平成16年度 「心身医学」 卒業試験
1.総論
(1)心身症について正しいものを選べ。 1.身体疾患の中で心理社会的因子が密接に関与している。 2.精神疾患に伴う身体症状も含まれる。 3.独立した疾患単位である。 4.機能的障害も含まれる。 a.1,2 b.2,3 c.3,4 d.1,4 e.1,3 f.2,4 |
<解答> d.1,4
<解説>心身症の定義:「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する。」
(2)治療的自我について適切なものを選びなさい。 1.心理療法を行う治療者はどうあるべきかを示すものである。 2.治療を行う際の患者の自我状態を言う。 3.親、大人、こどもの3つの自我状態がある。 4.治療者自身が精神的に安定、患者との信頼関係を築くことができ、患者を受け入れ、患者の自己理解を助ける能力。 選択肢 2つ選ぶもので、すべての選択肢があった。 |
<解答> 1.4.
(3)心身医学療法について正しいものはどれか。 1.一般内科医でも行なわれている。 2.健康保険点数でも認められている。 3.症状と心理社会的要因との関係を明らかにする。 4.絶食療法、催眠療法は含まれない。 a.1,2 b.2,3 c.3,4 d.1,4 e.1,3 f.2,4 |
<解答> 1.2.3.○?
<解説> 「心身医学療法とは、心身症の患者について、一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理、社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善または傷病からの回復を図る治療を総称するものであり、自律訓練、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、絶食療法、一般心理療法および簡易型精神分析療法を含む。」「精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関においても算定できるものとする。」と診療報酬点数表にある。
(4) Cannon.W の緊急反応でみられる症状はどれか。 1.心拍出量の増加 2.胃腸運動の亢進 3.消化液分泌の亢進 4.血糖値の上昇 a.1,2 b.1,4 c.2,3 d.3,4 |
<解答> b.1,4 <解説> 交感神経の緊張状態。
(5)セリエの汎適応症候群(general adaptation syndrome)について正しいのはどれか。 1.ショック期では体温が低下する。 2.疲へい期では血糖が低下する。 3.反ショック期では血糖値が低下する。 4.抵抗期では副腎皮質が萎縮する。 a.1,2 b.3,4 c.2,3 d.3,4 |
<解答> a.1,2 <解説>2001年卒試 1.総論 の2)と類似
(6)急性期ストレス反応で上昇しないものを一つ選べ。 1.ACTH 2.グルカゴン 3.インスリン 4.コルチゾール |
<解答> 3 <解説> 2001年卒試 1.総論 の3)と類似
(7).急性ストレスにさらされた動物に共通してみられる反応はどれか。 1.胃・十二指腸に潰瘍ができる 2.リンパ節の腫大 3.副腎皮質の萎縮 4.グルカゴンの分泌増加 a.1,2 b.3,4 c2,3 d.3,4 |
<解答>1.〇
2.× 3.× 4.〇
<解説>選択肢にはないが、1,4が正解と考えられる。
(8)セリエの汎適応症候群(general adaptation syndrome)でみられる状態の順序で正しいのはどれか。 a.抵抗期−ショック相−反ショック相−疲へい期 b.ショック相−反ショック相−抵抗期−疲へい期 c.抵抗期−反ショック相−ショック期−疲へい期 d.ショック相−反ショック相−疲へい期−抵抗期 |
<解答> b.
(9)イヌにブザーの音を聞かせても通常は唾液の分泌は生じない。しかしブザーのすぐ後に 餌を与えるようにすることを繰り返すと、やがてブザーの音のみで唾液を分泌するようになる。このことについて正しいのはどれか。 1.餌で唾液が出るのが条件反射である。 2.ブザーの音で唾液が出るのが無条件反射である。 3.ブザーの音は条件刺激である。 4.この一連の過程が条件づけと呼ばれる。 a.1,2 b.1,4 c.2,3 d.2,4 |
<解答> 3,4
<解説> 1.生得的な反射 2.条件反応 3.〇 4.〇 平成15年度卒試 総論(3)に類似
(11)抗うつ薬について正しいのはどれか。 1.副作用として抗コリン作用がある。 2.効果発現まで2週間かかる。 3.新しい抗うつ薬としてSMRIがある。 4.三環系抗うつ薬はSSRIと比べ副作用が少ない。 a.1,2 b.1,4 c.2,3 d.3,4 |
<解答> a.1,2
<解説>平成16年概説2.(7)と同じ。
2.ストレスと神経内分泌
(1)心理社会的因子と神経-免疫-内分泌系について誤った組み合わせはどれか。 1.種々の心理社会性ストレスは免疫系に深く関係している。 2.免疫系臓器に分布する自律神経は副交感神経のみである。 3.脳の特定部位の刺激や破壊は、免疫機能を必ず亢進させる。 4.インターロイキン1は発熱に深く関与する。 5.インターロイキン3は視床下部-下垂体-副腎軸を活性化させない。 a.1,2 b.2,3 c.3,4 d.4,5 e.5,1 |
<解答> b.2,3
<解説> 2. 免疫系臓器には交感神経も分布している。一般にストレスによる交感神経の興奮は、免疫能を抑制する方向に働く。 5. 視床下部-下垂体-副腎軸を活性化させるサイトカインは、IL-1、IL-2、IL-6、TNFαなど。
(2)免疫−内分泌系に関する次の記述のうち誤っているものをあげよ。 1.ストレス刺激は、主として副交感神経および視床下部−下垂体−副腎系を活性化させる。 2.ベルナールによって提唱されたホメオスタシス(生体恒常性維持)の概念は、セリエによってさらに発展し、汎適応症候群として集大成された。 3.心理的ストレスも身体的ストレスと同じく免疫機能に影響を与える。 4.過労もストレスの原因になりうる。 5.神経系と免疫系は共通の情報伝達物質および受容体機構を持っている。 a.1,2 b.2,3 c.3,4 d.4,5 e.5,1 |
<解答> a.1,2
<解説> 1.交感神経を活性化 2.ベルナール内部環境を提唱。ホメオスタシスの概念は、緊急反応を提唱したキャノンによって提唱された。
(3)次のうち正しいものの組み合わせをあげよ。 1.配偶者との死別−リンパ球幼若化反応の低下 2.喪失体験−口唇ヘルペス再発の増加 3.自然災害−NK細胞活性化上昇 4.交感神経−グルココルチコイド 5.インターフェロン−食欲亢進 a.1,2 b.2,3 c.3,4 d.4,5 e.5,1 |
<解答> a.1,2
<解説> 1. 〇配偶者との死別-T細胞機能の低下、リンパ球PHA/PWA反応性低下
2. 〇 3. ×NK細胞活性低下 5. ×摂食抑制
(4)次のうち正しいものの組み合わせをあげよ。 1.内部環境:パブロフ 2.火傷:物理・化学的ストレッサー 3.うつ病:NK細胞活性低下 4.IL-5:視床下部−下垂体−副腎系の活性化 5.軸索反射:マクロファージ a.1,2 b.2,3 c.3,4 d.4,5 e.1,5 |
<解答> b.2,3 <解説>1.ベルナール 4.IL-5ではなくIL-1 5.肥満細胞・IgG
(5)以下の組み合わせのうち正しいものを選びなさい。 1.細胞性免疫:NK細胞 2.肥満細胞:IgEレセプター 3.カテコラミン:Th1反応の増強 4.グルココルチコイド:Th1反応の増強 5.IL-4:視床下部下垂体副腎系活性化 a.1,2 b.1,5 c.2,3 d.3,4 e.4,5 |
<解答> a.1,2
<解説> 5はIL-1.IL-6.TNF-α
3.呼吸器系の心身症
(1)過換気症候群について正しいのはどれか。 a.過換気症候群では女性より男性の方が多い。 b.過換気発作の時はPaCO2の著明な上昇とpHの低下が認められる。 c.発作の時は空気飢餓感や四肢の硬直が認められることが多い。 d.診断には過呼吸テストが大事である。 e.治療はまず酸素投与である。 f.最近ではpaper bag rebreathing法は行われない。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.e,f 6.f,a |
<解答> 3.c,d
(2)気管支喘息の疫学について正しいものはどれか。 a.成人気管支喘息の罹患率は我が国では上昇傾向にある。 b.最近の喘息患者の喘息死は年間約3万人である。 c.一卵生双生児の気管支喘息罹患の一致率は約90%である。 d.成人喘息のほとんどがアトピー型の喘息である。 e.小児喘息患者の寛解率はほぼ100%に近い。 |
<解答>a.
