平成15年度 「侵襲医学」 卒業試験

 

問1 解答用紙の図内に適当な語句を入れることにより、周術期防御医学の基本骨格を示せ。

(答)配布カラープリント 「手術医療を支える周術期防御医学の構成因子」 参照。

 

問2 以下の2問から1問を選択して解答せよ。

(1) モルヒネが効かない癌性疼痛の治療法について述べよ。

(答)

神経ブロック ・腹腔神経叢アルコールブロック

・持続硬膜外ブロック 0.5%ブピバカイン0.51.0ml/hr

           ・くも膜下腔フェノールブロック 半永久的除痛効果

薬物・抗痙攣薬(カルバマゼピンなど):発作性の刺す痛みや電撃痛に対し 副作用:眠気

   ・ステロイド(ベタメタゾンなど):骨転移・神経圧迫の痛み、食欲不振・悪心・嘔吐改善

副作用:不眠 

   ・抗うつ薬(アミノトリプチン、イミプラミンなど):神経因性疼痛に対し 副作用:口渇

   ・抗不整脈薬(リドカインなど):神経因性疼痛に対し

   ・ケタミン:NMDA受容体のアンタゴニスト。呼吸抑制弱い。  副作用:悪夢

電気刺激  ・レーザー

 全人的な痛みの理解 心理・家族療法

 

(2) Preemptive Analgesia(先行鎮痛)について述べよ。

(答) 痛みが記憶されることが判明して以来、術後痛など必ず生じる痛みに対しては痛みが生じてからではなく、痛み刺激が中枢神経系に入力される前から鎮痛する方法が試みられるようになった。局所麻酔薬による伝達麻酔や硬膜外麻酔を十分に効かせることで、術中の侵害刺激を脊髄に到達させないようにする。

 

問3 以下の小問に対し、A~Eから適当なものを選んで解答欄に記せ。

1】 1気圧、20の条件で、1gの酸素が占める容積として正しいのはどれか。

  (A)751 ml   (B)7.51 L  (C)75.1 L  (D)751 L  (E)7,510 L

(答)A

気体の状態方程式 PV=nRTにP=1atm, n=1/32.0 mol, R = 0.082 atmL / molK, T=293Kを代入        V0.7508 L

または標準状態(1atm, 0(273K))での気体1molの体積は22.4Lだから、標準状態では1g の酸素すなわち物質量1/32.0 molの酸素の体積は22.4×1/32.0=0.700Lとなる。20(293K)に換算するには、293/273(=1.073)倍すればよい。

 

2】鼻カニューラによって酸素2L/minを投与する際の吸入気酸素濃度として適当なのはどれか。

  (A)22% (B)25% (C)28% (D)32% (E)36%

(答)C

大気内の酸素濃度は21%。吸入気酸素流量が1L/min増すごとに吸入気酸素濃度は4%ずつ上昇。

 

3】海抜零の地点で、健常成人に50%酸素を投与した。平衡に達した際の動脈血酸素分圧として正しいのはどれか。

 (A)288 mmHg (B)300 mmHg  (C)357 mmHg  (D)370 mmHg  (E)380 mmHg

(答)B  2004年度卒試問3-3】参照

 

4】ヘモグロビンと酸素の結合を促進する因子として正しいのはどれか。

()二酸化炭素 ()水素イオン ()2,3-ジホスホグリセリン酸 ()低体温 ()亜酸化窒素

(答)D

CO2pH↓酸素解離曲線が右にシフトヘモグロビンと酸素の結合↓(Bohr effect)

2,3-DPG、体温上昇でも酸素解離曲線が右にシフトする。

 

