受胎・成長・発達 平成19年度概説
(全て獲得)
○ 2007.7.6 13:00〜15:00実施
○ 小児科・病理は問題用紙と解答用紙セット。産婦人科、小児外科は持ち返り可。
○ 不合格:7人
「産婦人科」
総括:症例問題が例年通り多く、過去問と同じようなものが多いのでそれほど難しくはな
いです。ただ、正常分娩の症例は概説試験では新傾向だと思います。重要なので国
試にもでるので、理解しておくといいと思います。NEW産婦が指定教科書となっ
ているだけあって、解答作りにおいて非常に参考になったので、特にこれというも
のがない人はこれで勉強するのが無難だと思います。あまりわかりやすい本ではな
いですが・・・
参考文献:『NEW産婦人科学』『医学大辞典(医学書院)』『Question Bank 2006産科』
授業プリント、メモ
【1】通常の妊婦健康診査の項目として正しいものを一つ選べ。
a)骨盤の計測 b)子宮底長の計測 c)血糖の測定
d)尿中ケトン体の測定 e)超音波断層法による胎児計測
答:b
解説:体重測定、血圧測定、尿蛋白、尿糖検査、腹囲および子宮底長の測定が必須事項
【2】妊娠による母体の循環導滞の変化について正しいものを一つ選べ。
a)心拍出量は減少する。 b)心拍数は減少する。 c)末梢血管抵抗は低下する。
d)血圧は上昇する。 e)ヘモグロビン値は増加する。
答:c
【3】生殖に関わるホルモンについて、正しいものを一つ選べ。
a)プロゲステロンの作用で、思春期に子宮重量が増し乳房が発育するといった性徴が
現れる。
b)エストロゲンは視床下部において、FSH放出に対して抑制的に作用するネガティブ
フィードバック作用をもつ。
c)エストロゲンは子宮内膜に対して増殖期内膜を分泌期内膜に変化させる作用を持つ。
d)hCGは妊娠成立に伴い絨毛組織より分泌され、胎盤重量の増加とともに妊娠末期ま
で分泌量は増加し続ける。
e)市販されている妊娠検査試薬は、尿中のhPLを検出する。
答:b
a)× エストロゲン b)○ c)× プロゲステロン
d)× 妊娠10〜12週にピーク e)× hCG
【4】32歳の経産婦。既往歴・家族歴に特記すべきことはない。妊娠16週5日に性器出
血を訴えて来院した。来院時、腟鏡診で少量の不正性器出血と腟内への胎胞の突出を認め
た。内診所見は、外子宮口の開大度2cm、展退度60%、先進部は臀部で位置station−3、
子宮口位置は中央、硬度軟であった。胎児心拍数陣痛図では、胎児心拍数基線140bpmで、
子宮収縮の頻度は1回/60分、持続時間は20秒であった。子宮の圧痛はなく、一般末梢
血検査では、白血球数8,300/μl、ヘモグロビン値 12.5g/dl、ヘマトクリット値35%、血小
板数 21.8×10^4/μl、血液生化学検査では、CRP 0.2mg/dlであった。
次の処置のうち正しいものを一つ選べ。
a)オキシトシンの投与 b)β2刺激約の投与 c)抗生物質の投与
d)頸管縫縮術 e)帝王切開術
答:d
解説:妊娠中期、子宮口開大2cm、頸管の軟化、腟内の胎胞突出などから頸管無力症と
考えられます。
【5】30歳女性。月経は28日周期で整順であった。7月15日から4日間が最終月経で、
8月18日に自分で妊娠反応を試み、陽性であったが産婦人科を受診していなかった。8月
31日深夜に少量の性器出血と下腹部痛を自覚し、救急外来を訪れた。意識は清明で、血圧
は98/64mmHg、脈拍数は96/分で、尿妊娠反応は陽性である。
まず行うべき検査を一つ選べ。
a)子宮内膜組織検査 b)術前検査 c)超音波検査
d)腹腔鏡検査 e)ダグラス窩検査
答:c
解説:卵管妊娠などの子宮外妊娠の疑い。まずエコーで子宮妊娠かどうかを調べるべき
です。
【6】27歳の初産婦。既往歴・家族歴に特記すべきことはない。妊娠8週より近医にて妊
婦検診を受けていた。妊娠32週より浮腫と蛋白尿が出現し、塩分制限の指導を受けていた。
妊娠33週5日、午前6時より頭痛および心窩部痛が出現し軽快しないため、同日午前9時
に当科を紹介され受診した。来院時所見は、身長160cm、体重68kg、呼吸数16/分、子宮
底長26cm、腹囲88cm、血圧164/120mmHg、尿蛋白(3+)、全身に浮腫を認めた。理学
所見では心窩部の圧痛および深部腱反射の亢進を認めた。腟鏡診で羊水流出は認めなかっ
た。内診所見は、外子宮口開大度1cm、展退度40%、先進部は児頭小泉門で、児頭の位置
station−2、子宮腔位置は後方、硬度中等度であった。胎児心拍数陣痛図では心拍数基線
130bpm、reactive patternで、子宮収縮の頻度は4回/60分、持続時間は20秒であった。
一般末梢血検査では、白血球数8300/μl、ヘモグロビン値13.6g/dl、ヘマトクリット値40%、
血小板数15.8×10^4/μl、血液性化学検査では、総蛋白5.9g/dl、アルブミン3.3g/dl、BUN
13mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総ビリルビン値 0.8mg/dl、AST 25 IU/l、ALT 35 IU/l、
LDH 382 IU/lであった。
1)まず行うべき処置として正しいものを一つ選べ。
a)アンギオテンシン変換酵素阻害薬の投与 b)フェノバルビタールの投与
c)利尿薬の投与 d)解熱消炎鎮痛剤の投与 e)硫酸マグネシウムの投与
答:e
解説:妊娠高血圧症候群。降圧薬としてメチルドパ、ヒドララジン。鎮静・鎮痙薬と
してジアゼパム、硫酸マグネシウムを投与する。
前期処置を行ったところ血圧は150/100mmHg前後を推移し、頭痛および心窩部痛は消失
した。同日午後3時より再び頭痛および心窩部痛が出現した。
意識は清明、血圧166/112mmHg、脈拍数100/分、呼吸数16/分であった。理学所見では心下部の圧痛を認め、深部腱反射は軽度亢進であった。腟鏡診では性器出血、羊水流出は認
めなかった。内診所見は、外子宮口開大度1cm、展退度40%、先進部は児頭小泉門で、児
頭の位置station−2、子宮口位置は後方、硬度中等度であった。胎児心拍数陣痛図では心
拍数基線130bpm、reactive patternで、子宮収縮の頻度は2回/60分、持続時間は20秒
であった。一般末梢血検査では、白血球数8900/μl、ヘモグロビン値10.2g/dl、ヘマトクリ