<解説>a. 1960年代後半より増加 b.年間約5,000人 d.成人喘息はアトピー型:混合型:感染型が同比率である。 e.小児喘息の50~70%は思春期までに自然治癒するが、成人への移行は約10%ある。
(3)気管支喘息を診断する上で重要な項目はどれか?下記の1-5から選べ。 a.胸部レントゲン撮影 b.気道炎症の存在
c.発作性の呼吸困難、喘鳴、咳 d.気道過敏性の存在 e.動脈血ガス分析の結果 1.a,b,c 2.b,c,d 3.c,d,e 4.a,c,e 5.a,d,e |
<解答>2.b,c,d ※選択肢の順序以外2003卒試3.3)と同じ
(4)気管支喘息の治療について正しいものはどれか。 a.喘息薬物を大きく分けると気管支拡張剤と抗炎症剤に分かれる。 b.吸入ステロイド剤は副作用が強くあまり用いられていない。 c.最近の気道炎症論に基づき気管支拡張剤の使用が多くなった。 d.ピークフローメーターは持ち運びが大変なので、最近あまり用いられなくなった。 e.ピークフローメーターは自分の喘息状態の良い指標となるので規則正しく測定することが望ましい。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.e,a |
<解答> 5.e,a
<解説> b.副作用としてはのどの痛み、嗄声などが考えられるが、その他はさほど心配なく用いることができる。すぐに効用があらわれないため、使用率はそれほど高くないが、すぐれた薬であるため医師の指示があるまで使用し続けることが望ましい(という授業がおこなわれたらしい)。
(5)cough variant
asthma(CVA)について正しいものを一つ選べ。 1.咳嗽と喘鳴を症状として持つ。
2.鎮咳薬が治療として有効である。 3.気管支喘息への移行する可能性がある。 4.呼吸機能では1秒率の著明な低下を認める。 |
<解答> 3.
<解説> 1.× 喘鳴を伴わない
2.×気管支拡張薬や吸入ステロイドが治療として有効である 3 .○ 4.× 肺機能検査は一般に正常
4.循環器系の心身症
(1) 虚血性心疾患のリスク因子となるものの組み合わせを選べ。 a.ヒポコンドリー性基調 b.精神的ストレス c.攻撃的 d.神経質な性格 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,a |
<解答> 2.b,c
<解説> タイプAのものを選べばよい。ヒポコンドリー性基調(心気性格)はパニック障害などのリスク因子。
(2)タイプA行動について正しいものを選べ。 a.アメリカと日本では性質が異なる。
b.精力的、競争心、野心的である。 c.性格に基づくため修正不能である。
d.副交感神経が亢進している状態である。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d |
<解答> 1.a,b
<解説> a.〇 日本型タイプAの特徴:攻撃性・競争性が弱く、仕事熱心、階層依存性 b. 〇
c. × d. × 交感神経が亢進している
(3) 本態性高血圧で正しいものを選べ。 a.環境因子と遺伝因子が主要因である。 b.神経質で内向的な人によく見られる。 c.薬物療法が主である。 d.診察室で高血圧領域と診断されながら、家庭で測った血圧は正常な人も多い。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d |
<解答> 4.a,d
<解説>a.〇 b. ×受動的で依頼心の強い性格とそれに相反する攻撃的衝動とのあいだの葛藤 c.× 禁煙、食事療法などの非薬物療法も効果的 d. 〇白衣高血圧(診察室高血圧)
(4)本態性高血圧について適切な文章はどれか。 a.精神分析は今でも用いられている。 b.バイオフィードバック法は今でも用いられている。 c.自律訓練法は今でも用いられている。 d.血圧の患者による自己測定は不安を高めるのでしないほうが良い。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,a |
<解答> 2.b,c
<解説> 本態性高血圧症に対する心身医学的治療法には、弛緩法(自律訓練法、漸進的筋弛緩法)、バイオフィードバック法、行動療法(動機づけ、目標設定、モニタリング(家庭内測定)、フィードバック、自己効力感を高める、ソーシャルサポート)などがある。
5.糖尿病、代謝系の心身症
(1)以下の文より正しいものを選びなさい。 a.糖尿病患者と周囲の人は、お互いにストレスをかけあう悪循環に陥っていることは少なくない。 b.食事療法や運動療法の指示を守らないと糖尿病の治療がうまくいかないのは当たり前である。 c.糖尿病患者におけるうつ病の合併率は高い。 d.糖尿病患者に正しい知識を与えるだけで、患者は食事療法や運動療法をしっかり守り、血糖コントロールもうまくいくものである。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,a 5.a,c 6.b,d |
<解答> 5.a,c
(2)以下の文章より正しいものを選びなさい。 a.若い1型糖尿病の女性で摂食障害の合併は10%。 b.摂食障害の人は困って医療機関に相談にくる。 c.1型糖尿病患者の男女比は同率くらいである。 d.1型糖尿病の女性は自分がふとっていると思って、インスリンをやめたり減量したりする。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,a 5.a,c 6.b,d |
<解答> 4.d,a
(3)以下の文のうち正しいものの組み合わせを選びなさい。 1.糖尿病の受け入れは本人の問題であり、治療者や家族の・・・・は大きくない。 2.1型糖尿病も2型糖尿病も同じ糖尿病であることに変わりはなく、糖尿病教育もそれほど分別して行なう必要はない。 3.糖尿病についての悩みは糖尿病患者にしか理解できないと思ってる糖尿病患者の意見は少なくない。 4.個々の患者の違いを理解することにより、はじめて思慮深い治療計画が立てられる。 (選択肢は思い出せませんが過去問どおりでした) |
