.表皮母斑 b.太田母斑 c.老人性血管腫 d.脂漏性角化症 e.ボーエン病 |
<解答> a 既出問題 b:× 三叉神経第1・2枝支配領域に片側性の淡青色をみる。
c:× 平滑な半球状の鮮紅色の小丘疹が体幹で散在性に見られる。
d:× 扁平隆起性の褐色ないし黒色調局面で、表面軽度疣状のものが多い。
e:× 境界明瞭な紅褐色斑~黒色斑。
問題 5 次に挙げる紅斑のうち、内臓悪性腫蕩との関連が考えられているのはどれか。 (1) 遠心性環状紅斑 (2)Sweet 病 (3) 壊死性遊走性紅斑 (4) 葡行性迂回 (花環) 状紅斑 a .(1),(3),(4)のみ b .(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d . (4)のみ e .(1)~(4)のすべて |
<解答> e (1)○ 遠心性環状紅斑は内臓悪性腫瘍などの原疾患の検索が重要。
(2)○ 上気道感染が先行することが多く、癌・白血病等の悪性腫瘍や慢性関節リウマチ・Sjogren症候群などの自己免疫疾患に合併した例の報告が近年増えてきている。 (3)○ グルカゴノーマの約70%に合併する。
(4)○ 「ほこうせい」と読みます。内臓悪性腫瘍をほとんど100%に合併し、極めてまれ。
問題 6 紅皮症を来すのはどれか。 (1) 薬疹 (2) ATL/ATLL (3)湿疹 (4) 乾癖 a .(1),(3),(4)のみ b .(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d . (4)のみ e .(1)~(4)のすべて |
<解答> e 既出問題 「紅皮症の原因および先行皮膚疾患」
1.先行皮膚疾患・・特に湿疹・皮膚炎群や乾癬からの発症が多い。
2.悪性腫瘍・・Sezary症候群・菌状息肉腫・Hodgkin病・白血病・内臓悪性腫瘍。
3.薬剤・・金剤・コルチコステロイドなど
問題7 アトピー性皮膚炎について誤っているのはどれか。 a. 青年期以降に発症することもある。 b. ヘルペス感染症が合併しやすい。 c. 血清 IgE の上昇することもある。 d. 白内障の合併に注意する必要がある。 e. 確定診断には皮膚生検が必要である。 |
<解答> e 選択枝の中身は年々変わるが、よく出る問題。
a:○ 生後2~6ヶ月より発生し、大半は思春期前に治癒するが、一部は思春期以降も持続し、難治性。
b:○ カポジ水痘様発疹症(ヘルペス初感染)、伝染性膿痂疹、伝染性軟属腫は、合併する感染症として、重要で頻度も高い。 c:○ 他のアトピー性疾患(気管支喘息・アレルギー性鼻炎)を併発しやすい。
d:○ 眼合併症として、白内障・網膜剥離があげられ、10代から20代の患者に起こりやすい。
e:× 診断に検査は必ずしも必要ではなく、1掻痒、2特徴的皮疹と分布、3慢性・反復性の経過、が診断基準として授業プリントにありました。
問題8 23 歳の男性。幼少児期よりアトピー性皮膚炎で治療を受けていた。 2 日前より突然、 39℃の発熱とともに顔面、頚部、上胸部に小水痘が多数集震性に出現し、一部びらん化、潰瘍化し、所属リンパ 節も有痛性に膨張している。最も考えられるのはどれか。 a.疱疹状皮膚炎 b.天疱瘡 c.カポジ水痘様発疹症 d.帯状疱疹 e.水疱性類天疱瘡 |
<解答> c 1:アトピー性皮膚炎 2:「39℃の熱」→感染を疑う。 この2つを考えると答えはc。
「カポジ水痘様発疹症」 標準449
基礎疾患(アレルギー皮膚炎が多い)のある皮膚部分に、HSV(単純ヘルペス)が経皮感染することによる。小児に好発するが、成人例も増加している。湿疹病変に、多数の小水泡→膿疱→びらん→潰瘍化となる。皮疹発症と同時に、発熱・所属リンパ節の有痛性腫脹・倦怠感といった全身症状を伴う。
問題9 結節性紅斑でみられる病理組織学的所見を下記より選べ。 a)sattellite cell necrosis b)septal panniculitis c)leukocytoclastic vasculitis d)spongiosis e)Munro’s micro abscess |
<解答> b 毎年、違う病気で問われるが選択枝は一緒。
