平成17年度 「心身医学」 卒業試験

 

1-1.Cannonの緊急反応でみられるのは?

 .瞳孔縮小  2.唾液分泌低下  3.脈拍上昇  4.消化液分泌亢進

  a)1 2 b)1 4 c)2 3 d)3 4

解答 d

解説 W.B.Cannon:ストレス下の交感神経系の興奮

Fight of Flight=緊急反応:瞳孔拡大 消化液分泌抑制 消化管運動機能低下 心拍出量増加 血圧上昇 血糖上昇

 

1-2.セリエの汎(一般)適応症候群general adaptation syndsomeでみられる状態の反応で正しいのはどれか?

a.抵抗期→疲弊期→ショック期→反ショック期  b.抵抗期→反ショック期→ショック期→疲弊期

c.ショック期→反ショック期→抵抗期→疲弊期  d.ショック期→抵抗期→反ショック期→疲弊期

解答 c(知識問題)

 

1-3.セリエの汎適応障害について正しいものはどれか。

1.ショック期に体温は低下する  2.抵抗期に副腎皮質は萎縮する

3.反ショック期に血糖が低下する  4.疲へい期に血糖は低下する

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)1 4

解答 d

解説

・ショック相 体温低下、血圧低下、血糖値の低下、神経活動の抑制、筋緊張の低下、血液の濃縮、組織崩壊、急性胃腸潰瘍

・反ショック相 副腎肥大、胸腺リンパ組織の萎縮、血圧の上昇、体温の上昇、血糖値の上昇、神経活動の上昇、筋緊張の増加

・抵抗期 適応現象が安定。生体防衛反応が完成された時期。

・疲弊期 体温の下降、胸腺・リンパ節の萎縮、副腎皮質の機能低下

 

1-4.神経伝達物質について正しいのはどれか。

 1.ドーパミンやノルアドレナリンはカテコールアミンと総称される。

 2.うつ病では中枢性ノルアドレナリンやセロトニンの上昇が推定されている。

 3.情動ストレスではノルアドレナリン・コルチゾールが低下する。

 4.不安の発現にはセロトニンやノルアドレナリンの関与が示唆されている。

a)1 2 b)1 4 c)2 3 d)3 4

解答 b

 

1-5.ストレスにさらされた身体にみられる反応はどれか?

1.リンパ節の腫大  2.胃十二指腸潰瘍の発生  3.グルカゴンの分泌増加  4.副腎皮質の萎縮

a)1 2 b)34 c)2 3 d)3 4

解答 c(1-3の解説参照)

 

1-6.急性ストレス反応で亢進しないのはどれか。

1.ACTH  2.グルカゴン 3.コルチゾール 4.インスリン

解答 4

 

1-7.イヌにブザーの音を聞かせても通常は唾液の分泌は生じない。しかし、ブザーのすぐ後に餌を与えるようにすることを繰り返すと、やがてブザーの音のみで唾液を分泌するようになる。このことについて正しいのはどれか。

 1.餌で唾液が出るのが条件反射である。  2.ブザーの音で唾液が出るのが無条件反射である。

 3.ブザーの音は条件刺激である。  4.この一連の過程が条件づけと呼ばれる。

  a)1 2 b)1 4 c)2 3 d)3 4

解答 d

 

 

1-8.ベンゾジアゼピン系抗不安薬の副作用はどれか。

1.遅発性ジスキネジア  2.健忘  3.眠気  4.錐体外路症状

a)1 2 b)1 4 c)2 3 d)3 4

解答 c

解説 ベンゾジアゼピン系の副作用は、傾眠傾向、抑うつ、運動機能・協調運動障害、(動揺性)めまい、神経過敏、順行性健忘

 

 

1-9.三環系抗うつ薬の副作用でよくみられるものを選びなさい。

1.腹痛  2.口渇  3.排尿困難  4.呼吸困難

a)1 2 b)1 4 c)2 3 d)3 4

解答 c

解説 三環系抗うつ薬の副作用は、中枢神経抑制作用(眠気)、抗コリン作用(口渇、便秘、排尿障害、眼圧上昇)

 

 

1-10.心身医学療法について正しいものを選べ。

1.一般内科医でも行われている。 2.健康保険点数でも認められている。

3.症状と心理社会的要因との関係を明らかにする。  4.絶食療法、催眠療法は含まれない。

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)1 4 e)1 3 f)2 4

解答 b

 

 

2-2.神経性食欲不振症制限型の身体所見で正しいものを選べ。

1.徐脈  2.乳房萎縮  3.耳下腺腫脹  4.産毛発生

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)1 3 e)1 4

解答 e(知識問題)

 

2-3.神経性食欲不振症制限型の病態理解に重要な因子で正しい組み合わせを選べ。

1.もともと人嫌いで疑い深い性格の患者が多い。

2.発症頻度の増加はダイエットブームに関係している。

3.やせを得たという達成感から治療を拒否することが多い。  4.すんません。忘れてしまいました。

a)1 2 b)1 3 c)2 3 d)3 4 e)1 4

解答 c(?)

解説 1.神経性食思不振症(以下AN)の性格は自己中心的で強情、負けず嫌い。

2に関しては、そのままを明言していないが。ステップp208参照

 

2-4.DSM-4の神経性食欲不振症の診断基準について述べた。正しい解答をaeより選択せよ。

1.25歳以下 2.20%以上のやせ 3.過食や嘔吐の存在 4.社会から孤立している

a)1のみ正しい b)2のみ正しい c)3のみ正しい d)全て誤り e)全て正しい

解答 b

解説 ANの診断項目は標準体重の-20%のやせ、食行動異常(制限型では見られない?)、体型・体重への間違い認識、30歳以下、女性(無月経)、器質的疾患の除外である。

 

2-5.食欲不振症の検査所見を示す。正しい組み合わせを選べ。

1.白血球はしばしば高値を示す。  2.無茶食い・排出型ではしばしば低K血症を示す。

3.血中コルチゾールはしばしば高値を示す。  4.血清コレステロールはしばしば低値を示す。

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)1 3 e)2 4

解答 b

 

2-6.摂食関連物質について正しいものを1つ選べ。

 1.LeptinもニューロペプチドYも摂食抑制物質である。

 2.OrexinCCKも摂食促進物質である。  3.GhrelinCRHも摂食抑制物質である。

 4.低体重の神経性食思不振症(AN)ではLeptinは低値である。

  a)1 2 b) 2 3 c) 4のみ d)1のみ誤り e)すべて誤り

解答 c

解説 摂食促進はOrexinGhrelin、摂食抑制はCCKLeptinCRHANではLeptin低値を示す。

 

