平成16年度 「精神医学」 卒業試験
<概要> 問題は全50問、1~3が1セット、4~23は2問ずつセット
問題冊子(解答書き込み)を一人一人に配り、持ち帰り阻止の姿勢あり。教授変わっても過去問だけでいけました。28 39 43 44 50欠損。
以下の文を読み、問題1、2、3に答えなさい。 38歳の女性。6ヶ月前から誘引がないにもかかわらず、発作的に呼吸が苦しくなり、動悸がして「このまま死ぬのではないか」という恐怖におそわれるようになった。その都度、救急車で病院に搬送されることが頻繁となった。「また発作が起こるのではないかと不安で、ひとりで外出もできない」と訴えて来院した。診察時の態度は、緊張はしているが概ね自然であり、話の内容もまとまっている。発作中の記憶もよく保たれている。身体所見に異常を認めない。 1.この患者にみられるものはどれか。 1 広場恐怖 2 社会恐怖 3 発狂恐怖 4 死の恐怖 5 広場恐怖 a(1,2) b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
(答)
d 発作が心配で外出できない事から広場恐怖がある。また死の恐怖も見られる。
この症例はパニック障害であると考えられる。
2.この疾患の治療に有効なのはどれか。 1認知行動療法 2ベンゾジアゼピン系抗不安薬 3SSRI 4抗精神病薬 5精神分析療法 a(1,2,3) b(1,2,5) c(1,4,5) d(2,3,4) e(3,4,5) |
(答) a 従来的には三環系抗うつ薬やベンゾジアゼンピン系抗不安薬が用いられていたが、近年はSSRIが主役となっている(前二者と比べて副作用が少ない)。また、認知行動療法で最終的な治療を行う。
3.この疾患について正しいのはどれか。 1 1980年のDSM-3発表以前は不安神経症と呼ばれていた疾患の一亜型である。 2 うつ病を合併することはまれ。 3 薬物療法で一旦治癒すると再発することは少ない。 4 全般性不安障害とともにつよい不安によって特徴づけられる。 5 一般の救急医療では最も遭遇する機会の多い精神障害である。 a(1,2,3) b(1,2,5)
c(1,4,5) d(2,3,4) e(3,4,5) |
(答) c 2
× 慢性化するとうつ病を伴う患者は多い。
3
× 薬物療法はあくまでも症状を抑え込むだけ。薬物で症状を抑えた上で心理療法を行っていく。
以下の文を読み、問題4、5に答えなさい。 25歳の男性。多弁・多動を主訴に家族に伴われて来院した。元来人情味があり親しみやすい性格であったが、3週間前に仕事の失敗で上司に強く注意されたことをきっかけに責任を強く感じるようになった。それ以降「眠くならない。眠らなくても疲れない。」と言って夜遅くまで読書したり部屋の片付けをしたりする。その頃から会社の同僚に仕事中に関係のない話を大声で話しかけたり、上司に注意されると不機嫌になり大声で言い返したり書類を破り捨てたりする。診察時、意識清明で気分は爽快である。会話をすると話は通じるが、時々脱線したり冗談を言ったり語呂合わせを言ったりする。また「自分は病気ではない。入院は断固拒否する。」と言っている。薬の内服はない。(症例は国試96D2と同じ) 4.この疾患で正しいのはどれか。 1 連合弛緩が認められる。 2 病識がないので、保護者の同意を得て医療保護入院とする。 3 誇大妄想が見られることがある。 4 抗うつ薬の服用により発症することは少ない。 5 病前性格は分裂気質である。 a(1,2) b(2,3) c(3,4)
d(4,5) e(1,5) |
(答) b 多弁・多動、易怒、睡眠障害から躁病を疑う。
1 × 『会話をすると~語呂合わせを言ったりする』は観念奔逸。 2 ○
精神保健医の診断も必要。
3 ○ 気分障害の躁状態では観念奔逸・誇大妄想がみられる。
5 × 『元来人情味があり親しみやすい性格』は循環気質。