5】混合静脈血酸素飽和度が上昇する原因として不適切なのはどれか。

(A)動静脈ろう (B)シアン中毒 (C)右-左心内シャント (D)敗血症 (E)肝硬変

(答)C

A.○ B.○:組織での酸素利用障害  E.○:動静脈ろう、肝硬変では動静脈血混合が起きる。  

D.○敗血症性ショックなどのような状態では組織は潅流している血液から酸素をうまく取り出せない状態があるようで、そのため高い酸素飽和度のままで静脈血が心臓へ戻ってくる事態が生じるが、これは細胞段階で十分な酸素化がなされた結果ではなく、必要な酸素を細胞が移動させることができないからである。

 

6】二酸化炭素の運搬に関与するものとして誤っているのはどれか。

() 水 () 重炭酸イオン () 炭酸脱水酵素 () ヘモグロビン () カルボキシヘモグロビン

(答)E

 カルボキシヘモグロビンは一酸化炭素がヘモグロビンと結合したものである。

 

7】肺活量に含まれる肺気量分画として正しい組合わせはどれか。

(1)1回換気量  (2)機能的残気量  (3)クロージングボリューム

(4)予備吸気量  (5)予備呼気量

        (1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)C

その他に 全肺気量=肺活量+残気量  機能的残気量=予備呼気量+残気量

 

8】麻酔中に死腔換気が増加する原因として正しい組合わせはどれか。

(1)無気肺  (2)浅い頻呼吸  (3)肺塞栓  (4)低血圧麻酔  (5)心拍出量増加

 A(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5) 

(答)D 2005年度卒試 問3-12 参照。

 (5)×:逆に循環障害では機能的死腔が増加する。

 

9】細胞外の主要陰イオンとして正しいのはどれか。

 (A)Na+    (B)K+   (C)Cl-   (D)HCO3-    (E)Mg++

(答)C

細胞外液 陽イオンはNa+、陰イオンはCl-   が多い。 

 細胞内液 陽イオンはK+ が多い。 

 

10】インスリン依存性糖尿病を合併する55歳、女性。閉塞性動脈硬化症も合併しており、間歇性跛行がある。閉経後の性器出血に対して、経膣的子宮摘出術が予定された。本症例のASA-PS(American Society of Anesthesiologists-Physical Status)として正しいのはどれか。

 (A)I  (B)II  (C)III  (D)IIIE (E)IV

(答)C  2005年度卒試 問3-4 参照。

 

11】Pulseless electrical activityPEA)の原因として誤っているのはどれか。

(A)血管内容量不足 (B)心タンポナーデ (C)緊張性気胸 (D)肺塞栓 (E)心停止

(答)E

PEA:心電図上何らかの波形が認められるが脈が全く触知できない

asystole(心停止):心電図上は一直線のフラットな状態

 

12】心房性ナトリウム利尿ペプチドについて正しいのはどれか。

  (A)腎臓で産生される  (B)血管内容量を増加させる (C)血圧を上昇させる

  (D)ポリペプチドである (E)ナトリウム蓄積作用を有する

(答)D

A.×:心房で産生される B.×:血管内容量を減少させる C.×:血圧を低下させる

 E.×:ナトリウム利尿作用を有する

 

13】脳血流の正常値として正しいのはどれか。

  (A)1ml/100g/min (B)10ml/100g/min  (C)25ml/100g/min 

(D)50ml/100g/min  (E)100ml/100g/min

(答)D

 

14】開頭後、硬膜切開が加えられた時点における頭蓋内圧の変化として正しいのはどれか。

  (A)上昇する  (B)零になる  (C)脳血流量に比例して変化する 

  (D)頭部挙上の体位にした場合にのみ降下する  (E)不変

(答)C

D.×:平均血圧50-150mmHgでは自動調節能のために脳血流量は不変である。

 

15】術後低酸素血症の原因として不適切なのはどれか。

  (A)機能的残気量増加 (B)シバリング(悪寒戦慄) (C)心拍出量低下

  (D)肺内シャント   (E)肺気量低下

(答)A

 A.×:機能的残気量=予備呼気量+残気量  C.○:うっ血性低酸素症になる。

 