2-7.症例A:患者20歳女性大学生

主訴:下痢、体重減少

現病歴:中学時代は地元では、有名な新体操の選手であった。相次ぐ故障のため19歳時に選手生活を断念し、栄養士を目指し勉強を開始した。そのころ友人から仲間はずれにされたエピソードの後、徐々に食事量が減少し、48kg(肥満度-7.5%)あった体重も一年後には32kg-39.3%)まで落ちた。気分がのらず学校も休みがちとなった。X6月初旬より下痢・腹痛が出現、3日間続いたため近医を受診。胃内視鏡や腹部レントゲン検査にて異常がないため、紹介にてX6月末に当科に受診、その後入院した。入院後の面接では、患者は「やせたいとは、思っていない。ただ食べられないだけ」と言葉少なく語った。過食・嘔吐や自傷行為は認めなかった。この症例の診断について正しいものを選べ。

1.治療職の面接で肥満恐怖が明らかではないため、神経性食欲不振症は否定的である。

2.大うつ病性障害の存在は否定できない。  3.クローン病も疑うべきである。

4.境界性人格障害の存在は明らかである。

a)1 2 b)2 3 c)1 3 d)1のみ誤り e)すべて誤り

解答 b

解説 境界性人格障害の特徴は、不安定な感情、不安定な対人関係、度重なる自傷行為

 

2-8.小問7の症例Aの治療について、患者および家族の同意を得て、行動制限を用いた認知行動療法を行った。正しいものを選べ。

1.入院治療では目標体重を決める。  2.オペラント強化を利用した方法である。

3.著しい低体重(BMI<12)では中心静脈栄養(IVH)が必須である。

4.患者が退院を希望すれば、すぐに外来治療に以降するのがよい。

a)1.のみ正しい b)1.2. c)1.3. d)1.4. e)すべて間違い

解答 c(?)

解説 2○、4×、3は必須ではないと思います。普通は経鼻経管栄養が使われるようです。

 

2-9.小問7の症例Aの治療は、一日の食事は経口摂取400キロカロリーに加え、経鼻経管栄養1000キロカロリーより開始した。入院当初はおとなしくしていたが、行動制限を開始後、1週間目に患者が食べ物を、こっそり捨てたし、他の患者に渡していることが、他の入院患者さんの苦情で明らかになった。そのときの対応で正しいものを選べ。

1.違反行動なので、直ちに退院していただく。  2.自主的に違反行動をやめるまで静観する。

3.違反行為を患者がすることについては、行動制限を用いた認知行動療法が上手く機能していないので行動制限を中止する。

4.栄養の補給は、ただちに中心静脈栄養(IVH)に切り替える。

a)1.のみ正しい b)1.2. c)1.3. d)1.4. e)すべて間違い

解答 e

 

2-10小問7の症例Aの治療は、治療が進むにつれ対人関係、とくに集団の中で緊張するため自己主張が苦手で、上手に自分の言いたいことがいえず、我慢し、それがストレスになっていることが明らかとなった。そのため、自己表現を上手にする集団療法に参加することになった。正しいものを選べ。

1.ソーシャルスキルトレーニングもその一つである。

2.個人療法ではできないことが集団療法の中で練習できる。

3.攻撃的な自己主張ができるようになることが目的である。

4.非言語的表現は重要視されない。  5.ロール・プレイは組み込まれない。

a)1.のみ正しい b)1.2. c)1.3. d)1.4. e)すべて間違い

解答 b

 

 

3.ストレスと免疫

3-1.ストレスと神経-免疫-内分泌系に関する次の記述のうち正しいものをあげよ。

1.種々の心理社会的ストレスは免疫機能を変化させる。

2.免疫系組織には自律神経が広く分布している。

3.脳の特定部位の刺激や破壊によって免疫機能は必ず亢進する。

4.インターロイキン4は発熱に深く関与している。

5.インターロイキン3は視床下部-下垂体-副腎軸を活性化させない。

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)4 5 e)1 5

解答 a(e)

解説 1○、2○?交感神経と副交感神経が分布する、3×、4はIL4IL1、5○(活性化させるのはIL-1IL-2IL-6TNFαなど)

 

3-2.ストレスと神経-免疫-内分泌系に関する次の記述のうち正しいものをあげよ。

1.ストレス刺激は、主として副交感神経および視床下部-下垂体-副腎系を活性化させる。

2.ベルナールによって提唱されたホメオスタシス(生体恒常性維持)の概念はセリエによってさらに発展し、いわゆるアロスタシス(allostasis)として集大成された。

3.副交感神経の遠心路は免疫機能へは影響しないと考えられている。

4.心理的ストレスも身体的ストレスと同じく免疫機能に影響する。

5.神経系と免疫系は共通の情報伝達物質および受容体機構を持っている。

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)4 5 e)1 5

解答 d

解説 1×交感神経も、2×セリエ→キャノン、3×

 

 

3-3.次のうち正しいものの組み合わせをあげよ。

1.配偶者との死別:リンパ球幼若化反応の低下  2.インターフェロン:食欲亢進

3.自然災害:NK細胞活性上昇  4.交感神経:グルココルチコイド

5.喪失体験:口唇ヘルペス再発の増加

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)4 5 e)1 5

解答 e

解説 2×インターフェロンは摂食抑制に働く。3,5ストレスによりNK細胞活性低下

 

3-4.次のうち正しいものの組み合わせをあげよ。

1.うつ病:NK細胞活性低下  2.火傷:物理・化学的ストレッサー  3.内部環境:W.B.キャノン

4.インターロイキン5:視床下部-下垂体-副腎系の活性化  5.軸索反射:マクロファージ

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)4 5 e)1 5

解答 a

解説 3×キャノン→ベルナール、4×IL5IL1、5×Mφ→肥満細胞

 

3-5.次のうち正しいものの組み合わせをあげよ。

1.カテコラミン:Th1反応の増強  2.肥満細胞:IgEレセプター  3.細胞性免疫:NK細胞

4.グルココルチコイド:Th1反応の増強  5.インターロイキン4:視床下部-下垂体-副腎系の活性化

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)4 5 e)1 5

解答 b

 

4.アレルギー・呼吸器系心身症

4-1.過換気症候群で正しいのはどれか。下記の( )から一つ選べ。

a.過換気症候群を診断するときには過呼吸テストが大事である。

b.過換気発作の時はPaCO2の著名な低下とアルカローシスが認められる。

c.過換気症候群は若年男性に多い。  過換気症候群では意識の喪失を伴うのが通常である。

1) a b 2)b c 3)c d 4)d a

解答 1

解説 過換気症候群は若年女性に多い、頻呼吸とそれによる呼吸性アルカローシスを呈する疾患で、症状は呼吸困難感、空気飢餓感、四肢のテタニー痙攣・筋硬直、全身痙攣・後弓反射がある。治療は紙袋で呼吸が行われる。

 

4-2.過換気症候群で正しいのはどれか。一つ選べ。

a.治療はまず酸素を投与することが大事である。

b.治療として最近ではpaper bag rebreathing法はあまり行われなくなってきた。

c.過換気症候群では発作時に脳血管が拡張し、拍動性の頭痛を伴うことが普通である。

d.発作のときは空気飢餓感や四肢の硬直が認められることが多い。

解答 d(解説は同上。c×脳血管は収縮する)

