救急医療 平成19年度本試験

(獲得)

  2007.11.27 10:0012:00実施

  問題用紙は持ち帰り可。

  不合格:2人

 

「救急医学・災害医学概論・心配蘇生法(BLS,ACLD)」橋爪誠、漢那朝雄

【1】以下の記載のうち、誤っているものをひとつ選べ。

 a)世界規模のレベルでの災害の定義は、「人と環境との生態学的な関係における広範な

破壊の結果、被災社会がそれと対応するのに非常な努力を要し、被災地域以外から

の援助を必要とするほどの規模で生じた深刻かつ急激な出来事」とされている。

 b)災害は、外力(起きた事象)に比べ、対応力(防災力)が劣っている場合と理解し

てよい。

 c)自然災害対策における一般的原則は、予防、準備、被害の軽減化である。

 d)災害現場の医療における3Tとは、triage,treatment,transportationである。

 e)大量の傷病者が発生した場合、災害弱者(小児、女性、老人、貧困層)の治療が最

も重要である。

 

 答:

 

 

【2】トリアージについての下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。

 a)トリアージは、限られた人的・物資資源のなかで、多数の傷病者に最善の医療を施

行するために行う。

 b)トリアージ分類で、最優先に治療を要する群を示す色は赤である。

 c)CPRを必要とする患者の搬送・治療が最優先される。

 d)トリアージは一回行えばよい。

 e)トリアージを行うものは治療にも積極的に参加すべきである。

 1)ab 2)abc 3)bcd 4)ade 5)e

 

 答:

 

 

【3】わが国の災害・救急医療体制に関連する下記の記載のうち、正しいものの組み合わ

せを選べ。

 a)救急患者の大部分は外来診療のみで帰宅可能である。

 b)救命救急センターは、複数科の協力を必要とするような重症患者を救命する目的で

設置されている。

 c)阪神・淡路大震災以降、初動を意識した情報伝達という災害対策の見地から、国家・

県レベルで広域災害救急医療情報の入力および使用が整備されつつある。

 d)DMATという災害時派遣医療チームが、各地方自治体ごとにボランティアベースで

の養成が最近急速に整備されつつある。

 1)ab 2)abc 3)bcd 4)ad 5)d

 

 答:

 

 

【4】心肺停止、心肺脳蘇生に関連する下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選

べ。

 a)意識のない傷病者の気道閉塞の最多の原因は気道異物である。

 b)SIDS(乳児突然死症候群)発生のピークは1歳前後である。

 c)bystander CPR施行率は15年前に比較すると、数倍増加している。

 d)日本でも、市民がAEDを使用することは認められており、社会復帰例も報告される

ようになってきている。

 e)心停止後、脳の不可逆性変化が始まるのは810分後である。

 1)ab 2)abd 3)cd 4)ade 5)cde

 

 答:

 

 

【5】心肺停止、心肺脳蘇生に関連する下記の記述のうち、正しいものの組み合わせを選

べ。

a)心肺停止者の社会復帰率について、無脈性電気活動(PEA)は心室細動(VF)より

高い。

b)VFにより心停止に陥った傷病者が5分後に除細動された場合、その生存退院率は

90%程度である。

c)AEDによる除細動では2次災害発生に注意する必要性はほとんどない。

d)AEDの「心尖部」電極パッドを貼付する位置は、左鎖骨中線の乳頭下である。

e)救命の連鎖(The chain of survival)とは、迅速な通報、迅速なCPR開始、迅速な

除細動、迅速な二次救命処置である。

1)ab 2)abc 3)bcd 4)de 5)e

 

 答:

 

 

【6】心肺停止者に対する心肺蘇生(basic CPR)の新ガイドラインについて、下記の設問に

答えなさい。

 1)〜3)は記述。4)〜10)は文章が正しければ○、誤りの場合×を記入しなさい。

 

1)成人CPR:胸骨圧迫と人工呼吸の比

2)乳児・小児の一人で行うCPR:胸骨圧迫と人工呼吸の比

3)乳児・小児の二人で行うCPR:胸骨圧迫と人工呼吸の比

4)胸骨圧迫の許容中断時間は原則10秒未満である。

5)胸骨圧迫において、圧迫の解除は大きな問題ではない。

6)十分な深さ(4〜5cm)の圧迫と速度(100回/分)で行う。

7)死線期呼吸など正常でない呼吸に関しては、人工呼吸を行う。

8)人工呼吸は、方法によらず1秒間かけて行う。

9)成人の場合、呼吸の試みは2回まででとどめ、もし入らなくても胸骨圧迫に移行す

る。

 10)除細動は適応があっても1回のみとし、直後にただちに胸骨圧迫かCPRを再開する。

 

