平成17年度 「受胎・成長・発達」 概説試験

 

小児科は問題用紙・解答用紙兼用、持ち帰り不可。小児外科、産科は問題・回答別で持ち帰り可。病理・整形外科はA4一枚で持ち帰り不可(整形外科は原本入手)

産科  参考にしたのは講義プリント、標準産科婦人科学第2版(以下「標準」としるす)。分からなかったものには★をつけています。

1.通常の妊婦健診で行わない項目をひとつ選べ。

a.子宮底長の計測 b.体重測定 c.血圧の測定 d.尿蛋白の測定 e.尿ケトン体の測定

解答 e 通常の妊婦健診では問診をし、体重測定、腹囲/子宮底測定、血圧測定、尿検査(尿タンパク・尿糖)、浮腫(むくみ)の有無を診ます。尿中ケトン体は妊娠悪阻で食物摂取困難による代謝異常から出現する。(標準p316

 

2.正しいものをひとつ選べ。

a.エストリオールは母体肝機能評価の指標である。

b.ヒト胎盤性ラクトーゲンは妊娠初期に高値となる。

c.プロゲステロンは妊娠中を通じて常に妊娠黄体から分泌される。

d.プロゲステロンは下垂体前葉からのプロラクチン分泌を刺激する。

e.ヒト絨毛性ゴナドトロピンは妊娠10週頃ピークに達し中期以降は低値となる。

解答 e 4/9「妊娠の内分泌学」プリント a× エストリオールは胎児副腎機能評価の指標。b× ヒト胎盤性ラクトーゲンは妊娠5週ごろから検出可能で、妊娠34~36週まで増加傾向を示す。c× Pは妊娠10週まで主に黄体から産生される。7週から10週の間にP産生の首座は黄体から胎盤に移行する。d× 母体プロラクチン濃度の増加は過剰なエストロゲンの母体下垂体への刺激作用による。e○ HCGは妊娠8~10週で最高値、10~12週で減少し始め20週で最低値となる。

 

3.妊娠による母体の腎機能の変化に関して誤っているものをひとつ選べ。

a.クレアチニンクリアランスは増加する。  b.糖排泄閾値は低下する。

c.血中BUNは上昇する。  d.腎血漿流量は増加する。  e.1日尿量は増加する。

解答 4/9「妊娠による母体変化」プリントa○ 糸球体濾過流量(GFR)が増加することとほぼ同義。b○ GFRの増加と尿細管の糖再吸収能の低下によって尿糖排泄が多くなる。c× 生理的変化なので腎機能には問題ない。d○ e

 

4.22歳の女性。元来月経は整順。515日から5日間の月経があった612日から通常の月経より少ない性器出血が3日間あった。710日に少量の性器出血と下腹痛を訴えて来院した。双合診で子宮体部はやや増大し軟らかく、左付属器領域とダグラス窩に圧痛を認めた。尿中hCG1000単位陽性。経膣超音波断層法で子宮内に胎嚢を認めないが、ダグラス窩に少量の液体貯留と左付属器領域に直径30mmの嚢胞様所見を認める。この症例に関して正しいものをひとつ選べ。

a.子宮鏡検査により左卵管口の観察を行う。  b.腔鏡検査により左付属器領域の観察を行う。

c.子宮外妊娠であるので子宮内妊娠は否定してよい。

d.頚管妊娠ではないので試験的子宮内容除去術を行う。

e.左卵管膨大部妊娠破裂の診断で開腹して左卵管切除術を行う。

解答 c 卵管妊娠した後卵管流産した症例。尿中hCG陽性=妊娠、子宮内に胎嚢を認めない+左付属器領域に嚢胞様所見=子宮外妊娠、ダグラス窩に少量の液体貯留=卵管流産による着床部からの出血。a組織診や掻爬の目的がないと行わないのでは。b腟鏡検査では卵管までは観察できない。d子宮内には胎嚢がないため内容除去術の適応にはならない。e卵管膨大部妊娠破裂ならば急速に進行する貧血とショック症状が見られるはず。(標準p321

 

5.28歳の経産婦。最終月経は平成1721日から5日間。平成17328日に当科を受診し、妊娠76日と診断した。平成17627日に性器出血を訴えて来院した。来院時、膣鏡診で少量の不正性器出血と膣内への胎胞の突出を認めた。内診所見は、外子宮口の開大度3cm、展退度60%、先進部は腎部で下降度-3、子宮口位置は中央、硬度軟であった。胎児心拍数陣痛図では、胎児心拍数基線140bpmで、子宮収縮の頻度は1/60分、持続時問は20秒であった。子宮の圧痛はなく、一般末梢血検査では、白血球数8300/μl、ヘモグロビン値12.6g/dl、ヘマトクリット値35%、血小板数21.8×10^4/μ1、血液生化学検査では、CRP0.2mg/dlであった。

次の処置のうち正しいものをひとつ選べ。

a.オキシトシンの投与  b.β2刺激剤の投与  c.抗生物質の投与  d.頚管縫縮術  e.帝王切開術

解答 d 頸管無力症の症例。進行流産と迷いましたが下腹部痛がないことと第2三半期であることから頸管無力症としました。進行流産ならば子宮内容除去術と子宮収縮薬、抗生物質投与を行います。(標準p317~320bβ2stimulantは子宮収縮を抑制して分娩を遅延させます。e帝王切開は頸管無力症、進行流産いずれもその適応ではありません。

 

6.次の文を読み、(1)(2)の問いに答えよ。

23歳の初産婦。既往歴・家族歴に特記すべきことはない。妊娠8週より近医にて妊婦健診を受けていた。妊娠28週より浮腫と蛋白尿が出現し、塩分制限の指導を受けていた。妊娠325日、午前1時より頭痛および右上腹部痛が出現し軽快しないため、同日午前9時に当科を紹介され受診した。来院時所見は、身長156cm、体重62kg、呼吸数18/分、子宮底長24cm、腹囲82cm、血圧186/120mmHg、尿蛋白(3+)、全身に浮腫を認められ理学所見では右季肋部の圧痛および深部腱反射の亢進を認めた。膣鏡診で羊水流出は認めなかった。内診所見は、外子宮口開大度1cm、展退度40%、先進部は児頭小泉門で下降度sp-2、子宮口位置は後方、硬度中等度であった。胎児心拍数陣痛図では心拍数基線140bpmreactive pattenで、子宮収縮の頻度は4/60分、持続時間は20秒であった。一般末梢血検査では、白血球数6300/μ1、ヘモグロビン値13.6g/dl、ヘマトクリット値40%、血小板数9.8×10^4/μl、血液生化学検査では、総蛋白5.9g/dl、アルブミン3.3g/dlBUN 13mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総ビリルビン値0.8mg/dlAST 125IU/lALT 40IU/lLDH 563IU/lであった。