<解答>1.× 2.× 3.○ 4.○
(4)以下の文のうち正しいものの組み合わせを選びなさい。 a.糖尿病に合併した摂食障害の治療は、通常(糖尿病でない)の摂食障害の治療に比べて困難である。 b.若い1型糖尿病患者の場合、血糖コントロールを大切に思っているので、過食をする人は普通の人に比べて少ない。 c.糖尿病に合併した摂食障害の場合、血糖コントロールを悪化することは多い。 d.糖尿病に合併した摂食障害の場合、その害(血糖コントロールの悪化、慢性合併症の出現)を指摘すると改善することができる。 1.a,b
2.b,c 3.c,d 4.a,d 5.a,c 6.b,d |
<解答> 5.a,c
(5)以下の文より正しいものを選びなさい。 a.患者が糖尿病を受け入れ良好なセルフケアをしていくためには、発症時において、糖尿病の恐ろしさにできるだけ直面させる必要がある。 b.糖尿病教育は、発症時にしっかり行っておけば、その後は必要ない。 c.食事制限は糖尿病患者が感じるストレスの最も大きいもののひとつである。 d.個々の患者の違いを理解することによって、初めて思慮深い治療計画が立てられる 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,a 5.a,c 6.b,d |
<解答> 3.c,d
(6)以下の文で正しいものを選びなさい。 a.1型糖尿病の場合、インスリン注射をする以外に、食事療法や運動療法も2型糖尿病以上にしっかりしなければならない。 b.2型糖尿病の罹患率は第二次世界大戦時に比べ、大幅に上昇している。 c.2型糖尿病には、インスリンを使ってはならない。 d.2型糖尿病では、薬剤の進歩により、厳格な食事制限、運動療法が必要ではなくなりつつある。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d 5.a,c 6.b,d |
<解答> a.× 運動療法が必要なのは2型 b. 〇
c. 2型DMでも、経口薬で効果が不十分な場合や、感染や手術等のストレスでコントロールが悪化したときはインスリンを使用する
d. × 2型DMでは、食事・運動療法が中心となる
(7)以下の文のうち正しいものの組み合わせを選びなさい。 a.糖尿病であることに患者はしばしば大きな引け目を感じるものである。 b.糖尿病は生活習慣病であり、他の人達よりも悪い生活習慣を持っていたから発症したといえる。 c.患者が糖尿病を受け入れ良好なセルフケアをしていくためには、発症時にできるだけ糖尿病の恐ろしさを伝える必要がある。 d.食事制限は、糖尿病患者が感じるストレスで最大のものである。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d 5.a,c 6.b,d |
<解答> 4.a,d
(8)以下の文より正しいものを選びなさい。 a.摂食障害を合併したI型糖尿病の血糖コントロールの上昇(悪化)の最も大きな原因は、インスリン自己注射の中止である。 b.II型糖尿病は成人病であるので、小児のI型糖尿病はII型糖尿病より少ない c.I型糖尿病は若年者に生じ、中高年で発症することはない。 d.I型糖尿病ではインスリン注射さえ適切におこなわれていれば、特別な食事制限や運動療法を行わなくても、比較的良好な血糖コントロールを得ることができる。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d 5.a,c 6.b,d |
<解答> 6.b,d
(9)正しい組み合わせ選びなさい。 a.糖尿病患者に対する就職・結婚の差別はない。 b.中高年の男性糖尿病患者は、治療よりも仕事を優先する傾向にある。 c.糖尿病は生活習慣病であり、糖尿病患者は他の人たちより悪い生活習慣を持っていたため発症したと考えられる。 d.身体面だけでなく心理社会的な側面も評価する医師にかかれば、患者も糖尿病にうまく適応しやすくなる、よりよい治療効果もえられる。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d 5.a,c 6.b,d |
<解答> 6. b,d
(10)正しいものの組み合わせを選びなさい。 a.若い1型糖尿病患者の場合、血糖コントロールを大切と思っているので、過食をする人は普通人に比べて少ない。 b.糖尿病患者の親がしばしば過保護、甘やかし、または拒否といった行動に出てしまうこともある。 c.1型糖尿病の若い女性において、血糖コントロールが著しく不良な場合、摂食障害がないかどうか注意したほうがいい。 d.1型糖尿病は生活習慣の悪化が発症の引き金となる。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d 5.a,c 6.b,d |
<解答> 2.b,c
6.摂食障害
中学3年(15歳)女子。部活はテニス部で県大会まで出場した。成績はトップクラスだったが、部活が忙しかったことで勉強が遅れているのではないかと不安に思っていた。 8月の塾の合宿後より、胃の違和感と食欲不振が出現し体重が43kgから41kgへ減少し たが、漢方薬服用にて症状は消失した。 11月頃より再び腹痛と食欲不振が出現し近医受診するも、器質的な疾患は除外された。さらに食思が無くなったので総合病院受診。12月より休学し、抗うつ薬などの内科的治療を行っていた。 1月になって体重が36kgまで減少した為、当院心療内科受診となった。 身長156cm。下剤乱用や過食嘔吐は認められない。 |
(1)入院一週間は800kcal摂取していた。本人に肥満恐怖は認められない。この症例で正しいのはどれか。 a.神経性食思不振症は否定できない。 b.過敏性腸症候群は否定できない。 c.特定不能の摂食障害は否定できない。 d.適応障害は否定できない。 1.全て 2.a,b,c 3.a,c,d 4.a,b 5.c,d |
<解答> 1.すべて?