 答:

 

 

【7】Q大学病院付近のJRで脱線事故が起き、搬送あるいは来院された傷病者をあなた方

が指導医師とともにトリアージをせざるをえない状況になったと仮定してください。以

下、発災後最初に到着した10名を「赤」「黄」「緑」「黒」のいずれかに分類し、解答用紙に

記入してください。

 

 症例1:26歳女性。車内で受傷、自力脱出、タクシーで来院。

     左前腕擦過傷、顔面擦過傷を認めるが、歩行可能。

     意識:清明、呼吸数:18/分、脈拍:70bpm

 

 症例2:18歳男性。車内で受傷、自力脱出、徒歩で来院。

     左2指腫脹を認め、疼痛を訴えている。

     意識:清明、呼吸数:16/分、脈拍:90bpm

 

 症例3:17歳女性。車内で受傷、自力脱出、タクシーで来院。

     左前腕が著明に腫脹し、疼痛あり。左橈骨動脈は蝕知可能。他に顔面擦過傷あ

り。歩行は可能。

     意識:清明、呼吸数:20/分、脈拍:90bpm

 

 症例4:30歳男性。車外に投げ出され、頭部を強打。

     意識:JCS100、痛み刺激で払いのける動作あり。救急車収容時には意識レベル

ほぼ清明であった。

呼吸数:14/分、脈拍:48bpm、充実。

 

 症例5:32歳男性。車内で受傷。うずくまっていたところ救出され、救急車で来院。

     呼吸困難、胸痛を訴え、チアノーゼおよび吸気時に胸部陥凹を認める。

呼吸数:32/分、左右非対称。脈拍:110bpm、充実。

 

 症例6:17歳女性。救急車で搬送。ガラス片が左側胸部に刺さっており、呼吸困難、疼

痛を訴えている。胸部握雪感あり。

     意識清明呼吸数:36/分、脈拍:120bpm、充実。

 

 症例7:56歳男性。事故直後は特に異常なく、他人の救出を手伝っていた。

途中から胸痛が出現し、通りかかった車で来院。

     意識清明。呼吸数:20/分、脈拍:90bpm。冷汗著明で抹消冷感あり。

 

 症例8:46歳男性。車内で受傷、動けないでいたところ救出され、救急車で来院。

     意識:清明、呼吸数:24/分、脈拍:120bpm。下肢変形(右大腿部腫脹)、

     同部位と腰痛あり。歩行不能。

 

 症例9:56歳女性。車内で受傷、動けないでいたところ動けないでいたところ救出され、

救急車で来院。

     意識:清明、呼吸数:28/分、脈拍:120bpm。下肢変形(右大腿部腫脹)、

     同部位と腰痛あり。歩行不能。

 

症例1046歳男性。車内で受傷、動けないでいたところ救出され、救急車で来院。

     意識:清明、呼吸数:24/分、脈拍:90bpm。両下肢麻痺および知覚低下も認

める。

 

 答:

 

 

 

「救急患者診療」野田英一郎

 

【1】以下の文章の空欄を埋める言葉を下の選択肢から選びなさい。

 救急患者を診察する際には、(ア)や(イ)ではなく、(ウ)に注意を払いながら、評価

を行う必要がある。その際大切なことは(エ)を用いることである。(ウ)とはすなわち、

患者の(オ)を脅かす(カ)所見のことであり、救命の(キ)と言われている。救命の(キ)

とは、心肺停止においては(ク)、(ケ)、(コ)、(サ)、心肺停止以外においては(ク)、(ケ)、

(コ)、(シ)とされている。救命の(キ)は(ス)評価すればいいものではなく、診察中

は(セ)評価することが重要である。この評価法を(ソ)検索法という。

 

選択肢:

緊急度、症状、主訴、CT、検査機器、採決、エコー、五感、生命、意識、画像的、

血液学的、生理学的、ABCD、いろは、輪、気道、呼吸、循環、除細動、出血、体温、

開放骨折、頭部外傷、骨盤骨折、繰り返し、一回、primary ABCD

 