16】成人における術中低体温の影響について正しい組合わせはどれか。

(1) 非シバリング熱産生の増加    (2)術後心筋梗塞の発生率低下

(3)  酸素消費量の増加 (4)覚醒遅延  (5)末梢血管抵抗増加

(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)E

 E:脳以外は酸素消費量が増加する。

 

17】内因性カテコラミンとして正しい組合わせはどれか。

(1)エピネフリン(2)ノルエピネフリン(3)ドパミン(4)ドブタミン(5)フェニレフリン

    A(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)A

 

18】一酸化窒素の産生を伴わない血管拡張薬はどれか。

  (A)ニトロプルシッド  (B)ニトログリセリン  (C)ニフェジピン

  (D)亜硝酸アミル    (E)硝酸イソソルビド

(答)C  2004年度卒試 問3-5 参照。

 

19】β1アゴニストの作用として適当な組合わせはどれか。

(1)心拍数増加 (2)伝導速度増加 (3)心収縮力増加 (4)冠動脈収縮 (5)気管支拡張

 (1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)A   4,5.×β2作用は冠動脈拡張、気管支拡張

 

20】バソプレッシンについて正しい組合わせはどれか。

(1)子宮血流を増加させる。 (2)集合管の水透過性を高める。 (3)下垂体後葉から分泌される。

(4)心停止の蘇生薬剤として用いられる。  (5)血漿浸透圧の低下で分泌が増加する。

 A(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)D

5.×:バソプレッシンは血漿浸透圧の上昇で分泌が亢進する。

 バゾプレシンは心停止に用いると生存率が高くなるらしい。子宮血流は局所的に減少させる。

 

21】2日前に硬膜外麻酔下に、大腿-膝窩動脈バイパス術を行った患者が強い背部痛を訴えた。鑑別診断として正しい組合わせはどれか。

 (1)前脊髄動脈血栓症  (2)硬膜外血腫  (3)癒着性くも膜炎  (4)硬膜外膿瘍

(1)(2)(3)のみ   B(1)(3)のみ   C(2)(4)のみ   D(4)のみ   E(1)(2)(3)(4)全て

(答)E  鑑別診断としてはどれも考えられるが、2日で膿瘍をつくるかは疑問です。

  2.○:ヘパリンなどによる抗凝固療法を行うと硬膜外カテーテル抜去後に硬膜外血腫をつくることがある。  

 

22】臍のレベルの皮膚分節として正しいのはどれか。

  (A)T2  (B)T4  (C)T6  (D)T8  (E)T10

(答)E

 

23】妊娠中毒症の死因として最も多いのはどれか。

(A)局所麻酔薬中毒 (B)腎不全 (C)肝破裂

(D)挿管困難にともなう呼吸停止 (E)脳出血

(答)E  2004年度卒試 問3-25 参照。

 

24】心疾患合併の分娩で注意すべき事項として正しいものの組合わせはどれか。

(1) 血圧低下には輸血負荷で対処する。

(2) 大動脈弁狭窄症例の帝王切開術には硬膜外麻酔は適当である。

(3) 大動脈弁閉鎖不全症例の分娩には硬膜外麻酔は適当である。

(4) 僧房弁狭窄症例では分娩にともなう心拍出量増加を最小限に抑える。

(5) 分娩後の循環血液量増加は心不全の原因となる。

  A(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5) 

(答)E  2005年度卒試 問3-22 参照。

 

25】新生児(ヘモグロビン値正常)の血液量として正しいのはどれか。

  (A)30ml/kg    (B)40ml/kg     (C)50ml/kg     (D)60ml/kg     (E)80ml/kg

(答)E

 

 

問4 以下の小問に対し、A~Eから適当なものを選んで解答欄に記せ。

1】67歳、男性。1日60本、30年の喫煙歴がある。全身麻酔下での膀胱全摘術が予定された。主治医による喫煙指導が不十分で、術前1日だけの禁煙となった。短期間の喫煙によって改善が認められる項目として正しいのはどれか。