ット値34%、血小板数7.8×10^4/μl、血液性化学検査では、総蛋白5.6g/dl、アルブミン
3.1g/dl、BUN 13mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総ビリルビン値 1.8mg/dl、AST 450 IU/l、
ALT 242 IU/l、LDH 842 IU/lであった。
2)この症例の合併症として最も疑う疾患を一つ選べ。
a)血小板減少性紫斑病 b)急性肝炎 c)常位胎盤早期剥離
d)HELLP症候群 e)子癇
答:d
解説:破砕赤血球、血小板が10万以下、AST、ALTが上昇、ビリルビン上昇、LDH
上昇がみられる。また、心窩部痛があり、HELLP症候群の所見と一致。
3)行うべき処置として正しいものを一つ選べ。
a)血小板輸血 b)フェノバルビタールの投与 c)解熱鎮痛消炎薬の投与
d)血漿交換 e)帝王切開術
答:e
解説:診断がつき次第急速遂娩帝王切開が一般的
【7】29歳の初妊婦。妊娠経過は順調であった。妊娠34週2日、少量の不正出血、下腹痛を訴えて来院した。受診時、意識は清明、血圧148/96mmHg、脈拍数100/分、呼吸数18/分であった。腹部は板状硬で、腟鏡診では少量の性器出血を認めた。内診所見は、外子宮口開大度1cm、展退度40%、先進部は児頭小泉門で、児頭の位置station−2、子宮口位置は後方、硬度中等度であった。超音波断層法では、胎盤は前壁付着で、厚さは8cmであった。胎児心拍数陣痛図の所見を図に示す。
1)胎児心拍数陣痛図所見の記述で正しいものを一つ選べ。
a)一過性頻脈がみられる。 b)遅発一過性徐脈がみられる。
c)早発一過性徐脈がみられる。 d)変動一過性徐脈がみられる。
e)sinusoidal patternがみられる。
答:b
解説:子宮収縮に遅れて一過性の徐脈がある。
2)この症例の診断として最も疑う疾患を一つ選べ。
a)切迫流産 b)常位胎盤早期剥離 c)子宮破裂
d)頸管無力症 e)前置胎盤
答:b
解説:有痛性不正出血、板状硬(過強陣痛)、胎児の危険な徴候などがあり、典型的な常
位胎盤早期剥離。
【8】糖尿病合併妊娠について正しいものを一つ選べ。
a)日本では2型より1型糖尿病の合併妊娠が多い。
b)妊娠中は経口糖尿病薬を使用する。
c)糖尿病合併妊娠においてインスリンの需要量は妊娠期間を通じて一定である。
d)糖尿病合併妊娠では形態異常児の発症頻度が高い。
e)1型糖尿病では巨大児出生の頻度が高い。
答:d
a)× 日本は2型が多い b)× インスリンを使用 c)× d)○
e)? 糖尿病は巨大児のリスクファクターのはずですが、1型は違うのでしょうか?
【9】胎児の発育と発達について、正しいものを一つ選べ。
a)妊娠8〜11週の頭臀長を用いて妊娠週数を変更することがある。
b)妊娠初期の羊水は、胎児尿由来である。
c)子宮内発育遅延のなかで、妊娠後期に発育制限を認めるものは染色体異常が多い。
d)妊娠28週以降では、胎児の肺は成熟している。
e)妊娠36週以降では、胎動は認められなくなる。
答:a
a)○ b)× 初期は羊膜からの分泌
c)× いわゆるassymmetrical typeで母体・胎盤要因が多い d)× e)×
【10】子宮筋の収縮について正しいものを一つ選べ。
a)ヒト子宮筋は内側、再外側の輪状筋と中間の縦走筋の3層構造をとる。
b)妊娠5週までには子宮筋のオキシトシン感受性は亢進する。
c)プロスタグランディンとマグネシウム製剤の併用は過強陣痛のリスクがあり禁忌と
される。
d)β刺激製剤により子宮筋は弛緩する。
e)子宮が大きくなればなるほど、子宮筋の収縮力は増し、陣痛は強くなる。
答:d
a)× 外縦、中輪、内縦 b)× 妊娠末期に亢進
c)× プロスタグランディンとオキシトシンが併用禁忌 d)○
e)× 心筋に見られる性質です。基本的には細胞内Ca濃度で強さが決定される
【11】26歳、初産婦。既往歴・家族歴:特記事項なし。
現病歴:妊娠8週で妊娠の診断を受け、妊婦検診では母児ともに経過良好であった。妊娠
39週0日、午前9時ごろより痛みを伴う10分後との子宮収縮が出現し、午後1時に当科
に入院となった。入院時、身長149cm、体重59kg、血圧110/70mmHg、体温36.2度、子
宮底長33cmであった。内診所見は、子宮口開大4cm、展退度80%、児頭の位置station0、
子宮口位置 中、硬さ 軟で、胎胞を触知した。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍に異常なく、
子宮収縮(有痛性)を4分毎に認めた。
1)入院時(午前9時)の内診所見におけるビショップスコアーは何点か。
a)7点 b)8点 c)9点 d)10点 e)11点
答:d
午後3時の内診所見は子宮口開大8cm、展退度100%、児頭の位置station+2、子宮口位置
前方、硬さ 軟であった。陣痛周期は2分30秒、陣痛の持続時間は50秒で、陣痛極期に子
宮は弾性硬である。
2)このときの判断として正しいものを一つ選べ。
a)分娩進行が早すぎるので、産道裂傷に注意する。
b)回旋異常が疑われるので、分娩停止に注意する。
c)過強陣痛であるので、帝王切開分娩を考慮する。
d)分娩経過は順調であるので、経過観察を続ける。
e)分娩進行が遅すぎるので、原因の検索が必要である。
答:d
解説:午後1時で4cmだったので3時に8cmになっているのは初産婦のFriedman曲線
の正常とよく一致する所見であり、小泉門が11時は正常、陣痛周期、持続時間と
も正常である。
【12】頸管開大度曲線(Friedman)について正しいものを一つ選べ。
a)緩徐期(latent phase)には主として展退が進行する。
b)開大度5cmで活動期(active phase)に入る。
c)緩徐期は活動期に比し、一般的に個体差が少ない。
d)開大度8cmから排臨までを分娩第2期という。
e)活動期には主として児頭が下降する。
答:e
a)× 分娩準備期に展退が進行する b)× 2.5cmから活動期
c)× latent phaseの長短が分娩所要時間を左右する
d)× 開大度10cm(全開)から児の娩出まで e)○
【13】分娩中に微弱陣痛の出現に注意すべき疾患を一つ選べ。
a)子宮内発育遅延 b)妊娠高血圧症候群 c)前置胎盤
