平成17年度 「皮膚」 卒業試験
平成17年11月28日実施
標準皮膚科学第7版、戸田新細菌学改訂第32版を参考に解答を作製した
【1】正しい組合せはどれか。 (1)晩発性皮膚ポルフィリン症:血管周囲のPAS陽性物質 (2)単純性表皮水疱症:基底細胞の変性 (3)Hailey-Hailey病:間擦部に生じる角化性丘疹 (4)水疱性類天疱瘡:基底膜成分に対する自己抗体 a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 d (4)標準170 IgG抗表皮基底膜部抗体を示す代表的疾患 Nikolsky陰性
(1) 標準414 PAS陽性(菌要素)はスポロトリコーシス、ノカルジア症、放線菌症など
(2) 標準177 基底細胞の融解が起こる (3)標準175 間擦部に生じるびらん局面
【2】正しいのはどれか。 (1)紫斑は硝子圧にて消退する (2)膿疱は真皮上層の好中球の集簇である (3)水疱には表皮内あるいは表皮下のものがある (4)基底層の液状変性はSLE、皮膚筋炎、ビダール苔癬でみられる (5)掌蹟膿疱症の膿庖は無菌性である a.(1),(2) b.(2),(3) c,(3),(4) d.(3),(5) e.(4),(5) |
解答 d (1)標準53 消退するのは紅斑 (2)膿疱は表皮内の白血球の集簇
(4)標準63 基底細胞の変性の結果、基底細胞が不明瞭となった状態。SLE、皮膚筋炎、扁平苔癬などで見られる。解答選択肢よりこの選択肢は間違っているようだ。(今日の診療プレミアム)
【3】脱毛を起こすことがある疾患はどれか。 (1)白癬 (2)梅毒 (3)エリテマトーデス (4)ハンセン病 a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 e 卒試2004問2参照
【4】Langerhans細胞について誤っているものを一つ選べ。 a.骨髄由来の細胞である。 b.Birbeck穎粒を有する。 c.インターフェロンγを産生する。 d.正常皮膚では真皮浅層の小血管周囲に多く認められる。 e.毛包や脂腺、リンパ節や胸腺にも認められる。 |
解答 d 卒試2004問3参照 標準12 表皮内に常在。基底~有棘層の細胞間に散在。
【5】皮疹が列序性に配列することがある疾患はどれか。 a.表皮母斑 b.太田母斑 c.老人性血管腫 d.脂漏性角化症 e.ボーエン病 |
解答 a 卒試2004問4参照 a. 標準310 片側性、列序性を示すものが多い。列序性とは母斑などがBlaschko line に沿って線状に分布している様
【6】アトピー性皮膚炎について誤っているのはどれか。 a.青年期以降に発症することもある。 b.ヘルペス感染症が合併しやすい。 c.血清IgEが上昇することもある。 d.白内障の合併に注意する必要がある。 e.確定診断には皮膚生検が必要である。 |
解答 e 卒試2004問7参照 標準83 診断に検査は必ずしも必要ではない
【7】23歳の男性。幼少児期よりアトピー性皮膚炎で治療を受けていた。2日前より突然39度の発熱とともに顔面、頚部、上胸部に小水疱が多数集簇性に出現し、一部びらん化、潰瘍化し、所属リンパ節も有痛性に膨張している。最も考えられるのはどれか。 a疱疹状皮膚炎 b天疱瘡 cカポジ水痘様発疹症 d帯状疱疹 e水疱性類天疱瘡 |
解答 c 卒試2004問8参照 標準83、449
【8】蕁麻疹の原因として正しいものはどれか。 (1)ヘリコバクター・ピロリ菌 (2)自己抗体(抗IgEレセプター抗体) (3)消炎鎮痛剤 (4)慢性感染症 a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c、(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 e 卒試2004問10参照 標準144