5.この疾患の治療に適切な薬物はどれか。 a シアナマイド b イミプラミン c バルプロ酸 d リチウム e カルバマゼピン |
(答) d(e)
a アルコール中毒治療薬, b 抗うつ薬, c 抗てんかん薬
まずは抗精神病薬(ハロペリドール・クロールプロマジン)による興奮の鎮静を図り、次に炭酸リチウムによる病態の治療を行う。リチウム抵抗例に対してカルバマゼピンを使う。
以下の文を読み、問題6、7について答えよ。27歳男性、物事を何度も確認しないと安心できないと訴えて来院した。高校時代から字や計算の間違いの有無を何度も調べないと気がすまなかった。次第に対象が拡大し、鍵やガスの元栓を何度も確認する。何事にも時間がかかって疲れるようになり、会社にも遅刻するようになったので来院した。治療を強く希望している。 6.正しいものを選べ。 1 自分の行動を非合理的と感じている。 2 不潔恐怖症と同じ恐怖性障害に属する。 3 確認行動をとめようとするよりも続けるほうがよい。 4 うつ病の合併はまれである 5 完全主義の性格であることが多い。 a(1,2) b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
(答) e 確認強迫の症例。強迫性障害は意識内容を不合理と感じながらもそれから逃れられないものをいう。従って1 ○,2 ×,でeが導ける。
7.適切な治療でないものはどれか。 a 認知療法 b 行動療法 c 森田療法 d 抗うつ薬投与 e 電撃けいれん療法 |
(答) e 強迫性障害の治療はa~dが組み合わされて進められる。
以下の文を読み、問題8、9について答えよ。56歳男性。頑固な不眠と日中の眠気を主訴に妻に伴われて来院した。2年前から熟眠感が失われ日中に疲労を感じよく居眠りするようになった。職場でも仕事の能率低下に気づかれている。妻によると2年前から睡眠中のいびきがひどく、時々呼吸が止まった状態になるという。身長160cm、体重90kg、咽頭に異常を認めない。抑うつ気分、不安はない。 8.この疾患の診断に最も有用な検査は何か。 a頭部CT b覚醒脳波検査 c内田−クレッペリンテスト dポリソムノグラフィー e甲状腺機能検査 |
(答) d 昼間の強い眠気・居眠り、激しいいびきと呼吸停止から睡眠時無呼吸症候群を疑う。本格的診断として終夜睡眠ポリグラフ(ポリグラフィー)が施行される。酸素飽和度の終夜測定も重症度の判定に有用。
9.行うべき治療法はどれか。 a イミプラミン投与 b ベンゾジアゼピン系薬投与 c メチルフェニデート投与 d 経鼻的持続陽圧呼吸 e 軟口蓋の外科手術 |
(答) d nasal
CPAPが効果的治療として用いられる。外科的治療による上気道拡大、肥満を伴う患者であれば体重減少なども有効。
次の文を読み、問題10,11について答えなさい。8歳の男児。コミュニケーションがうまくとれないことを訴え、母親がつれて来院した。乳幼児期に運動発達は正常だが、おうむ返し(反響言語)が多く、友達がつくれず孤立している。特定の対象のみ、がんこに興味を持ち、いつも同じ遊びを繰り返している。環境が少しでも変化すると、不安がって大騒ぎする。児童福祉施設での知能検査はIQ59。 10 .この患者で認められるのはどれか。 1 人格障害 2 行為障害 3 広汎性発達障害 4 知的障害 5 多動性障害 a(1,2) b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
(答) c 対人関係の質的障害、コミュニケーションの質的障害、活動・興味の限局性、軽度の知能障害がみられる。
11.この疾患について正しいものを選べ。 1アスペルガー症候群に移行する。 2早期より特別な療法を開始する必要がある。 3軽度な知能障害がある。 4高度な知能障害がある。 5治療にはメチルフェニデートを投与する。 a(1,2) b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