d)回旋異常 e)羊水過小
答:d
解説:回旋異常は続発性微弱陣痛の原因の一つ
【14】26歳、初産婦。既往歴・家族歴:特記事項なし。
現病歴:妊娠8週で妊娠の診断を受け、妊婦検診では母児ともに経過良好であった。妊娠
39週0日、午前9時頃より痛みを伴う10分毎の子宮収縮が出現し、午後1時に当科に入
院となった。入院時、身長148cm、体重55kg、血圧110/70mmHg、体温36.2度、子宮底
長33cmであった。超音波断層法では、児は頭位で児頭大横径9.1cm、羊水量は中等量であ
った。内診所見は、子宮口開大7cm、展退度80%、児頭の位置station−3、子宮口の位置 中、
硬さ 軟で、胎胞を触知したが児頭は浮動の状態であった。Seitz法は陽性であった。また
内診上は岬角を触知できない。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍に異常なく、子宮収縮(有
痛性)を4分毎に認めた。
本症例について正しいものを一つ選べ。
a)内診所見、Seitz法からは児頭骨盤不均衡は考えにくい。
b)原発性微弱陣痛と診断し、子宮収縮促進を開始すべきである。
c)骨盤出口部の児頭骨盤不均衡であり、帝王切開分娩の適応となる。
d)Martius法、Guthmann法による骨盤評価を試行すべきである。
e)不正軸進入による分娩停止がもっとも考えやすい。
答:d
解説:規則的な陣痛、子宮頚部の展退、開大がみられるが児頭が固定しておらず、Seitz
法も陽性であるので児頭骨盤不均衡が疑われる。
【15】下図は、妊婦検診(妊娠37週時)での胎児心拍陣痛図で胎児の健常性は良好と判断
された症例である。所見の記述で正しいものを一つ選べ。
a)早発一過性徐脈がみられる。 b)変動一過性徐脈がみられる。
c)一過性頻脈がみられる。 d)持続性頻脈がみられる。
e)sinusoidal patternがみられる。
答:c
【16】34歳、初妊初産婦。既往歴・家族歴に特記事項なし。
現病歴:続発性無月経のため当院を初診。最終月経ならびに超音波断層法により妊娠9週
と診断された。以降当院にて妊婦検診を受け、妊娠経過は順調で、胎児発育も良好であっ
た。妊娠39週3日、午前1時より10分毎の有痛性子宮収縮が出現し次第に増強するため
午前3時に当院を受診した。受診時、腟鏡診で羊水の流出はなく、血性粘液調の分泌物を
認めた。内診所見は、頸管開大度:4cm、展退度:60%、児頭の位置station−1、頸管硬
度:軟、子宮口位置:中央であった。胎児心拍数陣痛図では心拍数基線140bpm、一過性頻
脈を認め、一過性徐脈は認めなかった。子宮収縮は5分毎に認めた。陣痛発来と診断し、
分娩経過を観察した。午前9時の内診所見は子宮口全開大、展退度:100%、児頭の位置
station+2であった。また、先進部の小泉門を12時方向に触知した。陣痛周期は2分で陣
痛持続時間は60秒であった。
診断として正しいものを一つ選べ。
a)回旋異常 b)過強陣痛 c)微弱陣痛
d)正常分娩経過 e)頚管熟化不全
答:d
解説:ビショップスコア9点以上なので頸管は成熟。陣痛周期2分、持続時間60秒は正
常。小泉門を12時に触知より回旋異常なし。子宮口開大の速さも正常。
【17】甲状腺疾患合併妊娠について、正しいものを一つ選べ。
a)バセドウ病は産褥期に軽快する。
b)バセドウ病では治療により母体甲状腺機能が正常となれば胎児甲状腺機能異常が発
症することはない。
c)プロピルチオウラシル(PTU)はメチルメルカプトイミダゾール(MMI)に比べて
乳汁移行性が高い。
d)TSH受容体抗体は胎児甲状腺機能異常の原因ではない。
e)甲状腺機能亢進症のコントロールが悪いと妊娠高血圧症候群の頻度が増加する。
答:e
a)× b)× c)× PTUは母乳移行性は低い。MMIは胎盤通過性も高い
d)× e)○
【18】32歳の初産婦。妊娠39週1日に自然陣痛発来し、入院となった。胎児心拍数陣痛
図で胎児機能不全(nonreasurring fetal status)の徴候が認められたため吸引分娩を行っ
た。児は2480gの男児であった。娩出1分後の新生児は弱々しく啼泣し、筋緊張は四肢を
やや屈曲させる程度で、カテーテルによる口腔内吸引で顔をしかめる。四肢にチアノーゼ
を認め、心拍数は120/分であった。
1分後のApgarスコアは何点か。
a)3点 b)4点 c)5点 d)6点 e)7点
答:c
【19】産後精神機能障害を持つ母体への正しい対応を一つ選べ。
a)マタニティーブルーズと診断したため、抗うつ薬、抗不安薬を処方した。
b)産褥精神病(統合失調症)と診断したが、抗精神病薬の投与は禁忌と考え、処方を
行わなかった。
c)産後うつ病の母体に対し、母乳への薬剤移行が懸念されるが、抗うつ薬の内服が必
要と考え処方を行った。
d)母体が産後うつ病を発症したが、本人の問題であるため、配偶者・家族を交えての
カウンセリングを一切、行わなかった。
e)産後うつ病による自殺企図があったが、母児分離は望ましくないと考え、精神科病
棟への入院を行わなかった。
答:c
a)× 不要 b)× 必要があれば投与 c)○ d)× e)×
【20】32歳、経妊3回経産2回。双胎妊娠であるが妊娠経過および胎児発育は良好であっ
た。妊娠37週2日、自然陣痛発来し、分娩経過に異常なく、頭位経腟分娩で2480gと2620g
の児を娩出した。分娩時に870gの弛緩出血を認めたがオキシトシン投与により出血量は減
少し、産褥4日の退院時内診所見でも異常なく退院となった。産褥13日に大量の性器出血
があり来院。意識清明、血圧120/74mmHg、脈拍数86/分、体温36.8度。腟鏡診で腟腔内
に大量の凝血槐が貯留しており、子宮口から鮮紅色の血液が流出していた。子宮口開大は
一指挿入可能であった。双合診で子宮は鷲卵大であり、圧痛はなかった。
最も疑う疾患を一つ選べ。
a)子宮内反症 b)子宮頚管裂傷 c)子宮破裂 d)胎盤遺残
e)産褥子宮内膜炎
答:d
解説:子宮収縮不良による弛緩出血、産褥期における異常出血があり、しかも大量出血
であること、疼痛がないことなどが胎盤遺残の所見とよく一致します。a,c,
eは疼痛を伴い、bは子宮収縮は良好なので所見と合いません。
「小児科」
【1】身長増加速度が最も大きい時期はどれか。
1)乳児期 2)幼児期 3)学童期 4)思春期 5)青年期