6-(1)まず行うべき処置として正しいものをひとつ選べ。

a.アンギオテンシン変換酵素阻害剤の投与  b.フェノバルビタールの投与

c.利尿剤の投与  d.解熱鎮痛消炎剤の投与  e.硫酸マグネシウムの投与

解答 e 純粋型妊娠中毒症の症例。4/14「妊娠中毒症」プリント 純粋型妊娠中毒症=妊娠20週~産褥期の期間にのみ高血圧、蛋白尿、浮腫を来たすもの。本症例は頭痛+右季肋部痛(肝被膜下血腫の存在?)+深部腱反射亢進→「子癇の前兆」をきたしているため子癇を予防する薬剤投与がまず必要。a× ACE阻害薬は子宮内胎児死亡、胎児腎不全など胎児に対する危険が高く禁忌!b△ 痙攣発作予防の第一選択としては硫酸Mgc× 利尿薬は血液濃縮や循環血症量の減少を増悪させるため使用しない!ただし肺水腫・心不全がある場合はやむをえず使用する。d× 妊娠中毒症予防として血管拡張&血小板凝集抑制を目的として低容量アスピリン療法がありますがこの時点ですでに発症しているのでまず行うことではありません。e○ 子癇発作予防。

 

6-(2)この症例の合併症として最も疑う疾患をひとつ選べ。

a.血小板減少性紫斑病  b.急性肝炎  c.常位胎盤早期剥離  d.HELLP症候群  e.子癇

解答 d HEELPhemolysis(溶血)+elevated liver enzymes(肝酵素の上昇)+low platelet count(血小板減少)です。このうち本症例では肝酵素の上昇と血小板減少があります。溶血の所見がありませんがこの後十分出てくる可能性があると思います。詳しくはプリントp15a× HEELPの鑑別診断として重要ですが紫斑がありません。b× これも鑑別診断として重要。c× 妊娠中毒症の合併症として重要です。腹部激痛や外出血が典型的な症状。d○ e× 子癇については上記で問われているのでdを解答にしました。せっかくHELLPを疑わせるような症例にしているのでdを選ばせないことはないのではないかと。(標準p347354

7.糖尿病合併妊娠について正しいものをひとつ選べ。

a.日本では1型より2型糖尿病の合併妊娠が多い。  b.妊娠中は経口糖尿病薬を使用する。

c.糖尿病合併妊娠においてインスリンの需要量は妊娠期間を通じて一定である。

d.糖尿病合併妊娠において形態異常児の発症頻度は一般頻度と差異はない。

e.1型糖尿病では巨大児出生の頻度が高い。

解答 a○ 2型が約7割。b× 経口糖尿病薬は妊婦または妊娠の可能性がある場合は禁忌。c× インスリン抵抗性は妊娠末期に増大する。よって末期になるほど需要量が増えると考えられる。d× 先天奇形=形態異常は糖尿病合併妊娠の8%以上に生じる。特に妊娠初期の血糖コントロール不良が原因である。e× おそらく1型と2型で巨大児出生の頻度は変わらないと思います。

 

8.胎児循環において、血中酸素分圧が最も高い部位はどこか。

a.静脈管  b.動脈管  c.右心房  d.臍帯動脈  e.肺静脈

解答 a 胎児循環は臍静脈→静脈管(一部肝臓)→下大静脈→右房→卵円孔→左房→左室→大動脈の流れと、脳→上大静脈→右房→右室→肺動脈→動脈管(90%)と肺の流れの並列循環となっている。二つの流れは右房においてはあまり混合しない。

 

9.Rh(D)不適合妊娠について誤っているものをひとつ選べ。

a.母親が抗Rh(D)抗体陽性であっても、Rh(D)不適合妊娠を生じるとは限らない。

b.母親の抗Rh(D)抗体価が高い場合、胎児に核黄疸を生じる可能性が高い。

c.胎児貧血に対する胎児輸血では、ORh陰性の赤血球を輸血する。

d.感作された胎児血では、直接クームス試験が陽性となる。

e.母体の感作予防を目的として、妊娠中に抗Dヒト免疫グロブリンの母体投与がなされる。

解答 b? 4/27プリント、標準p343 血液型不適合妊娠は「母体にはない血液型抗原が胎児側に存在する場合」と定義されます。a○ 母親が抗D抗体陽性であっても児がD陰性(dd)であればRh(D)不適合妊娠が生じます。b×? 溶血が高度であっても胎児の肝機能が正常であれば核黄疸は起きにくいと思います。c○ d○ 胎児血清には母体からの抗D抗体があるので間接クームスは陽性となり、胎児赤血球に抗体が付着しているはずなので直接クームスも陽性となると思います。e

 

10.子宮筋の収縮について正しいものをひとつ選べ。

a.ヒト子宮筋は内側の輪状筋と外側の縦走筋に分類される。

b.妊娠10週では子官筋のオキシトシン感受性は亢進する。

c.プロゲステロンは子宮筋の収縮を引き起こす。  d.マグネシウム製剤は子宮筋の収縮を抑制する。

e.プロスタグランジンは子宮筋の収縮に関与しない。

解答 e a× 子宮筋層は基本的には内縦、中輪、外縦となっている。(標準p86b× 妊娠10週ではまだオキシトシン感受性は低いと思われます。c× Pは子宮収縮を抑制し、妊娠を維持します。d○ 神経筋接合部の遮断による抗痙攣作用があり、子癇の治療にも使われます。e× プロスタグランジンには子宮収縮作用がある。(標準p459

 

11.次の文を読み、(1)(2)の問いに答えよ。

26歳初産婦。既往歴・家族歴: 特記事項なし。現病歴: 続発性無月経で当院を初診時に最終月経ならびに超音波断層法により妊娠92日と診断された。以後当院にて妊婦健診を受けており、妊娠経過は順調で、胎児の発育も良好であった。妊娠39O日、午前6時頃より痛みを伴う10分毎の子宮収縮が出現し、午前8時に当科に入院となった。入院時、身長158cm、体重61kg(非妊娠時52kg)、血圧120/68mmHg、体温36.2度、子宮底長32cmであった。膣鏡診で、羊水の流出はなく、血性粘液調の分泌物を認めた。内診所見は、子宮口開大3cm、展退度70%、児頭の位置station-1、子宮口の位置中、硬さ軟であった。胎児心拍数陣痛図では心拍数基線140bpm、一過性頻脈を認め、一過性徐脈は認めなかった。子宮収縮は4分毎に認めた。陣痛発来と診断し、胎児心拍数陣痛図を装着し所見をモニターしながら分娩経過を観察した。

11-(1)入院時(午前8)の内診所見におけるビショップスコアは何点か。

a.5点  b.6点  c.7点  d.8点  e.9

解答 e 子宮口開大3cm=2点+展退度70%=2点+児頭位置-1=2点+子宮口位置中=1点+頸部硬さ軟=2点。以上で9点。詳しくはBishop scoreを参考にしてください。(標準p305

 