 

4-3.気管支喘息の大発作で来院した患者の治療として適切でないのはどれか。

a.輸液  b.アミノフィリン点滴  c.β遮断剤吸入

d.抗ヒスタミン薬皮下注射  e.副腎皮質ホルモン剤点滴

1) a b 2)b c 3)c d 4)d e 5)a e

解答 3

解説 c×禁忌(使うのはβ受容体刺激薬)、d×発作の予防のみ。(すでに生じた発作には期待できない)

 

4-4.気管支喘息に関して正しいものを一つ選べ。

a.喘息の治療ではパートナーシップよりも治療者が指示を与えることが大事である。

b.ストレスが多くなると薬物コンプライアンスがよくなる傾向にある。

c.喘息発作を放置していると肺機能が元に戻らないことがあるので、持続的な治療が必要になる。

d.多くの喘息患者は自分の肺機能を正確に予測できる。

解答 c(?)

解説 長期罹患により可逆性は低下する。

 

4-5.気管支喘息の治療のなかで正しいものはどれか?

a.喘息薬物を大きく分けると気管支拡張薬と抗炎症剤がある。

b.最近の気道炎症論に基づき気管支拡張剤の使用が多くなった。

c.吸入ステロイド剤は副作用が強くあまり用いられない。

d.ピークフローメーターは持ち運びが大変なので、最近あまり用いられなくなった。

e.ピークフローメーターは自分の喘息の良い指標となるので規則正しく測定することが望ましい。

1) a b 2)b c 3)c d 4)d e 5)a e

解答 5

解説 d×吸入ステロイドは肝臓で代謝されるため副作用はあまり強くない。副作用としては、のどの違和感、痛み、嗄声が起こる。まれに鵞口瘡など。

 

5.代謝系の心身症

5-1.正しい組み合わせを選べ。

a.多くの糖尿病患者が、経口血糖降下薬の投与やインスリン注射に心理的抵抗感を持っている。

b.一型糖尿病では生活習慣の悪化が発症の引き金となる。

c.糖尿病患者はやせていなければならない。

d.血糖コントロールが良くなれば太ると思い、血糖コントロールを良くできない患者がいる。

1)a b 2)b c 3)c d 4)a c 5)a d 6)b d

解答 5(?)

解説 bはII型のことだと思います。またやせていなければならないは正しくないかと。

 

5-5.以下の分のうち正しい組み合わせを選びなさい。

a. I型糖尿病もII型糖尿病も、食べ過ぎや運動不足が発症の主な原因である。

b.糖尿病の治療経過には個々の患者の性格が強く影響する。

c. I型糖尿病は若年者にのみ生じ、中高年者に発症することはない。

d.糖尿病であることで、患者はしばしば大きな引け目を感じるものである。

1)a b 2)b c 3)c d 4)a c 5)a d 6)b d

解答 6

 

5-6.糖尿病・代謝系の心身症について正しい組み合わせを選べ。

a.中年の糖尿病患者はその治療より仕事を優先しがちである

b.全ての糖尿病患者は仕事よりその治療を優先するべきである

c.身体的な問題だけでなく患者の社会的背景や個人差なども考慮できる医師による糖尿病治療はうまくいく事が多い

d.I型糖尿病患者はII型の患者に比べて過食をすることは少ない

1)a b 2)b c 3)c d 4)a c 5)a d 6)b d

解答 4

解説 aとcは○です。bが微妙かと思われます。dは×

 

 

5-7.代謝系の心身症について16から正しいものを一つ選べ。

a.糖尿病は生活習慣病であり、糖尿病患者は他の人たちよりも悪い生活習慣を持っていたから発症したといえる。

b.糖尿病のコントロールの良し悪しと、患者の心理面とは関係ない。

c.糖尿病治療において、家族、友人、医療スタッフは重要な支援者である。

d.糖尿病患者におけるうつ病の合併率は高い。

 1)a b 2)b c 3)c d 4)a c 5)a d 6)b d

解答 3

 

 

5-8.代謝系の心身症に関して正しい組み合わせを16の中から1つ選べ。

a.子供が糖尿病になった場合、親によっては、過保護、甘やかし、または拒否といった行動に出てしまうことがある。

b.1型糖尿病の治療は、インスリン治療が中心である。

c.糖尿病患者のセルフケアが不良な場合、もっと苦しんでいる人が世の中にはたくさんいることに気づかせることが重要である。

d.インスリン注射の導入は、内因性インスリンの分泌低下につながるので、やむをえない場合に限るべきである。

1)a b 2)b c 3)c d 4)a c 5)a d 6)b d

解答 1      解説 bcは×です。

 

 

5-9.正しい組み合わせを選べ

a.1型糖尿病はインスリン注射さえ適切に行っていれば、特別の食事制限、運動療法をしなくても、比較的良好な血糖コントロールが得られる。

b.糖尿病の食事療法がうまくいくためには、発症後まもない時期に徹底した食事制限をして、少ないカロリーに慣れてもらうことが重要である。

c.糖尿病に合併したうつ病は再燃や再発を繰り返すことが多い。

d.2型糖尿病は成人病であるので、小児の2型糖尿病は1型糖尿病より少ない。

1)a b 2)b c 3)c d 4)a c 5)a d 6)b d

解答 2

解説 d×I型の方が少ないそうです。(I型:自己免疫性糖尿病)

 

 

5-10.正しい組み合わせを選べ

a.1型糖尿病も2型糖尿病も同じ糖尿病なので治療方針はほとんど同じである

b.1型糖尿病と2型糖尿病では成因が異なるので、それぞれに合わせた治療を行う

c.食事制限は糖尿病患者が感じるストレスで最大のものである

d.糖尿病治療では医師が目標をたて、医師が治療結果に責任を持つ

1)a b 2)b c 3)c d 4)a c 5)a d 6)b d

解答 2

 

 

 

 

6.消化器心身医学

6-1. 次の各々の質問を読み、以下の項目のうち正しい組み合わせを一つ選べ。

a. 消化器神経症は消化管機能異常を伴うことは少ない。

b. 消化器神経症と被虐待歴との間には関連性がある。

c. 消化器神経症の治療の目的は症状の消失ではなく症状のコントロールが主である。

d. 消化器神経症はヘリコバクターピロリと関わっていることが多い。

 1)a b 2)b c 3)a c d 4)adすべて

解答 2

解説 消化管神経症は消化管の機能異常を伴い、治療は症状のコントロールを行う。ストレス、特に虐待との関連性が示唆されている。

 