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【2】生後2ヶ月の1日当たりの体重増加はどれか。
1)10g 2)20g 3)30g 4)40g 5)50g
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【3】原始反射でないのはどれか、1つ選べ。
1)Moro反射 2)背反射(Galant反射) 3)パラシュート反射
4)吸啜反射 5)把握反射
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【4】乳幼児の発達と月齢の組み合わせで誤りはどれか。1つ選べ。
1)頸定 4ヶ月 2)座り 5ヶ月 3)前に這う 7〜9ヶ月
4)独歩 12〜14ヶ月 5)走る 24ヶ月
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【5】10歳の学童で成人に比して特に発育が著しいのはどれか。
1)大脳 2)甲状腺 3)リンパ組織 4)肝臓 5)心臓
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【6】乳幼児の基準値(正常値)が成人より高いものを2つ選べ。
1)ヘモグロビン 2)尿酸 3)血清アルカリフォスファターゼ
4)血清免疫グロブリン(IgG) 5)αフェトプロテイン
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【7】免疫グロブリンについて誤りはどれか。
1)IgAは胎盤は通過しないが初乳中には多く含まれている。
2)母体のアレルギーが強いとIgEは胎盤を通過する。
3)母体由来のIgGは生後4〜5ヶ月で消失する。
4)生下時よりIgMが高ければ胎内感染を考える。
5)IgGは胎児は産生しない。
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【8】原発性免疫不全症とその所見の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。
1)ataxia-telangiectasia 出血傾向 2)Wiskott-Aldrich症候群 湿疹
3)X連鎖無γグロブリン血症 アデノシンデアミナイーゼ欠損症
4)慢性肉芽腫症 好中球遊走能障害
5)Chediak-Higashi症候群 ペルオキシダーゼ陽性巨大顆粒
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【9】乳児期から化膿菌感染症を繰り返す免疫不全症はどれか。2つ選べ。
1)IgA欠損症 2)DiGeorge症候群 3)無γグロブリン血症
4)毛細血管拡張性失調症 5)慢性肉芽腫症
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【10】伴性無ガンマグロブリン血症(Bruton agammaglobulinemia)についての記述につい
て正しいものの組み合わせをA-Fの中から一つ選択せよ。
1)B細胞のみの異常のため、扁桃やリンパ節は正常に存在する。
2)難治性下痢や真菌感染、カリニ肺炎がおこりやすい。
3)移行抗体により、易感染性は新生児早期からおこることは少ない。
4)骨髄におけるB細胞の分化異常があり、末梢血にはB細胞はほとんど存在しない。
5)BTK遺伝子異常が原因であり、Bruton tyrosine kinaseが欠損している。診断には
遺伝子検査やフローサイトメーターによるBTK蛋白発現の検査が有用である。
a)1のみ b)23 c)134 d)234 e)235 f)345
答:
【11】高IgE症候群(Job症候群)について正しいものの組み合わせをAからFの中から
一つ選択せよ。
1)寒冷膿瘍が見られることがある。
2)WASP遺伝子の変異によって生じ、伴性劣性遺伝形式をとる。
3)骨折が起こりやすい傾向があり、歯牙の萌出の異常、関節の過伸展、脊椎の異常な
どが見られることがある。
4)特にブドウ球菌やCandidaに対して易感染性があり、繰り返す肺炎の結果、肺嚢胞
を形成することがある。
5)血清IgGが低値であるが、IgMはむしろ高値であることが診断の根拠となる。
a)1のみ b)123 c)134 d)24 e)245 f)345
答:
【12】正しいものはどれか。2つ選びなさい。
1)在胎4ヶ月の胎児における主な造血臓器は骨髄である。
2)末梢血のHbF値は出生後速やかに減少し、生後1ヶ月までに成人値となる。
3)健康な1歳児の末梢血ヘモグロビン値は、通常の成人値よりも高い。
4)未熟児早期貧血は鉄材を投与しても改善がみられないことが多い。
5)離乳食の開始が遅れた場合、人口栄養児に比べ母乳栄養児の方が貧血傾向が強くな
る。
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【13】正しいものはどれか。2つ選びなさい。
1)正常新生児では、1生日の末梢血白血球数15000/μlは正常範囲である。
2)健康な3歳児の末梢血好中球数はリンパ球数より少ない。
3)乳児ビタミンK欠乏性出血症は人口栄養児に好発する。
4)小児白血病の50%以上は急性骨髄性白血病である。
5)小児急性リンパ性白血病の予後不良因子として、初発時末梢血白血球数低値が挙げ
られる。
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【14】生後10日の男児。21hydroxylase欠損による塩類喪失型の先天性副腎過形成症と診
断された。通常この患児にみられないのはどれか。
1)皮膚の色素沈着 2)角膜混濁 3)外性器の男性化
4)心不全徴候 5)17OHプロゲステロンの高値
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【15】現在、日本で酵素補充療法が可能でない先天性代謝異常症はどれか。
1)ポンペ病 2)ゴーシェ病 3)ファブリー病
4)ムコ多糖症T型 5)ウィルソン病
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【16】5歳の男児。腹部膨満と低身長を主訴に来院した。人形様顔貌、著名な肝腫大がある。
