平成17年度 「皮膚」 概説試験

 

標準皮膚科学第7版、戸田新細菌学改訂第32版を参考に解答を作製した

問題1 次のI-IIIの設問に対し、解答を1つ選び解答欄に記号を記入しなさい。

I. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)ランゲルハンス細胞は骨髄由来の樹状細胞である。

2)ランゲルハンス細胞は表皮よりも真皮内に存在する。

3)表皮細胞はメラニンを産生する。  4)血管は表皮内にもある。

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  e 2005年卒試問4に類似   2)標準12 表皮内に常在。基底~有棘層の細胞間に散在。

3)メラノサイト:表皮基底層にある色素産生細胞で,分枝する突起を有し,これによってメラノソームが表皮細胞に運ばれて表皮の色素沈着をきたす  4)表皮に血管は存在しない。

 

 

II. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)人間の細胞の直径はおおよそ100micrometerぐらいである

2)表皮は5-15層くらいの表皮細胞の積み重ねである

3)表皮の厚さはおよそ1mmである  4)表皮は生体のバリア機構を担う

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答 f  1)×10-20μm 3)× 0.10.2mm

 

 

III. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)紅斑上に丘疹や結節が伴っている場合には、紅色局面という表現をとる。

2)膨疹は一過性の真皮の浮腫である。  3)皮下組織内のしこりには結節という表現は使用しない。

4)俗にいう「ふけ」は痂皮のことである。

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  a  3× 結節、硬結、腫瘤などと表現する  4× ふけ:皮膚および頭皮の細かい麟屑  痂皮:かさぶた、皮膚の痂皮はしばしば破れた小疱や膿疱の表面上の乾燥した血清や膿により形成される

 

 

IV. 間違いはどれか。1)-4)の記号を解答欄に記入せよ。

1)ヒスタミンは血管内皮細胞に多く貯蔵されている。

2)閉鎖貼付試験(クローズド パッチテスト)は遅延型接触過敏症の診断に有用である。

3)免疫抑制薬外用薬であるFK506(タクロリムス)軟膏はアトピー性皮膚炎に有効である。

4)クインケ浮腫は蕁麻疹の一つのタイプと考えられる。

解答 1  標準31 肥満細胞などにヒスタミンは貯蔵されている

 

 

V. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)蕁麻疹は通常数時間以内に消退する痒みのある膨疹である。 2)蕁麻疹の原因は不明のことが多い。

3)蕁麻疹の第1選択薬は内服ステロイド薬である。 4)蕁麻疹ではショックになることはない。

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  a  標準144 3)× 基本は抗ヒスタミン薬 

 

VI. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)結節性紅斑はベーチェット病の一症状として起こりうる。

2)結核ではバザン軟性紅斑が併発することがある。

3)スティーブンス・ジョンソン症候群は多形滲出性紅斑の粘膜重症型である。

4)スィート病は好酸球が活性化する疾患である。

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  e  1)標準118 2)×標準398 結核疹ではBazin硬結性紅斑が併発することがある。 

4)×標準119 好中球異常活性化

 

VII. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)慢性痒疹は痒みの強い慢性の結節性病変のことである。 2)サルコイドーシスでは結節性紅斑は伴わない。 

3)紅皮症ではリンパ節腫脹は伴わない。 4)結節性紅斑では発熱、関節痛を伴うことがある。

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  d  2)標準118 日本では例が少ないが伴うことがある  3)標準91 表在リンパ節は原疾患がリンパ腫でなくてもしばしば多数腫大し、弾性軟  4)標準118 前駆症状として上気道感染や発熱,関節痛などがみられる

 

VIII. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)レーザー・トレラ症候群では血管腫が多発する  2)瘢痕浸潤はサルコイドーシスでみられる

3)環状肉芽腫は糖尿病患者に併発することがある

4)皮膚筋炎では内臓悪性腫瘍の合併は極めてまれである

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  b  1)×標準312、505  2)標準231 サルコイドーシスの皮膚病変には大きく、結節性紅斑、瘢痕浸潤、皮膚サルコイドの3つがある。  3)標準233 汎発性の場合、およそ半数の患者に糖尿病が合併する。