【9】次の組み合わせで正しくないものを1つ選べ。 a.Sweet病:白血病 b.骨髄性プロトポルフィリン症:C型肝炎 c.壊疽性膿皮症:大動脈炎症候群 d.結節性紅斑:潰瘍性大腸炎 e.黒色表皮腫:肥満 |
解答 b 卒試2004問11参照 標準295
【10】症例は72歳の男性。肺炎で入院治療を受けていたが、1週間前から全身の皮膚に紅斑・糜爛が出現してきた。眼球結膜の充血がみられ、口唇にはびらん、口腔粘膜には白苔を伴っていた。皮膚生検で表皮真皮境界部へのリンパ球の浸潤と表皮基底層の細胞の壊死がみられた。この疾患で臨床的にみられる所見はどれか。 a.Dermography b.Nikolsky現象 c.Auspitz現象 d.Darrier徴候 e.Pautrier's microabscess |
解答 b 卒試2004問13参照 標準159 TENと考えられる。
【11】22歳の女性。急性骨髄性白血病に対して寛解導入療法後、非血縁者間の骨髄移植を受けた。移植後35日目から発熱、下痢とともに手掌、頸部に紅斑が出現、次第に拡大するため受診した。皮膚生検では表皮基底層の細胞に空胞変性、壊死がみられた。この病態について誤った組み合わせはどれか。 (1)生じるとほとんどの場合致命的である。 (2)肝酵素の上昇を伴うことも多い。 (3)ステロイドの全身投与は効果があることが多い。 (4)輸血や肝移植など他の臓器移植時にもみられることがある。 (5)自家移植でもしばしばみられる。 a.(1),(2) b.(1),(5) c.(2),(3) b.(3),(4) e.(4),(5) |
解答 b 卒試2004問14参照
【12】痒疹、蕁麻疹について正しいものを選べ。 (1)妊娠に伴うものがあり、妊娠性痒疹とよばれる。 (2)痒疹では一般に激しいかゆみを伴い、発疹は紅斑である。 (3)蕁麻疹でみられる発疹は膨疹であり、一般に個疹は数時間で消失する。 (4)蕁麻疹の治療には抗ヒスタミン剤を中心とした薬物療法が行なわれる。 a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 a 卒試2004問15参照 標準53、152 (2)× 痒疹は丘疹であるのが特徴。
【13】魚鱗癬について正しいものを選べ (1)伴性遺伝性魚鱗癬では四肢屈側も侵される。 (2)後天性魚鱗癬は重篤な栄養障害に伴うことがある。 (3)伴性遺伝性魚鱗癬は毛孔性角化を伴う。 (4)尋常性魚鱗癬ではしばしば角膜混濁が認められる。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 b 概説2005問7-IIに類似 (3)尋常性魚鱗癬ではしばしば毛孔性角化を伴う。
(4)伴性遺伝性魚鱗癬ではしばしば角膜混濁が認められる
【14】疾患と病理組織像の組み合わせで正しいものを選べ (1)道化師様魚鱗癬:層板顆粒の異常または欠如 (2)水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症:顆粒変性 (3)尋常性乾癬:液状変性 (4)Thost-Unna型掌蹠角化症:顆粒変性 (5)扁平苔癬:不全角化 a.(1),(2) b.(1),(5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4),(5) |
解答 a 卒試2004問19に類似 (3)液状変性はSLE、皮膚筋炎、扁平苔癬など (4)顆粒変性(-) (5)扁平苔癬:過角化、コロイド小体、基底層の液状変性なども特徴
【15】乾癬の内服療法で一般的に使用されないものはどれか (a)メソトレキサート (b)エトレチナート (c)ステロイド (d)シクロスポリン |