(A)絨毛運動の改善       (B)喀痰の減少    (C)気道抵抗の低下 

(D)手術部位感染発生率の低下  (E)P50の増加

(答)E  2005年度卒試 問3-13】。

 

2】カリウムについて正しい組合せはどれか。

(1) 体内カリウム容量は50mEq/kg体重程度である。

(2) 高脂血症や高血糖にともなう低カリウム血症を偽低カリウム血症と呼ぶ。

(3) アンギオテンシン変換酵素阻害薬の投与は低カリウム血症の原因となる。

(4) 高カリウム血症によってテント状T波が出現した場合、血漿カリウム濃度は6.5mEq/L前後と推定される。

(5) 過換気によって血漿カリウム濃度は低下する。

(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)C

2.×:採血時に溶血して血球成分からKが遊出しK濃度が上昇することを偽高カリウム血症という。

 3.×:アンギオテンシン変換酵素阻害薬の投与は高カリウム血症の原因となる。

 

3】55歳、男性。食道癌のため術前3週間、左鎖骨下静脈ラインより20%ブドウ糖溶液、4%アミノ酸製剤を用いた完全静脈栄養で管理されていた。食道切除再建術中も高カロリー輸液を続行したが、中心静脈ラインの事故抜去が発生した。術中の対応として適切なのはどれか。

(A)特に処置は要しない。

(B)手術を一旦中断して中心静脈ラインを再挿入後、高カロリー輸液を再開する。

(C)末梢静脈ラインから高カロリー輸液を再開する。

(D)末梢静脈から10%ブドウ糖の輸液を開始する。

(E)レギュラーインスリン5単位を静脈内投与して、15分後に血糖を測定する。

)A or

中心静脈ラインを再挿入すると不潔になる可能性もあるので、末梢静脈から輸液を行い、術後にラインを再挿入すればいいと思います。そもそも、術中に高カロリー輸液を行う必要はあまりないと思うので、特に処置をしなくてもいいと思います。

E.×surgical diabetesとは、侵襲時(手術中)に分泌されるコルチゾールがインスリンを抑制し耐糖能が低下するため、高濃度のブドウ糖負荷により容易に高血糖になることをいう。レギュラーインスリン(速効型インスリン)は15分では効かない。

 

4】最高回路内圧40cmH20の陽圧呼吸の影響として正しいのはどれか。

(1)門脈血流量の減少  (2)心拍出量の減少  (3)肺の圧損傷の増加

(4)尿量ならびに糸球体濾過率の増加       (5)脳灌流圧の増加

 A(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)A

陽圧が強過ぎたとき→胸腔内圧→静脈還流量→心拍出量

 

 

 

 

5】15歳、女性。全身麻酔下でのHarrington rodによる側弯矯正術が終了し、麻酔から覚醒させたところ、左下肢麻痺が出現していることが判明した。

5-1】神経症状の原因として正しい組合せはどれか。

(1)過度の矯正  (2)血腫による圧迫  (3)腹臥位にともなう脛骨神経圧迫 

(4)電解質異常  (5)脊髄への外科的損傷

(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)B

3.×:脛骨神経は、下腿後面の腓腹筋、ヒラメ筋、膝窩筋、長母指屈筋、長指屈筋、後脛骨筋を支配する。下腿前面の前脛骨筋は深腓骨神経が支配する。   

 

5-2】処置として正しいのはどれか。

(A)とりあえず抜管して、輸血を開始 (B)24時間の経過観察 (C)神経学的所見を診て経過観察

(D)体性感覚誘発電位に異常がなければ経過観察   (E)直ちに再開創

(答)D

D.○:体性感覚誘発電位(SEP)で脊髄機能評価を行う。正中神経、脛骨神経などを刺激し、その刺激が中枢に伝えられて起こる活動電位を記録する。

 