 

IX. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)皮膚筋炎は間質性肺炎を合併しにくい。  2)太鼓バチ指は慢性腎炎でみられやすい。

3)壊疽性膿皮症は高安病と合併しやすい。  4)全身性紅斑性狼瘡では心包炎を合併しやすい

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  c 1)×標準247 合併しやすい

2)×太鼓バチ指は、チアノーゼ型先天性心疾患、Eisenmenger症候群、気管支拡張症、肺膿瘍、膿胸、肝硬変、肺癌、悪性中皮腫、感染性心内膜炎、動脈炎、動脈瘤、特発性肺動静脈瘻、Crohn病、潰瘍性大腸炎、甲状腺および副甲状腺疾患、サルコイドーシスなどで見られる。

3)標準496 合併症にはUCRACrohn病、DM、白血病、高安病、白血病、単クローン性γグロブリン血症などがある。

 

X. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)アナフィラクトイド紫斑病では腹痛がみられやすい。 2)ペラグラでは下痢を起こしやすい。  

3)クモ状血管腫は重症筋無力症で認められやすい。 4)肝硬変では男性化乳房が認められる。

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  a 1)標準136 不定の腹痛は高頻度にみられる 

2)標準297 皮膚炎、消化器症状(下痢)、精神神経症状(抑うつ状態、痴呆)を3徴とする

 

 

XI. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)天疱瘡ではニコルスキー現象が陽性となる。  2)類天疱瘡では表皮内水疱が認められる。

3)天疱瘡では抗基底膜抗体が陽性となる。  4)類天疱瘡では好酸球浸潤が認められることが多い。

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  d  1)尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡どちらにもみられる  3)×類天疱瘡では抗基底膜抗体が陽性  2)、4)類天疱瘡では生検皮膚の組織学検索により表皮下水疱と好酸球の浸潤を認める

 

XII. 正しい組み合わせはどれか。a)-f)の記号を解答欄に記入せよ。

1)蛍光抗体法は皮膚表面を目視するための方法である。

2)ジューリング(Duhring)疱疹状皮膚炎ではグルテン過敏症を伴いやすい。

3)天疱瘡では抗デスモゾーム抗体が陽性である。 4)類天疱瘡の第1選択薬は免疫抑制剤である。

a)1,2  b)2,3  c)3,4  d)1,4  e)1,3  f)2,4

解答  b 4)×治療の基本は副腎皮質ホルモン内服であったが、最近テトラサイクリンとニコチン酸アミド併用内服療法の有効性が明らかとなり第一選択薬となった。

 

問題2 以下のI-IVの設問に対し、a-eの記号を選び解答欄に記入せよ。

I.熱傷面積の測定に関して正しいのはどれか。

1. 9の法則は小児の熱傷面積測定に利用価値が高い。

2.正確な面積を算出するにはLund-Browder表を用いるのがよい。

3.手掌法による計測は、患者の一側の手掌面面積を約1%とする

4.輸液の指標となる熱傷面積はIII度熱傷面積である

a.1,3,4のみ  b.1,2のみ  c.2,3のみ  d.4のみ  e.14のすべて

解答  c  2004年卒試問46に類似   1)×9の法則は成人、小児は5の法則

 

II. 化学損傷について正しいのはどれか。

1. 酸による損傷は深達性であることが多い。  2. 治療の第一は早期の大量の水による洗浄である。

3. 苛性ソーダによる創面ではゼラチン状のなめらかな痂皮がみられる。

4. 酸によるものはアルカリで、アルカリによるものは酸で中和する。

a.1,3,4のみ  b.1,2のみ  c.2,3のみ  d.4のみ  e.14のすべて

解答  c 1)×標準113 強酸であれば深達性、その他の酸は凝固壊死  2)、3)標準113

 

III. 分層植皮について正しいのはどれか。

1. 全層植皮に比べると大きな植皮片を採取することが可能である。

2. 採皮部は縫縮することで治癒する。  3. 全層植皮に比べると生着しやすい。

4. 術後色素沈着をおこしやすい。

a.1,3,4のみ  b.1,2のみ  c.2,3のみ  d.4のみ  e.14のすべて

解答  a 2)×そのままで治癒する 2004年4月26日授業プリントより

 