6-2.Functional DyspepsiaRome II 診断基準で正しいものを選べ。

a.過去12か月の間に連続する12週間以上、上腹部痛または不快感が持続的または間歇的に見られる。

b.過去12か月の間に必ずしも連続しない12週間以上、上腹部痛または不快感が持続的または間歇的に見られる。

c.過去12か月の間に連続する12週間以上、上腹部痛かつ不快感が持続的または間歇的に見られる。

d.過去12か月の間に必ずしも連続しない12週間以上、上腹部痛かつ不快感が持続的または間歇的に見られる。

解答 b

解説 Functional DyspepsiaRome II 診断基準「過去12か月の間に、少なくとも12週間にわたり(連続していなくてもよい)、1.持続するあるいは再発性のDyspepsia(上腹部の痛みまたは不快感)があり、2.症状を説明できる器質性の疾患(上部消化管内視鏡検査の結果も含め)がない、3.Dyspepsiaの症状は排便により軽快することがない、あるいは、便通の頻度の変化や便の性状の変化のはじまりと症状が関連していない(すなわち過敏性腸症IBSではない)。」

 

6-3.次の各々の記述のうち正しい組み合わせ1つを選べ。

.胃・十二指腸潰瘍の発症・持続原因の1つにストレスがある。

.胃・十二指腸潰瘍はヘリコバクターピロリの除菌により全て治癒する。

.炎症性腸疾患においても消化器心身症の側面があり心身両面の治療が有効である。

.潰瘍性大腸炎の初期像は過敏性腸症候群と区別しがたい時がある。

 1)a b 2)b c 3)a c d 4)adすべて

解答 3

 

6-5.functional dyspepsia(以下、FDと略)について正しいものを選べ。

a.FDは胃十二指腸潰瘍を含む。  b.FDは逆流性食道炎を含む。

c.FDRome II診断基準には胃逆流性食道炎はない。

d.FDの診断には上部消化管内視鏡が重要である。  e.FDでは排便で腹痛が軽快する。

1)a b  2)b c  3)c d  4)d e  5)a e

解答 3  (解説はFDのRome II診断基準参照、器質的異常のあるものは入らない)

 

6-6. 過敏性腸症候群について正しいものの組み合わせを選べ

a.一般人口の20%程度で女性に多い  b.過敏性腸症候群は小腸の機能異常も認める。

c.過敏性腸症候群では血便が見られることが多い。

d.過敏性腸症候群では便秘と下痢が繰り返されることはない

 1)a b 2)b c 3)a c d 4)adすべて

解答 1

解説 過敏性腸症候群(IBS)の症状は繰り返す下痢、便秘、ガス過多。

診断基準 「腹部不快感や腹痛が過去12ヵ月のうち少なくとも12週(連続でなくてもよい)以上あり、以下の3つの特徴のうち2つ以上を満たす。」

(1)排便により症状が軽快する (2)排便回数の変化を伴う。 (3)便性状の変化を伴う。

 

6-7. 過敏性腸症候群の病態整理について正しいものの組み合わせを選べ。

a.過敏性腸症候群の機能異常は運動異常と知覚異常が関与しており脳との関連性も大きい。

b.過敏性腸症候群の患者は下部消化管の知覚(痛覚)閾値が高いことが多い。

c.過敏性腸症候群の消火器症状は不安、緊張、うつ症状と相関していることも多い。

d.過敏性腸症候群の治療では、生活指導、食事療法など規則正しい生活習慣をつけさせることも重要である。

  1)a b 2)b c 3)a c d 4)adすべて

解答 3

解説 IBSは(視床下部→)自律神経→腸管神経の部分が過剰反応を起こしている状態。また自律神経系の問題でもあるため、cやdは大きな関連性を持っている。

 

6-9.胆道機能異常(胆道ジスキネジー)における初期診断と治療について、正しいもの一つを選べ。

1.上部消化管内視鏡検査、腹部超音波検査は必須である。

2.肝機能検査、膵酵素の血液検査は必須ではない。

3.抗うつ薬、抗不安薬や心理療法が有効な場合は少ない。

4.抗コリン薬や消化管運動調節薬による対症療法が中心である。

1)a 2)b 3)c 4)d

解答 1(a)

解説 胆道ジスキネジーは「胆嚢が収縮して胆汁を総胆管に送り込むと同時に十二指腸乳頭括約筋(Oddi括約筋)が弛緩して十二指腸への流出を促進するという合目的協調運動」が機能異常(協調運動失調)を起こし、胆汁流出障害をきたすことにより胆道痛を生じる。

器質的疾患を除外するため、上部消化管内視鏡、腹部エコー、肝機能検査、膵酵素などは必須。

 

6-10. 正しいものの組み合わせを選べ。

a.機能性消化管障害の診断及び治療において、消化管運動障害、知覚異常、心理社会的因子の3つの相互の関連性を考える必要がある。

b.上腸間膜動脈(SMA)症候群は、神経性食欲不振症でも生じることがある。

c.SMA症候群は、腹部大動脈と上腸間膜動脈が十二指腸水平脚を挟むことにより通過障害が起こる。

d.アルコール性肝障害の治療において、アルコール依存症との鑑別は重要であり、精神科の専門医の治療の必要性も考慮せねばならない。

 1)a b 2)b c 3)a c d 4)adすべて

解答 4

解説 SMA症候群の解剖学的説明「十二指腸の水平部位(第3部位)は、前方から上腸間膜動脈に、後方から腹部大動脈と腰部脊椎に挟まれた位置にあります。この部位は、通常は、脂肪組織やリンパ組織のクッションによって守られていますが、急激な体重減少に伴って、上腸間膜動脈周辺の脂肪組織のクッションがなくなり、十二指腸の第3部位が前後方から締めつけられることによって、十二指腸閉塞を起こす。」

 

7.慢性疼痛

7-1.痛みの定義について正しいものを全てあげよ。

a.痛みは主観的な体験だから患者が「痛い」と言えば痛みが存在すると考える。

b.痛みには不快な感覚、情動を伴う。  c.痛みは実質的な組織損傷に結び付くものだけをいう。

d.侵害刺激が存在しなければ痛みは存在しない。

1)a b 2)a b c 3)全て 4)d

解答 1

解説 痛みの定義

「痛みとは組織の実質的あるいは潜在的な組織の損傷と結びつくか、そのような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である。」

 

7-2.痛みのゲートコントロール理論に関して正しいものを全てあげよ。

a.オハンロンにより提唱された痛みに関する理論である。

b.過去の経験や情動はゲートに影響を与えない。  c.感覚入力は全て正確に脳に伝達される。

d.慢性疼痛患者ではゲートが開いていると考えられる。

1)a b 2)a b c 3)全て 4)d

解答 4

解説 ゲートコントロール理論はMelzackWallにより提唱された疼痛伝達抑制に関する理論で、脊髄後角内に痛みを伝えるか遮断するかのゲート()があり、門を開けるのが痛覚神経からの刺激で、閉じるのがそのほかの感覚神経からの刺激であるという仮説からなっている。

 