6】27歳、女性。腹腔鏡下卵巣嚢腫切除術が予定された。プロポフォール、ベクロニウムで導入後、酸素-亜酸化窒素-イソフルラン麻酔が開始された。トロッカー挿入後、30度のTrendelenburg体位とし、二酸化炭素による気腹を開始したところ、急速に低血圧が進行した。

6-1】原因として正しい組合せはどれか。

(1)体位 (2)執刀直前に投与したエフェドリン (3)二酸化炭素塞栓症 

(4)出血  (5)下大静脈圧迫

(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)E  2005年度卒試 問3-19 参照。

 

6-2】対処として適切な組合せはどれか。

(1)手術台を水平にする   (2)外科医に知らせる  (3)亜硝酸窒素投与を中止する

(4)呼気終末二酸化炭素分圧を確認する  (5)エピネフリン静脈内投与

(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)D

 

7】26歳、男性。胸部、顔面、上腕に各々1度、2度、3度の熱傷で救急外来に搬入された。意識清明で、激痛を訴えていた。呼吸は浅く、32回/分であった。空気吸入下の動脈血液ガスデータはpH 7.48, PCO2 30mmHg, PO2 78mmHgであった。

7-1】検査所見の解釈として適切な組合せはどれか。

(1)呼吸性アルカローシス  (2)非代償性呼吸性アシドーシス  

(3)酸素分圧は低いが、直ちに治療を要する状態ではない  (4)酸素分圧は正常である

(1)(2)(3)のみ   B(1)(3)のみ   C(2)(4)のみ   D(4)のみ   E(1)(2)(3)(4)全て

(答)B  2005年度卒試 問3-20 参照。

 

7-2】呼吸状態に関して適当な組合せはどれか。

(1)上気道の浮腫をきたしうる。  (2)最低24時間の集中看視を要する。

(3)熱傷の種類によって異なる。  (4)気管切開が必要である。

(1)(2)(3)のみ   B(1)(3)のみ   C(2)(4)のみ   D(4)のみ   E(1)(2)(3)(4)全て

(答)A  2005年度卒試 問3-20】(2 参照

 

7-3】血液の酸素化を悪化させる要因として可能性がある組合せはどれか。

(1)肺水腫  (2)鎌状赤血球症  (3)一酸化炭素中毒  (4)アルカローシス

(1)(2)(3)のみ   B(1)(3)のみ   C(2)(4)のみ   D(4)のみ   E(1)(2)(3)(4)全て

(答)A

 4:代謝性アルカローシスであれば、低換気で酸素化障害が起こると思います。

 

7-4】浅くて早い呼吸について適当な組合せはどれか。

1)空気の効率的な動きを可能にする。  2)コンプライアンスが高いためである。

3)最小限の呼吸努力で酸素化を保っている。

4)一回換気量に対する死腔の影響を増大させている。

(1)(2)(3)のみ   B(1)(3)のみ   C(2)(4)のみ   D(4)のみ   E(1)(2)(3)(4)全て

(答)D  2005年度卒試 問3-20】(3 参照。

 

8】三叉神経および三叉神経痛に関して適当な組合せはどれか。

1) 上顎神経は卵円孔を通って、上顎に分布する。  2) 抗けいれん薬は無効である。

3) 三叉神経痛は第2,3枝領域に多い。

4) 三叉神経痛の原因は血管による圧迫が最も多い。  5) 三叉神経痛は女性に比較的多い。

(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)E

1.×:上顎神経:正円孔、下顎神経:卵円孔  2.×:カルバマゼピンが有効

 

9】40歳、女性。右手の灼熱痛を主訴にしてペインクリニックに来院した。痛みは患部をちょっと触っただけでも増悪し、時々青く変色することもあるという。診断のためのブロックとして適当なのはどれか。