IV. 皮弁について正しいものはどれか

1. 主軸型皮弁(axial pattern flap)であれば任意の部位に任意の長さの皮弁を作製可能である。

2. 皮弁の生着は移植片への移植床からの血行再開に依存する。

3. 荷重部の再建には皮弁よりも植皮の方が適応となる。

4. 眼瞼の全層欠損の再建には皮弁手術適応となる。

a.1,3,4のみ  b.1,2のみ  c.2,3のみ  d.4のみ  e.14のすべて

 

解答  b  1皮弁にはその血行の状態によってaxial pattern flaprandom pattern flap(乱軸血管型皮弁)に分けられる。axial pattern flapとは、その茎の中に特定の独立した一つの動静脈を有し、これらによって皮弁が養われる。従ってこの皮弁は血管のみを茎として生着が可能で、しかも血行がよいので種々の方向に移動が可能である。また遊離皮弁free flapとしても用いることができる。  2標準529  3×皮弁の方が適応

 

問題3 以下の1)-5)の文について正しいものにはを、誤ったものには×を解答欄に記入せよ。

1)縫合創の抜糸は術後2週間にて行う。 2)抗生剤の局所投与は感染のコントロールに有効。

3)創傷治癒には創面を乾燥させることが重要である。

4)創傷管理の際にはいかなる場合に置いても消毒は不要である。

5)水道水による洗浄で創傷管理は可能である。

解答 1××××  1)×縫合創の抜糸は通常1週間で行うが、美容上問題となる部分では3-4日後に行い、縫合糸の痕が残らないようにする 2)×問題イマイチ。抗生剤は明らかな感染徴候が現れてから投与すべき 3)×湿潤をたもつべき 4)×創傷管理法の基本概念は創傷治癒機転を阻害しない、消毒レベルの場面に滅菌レベルの対応をしたり、洗浄レベルの場面に消毒レベルの対応をしたりしない、であるのでケースによっては消毒することあり

5)問題イマイチ。熱傷の場合は可能。全ての創傷管理で可能であるかは分かりません。

 

問題4 以下のIIVの設問に対し、1)-4)の記号を選び解答欄に一つ記入せよ。

I. 次のうち正しいものはどれか。

a. 皮膚糸状菌(dematophyte)はケラチンを利用する。

b. イヌ小胞子菌(Microsporum canis)はイヌの毛に常在する。

e. Candida albicansはヒトの皮膚、粘膜、糞便に常在する。

d. 癜風菌(Malassezia furfur)の培養にはオリーブ油など脂質が必要である。

1)a,c,dのみ  2)b,cのみ  3)dのみ  4)すべて

解答  4) a○戸田878 ケラチンに特異的親和性を有し、それを分解する能力を持つ  b ○イヌ、ネコに常在   c○戸田865  d○戸田882

 

II. 次のうち正しいものはどれか。

a. 股部白癬は陰嚢に生じることが多い。 b. カンジダ性指間びらんは利き手の第3指間に多い。

c. 癜風は青年男子の頚部や胸部に多い。 d. リンパ管型スポロトリコーシスは高齢者の顔面に好発する。

1)a,c,dのみ  2)b,cのみ  3)dのみ  4)すべて

解答  2) a ×標準419 鼠径部、大腿近位部などに初発b標準426 水仕事を多くする職業従事者の利き手第3指間が好発部位 c○標準429 d標準431 スポロトリコーシスは幼少児あるいは40歳以上の壮年高齢者の顔面、上肢などの露出部に好発する。リンパ管型スポロトリコーシスはリンパ管の走行に沿って皮疹が中枢側に向かって多発する。ゆえ、ここでは不適切×と考えた。

 

III. 次のうち正しいものはどれか。

a. Black dot ringwormでは毛髪内に白癬菌が侵襲する。

b. 慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMCC)では、しばしば副甲状腺などの内分泌異常を合併する。

c. 黒色分芽菌症(chromoblastomycosis)の診断は病理組織内にmuriform cell (sclerotic cell)を検出することによる。

d. 口腔カンジダ症は白苔を苛性カリウム(KOH)検鏡することにより診断される。

1)a,c,dのみ 2)b,cのみ 3)dのみ 4)すべて

解答  4) a ○標準419毛髪内を毛髪の中、ではなくて毛髪と毛髪の間と考え○ b ○標準427 c ○標準434 d 標準427

 