11-(2)13時の内診所見は子宮口全開大、展退度100%、児頭の位置station+2であった。また、先進部の小泉門を6時方向に触知した。陣痛周期は3分で、陣痛の持続時間は60秒であった。このときの診断として正しいものをひとつ選べ。

a.正常分娩経過 b.回旋異常 c.原発性微弱陣痛 d.続発性開大停止 e.頚管熟化不全

解答 b 先進部の小泉門が6時方向にあるので後方後頭位である。普通は前方後頭位。a× b○ c× 陣痛は正常(標準p403)。d× 頸管疾患、手術瘢痕などの二次的障害として起こる子宮口開大障害のこと。とくにその既往はない。e× dに対して原発性子宮口開大障害。(標準p406

 

12.頚管開大度曲線(Friedman)について正しいものをひとつ選べ。

a.緩徐期(latent phase)には主として展退度が進行する。

b.開大度78cmで活動期(active phase)に入る。  c.活動期は麻酔で遷延する。

d.開大度10cmで児頭は固定する。  e.急昇期(maximum slope)には初産婦で2cm/時間以上開大する。

解答 a? a○? 初産婦の場合は頸管が展退した後に子宮口が開大するので順番としては正しいと思います。b× 開大度2~4cmで活動期に入る。(標準p307c× 適度の鎮静・鎮痛・麻酔は陣痛に好影響を与えるのでFriedmanの頸管開大度曲線は左方移動し、分娩所要時間が短縮する。(標準p461d× 開大度10cmで分娩第二期に入り、以後児頭は回旋しながら下降する。 e× 急昇期には4cm/hr以上子宮口開大する。

 

13.陣痛について正しいものをひとつ選べ。

a.未破水例における微弱陣痛の診断は通常子宮内圧の直接測定を用いる

b.微弱陣痛の治療にはオキシトシンとプロスタグランジンF2αの併用が効果的である

c.分娩経過中に微弱陣痛を認めた場合には分娩後の出血に注意する必要がある

d.微弱陣痛であっても回旋異常を伴う場合にはオキシトシン使用は禁忌である

e.過強陣痛が認められた場合には急速遂娩を行うことが望ましい。

解答 b 5/6「娩出力の異常」プリント、a× 未破水ならば腹部表面にセンサーを巻く外側法。本邦ではこちらが主流。b○ c× 過強陣痛の場合は分娩時の異常出血に注意する。d×? 使ってもよいのでは?e× 分娩を急がずに子宮収縮を抑制し、陣痛促進剤を使っていれば中止し、最終的には母児合併症を防ぐために帝王切開を考慮する。

 

14.31歳の初産婦。既往歴、家族歴に特記すべきことなし。妊娠初期より当院にて妊婦健診をうけており、特に異常は指摘されていなかった。妊娠403日の妊婦健診で母体は身長148cm、体重55kg(非妊娠時43kg)。内診では児頭は浮動、Bishopスコアは1点であった。胎児は頭位で発育は週数相当(超音波断層法による児頭大横径計測値は9.1cm)で、胎児の健常性は良好であった。本症例について正しいものをひとつ選べ。

a.分娩様式決定のため、骨盤X線撮影を施行する。

b.児頭骨盤不均衡であり、分娩様式は選択的帝王切開とする。

c.重度の子宮頸管熟化不全であり、分娩様式は選択的帝王切開とする。

d.Seitz法が陽性であれば児頭骨盤不均衡は否定的である。

e.Leopold触診法によって児頭骨盤不均衡の有無について診断する。

解答 a a○ 児頭の浮動があることから児頭骨盤不均衡を疑います。その場合はSeitz法などで確認するのかもしれませんが確定はX線診断の後、試験分娩を行います。試験分娩でも児頭の下降がない場合に児頭骨盤不均衡と診断し、帝王切開を行います。(標準p310b× まだ児頭骨盤不均衡と診断されてはいません。c× 子宮頸の狭窄により分娩が停止するのは稀らしいです。(標準p406d× Seitz法が陽性ならば児頭骨盤不均衡の可能性がある。e× 児頭骨盤不均衡の機能的診断法はSeitz法またはMuller法である。(標準p406Leopold触診法は胎児が頭位か骨盤位かなどを診断するものである。(標準p310

 

15.胎児心拍数陣痛図について正しいものをひとつ選べ。

a.胎児心拍数陣痛図では胎児心拍数とともに子宮内圧を測定する。

b.遅発一過性徐脈は胎児不整脈の診断の指標である。

c.早発一過性徐脈は胎児の臍帯圧迫を反映していると考えられている。

d.変動一過性徐脈の出現頻度は胎児の低酸素状態と高い相関を有する。

e.一過性頻脈は胎児健常性を判定する指標に用いられる。

解答 a 5/10「胎児仮死」プリント、標準p420 a× 内側法の場合は測定するのかもしれませんが…b× 遅発一過性徐脈は頻発すれば低酸素血症を示す。c× 早発一過性徐脈は児頭の圧迫によって生じる。d○ 変動一過性徐脈は頻発すれば強度の臍帯圧迫を表している。つまり低酸素状態と考えてよいと思います。e× 子宮収縮に伴う一過性頻脈は、一般に胎児の状態は良いとされているが、健常性を判定する指標にはならない。(参考)問題にはありませんが「基線細変動の減少あるいは消失はアシドーシスを示す」ことは問われるかもしれません。

 

16.30歳の1回経産婦。

前回分娩は前置胎盤の診断で帝王切開分娩であった。今回は妊娠392日に自然陣痛発来し、入院となった。陣痛発来から約6時間後の内診所見は、外子官口開大度10cm、展退度100%、先進部は児頭小泉門で下降度十2であった。胎児心拍数陣痛図で胎児の健常性悪化(non-reassuring fetal status)の徴候が発現したため吸引分娩を行った。児は3870gの男児で、1分後のApgar score8点であった。子宮収縮は良好であるが、児娩出直後から凝血を含む鮮紅色の出血が持続している。

この症例で最も疑う疾患をひとつ選べ。

a.弛緩出血  b.癒着胎盤  c.子宮内反症  d.子宮破裂  e.胎盤遺残

解答 b 4/20「胎盤の付着と剥離」プリント、標準p429~ 前回分娩は帝王切開であり、癒着胎盤の原因は帝王切開による子宮創部の床脱落膜欠如が最も多い。a× 弛緩出血は子宮収縮の不良が特徴。b○ c× 子宮内反症を疑わせるような所見(下腹部痛、触診の結果など)がない。d× これも分娩後出血を起こすが強い腹痛、腹腔内出血により腹膜刺激症状が見られる。e× 胎盤遺残は癒着胎盤も含む広い概念で、この問題の解答としては適切ではないと思います。

 

17.次の文を読み、(1)(3)の問いに答えよ。

34歳の2回経産婦。本日(妊娠345)突然性器出血および下腹部痛が出現し、当科に緊急搬送された。来院時、患者は持続する強い下腹部痛を訴えており、顔面は蒼白、血圧80/50mmHg、脈拍数120/分、呼吸数18/分、子宮は板状硬であった。膣鏡診では、血性の羊水流出が認められた。超音波検査では胎盤は子宮底部に付着し著明な肥厚像を認めた。内診所見は、外子宮口開大度2cm、展退度70%、先進部は児頭小泉門で下降度sp-1、子宮口位置は後方、硬度中等度であった。胎児心拍陣痛図の所見を図に示す。