血清生化学所見で高乳酸血症、高尿酸血症、高脂血症、肝機能異常がある。以下の記載
について正しいのはどれか。
1)通常、精神運動発達は正常である。 2)心肥大をしばしば認める。
3)治療として酵素補充療法がある。 4)好中球減少症を認める病型がある。
5)遺伝様式は常染色体性劣性である。
a)123 b)125 c)145 d)234 e)345
答:
【17】在胎40週、体重3400gで出生した生後11日の新生児。生後5日の新生児マススク
リーニングにてろ紙血の血液中フェニルアラニン値が20.2mg/dL(カットオフ値:
4mg/dL)の報告を受けて受診した。正しい対応はどれか。
1)利尿剤の投与 2)生理食塩水の点滴静注 3)光線療法
4)BH4経口負荷試験を行う 5)低メチオニンミルクの開始
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【18】6歳の男児。多飲多尿および意識障害を主訴に来院した。家族暦と既往歴に特記すべ
きことはない。6ヶ月前の学校検尿では異常を指摘されていない。1ヶ月前から夜間に排
尿のため起きるようになり、その都度水を飲んでいた。多飲多尿はさらに増悪し、学校
から帰ると疲れたといって寝ることが多くなった。2日前から発熱があり、近医で治療を
受けたが本日になって意識が朦朧となった。来院時の検査所見:尿糖4+、血糖780mg/dL。
血液ガス分析:pH 7.01、HCO3- 7.0mEq/L、BE -32mEq/L。血清Na 135mEq/L、
K 4.0mEq/L、Cl 100mEq/L、尿素窒素 40mg/dL、クレアチニン 1.2mg/dL。
正しい初期対応はどれか。
1)利尿剤の投与 2)生理食塩水の点滴静注 3)重炭酸ナトリウムの静注
4)グリセオールの点滴静注 5)速効型インスリンの点滴静注
a)12 b)23 c)34 d)45 e)25
答:
【19】先天性心疾患を伴う頻度が、一般頻度よりも高くないのはどれか。
1)18 trisomy 2)Di George症候群 3)Turner症候群
4)Down症候群 5)Klinefelter症候群
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【20】括弧の中を適切な語で埋めよ。
1)脳性麻痺とは( )期から( )期までの間に生じた脳の( )に基づく
永続的であるが変化しうる運動および姿勢の異常である。
2)脳性麻痺の診断には( )、( )などがないかをチェックすることが大切であ
る。
3)脳質周囲白質軟化や脳室内出血は( )児より、いわゆる( )児で起こりや
すい周産期神経障害である。
答:
【21】次の文章のうち、正しいものを1つ選べ。
1)ミトコンドリア脳筋症はすべて細胞質遺伝(母系遺伝)する。
2)Niemann-Pick病では頭部MRI検査で広汎な有髄化の障害がみられる。
3)ミトコンドリア脳筋症では血液系細胞に異常が出やすい。
4)Tay-Sachs病では特徴的な骨髄空胞細胞がみられる。
5)副腎白質ジストロフィーでは極長鎖脂肪酸(血液)が増加する。
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【22】次の組み合わせのうち、誤っているものを1つ選べ。
1)結節性硬化症 − 網膜過誤腫 2)結節性硬化症 − 腎血管筋脂肪腫
3)神経線維腫症T型 − 両側聴神経腫瘍 4)神経線維腫症T型 − 虹彩(Lisch)結節
5)Sturge-Weber症候群 − CTで脳実質内石灰化
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【23】独り歩きができない2歳女児。血清CK値は著しい高値を示し、頭部MRIで脳形成
異常を指摘されている。最も疑われる診断を以下から1つ選べ。
1)Duchenne型筋ジストロフィー 2)Werdnig-Hoffmann病
3)ミトコンドリア脳筋症 4)福山型筋ジストロフィー
5)Pelizaeus-Merzbacher病
a)1 b)2 c)3 d)4 e)5
答:
【24】胎児循環の特徴として正しいのはどれか。
1)成人と比較して心室コンプライアンスは悪い。
2)肺血管抵抗は出生後に急激に上昇する。
3)心筋の予備能は十分である。
4)肺動脈への血流は両心室拍出量の約7%と少ない状態にある。
5)胎内では動脈管の血流は肺動脈から大動脈へ流れる。
a)123 b)125 c)145 d)234 e)345
答:
【25】川崎病について正しいのは次のどれか。
1)男児よりも女児に発症頻度が高い。 2)思春期に好発する。
3)BCG接種部位の発赤は重要な参考所見の1つである。
4)膜様落屑は回復期の所見として重要である。
5)急性期に好中球を主体とした白血球増多が認められる。
a)123 b)125 c)145 d)234 e)345
答:
【26】次の記述のうち正しいものを3つ選べ。
1)早期新生児期とは生後1週間以内をいう。
2)極低出生体重児とは、在胎週数を問わず出生体重が1000g未満の新生児をいう。
3)Light-for-dates児とは、体重がその在胎週数の児の10 percentile未満で、身長が10
percentile以上の児をいう。
4)健康な新生児は出生直後から1日25〜30gの体重増加がみられる。
5)在胎26週未満の未熟児の蘇生では、啼泣を促すために強い刺激を与えたりせず、可
及的速やかに気管内挿管をする。
a)1のみ b)123 c)135 d)24 e)245 f)345
答:
【27】次の記述のうち正しいものを3つ選べ。
1)新生児の診察は、暖かな環境で必ず全身を裸にして行う。
2)頭血腫は頭蓋骨骨膜下の出血で、高ビリルビン血症の原因となる。
3)モロー反射の左右差があっても、異常とは言えない。
4)呻吟呼吸は、呼気時に声帯を閉めるためにうなり声が聞かれる。
5)24時間以内に肉眼的黄疸がみられても、異常とは言えない。
a)123 b)124 c)135 d)234 e)245 f)345
答:
【28】次の記述のうち正しいものを3つ選べ。
1)Microbubble testは、新生児の胃液を採取・攪拌し、大きな泡の数を数える。
2)胎便吸引症候群は、気胸・新生児遷延性肺高血圧症・肺炎などの合併症が多い。