IV. 次のうち正しいものはどれか。

a. 爪白癬の治療は外用療法が第1選択である。 b. スポロトリキン反応は即時型の皮内反応を判定する。

c. スポロトリコーシスの治療にはグリセオフルビンが有効である。

d. 頭部浅在性白癬にステロイド外用剤を誤用するとケルスス禿瘡に移行することがある。

1)a,c,dのみ 2)b,cのみ 3)dのみ 4)すべて

解答  3) 角質増殖型足白癬と爪白癬は経口剤の適応で,その他の足および手白癬は外用剤が第一選択  標準433、48時間に硬結の径を測定 皮膚糸状菌には有効。テルビナフィンはスポロトリコーシスに効くようだ。

 

問題5 以下のI-IVの設問に対し、記号を解答欄に記入せよ。

I. 以下のうち皮膚リンパ腫でないものはどれか。1-5の中から選び解答欄に一つ記入せよ。

1. EBウイルス関連リンパ増殖症  2. Sezary症候群  3. Cronkhite -Canada症候群

4. Paget病様細網症  5. 菌状息肉症

解答  3) 標準275 Cronkhite -Canada症候群:広汎性脱毛症と爪の形成異常を伴う胃腸のポリープで、散発的に発生する。

 

II. 菌状息肉症について正しい組み合わせを選び、記号a-eを解答欄に一つ記入せよ。

1. 紅斑期:紅斑から始まり、出没を繰り返す。 2. 浸潤・増殖する細胞はCD8陽性T細胞。

3. 直接死因は免疫能低下による感染症が多い。 4. 表皮内への腫瘍リンパ球浸潤(表皮向性)を示す。

a(1),(3),(4)のみ  b(1),(2)のみ  c(2),(3)のみ  d(4)のみ  e(1)-(4)のすべて

解答  a  2005年卒試問41に類似 標準356 腫瘍細胞は小型ないし中型のCD4陽性Tリンパ球で,表皮と真皮に浸潤。表皮への浸潤(表皮向性;epidermotropism)に伴い,Pautrier(ポートリエ)微小膿瘍を認める。 紅斑期では,体幹,四肢に軽度の鱗屑を伴う淡紅~褐色斑を認め,消長を繰り返す。

 扁平浸潤期では,境界明瞭な鱗屑を有し,扁平に隆起した紅色局面を認める。表皮向性が著明。

 腫瘍期には,褐色~紫紅色の表面平滑な結節が既存の紅斑もしくは扁平浸潤の皮疹上に生じる。びらん,潰瘍を形成し,二次感染を伴いやすくなる。腫瘍細胞はやがて全身のあらゆる臓器へと浸潤し,感染症を合併しやすくなる。

 

III. 悪性腫瘍を伴う皮膚疾患はどれか。正しい組み合わせを選び、記号a-eを解答欄に記入せよ。

1. 基底細胞母斑症候群  2. Bazex症候群  3. 皮膚筋炎  4. 葡行性迂回性紅斑

a(1),(3),(4)のみ  b(1),(2)のみ  c(2),(3)のみ  d(4)のみ  e(1)-(4)のすべて

解答  e  2005年卒試問42に類似   基底細胞母斑症候群:標準306、342 基底細胞癌などを伴うことがある。

Bazex症候群:後天性掌蹠角化症で悪性腫瘍を伴う疾患。悪性腫瘍は上部消化管,上気道にみられるのが特徴的。角化性病変は顕著で掌蹠にとどまらず,鼻や耳介にまで及ぶことがある。

皮膚筋炎:悪性腫瘍合併率は,1030%と報告されているが,中年以上の患者ではより高率に合併する。悪性腫瘍の種類としては,胃癌,乳癌,肺癌,大腸癌がわが国では多い。