(2)入院してから一週間経過後、患者と家族の同意を得てから、行動制限を開始した。 行動制限について、正しいものを(a)~(e)まで選べ。 1.原則として精神科で行う治療である。 2.オペラント強化を利用した治療である。 3.禁止事項の解除は負の強化法である。 4.言語的賞賛は原則としてしない。 5.違反行動する患者には適応はない。 a.1,2 b.2,3 c.3,4 d.2,4 e.1,5 |
<解答> a.1,2
(3)経鼻経管栄養について正しいもの 1.嫌悪刺激の目的もある。 2.日本のほうが欧米より多い。 3.IVHより栄養において優れている。 4.肥満恐怖のある症例には用いない。 5.低血糖を起こすこともまれにある。 a.1,2
b.2,3 c.3,4 d.2,4 e.1,5 |
<解答> a.1,2?
(4)治療が進むにつれて患者は自己主張がよわく、言いたいことを抑圧することがわかってきた。そこで、体重が40kgに達した時点で自己主張訓練を開始した。自己主張訓練について、適切なものを選びなさい。 1.ソーシャルスキルトレーニングのひとつである。 2.非言語表現は重要視されない。 3.攻撃的な自己主張ができるようになることが目標のひとつである。 4.摂食障害の患者には必要不可欠な治療である。 5.ロールプレイが中心である。 a.1,2 b.2,3 c.3,4 d.1,5 e.4,5 |
<解答> d.?1,5
7.消化器心身症
(1)次の各々の質問を読み、以下の項目のうち正しい組み合わせ一つを選べ。 a.消化器心身症の治療の目標は症状の消失より、症状のコントロールがおもである。 b.消化器心身症は消化管機能異常を伴うことが多い。 c.消化器心身症と被虐待歴の間に関連性はない。 d.消化器心身症の多くにヘリコバクターピロリが関与している。 1.a,d 2.b,c 3.a,c,d 4.a~dすべて |
<解答> a. 〇 b. 〇 c. ? d. ×
(2)次の各々の質問を読み正しい組み合わせを1つ選べ。 a.消化器心身症とは腹部不定愁訴と同義である。 b.消化器内科を受診する患者の中でfunctional dyspepsia患者が胃十二指腸潰瘍患者よりかなり多い。 c.高齢者のdyspepsia症状は器質的疾患を疑うべきである。 d.胃食道逆流症と逆流性食道炎が同義である。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d |
<解答> 2.b,c
<解説> これまで上腹部不定愁訴症候群、神経性胃炎、functional dyspepsia(機能性胃症)などとよばれていた病態は、non-ulcer dyspepsia(NUD)と呼ばれるようになってきた。これは、強い上腹部症状を訴えるにもかかわらず、それを説明しうる器質的病変が認められない症候群である。医療機関を受診しない人の中にも患者は多くいるといわれ、外来を訪れる患者のかなり多数がこの疾患であると考えることができる(のでb.は○)。
(3)次の各々の記述のうち正しい組み合わせ1つを選べ。 a.胃・十二指腸潰瘍の発症・持続原因の1つにストレスがある。 b.胃・十二指腸潰瘍はヘリコバクターピロリの除菌により全て治癒する。 c.炎症性腸疾患においても消化器心身症の側面があり、心身両面の治療が有効である。 d.潰瘍性大腸炎の初期像は過敏性腸症候群と区別しがたい時がある。 1.a,b 2.b,c 3.a,c,d 4.a~dすべて |
<解答> 3. a,c,d
(5)functional
dyspepsia(以下、FDと略)について正しいものを選べ。 a. FDは胃十二指腸潰瘍を含む。 b. FDは逆流性食道炎を含む。 c. FDのRome II診断基準には胃逆流性食道炎はない。 d. FDの診断には上部消化管内視鏡が重要である。 e. FDでは排便で腹痛が軽快する。 1.a,b
2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.a,e |
<解答> 3.c,d
<解説> 「過去12ヶ月に必ずしも連続しない12週以上、上腹部中央に腹痛または腹部不快感が持続的または間歇的にあり、消化管内視鏡検査を含め、これらの症状を説明しうる器質的疾患がなく、また排便によって腹痛が軽快するような過敏性腸症候群ではないこと。」がFDの基準となっている。
(6) 過敏性腸症候群について正しいものの組み合わせを一つ選べ。 a.一般人口の20%程度で男性に多い。 b.過敏性腸症候群は小腸の機能異常も認める。 c.過敏性腸症候群様症状は炎症性腸疾患ではみられないこともある。 d.過敏性腸症候群では血便が見られることが多い。 e.過敏性腸症候群では便秘と下痢が繰り返されることはない。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.a,e |
<解答> 2.b,c
(7)過敏性腸症候群の病態生理について正しい組み合わせを選べ。 a.過敏性腸症候群の機能異常は運動異常と知覚異常が関与しており、脳との関連性も大きい。 b.過敏性腸症候群の患者は下部消化管の知覚(痛覚)閾値が低いことが多い。 c.過敏性腸症候群の消化器症状は、緊張、不安やうつ症状と相関していることも多い。 d.過敏性腸症候群の治療では、生活指導・食事療法など規則正しい生活習慣をつけさせることも重要である。 1.a 2.b,c 3.a,c,d 4.a~d |
<解答> 4.a~d
(8)胆道機能異常(胆道ジスキネジー)について正しい組合せを選べ。 a.胆道機能異常は症状が持続し、慢性疾患になることがない。 b.胆道機能異常は胆嚢摘出後には見られない。 c.胆道機能異常は胆嚢またはオジ括約筋の機能異常から生じ、胆石様の症状を示す。 d.胆道機能異常と胃・十二指腸の機能異常が合併することも少なくない。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d |
<解答> 3.c,d <解説> 平成16年概説7 (8)を参照してください。
8.慢性疼痛
(1)痛みの定義について正しいものを全て選べ。 a.痛みは主観的な体験だから、患者が「痛い」と言えば痛みが存在すると考える。 b.痛みには不快な感覚・情動が伴う。 c.痛みとは実質的な組織損傷と結び付くものだけをいう。 d.侵害刺激が存在しなければ痛みは存在しない。 1.a,b