解答 c 卒試2004問17に類似 標準192 ステロイドは軟膏を使用する。
(b)エトレチナートとは合成レチノイド(ビタミンAに類似)のこと
【16】次の組み合わせで誤っているものを1つ選べ (a)扁平苔癬:Kobner現象(oにウムラルト) (b)膿庖性乾癬:Kogoj海綿状膿疱 (c)尋常性乾癬:Auspitz現象 (d)関節症性乾癬:RA因子陽性 (e)滴状乾癬:ASO高値 |
解答 d 関節症性乾癬のRA 因子は陰性
Kobner現象: 標準193 乾癬、扁平苔癬などの患者の非病変部皮膚に加わった外傷に対してみられる同形反応。典型的なものでは掻把や瘢痕部に一致して線状に皮疹が配列する。
Auspitz現象:紅斑局面上の鱗屑を剥離すると点状の出血をきたす現象。
【17】扁平苔癬について正しいものを選べ (1)皮疹の表面にWickham線条がみられる。 (2)口腔内扁平苔癬ではしばしばC型肝炎の合併がみられる。 (3)病理組織像ではコロイド小体がみられる。 (4)口腔や粘膜部の扁平苔癬は扁平上皮癌の発生母地になることもある。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 e Wickham線条:扁平苔癬の丘疹の表面に網状に配列した細い白みがかった線条
【18】色素失調症incontinetia pigmenti (Bloch-Sulzberger症候群) で正しいものを選べ。 (1)男性に多い。 (2)組織学的に好酸球性膿疱がみられる。 (3)細胞膜のレセプターの異常により生じる。 (4)両側性のことが多い。 a.(1),(2) b.(2),(3) c.(3),(4) d.(1),(3) e.(2),(4) |
解答 e 卒試2004問21参照 標準305
(1)×伴性優性遺伝でほとんどが女児(男児の多くは致死的で出生例が少ない)
(3)×原因はX染色体上に存在する細胞内情報伝達系のNF-κB essential modulator の遺伝子異常
【19】正しいものを選べ。 (1)アミロイドーシス:AL(免疫グロブリンL鎖)、AA(proteinA)などの線維構造を有する特異蛋白が諸臓器の組織間隙に沈着する。 (2)エーラスダンロス症候群:皮膚の過伸展、関節の異常可動、皮膚血管の脆弱を主徴とする遺伝性コラーゲン合成異常症。 (3)痛風結節:尿酸塩結晶に対する異物肉芽腫。 (4)ポルフィリン症:ポルフィリン体またはその前駆体の代謝異常で急性間欠性ポルフィリン症以外では日光暴露により紅斑、水疱などが生じる。 a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 e 卒試2004問23参照 2004年5月14日講義分、占部先生プリントの記述そのまま
【20】誤っているものを選べ。 a.全身性アミロイドーシスでは表皮直下にのみアミロイド沈着をしめす b.甲状腺機能亢進症では全身性粘液水腫を呈する c.眼瞼黄色腫では必ず高リポ蛋白血症を認める d.ファブリー病ではびまん性体幹被角血管腫を認める e.ヘモクロマトーシスの色素沈着は表皮の鉄の沈着による |
解答 b 2005年概説5-Ⅳに類似
甲状腺機能亢進症では前頚骨部粘液水腫を認めることがある。重篤な甲状腺機能低下→粘液水腫昏睡 d. 標準289 Fabry病は皮膚科では、びまん性体幹被角血管腫としばしば呼ばれる。
【21】正しいものを選べ。 (1)眼皮膚白皮症、1a型:チロシナーゼ陰性型では生涯色素は産成されない。 (2)Chediak-Higashi症候群では出血傾向を示す。 (3)肝斑にはトラネキサム酸の内服が有効。 (4)ミノサイクリンでは薬剤による色素沈着に注意が必要。 (5)抗悪性腫瘍剤では体幹部に色素沈着を生じやすい。 a.(1),(2),(3) b.(1),(2),(5) c.(1),(3),(4) d.(2),(3),(4) e.(3),(4),(5) |