葡行性迂回状紅斑:浮腫性の紅斑が遠心性に拡大し,隣の紅斑あるいは拡大した内側に新たな紅斑が生じ,入り交じって木目状となる。悪性腫瘍との合併がきわめて高いとされるが,典型的な本症をみることは稀。

 

IV. 1-5のうち誤っているものを一つ選び、数字を解答欄に記入せよ。

1. 全身性アミロイドーシスでは表皮直下にのみアミロイド沈着をしめす。

2. 甲状腺機能低下症では全身性粘液水腫を呈する。  3. 眼瞼黄色腫では必ず高リポ蛋白血症を認める。

4. ファブリー病ではびまん性体幹被角血管腫を認める。 

5. ヘモクロマトーシスの色素沈着は表皮のメラニンの沈着による。

解答  5  2005年卒試問20に類似

2)甲状腺機能亢進症では前頚骨部粘液水腫を認めることがある。重篤な甲状腺機能低下粘液水腫昏睡 4)標準289 Fabry病は皮膚科では、びまん性体幹被角血管腫としばしば呼ばれる。

5)標準292 ヘモクロマトーシスの色素沈着は表皮の鉄の沈着による

 

問題6 以下の設問に対し、1-5の数字を解答欄に記入せよ。

I. 正しいものを3つ選べ。

1. 眼皮膚白皮症、1a型:チロシナーゼ陰性型では生涯色素は産成されない。

2. Chediak- Higashi症候群では出血傾向を示す  3. 肝斑にはトラネキサム酸の内服が有効

4. ミノサイクリンでは薬剤による色素沈着に注意が必要。

5. 抗悪性腫瘍剤では体幹部に色素沈着を生じやすい。

解答  1,2,3  2005年卒試問21に類似 

(1)標準205 チロジナーゼ陰性型ではメラノサイトは存在するがメラニン形成はない。

(2)○Chediak-Higashi症(CHS)の特徴の一つに「血小板の凝集能が異常であることと、血小板内のADP、セロトニン貯蔵の障害に起因する出血傾向」がある。

(3)標準209 肝斑にはトラネキサム酸の内服がかなり有効(今日の診療プレミアム)

(4)その他の副作用に「長期服用で、皮膚や粘膜の色素沈着」があげられている。

(5)×体幹部というよりは指趾関節背面、爪囲、爪甲、口唇、舌などに色素沈着が見られることがある。

 

II. 正しいものを3つ選べ。

1. 神経線維腫症1型では高率に脳腫瘍を合併する。

2. 結節性硬化症では知能低下、てんかん発作、顔面の血管線維腫を生じる。

3. ポイツ・イェーガス症候群では口唇・手指・足趾の色素沈着と腸管ポリポーシスを生じる。

4. スタージ・ウェーバー病では三叉神経第3枝領域に単純性血管腫を生じる。

5. 神経皮膚黒色症では脳軟膜、中枢神経、皮膚に母斑細胞が増殖。

解答  1,2,3  2005年卒試問44に類似

標準302 神経線維腫症2型(中枢型)はほとんど皮膚症状がなく,おもに両側性(ときに片側性)の聴神経鞘腫を生じ,聴力障害を呈する。しばしば髄膜腫や神経膠腫などの頭蓋内または傍脊柱腫瘍を伴う。1型(末梢型)は2型よりはるかに頻度が多く,皮膚の色素沈着斑と皮下腫瘍を臨床的特徴とする。色素沈着斑は生下時から存在し,体のいたるところにでき,大きさや色合いは様々である。神経線維腫とよばれる神経鞘の腫瘍が,皮下および皮下組織の末梢神経の走行に沿って,神経根から遠位部に至るあらゆる部位に多発性に生じる(ステッドマン)。

×標準307三叉神経第3枝領域ではなくて、第1、2枝領域の半側性単純性血管腫  5×標準304

 

問題7 以下のI-IIIの設問に対し、aeの記号を選び解答欄に一つ記入せよ。

I. 疾患と病理組織像の組み合わせで正しいものを選べ

1. 尋常性乾癬・・・液状変性  2. 伴性遺伝性魚鱗癬・・・顆粒層の菲薄化または消失

3・非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症・・・顆粒変性  4. 扁平苔癬・・・コロイド小体