17-(1)胎児心拍陣痛図所見の記述で正しいものをひとつ選べ。

a.一過性頻脈がみられる。  b.遅発一過性徐脈がみられる。  c.早発一過性徐脈がみられる。

d.変動一過性徐脈がみられる。  e.sinusoidal patternがみられる。

解答 胎児心拍陣痛図がないので省略しますが、胎児が異常な状態にある=non reassuring patternの場合は選択肢の中から言えばeとなります。bは頻発すれば低酸素血症を疑わせる所見となります。

 

17-(2)診断として正しいものをひとつ選べ。

a.常位胎盤早期剥離 b.前置胎盤 c.弛緩出血 d.子宮破裂 e.仰臥位低血圧症候群

解答 a 4/20「胎盤の付着と剥離」プリント、標準p354 常位胎盤早期剥離(以下早剥)は突発性出血に加えて突発的かつ持続的な下腹部痛を伴う。前置胎盤との鑑別は下腹部痛があること。本症例はすでにショック状態であり、子宮は板状硬、よってPage分類は3度=重症。エコーでの子宮底部の著明な肥厚像は胎盤後血腫を示していると考えました。a○ b× 前置胎盤は無痛性の子宮出血。c× 弛緩出血は分娩後に子宮収縮不良により起こる疾患。d× e× 仰臥位のために下大静脈を圧迫して子宮胎盤循環を障害するもの。普通分娩でも母体の体位変換を行わないと起こりうる。

 

17-(3)この患者に対してまず行うべき処置として正しいものをひとつ選べ。

a.帝王切開術  b.オキシトシンの点滴静注  c.人工破膜  d.吸引分娩  e.β2刺激剤の点滴静注

解答 a 早剥では診断あるいは疑いがつけば、すでに分娩が進行していて短時間で分娩が終了すると予想される場合以外は帝王切開を行います。胎児の生死にはかかわりません。この場合、Bishop score6点であり分娩までにはもうしばらくかかると考えられるので、帝王切開の適応になります。a○ b× もうすぐ分娩が完了する場合になら投与を考慮してもいいかも。c× 機械的な分娩誘発法で用いられる。d× e× β2stumulantは切迫早産のときに投与される子宮収縮抑制薬なのでこの場合はいけません。

 

18.正しいものをひとつ選べ。

a.マタニティー・ブルーズは妊娠後期に起こりやすい。

b.産褥期うつ病は、産褥1週間以内に発症することが多い。

c.マタニティー・ブルーズの治療には、向精神薬を用いる。

d.産褥期精神障害のなかで最も多いものは、うつ状態である。

e.重症の産褥期精神障害を有する症例では、母児隔離による症状増悪を避けるため、母児同室を奨励する。

解答 標準p450 a× 産褥(分娩後24時間~産後42日以内)3~10日に発症する軽いうつ状態のことをいう。b×産褥期うつ病は、分娩後1ヶ月以内に発症することが多い。c× 治療を必要としない場合が多い。d○ 産褥期精神病の約半数を占める。e× 重症の場合は母児隔離を行う。

 

19.30歳の初産婦。妊娠380日に自然陣痛発来し、入院となった。外子宮口開大度6cmの時点で、胎児心拍数陣痛図で胎児仮死の徴候が発現したため帝王切開分娩を行った。児は2,560gの男児であった。娩出1分後の新生児は弱々しく啼泣し、筋緊張は不良で、カテーテルによる口腔内吸引で顔をしかめる。四肢にチアノーゼを認め、心拍数は80/分であった。この児にまず行うべき処置について正しいものをひとつ選べ。

a.気道内吸引  b.マスクによる人工換気  c.気管内挿管による酸素投与

d.アシドーシスの是正  e.心マッサージ

解答 b 標準p472Apgar scoreApgar5点なので新生児仮死。まずは呼吸を確立させて低酸素状態からの脱出をはかります。この場合まずできることはマスク換気だと考えました。それでも呼吸が確立できないときは気管内挿管だと思います。

 

20.30歳の初産婦。妊娠39O日、前期破水のため入院となった。前期破水10時間後より自然陣痛が発来し、分娩時間20時間で3650gの女児を頭位経膣分娩した。産褥3日目より39度の発熱および下腹部痛が出現。膣鏡診で悪露は血性で、軽度の悪臭を認めた。内診面所見では、子宮は新生児頭大で軟らかく、圧痛を認めた。この患者に対する検査として誤っているものをひとつ選べ。

a.子宮卵管造影検査  b.悪露の細菌培養検査  c.血液細菌培養  d.腹部超音波検査  e.血球検査

解答 a 前期破水後に正常分娩したものの子宮内感染が起こったもの。子宮卵管造影を行うと細菌をさらに上行させる可能性があるので誤り。そのほかの選択肢は感染症の検査として行ってよいと思います。

 

22.次の記述の中で最も正しいものはどれか。★

a.子宮頚部が腫大する原因として頚癌、ナボット嚢胞、筋腫が挙げられる

b.子宮体癌では子宮の腫大が起こる頻度は高く無い

c.臨床上卵巣腫瘤と子宮の腫瘤が判定困難な場合が少なからずある

d.子宮筋腫のMR上の特徴はT2強調画像で高信号を呈することである

e.子宮筋腫のCT上の特徴は水に近いCT値をとる事である

解答 a○? 頚癌、筋腫は子宮頸部腫大は起こると思います。ナボット嚢胞は子宮腟部びらんを形成している頸管腺の表層上皮に扁平上皮化生が起こって、それより深部の頸管腺が開口部閉鎖されて貯留嚢胞をつくったもの。だから頸部腫大するのではないでしょうか。b×?c×? 判定困難だと診断・治療にたどり着けないのであまりないとは思いますが…d× 子宮筋腫はT2強調画像で辺縁が明瞭な低信号を呈する。e

 

小児科

参考にしたのは主にステップ小児科学(ス)、たまに100%小児科学(100)、文光堂小児科学(文)です。

1.国際的記載方に準じた家系図を示せ。

両親健康で第1子男、第28歳女、第35歳女、

両親血族結婚あり、患児は第2子、第1子は12歳時交通事故で死亡。

解答 両親血族結婚なので両親は二重線で結び、子は下に年齢を書く。第1子は斜線を引くか、右上に十字架をつける。患児である第2子には左下に矢印を入れる。

 

5.以下の病原微生物の主な感染防御機構は抗体(A)か細胞性免疫(B)?( )A,Bを記入しなさい。

1一般化膿菌 2細胞内寄生性細菌 3サイトメガロウイルス 4細胞融解型ウイルス 5カンジダ

解答 順にABBAB。一般化膿菌は主にBリンパ球、細胞内寄生菌は主にMφ、サイトメガロウィルスを含む一般ウィルスとカンジダはTリンパ球。免疫不全と感染症(スp178)参照。

 