解答 a 2005年概説6-Ⅰに類似
(1)○標準205 チロジナーゼ陰性型ではメラノサイトは存在するがメラニン形成はない。
(2)○Chediak-Higashi症(CHS)の特徴の一つに「血小板の凝集能が異常であることと、血小板内のADP、セロトニン貯蔵の障害に起因する出血傾向」がある。
(3)○標準209 肝斑にはトラネキサム酸の内服がかなり有効(今日の診療プレミアム)
(4)△その他の副作用に「長期服用で、皮膚や粘膜の色素沈着」があげられている。
(5)×体幹部というよりは指趾関節背面、爪囲、爪甲、口唇、舌などに色素沈着が見られることがある。
【22】高カロリー輸液中の患者が下痢・四肢末梢にびらん・脱毛を生じてきた。測定すべき金属はどれか。 a.鉄 b.銅 c.亜鉛 d.ニッケル e.セレニウム |
解答 c 標準293 高カロリー輸液療法中の微量元素欠乏症としては亜鉛と銅の欠乏症状が多い。亜鉛欠乏では特徴的な皮疹、口内炎、脱毛、爪変化、下痢、腹痛、嘔吐、うつ病などの精神症状が報告されており、銅の欠乏症状としては貧血、白血球減少、好中球減少、骨粗鬆症などが報告されている。
【23】診断上・血清反応が重要ではないと思われる疾患は次のうちどれか。 a.梅毒 b.成人T細胞リンパ腫/白血病(ALT) c.伝染性紅斑 d.非定型抗酸菌症 e.Gianotti病 |
解答 d 卒試2004問24参照
【24】結核菌が原因で生じる疾患をあげよ。 (1)皮膚疵状結核 (2)皮膚腺病 (3)バザン硬結性紅斑 (4)尋常性狼瘡 a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 e 卒試2004問25参照
【25】次の文章のうち誤っているものの組合せはどれか。 (1)梅毒血清反応(STS)陽性者は全て梅毒に罹患している。 (2)第1期梅毒の感染門戸は陰部、口唇に限られる。 (3)梅毒に罹患しても最初の約3週間はSTSは陰性である。 (4)硬性下疳は感染後3週で生じ、トレポネーマが証明される。 (5)第2期梅毒は感染後約3ヶ月で始まり、バラ疹・扁平コンジローマ・脱毛などを生ずる。 a.(1),(2) b.(2),(3) c.(3),(4) d.(4),(5) e.(3),(5) |
解答 a 卒試2004問27参照 標準463
【26】一般に尋常性疣贅に対して用いられない治療法はどれか。 (1).液体窒素による凍結療法 (2).炭酸ガスレーザーによる焼灼術 (3).サイクロスポリンAの内服 (4).強酸性水の外用 (5).インターフェロンαの局所注射 a(1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) |
解答 d 標準453 (2)○炭酸ガスレーザーは尋常性疣贅治療に対して用いられる。 (3)×サイクロスポリン内服ではなく5-FU軟膏外用。 (4)△強酸性水を試みることはある。 (5)○インターフェロンαの局所注射、筋注は治療に使われる。
【27】次の記述のうち・誤っているものはどれか。 a.皮膚糸状菌とはEpidermophyton、Microsporum、Trichophytonの3属の諸菌を総称したものである。 b.角質増殖型足白癬はしばしば痒みを欠く。 c.トリコフィチン反応は白癬の診断に最も有用な検査である。 d.空中に存在するAspergillusやFusarium属などは爪真菌症を起こしうる。 |
解答 c a.○標準417 b.○標準420 掻痒は軽度のことが多い c.×標準424 補助的な診断根拠となる程度の検査 KOH直接鏡検法が重要