3)呼吸窮迫症候群(RDS)の胸部X線所見の特徴は、スリガラス状陰影、気管支透亮
像、網状顆粒状陰影である。
4)慢性肺疾患とは、「先天性肺疾患を除き、生後28日を越えて人工呼吸が必要な呼吸
障害を残したもの」と定義される。
5)新生児の人工呼吸法は、基本的な間歇的強制換気療法に加え、高頻度振動換気療法、
nasal CPAPなどがある。
a)123 b)125 c)235 d)135 e)245 f)345
答:
【29】次の記述のうち正しいものを3つ選べ。
1)未熟児の脳室内出血は、上衣下出血の脳室内への穿破による。
2)APGAR scoreの1分値は、神経学的後障害を予測するのに役立つ。
3)脳室周囲白質軟化症は、主に在胎27週未満の未熟児に発症し、下肢に強い痙性麻痺
を残す。
4)黄疸の後遺症には、アテトーゼ型脳性麻痺と聴力障害などがある。
5)未熟児網膜症は、高濃度酸素投与などが原因となる疾患であり、重症なものは網膜
剥離のため盲となる。
a)123 b)125 c)234 d)145 e)245 f)345
答:
【30】次の記述のうち正しいものを3つ選べ。
1)早期未熟児貧血の治療は、エリスロポイエチン投与のみで十分で、輸血を必要とす
る症例はなくなった。
2)在胎期間の短い未熟児は、ビタミンDの投与や母乳強化剤の使用による未熟児くる
病の発症予防が重要である。
3)未熟児動脈管開存症の治療は抗PG(プロスタグランディン)合成阻害剤および動脈
管結紮術である。
4)未熟児の高カリウム血症の治療として、グルコース・インスリン療法がある。
5)壊死性腸炎は、母乳栄養児で起こしやすい。
a)123 b)125 c)234 d)145 e)245 f)345
答:
「小児外科」
総括:小児外科の教授が、出席率が悪いから問題を難しくしろと指示したという話です。
過去問とかなり違う問題が多く、記述させられたので戸惑った人が多かったです。
選択問題は授業中に大切と言っていたところからの出題が多いので、授業に出るの
が一番いいですね。プリントをよく復習する必要があります。標準小児外科学から
の出題もたまに見られます。教科書買うなら標準がオススメです。
参考文献:『標準小児外科学』『新臨床外科学』『医学大辞典(医学書院)』
授業プリント、メモ
【1】乳児期に手術を必要とする小児外科疾患を3つあげよ。
答:Hirschsprung病、肥厚性幽門狭窄症、腸重積、鼠径ヘルニア、胆道閉鎖症、
胆道拡張症、悪性腫瘍などから3つ
【2】先天性食道閉鎖症のGross C型について図示し、そのX線像の特徴について述べよ。
答:食道が盲端で終わり、かつ下部食道と気管が交通しているのを図示すればOK.
X線ではコイルアップサインと消化管ガスの存在がポイント。
【3】先天性横隔膜ヘルニアの呼吸管理におけるPermissive hypercapneaについて述べよ。
答:PaCO2<60mmHg,pH>7.2,Pre-ductal SpO2>90%を維持できればよいとし、
過換気療法や筋弛緩剤を用いないで過度の刺激や負担をさける呼吸管理法。これに
よりPPHNの成績が大幅に改善された。
【4】小児の肝臓移植の対象になる疾患を3つあげよ。
答:胆道閉鎖症、劇症肝不全、肝硬変、悪性肝疾患、Wilson病、有機酸代謝異常症、
高チロシン血症、糖原病、Crigler-Najjar症候群、高シュウ酸尿症、
α-アンチトリプシン欠損症など
【5】小腸移植の免疫抑制療法について述べよ。
答:導入療法としてZenapaxなどで強力に免疫抑制を行い、維持療法としてタクロリム
ス・ステロイドでうまくいかないときはラパマイシンを使うとよいとされる。小腸
は免疫反応が強いことと細菌がいることに注意する。
【6】神経芽腫に関して正しい組み合わせを選べ。
1)神経芽腫の好発部位で最も多いのは後腹膜であり、次に縦隔である。
2)神経芽腫には、自然に退縮するものは存在しない。
3)神経芽腫のstageWSは、転移巣は肝、骨、皮下に限る。
4)神経芽腫の約70-80%の症例で尿中VMA、HVAが高値を示す。
5)乳児神経芽腫マススクリーニングは、現在は行われていない。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:e
1)× 副腎、後腹膜、骨盤腔、縦隔の順 2)× 3)× 骨→骨髄 4)○ 5)○
【7】神経芽腫の予後因子に関して正しい組み合わせを選べ。
1)aneuploidはdiploidを示す神経芽腫に対して予後不良である。
2)Shimada分類とは神経芽腫の病理分類である。
3)MYCN遺伝子は二番染色体短腕に存在している。
4)MYCN増幅症例には一番染色体短腕が欠失している症例は少ない。
5)TrkAの高発現症例は予後不良である。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:c
1)× 予後良好 2)○ 3)○ 4)× 1p欠失とMYCN増幅に相関がみられる
5)× 予後良好。TrkBの高発現が予後不良
【8】先天性小腸閉鎖症に関して正しい組み合わせを選べ。
1)注腸造影ではMicrocolonを呈することが多い。
2)十二指腸を除くと小腸閉鎖は回腸、空腸の順に多い。
3)胎便に胆汁を混じることはまったくない。
4)病型の頻度は索状型、膜様型、離断型の順である。
5)apple peel型閉鎖は、成熟児に多い。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:a
1)○ 廃用性萎縮のため 2)○ 3)× 4)× 離断型、膜様型、索状型の順
5)× apple peel型は特殊型(Vb型)の1型で低出生体重児に多く、他の合併頻度も高い
【9】腸重積症に関して正しい組み合わせを選べ。
1)超音波検査では腸管の重積断面がカニ爪状陰影として描出される。
2)注腸造影ではtarget signが特徴的である。
3)観血的整復では重積腸管をゆっくり引っ張り出すことが原則である。
4)非観血的整復としては高圧浣腸が第一選択である。
5)生後6ヶ月から2歳までに多く発症する。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:e
1)× 注腸造影の所見 2)× 超音波の所見 3)× 引っ張り出してはいけない。