8.正しいものを2つ選べ。

(1)正常新生児では、0生日の末梢血白血球数は成人の正常値より低い。

(2)健康な1歳児の末梢血リンパ球数は、好中球数より多い。

(3)乳児でビタミンK欠乏性出血症は人工栄養児に好発する。

(4)小児白血病の50%以上は急性骨髄性白血病である。

(5)ダウン症候群の児では正常小児に比べ、白血病の罹患率が有意に高い。

a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.(5)

解答(1)× 0生日の末梢血白血球数は約20000.(1008(2)○ はじめは好>リ、生後5~7日で好<リ、4~5歳時に好>リとなる。(1009(3)× 主として母乳栄養児に見られる。母乳中のビタミンK含有量が少ない+ビフィズス菌優位の母乳栄養児の腸内細菌叢ではビタミンKが産生されないため。(文p173(4)×全白血病のうち急性型が95%、そのうち急性リンパ性白血病が80%を占める。(スp469(5)○ダウン症候群の児には約1%に急性白血病が見られる。ちなみに年間発症率は10万対3~4程度。(スp86469

 

9.X連鎖無ガンマグロブリン血症(x-linked gammaglobulinemia)についての記述について正しいものの組み合わせをa-fの中から一つ選べ。

(1)Bruton無ガンマグロブリン血症と同じ疾患である。

(2)血清IgGの多くをしめるIgG2のみが欠損していることが特徴である。

(3)BTK蛋白の欠損が原因であり、このことにより骨髄におけるB細胞の分化が障害され末梢血にはB細胞はほとんど存在しない。

(4)移行抗体のため、易感染性は新生児期からおこることは少ない。

(5)B細胞のみの異常のため、扁桃やリンパ節は正常に存在する。

a,(1)のみ  b,(2)(3)  c,(1)(3)(4)  d,(2)(3)(4)  e,(2)(3)(5)  f,(3)(4)(5)

解答.b (1)○ (2)× IgG,IgM,IgA,IgD,IgEの全てが著明に減少。(3)○ (4)○ 易感染性は母体由来のIgGが消失する生後6~12ヶ月ごろから。(5)× 扁桃やアデノイドは萎縮していることが多い。(以上全てスp181

 

12.川崎病について誤りは次のどれか。

(1)女児に比べ男児で発症頻度が高い。  (2)治療として免疫グロブリン大量療法が有効である。

(3)化膿性頸部リンパ節腫脹は主要症状の一つである。 (4)膜様落屑は急性期の所見として重要である。

(5)急性期にリンパ球を主体とした白血球増多が認められる。

a,(1)(2)(3)  b,(1)(2)(5)  c,(1)(4)(5)  d,(2)(3)(4)  e,(3)(4)(5)

解答 e (1)○ 男児:女児=1.3~1.51(2)○ アスピリンも使用される。(3)× 非化膿性頸部リンパ節腫脹が特徴。(4)× 急性期は「テカテカパンパン」と言われる手足の硬性浮腫、掌ショないしは指趾先端の紅斑。膜様落屑は回復期の所見。(5)核左方移動(血流中の成熟好中球のうち杆状核球の(未成熟な好中球)割合が増加する場合)を伴う白血球増多が認められる。(以上全てスp268269

 

18.正しいものを3つ選べ

(1)新生児では褐色脂肪で熱産生をするため、震え(shivering)は生じない

(2)新生児の黄疸は、ほとんどが直接型ビリルビンの上昇である

(3)32週未満の早産児でも全身状態がよければ経口哺乳を開始する

(4)呻吟呼吸は呼気時に声帯を閉めるためにうなり声が聞かれる

(5)28週でスクラーゼ活性、マルターゼ活性は正期産児の70%であるのに対しラクターゼ活性は30%である。

a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.(5)

解答 a,d,e (1)(2)× 新生児黄疸は間接型ビリルビンの上昇であることが多い。直接型ビリルビンはあまり上がらない。高ビリルビン血症は、血清総ビリルビン値が成熟児で15mg/dl以上、未熟児で12mg/dl以上、直接ビリルビン2mg/dl以上のことを言う。(スp107(3)× 34週未満の児では嚥下もうまく行えないため、無理にミルクを飲ませると嚥下性肺炎を起こす可能性がある。(スp103)嚥下反射は胎生32週に開始。(スp95(4)○ 呻吟呼吸=呼気性呻吟(うめき)のことで、新生児の呼吸障害の症状の一つ。呼気時に声門を閉じることで気道内~肺胞内を陽圧に維持し、胚胞の完全虚脱を防ごうとする生体防御反応。(スp118(5)○? スクラーゼやマルターゼは胎生24週ごろから成人レベルを示す。しかしラクターゼは30週でもほとんど認められない。(スp95

 

 

21.正しいものを3つ選べ

(1)未熟児貧血のうち早期貧血の治療として、エリスロポイエチン投与は確立した治療法で、輸血の回避がその利点の一つである

(2)在胎期間の短い未熟児はビタミンDの投与か母乳強化剤の使用による低カルシウム血症の予防が重要である

(3)未熟児動脈管開存症の治療は、PG合成阻害剤または動脈管結紮術である

(4)未熟児の低K血症の治療には、グルコースインスリン療法を行う

(5)敗血症や貧血の進行が、無呼吸発作の原因となりうる

a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.(5)

解答 a,b,c (1)○ (2) ○ 低出生児などのハイリスク児では生後1~2後に低カルシウム血症を起こしやすくなる。(スp148(3)○ (4)× グルコースインスリン療法は高カリウム血症の治療法。(5)× 無呼吸発作は①心室レベルで大きな短絡口があること、②肺動脈弁または弁下に流出路狭窄があることの2つの条件を満たすチアノーゼ性心疾患で見られる発作である。(文p612

 

22.正しい組み合わせを選べ

(1)下垂体性巨人症-尿ケトン陽性  (2)急性副腎不全-血清カリウム上昇

(3)甲状腺機能低下症-血清TSH値高値  (4)下垂体性小人症-血清ナトリウム上昇

(5)先天性副腎皮質過形成症-代謝性アルカローシス

a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.(5)

解答 b (1)× (2)(3)× 原発性ではTSH高値となるが続発性(下垂体性)ではTSH低値(4)× 血清ナトリウムとは関係ないのでは。(5)× 代謝性のアシドーシスになる可能性はある。(参考ス内科第4巻p231

 

23.1型糖尿病について正しいものを1つ選べ。

(1)治療にはインスリンが必須である。  (2)治療には食事制限が必須である。

(3)発症時、尿ケトンは陰性であることが多い。  (4)肥満者に多い。  (5)治療には

a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.(5)

解答 a (5)がありませんが正しいものを1つといわれれば(1)を選ばざるを得ません。

 

25.正しい治療法の組み合わせを選べ。

(1)Wilson-Cu制限食 (2)ホモシスチン尿症-低メチオニンミルク (3)甲状腺機能低下症-アルギニン

(4)Hurler症候群-骨髄移植  (5)先天性副腎皮質過形成-グルココルチコイド

a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.(5)