【28】次の記述のうち、誤っているものはどれか。 a.スポロトリコーシスは小児の顔面、高齢者の上肢に多い。 b.癜風は乳幼児の躯幹に多い。 c.黒色分芽菌症(chromoblastomycosis)は下肢に多い。 d.皮膚クリプトコックス症は髄膜や肺のクリプトコックス症に続発することが多い。 |
解答 b 卒試2004問31参照
【29】真菌感染症と治療の組み合わせのうち、適当でないものはどれか。 a.爪白癬:アンホテリシンB内服 b.スポロトリコーシス:ヨウ化カリウム内服 c.口腔カンジダ症:アゾール系抗真菌剤内服 d.股部白癬:アゾール系抗真菌剤外用 |
解答 a 卒試2004問32参照
【30】疾患と確定診断補助診断の検査の組み合わせのうち、適当でないものはとれか。 a.疥癬:苛性カリウム検鏡 b.頭部白癬:Wood灯 c.スポロトリコーシス:スポロトリキン反応 d.皮膚クリプトコックス症:トリコフィチン反応 |
解答 d 標準73、435 トリコフィチン反応:白癬菌抗原によるツベルクリン型皮内反応で、Celsus禿瘡、白癬性毛瘡では陽性となることが多い。
【31】15歳の男性。発熱、咽頭痛、全身倦怠感あり、近医受診し、抗生剤と解熱鎮痛剤の処方を受けた。その後顔面に浮腫状の紅斑が出現したため受診。初診時、顔面から頚部、胸部に浮腫状の紅斑がみられた。頚部リンパ節に有痛性の腫脹、口腔内は扁桃がボール状に腫脹、口蓋に点状の紫斑がみられた。白血球9600,リンパ球55%,異型リンパ球10%,ALT286IU/ml。この疾患について誤っている記述はどれか。 (1)ステロイドの全身投与が有効な場合がある。 (2)アシクロビルが著効する。 (3)経過中にしばしばリンパ腫に移行する。 (4)ウイルスはその後潜伏感染する。 (5)異型リンパ球は経過の後半に増加してくる。 a.(1),(2) b.(1),(5) c.(2),(3) b.(3),(4) e.(4),(5) |
解答 c 卒試2004問30に類似 標準460 伝染性単核症・・・アンピシリン、アモキシシリン禁忌
白血球増加、リンパ球増加、異型リンパ球出現が3主徴。扁桃腺腫脹による気道閉塞、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、脳炎・髄膜炎、心筋炎、心外膜炎などの合併症がある場合には、ステロイド使用。
【32】C型肝炎患者にみられやすい皮膚症状はどれか。 (1)クリオグロブリン血症による血管炎 (2)扁平苔癬 (3)皮膚T細胞性リンパ腫 (4)神経線維腫 (5)水疱性類天疱瘡 a.(1),(2) b.(1),(5) c.(2),(3) b.(3),(4) e.(4),(5) |
解答 a 標準285
クリオグロブリン血症:基礎疾患は多岐にわたり、骨髄腫、マクログロブリン血症、悪性リンパ腫、自己免疫性リウマチ性疾患(Sjoegren症候群,SLEなど)、B型およびC型慢性肝炎、梅毒、亜急性心内膜炎などが挙げられる。
扁平苔癬:病因は不明なことが多いが、最近は薬剤やウイルスなどが指摘されている。前者では脳循環改善薬、降圧薬など比較的長期間投与された後に生じることが多く、後者ではC型肝炎ウイルスの関与が指摘されている。
【33】次の疾患のうち、自然消退の認められるものを選べ (1)悪性黒色腫の原発巣 (2)苺状血管腫 (3)単純性血管腫(ポートワイン母斑) (4)扁平母斑 a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 b 卒試2004問36参照