7-3.慢性疼痛について

2001年に米国が「痛みに関する10年」という国家プロジェクトを発表したのをきっかけに、大脳皮質の体性感覚以外に前部帯状回などの、(A)に関わる(B)系が、侵害刺激に対して活性化されることがわかった。また、1980年の米国精神医学会の診断基準(DSM-III)で(C)とされていた概念は、現在の診断基準(DSM-IV TR)では疼痛性障害とされている。

a.代謝  b.末梢神経  c.情動  d.脳下垂体  e.運動  f.大脳辺縁系  g.学習性疼痛

h.認知性疼痛  i.心因性疼痛障害  j.身体表現性疼痛

1)a d j 2)c f i 3)e f g 4)b f h

解答 2

 

 

7-4.慢性疼痛について正しいものの組み合わせを選べ。

 a.痛みの入力路からの入力情報から痛みの抑制路からの情報をひいたものは個人の痛みの体験になる。

 b.炎症物質の増強により侵害性受容体痛の痛覚過敏の原因になる。

 c.慢性疲労やうつでは痛みの抑制系が低下しているため痛みが強く感じる。

 d.自律神経機能異常により血管や消化管の不安定な収縮と弛緩、骨格筋の収縮をきたし、機能性疼痛の過敏を引き起こす。

  1)a b 2)a c 3)全て 4)d

解答 3

 

 

7-5.次の文章の空欄に当てはまるものの組み合わせを選びなさい。

抗うつ薬が痛みに奏功する機序は、シナプス間隙における(A)やノルアドレナリンといった神経伝達物質の(B)の作用により(C)の機能を賦活することで、脊髄後角の侵害受容ニューロンを抑制することが知られている。

 a.再取り込み促進  b.セロトニン  c.アセチルコリン  d.グルタミン酸  e.逃避行動

 f.再取り込み阻害  g.下行性疼痛抑制系  h.脊髄視床路

  1)b a h 2)c a h 3)d f g 4)b f g

解答 4

 

7-6.慢性疼痛に対しての治療として有効性が知られている行動療法では治療の対象を<痛みの存在を周囲の人に示す行動>である(a)として考え、(a)の持続によって得られていた、擁護反応、現実回避、葛藤回避および(b)といった個々の患者にとっての社会生活での報酬を(c)によって獲得できるよう援助していくことが重要である。

1.家族システムの維持  2.適応行動  3.疼痛行動  4.疼痛  5.逃避行動  6.心因性顕示行動

解答 a.疼痛行動 b.家族システムの維持 c.適応行動

 

7-7.痛みは大脳皮質の体性感覚野以外に前部帯状回や島皮質といった(1)に関与する(2)が侵害刺激によって活性化されていることがわかった。

解答 1.情動 2.大脳辺縁系  (解説は7-3参照)

 

7-8次のうち正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a.精神生理学的疼痛・・・・ストレスによる骨格筋の攣縮や血管の収縮が関与

b.うつ病型疼痛・・・・坑うつ薬で治療  c.回避型疼痛・・・・痛みを伴いそうな場面を避ける

d.神経因性疼痛・・・・精神分析が有効

1)a b 2)a b c 3)全て 4)d

解答 4(2?)

解説 心因性疼痛の治療:認知技法による疼痛制御、NSAIDsや三環系抗うつ薬、鎮痛薬を用いる。但し、上のような分類があるのかは調べれませんでした。

 

7-9.疼痛性障害の定義で、DSM-IVの中で述べられているものを全て選べ。

a.少なくても6ヶ月の疼痛へのとらわれ。  b.疼痛が臨床像の中心を占めている。

c.心理的要因が、疼痛の発症、重症度、悪化、持続に重要な役割を果たしている。

d.社会的、職業的機能の障害を引き起こしている。

e.疼痛により患者が自分にとって有害な活動を避けることが出来る。

1)a b 2)b c d 3)c d e 4)dのみ 5)b d

解答 2 期間の制限はなく、eは認知行動的アプローチの時(7-6参照)

解説 疼痛性障害の診断基準

A1つまたはそれ以上の解剖学的部位における疼痛が臨床像の中心を占めており、臨床的関与に催するほど重篤である

B,その疼痛は、陥床的に著しい苦痛または、社会的・職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている

C,心理的要因が、疼痛の発症、重症度、悪化、または持続に重要な役割を果たしていると判断される

D.その症状または欠陥は、(虚偽性障害または詐病のように)意図的につくりだされたり捏造されたりしたものではない

E.疼痛は、気分障害、不安障害、精袖病性障害ではうまく説明されないし、性交疼痛症の基準を満たさない

・心理的要因と関連した疼痛性障害(DSMIV30780

  心理的要因が、疼痛の発症、重症度、悪化、持続に重要な役割を果たしていると判断される

・心理的要因と一般身体疾患の両方に関連している疼痛性障害(DSMIV30789

  心理的要因と一般身体疾患の両方が、疼痛の発症、重症度、悪化持続に重要な役割を果たしていると判断される

・一般身体疾患と関連している疼痛性障害

  一般身体疾患が、疼痛の発症、重症度、悪化、持続に重要な役割を果していると判断される

 

 

7-10.慢性疼痛の治療において正しいものをすべてあげよ。

a.痛みを客観的に分析して、理学所見がなければ「痛みがあるはずはない」と患者の訴えを拒否することが重要である。

b.患者の痛みに対しては、患者の訴えや理学的所見が重要で、患者の行動やその背景となる環境に目を向けるべきではない。

c.患者が痛がっているときだけ注目し、痛みを訴えないときには受容しないことが重要である。

d.病態解明のための客観的分析は重要であるが、患者の情動や患者の困っている問題解決への援助の配慮が重要である。

1)a b 2)a b c 3)全て 4)d

解答 4

 

8. 神経系

8-2.心電図R-R間隔変動(CVR-R)について正しいものの組み合わせを選べ

a.心拍間隔が均一なほど、高値となる。 b.高齢者で増強する c.糖尿病による神経障害で低下する

d.自律神経を表している  e.アトロピン負荷で増強する(減弱する?)

1)a b 2)b c 3)c d 4)d e 5)b d 6)c e

解答 3

解説 CVR-Rは自律神経機能の評価方法であり、高齢者や糖尿病性自律神経障害を合併している場合にはその変動が小さくなる。

 

8-3次のうち精神的緊張で低下するものを選べ

a.脈拍数  b.血圧  c.呼吸数  d.末梢体温  e.皮膚コンダクタンス(皮膚抵抗の逆数)

1)a 2)b 3)c 4)d 5)e

解答 d(e?)