遠位側から押し出す 4)○ 5)○ 乳児期後半から2歳に好発し、男児にやや多い。
よく栄養され、平均以上の体格の子にできやすい
【10】正しい組み合わせを選べ。
1)Wilms腫瘍はほとんどの症例で血尿を主訴とする。
2)Beckwith-Wiedemann症候群にWilms腫瘍が合併することがある。
3)両側Wilms腫瘍はStageXである。
4)肝芽腫では、肝硬変を合併することは稀である。
5)肝芽腫は、成熟児に発生するリスクが低出生体重児に比べ有意に高い。
a)123 b)234 c)345 d)145 e)125
答:b
1)× 肉眼的血尿が25% 2)○ 3)○ 4)○ 5%以下
5)× 未熟児、新生児期の長期人工呼吸管理児、FAPの家系に多い
【11】正しい組み合わせを選べ。
1)奇形腫は三杯葉成分から成る腫瘍である。
2)仙尾部より大きく突出した奇形腫の病型はAltmanW型である。
3)卵黄嚢癌に対する代表的化学療法にJames療法がある。
4)PAX3-FKHRキメラ遺伝子は胞巣型横紋筋肉腫の診断に有用である。
5)胞巣型横紋筋肉腫は胎児型横紋筋肉腫より予後不良である。
a)123 b)234 c)345 d)145 e)125
答:d
1)○ 2)× 4型はおなかの中の方へ突出していて見つかりにくい
3)× James療法は神経芽腫の化学療法でVCR、CPAを用いる 4)○ 5)○
【12】正しい組み合わせを選べ。
1)分腎機能の測定には腎レノグラムが有用である。
2)尿中β2-microglobulinの測定は尿細管障害の指標となる。
3)VCGとは経静脈的に尿路を造影し、評価を行う検査である。
4)精巣捻転はまず保存的に経過観察する。
5)停留精巣を放置しておくと男性不妊の原因となる。
a)123 b)234 c)345 d)145 e)125
答:e
1)○ 2)○ 3)× 経尿道的にカテーテルで造影剤を膀胱に注入
4)× 緊急手術 5)○
【13】正しい組み合わせを選べ。
1)先天性水腎症の原因は膀胱頚部尿道移行部の狭窄が最も多い。
2)先天性水腎症に対する腎盂形成術ではCohen法が代表的である。
3)繰り返す尿路感染症の原因に膀胱尿管逆流症がある。
4)重複尿管の走行はWeigert-Meyerの法則に従うことが多い。
5)後部尿道弁ではしばしば腎不全を来す。
a)123 b)234 c)345 d)145 e)125
答:c
1)× 腎盂尿管移行部 2)× Anderson-Hynes法が代表的。Cohen法は膀胱尿管逆
流症の手術 3)○ 4)○ 5)○
【14】消化管手術の術後で、腸閉塞となった3歳の患者さんが入院してきました。
1)保存的治療を行うにあたり、次の中で適切な栄養の投与経路と方法を選択しなさい。
a)経口摂取による幼児食投与 b)経鼻胃管より経腸栄養
c)中心静脈より静脈栄養
答:c
解説:イレウスは静脈栄養です
2)年齢を考えた入院時の基本的必要栄養量について、適切なものを1つ選びなさい。
a)30-40kcal/kg/day b)50-60 kcal/kg/day c)70-90 kcal/kg/day
d)100-120 kcal/kg/day
答:c
解説:『標準小児外科学』によると、3歳児の静脈栄養は60-80 kcal/kg/dayなのでcを
選びました。
【15】出生前診断に関する、次の質問に答えなさい。
下にある胎児超音波検査の患者さんは、在胎30週で胎児の異常が認められ、母体搬送さ
れてきました。入院時の胎児超音波検査を下に提示します。この超音波検査の写真から
考えられる出生前診断と所見の組み合わせで正しいものを選びなさい。
a)先天性横隔膜ヘルニア、胸腔内への腸管と肝臓の脱出
b)先天性食道閉鎖症、下部食道の拡張像
c)先天性十二指腸閉鎖症、Double bubble sign
d)腹壁破裂、腸管の羊水腔への脱出
e)臍帯ヘルニア、臍帯内への腹部臓器の脱出
答:d(標準小児外科学参照)
解説:ヘルニア嚢がなく、腸管が脱出していて(図の矢印)、腸管の拡張・壁の肥厚が認
められ、それが羊水中に浮遊している。腹壁破裂の所見です。
【16】小児における脾摘の適応となる疾患を3つあげなさい。
答:脾損傷、脾腫瘍、脾嚢胞、遺伝性球状赤血球症、自己免疫性溶血性貧血、
特発性血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、Banti症候群、先天性異常、
肝硬変による門脈圧亢進症、肝前性門脈圧亢進症の中から3つ
【17】胆道閉鎖症と乳児肝炎の鑑別に必要な検査を2つあげなさい。
答:十二指腸ゾンデ、術中胆道造影
【18】Beckwith-Wiedemann症候群の三主徴をすべてあげなさい。
答:臍部異常、巨舌、巨人症
【19】鼠径ヘルニアにおける滑脱ヘルニアについて述べなさい。
答:滑脱ヘルニアはヘルニア内容がヘルニア嚢の一部となっているものをいう。女児に
おける卵管や卵巣がヘルニア嚢に癒着している場合が多い。
【20】以下の記述のうち正しい組み合わせを選べ。
1)新生児胃破裂における特徴的な腹部X線検査所見としてumbrella signがみられる。
2)肥厚性幽門狭窄症は、胆汁性噴水状嘔吐で発症する。
3)肥厚性幽門狭窄症の病態として低Cl性低K性アルカローシスをきたす。
4)胃食道逆流防止機構として、鋭的なHis角と下部食道括約筋部(LES)の作用が働
いている。
5)胃食道逆流現象(GER)を伴う食道裂孔ヘルニアに対する根治手術の1つにNissen
手術がある。
a)123 b)234 c)345 d)145 e)125
答:c
1)× foot ball signとsaddlebag sign。Umbrella signは肥厚性幽門狭窄症
2)× 非胆汁性 3)○ 4)○ 5)○ Nissen噴門形成術が代表的
【21】先天性十二指腸閉鎖症に関する以下の記述のうち正しい組み合わせを選べ。
1)輪状膵を伴うことがある。 2)腹部X線検査ではfoot ball signを認める。
3)先天性腸閉鎖症のうち、最も合併奇形の少ない型である。
4)出生前診断されることが多い。
5)離断型では十二指腸・十二指腸吻合(ダイヤモンド吻合)が行われる。
a)123 b)234 c)345 d)145 e)125
答:d
1)○ 2)× double bubble sign 3)× 約6割に合併奇形。Down症合併は1/3