【34】Paget病について正しいものはどれか。 (1)組織で管腔がみられることはあまりないが、腺癌の一種である。 (2)乳房および乳房外があり、乳房外Paget病の好発部位は腋窩である。 (3)臨床的には境界明瞭な角化性隆起性局面として見つかることが多い。 (4)表皮内癌であるため予後は良く、転移や腫瘍死はほとんどない。 a.(1)のみ b.(1),(3),(4) c.(2),(3) d.(2),(4) e.(ユ)~(4)のすべて |
解答 a 卒試2004問39参照
【35】尋常性白斑の治療について正しいものの組み合わせはどれ瓜 (1)ステロイド外用 (2)ルビーレーザー照射 (3)表皮移植 (4)PUVA療法 a.(1),(3),(4)のみ b.(1),(2)のみ c.(2),(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 a 卒試2004問40参照
【36】汗腺系腫瘍はどれか。 a.稗粒腫 b.石灰化上皮腫 c.皮膚混合腫瘍 d.脂漏性角化症 e.ボーエン病 |
解答 c 卒試2004問44参照
【37】基底細胞癌の発生母地または背景として重要なものはどれか。 (1)基底細胞母斑症候群 (2)尋常性乾癬 (3)長年の日光曝露 (4)色素性乾皮症 a.(1)のみ b.(1),(3),(4) c.(2),(3) d.(2),(4) e.(1)~(4)のすべて |
解答 b 標準342 (3) 顔面に好発するので日光紫外線の関与が推測されている。
(4) 色素性乾皮症G群で基底細胞癌が発症した症例が報告されている。基底細胞癌は色素性乾皮症、基底細胞母斑症候群に合併しやすい。
【38】次の皮膚悪性腫瘍のうち生命予後が比較的良好なものはどれか。 (1)表在拡大型悪性黒色腫 (2)陰部Paget病 (3)Bowen病 (4)基底細胞癌 (5)有棘細胞癌 a.(1),(2) b.(2),(3) c.(2),(4) d.(3),(4) e.(1),(5) |
解答 d 乳房外Paget病は,in situのまま長期間の表皮内拡大の時期がある。この時期に治療すれば完治する。しかし真皮,皮下脂肪織に浸潤するinvasiveの時期のものは,所属リンパ節,遠隔臓器転移を来し原病死する。外陰部Paget病の予後は,パンツ型紅斑出現後の予後は1年以内。
基底細胞癌は局所破壊性が強いが,転移能のきわめて低い悪性腫瘍。
【39】関係の深い組み合わせはどれか。 (1)類表皮嚢腫(粉瘤):Gardner症候群 (2)脂腺腫瘍:Muir-Torre症候群 (3)脂漏性角化症:Leser-Trelat症候群 (4)石灰化上皮腫:進行性筋ジストロフィー a.(1)のみ b.(1),(3),(4) c.(2),(3) d.(2),(4) e.(1)~(4)のすべて |
解答 e (1)Gardner症候群は多発性の表皮嚢腫,脂腺嚢腫,線維腫などの軟部組織腫瘍と大腸ポリポーシス,骨腫を3徴候とする常染色体優性遺伝性疾患
(2)標準345 Muir-Torre症候群は良性、悪性の脂腺系腫瘍を多発するとともに、しばしば内臓癌を伴い、特に大腸の腺癌やポリープを多発する
(3)標準312 Leser-Trelat徴候:まれに内臓癌の皮膚表現として、脂漏性角化症が急激に多発する
(4)多発例では筋ジストロフィーと関係があることがある(2004年5月7日皮膚科講義プリントより)
【40】悪性黒色腫(メラノーマ)について正しいのはどれか。 (1)肉眼的に黒くないものもある。 (2)有効な化学療法はない。 (3)多くは色素性母斑から生じる。 (4)白人より黄色人種に多く見られる。 a.(1)のみ b.(1),(3),(4) c.(2),(3) d.(2),(4) e.(1)~(4)のすべて |
解答 a (3)標準350 悪性黒色腫の大部分は色素細胞母斑とは無関係に、表皮メラノサイトの癌化により発生してくる考え方が主張されてきている (4)標準 347 白人>黄色人>黒人