2.a,b,c 3.全て 4.d |
<解答> 1.a,b <解説>過去問と同じらしい
(2)痛みのゲートコントロール理論について正しいものをすべてあげよ。 a.痛みを感じる以前に、入力を就職できる機構が存在する。 b.ゲートの開閉は中枢の管理下にある。 c.ゲートを通過する痛み刺激は、情緒、認知などには関与しない。 d.知覚される痛みは刺激の量に比例する。 1.a,b
2.a,b,c 3.すべて 4.d |
<解答> 1.a,b <解説>2003年卒試7-(2)と同一。
(3)痛みのゲートコントロール理論に関して正しいものを全てあげよ。 a.オハンロンにより提唱された痛みに関する理論である。 b.過去の経験や情動はゲートに影響を与えない。 c.感覚入力は全て正確に脳に伝達される。 d.慢性疼痛患者ではゲートが開いていると考える。 1.a,b 2.a,b,c 3.全て 4.d |
<解答> 4.d
<解説>a.× Melzack&Wall b.×
c. × 感覚入力と痛みの経験を起こす脳の領域との間には、可変性の(脊髄)ゲート機構がある d. 〇
(4)慢性疼痛について正しいものを選べ。 a.侵害刺激の入力から抑制を差し引いたものが痛みとして感じられる。 b.炎症物質が侵害痛み刺激を増幅する。 c.慢性疲労やうつでは抑制系が低下しているために痛みが増強して感じられる。 d.自律神経機能の異常により血管、胆管、消化管に痛みをきたすことがある。 1.a,b 2.a,b,c 3.d 4.全て |
<解答> 4.全て
<解説> (個人の痛み体験)=(痛みの入力路からの入力情報)-(痛みの抑制路の情報)
で表されるため、前者の増大(炎症物質による反応性の増大、神経系の異常活動)や後者の機能低下(慢性疲労、うつ)により痛覚過敏が表れる。
(5)( )に入る語句を下から選び、その組み合わせの正しいものを選べ。 慢性疼痛に対する有効性が知られている行動療法では、疼痛を<忘れました…。>という(A)としてとらえ、それによりもたらされる擁護、??、(B)などよりも、(C)をとれるようにするものである。 a.家族間のつながり…?みたいな感じだったような。 b.適応行動 c.疼痛行動 d.逃避行動 e.忘れました f.心顕性?? 選択肢が4つありました。 |
<解説> 認知行動療法の観点から考えると、慢性の痛みにより
1重要な人物からの注目、関心、擁護的なかかわり(擁護反応)
2家庭または社会生活への再適応の回避(現実逃避)
3怒り、不満、罪悪感といった心理的苦痛の抑圧(葛藤逃避)
4他の家族成員間の葛藤の回避(家族システムの維持)
などが維持されていたといえる。
慢性疼痛を訴える患者の通常の検査、画像データを観察するとともに患者の理学所見、訴え、行動、環境を徹底して観察することで、本当の苦痛は何であるかを解明していくことが必要であり、疼痛行動によってしか得られなかった報酬を、環境調整や適応行動によって獲得できるように、環境や患者の行動へのアドバイスを行っていくことで、過剰な疼痛行動が不要となっていくことが期待できる。
……ということを踏まえると、大体の答えが埋まるのではないかと思います。
(6)慢性疼痛性障害について正しいものを選べ。 a.虚偽性障害は含まれない。
b.疼痛は社会的、職業的、その他重要な機能障害を伴う。 c.抗うつ剤より鎮痛剤が効く。 d.痛みの原因除去でほとんどの場合は改善する。 1.a,b 2.a,b,c 3.すべて 4.d |
<解答> 1.a,b
(7)次のうち正しい組み合わせを1つ選びなさい。 a.精神生理学的疼痛 ---- ストレスによる骨格筋の攣縮や血管の収縮が関与 b.うつ病型疼痛 ---- 抗うつ薬で治療 c.回避型疼痛 ---- 痛みを伴いそうな場面を避ける d.思考障害型疼痛 ---- 精神分析が有効 1.a,b
2.a,b,c 3.すべて 4.d |
<解答> 2.か3.
(8) 2003年卒試8慢性疼痛 8と同じ |
(10)慢性疼痛の治療において正しいものを全てあげよ。 a.痛みを客観的に分析して、理学的所見がなければ「痛みがあるはずがない」と患者の訴えを拒否することが重要である。 b.患者の痛みに対しては、患者の訴えや理学的所見が重要で、患者の行動やその背景となる環境に目を向けるべきではない。 c.患者が痛がっているときだけ注目し、痛みを訴えないときには受容しないことが重要である。 d.病態解明のための客観的分析は重要であるが、患者の情動や患者の困っている問題解決への援助の配慮が重要である。 1.a,b
2.a,b,c 3.全て 4.d |
<解答> 4.d
9.神経系
(1) 正しいものを選べ。 1.交感神経の神経節は効果器の近傍である。 2.自律神経活動を無麻酔で直接記録することはできない。 3.自律神経を介する反射には内臓-内臓反射、体性-内臓反射、内臓-体性反射がある。 4.関連痛は内臓-体性反射である。 5.痛覚刺激で脈拍や血圧が上昇するのは、体性-内臓反射である。 a.1,2,3 b.1,4,5 c.2,3,4 d.1,3,5 e.3,4,5 |
<解答> e.3,4,5
(2)神経伝達物質について正しいのはどれか。 1.ドーパミンやアドレナリンはカテコールアミンと総称される。 2.不安の発現には、セロトニンやノルアドレナリンの関与が示唆されている。 3.うつ病では中枢性ノルアドレナリンやセロトニンの上昇が推定されている。 4.情動ストレスでは、カテコラミン・コルチゾールが低下する。 a.1,2 b.1,4 c.2,3 d.3,4 |
<解答> a.1,2
<解説> 1.ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンはカテコール核があるアミンなので、カテコールアミンと総称される。
3.セロトニンの分泌低下で、うつ状態がもたらされる。
4.ストレスがくるとACTH分泌が促され、糖質コルチコイドを放出して抵抗性を高める。
(3)RSAについて正しいもの3つ選べ。 1.RSAは病的な現象である。 2.呼吸をコントロールすることで随意的に変化させることができる。 3.CVRRは、主に副交感神経をあらわしている。 4.加齢によりCVRRは小さくなる。 5.CVRRはアトロピンで変化しない。 |
<解答> 2.3.4.