(答) b 1
× アスペルガー症候群は言語発達に遅れのない広範性発達障害。
4 × 高(重)度知能障害はIQ25以下。 5 × 抗うつ薬で多動児に対して有効性があるという報告はある。
以下の文を読み、問題12,13について答えなさい。57歳の男性。3ヶ月前から食欲低下と不眠が出現した。同時に趣味であった囲碁を楽しめなくなり、仕事の能率も低下してきた。会社を欠勤するようになり、悲観的なことを言うようになったので家族に伴われ来院した。意識は清明。会話は遅く声も小さい。皆に迷惑をかけ申し訳ない、死んだ方がましだ、と訴える(93F-36)。 12.この症例について正しい組み合わせはどれか。 1 病前性格は執着気質である。 2 思考途絶がある。 3 病識は保たれる。 4 早期覚醒がみられる。 5 体重減少がみられる。 a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4)
e.(3,4,5) |
2003年40.と同じ症例。選択肢は違いました。
(答) c うつ病と考えられる。うつ病の病前性格は循環気質。うつ病のキーワードは悲観的、希死念慮、思考抑制、自責、不眠(早朝覚醒)、体重減少。
13.この疾患の治療について正しいのはどれか 1 誰にも迷惑をかけていないので、できる限り仕事を休まないように助言する。 2 希死念慮について問うとかえって刺激するので、直接は触れないほうがよい。 3 三環系抗うつ薬では吐気や食欲低下などの副作用が生じやすい。 4 選択的セロトニン再取り込み阻害薬は抗コリン系副作用が少ない。 5 幻覚や妄想を伴う症例では抗精神病薬を併用する。 a.(1,2) b.(2,3) c.(3,4) d.(4,5) e.(1,5) |
(答) d 1
× うつ病治療の基本は休養である。
3 × 抗コリン作用は尿閉、便秘、口渇、かすみ目、発汗、鼻閉など。
4 ○ 各種受容体に対する親和性がないので。
以下の文を読み問題14,15について答えなさい。 22歳の男性。不眠を訴えて来院した。就職したころから夜寝付けず、明け方にやっと寝つき昼過ぎに起きるようになった。そのため遅刻や欠勤が続いている。母親に協力してもらい、朝起こしてもらうが眠気が強く、仕事に集中できない。職場では意志が弱いとよく注意される。性格は真面目で努力家である。 14.この疾患の診断は何か。 aうつ病 b睡眠覚醒リズム障害 cナルコレプシー d閉塞性睡眠時無呼吸症候群 e精神生理性不眠症 |
(答) b
15.適切な対応はどれか。 1上司に厳しく注意してもらう 2 抗うつ薬 3 ハロペリドール 4 睡眠導入薬 5 高照度光療法 a.(1,2) b.(2,3) c.(3,4) d.(4,5) e.(1,5) |
(答) d 解説 国試96-A-5と同一
睡眠覚醒リズム障害であるので治療法としては睡眠相を変化させることが必要。
以下の文章を読み、問題16,17について答えよ。 19歳の男性。大学入学時から両親のもとを離れ叔父宅に下宿していた。3ヶ月前から「皆が自分の悪口を言っている」「自分の考えが筒抜けになっている」などと訴え大学を休んでいた。最近2週間は夜になると徘徊し、時々興奮して部屋の物を壊すため叔父が強引に精神科医を受診させた。精神保健指定医は入院治療が必要と判断したが、患者は黙っている。 94E−1 16.次にとるべき行動は何か。 a 両親とともに来院するよう伝える b 叔父の同意を得て医療保護入院するよう努める c 患者の同意を得て任意入院するよう努める d 警察に通報して保護を願い出る e 他害のおそれが強いので措置入院の手続きをする |
(答) c 本人が同意するのであればそれが最も望ましいので。
17. この患者で予想される症状はどれか。 1 妄想知覚 2 強迫観念 3 貧困妄想 4 思考伝播 5 対話性幻聴 a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4) e.(3,4,5) |