 

答:

 

 

 

【2】救急隊より救急患者受け入れ要請があった。救急車が到着した時点の患者の第一印

象は以下の通りであった。問1における(キ)のいずれに問題があるかを記しなさい(す

なわちク、ケ、コ、サ、シに入る選択肢の中の言葉を記しなさい)。問題があるのは1ヶ所

とは限らないし、問題がない場合もある。問題がない場合は「問題なし」と記載すること。

 

1)20代男性。呼びかけに返事あり。呼吸数30回。胸郭の動きに左右差あり。橈骨動脈の

拍動は強く、90/分。四肢冷汗あり。

2)30代女性。呼びかけに応じず、うめき声のみ。呼吸数8回。胸郭の動きに左右差なし。

  橈骨動脈の拍動は強く、50/分。冷汗なし。

3)乳児。刺激に胎動あり(痙攣ではない)。呼吸数30回、陥没呼吸。鼠径動脈強く、

120/分。冷汗なし。

4)70代男性。呼びかけにうなづき、首振りあるも、発語なし。呼吸数20回。胸郭の動き

に異常なし。橈骨動脈強く速い。四肢冷汗なし。

5)50代男性。呼びかけに返事あり。呼吸数30回。胸郭の動きに異常なし。橈骨動脈の拍

動は弱くて速い。四肢冷汗あり。

6)幼児。泣きじゃくっている。呼吸数20回。胸郭の動きに異常なし。橈骨動脈の拍動は

強く、速い。四肢冷汗なし。

7)10代男性。呼びかけに無関係に、叫び、暴れている。体動激しく、呼吸数、橈骨動脈

の拍動を確認できない。

8)70代男性。呼びかけにうなずき、首振りあるも、発語なし。両手で首を押さえている。

呼吸数20回、シーソー呼吸。橈骨動脈強く速い。四肢冷汗なし。

9)30代女性。呼びかけに反応なし。いびきをかいている。若干陥没呼吸。橈骨動脈の拍

動異常なし。四肢冷汗なし。

1040代女性。呼びかけに返事あり。呼吸数20回、胸郭の動きに異常なし。橈骨動脈の

拍動強く、速い。四肢冷汗なし。頭部裂創より外出血あり、圧迫に用いたガーゼにか

なり滲んでいる。

 

 答:

 

 

 

【3】救命センター夜勤中、朝7時近くを走る鹿児島本線で通勤列車と乗用車の衝突脱線

事故があり、多数の死傷者が出た模様。救急隊より現場派遣の依頼があり、看護師とチー

ムを組んで事故現場に入った。現場統括医師の指示により、あなたは現場でトリアージを

行うこととなった。以下の傷病者(18)のトリアージを行い、トリアージタッグの色を

番号で記せ。9については患者の番号を記せ。ただしCRTとは毛細血管再充満時間のこと

であり、また記載がない所見は異常がないと見なすこと。

 

 @ 黒、A 赤、B 黄、C

 

あなたは歩き回っている傷病者を発見した。

1)20代女性、会話不能、顔面蒼白、お腹を押さえている。

2)男児、泣き喚いている。呼吸数30回、CRT0.5秒。

 

最初の車両に近づくと消防隊員が消防車を救出しているところであった。

3)10代男性、気道確保しても呼吸なし、橈骨動脈弱い。

4)70代女性、気道確保しても呼吸なし、橈骨動脈拍動なし。

5)20代男性、気道確保すると呼吸12/分、橈骨動脈拍動強く、CRT0.5秒。

6)30代女性、呼吸あり、橈骨動脈拍動弱く、CRT3秒。

 

その場のトリアージを終了すると、次に現場救護所に行くように指示された。

そこで以下の患者に遭遇した。

7)黄色のトリアージタッグをつけた患者がテントにいきなり入ってきて、「怪我してん

だ!早く処置しろ!こんなに血が出てるんだぞ!」とつかみかかってきた。

8)40代男性、呼吸15/分、橈骨動脈触知、両下腿の変形あり。

 

9)現場救護所に救急車が2台到着した。上記18の患者のうち最初に搬送すべきものを

2名選び、番号を記せ。

 

答:

 

 