a)× 急性皮膚GVHDに出現しdonorのリンパ球がrecipientのケラチノサイトを攻撃する像。
b)○ 結節性紅斑に出現。葉間脂肪織炎の像。
c)× 皮膚アレルギー性血管炎。好中球を主とした細胞浸潤、核崩壊片、赤血球の血管外漏出を特徴。
d)×急性湿疹に出現。海綿状態のことで隣接するケラチノサイト同士の間隙が浮腫により拡大した状態。 e)× 尋常性乾癬に出現。Munro微小膿瘍のことで角層内の好中球浸潤の像。
問題10 蕁麻疹の原因として正しいものはどれか。 (1) ヘリコバクター・ピロリ菌 (2) 自己抗体 ( 抗 IgE レセプター抗体 ) (3) 消炎鎮痛剤 (4) 慢性感染症 a .(1),(3),(4)のみ b .(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d . (4)のみ e .(1)~(4)のすべて |
<解答> e 蕁麻疹は何でも原因になりうるみたいです。 (1)○ 「Today’s therapy」という本にのっていた。
(2)○ 抗原の存在と無関係に好塩基球およびマスト細胞の脱顆粒を誘導。(慢性蕁麻疹)
(3)○ アスピリンなどは、直接あるいは間接的にマスト細胞に作用したり、血管に対する直接作用によっても症状を修飾したりする。(非アレルギー性蕁麻疹)
問題 11 次の組み合わせで正しくないものを 1 つ選べ。 a. Sweet 病----白血病 b. 骨髄性プロトポルフィリン症---- C 型肝炎 c. 壊疽性膿皮症----大動脈炎症候群 d. 結節性紅斑----潰湯性大腸炎 e. 黒色表皮腫----肥満 |
<解答> b こういう組み合わせ問題は毎年見ますが、毎回中身は違うようです。
a.○ 上気道感染が先行することが多く、癌・白血病等の悪性腫瘍や慢性関節リウマチ・Sjogren症候群などの自己免疫疾患に合併した例の報告が近年増えてきている。
b.× 骨髄性プロトポルフィリン症は遺伝子レベルの障害によると考えられている。
PCT(晩発性皮膚ポルフィリン症)の患者の50%以上にHCV感染を認める。
c.○ 原因は不明だが、本邦では大動脈炎症候群を合併することが多い。
d.○ 潰瘍性大腸炎は壊疽性膿皮症を合併することがあり、結節性紅斑・多形紅斑・環状紅斑などを呈する。
e.○ 黒色表皮腫は3つのタイプがあり、なかでも仮性型は肥満者に認められる。
問題12 17 歳の女性。昼ご飯にうどんを食べた直後にクラブ活動で運動をしたところ、気分不良、顔面の浮腫がみられ、意識消失し救急車で受診した。当日は月経時痛みに対してバファリンを内服していた。 最も考えられる診断名はどれか。 a. 固定薬疹 b. Stevens-Johnson 症候群 c. Drug induced hypersensitivity syndrome d. Food dependent exercise induced anaphylaxis e. アスピリン不耐症 |
<解答> d
「食物依存性運動誘発アナフィラキシー Food dependent exercise induced anaphylaxis」
特定の食べ物(小麦・海老・カニが多い)を摂取した後、運動を負荷したときに、蕁麻疹や血圧低下を伴うアナフィラキシー症状が出現する。(食物のみ・運動負荷のみでは症状は出ない)
なので、dの可能性が一番高いと思われます。
本症例の場合、バファリン(アスピリン)を内服しているので、薬剤性アナフィラキシーショックも原因の1つとして考えられます。この場合も蕁麻疹が見られます。dに比べたら、可能性は低いかと・・本文には「浮腫」とありますが、蕁麻疹は膨疹なので浮腫と似たものと考えます。(かゆみの表記はないが)
問題13 症例は 72 歳の男性。肺炎で入院治療を受けていたが、1 週間前から全身の皮膚に紅斑、びらんが出現してきた。眼球結膜の充血がみられ、口唇にはびらん、口腔粘膜には白苔を伴っていた。皮膚生検で 表皮真皮境界部へのリンパ球の浸潤と表皮基底層の細胞の壊死がみられた。この疾患で臨床的にみられる所見はどれか。 a. Dermographia b. Nikolsky 現象 c. Auspitz 現象 d. Darier 徴候 e. Pautrier micro abscess |