(答) c 症状、年齢から精神分裂病を疑う。幻覚妄想、幻聴、考想の吹入・奪取・干渉・伝播などが症状として現れる。
以下の文を読み、問題18、19について答えよ。35歳の女性。昼間の眠気を訴え来院した。4年前に次女を出産してから夜間の不眠と昼間の眠気とを自覚するようになった。1年前から症状が増悪し、会話中でも眠ってしまうことがたびたび出現するようになった。また、驚いた時などに突然倒れ込んでしまうこともあった。夜は悪夢が多く、「寝入りばなに黒い猫が出てきたりして、怖くて眠れない」と訴える。 18.この患者で見られるのはどれか。 1精神運動発作 2睡眠中の著明な血圧変動 3睡眠麻痺 4情動脱力発作 5入眠時幻覚 a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4)
e.(3,4,5) |
(答) e
「夜間の睡眠不良と昼間の眠気(睡眠発作による?)」、「会話中に突然眠り込んでしまう。(睡眠発作)」、「驚いたときに意識を失う。(脱力発作?)」、「夜間入眠時に黒い猫が現れて怖くて眠れない。(入眠時幻覚)」といった症状からナルコレプシーを疑う。ナルコレプシーの4徴候は(1)睡眠発作、(2)脱力発作、(3)入眠時幻覚、(4)睡眠麻痺の4つ。
1)× てんかん発作のひとつで通常痙攣は伴わず、意識障害とあたかも合目的に見えるような行動をとる発作で通常、発作時のことは想起できない。
3)○ いわゆる金縛りのことで全身の骨格筋が麻痺して動けなくなる。ナルコレプシーの4徴候の1つ。
4)○ 笑いや驚きなど情動刺激によって誘発される脱力発作。ナルコレプシーの4徴候の1つ。
5)○ ナルコレプシーでは、脳波上、入眠期から突然REM睡眠期の脳波に移行することが観察される。
19.この疾患の治療薬として正しいものを選べ。 1抗てんかん薬 2精神刺激薬 3三環系抗うつ薬 4持続気道陽圧法 5高照度光照射 a.(1,2) b.(2,3) c.(3,4) d.(4,5) e.(1,5) |
(答) b 精神刺激薬(メチルフェニデート)と三環系抗うつ薬(イミプラミン)の併用が基本。前者で覚醒機能をupさせ、後者でREM睡眠を抑制する。
以下の文章を読み、問題20、21について答えなさい。32歳男性。痙攣発作で来院した。23歳時に幻覚・妄想および興奮で精神科に6ヶ月入院し、以後抗精神病薬を飲みつづけていた。2ヶ月前より大量の水分を摂取している。診察時、痙攣はない。血清生化学所見Na125mEq/l、K90mEq/l、Cl
90mEq/l、血清浸透圧250mOsm/l(基準275~288)、尿浸透圧100mOsm/l(基準50~1300) 20.この疾患について正しいものを3つ選べ。 1 水中毒である。 2 抗精神病薬の副作用によると考えられる。 3 強迫性の症状がある。 4 不詳 5 抗利尿ホルモンの分泌異常がある。 |
(答) 1,
2, 5 抗精神病薬の長期投与によって視床下部の口渇中枢およびADH分泌細胞のドーパミン受容体感受性が亢進し、口渇とADH促進が見られるとする仮説がある。抗精神病薬の抗コリン作用に起因する口渇も関与しているとみられる。その他、低Na血症による精神症状(譫妄・痙攣)も出現する。
21.もっとも大切な処置は何か。 a水分制限 bブドウ糖輸液 c高張圧食塩水輸液 dジアゼパム静注 eフェニトイン静注 |
(答) a 薬物療法は確立されていない。