解説 末梢体温は問題(1-3)でも触れましたとおり、ショック期では下がるようです。ただ反ショック期で上昇するため微妙です。eが分からないため、除外できませんでした。

 

8-4.「バイオフィードバック療法について正しいものをすべて選びなさい」

a.生体情報を音・視覚刺激などによりモニターし、セルフコントロールの訓練を行う。

b.器質的な原因による症状に対しても効果がある。

c.機器によるフィードバックを前提とするが、フィードバックをかけないときの測定値も改善される。

d.必要に応じ、薬物療法の併用をおこなう。

1)a b 2)b d 3)b c d 4)a c d 5)a b c 6)すべて正しい

解答 6  

解説 BFとは、工学的装置を用いて平生あまり意識していない生理学的情報をモニターし、自分自身の内部で起こっている生物学的変化を、視覚的信号および聴覚的信号の形で本人に知覚できるようにさせる過程をさす。生理学的機能をセルフコントロールすることにより学習させる。生体現象としてはI群とII群に分かれ、I群には心電図(不整脈)、筋電図(筋緊張性頭痛、呼吸筋強化、痙性斜頚)、脳波(てんかん、慢性頭痛)があり、II群には血圧(高血圧、起立性低血圧)、皮膚温(古典的偏頭痛、レイノー現象)、消化管内圧(過敏性腸症候群、便失禁)、気導抵抗や呼吸音(喘息)がある。()の中は適応疾患。

 

8-5.BF療法の適応となるのはどれか?

a.緊張性頭痛  b.片頭痛  c.麻痺性排便障害  d.気管支喘息

1)a b 2)b c 3)c d 4)a c d 5)b c d 6)すべて

解答 6? (上の解説参照)

 

8-6.偏頭痛の治療について正しいもの。

a.予防薬としてCaブロッカー、βブロッカー、抗てんかん薬などがある。

b.エルゴタミンは発作初期に有効である  c.トリプタンは発作後期にも有効である。

d. NSAIDは無効である。  e.抗不安薬や抗うつ薬は症例によっては有効である。

1)a b c d 2)a b c e 3)a b d e 4)a c d e 5すべて

解答 2

解説 偏頭痛の治療は予防と発作時に分かれる。

長期の予防:β遮断薬,カルシウム拮抗薬,三環系抗うつ薬,または抗けいれん薬を使うことがある。

緊急治療(発作時):スマトリプタン(セロトニン受容体を活性化させる=5ヒドロキシトリプタミン[5-HT1B/1D作動薬)は神経性炎症を遮断し,ほぼ70%の患者の片頭痛の進行を食い止める。またエルゴタミン酒石酸塩とジヒドロエルゴタミン(麦角アルカロイド誘導体)も使用され効果的である。

NSAID(鎮痛薬)は軽度から中等度の患者には効果的な場合があるが、患者によっては投与量の増加に伴ってリバウンド頭痛を引き起こすため慎重に使用する。オピオイドは特異な状況と厳格な指針のもと以外では,避けるべきである。(メルクマニュアルより)

発作初期と後期に関する記述は見つけれませんでしたが、2で問題ないと思います。

 

 

8-7.頭痛について

a.緊張性頭痛では筋緊張は自覚されていないことが多い。

b.片頭痛の薬でトリプタン製剤はできるだけ発作の初期に用いるのが望ましい。

c.自律訓練法は筋緊張頭痛、片頭痛のどちらにも有効である。

d.うつ病での頭重感はしばしば頭痛として訴えられる。

1)a b c 2)a b d 3)a c d 4)b c d 5)全て

解答 3

解説 b×頭痛は第5公式「額がここちよく涼しい」の適応外となっている。

 

 

8-8.ジストニア症候群(傾性斜頚、書頚など)について正しいのはどれか。

a.心理的因子は持続・増悪因子として重要である。

b.特定の筋の器質的肥大は発症因子として重要である。

c.心因性因子による筋肥大は発症因子として重要である。

d.ボツリヌス毒素は心因性因子による筋肥大には使われない。

1)a d 2)a b 3)b c 4)c d 5)a c d 6)a b c

解答 1?

解説 分かりません。aは○。cは心因性の痙性斜頚では筋肥大を伴わないようですし、d?痙性斜頚の治療は自律訓練法、抗うつ薬・抗不安薬、BFなどだそうで、ボツリヌス菌毒素注射は,眼瞼けいれんと痙縮性ジストニアの患者に特に有効であるそうです。

 

 

8-9.めまいについて正しいものを選べ

a.難治性メニエール病には、抗不安薬、抗うつ薬が奏効することがある。

b.ストレスによる心因性めまいはしばしば動揺性である。  c.不安はめまいの原因とはならない。

d.不安が増悪因子の場合、プラセボは無効のことが多い。

1)a b 2)a c 3)a d 4)b c 5)b d 6)c d

解答 2

解説 b×動揺性めまいは中枢性で多い。

 

8-10.正しいものを選べ。

a.心因性耳鳴は難聴など器質的障害のある場合は除外される

b.うつ病は耳鳴を合併することが多いが、うつの改善は耳鳴の改善は相関しない

c.耳鳴は意識により増悪することは少ない  d.転換性障害は保護的に扱うのがよい

1)a 2)b 3)c 4)d 5)a d 6)いずれも誤り

解答 5?

解説 d○転換性障害では、薬物療法は期待できないため、洞察中心の支持的療法などの精神療法が主体となる。aも○だと思うのですが。bとcは×です。

 

9.交流分析

9-1.正しいものを選べ。

a.交流分析は、日本で創始された理論に基づく治療体系である。

b.交流分析では自分の性格の不調和に気づくことが可能である。

c.交流分析は、他人と過去は変えられるという考えに基づいている。

d.交流分析は、構造分析・交流パターン分析・ゲーム分析の3つから成る。

解答 b

解説 交流分析とは、米国の精神科医 E・バーンによって創始された性格およびコミュニケーションの理論とそれに基づく治療体系を示す。交流分析は、I構造分析、II交流パターン分析、IIIゲーム分析、IV脚本分析の4つからなる。目的は、1自己への気づきを増す。2自律的な生き方をする(人間は本来考える力を持ち、自分の運命を決断できる)。3真実の交流(親交)を回復する。

なお交流分析についての記述はすべて心療内科実習中に配られたプリントを参照しています。そちらを参考にして下さい。

 

9-2.構造分析について正しい組み合わせを選べ。

1.自我状態とは感情、思考、行動パターンを包括したものである

2.「大人の自我状態」は養育者の影響を受ける

3.「子どもの自我状態」がうまく機能しているとその人はのびのびとしていて遠慮がない

4.常に1つの自我状態が機能しているのが健康な状態とは言えない

a)1 2 b)2 3 c)3 4 d)1 4

解答 d

解説 2×「大人の自我状態」→「親の自我状態」、3×遠慮がない→強調する

 