<解答> b TEN型薬疹(中毒性表皮壊死剥離症)
a.Dermographia(皮膚描記症)・・皮膚の機械的擦過により膨疹と紅斑を生じる。(蕁麻疹)
b.NIkolsky現象・・健常皮膚面を指で圧しながらこすると、表皮剥離が起こる。(水疱症)
c.Auspitz現象・・鱗屑を剥がしていくと点状出血。(乾癬)
d.Darier徴候・・色素斑部での隆起が強くみられる。(肥満細胞症)
e.Pautrier micro abscess・・mycosis cell(息肉症細胞)が表皮内に侵入し、数個集まったもの。
TEN型薬疹(中毒性表皮壊死剥離症)
全身倦怠感・発熱・関節痛などの前駆症状に続き、紅斑を生じ、それが急速に全身に拡大するとともに熱傷に似たびらんを呈する最も重症の薬疹。原因としてアスピリン・ピラゾロン系・サルファ剤・ペニシリン・バルビツール剤などが多い。 ⇒本症例では肺炎の治療に用いた抗生物質が原因して発症したと考えられる。表皮細胞全体が著明な壊死に陥るため,皮膚は触るだけで容易に剥離する(ニコルスキー現象)。
問題14 22 歳の女性。急性骨髄性白血病に対して寛解導入療法後、非血縁者間の骨髄移植を受けた。移植後 35 日目から発熱、下痢とともに手掌、頚部に紅斑が出現、次第に拡大するため受診した。皮膚生検では表皮基底層の細胞 に空胞変性、壊死がみられた。この病態について誤った組み合わせはどれか。 (1) 生じるとほとんどの場合致命的である。 (2) 肝酵素の上昇を伴うことも多い。 (3) ステロイドの全身は効果があることが多い。(4) 輸血や肝移植など他の臓器移植時にもみられることがある。 (5) 自家移植でもしばしばみられる。 a.(1),(2) b.(1),(5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4),(5) |
〈解答〉 b (1)(5)× 移植後100日以内に起こった急性GVHDであり発疹、下痢、肝障害が3徴。 (2)(3)(4)○ 治療はステロイド、シクロスポリン、免疫抑制剤の全身投与。
問題15 痒疹、蕁麻疹について正しいものを選べ。 (1) 妊娠に伴うものがあり、妊娠性痒疹とよばれる。 (2) 痒疹では一般に激しいかゆみを伴い、発疹は紅斑である。 (3) 蕁麻疹でみられる発疹は膨疹であり、一般に個疹は数時間で消失する。 (4) 蕁麻疹の治療には抗ヒスタミン剤を中心とした薬物療法が行なわれる。 a .(1),(3),(4)のみ b .(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d . (4)のみ e .(1)~(4)のすべて |
〈解答〉 a (2)× 痒疹は丘疹であるのが特徴。
問題 16 Stevens-Johnson 症候群について誤っているものを選べ。 (1) 多形惨出性紅斑の重症型と考えられている。 (2) 皮疹に加え、粘膜疹、発熱などの全身症状を伴う。 (3) 全身症状が強く、予後不良のことがある。 (4) ステロイド剤の内服、注射は禁忌である。 a .(1),(3),(4)のみ b .(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d . (4)のみ e .(1)~(4)のすべて |
〈解答〉 d (4)× 治療はステロイドの全身投与と補液などの全身管理 (1)(2)(3)○ 大切な問題
問題 17 乾癖の治療で効果的なのはどれか。 (1) コルチコステロイド外用 (2) メソトレキサート内服 (3) 活性型ビタミン D3 内服 (4) シクロスポリン A 外用 a . (1), (2) b .(1),(3) c .(2),(3) d . (2), (4) e .(3),(4) |
〈解答〉 a (3)(4)はそれぞれ外用と内服に変えれば正解。