解答 (1)× Cu制限食も治療法の1つですがfirst choiceは銅キレート剤のD-ペニシラミン。(2)× ビタミンB6依存性のものにはビタミンB6大量投与が有効。また低メチオニンミルクのみではシスチン不足を補えない。(スp158(3)× 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)では甲状腺ホルモン補充療法を行う。(スp289(4)○ 重症のHurler症候群が主な適応。(スp166(5)× グルココルチコイドのみでは不足している電解質コルチコイドを補えないので、両方を補えるコルチゾールやヒドロコルチゾンを投与する。(スp297

 

26.生来健康な15才男性。2ヶ月前より多飲、多尿を認めた。昏睡状態で自宅で倒れているところを発見され、救急室に搬送されてきた。血糖540mg/dl、尿ケトン陽性、クスマウル呼吸を認める。次のうち検査データとして考えにくいものを一つ選べ。

(1)尿ケトン強陽性  (2)血漿アンモニア 180ug/dl(正常 12-66)

(3)血液ガス分析 pH 7.40  (4)血中インスリン 240uU/mL (正常 1-18)

(5)HbA1C 12.3%

a.(1)(2)(3)  b.(2)(3)(4)  c.(3)(4)(5)  d.(1)(4)(5)  e.(1)(2)(5)

解答 b 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の問題。(1)○ 文中にあります。(2)× 肝性昏睡ならばアンモニア上昇。(3)× アシドーシスなので酸性に傾いているはず。(4)× 小児のDMは成人よりも1型が多く、この症例のようにDKAを起こしやすい。(5)○ 2ヶ月前より発症しているので十分考えられる数値です。(以上スp308~311

 

27. 7歳男子。父親が35歳で心筋梗塞を発症している。発熱時に近医を受診、血液検査にて総コレステロール(空腹時)=320mg/dLであったため、高コレステロール血症の精査・管理目的で当科を受診した。現在、児の発育は正常で肥満はない。この症例について、正しい記述を1つ選べ。

(1) X連鎖性の遺伝性疾患が疑われる。  (2)皮膚に黄色腫がみられることがある。

(3)リポ蛋白リパーゼの欠損により発症する。  (4)肝機能障害に注意する必要がある。

(5)直ちに高脂血症の治療を開始する必要がある。

解答 (2),(5)に○がつきました。復元間違い?解答に間違いがあったらゴメンナサイ。 家族性高コレステロール血症(FH)の問題。TC320mg/dLなのでヘテロ接合体か。(1)× FHは常染色体優性遺伝。19番染色体の変異。(2)○ 眼瞼や腱に黄色腫を形成する。アキレス腱観察が有用。(3)× LDL受容体の機能不全が原因。(4)× ホモでは早期に冠動脈硬化症により虚血性心疾患を起こすため注意が必要である。(5)○ 食餌療法+高脂血症治療薬を投与。薬物に抵抗する場合は血漿交換やLDLアフェレーシス。(以上ス内科第3巻p75~76

 

28.13歳の女子。低身長を主訴に来院した。在胎40週、体重3100g、正常分娩で出生した。仮死はなかった。父の身長174cm、母の身長160cmである。身長138cm、体重33.5kg。乳房の発達はなく、陰毛もみられない。染色体検査で、核型は46,X,i(Xq)である。以下の記載について正しいものを一つ選べ。

(1)中程度以上の精神遅滞がみられる。  (2)翼状頸が90%以上にみられる。

(3)関節拘縮がみられる。  (4)血中ゴナドトロピンは高値である。  (5)成長ホルモンは無効である。

a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.(5)

解答 d Turner症候群の問題。核型が決め手。Turner症候群の核型は50%45XOだが45,X/46XXのモザイク型が24%46,X,i(Xq)17%など様々。(以上文p209) (1)× 知能は正常。(2)× 翼状頚は見られるが90%以上というのが疑問。(3)× 関節拘縮は見られない。(4)○ 尿中・血中ゴナドトロピンは高値となる。(5)× 有効。成長ホルモン補充で最終身長は3~5cm伸びる。(以上スp87、文p209

 

29.1か月の乳児。哺乳不良に続いて呼吸促迫と意識障害のため入院した。出生体重3100g。正常分娩で出生し仮死はなかった。1日前から伸吟が見られ、刺激に反応しなくなった。

現症:体重3600g。意識は痛みに対して僅かに体を動かす程度である。呼吸は深く速いが整である。皮膚の緊張度は低下し、大泉門の著しい陥没が見られる。右肋骨弓下に肝を2cm触れる。検査所見:尿蛋白(+)、尿ケトン3+AST 156単位/LALT 78単位/LLDH 1224単位/L、血中アンモニア 310μg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.82HCO3 8.3mEq/LBE-16.3mEq/L

確定診断のために必要な検査を選べ。

(1)尿有機酸分析  (2)頭部MRI検査  (3)消化管透視  (4)脳脊髄液検査  (5)血糖検査

a.(1)  b.(2)  c.(3)  d.(4)  e.(5)

解答 d おそらくReye症候群の症例。急性脳症と肝障害(AST,AST,LDH、アンモニア高値、黄疸なし)がある。乳児の肝2cm触知は一般的には正常だがこの場合は病的ともとれる(Reye症候群では肝腫大+)。脱水の所見(turgor低下、大泉門陥没)は哺乳不良によるもので、その結果脂肪分解が促進しケトン体過剰となり代謝性アシドーシス(HCO3-,BE低値、pH7.02の間違いでは?)、それによってKussmaulの大呼吸が出ていると考えました。(1)× 尿有機酸とはVMAHVAなどを指すのでしょうか?神経芽細胞腫などで上昇。(2)× 脳腫瘍による意識障害と考えても肝障害、アシドーシスの説明がつきません。(3)腸重積、Hischsprung病など考えましたが関係なさそう。(4)○ Reye症候群を疑った場合、まず血液検査と髄液検査を行います。髄液検査で髄膜炎や出血を否定できればより確定診断に近づきます。(5)× DKAでも意識障害が出るが肝障害が合わない。(以上スp561~563

 

 

小児外科

小児外科では主に講義プリントを参照しました。

1)次の新生児外科疾患のうち出生前診断率が高い組み合わせを選べ。

1 水腎症  2 鎖肛  3 Hirschsprung病  4 十二指腸閉鎖

a)1,2 b)1,3 c)1,4 d)2,3 e)2,4 f)3,4 g)すべて正しい h)すべて間違い

解答 c) 6/14田口先生プリント 1○ 胎児超音波検査により、胎生20週頃より尿路拡張病変がしばしば認められる。(文p752)2× 生後に診断される。3× 生後に診断される。4○ 胎児期の羊水過多から疑われ、胎児エコーで診断できる場合がある。(スp13323は出生前診断しにくいと覚えたほうが実践的。

 