以下の文を読み、問題22、23について答えよ。2002年、日本精神神経学会は、精神分裂病という呼称を統合失調症に改めることとした。そもそも、精神分裂病という呼称は、( )が提唱したschizophreniaという単語を1930年代に直訳したものであるが、【この疾患の理解が当時と現在とでは大きく異なっていることが、名称が変更された理由の一つである。】また、精神分裂病という呼称が、患者が人格障害者であるかのような、誤ったイメージを与えるため、精神障害者に対する偏見の背景になりうるということで、この呼称に対して患者家族団体が反対してきたのであった。実際、統合失調症という呼称は患者家族団体の理解を得られたものである。 22.( )内に入る人名を選べ。 A.フロイト B.ユング C.クレペリン D.ブロイラー E.シュナイダー 23.上の文の【 】内を正しく説明するものはどれか 1 統合失調症は慢性の経過をたどる変性疾患で、大部分の患者の予後は不良である。 2 人格変化を来す 3 入院治療が主体である 4 高度な認知機能が障害される 5 1970年代以降、欧米の先進国では精神科病床数は減少している a(1,2)
b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
答22.D. Kraepelinが早発痴呆と呼び、Bleulerが1911年に精神分裂病と名づけた。
23.d 1 × 10年経過時に改善しないのは4分の1の症例のみ。ただし、自殺は多い。
2 ×
3 × 薬物療法を用いて外来で治療することが多い。 4 ○ 5 ○
24 精神保健福祉法で本人の同意が必要なものを一つ選べ A医療保護入院 B措置入院 C自由入院 D同意入院 E任意入院 |
答 E. A × 「保護」者の同意が必要。B × 患者が精神障害を持ち、自傷多害の恐れがあるときに、2名以上の精神保健指定医の診察が必要。C.×D.×CとDは精神保健福祉法の規定する入院形式ではない。E.入院後は、精神病院管理者に72時間以内の退院制限を行う権限が与えられる。
25.入院治療が必要と判断される精神障害の患者が精神病院への入院を拒否している場合の正しい対応はどれか? 1)医師な裁量により入院させる。 2)家族の判断により入院させる。 3)精神保健指定医が診断する。 4)保健福祉センターに通報する。
5)警察に通報する。 |
答 いくつ選べば良いか不明。状況から医療保護入院が必要だと考えられる。1)× 精神保健指定医の診断は必要だが裁量だけで入院とはならない。2)×「保護者」の同意が必要。家族の判断で入院とはならない。 3)○ 医療保護入院は精神障害者が任意入院を行わないとき、精神保健指定医が要入院と診断し保護者の同意が得られてはじめて行われる。 4)× 5)×
26.誤ったものを選べ。 a)妄想知覚は一次妄想である。 b)統合失調症でみられる幻覚は幻視が多い。 c)うつ病の妄想は二次妄想である。 d)錯覚と幻覚をあわせて妄覚という。 e)機能性幻覚では現実の知覚に平行して幻覚がおこる。 |
答 b いくつ選べば良いか不明。a)○ 発生機序を心理学的背景から了解できない妄想を一次妄想という。主に統合失調症でみられ、妄想気分、妄想知覚、妄想着想に分類される。b)× 幻聴が多い。c)○ うつ病では特に微小妄想(自分を過小評価する)が見られる。 d)○ e)○
27.次の心理テストの中で投影法はどれか? a)
簡易精神症状評価尺度 b) Rorschachテスト
c) 文章完成テスト d) Minnesota多面人格検査 e) Zungsうつ病事故評価尺度 1) a,b
2) b,c 3) c,d 4) d,a |
答 2 国家試験的には「とうとうローソン分解」と覚えるらしい。
とうとう→投影法, ロー→Rorschachテスト,
ソン→Szondiテスト,
分→文章完成テスト. 解→絵画テスト
29.自殺について正しいのはどれか (1)現在、我が国の自殺による死亡者数は年間1万人前後である (2)現在、過労による自殺も労働災害として認定されるようになった (3)最近の自殺者は50歳代が最も多い (4)一旦未遂に終わった者が再び自殺を試みることは少ない (5)自殺と関連するうつ病は男性に多い疾患である a(1,2)
b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