問題 18 類乾癖で正しいものはどれか。 (1) 局面性類乾癬は菌状息肉症へ移行することがある。 (2)Pityriasis Lichenoides et Varidiformis Acuta (PLEVA:急性痘癒状苔癬状枇糠疹)はLymphomatoid Papubsis (LP, リンパ腫様丘疹症)の類縁疾患と考えられている。 (3)Pityriasis Lichenoides Chronica (PLC, 慢性苔癬状枇糠疹) はときにDDSが奏効する。 (4) 類乾癬には PUVA 療法は一般に有効でない。 a .(1),(3),(4)のみ b .(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d . (4)のみ e .(1)~(4)のすべて |
〈解答〉 b? (1)○ 類乾癬は滴状、局面状、苔癬状があり、後者2つは菌状息肉症への移行に注意。
(2)標準141 滴状類乾癬の重症型とする意見もあるがLPの類縁疾患であるかは不明。
(3)標準195 慢性苔癬状枇糠疹とは、滴状類乾癬のこと。DDSとはdiaminodiphenylsulfoneジアミノジフェニルスルホンまたはジアフェニルスルホンのこと。滴状類乾癬にはPUVA療法が一般的。急性痘瘡状苔癬状粃糠疹ではddsを内服する。 (4)×治療はステロイドの外用、PUVA
問題 19 疾患と病理組織像の組み合わせで正しいものを選べ。 (1) 尋常性乾癖・・・・・液状変性 (2)Thost-Unna 型掌瞭角化症・・・・・顆粒変性 (3) 肩平苔癖・・・・・コロイド小体 (4) 道化師様魚鱗癖・・・・・層板顆粒の異常または欠如 (5) 非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症・・・顆粒変性 a.(1),(2) b.(1),(5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4),(5) |
〈解答〉 d (1)は不全角化が特徴 (2)顆粒変性(-) (3)○コロイド小体とはCivatte bodyのこと。
(4)○角質細胞内の脂肪滴、角層肥厚なども特徴
問題 20 乾癖について正しいものを選べ。 (1) Kobner 現象は乾癬に特異的な現象である。 (2) 膿疱性乾癬の病理組織所見ではポートリエ微小膿瘍が認められる。 (3) 乾癬では高年発症の方が若年発症より遺伝要因の関与が大きいと言われている。 (4) 乾癬は人種別では白人 > 東洋人 > 黒人の順に多い。 a .(1),(3),(4)のみ b .(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d . (4)のみ e .(1)~(4)のすべて |
〈解答〉 d (1)× Kobner現象は健常部皮膚を刺激すると同じ皮膚症状を生じること。乾癬、扁平苔癬、青年性扁平疣贅などに見られる。 (2)× ポートリエはATLに特徴的 (3)× 若年性の方が関与大きい(80%ほど)
問題 21 色素失調症 incontinetia pigmenti (Bloch-Sulzberger症候群)で正しいものを選べ。 (1) 男性に多い。 (2) 組織学的に好酸球性膿疱がみられる。 (3) 細胞膜のレセプターの異常により生じる。 (4) 両側性のことが多い。 a.(1),(2) b.(2),(3) c.(3),(4) d.(1),(3) e.(2),(4) |
〈解答〉 e (1)× 男児は致命的であるため、女児がほとんどになる。
問題 22 アジソン病について正しいものを選べ。 (1) 副腎皮質機能不全により生じる。 (2) 現在では、結核性が多い。 (3) 全身の色素沈着、倦怠感、食欲不振などの症状を呈する。 (4) 掌紋、膝、肘などの他、乳輪、版筒、会陰部に色素沈着は強い。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4)のみ e.(1)~(4) のすべて |
〈解答〉 a (2)× 副腎結核によるものは激減しており、現在は特発性のものが最多。
問題 23 正しいものを選べ。 (1) アミロイドーシス :AL ( 免疫グロブリンL鎖 )、AA(proteinA) などの線維構造を有する特異蛋白が諸臓器の組織間隙に沈着する。 (2) エーラスダンロス症候群 : 皮膚の過伸展、関節の異常可動、皮膚血管の脆弱を主徴とする遺伝性コラーゲン合成異常症。 (3) 痛風結節 : 尿酸塩結晶に対する異物肉芽腫。 (4) ポルフィリン症 : ポルフィリン体またはその前駆体の代謝異常で急性間欠性ポルフィリン症以外では日光暴露により紅斑、水痘などが生じる。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