【41】菌状息肉症について正しい組み合わせを選べ。 1.紅斑期:紅斑から始まり、出没を繰り返す。 2.浸潤・増殖する細胞はCD4陽性T細胞 3.直接死因は免疫能低下による感染症が多い 4.表皮内への腫瘍リンパ球浸潤(表皮向性)を示す a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ c(2),(3)のみ d(4)のみ e(1)~(4)のすべて |
解答 e 2005年概説5-Ⅱに類似 標準356 腫瘍細胞は小型ないし中型のCD4陽性Tリンパ球で,表皮と真皮に浸潤。表皮への浸潤(表皮向性;epidermotropism)に伴い,Pautrier(ポートリエ)微小膿瘍を認める。 紅斑期では,体幹,四肢に軽度の鱗屑を伴う淡紅~褐色斑を認め,消長を繰り返す。
扁平浸潤期では,境界明瞭な鱗屑を有し,扁平に隆起した紅色局面を認める。表皮向性が著明。
腫瘍期には,褐色~紫紅色の表面平滑な結節が既存の紅斑もしくは扁平浸潤の皮疹上に生じる。びらん,潰瘍を形成し,二次感染を伴いやすくなる。腫瘍細胞はやがて全身のあらゆる臓器へと浸潤し,感染症を合併しやすくなる。
【42】内臓悪性腫瘍を伴うことの多い皮膚疾患はどれか 1.Sweet病 2.Bazex症候群 3.皮膚筋炎 4.葡行性迂回性紅斑 a(1),(3),(4)のみ b(1),(2)のみ c(2),(3)のみ d(4)のみ e(1)~(4)のすべて |
解答 e 卒試2004問5に類似 概説2005問5-3に類似
Bazex症候群:後天性掌蹠角化症で悪性腫瘍を伴う疾患。悪性腫瘍は上部消化管,上気道にみられるのが特徴的。角化性病変は顕著で掌蹠にとどまらず,鼻や耳介にまで及ぶことがある。
皮膚筋炎:悪性腫瘍合併率は,10~30%と報告されているが,中年以上の患者ではより高率に合併する。悪性腫瘍の種類としては,胃癌,乳癌,肺癌,大腸癌がわが国では多い。
葡行性迂回状紅斑:浮腫性の紅斑が遠心性に拡大し,隣の紅斑あるいは拡大した内側に新たな紅斑が生じ,入り交じって木目状となる。悪性腫瘍との合併がきわめて高いとされるが,典型的な本症をみることは稀。
【43】正しいものを選べ a.足底の色素性母斑:皮丘優位の色素沈着 b.メラノーマ:巨大先天性色素性母斑 c.若年性黒色腫:予後不良 d.ダーモスコピィ:レーザー光線による診断 |
解答 b a×標準320 扁平であることが多い
b標準320、350 巨大型先天性色素細胞母斑の病変内には稀にだが悪性黒色腫が生じうる
c×標準321 若年性黒色腫:名称から悪性黒色腫を連想させるが、本態は母斑細胞母斑の一種で良性
d×外来ポリクリでみたはず。レーザーは使わない。ゼリーを塗ってレンズを通してそのまま肉眼で。
【44】正しいものを選べ 1.神経線維腫症1型では高率に脳腫瘍を合併する。 2.結節性硬化症では知能低下、てんかん発作、顔面の血管線維腫を生じる。 3.ポイツ・イェーガス症候群では口唇・手指・足趾の色素沈着と腸管ポリポーシスを生じる。 4.スタージ・ウェーバー病では三叉神経第3枝領域に単純性血管腫を生じる。 5.神経皮膚黒色症では脳軟膜、中枢神経、皮膚に母斑細胞が増殖。 a.(1),(2),(3) b.(2),(3),(4) c.(2),(3),(5) d.(2),(4),(5) e.(3),(4),(5) |
解答 c 2005年概説6-Ⅱに類似 先輩の解答ではaとなっていました。
1 標準302 神経線維腫症2型(中枢型)はほとんど皮膚症状がなく,おもに両側性(ときに片側性)の聴神経鞘腫を生じ,聴力障害を呈する。しばしば髄膜腫や神経膠腫などの頭蓋内または傍脊柱腫瘍を伴う。1型(末梢型)は2型よりはるかに頻度が多く,皮膚の色素沈着斑と皮下腫瘍を臨床的特徴とする。色素沈着斑は生下時から存在し,体のいたるところにでき,大きさや色合いは様々である。神経線維腫とよばれる神経鞘の腫瘍が,皮下および皮下組織の末梢神経の走行に沿って,神経根から遠位部に至るあらゆる部位に多発性に生じる(ステッドマン)。