9-3.交流分析について正しいものを選べ。

 1.個人の無意識の人生計画を探るものである。  2.自分の分析のみする。

3.表情、姿勢、声の調子など非言語的なものも扱う。  4.図を使う。

A )1 2 b) 3 4 c) 2 3 d )1 4

解答 b

解説 交流パターン分析とは、人々がお互いにどのように作用し合うかを簡単な形で分析し、明確にするもの。その交流は言語的なものに限らず、表情、姿勢、声の調子など非言語的なものも含まれる。1相補的交流(相手の予想通りに反応する場合)、2交叉的交流(相手が予想外の反応を示す場合)、3仮面(裏面)的交流(一見合理的なメッセージを発信しているように見えて、その裏に異なった動悸や目的を隠し持っている交流)の三つに分けられる。

 

9-4.交流パターンの型と例について正しいものを1つ選びなさい

1.相補的交流-信頼関係のある医師・患者のやりとり

2.交叉的交流-お世辞  3.仮面的交流-情報交換  4.仮面的交流-片思い

解答 1

解説 2×お世辞は仮面的交流。3×情報交換は相補的交流。4×片思いは交叉的交流

 

9-5. 正しいのはどれか。

症例:35歳、女性、主婦

主訴:頭痛

現病歴:平成X1月に仕事を退職し、その頃から頭痛が出現した。複数の医療機関を受診するも軽快せず、平成X10月に心療内科を受診した。

心理社会的背景:元来控えめで、周囲に気を使う性格。大卒後就職し、仕事は楽しくやりがいを感じていた。結婚後、夫の希望で退職した。夫は患者を心配し、病院に連れて行ったり、気分転換に外出したりと世話を焼いているが、よくならないためイライラしている。患者は夫に申し訳ないと感じながら、自分でもなぜ治らないかが分からない。

1.この症例では、「大人の自我状態」が機能していないと思われる。

2.この症例では、FCが優位に機能していると思われる。

3.この症例では、患者は夫に世話を焼かせることで、密かに満足感を得ている可能性がある。

4.この症例は、脚本分析にて理解することが有効である。

a)1 3 b)2 4 c)1 4 d)2 3

解答 a

解説 患者は頭痛がずっと治らないことに対して、現実的に対応することに欠如しているため「大人の自我状態」が機能していないと考えることができる。またこの患者は夫に申し訳ないと感じてはおり、FCが優位に機能しているとは考えられない。この症例は、ゲーム分析で理解することができ、患者は夫に世話を焼かせることでひそかに満足感を得ていると考えられる。

 

9-6.5の症例への対処法について正しいものを一つ選べ。

1.患者と治療者の関係においては、イライラは生じない。

2.夫のイライラ後の患者の申し訳ない気持ちについて、より深く感じるよう援助する。

3.治療者は、患者の訴えをよく聴き、患者の希望になんでも応えるようにする。

4.患者と夫の交流パターンの切り換えの瞬間に気付くよう援助する。

解答 4

解説 『ゲーム』が生じているため、それをやめるためには、1「切り替え」に瞬間に気づいて中断すること、2事実に関するやり取りを中心にすること、3最初の「仕掛け」に飛びつかないこと、4不快感情にひたらないこと、5肯定的なストロークを与える・求める・受けることが必要である。

 

9-7.ゲーム分析について正しいものを1つ選べ。

a.ゲームの結末に味わうのは、心地よい感情である。  b.ゲームは繰り返すものである。

c.ゲーム分析は、FCが機能していないことを重視する。

d.ゲームをやめさせるには、利得を得ないように否定的なストロークを与えることが必要である。

解答 b

解説 a×「結末」は両者が不快な感情(ラケット感情)になる。c・d×

 

9-8.ゲームを終らせるために必要なことは次の内どれか1つ選びなさい。

1.事実を取り扱うやりとりから感情のやりとりに切り替える。

2.利得を得ないように否定的なストロークを与えることが必要である。

3.承認する、認めるといった肯定的なストロークを与え続ける。

4.ゲームのたびに経験される感情(ラケット感情)をじっくりあじわうように促すことが必要。

解答 1  (解説は9-6の解説参照)

 

9-9.脚本分析について正しい組み合わせを1つ選びなさい。

1.脚本は、大人になってからの禁止令が基礎になっている。

2.脚本分析では、生育歴を振り返ることが大切である。

3.脚本の脱却では、脚本の結末で得る利得をこれからも得られるようにしていくことが大切である。

4.脚本分析では、子供であっても禁止令を拒むことができるという考え方がある。

a)1 2 b.3 4 c)1 3 d)2 4

解答 d

解説 1×大人→幼少時、2○、3×禁止例を許可証に書きなおすことが必要、4○再決断療法の考え方:子供は単に受け身の存在ではない

 

9-10.人生脚本について正しいものを一つ選べ。

1.自分自身の生育歴を振り返ることは、親、過去に対して否定的になるので避けた方がよい。

2.親からの禁止令に対して自律性を回復することを再決断という。

3.人生脚本の基礎である禁止令は親のP(自我状態)から子供のP(自我状態)へ伝えられたものである。

4.人生脚本は個別性の強いものであるので、親から子供、世代から世代へと受け継がれていくことはない。

解答 2

解説 1×系統的に調べる。3×親のCから子供のCへ。4×

 

10.心理面接

10-1.心身医学における面接で正しいものを選びなさい。

a.面接自体に治療的効果がある。  b.患者の感情にはなるべく立ち入らない。

c.面接中は患者の話す内容を聞き漏らさないために、患者の動作や表情に一切とらわれてはいけない。

d.関係作りのため、患者と雑談する。

解答 a

 

10-2.面接の方法について正しいものを選べ。

a.傾聴とは患者の話に耳を傾け、集中して聞くことである。

b.患者に対する共感は薬物療法には不必要である。

c.受容とは患者に自由に発言してもらうことである。

d.主訴をたずねる場合は開かれた質問が適切である。

1)a b 2)b c 3)c d 4)d a

解答 4

 

10-3.傾聴の仕方について正しいものを一つ選べ。

a.面接では患者の表情に注意する。  b.まず患者からの情報収集をする事が重要である。

c.治療者は一切の発言をせず、話を聞く事に集中する。

d.患者が緊張しないよう、治療者は患者を見ないようにする。

解答 a

 

10-4.傾聴の方法について正しいものを選びなさい。

a.こちらからは患者に質問しない。  b.患者の話を集中して聞く。

c.患者の話の要点をまとめる。  d.患者の話を聞く一方で聞き手も同じくらい話をする。

1)a b 2)b c 3)c d 4)d a

解答 2

 

10-5.面接について正しいものを選べ。

a.閉じられた質問は「今日はどうされましたか?」のような質問である。

b.良好な患者医師関係があれば、患者は医師の忠告や指導を守るものである。

c.薬物治療の効果おいては、良好な患者医師関係は関与ない。  d.面接自体に治療効果がある。

1)a b 2)b c 3)c d 4)d a

解答 bとdが正解と思われます。

解説 a×開かれた質問、c×プラセボ効果がある?