〈解答〉 e 割と基本的。
問題 24 診断上、血清反応が重要ではないと思われる疾患は次のうちどれか。 a. 梅毒 b. 成人 T 細胞リンパ腫 / 白血病 (ATL) c. 伝染性紅斑 d. 非定型抗酸菌症 e. Gianotti 病 |
〈解答〉 d 2003年卒試問題1と同じ。
非定型抗酸菌症はいずれかの抗酸菌同定法(DNAプローブ、DNA-ハイブリダイゼーション)により診断。他はa.梅毒スピロヘータ、b.HTLV-1、c.ヒトパルボウイルスB19、e.HBVであり、いずれも診断には血清反応が重要となる。
問題 25 結核菌が原因で生じる疾患をあげよ。 (1) 皮膚涜状結核 (2) パザン硬結性紅斑 (3) 皮膚腺病 (4) 尋常性狼瘡 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
〈解答〉 e (2)はBazin硬結性紅斑のこと? 治療はいずれも抗結核薬の内服
問題 26 疥癬について正しいのはどれか。 (1) 性行為感染症 (STD) には含まれない。 (2) クロタミトン外用剤が有効である。 (3) 病理組織所見でリンフォーマと鑑別を要することがある。 (4) 幼小児には感染しない。 (5) ノルウェ一疥癬は原因となるダニの種類が異なる。 a.(1),(2) b.(1),(5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4),(5) |
〈解答〉 c (1)(4)(5)×疥癬は家族内感染、院内感染、保育園、老人ホームで流行する他STDとしても流行。 (3)?治療は硫黄、安息香酸ベンジル、クロタミトン。ノルウェー疥癬とは同じダニだが数が少ないのが特徴。
問題 27 次の文章のうち誤っているものの組合せはどれか。 (1)梅毒血清反応 (STS) 陽性者は全て梅毒に罹患している。 (2)第1期梅毒の感染門戸は陰部、口唇に限られる。 (3)梅毒に罹患しても最初の約3週間は、STSは陰性である。 (4)硬性下疳は感染後3週で生じ、トレポネーマが証明される。 (5)第2期梅毒は感染後約3ヶ月で始まり、バラ疹・肩平コンジローマ・脱毛などを生ずる。 a.(1),(2) b.(2),(3) c.(3),(4) d.(4),(5) e.(3),(5) |
解答:a 2002年卒試18番と同じ問題
(1)× SLE、らい病,肝炎,肝硬変,妊娠,感染症,悪性腫瘍などで陽性となる生物学的疑陽性がある。 (2)× 経胎盤もある。 (3)○ 感染後約4週で陽性化する。
問題 28 次のうち原因微生物が病変部より比較的容易に検出できるのはどれか。 (1) 癜風 (2) 白癬疹 (3) 伝染性紅斑 (4) パザン硬結性紅斑 (5) 扁平コンジローマ a.(1),(2) b.(1),(5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4),(5) |
解答:b (1)○ Malassezia furfurをパーカインクとKOHを滴下して直接鏡検。
(2)× 白癬菌に対するアレルギーであり、皮疹部からは白癬菌の証明はできない。
(3)× パルボウイルスB19の血清IgM抗体を検出する必要がある。
(4)× 結核菌に対するアレルギーであり、皮疹部からは結核菌の証明はできない。
(5)○ パーカーインク法、墨汁法、暗視野法などで直接鏡検。
問題 29 感染症ではないものはどれか。 (1)Creeping disease ( 皮膚艇行症 ) (2) Duhring 庖疹状皮膚炎 (3) 菌状息肉症 (4) 白板症 (5) 黒癖 a.(1),(2),(3) b.(1),(2),(5) c.(1),(4),(5) d.(2),(3),(4) e.(3),(4),(5) |
解答:d 2001年卒試29番と同じ問題
(1) × 皮膚幼虫移行症の一病型。虫の皮内移動に一致し蛇行性線状皮疹を生ずる。
(2) ○ 掻痒の極めて強い紅斑、小水疱。IgA免疫複合体の沈着?