2)先天性横隔膜ヘルニアについて正しい組み合わせを選べ。

1 右に発生することが多い  2 有嚢性が多い

3 出生前に診断されるものは軽症例が多い  4 胸骨のすぐ後部に発生するものが多い

a)1,2 b)1,3 c)1,4 d)2,3 e)2,4 f)3,4 g)すべて正しい h)すべて間違い

解答 h) 6/22田口先生プリント 横隔膜ヘルニアはBochdalek孔ヘルニアが最多である。1× Bochdalek孔ヘルニアは左側に多い。右には肝臓がある。2× Bochdalek80%はヘルニア嚢を欠く仮性ヘルニアである。3× Bochdalekは出生前に羊水過多で診断されることがあるが、この場合胎生期に肺の発生・発育に影響し、肺低形成高度となり重症となる。4× 胸骨後ヘルニアはMorgagniあるいはLarreyヘルニアだが数はBochdalekのほうが多い。

 

3)先天性横隔膜ヘルニアについて正しい組み合わせを選べ。

1 PPHNの診断に心エコー検査は意味がない  2 PPHNの治療にNO吸入療法は有用である

3 欠損孔が大きいとGERをおこしやすい  4 胎児治療はきわめて有効な治療法である

a)1,2 b)1,3 c)1,4 d)2,3 e)2,4 f)3,4 g)すべて正しい h)すべて間違い

解答 d) 6/22田口先生プリント 1× PPHN(新生児持続性肺高血圧症)の診断にはドプラー心エコーで卵円孔や動脈管を通じた短絡があることを確かめる必要がある。2○ NOは肺血管拡張作用があり肺血管抵抗を低下できる。(以上スp125)3○ 横隔膜ヘルニアのうち食道裂孔ヘルニアは胃食道逆流の原因となる。(スp129)4× 先天性横隔膜ヘルニアに胎児治療はできない。

 

4)食道閉鎖症について正しい組み合わせを選べ。

1 コイルアップがあり消化管のガス像がある場合は、Gross分類C型またはD型である

2 食道閉鎖症の生存率は90%以上である  3 合併奇形のVATER associationVvertebraをさす

4 Gross分類のA型ではまず胃痩を造設する

a)1,2 b)1,3 c)1,4 d)2,3 e)2,4 f)3,4 g)すべて正しい h)すべて間違い

解答 f) 6/22田口先生プリント 1× コイルアップは口側から入って食道が閉鎖している状態。C型とA型がこれにあたる。D型は口側から入ると食道は気管に連続している。2× 合併奇形やRDSのリスクも高く、食道閉鎖のみの治療ではすまないことが多い。予後は不良。3○ VATER associationとはVvertebra defect椎体異常)、Aanal atresia鎖肛)、TEtracheo-esophageal fistula気管食道瘻・食道閉鎖)、Rrenal dysplasia腎奇形)が合併すること。これにCcardiac defect)を加えることもある。4○ まずは胃瘻造設を緊急的に行う。(スp127、文p227

 

5)小児肝臓移植について正しい組み合わせを選べ。

1小児例のほうが成人例よりも成績がわるい

2小児生体肝移植ではグラフトは右葉を用いるのが大部分である

3拒絶反応の診断には生検が必要である  4小児の肝臓移植の適応疾患として胆道閉鎖が最も多い

a)1,2 b)1,3 c)1,4 d)2,3 e)2,4 f)3,4 g)すべて正しい h)すベて間違い

解答 f) 6/28田口先生プリント

(1)× 肝細胞癌、肝硬変など成人の移植適応疾患よりは予後が良い。1年生存率は80~85%(文p565(2)× 選択枝から考えたのですがよくわかりません。(3)○ (4)

 

 

6)小腸移植について正しい組み合わせを選べ。

1 肝臓移植よりも生着率はよい  2 適応疾患として中腸軸捻転による短腸症がある

3 小児例の方が成人例に比してPTLDの頻度が高い

4 生体グラフトのほうが脳死グラフトよりも成績が良好である

a)1,2 b)1,3 c)1,4 d)2,3 e)2,4 f)3,4 g)すべて正しい h)すべて間遅い

解答 6/28田口先生プリント

1× 2○ 3○ PTLDとはpost transplant lymphoproliferative disorderの略号で、移植後にサイトメガロウィルスやEBウィルスに感染してリンパ腫様症状を呈すること。選択肢から考えましたが免疫の不十分な小児のほうが感染しやすいのではないでしょうか。4× 生体と脳死では成績に差はないそうです。

 

7)次の( )内に正しい語句を記入せよ。

1.ヒルシュスプルング病の代表的な術式の1つに( )がある

2.女児の鎖肛で会陰部が1孔の病型を( )と言う

3.先天性水腎症で最も狭窄部位の多い場所は( )である

4.膀胱尿管逆流防止手術の1つとして( )がある

解答 1Swenson法もしくはDuhamel法。2直腸総排泄腔瘻でいいのでしょうか3腎盂尿管移行部4cohen

 

8)神経芽腫に関する正しい記述の組み合わせを、以下より選べ。

(1)神経芽腫の好発部位で最も多いのは副腎であり、次に後腹膜である。

(2)神経芽腫には、自然に退縮するものが存在する。

(3)神経芽腫のstageIVSは、転移巣は肝、骨、皮下に限る。

(4)神経芽腫の全ての症例で尿中VMA,HVAが高値を示す。

(5)乳児神経芽腫マススクリーニングで発見された症例の生存率は95%以上である。

a(1)(2)(3)  b(1)(2)(5)  c(1)(4)(5)  d(2)(3)(4)  e(3)(4)(5)

解答 b 6/30プリントより。(1)○ 60%が副腎。(2)○ 自然退縮~致死的まで様々。(3)×? stageIVSは原発巣が病期IまたはIIで、遠隔転移が骨髄、皮下、肝に限られる。骨と骨髄の違いでしょうか?(4)× 約70%に陽性。(5)○ マススクリーニング症例は生存率98%

 

9)抗ガン剤の特異的な副作用の組み合わせで正しいものを選べ。

(1)サイクロフォスファミド -- 聴力障害  (2)アドリアマイシン -- 心筋障害

(3)ビンクリスチン -- 末梢神経炎  (4)シスプラチン -- 出血性膀胱炎

a)1,2  b)1,3  c)1,4  d)2,3  e)2,4

解答 d) (1)× 骨髄抑制、出血性膀胱炎、排尿障害、イレウス、胃腸出血など。(2)○ (3)○ 神経麻痺・筋麻痺・痙攣など末梢神経障害。(4)× 急性腎不全、骨髄抑制、血小板減少、聴力低下など多様な副作用をきたす。(治療薬の本を参照してください。)

 

10)臍帯ヘルニア、腹壁破裂で人工被膜を用いる手術に(  )法がある

解答 Allen-Wrenn法。6/29田尻先生プリント参照。

 

11)小児鼠径ヘルニア手術の基本は(  )が重要である

解答 高位結紮

 