答 b(1)× わが国の自殺死亡は、1998年に急増して年間死亡数31,755人と死亡統計始まって以来の高値を示し、以降の年次においても3万人を超える自殺死亡発生が継続している。(2)○ 労災保険では、故意による災害には保険給付されない。一般的に自殺は故意による死亡だが、うつ病等気分〔感情〕障害、重度ストレス障害等ストレス関連障害などの精神障害では、その病態として自殺念慮が出現する蓋然性が高いと医学的に認められることから、業務による心理的負荷によってこれらの精神障害が発病したと認められた人が自殺を図った場合には、「精神障害によって、正常な認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は自殺を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態」に陥ったものと推定し、原則として業務起因性が認められる。 (5)× 双極性うつ病の男女比1:1、非双極性うつ病1:2.
30.次の組合せのうち正しいのはどれか A.躁病−自生観念 B.強迫制障害−観念奔逸 C.うつ病−思考途絶 D.統合失調症−思考抑制
E.ピック病−保続 |
答 E.A × 自生観念―統合失調症の初期 B.× 観念奔逸―躁病 C.× 思考途絶―統合失調症 D.× 思考制止のこと?―うつ病 E.○ 保続―脳の器質的障害(DSM-Ⅳではせん妄、痴呆など)で見られる。
31.PTSDで見られるものを次の中から選べ。 1)悪夢を反復して見る
2)イライラして過敏になる
3)同じような状況を避けようとする 4)パニック発作を起こす 5)人前で話すことを極度に恐れる a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4)
e.(3,4,5) |
答 a 1)○ その事件の苦痛的な夢を反復して見る。2)○ 易刺激性が生じる。 3)○ 4)△ 症状としてはパニック発作を起こすこともあるが、DSM-4の診断基準には含まれていない。 5)× 社会恐怖の症状である。
32.疾患と症候の組み合わせで正しいものの組み合わせを選べ。 1.強迫神経症------儀式行為 2.パニック障害----広場恐怖 3.Ganser症候群----空想虚言 4.適応障害--------早朝覚醒 5.解離性障害------遁走 a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4) e.(3,4,5) |
答 b 1.○ 2.○ 3.× 的はずれ応答と小児症をきたす。虚言ではない。4.× 早朝覚醒は躁病やうつ病で見られる。5.○
33.慢性精神分裂病患者の社会復帰に関する施設として適切なのはどれか 1) 成年後見人制度 2)
援護寮 3)
福祉ホーム 4)
授産施設 5)
ホームヘルプ a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4)
e.(3,4,5) |
答 d. 2) ○ 生活訓練施設。3)○ 生活の場を提供する。4) ○ 就労訓練施設、作業所
34.間違っているものを一つ選びなさい。 a)覚醒は脳幹網様体と関係が深い。 b)意識障害では睡眠ー覚醒レベルの障害がみられる。 c)情動は大脳辺縁系や前頭葉と関係が深い。 d)記憶は、記銘と保持という過程で構成される。 e)前頭葉はしばしばオーケストラの指揮者にたとえられる。 |
答 d a)○ b)○ c)情動は大脳辺縁系や前頭葉と関係が深い。d)× 記憶は記銘→保持→追想(再生)の3段階。e)?
35正しい組み合わせを選べ 1)各睡眠相は通常60分周期である 2)REM睡眠の脳では、θ(シータ)波が主体である 3)REM睡眠時に夢を見ることが多い 4)老人の不眠は中途覚醒が特徴的である 5)早朝に日光を浴びると不眠の原因になる a(1,2)
b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
答 c.