<解説> 呼吸性洞性不整脈。1.×生理的な現象である。2.○ 3.○迷走神経の副交感神経成分。
4.○RSAは学童期に見られる現象。5.副交感神経系が遮断され、小さくなる。
平成16年概説5.(3)参照。
(4)以下のうち正しいものを選びなさい。 1.自律神経系は学習によって随意的に調節することができない。 2.BF(バイオフィードバック)は行動療法の領域に含まれない。 3.BFはオペランド条件付けの機序では説明できない。(3.は記憶が不確かです。すいません。) 4.「内部環境の恒常性」の概念はClaude Bernard によって見出された。 5.緊急反応はWater B.Cannonによって見出された。 a.1,2,3
b.1,4,5 c.2,3,4 d.1,3,5 e.3,4,5 |
<解答> e.3,4,5
<解説> 平成16年概説5.(4)参照。
3.の文章が概説と同じく「BFはオペラント条件付けや認知的アプローチが含まれる」
だとe.が正解だと考えてよいと思います。ちなみに、BFとは、「普段は気づきにくい生体内の変化や反応を、光や音などの知覚しやすい外部情報や信号に一度置き換えて還元(フィードバック)し、道具的条件付けにより、その変化・反応を制御しようとする試み」のこと。
(5)正しいものを選べ。 1.BFは、EMG、ECGのみである。 2.BFは、リハビリテーションには応用されない。 3.BFには、動機付けが重要である 4.精神生理プロセスの自己学習にBFの手技が用いられる。 5.BFは片頭痛の治療に応用される場合がある。 a.1,2,3 b.1,2,5 c.1,4,5 d.2,3,4 e.3,4,5 |
<解答> e.3,4,5
<解説> 臨床バイオフィードバックはEMG,ECG,EEGなどの生理反応を系統的にフィードバックし行動変容を支援する応用精神生理学の一分野である。
(7)斜頚について正しい組み合わせを選べ。 1.治療にはBF(バイオフィードバック)が用いられる。 2.ボツリヌス筋注が適応である。 3.社会不安障害が一症状として理解される。 4.重症度はTsui scoreによって判定する。 5.患者には元々字のきれいな人が多い。 a.1,2,3
b.1,2,5 c.1,4,5 d.2,3,4 e.3,4,5 |
<解答> d.2,3,4
(8) 片頭痛について正しいものを選べ。 1.20~40歳台の女性に多く、頻度は男性の4倍程度である。 2.発作の持続時間は1~2時間とされている。 3.発作前兆の閃輝暗点は視野が暗くなる。 4.運動によって誘発されることがある。 5.片頭痛の前兆において頭部の血管は収縮している。 a.1,2,3 b.1,4,5 c.2,3,4 d.1,3,5 e.3,4,5 |
<解答> b.1,4,5
<解説> 1.症状が始まるのは思春期のことが多いが、症状は20~40歳台に多く見られる。
2. 4~72時間程度。 4.疲労、睡眠不足、ストレスによるものが多いが、運動でも誘発されることがある。 5.○発作期に拡張する。
(9)緊張性頭痛について正しいものを選べ。 1.緊張性頭痛は休日に起こりやすい。
2.痛みの程度は片頭痛よりも強い。 3.緊張性頭痛は同じ姿勢を長時間続けると起こりやすい。 4.肩のストレッチなどが有効である。 5.薬物療法は有効である。 (選択肢は忘れましたがおそらく前後の問題と同じだったと思います) |
<解答> 3.4.5.
<解説> 2. 片頭痛は、発作性・拍動性の痛み、緊張性頭痛は中等度の締め付けられるような鈍痛が特徴。 5. 薬物療法は、ある意味では有効だといえるが、薬物誘発性の頭痛を引き起こすことも考えられ、薬物以外の方法(体操やマッサージ、ストレスを避けること)をまず試すほうが望ましいと考えられる(他の選択肢との兼ね合いによっては×になるかもしれません)。
(10)めまいについてただしいものを選べ。 1.食後低血圧によるめまいは、生理的現象である。 2.慢性脳循環障害で生じる。 3.起床時のめまいは、非回転性のことが多い。 4.メニエール病のめまいは、数分で消失する。 5.不安障害で生じることがある。 |
<解答> 1.3.5.
<解説> 1. 食後に内臓の血管が拡張し、そこに多くの血液が流入するため脳への血流が減って症状があらわれる。2. 急性脳血管障害による。4. 数時間続く。
10.面接
(2)以下の文章のうち正しいものを選びなさい。 1.圧受容器反射の中枢は視床下部である。 2.血圧の変化は頚動脈や鎖骨下動脈にある圧受容器によって探知される。 3.圧受容器反射の求心路は迷走神経と舌咽神経である。 4.圧受容器反射の遠心路に迷走神経は含まれる。 5.年齢とともに起立時の血圧の変化(?)は小さくなる。 a.1,2,3
b.1,4,5 c.2,3,4 d.1,3,5 e.3,4,5 |
<解答> 1. 〇 2. 頚動脈洞、大動脈 3.〇 4.〇 5.起立性低血圧は高齢者に多い。
(3)面接について正しいものを選べ 1.インテーク面接は医療領域特有の面接である。 2.医師は患者の話す内容はもとより表情にも注意しなければならない。 3.医師と患者の関係作りができると患者が医師の指導をよくきくようになる。 4.治療面接では傾聴に徹し質問はしない。 a.1,2 b.2,3 c.2,4 d.3,4 |
<解答> b.2,3
<解説> インテーク面接とは、医療、教育、心理、福祉、産業などの相談もしくは援助機関において、来談者あるいは患者に対して最初に行う心理・社会的観点からの面接である。
医療現場においては、主治医が治療を行う際に必要な資料としての心理・社会的な問題に関する情報収集および評価の側面、初回面接としての側面が考えられる。特に後者については、その後の治療を左右する可能性のある重要な機能であると考えられる。
(4)面接技法について正しいものはどれか。 1.患者の言ったことを繰り返すのが要約である。 2.面接では患者に対して共感を示すことが重要である。 3.面接では首を縦に振ってうなずくことも面接技法のひとつである。 4.患者の発言のたびに繰り返すことが重要である。 a.1,2
b.2,3 c.2,4 d.1,4 |
<解答> b.2,3
(6)面接について、次のうち正しいものを選べ。 1.薬剤治療の効果には、良好な医師—患者関係は関与しない。 2.面接の主な目的の一つは、良好な医師—患者関係を作ることである。 3.患者も医師の立場になって考える必要がある。 4.面接中は、患者の表情にも注意する。 a.1,3
b.2,4 c.1,2 d.3,4 |
<解答> b.2,4
(7)面接法について正しいものはどれか。 1.患者の発言に時々相づちをうつのが「促し」の技法である。 2.患者の話を黙って聞くのが「傾聴」である。 3.患者の発言をそのまま繰り返すのが「要約」である。 4.面接中、患者の”いやだったんです。”との発言に対し、”いやだったんですね”と相づちをうった。これは「繰り返し」の技法である。 a.2,4
b.1,3 c.1,4 d.3,4 |
<解答> c.1,4
(8)面接の目的について正しい組み合わせを1つ選べ。 1.診断の為の情報を得る。 2.患者の友人になる。 3.患者と世間話をする。 4.患者との関係作り。 a.1,4
b.2,3 c.2,4
d.3,4 |
<解答> a.1,4
(9)正しい組み合わせはどれか。 1.精神療法は、主に医療領域で実施される治療面接である。 2.面接自体に治療効果はない。 3.心理療法は、主に教育や福祉の領域で実施される治療面接である。 4.心身医学における面接は、特に面接の治療的側面が重要視される。 a.1,2
b.1,3 c.1,4 d.3,4 |
