免疫・移植の臨床 平成19年度本試験
(獲得)
○ 2007.11.5 10:00〜12:00実施
○ 問題用紙と解答用紙セットでA4×4
○ 不合格:0人
○ 総括:問題数が少なく、過去問と同じような問題が多い。肝癌の肝移植は授業であまり扱っていないのに出題されたが、3年生のプリンとの内容に近い。特に試験対策しなくても合格できますが、内容は大事なものが多いです。
○ 参考文献:授業プリント、メモ、肝胆膵の肝移植のプリント、『朝倉内科学』
【T】以下の文章につき、正しいものには○を、間違っているものには×をつけよ。
1)造血細胞移植により長期間の造血再構築を得るためには、移植片中に造血前駆細胞
を含む必要がある。
2)同種造血幹細胞移植後は、移植患者の血液型はドナー型に移行していく。
3)同種骨髄移植に比べ、臍帯血移植の方が生着不全や移植片拒絶の発生率が高い。
4)自己末梢血幹細胞移植には、移植片対腫瘍効果が期待できない。
5)自己末梢血幹細胞移植では、移植片中に混入する腫瘍細胞が移植後再発の原因とな
る可能性がある。
6)急性GVHDはドナー由来のB細胞によって引き起こされる。
7)急性GVHDの対象臓器としては、皮膚、消化管、肝臓が標的となることが多い。
8)同種造血幹細胞移植において、HLAが完全一致であれば、GVHDは発症しない。
9)軽度のGVHD発症を認める方が、移植後白血病の再発率は低下する傾向がある。
10)移植患者を無菌室(移植病室)で管理することにより、ウイルス感染症の発症頻度
を低下させることが可能である。
答:1)○ 2)○ 3)× 移植片拒絶はおこりにくい 4)○ 5)○
6)× T cell 7)○ 8)× マイナー抗原によるGVHDがある 9)○
10)× 細菌感染症のみ予防できる。ウイルスは体内にいて免疫力で抑制されていた
ものが活性化することで発症するので、この方法では予防できない。
【U】肝癌に対する肝移植について、誤っているものはどれか。
a)ミラノ基準内の肝癌に対する生体肝移植は保険適応である。
b)移植後再発の危険因子として腫瘍径が挙げられる。
c)移植後再発のほとんどは肝内再発である。
d)術前に明らかな腫瘍塞栓がある場合、移植適応とならない。
e)肝癌が5cm以下単発、3cm以下3個以内の場合、移植成績は非肝癌患者のそれと同
等である。
答:c
a)○ b)○ その他に腫瘍マーカー高値などもリスク c)× 約15%を占める。
多発、骨、肺に多い。 d)○ 門脈や肝静脈の主要な分枝への浸潤があると適応外
e)○
【V】35歳女性。原発性胆汁性肝硬変による末期肝不全に対して25歳の息子をドナーとし
て生体肝移植を受けた。術後2週間目の肝機能検査で異常があり肝生検を行った。正しい
所見(問題2-1)・診断(問題2-2)はどれか。
問題2-1 「所見」は?
1)胆管障害 2)血管内皮炎 3)封入体 4)好酸性幹細胞壊死
5)混合性炎症細胞浸潤
a)123 b)125 c)145 d)234 e)345
答:b
解説:急性拒絶反応の所見
問題2-2 「診断」は?
a)慢性拒絶 b)急性拒絶 c)原発性胆汁性肝硬変再発
d)虚血障害(門脈血栓症) e)サイトメガロウイルス肝炎
答:b
解説:病歴と組織所見により確定
【W】生殖と免疫について正しいものに○、間違っているものに×をつけよ。
1)胎児および胎盤は半同種移植片と考えることができる。
2)絨毛細胞は母体子宮内膜から分化し、母体―胎児境界を形成する。
3)正常妊娠ではTh1細胞がTh2細胞に対し優位となる。
4)血液型不適合妊娠は児の血液型抗原に対するIgG抗体が胎盤を通過することによっ
て起こる。
5)習慣流産では抗リン脂質抗体の関与を考慮することが重要である。
答:1)○ 2)× 胎児由来の細胞です 3)× Th2優位 4)○ 5)○
【X】HIVに関することで正しい組み合わせを選び記号に○をつけなさい。
1)HIV感染者はサハラ以南の南部アフリカに最も多い。
2)成人のB型急性肝炎や梅毒などの性感染症(STD)患者を診た場合、HIV感染も鑑
別すべきである。
3)HIVの母子感染予防は可能である。
4)日本のHIV感染者は減少している。
a)1のみ正しい b)12が正しい c)123が正しい d)4のみ正しい
e)全て正しい f)全て誤っている
答:d
1)○ 2)○ 3)○ 4)× 先進国で唯一増加
【Y】HIVに関することで正しい組み合わせを選び記号に○をつけなさい。
1)HIV RNA量(ウイルス量)は予後を決定する重要なマーカーである。