1)×約90分周期 2)×
REM睡眠:低振幅の不規則な速波
Non-REM睡眠第1期:α(alpha)波消失・低振幅徐波(主にθ(theta)波)
Non-REM睡眠第2期:紡錘波出現
Non-REM睡眠第3期:高振幅のδ(delta)波が20~50%出現
Non-REM睡眠第4期:高振幅のδ(delta)波が75%以上出現 3)○ 4)○老年期は深いNon-REM睡眠期が減少し、浅眠感と中途覚醒が起きやすい 5)×睡眠相後退症候群に高照度光療法を使うくらいだから、間違いだろう 関連する国試問題 94A-42 95A-38
36 正しいものはどれか。 a)タバコは抑制系の精神作用物質である。 b)アルコールは身体依存性はない。 c)わが国では女性のアルコール依存者数は減少している。 d)血中アルコール濃度が200mg/dl以上では意識障害を生じる。 e)少量のアルコールでは病的酩酊は認めない。 |
答 d a)タバコはニコチン受容体を刺激し、興奮性の精神作用もある。b)× c)増加傾向にある。d)○ e)病的酩酊は比較的少量のアルコール(80-100mg)で生じる。
37.薬物依存について誤っているものを選べ。 a)法律上麻薬にはコカイン、LSDは含まれない b)シンナー中毒は幻覚剤依存の一種である c)向精神薬依存は抗不安薬によることが多い d)市販の鎮咳薬や解熱鎮痛剤でも依存が生じる e)覚醒剤依存では次第に使用量が増える |
答 a. a) ×コカイン、LSDは麻薬取締法の対象である。 b)○ c)○ ベンゾジアゼピン誘導体による常用量依存が問題となる。精神依存はなく、身体依存である。d)○ 鎮咳薬にコデインがあり、アヘン類の一つである。 e)○ 興奮性であり、身体依存ではなく精神依存を形成する。また、耐性が形成される。 精神科39は2003年18番と同じです
38.次の組み合わせで正しいものを選べ。 A.Wernicke脳症 ー ビタミンB1 B.アルコール幻覚症 ー せん妄 C.コルサコフ症候群 ー 嫉妬せん妄
D.ペラグラ ー 葉酸 E.嫌酒薬 ー カルバマゼピン |
答 A A.○ B.アルコール幻覚症では幻聴が中心で、意識清明で見当識障害も無い。C.振戦せん妄、Wernicke脳症から移行する。コルサコフ症候群は健忘、記名障害、失見当識、作話、自己の病態に関する洞察欠如を呈する。D.ペラグラはニコチン酸(ナイアシン)欠乏症 E.抗酒薬療法に嫌酒薬(アルデヒド脱水素酵素阻害薬cyanamide)を使う。
40.神経性食欲不振症について正しいものを選びなさい。 (1)期待される体重の85%以下の体重が続く。 (2)うつ病を合併している。 (3)体重が増えないことを苦にしている。 (4)通常、無月経である。 (5)やせすぎていることを否定する。 a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4)
e.(3,4,5) |
答 c(2)× 行動はむしろ活発。(3)× むしろ体重が増えることを恐れている。
41番 神経性大食症で正しいものの組み合わせを選べ a.過活動 b.妄想 c.脱毛 d.嘔吐 e.強迫症状 a(1,2) b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
答 d a.△ 神経性大食症の診断基準B.体重の増加をふせぐために不適切な代償行動(自己誘発性嘔吐。下剤、利尿剤、浣腸、その他の薬剤の誤った使用。絶食。過剰な運動)を繰り返す。b.× c.× d.○ e.○ 神経性大食症で出現する精神症状として、やせ願望、強迫、ヒステリー性格、抑うつ、孤立などがある。
42.正しい組み合わせのものを一つ選べ。 (1)躁病ー自生観念 (2)強迫性障害ー観念奔逸 (3)うつ病ー思考途絶 (4)統合失調症ー思考抑制 (5)Pick病ー保続 |
答 (5) (1)× 自生観念―統合失調症の初期(2)× 観念奔逸―躁病(3)× 思考途絶―統合失調症(4)× 思考制止のこと?―うつ病(5)○ 保続―脳の器質的障害(DSM-IVではせん妄、痴呆など)で見られる。
45.次の組み合わせのうち正しいものはどれか? (1)三環系抗うつ薬・・・モノアミン取り込み阻害 (2)抗精神病薬・・・ドーパミンD2受容体遮断 (3)抗不安薬・・・ベンゾジアゼピン受容体結合 (4)気分安定化薬・・・ドーパミン前駆体物質 (5)抗てんかん薬・・・グルタミン酸受容体刺激 a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4)
e.(3,4,5) |
答 a.