(A)腋窩神経ブロック  (B)静脈内局所麻酔  (C)腰部交感神経節ブロック

(D)腕神経叢ブロック  (E)星状神経節ブロック

(答)E  2005年度卒試 問3-23 参照。

【参考】 複雑局所疼痛症候群 Complex Regional Pain Syndrome: CRPS  1994IASP(国際疼痛学会) complex: 多彩な臨床症状

CRPS type   反射性交感神経性ジストロフィー RSD(reflex sympathetic dystrophy)
 Sudeck (1900)は関節とくに手関節や足関節の捻挫、またはその他の軽度な外傷の後で現れる骨の斑点状骨塩脱落と軟組織の痛みを伴う萎縮を報告した。この病態はSudeck萎縮または外傷後骨粗鬆症 (posttraumatic osteoporosis)と呼ばれている。これは大きな末梢神経の損傷がないのに起こるカウザルギー様疾患である。Evans (1946)は、Sudeck萎縮および類似の病態を反射性交感神経性ジストロフィー (reflex sympathetic dystrophy: RSD)と名付けた。
 神経の損傷は無いが、外傷などの原因に対して不釣合いの症状を示す症候群で、その経過の中で浮腫が存在し、皮膚の血流の変化、アロディニア(allodynia: 軽い接触で激痛を感じる症状)のある所に汗腺の異常な分泌活動が見られる。
(診断基準) 

1 外傷などの既往があるか、もしくはギブス固定などの動かさない時期があったこと。

2 原因となる刺激から判断して不釣合いなほど強い持続痛、アロディニア、痛覚過敏がある。

3 疼痛部位における浮腫、皮膚血流の変化(皮膚色の変化、1.1以上の皮膚温の左右差)、発汗異常が病期のいずれかの時期に存在する。
4 前記の症状が他の疾患で説明できる場合はこの診断基準は当てはまらない。

 

CRPS type II  カウザルギー(causalgia)

  Weir Mitchell (1882)は、南北戦争で末梢神経素損傷された11人の傷病兵が耐えがたい痛みに苦しんでいるのをみてカウザルギーと名付けた。Weir Mitchell は、フランスのClaude Bernardに師事し、交感神経切断による末梢循環の増加を実験動物で確認し、カウザルギーの発症に血管運動神経の機能異常が関与すると考えた。

カウザルギーは、普通、坐骨神経、脛骨神経、腕神経叢、正中神経、尺骨神経など四肢の主要な神経の損傷後にみられる。末梢神経、またはその神経の主要な分岐の部分損傷後に引き続いて、灼熱痛やアロディニアが見られる。

(診断基準)   

1 神経損傷後に持続痛、アロディニア、痛覚過敏があり、これらは必ずしも損傷された神経の支配領域にとどまらない。

2 疼痛部位における浮腫、皮膚血流の変化(皮膚色の変化、1.1℃以上の皮膚温の左右差)、発汗異常が病期のいずれかの時期に存在する。

3 前記の症状が他の疾患で説明できる場合はこの診断基準は当てはまらない。

 

10】心肺蘇生ならびに心血管系・脳血管系・呼吸系の緊急事態への対応に関する国際的ガイドライン(G2000)の記述に合致している組合せはどれか。

1) 成人の心臓マッサージの速さは100回/分

2) 心臓マッサージと人工呼吸の割合は2人法でも5:1

3) 酸素を用いることができない人工呼吸における一回換気量は7ml/kg

4) 用手的な気道確保は、頸部損傷が疑われる場合は下顎挙上法で行う

5) 脈拍確認は一般市民には教えない

(1),(2),(3)  (1),(2),(5)  (1),(4),(5)  (2),(3),(4)  (3),(4),(5)

(答)C  2004年度卒試 問3-29】参照。

 3.×:酸素投与可能例では一回換気量は6-7ml/kg。不可能例では一回換気量は10ml/kg

 

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