4標準307 三叉神経第3枝領域ではなくて、第1、2枝領域の半側性単純性血管腫 5標準304
【45】熱傷の治療について正しい記載の組合せはどれか。 (1)熱傷受傷直後は水で冷却する。 (2)水庖があれば感染予防のため出来るだけ除去した方がよい。 (3)熱傷面のMRSA感染に対して最も有効なのはシルバーサルファダイアジンクリームである。 (4)受傷直後の輸液は乳酸加リンゲル液を用いる。 (5)輸液の指標は1時間尿量をまず参考とする。 a.(1),(2),(3) b.(2),(3),(4) c.(2),(3),(5) d.(3),(4),(5) e.(1),(4),(5) |
解答 e 2 水疱が形成されている場合は,感染防止のため内容を注射器で吸引し,水疱被膜を密着させる。すでに水疱が破れている場合には,原則としてこれを除去する。
3 スルファジアジン銀:緑膿菌,ブドウ球菌属などに対し優れた抗菌効果を発揮するとともに,耐性菌が生じにくく,抗生物質耐性菌にも感受性を示す。
【46】Z形成術について正しいのはどれか。 (1)頂角の等しい時は60度で60%の延長率となる。 (2)瘢痕の方向を変える効果がある。 (3)連続に用いた場合、同じ延長効果を持つ単一のものよりも中央縫合線上の緊張を分散させることができる。 (4)頂角を60度とすると皮弁置換後の中央縫合線は元の中央縫合線とは60度の方向となる。 a.(1)(3)(4) b.(1)(2) c.(2)(3) d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 c (1)75%の延長率となる (4)およそ90度の方向となる 2004年4月26日講義プリント
【47】次の文章の中で壊死性筋膜炎について正しいものはどれか。 (1)病変の主座は浅筋膜から皮下組織にかけてである。 (2)早期より切開、デブリードマンなどの外科的処置が必要である。 (3)四肢に好発し、有痛性のことが多い。 (4)早期からの強力な抗生剤の投与が必要である。 a.(1)(3)(4) b.(1)(2) c.(2)(3) d.(4)のみ e.(1)~(4)のすべて |
解答 e 標準387
【48】血管炎の診断に有用な病理組織学的所見について正しい組合せはどれか。 1)静脈内の血栓 2)血管壁への多核白血球の浸潤 3)フィブリノイド物質の沈着 4)赤血球の漏出 5)類結核肉芽腫 a.(1),(2),(3) b.(1),(2),(5) c.(1),(3),(5) d.(2),(3),(4) e.(3),(4),(5) |
解答 d
【49】痛風について正しいのはどれか。 (1)耳介及び関節部の結節 (2)日光過敏 (3)肢端の壊疽 (4)高尿酸血症 (5)疼痛発作時の非ステロイド系抗炎症剤の使用 a.(1),(2),(3) b.(1),(2),(5) c.(1),(4),(5) d.(2),(3),(4) e.(3),(4),(5) |
解答 c 標準290
【50】サルコイドーシスについて正しいものを選べ。 1.乾酪壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫がみられる。 2.星状体asteroid bodyなどの細胞内封入体が類上皮細胞、巨細胞にみられる。 3.肺門リンパ節腫脹(BHL)がみられる。 4.眼病変を伴うことがある。 a)1.3.4のみ b)1.2のみ c)2.3のみ d)4のみ e)1-4のすべて |
解答 e 標準231
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