(3) ○ 皮膚症状を初発または主病変とする末梢T細胞リンパ腫。
(4) ○ 慢性刺激が関与しているとされる。過角化症から異形成を示すものまで多様。
(5) × 黒色酵母様真菌の浅在性真菌症。
問題 30 伝染性単核球症患者への投与を避けたほうがよい抗生剤はどれか。 a.セフェム系 b.ペニシリン系 c.テトラサイクリン系 d.マクロライド系 e.特にない |
解答:b 2001年卒試31番と同じ問題 ペニシリン系はアレルギー反応を引き起こす。
問題 31 次の記述のうち、誤っているものはどれか。 a. スポロトリコーシスは小児の顔面、高齢者の上肢に多い。 b. 癜風は乳幼児の躯幹に多い。 c.黒色分芽菌症 (chromoblastomycosis) は下肢に多い。 d. 皮膚クリプトコックス症は髄膜や肺のクリプトコックス症に続発することが多い。 |
解答:b (2)× 癜風は青年期に多い (3)○ 黒色分芽菌症は青壮年男女の上肢、下肢、臀部、体幹、顔面に多い
問題 32 真菌感染症と治療の組み合わせのうち、滴当でないものはどれか。 a. 爪白癬 --アンホテリシン B 内服 b.スポロトリコーシス --ヨウ化カリウム内服 c.口腔カンジダ症 --アゾール系抗真菌剤内服 d.股部白癬 --アゾール系抗真菌剤外用 |
解答:a (1)× 爪白癬にはグリセオフルビン、イトラコナゾール、テルビナフィンなど
問題 33 次の記述につき、誤っているものはどれか。 (1) 慢性皮膚粘膜カンジダ症は爪や皮膚、口腔粘膜にカンジダ症の再発を繰り返す。 (2) カンジダ症の診断にも白癬と同様に苛性カリウム直接検鏡は有用である。 (3) 乳児寄生菌性紅斑は伝染しやすいため保育園などへの登園は避ける。 (4) カンジダ性指間廃嫡は水仕事をする人のIII~V 指間に多い。 |
解答:(3) 皮膚科専門医テキスト参照
(1)○ 免疫機構の異常により皮膚、粘膜に再発性、難治性のカンジダ感染を繰り返す
問題 34 症例は 63 歳の男性。C型肝硬変、肝癌で治療を受けている。近くの海で釣った魚を刺身で食べた翌日から、突 然の悪寒、戦懐、発熱があった。来院時、意識レベル低下、収縮期圧は 60mmHg と低下、両下肢に痔痛を伴う大 きな紫斑が見られた。血液の塗抹染色でグラム陰性桿菌が陽性。同じ魚を食べた友人たちには症状なし。この疾患について正しいものはどれか (1) ビブリオパルニフィカス (Vibrio vulnificus) 感染症である。 (2) 早期のデブリードマンが必要である。 (3) ほとんどの場合肝炎・肝硬変のある患者に起きる。 (4) 夏期に多い疾患である a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
解答:e Vibrio vulnificusはグラム陰性桿菌であり汽水域、海水に広く分布し、肝硬変、糖尿病など基礎疾患に伴い、健常者にはまれである。生食後2日以内に起こり、敗血症を起こし、壊死性筋膜炎を起こす。(皮膚科専門医テキスト参照)
問題 35 症例は 65 歳の男性。鹿児島市出身。10年ほど前から全身に鱗屑、そう痒を伴う皮疹が出現するようになった。 近医で外用治療を受けていたが、改善しにくくなり、次第に紅皮症となったために受診。診察時、全身に鱗屑を伴う紅皮症がみられ、腋下、鼠径にやわらかいリンパ節を複数触知した。血液検査で異型リンパ球5%、LDH 390mg/ml,ATLA 抗体陽性。この症状の診断のために有用でない検査はどれか。 a.皮膚生検 b.可溶性 IL-2 レセプター定量 c.皮膚組織における ATL プロウイルスの取り込み d.皮膚組織における T 細胞受容体の単一な遺伝子再構成 e.皮膚組織における免疫グロプリン H 鎖の単一な遺伝子再構成 |
解答:b 診断はATL (1)○ CTCL(cutaneous T-cell lymphoma;皮膚T細胞リンパ腫)の鑑別に有効
(3)○ ATL プロウイルスの取り込みがあればATLと診断し、なければCTCLと診断する
(4)○ CTCLの検査 (5)○ CBCL(cutaneous B-cell lymphoma;皮膚B細胞リンパ腫)の鑑別
問題 36 次の疾患のうち、自然消退の認められるものを選べ。 (1)悪性黒色腫の原発巣 (2)苺状血管腫 (3)単純性血管腫 (ポートワイン母斑) (4)扁平母斑 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