 

10-6.心療内科での面接について正しいのはどれか。

a.必ず患者に情緒を表現させねばならない。

b.面接では患者の親子関係における葛藤を言語化させるのが普通である。

c.診断や病態理解のための情報を集める。  d.生育歴などの心理社会的背景を聴取する。

1)a b 2)b c 3)c d 4)b d

解答 3  (解説 aとbは極端だと思われます)

 

10-7.面接について正しいものを選べ

a.心療内科の通常診療の面接では、患者の人格の問題を取り扱う。

b.良好な患者医師関係を築くためには患者への共感が必要である。

c.面接では通常患者の無意識の葛藤を取り扱う。

d.良好な患者医師関係は、通常の生活での良好な人間関係と類似した点がある。

1)a b 2)b c 3)b d 4)a c 5)a d

解答 3  (解答 aとcは極端だと思われます)

 

10-8.面接で誤ったものを選べ。

 a.医師は患者の家族のように振舞えば、患者との関係が深まる。

 b.医師は患者と友人のようになるのが目標である。

 c.あいづちをうつ良好な医師患者関係を構築するのに役立つ。

 d.患者の話を要約すると、患者との関係づくりに役立つ。

 1)a b 2)b c 3)b d 4)a d

解答 1

 

10-10.面接について1から4のうちで正しいものを1つ選べ。

a.受容とは否定や批判の反対概念である。

b.心身医学における面接において、診断に関する情報は考慮しなくて良い。

c.患者を受容する際には、常識的評価を患者に伝える必要がある。

d.面接で患者の訴えをうまく要約できれば患者は理解されたと感じる。

  1)a b 2)a d 3)b d 4 )c d

解答 2

解説 インテーク面接とは、患者に対して最初に行う心理・社会的観点からの面接のことで、主治医が治療を行う際の必要な資料としての心理・社会的な問題に関する情報収集および評価の側面と初回面接としての側面の2つがある。

 

 

11-1.自律訓練法の効果について

a.リラックスすることを目的とした他者暗示法である。

b.腕や脚が重たい感覚は筋肉の弛緩反応と関係がある。

c.腕や脚が温かい感覚は末梢の皮膚温の上昇として確認できる。

d.副交感神経優位な状態から交感神経優位な状態へ自律神経を調節する。

1.a b 2.b c 3.c d 4.d a

解答 2

 

11-2.自律神経訓練法の進め方について正しい組み合わせを選べ。

a.1公式が終了したら消去動作を行う。それから第2公式を開始する。

b.背景公式は気持ちが落ち着くまで繰り返す必要はない。

c.2公式は第1公式で重たさを感じられてから開始するのが好ましい。

d.1,2公式は腕の練習だけでなく、必ず脚の訓練まで行う。

解答 bとcが正解だと思います

解説 a×、d×?必ずというわけでは無いと思います

 

11-3.自律訓練法について正しいものを選べ

a.長い時間訓練を行うと集中力が低下してしまうことがあるので、一定の時間で終了するのがよい。

b.雑念が心に浮かんできた時は、訓練を中断してもよい。

c.しばらくの間は一人での訓練はせず、必ず治療者の暗示を受けながら行う。

d.リラックスした状態では、身体に力が入り過ぎるので必ず治療者がいる所で訓練を行う。

1.a b 2.b c 3.c d 4.d a

解答 a

解説 自律訓練法は基本的には一人でできることになるのが目的です

 

11-4.自律神経訓練法の訓練方法について、次のうち正しいものの組み合わせを選べ。

a 訓練者が一人で行うのは危険である。  b 1度により長時間訓練するほど、効果が得られやすい。

c 毎日行うのが好ましい。  d 23分の短時間の訓練を繰り返し行うと、効果が得られやすい。

1ab  2bc  3cd  4da

解答 3  (解説 問題文どおり。短時間を毎日行うのが効果的)

 

11-5.自律訓練法の医学的効果に関する記述のうち、正しいものの組み合わせを選べ。

 a.身体的な弛緩反応が中心であり、心理的な効果は小さい。

 b.疲労回復効果があるため、夜間行うと入眠が困難となる。

 c.心身症だけでなく神経症にも効果が認められている。

 d.抑うつ状態の強いときには、訓練の効果が現れにくい。

  1.a b 2.b c 3.c d 4.d a

解答 3  (解説 心理的効果もあり、入眠困難にはならない)

 

11-6.自律訓練法について正しいものを選びましょう

a.過換気症候群は呼吸器に異常がある疾患ではないので積極的に治療して息苦しさを取り除く

b.心臓疾患のある患者は心臓の活動に恐怖を感じることがあるので心臓調整練習は省略する

c.頭痛やてんかんをもっている患者には額部冷感療法は行わない

d.糖尿病患者に対しては腹部温感療法を行うと血糖値が上がる傾向にあるのでこの練習は行わないようにする

1.a b 2.b c 3.c d 4.d a

解答 2

解説 a×省略する。d×低血糖になるので注意する(膵臓の機能が上がるため)。

 

11-8.3公式(心臓調整練習)について、正しい記述の組み合わせをえらべ。

a.強い鼓動を感じるまで繰り返す

 b.意識をむけるだけでは鼓動が感じられない場合は、拳を胸に当てて訓練してもよい

 c.心臓の活動に神経質な人はこの公式を省略する

 d.心臓の活動をより安定化するために「心臓がゆっくりうつ」と唱えるのが効果的である。

1.a b 2.b c 3.c d 4.d a

解答 2

解説 a×強い→ゆっくり、d×「心臓がゆっくりうつ」→「心臓がゆっくりうっている」受動的態度で行うため、語尾を「~している」とする。

 

11-9.4公式(呼吸調整練習)について正しい記述の組み合わせを選べ。

a.腹式呼吸をこころがける必要はない。  b.過換気症候群の患者はこの訓練を省略する。

c.息を吸うときの感覚に注意を向ける。  d.なるべくゆっくりと呼吸する。

1.a b 2.b c 3.c d 4.d a

解答 1?

解説 c×鼻か腹部の生きの出入りが分か部位に注意を向ける。吸う時の感覚では無いと思う。d×ゆっくりと呼吸をしようとするのではなく、これまでの練習で安定した呼吸活動を確認するために行う。

 

11-10.5公式(腹部温感練習)について、正しい記述の組み合わせを選べ。

 a.胃腸の活動に注意を向けながら公式(お腹が温かい)を繰り返す。

 b.はじめは上腹部に手を当てて練習してもよい。

 c.糖尿病の患者は、自宅で訓練せず、医療機関受診時にのみ訓練を行う。

 d.胃や十二指腸潰瘍の患者は、医師の管理下で訓練を開始・継続するのが好ましい。

  1.a b 2.b c 3.c d 4.d a

解答 2

解説 a×?「胃腸の活動」… ではなく上腹部。d×胃や十二指腸潰瘍の患者はこの公式を省略する。場合によっては糖尿病患者は注意して医者の管理の下で進める。

 

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