<解答> c.1,4
(10)インテーク面接について正しい組み合わせを選べ。 1.インテーク面接とは治療面接のことである。 2.インテーク面接では、家族構成・生育暦を最初に聴取する。 3.インテーク面接では、主に心理社会的側面を聴取する。 4.病態仮説の構築、診断のための情報を得ることができる。 a.1,2
b.1,3 c.2,3 d.3,4 |
<解答> d.3,4
<解説> インテーク面接とは、患者に対して最初に行う心理・社会的観点からの面接。これには、主治医が治療を行う際に、必要な資料としての心理・社会的な問題に関する情報収集および評価の側面、初回面接としての側面の2つがある。
11.自律神経法
(2)自立訓練法の進め方について正しいものを選べ。 1.背景公式は、気持ちが落ち着かなくても次の公式にすすんでもよい。 2.第一公式が終わったら、必ず消去動作を行う。それから第二公式にすすむ。 3.第一・第二公式で、腕の練習だけでなく、必ず脚まで練習を行ってから終了する。 4.第一公式で重感を感じてから、第二公式に進むのが好ましい。 a.1,3,4 b.1,3 c.1,4 d.4のみ |
<解答> d.4のみ <解説> まとめてこの項の最後に書いています。
(3)自律訓練法の訓練の仕方について、正しい記述の組み合わせを選べ。 a.しばらくの間は一人での練習はせず、必ず治療者の暗示を受けながら行う。 b.長い時間訓練を行うと集中力が低下してしまうことがあるので、一定の時間で終了するのがよい。 c.雑念が心に浮かんできたときは、訓練を中断してもよい。 d.リラックスした状態では、身体に力が入らないので立ち上がる前には、力を取り戻す運動(消去動作)を必ず行う。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.c,d 4.b,d |
<解答> 4.b,d
(4)自律神経訓練法の効果について、正しいものを記号から選べ。 a.腕や脚が重たい感覚は、筋肉の弛緩反応と関係がある。 b.第2公式において、顔面の皮膚温の低下として確認できる。 c.リラックスすることを目的とした他者暗示法である。 d.副交感神経優位な状態から交感神経優位な状態へと自律神経を調整する。 1.a,b,c 2.b,c 3.aのみ 4.dのみ |
<解答> 3. aのみ
(5)自律訓練法の医学的効果に関する記述のうち、正しいものをすべて含む組み合わせを選択肢から選べ。 a.身体的な弛緩反応が得られる。 b.心身症だけでなく神経症にも行われる。 c.抑うつ状態の強いときには、効果が得られにくい。 d.疲労回復効果があり、不眠症の治療にも行われる。 1.すべて正しい
2.a,b,c 3.c,d 4.b,d |
<解答> 2.a,b,c
(6)自律訓練法の禁忌症について正しいものをえらべ。 a.心臓疾患のある患者は第三公式を行うと恐怖感を感じるので省略する。 b.過換気症候群は呼吸器に異常はないので積極的に訓練を行い息苦しくなる心配を取り除くのがよい。 c.糖尿病の患者が腹部温感練習を行うと血糖値が上昇傾向になるため行わないほうがよい。 d.頭痛やてんかんの既往のある患者は顔面冷涼練習は行わないほうがよい。 1.a,b 2.bのみ 3.cのみ 4.a,d |
<解答> a.c.d.
(7)自律訓練法を開始するときの心構えについて正しいものを選択せよ。 a.明るい部屋ではカーテンを閉めるなどして、リラックスしやすい状況を整えてから開始する b.気がかりなことがあっても後回しにして開始する。 c.受動的態度で訓練を行わなくてはならない。 d.開始後、重たさが感じにくいときには「重たくなーれ」と語調を変えておこなってみる。 1.a.b 2.c 3.a.c 4.b.d |
<解答> 3.a,c
(8)第3公式について、正しい記述を全て含む回答を選択肢から選べ。 a.意識を向けるだけでは鼓動が感じられない場合には、掌を胸に当てて訓練してもよい。 b.強い鼓動を感じるまで公式を繰り返す。 c.心臓の活動をより安定化するために、「心臓がもっとゆっくり打つ」と唱えるのが効果的である。 d.呼吸の活動に神経質な人は、この公式を省略する。 1.aだけ 2.b,c 3.dだけ 4.d,a |
<解答> 1.a.
(9)第4公式について正しいものを選べ。 a.腹式呼吸につとめなくてもよい b.息を吸っている感じに注意を向ける。 c.ゆっくりと打つ心拍を感じ取る。 d.自然に打つ脈拍に受動的注意集中する。 1.aのみ
2.a,b 3.c,d 4.dのみ |
<解答> 1.a
(10)第5公式(腹部温感練習)について正しいものを選べ。 a.太陽神経叢の働きにより胃腸機能の安定をはかる。 b.鴨脚樹の活動に注意を向けながら公式「おなかが温かい」を繰り返す。 c.糖尿病の患者は、自宅で訓練せず、医療機関受診時にのみ訓練を行う。 d.胃や十二指腸潰瘍の患者は医師の管理下で訓練を開始・継続するのが望ましい。 1.aのみ 2.b,c 3.cのみ 4.d,a |
<解答> 3.cのみ
<解説> 自律訓練法は、脳幹部の機能を調整し、「活動的でエネルギー消費的な状態」から「休息的でエネルギー蓄積的な状態」へと心身全般の体制を変換するための生理的で合理的な訓練法である。一種の自己催眠法、またストレス緩和法ということもできる。
外界からの刺激ができるだけ少ない環境を整備し、時計や眼鏡などを外して練習時間の間保持しても無理のこない自然な姿勢がとれたら、軽く眼を閉じて練習を開始する。
以下の言語公式を、治療者が声に出して繰り返し、それをまねて心の中で暗唱する(自宅では反復暗唱を行う)。原則として1段階を完全にマスターしたところで次の段階を導入していく。
ここで大切なのは受動的注意集中という概念である。無理に「落ち着こう」という能動的態度をとったり、雑念が浮かんだからといって無理にそれを振り払おうとしたりすると、弛緩は得られない。言語公式を繰り返し、自己暗示を続けていると、だんだん集中できるようになる。
背景公式:気持ちが落ち着いている 第1公式:両腕両脚が重たい 第2公式:両腕両脚が温かい
第3公式:心臓がおだやかに規則正しく打っている
心臓疾患の既往がある場合、現在心臓脈管系の症状がある場合は省略する。
第4公式:らくに息をしている
呼吸器系の疾患や機能障害(気管支喘息や過換気症候群など)を持つ人は省略する。
第5公式:お腹(のなか)が温かい
消化器系疾患(胃・十二指腸潰瘍、激しい痛みを伴う胃炎など)、糖尿病、妊娠中の人は省略する。
第6公式:額がこころよく涼しい
てんかん、頭部外傷後遺症、脳障害などのある人は省略する。
一回の練習時間が長すぎると、各公式に関連した身体部位へ注意を向け続けることが困難になったり、公式言語に伴う以外の副次的な諸反応が出現したりする。また、短すぎれば、練習者が物足りなく感じ自律訓練法に対する関心が少なくなることもある。適度な練習時間で切り上げるのが望ましい。
言語公式を用いて自律訓練法の練習を行ったら、最後に必ず「消去動作」を行う。具体的には、両手の開閉、肘の屈伸、深呼吸、開眼がこれに含まれる。
自律訓練法の習得により、心理・生理的変化やさまざまな治療効果が期待できる。
12.交流分析
(1)交流分析について正しいものを一つあげよ。 1.交流分析は、心身医学の三本柱には入らない。 2.交流分析では、人間関係において、相手を変えることによって問題を解決する。 3.交流分析では、自分の性格を知ることによってセルフコントロールすることが目標となる。 4.交流分析は、治療者の援助があっても自分を客観的に見ることができない人に最も良い適応となる。 |
<解答> 3.