解答:b 2002年卒試2番と同じ問題
(1)○ 悪性黒色腫の原発巣の部分的消退現象はまれでなく,とくに表在拡大型と末端部黒子部に見られる。
(2)○ 莓状血管腫は,出生時貧血性局面あるいは毛細血管拡張や紅色丘疹のみで,一見虫刺症を思わせる病変を呈し,気づかれないこともある。しかし,3,4週経過するうちに急速に表面が莓状に隆起拡大してくる。この時期に患児をみる機会がほとんどで,その後3~6ヶ月でその大きさは最大となる。生後1年を過ぎると自然消退傾向へと向かう。wait and see policyが治療の原則。
(3)× 単純性血管腫は,生下時から認められる毛細血管の拡張を主体とする紅斑であり,隆起しない。自然消退はなく,切除,雪状炭酸圧抵法,化粧品によるカバー,レーザー光線照射などがその治療である。
(4)× 扁平母斑は,扁平な色素斑で,思春期前後に発することが多い。男子の胸筋部,肩甲部に好発し,片側性かつ有毛性のものを,特に,Becker母斑と呼ぶ。乳児期から6個以上あるときはRecklinghausen病の可能性を考える(six spot criterion)。
問題 37 痛みを伴うことが多い腫蕩はどれか。 (1)グロームス腫場 (2)外傷性神経腫 (3)血管脂肪腫 (4)血管平滑筋腫 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
解答:e 2003年卒試7番と同じ問題
圧痛が起こりやすい皮膚良性腫瘍(Painful ANGELS)(授業ノートより)
A:angiolipoma N:neuroma G:glomus tumor E:eccrine spiradenoma
L:leiomyoma(angio) S:Schwannoma
問題38 有棘細胞癌について正しい記載の組合せはどれか。 (1)基底細胞癌にくらべ転移の頻度が高い。 (2)前癌病変の認められる場合が多い。 (3)放射線と紫外線はいずれも発癌作用がある。 (4)高度の熱傷癒痕でも有赫細胞癌をおこすことはあるがむしろ基底細胞癌発症の方が多い。 a.(1),(2)のみ b.(2),(3) のみ c.(2),(4) のみ d.(1),(2),(3) e.(2),(3),(4) |
解答:d 2003年8番と同じ問題
(1)○ 基底細胞癌が転移を生じることはまれ。
(2)○Bowen病や日光角化症(老人性角化症)がその例である。
(4)×本邦では有棘細胞癌の原因として以前は熱傷瘢痕が最も多かった。(今は日光角化症)
問題 39 Paget 病について正しいものはどれか。 (1) 組織で管腔がみられることはあまりないが , 腺癌の一種である。 (2) 乳房および乳房外があり、乳房外 Paget 病の好発部位は腋窩である。 (3) 臨床的には境界明瞭な角化性隆起性局面として見つかることが多い。 (4) 表皮内癌であるため予後は良く , 転移や腫蕩死はほとんどない。 a.(1) のみ b.(1),(3),(4) c.(2),(3) d.(2),(4) e.(1)~(4)のすべて |
(解答) a) (2) × 最も好発する部位は外陰部 (3) 〇 角化性隆起病変ではなく、紅班状病変
(4) × 転移しやすく予後不良である
問題 40 尋常性白斑の治療について正しいものの組み合わせはどれか。 (l) ステロイド外用、内服 (2) ルビーレーザー照射 (3) 表皮移植 (4)PUVA 療法 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
(解答) a) ルビーレーザーは主に母斑の治療に用いる
問題 41 症例は生後 1 ヶ月の女児。生下時に左頬に扇平な紅斑があったが、生後 1 週間白から急速に隆起、増大してきた。この疾患について正しいものはどれか。 (1) ステロイド剤の全身投与が奏功する。 (2) 多発することが多い。 (3) パルス色素レーザー照射法が奏功する。 (4) 自然消退傾向がみられる。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
(解答) a) 標準324 病歴から苺状血管腫が疑われる。生後2~3週以内に発生し、その後急速に拡大、隆起するがその大半は自然消退がみられる