5. Vorner(oにウムラルト) 型掌蹠角化症・・・顆粒変性

a)1,2  b)1,3  c)3,4  d)2,5  e)4,5

解答  e 2005年卒試問14、2004年卒試問19に類似

×液状変性はSLE、皮膚筋炎、扁平苔癬など  2×伴性遺伝性魚鱗癬の顆粒層は正常  3×標準189水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症は顆粒変性  4扁平苔癬:不全角化、過角化、コロイド小体、基底層の液状変性など

 

 

II. 魚鱗癬について正しいものを選べ

1. 後天性魚鱗癬は薬剤に誘発されて生じることがある。

2. コロジオン児(collodion baby)の基礎疾患には、水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症も含まれる。

3. 葉状魚鱗癬と非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の原因は同じでトランスグルタミナーゼ1の遺伝子変異と同定されている。  4. 尋常性魚鱗癬ではしばしば掌蹠角化が認められる。

a)1,3,4  b)1,2  c)2,3  c)4のみ  e)1-4のすべて

解答  a 1後天性魚鱗癬:粃糠様鱗屑と亀甲様鱗屑パターンの分布が不規則で、症状の季節による消長がない。原因疾患には悪性腫瘍(リンパ腫や癌)、甲状腺機能低下や慢性消耗性疾患がある。また薬剤によることもある。

 

III. 乾癬について正しいものを選べ

1. 乾癬はTh 1型のサイトカインプロフィールを示す。

2. Kobner(oにウムラルト)現象は乾癬に特異的な現象である。

3. 乾癬では表皮細胞のターンオーバー時間が短縮している。

4. 乾癬の有病率は白人では約5%で、日本人はその約1/5(すなわち約1%)である。

5. Auspitz現象は外傷や掻破により新しい皮疹が誘発される現象である。

a)1,2  b)1,3  c)3,4  d)2,5  e)4,5

解答  b  2004年卒試問20に類似  1尋常性乾癬はTh1病の代表疾患   2×標準193扁平苔癬や青年性扁平疣贅でもみられる  4×乾癬の有病率は白人では約1-3%で、日本人は約0.02-0.1% 

×Auspitz現象ではなく、Kobner現象が外傷や掻破により新しい皮疹が誘発される現象でAuspitz現象は紅斑局面上の鱗屑を剥離すると点状の出血をきたす現象。

 

問題8 次の1-3の設問に対し、a-eの記号を解答欄に一つ記入せよ。

1. 次の悪性腫瘍のペアで悪性度が高いもの同士の組み合わせはどれか。

a. 日光性角化症, Paget病  b. 悪性黒色腫, 血管肉腫  c. 有棘細胞癌, 基底細胞癌

d. 隆起性皮膚線維肉腫, 脂腺癌  e. Bowen, 脂肪肉腫

解答  b  Paget病の予後はよく、Paget癌の予後は悪い。有棘細胞癌は分化度により予後に差がでる。基底細胞癌は転移しにくい。隆起性皮膚線維肉腫は低悪性度肉腫。Bowen病は低悪性度で転移しない。

 

2. 次の組み合わせのうち最も関係の少ないものはどれか。

a. 表皮嚢腫--Gardner症候群  b. 石灰化上皮腫--筋ジストロフィー

c. 脂漏性角化症--Stewart-Treves症候群  d. 神経線維腫--von Recklinghausen

e. 基底細胞癌--色素性乾皮症

解答  c 2005年卒試問39に類似

a ○Gardner症候群は多発性の表皮嚢腫、脂腺嚢腫、線維腫などの軟部組織腫瘍と大腸ポリポーシス、骨腫を3徴候とする常染色体優性遺伝性疾患。 c×Leser-Trelat徴候:まれに内臓癌の皮膚表現として、脂漏性角化症が急激に多発する。

 

3. 81歳の男性が3ヶ月前に出現した頭部の出血性腫瘤を主訴に来院した。次のうち考えられるものはどれか。

1)血管肉腫  2)脂肪腫  3)汗管腫  4)苺状血管腫  5)バジェット病

a. (1)のみ  b. (1),(4),(5)  c. (2),(5)  d. (3),(4)  e. (1)-(5)になし

解答  a 血管肉腫は高齢者の頭部に好発。出血性局面、腫瘤形成を特徴とする。

 