「重症患者の栄養管理」海塚安郎

【1】以下のメニューで、輸液、栄養投与されている患者の1日の実投与カロリー、非窒

素熱量/窒素(NPC/N)を求めよ。アミノ酸6.25=1gで計算せよ。

 

 a)50%ブドウ糖400ml10%アミノ酸液600ml20%脂肪乳剤350ml+生理食塩水

400mlKCL40ml(40mEq)を薬局で1パックに無菌調剤したものに、使用直前、1

必要の微量元素、総合ビタミン剤(計10ml)を点混し、中心静脈から、60ml/時の速

度で24時間かけて持続注入した場合。(脂肪乳剤は、脂肪のみの組成とする)

 

  答:

 

 

 

 

 

 

 b)経鼻胃管から、経腸栄養剤が14回、1200ml2時間掛けて注入、末梢から

はブドウ糖5%含有維持液が30ml/時で持続投与されている。栄養剤の濃度は

2.0Kcal/ml、組成はタンパク質20%、脂肪30%、炭水化物50%である。胃管からの

逆流が2回、計150ml認められた。胃液がその中の半分を占めていた。

 

  答:

 

 

 

 

 

 

【2】重症患者の栄養管理について以下の記載で正しいものの記号を選べ。

 a)高齢者では、早期退院を目指し疾患の治療が先ず優先される。

 b)重症患者では、入院時から栄養アセスメントを行い、経鼻空腸チューブを留置し早

期栄養投与を可能な限り早期から行うことで、予後が改善する。

 c)ICU入室患者の血糖値管理目標は、随時血糖200ml/dl以下であり、あまり設定値を

低くすると低血糖の危険が増し、予後不良である。

 d)早期経腸栄養の目的は、腸管のintegrityの維持、腸管使用による全身状態の改善、

栄養投与ルートとしての使用の3点である。

 e)栄養療法の実施に於いては、初期目標熱量の設定には、Harris-Benedictの式から求

めたエネルギー必要量を用いるのが一般的である。投与開始後は重症患者では、モ

ニタリングを行い週に1回は栄養療法の見直しを行う。

 

 答:

 

 

「外傷初期診療」鮎川勝彦

外傷患者初期診療に関する次の文章のうち、正しいものには○、間違っているものには×

をつけてください。

 

1)救急車がload and goの適応と判断したら、損傷部位、損傷の程度を詳細に訊ねる。

2)頚椎カラー装着よち気導の開放を優先する。

3)primary surveyはバイタルの変化に応じて、繰り返すべきものである。

4)外傷性ショックの90%以上は出血性ショックである。

5)静脈路確保では、中心静脈路が第一選択である。

6)切迫するDがあっても、nonresponderで、かつFASTで腹腔内に液体貯留増加があれ

ば、緊急開腹止血術を優先する。

7)外傷で起こる閉塞性ショックとしては、緊急性気胸やフレイルチェストを考える。

8)primary surveyの循環の異常時撮影するのは、胸写と腹部単純写である。

9)primary surveyABCDEs”D”は中枢神経障害(Dysfunction of CNS)の頭文字で

ある。

10)細胞外液補充液を39度程度に加温するために電子レンジを使ってもよい。

 

答:

 

 

「病院前救護体制」星川 英一

1)メディカルコントロール(MC)体制について正しいものはどれか。

 a)我が国においてMC体制の確立は、法的に義務付けられている。

 b)MC協議会は、管轄区域の医師会下部組織である。

 c)救急隊員に対する指導・助言体制の確立が含まれている。

 d)救急救命士の再教育体制の確立が含まれている。

 e)医師による救急活動の事後検証体制の確立が含まれている。

 1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde

 

 答:

 

 

2)救急救命士の処置範囲に含まれないものはどれか。

 a)気管挿管  b)静脈路確保  c)除細動

 d)緊急気管切開  e)血糖値測定

 1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de

 

 答:

 

 

「急性呼吸不全・多臓器不全・脳死」財津 明憲

1)急性呼吸障害の病態を述べよ。

 

 

 

 

2)急性呼吸不全を3つに分類し、障害部位を示せ。

 

 

 

 

 

3)全身性炎症反応症候群の診断基準を述べよ。

 

 

 

 

 

4)全身性炎症反応症候群と多臓器不全の関係を述べよ。

 

 

 

 

 

5)臨床死の定義を述べよ。

 

 

 

 

 

 

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