12)小児の代謝的特徴に関して、誤った文章を1つ選べ。

(1)小児は成人に比べ、体重あたりの体表面積が大きい。

(2)新生児・乳児の腎機能は濃縮能が未熟である。

(3)新生児、特に低出生体重児では、血糖の調節能が低い。

(4)小児、特に新生児ではタンパク質の過剰投与は、腎への負担となる。

(5)新生児は脂肪の蓄積が多く、必須脂肪酸欠乏を起こしにくい。

解答 (5) 6/15増本先生プリント (1)○ よって輻射により低体温になりやすい。(2)○ GFR、濃縮力、希釈力のうち前2つが低い。(3)○ 低出生体重児は低血糖や高血糖になりやすい。(4)○ 腎臓に負担をかけないためにも、カロリー/N(窒素)比は200~250と十分に高く保つ。(5)× 新生児は皮下脂肪も薄く脂肪蓄積少ない。無脂肪の輸液を続けると容易に必須脂肪酸欠乏をきたす。

 

13)次の文章の中で、誤ったものを1つ選べ。

(1)短期のタンパク代謝の指標として、rapid turnover proteinの測定は有用である。

(2)銅欠乏症では、口や肛門の周囲に湿疹様皮膚炎が生じる。

(3)長期に経腸栄養が行えない場合には、静脈栄養を行う必要がある。

(4)中心静脈カテーテルを留置中の合併症に、カテーテル敗血症がある。

(5)経腸栄養剤投与中の合併症として、下痢や腹部膨満がある。

解答 6/15増本先生プリント (1)○ rapid turnover proteinとはプレアルブミン、トランスフェリン、レチノール結合蛋白など。(2)× 亜鉛欠乏で口、肛門、眼瞼周囲の湿疹様皮膚炎をおこす。銅欠乏は好中球減少、鉄不応性貧血を起こす。(3)○ (4)○ カテーテルでの細菌やカンジダの感染による高熱を発症する。(5)○ ほかにチューブトラブル、腸管粘膜の萎縮など。

 

14)次の文章の中で、誤ったものを1つ選べ。

(1)CCAMの病理所見の特徴として、上皮のポリープ状増殖が認められる。

(2)CCAMの病理学的分類として、Stocker分類が広く用いられている。

(3)CCAMの中で、胎児水種を合併する場合、予後は良好である。

(4)肺分画症における、分画肺の動脈は大動脈系より供給されている。

(5)肺葉外肺分画症では、無症状のことがある。

解答 6/18増本先生プリント(1)○ 上皮がポリープ状(鋸歯状)に増殖する。(2)○ (3)× 臨床分類Group A胎児水腫合併例は予後不良。(4)○ (5)

 

 

病理学

1.新生児肺疾患、肺生理についての以下の記述で誤りは

1.胎児水腫の発生要因として高度貧血や心・大血管系奇形が重要である。

2.肺拡張不全と硝子膜形成は、呼吸窮迫症候群の主な病理所見である。

3.肺サーファクタントの主成分は極性リン脂質、特に飽和レシチンである。

4.先天性嚢胞様奇形は、肺胞の分岐異常により発生する。

5.羊水過多症は、胎児肺低形成を合併しやすい。

a.1,2  b.2,3  c.3,4  d.4,5  e.1,5

解答 4/5居石先生プリント 1× プリントには感染の結果胎児水腫が起こるとあります。2○ 3○ alveolar surfactant のところにpolar phospholipidsとあり、カッコ内のDPPCとはレシチンのことだそうです。4○ これは小児外科6/18増本先生プリントを参照。5× oligohydramniotic=羊水過小が肺低形成を起こす。

 

3.新生児感染症について

1.新生児単純性ヘルペス(HSV-1)感染は経胎盤性に、HSV-2は経膣性に発生しやすい。

2.parvo-B19ウイルスの胎児感染症は胎児水腫の原因の一つである。

3.胎児トキソプラズマ感染症は、肝・副腎・肺・脳への壊死性炎症を発生しやすい。

4.サイトメガロウイルス感染は肺に好発し、特徴的な多核感染細胞として認められる。

5.先天性風疹症候群は妊娠初期の風疹感染で招来される。

a.1,2,3  b.1,2,4  c.1,2,5  d.2,3,4  e.3,4,5

解答 c 1○ transplacental=経胎盤性、transcervical=経腟性2○ 3× 水頭症、脳内石灰化、知能障害、低出生体重児、肝脾腫、脈絡膜炎など。(スp90)4× 肺症状はなく肝脾腫が多い。(スp219)5○ 先天性風疹症候群は胎芽期(胎生3~8週)の母体風疹感染による。(スp89

 

 

4.以下の記述で正しいものを選べ。

1.新生児仮死は一過性であり、予後は良好である。 2.臍帯動脈血の酸素濃度分圧は臍帯静脈より低い。

3.胎児赤芽球の原因として最も多いのはABO血液型不適合である。

4.新生児気管支・肺異形成は、先天性奇形の一つで予後不良である。

5.II型肺胞上皮細胞の発生・分化はクララ細胞のそれに先行する。

a.1,2  b.1,3  c.2,3  d.2,4  e.3,5

解答 c 1× 重症例では致死的。乗り切っても低酸素症による中枢神経障害が後遺症として残ることがある。(スp117)2○ 母体→臍帯静脈→胎児全身→臍帯動脈→母体の流れ。3○ 血液型不適合→胎児溶血→骨髄・髄外造血亢進→赤芽球出現=胎児赤芽球症です。(スp112)4× 気管支肺異形成は高濃度・高圧の呼吸管理によって引き起こされる肺損傷とその修復による肺の線維化によって起こるもの。予後は良好。(スp123)5× クララ細胞が15~20WII型肺胞上皮細胞が20~24Wで発生・分化する。(居石先生プリント)

 

 

整形外科

<問題1>軟骨無形成症について以下の中から正しいものを選べ

(1)軟骨無形成症は躯幹短縮型の小人症である。  (2)多くは成長終了後に判明する。

(3)知能正常なことが多い。  (4)身長は成長終了後で大体120cm程度である。

(5)成長ホルモンを投与することがある。

a(1)(2)(3)のみ  b(1)(2)(5)のみ  c(2)(3)(4)のみ  d(3)(4)(5)のみ  e(1)(4)(5)のみ

解答 d) 4/6整形外科中島先生プリント (1)× 四肢短縮型小人症。(2)× 生下時に判明する。(3)○ (4)○ (5)○ 治療は成長ホルモン投与、脚延長術、脊椎手術。

 

 

<問題2>骨形成不全症について正しいものを選べ

(1)typeII collagenの遺伝子変異と言われている。

(2)骨折の頻度は大腿>下腿>前腕である。  (3)青色強膜が特徴的である。

(4)知能は低下していることが多い。  (5)成長終了後に骨折の頻度は増加する。

a(1)(2)  b(2)(3)  c(3)(4)  d(4)(5)  e(1)(5)

解答 b 4/6整形外科中島先生プリント (1)× 骨芽細胞の以上によるtype I collagenの合成障害。(2)○ 大腿>下腿>脊椎>上腕>前腕。(3)○ (4)×知能低下は伴わない。 (5)×成長終了後は骨折減少。

 

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