 

問題9 次の設問に対し、解答を一つ選び記号a-eを解答欄に記入せよ。

1. 次の組み合わせのうち正しいものを選べ。

()丹毒:Staphylococcus aureus  ()トキシックショック症候群:Staphylococcus aureus 

()トキシックショック様症候群:Streptococcus pyogenes

()壊死性筋膜炎:Streptococcus pyogenes  ()表皮剥奪毒素(ET)Streptococcus pyogenes

a. ()()()  b. ()()()  c. ()()()  d. ()()()  e. ()()()

解答  d  丹毒→Aβ溶連菌(Streptococcus pyogenes:化膿レンサ球菌)、TSS戸田202黄色ブドウ球菌、

Toxic shock like syndrome戸田484→Aβ溶連菌(Streptococcus pyogenes:化膿レンサ球菌)、壊死性筋膜炎→Aβ溶連菌(Streptococcus pyogenes:化膿レンサ球菌) or黄色ブドウ球菌、ET→黄色ブドウ球菌

 

2. 次の文章の中で正しいものを選べ。

()Bazin硬結性紅斑は結核疹であり、病変部から結核菌が検出される頻度は低い。

()Bazin硬結性紅斑の患者はツベルクリン反応陰性である。

()ハンセン病はヒトを宿主とする病原菌によるもので、世界的に根絶されつつある。

()ハンセン病患者において病原菌に対する細胞性免疫が相対的に強い場合、類結核型を呈する。   

()皮膚の非定型抗酸菌感染症で最も頻度が多いのはM. marinamである。

a. ()()()  b. ()()()  c. ()()()   d. ()()()  e. ()()()

解答  c  (イ)×標準398ツベルクリン反応陽性 (ウ)×標準404、戸田664世界ではまだハンセン病は重要な感染症の一つであり、中村哲医師もアジアでハンセン病と闘っていらっしゃる。

 

3. 60歳、女性。全身に多発する紅斑、38℃台の発熱を主訴に来院。全身のリンパ節腫脹あり。腹部に7ミリ大の黒色壊死を伴う潰瘍あり。10日前、山で草取りをしたことがある。この症例につき、以下の文章で正しいものを選べ。

()スピロヘータ感染症である。  ()福岡県でも発生する可能性のある疾患である。

()Weil-Felix反応 (OXK) 陽性である。  ()ヒゼンダニが媒体となる。

()マクロライド系抗生剤が有効である。

a. ()()  b. ()()  c. ()()  d. ()()  e. ()()

解答  c  ツツガムシ病を考える 戸田711(ア)× リケッチア感染症 (ウ)○Weil-Felix反応 : Proteus vulgarisのX菌株と患者血清との凝集反応によってリケッチア症の有無、種類を調べる検査 (エ)× ツツガムシが媒体

 

4. 30歳、男性。手掌、足底の鱗屑を伴う紅斑を主訴に来院。躯幹に淡い紅斑が多発している。皮疹部の掻痒なし。発熱などの全身症状なし。3ヶ月前に風俗店に行き、2ヶ月ほど前に陰茎に硬結があったが現在は、硬結は消退している。この症例に関して、次の文章のうち止しいものを選べ。

()STS陽性である。  ()2ヶ月前にあった病変部からは病原体は検出されない。

()尖圭コンジローマはこの症例の疾患に特有の皮膚病変である。  ()治療によりTPHAが陰性化する。  

()ペニシリン系抗生剤が有効である。

a. ()()  b. ()()  c. ()()  d. ()()  e. ()()

解答  b 梅毒を考える 戸田678 (ア)自己抗体(レアギン抗体:IgE)を検出するSTSは感度が高く、感染の早期から陽性となる。 (ウ)×尖圭コンジローマはHPVの6型と11型により起こるSTD。潜伏期は数週間から数か月であるが、自然に消退することもある。 (エ)×病原体が消えた後も陽性となる (オ)ペニシリンが最大にして最強の武器!

 

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