<解説> 交流分析とは、人々の間で行われる交流を分析することであり、自己への気づきを促すこと、自律的な生き方をすること、また真実の交流を回復すること、が目的である。
(2)交流分析について正しいものの組み合わせを1つ選べ。 1.「親の自我状態」には自分を育ててくれた人のものの見方・感じ方が反映されると考えられている。 2.「批判的な親」には批判する・押しつけるなど否定的な側面しかない。 3.「大人の自我状態」には全ての自我状態のバランスをとる機能がある。 4.常に1つの自我状態を機能させることが健康な状態であるとされる。 a.1,2 b.1,4 c.1,3 d.2,3 |
<解答> c.1,3
<解説> 自我状態には、批判的な親、保護的な親、大人、自由な子ども、順応した子どもも5つがあり、それぞれに肯定的側面と否定的側面がある。これら5つの自我状態を、そのときの状況などに応じて柔軟に機能できることが健康な状態であるとされる。
(3)交流分析に用いられるのは。
過去問と同じ。 |
答えは、エゴグラム。
(4)交流パターン分析について正しいものを選べ。 1.交流パターンは全部で4つあるとされる。 2.相補的交流の特徴は予想外の反応が起こり交流が途絶えるというものである。 3.交叉的交流はゲーム分析でのプロセスの中に見られる。 4.仮面的交流を分析することはホンネとタテマエの理解に役立つ。 a.1,3 b.2,4 c.1,2 d.3,4 |
<解答> d.3,4
<解説> 交流パターン分析には、1相補的交流(期待通りの反応)、2交叉的交流(期待はずれの反応)、3裏面的交流(隠れた反応)の3つがあるとされている。
(5)交流パターンの型と例の組み合わせで正しいものを1つ選べ。 1.相補的交流 − 情報交換 2.相補的交流 − けんか 3.交叉的交流 − タテマエとホンネ 4.仮面的交流 − 率直だが誤解の生じた交流 |
<解答> 1.
<解説> 1.2. 相補的:予想された自我状態から反応が返ってくるとき、ベクトルは平行で、会話は相補的になっているので、2人の間のコミュニケーションは持続する。 3. 交叉的:予想外の反応が返ってくるとき、ベクトルはクロスし、コミュニケーションは途絶える。 4. 仮面的:表面的には社会的なレベルでのメッセージが出ているが、裏側では心理的な隠されたメッセージがあり、2つのメッセージが同時に伝達されているものをいう。
(6)(5)で示した交流パターンを、下の中から1つ選びなさい。 |
<解答> 2 (5)が情報交換(相補的交流)だった。
(7)(8)患者は22歳男性。 主訴:友人とすぐ喧嘩になる。最近頭痛が出る。 現病歴:今年3月、就職活動で内定が貰えなかったことを友人に相談するも、喧嘩になって ばかりだった。12月、頭痛が出現。 生活歴:両親は厳しく、患者は何でも言う事を聞いてきたが、不満を感じることはなかった。 友人に相談を持ち掛けるが、最終的には喧嘩になり、「勝手にすればいいじゃないか?」と いわれるので、いつも自分のいいように行動してきた。 |
(7)次のうちから2つ正しいものを選べ。 1.脚本分析を行なう必要がある。 2.「大人の自我」が機能していない。 3.両親との関係は重要視しなくていい。 4.患者は友人を怒らせることに密かに快感を感じている。 |
<解答> 2,4
<解説> 予測可能で定型化し、破壊的な結末で終わるもの(ゲーム)に対してはゲーム分析を行う。
(8)この症例に対する対処法として正しい組み合わせを選べ。 1.患者が、交流パターンに気付けるように援助する。 2.治療者とは、喧嘩になる可能性はない。 3.治療者は、患者に肯定的なストロークを与えるように努める。 4.喧嘩の後の不快な感情を、患者がよりよく感じることができるように援助する。 a.1,2 b.3,4 c.1,3 d.2,4 |
<解答> c.1,3
(9)交流分析における脚本分析について正しいものを選べ。 1.脚本の基礎は幼少期に得た禁止令である。 2.脚本分析では、結末で得られる利得について重視する必要はない。 3.脚本分析では、子供の禁止令を一切拒めないと考える。 4.脚本分析を生きる患者には、脚本を抜け出したくない思いは一切ない。 |
<解答> 1.
(10)ラケット感情について正しいものを一つ選べ。 1.ラケット感情には、ポジティブなものも多く存在する。 2.ラケット感情は、真の自然な感情を強い力でカムフラージュすることである。 3.ラケット感情を理解することが、ゲーム分析では重要なことである。 4.ラケット感情を抱くことにより、ひそかに利得を得ることはない。 |
<解答> 3.
<解説> ラケット感情は、現在の行動様式に強く影響している個人の幼児的感情生活のうち、特に慢性化した不快感情をいう。ラケット感情は、幼少時にストロークを得る手段として身につき、現在演じられているゲームを支配する感情である。普通ゲームの結末で体験される。
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