4)○ 羊水過多、胎児胃・十二指腸拡張がみられる 5)○
【22】小児の嚢胞性肺疾患について、正しい組み合わせを選べ。
1)肺葉性肺気腫の好発部位は上葉である。
2)先天性嚢胞状腺腫様奇形(CCAM)の病理分類として、Stocker分類が用いられてい
る。
3)先天性嚢胞状腺腫様奇形(CCAM)に胎児水腫を合併する場合、予後は良好である。
4)肺葉外肺分画症では、感染を繰り返すことで発見されることが多い。
5)分画肺は正常肺の気管支と交通をもたない。
a)123 b)125 c)145 d)234 e)345
答:b
1)○ 上葉と右中葉に多い 2)○ 3)× 予後不良 4)× 無症状 5)○
【23】小児の気道における外科的疾患の記載について、正しい組み合わせを選べ。
1)気管狭窄症では、狭窄部が全長が1/3以下の場合、スライド式気管形成術が行われる。
2)気管狭窄症では、病変部に気管の膜様部がなく、軟骨で覆われるものがある。
3)気管軟化症では、呼気時に喘鳴が強くなる。
4)気管軟化症は、先天性食道閉鎖症に合併することがある。
5)気管軟化症に対する外科的治療の1つに食道固定術がある。
a)123 b)125 c)145 d)234 e)345
答:d
1)× 1/3以上の場合 2)○ 先天性は全周性に軟骨がとりかこむ 3)○
4)○ 先天性食道閉鎖症の約10%に合併 5)× 大動脈固定術
【24】ヒルシュスプルング病に関して正しい組み合わせを選べ。
1)腸管壁内のAuerbach神経節細胞、Meissner神経節細胞が欠如する機能性腸閉塞で
ある。
2)オンディーヌの呪い(中枢性低換気症候群)にヒルシュスプルング病を合併するこ
とがある。
3)アセチルコリンエステラーゼ染色においては外来神経の増生を認めない。
4)経肛門的プルスルーはDuhamel法に相当する。
5)腹腔鏡手術を併用した非開腹手術の割合が増加している。
a)123 b)125 c)145 d)234 e)345
答:b
1)○ 2)○ 3)× 直腸粘膜生検のアセチルコリンエステラーゼ活性陽性線維が増
加するのが特徴 4)× Soave法に属する 5)○
【25】直腸肛門奇形(鎖肛)に関して正しい組み合わせを選べ。
1)ほぼ前例で出生前診断が可能である。
2)倒立位X線撮影でPC線とは恥骨上縁と坐骨下端を結ぶ線である。
3)女児で尿道・腟・直腸が共通管を形成し、外陰部に1孔となったものを総排泄腔
(Cloaca)という。
4)根治術後の排便機能を左右する筋肉として恥骨直腸筋と外肛門括約筋が重要である。
5)鎖肛根治術のPena法は仙骨会陰式肛門形成術である。
a)123 b)125 c)145 d)234 e)345
答:e
1)× Hirschsprung病とともに出生前診断が困難な病気 2)× 恥骨中央と仙骨下端
3)○ 4)○ 5)○
【26】以下の記述で正しいものを選べ。
1)リンパ管腫の病理組織はcystic lympangiomaを呈するものが多い。
2)側頚瘻は胸鎖乳突筋前縁に沿って発生する。
3)梨状窩瘻は第3,4鰓溝(鰓裂)由来である。
4)巨大な血管腫は播種性血管内凝固症候群を呈しうる。
5)正中頚嚢腫におけるSistrunk手術とは嚢腫のみを切除する方法である。
a)123 b)234 c)345 d)145 e)125
答:b
1)× cysticとcavernousの混在が多い 2)○ 3)○
4)○ Kasabach-Merritt症候群 5)× 舌骨合併切除
【27】漏斗胸に関する記載について誤った記述のものを選べ。
1)女児に多い。
2)最近では美容的および低侵襲の観点から胸骨翻転術が行われる。
3)心電図上、不完全右脚ブロックを呈することが多い。
4)CT indexが手術適応を決めるのに有用である。
5)Nuss法とはpectus barを用いた胸骨挙上術のことである。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:a
1)× 男児に多い 2)× Nuss法 3)○ 4)○
5)○ 金属のバーを用いて胸骨を後面から持ち上げる
「病理学」
【1】新生児肺疾患、肺生理についての以下の記述で誤りは、
1)呼吸窮迫症候群は、主として肺サーファクタント・アポ蛋白の分子異常により発生
する。
2)肺拡張不全と硝子膜形成は、呼吸窮迫症候群の主な病理所見である。
3)肺サーファクタントの主成分は極性リン脂質、とくに飽和レシチンである。
4)気管支肺分画(分離)症は異所性動脈栄養により特徴付けられる。
5)先天性肺リンパ管拡張症は、肺胞隔壁に多発する。
a)12 b)23 c)34 d)45 e)15
答:
【2】新生児脳疾患についての以下の記述で正しいのは、
1)低酸素性脳症の発生は、未熟児に好発する。
2)脳室周囲白質軟化は、動脈皮質枝と中心枝の境界領域の白質に発生しやすい。
3)脳出血の好発部位は、線状体動脈潅流域である。
4)核黄疸は終脳皮質神経細胞に発生しやすい。
5)未熟(児)網膜症では、網膜と硝子体内の血管減少が特徴的である。
a)12 b)23 c)34 d)45 e)123
答:
【3】新生児感染症について以下の記述で正しいのは、
1)新生児単純性ヘルペス(HSV)−1感染は経胎盤性に、HSV−2は経腟性に発生し
やすい。
2)parvo-B19ウイルスの胎児感染症は、胎児水腫の原因の一つである。
3)新生児細菌感染症で最も多いのはグラム陽性球菌感染である。
4)先天性風疹症候群は妊娠初期の風疹感染で招来される。
5)サイトメガロ感染は肺に好発し、特徴的な多核感染細胞として認められる。
a)123 b)124 c)125 d)234 e)345
答:
【4】以下の記述で正しいのは、
1)新生児仮死は一過性であり、予後良好である。
2)ファロー四徴症の予後規定因子は、肺動脈狭窄による肺潅流血液量の多寡である。
3)Rh不適合胎児赤芽球症は、Rh+胎児/Rh-母親間での抗Rh抗原IgM抗体の胎盤移
行により発生する。
4)新生児気管支・肺異形成は、治療的酸素投与の合併症の一つで予後不良である。
5)U型肺胞上皮細胞の発生・分化は、クララ細胞のそれに先行する。
a)12 b)13 c)23 d)24 e)35
答:
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