(1)三環系抗うつ薬は主にシナプス前部のセロトニン、ノルアドレナリンの再吸収を阻害する。(2)○ (3)○(4)気分安定化薬は炭酸リチウムやカルバマゼピン。(5)× 抗てんかん薬:バルプロ酸=GABAの作用増強+Na+チャネル遮断。全般発作の第一選択薬。部分発作でも使う。ただし催奇形性(約10%)あり。カルバマゼピン=Na+チャネル遮断。部分発作の第一選択薬。欠神発作には無効。フェニトイン=Na+チャネル遮断。血中濃度が不安定で、中毒を起こし易い。エトスクシミド=Ca2+チャネルに関与。欠神発作のみ有効。ベンゾジアゼピン誘導体=GABAの感受性増強。フェノバルビタール=Cl-チャネル開口時間延長。
46. 依存性がないのはどれか (1)抗不安薬 (2)抗うつ薬 (3)抗精神病薬 (4)ベンゾジアゼピン系睡眠薬 (5)バルビツール系睡眠薬 a(1,2)
b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
答 b(1)抗不安薬にはベンゾジアゼピン誘導体や抗不安作用に特化したアザピロン誘導体がある。(4)6ヶ月以上服薬すると常用量依存で、服薬中止後に反跳性不眠と不安を生じる。(5)身体依存を形成し、痙攣発作、せん妄などの離脱症状を引き起こす。
47.抗精神病薬により生じやすい副作用はどれか。 1.ジストニア 2.アカシジア 3.ジスキネジア 4.低プロラクチン血症 5.体重減少 a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4)
e.(3,4,5) |
答 a. 1.○ 2.○ 3.○ 4.× 高プロラクチン血症。 5.× 食欲増進、体重増加。
48.ベンゾジアゼピン系薬の臨床的薬理作用でないものはどれか.一つ選べ. a) 抗不安作用 b) 抗幻覚妄想作用 c) 抗けいれん作用 d) 催眠作用 e) 筋弛緩作用 |
答 b (2003年度卒試の27と同じ問題です.)
49. 心臓の冠動脈バイパス術後の58歳男性。術後2日目より集中治療室にて理由もなくおびえ、落ち着かず、騒ぎ始めた。適切な対応はどれか? 1)頭部MRIを行い、脳塞栓の部位を調べる。 2)家族に痴呆症を発症した可能性が高いと告げる。 3)ベンゾジアゼピン系抗不安薬を投与して、不安緊張の軽減に努める。 4)夜間の睡眠の確保に努める。 5)抗精神病薬を投与して鎮静をはかる。 a(1,2) b(2,3) c(3,4) d(4,5) e(1,5) |
答 d. 1)×2)×3)△ ICUせん妄なので、ハロペリドール(ブチルフェノン系の抗精神病薬)投与。また、睡眠障害を改善させることも必要。急を要する時はジアゼパム静注も行われるが、連続投与すればせん妄が悪化することもある。 4,5)○
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