問題 42 正しいものを選べ (1) 表皮母斑は自然消退しやすい。 (2) 脂腺母斑では基底細胞癌を続発することがある。 (3) 先天性巨大色素性母斑は悪性黒色腫の発生率が高い。 (4) 扁平母斑が 6 個以上ある時はレックリングハウゼン病を疑う。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
(解答) c (1)× 自然消退することはない (2)〇脂腺母斑には,特に思春期以後乳頭状汗管嚢胞腺腫などの良性付属器腫瘍,基底細胞癌,脂腺癌,アポクリン腺癌など種々の上皮性悪性腫瘍の併発が知られている (4)×扁平母斑ではなくcafe-au-leit班6個以上で疑う。茶あざのことを一般的に扁平母斑と呼び欧米ではあざの中に点状に黒いほくろがあったり、色の濃淡差があるものを同じく「扁平母斑」、一様に薄茶色の色素斑があるものを「カフェオレ斑」とよんでいる。
問題 43 基底細胞癌の組織型について誤っているものはどれか。 a. 腺様型 b. 表在型 c. ピンカス型 d. 斑状強皮症型 e. 末端型 |
(解答) e)
問題 44 汗腺系腫瘍はどれか。 a.稗粒腫 b.石灰化上皮腫 c.皮膚混合腫瘍 d.脂漏性角化症 e.ボーエン病 |
(解答) c) a)×上皮嚢腫 b)×皮下腫瘍 d)×表皮のユウゼイ状良性腫瘍
問題 45 ケロイドの好発部位はどこか。 (1) 肩 (2) 前胸部 (3) 下腹部 (4) 足底 (5) 眼険 a,(l),(2),(3) b.(1),(2),(5) c.(1),(4),(5) d.(2),(3),(4) e.(3),(4),(5) |
(解答) a) ケロイドの好発部位は首、胸、肩、下腹部、関節部
問題 46 熱傷面積の測定に関して正しいのはどれか。 (1)5の法則は小児の熱傷面積測定に利用価値が高い。 (2)正確な面積を算出するには Lund-Browder 表を用いるのがよい。 (3)手掌法による計測は、患者の一側の手掌面面積を約5% とする。 (4)輸液の指標となる熱傷面積はIII度熱傷面積である。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
(解答) b) (3)×手掌1枚分を1%とする (4)×輸液→植皮 輸液は広範な熱傷(7~10%)で必須
問題 47 色素性乾皮症について正しいものはどれか (1)日本人では B 群が最も多い。 (2)常染色体優性遺伝である。 (3)C,E,F 群には末梢神経伝達速度遅延が認められることがある。 (4)UV 照射によって生じるピリミジンダイマーを除去し、修復する酵素の欠失による。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
(解答) d) (1)× 日本人ではA群が最も多い (2)× 常染色体劣性遺伝である
(3)× B、D、G群に神経症状が認められる
問題 48 褥瘡について正しいものはどれか (1) 好発部位は仙骨部である。 (2) デブリードマン、洗浄が重要である。 (3) 感染が主な原因である。 (4) 消毒が重要である。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
(解答) b) 褥瘡の主な原因としては阻血による血行障害。予防に重要なのは体位変換。
問題 49 膠原病の皮膚症状と皮膚組織所見の組合せのうち誤った記載を選べ。 a.日光過敏症 SLE b.ニコルスキー (Nikolsky) 現象 MCTD c.石灰沈着 CREST d.表皮基底膜の液状変性 SLE e.毛孔の聞大と角栓 DLE |
(解答) b) Nikolsky現象は天庖そうなどで陽性。表皮が摩擦により容易に剥離する現象
問題 50 サルコイドーシスの検査所見で正しいものを選べ。 (1)ツベルクリン反応の減弱 (2)血中アンギオテンシン転換酵素 (ACE) の低下 (3)血中カルシウム値の上昇 (4)血中リゾチーム値の上昇 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) のみ e.(1)~(4) のすべて |
(解答) a) (1)〇 Tリンパ球の減少のため
(2)× サルコイド結節中の類上皮細胞がACEを産生する
(3)〇 サルコイドーシスの活動性の指標となる
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