2)CD4リンパ球数が200/μl以下になると日和見疾患合併の可能性が高くなる。
3)HIVは主にCD8陽性リンパ球に感染する。
4)抗HIV薬は、血中ウイルス量が感度以下になると中止することができる。
a)1のみ正しい b)12が正しい c)123が正しい d)4のみ正しい
e)全て正しい f)全て誤っている
答:b
1)○ 2)○ 3)× CD4陽性 4)× 中止できない
【Z】腫瘍免疫について正しいものに○、誤っているものに×を記せ。
1)死滅腫瘍細胞を貪食した未熟な樹状細胞は局所のリンパ管への侵入能が亢進し、成
熟樹状細胞に比べ所属リンパ節へ移動する細胞数が多く、腫瘍特異的な細胞障害性T
細胞を効率よく誘導する。
2)未熟樹状細胞は貪食能が高く大量の抗原を処理し、成熟樹状細胞に比べ抗原提示能
が高い。
3)死滅腫瘍細胞を貪食した未熟樹状細胞は、TGF-βやIL-10といった樹状細胞の成熟化を誘導する炎症性サイトカインを自身で大量に産生する。
4)癌性腹水中の腫瘍細胞はTGF-βやIL-10などの抗炎症性サイトカインを産生し、こ
れに対抗する反応として炎症性サイトカイン産生能の高いリンパ球が腹水中に集積
してくる。
5)腫瘍細胞は複数の遺伝子変異を伴っているため、一般的に、細菌などより高い抗原
性を有しているが、細菌と比べ細胞分裂スピードが非常に遅いので生体免疫系は認
識が困難となる。
6)MHCクラスT分子は全ての細胞で発現しており、腫瘍細胞では特に発現が強いため、
結果として、免疫系は腫瘍細胞を正常細胞と認識してしまう。
7)腫瘍細胞はしばしばTGF-βやIL-10などのTh2サイトカインを産生し、腫瘍局所
の細胞性免疫誘導を妨げている。
8)腫瘍局所は細菌感染局所に比べ、自然免疫系の活性化のレベルが低く、その結果、
逆に獲得免疫系の活性化レベルが高くなる。
9)樹状細胞は抗原提示能が高く、特異的細胞障害性T細胞を誘導する能力が強いため
に、腫瘍に対する免疫・細胞療法に利用される。
10)樹状細胞に類似した高い抗原提示能を持つ細胞を末梢血単球から試験管内で誘導す
ることができるが、この樹状細胞様細胞を用いて効率よく特異的細胞障害性T細胞
を誘導するために、通常、樹状細胞様細胞は患者の静脈内に投与される。
答:1)× 完全に成熟しないで、副刺激がなく、T cellを活性化できない
2)× 抗原提示能は低い 3)× 自身では産生しない
4)× regulatory T cellが集積 5)× 抗原性は低い
6)× 腫瘍細胞にはMHCクラスTを発現しないものもいる 7)○
8)× 獲得免疫系も活性化しない 9)○ 10)× 皮内投与
【[】次の文章に関し、正しいものに○、誤っているものに×を記せ。
1)新生児では補体の中でとくにC3が低い。
2)新生児の単球機能は著明に低下している。
3)IgMは胎盤移行しない。
4)出生時のIgGが高いと胎内感染を意味する。
5)新生児のIgGは生後4〜6ヶ月で最低になる。
6)麻疹は生後6ヶ月までかからないか、かかっても軽症である。
7)百日咳は新生児ではかからない。
8)水痘は新生児でもかかる。
9)新生児ではインターフェロンγの産生は正常である。
10)新生児ではT細胞の大部分はナイーブフェノタイプである。
答:1)× 2)× 3)○ 4)× 5)○ 6)○ 7)× 8)○
9)× 10)○
解説:小児科原教授が、授業の最後で出る問題全て教えてくれたうえに、解説までして
くれました!
【\】精神神経免疫について正しいものに○、誤っているものに×を記せ。
1)短期間の実験型ストレスではナチュラルキラー細胞活性機能が上昇する。
2)うつ病により幹細胞移植後生存率が低下する。
3)リウマチ患者に落語をきかせることによってIL-6の上昇がみられる。
4)ストレスにより血糖値とコレステロールが上昇する。
5)内分泌系・神経系と免疫系は共通の情報伝達物質や受容体を持つ。
6)発熱を誘導する代表的サイトカインとしてIL-1とINFがある。
7)グルココルチコイドとカテコールアミンは免疫機能を上昇する。
8)βエンドルフィンやエンケファリンは免疫機能を低下する。
9)ストレスによって、ヘルペスウイルスやEBウイルスの抗体価が上昇する。
10)がん発症と心理社会的因子ははっきりしない。
答:1)○ 2)○ 3)× 減少 4)○ 5)○ 6)○ 7)× 低下
8)× 上昇 9)○ 10)× Type1、Type5などが危険因子
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