臨床腫瘍学 平成19年度本試験

(デジカメで撮影)

  2007.11.5 13:0015:00実施

  問題用紙と解答用紙セットでA4×10枚以上。

  不合格:10

 

【1】悪性腫瘍の病理(小田先生)

(1)術中迅速組織診断について正しいものの組み合わせはどれか。

 1)短時間で標本を作製することができる。

 2)標本の大きさや数に制限がある。

 3)ホルマリン固定による永久標本と比較しても染色性、形態の保持は良好である。

 4)消化管ポリープの悪性像の有無の判定に有用である。

 5)術前の生検組織診断でも良悪性の確定診断のつかなかった例に用いられる。

 a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:b

 

 

 (2)術中迅速組織診断の適応について正しくないものの組み合わせはどれか。

  1)副甲状腺機能亢進症における副甲状腺組織の確認。

  2)膵癌における切除断端の癌細胞の有無。

  3)石灰化病変の確定診断。

  4)肺結核が疑われる結節性病変の確定診断。

  5)リンパ節における悪性リンパ腫の確定診断。

  a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:e

 

 

 (3)穿刺吸引細胞診について正しいものの組み合わせはどれか。

  1)癌検診などの集団検診で威力を発揮する。

  2)全身のどの部位からでも検体摂取が可能。

  3)甲状腺乳頭癌の診断に有用性が高い。

  4)切開生検より侵襲が少ない。

  5)採取された検体は変性などの変化が加わりやすい。

  a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:d

  1)× 剥離細胞診が威力を発揮 2)○ 3)○ 乳腺、甲状腺、前立腺で有用

  4)○ 5)× 変性がないのが特徴

 

 

 (4)切除標本組織診断において各種癌と評価事項の組み合わせで正しいものはどれか。

  1)前立腺癌:Gleason score  2)胆道癌:神経浸潤  3)肺癌:上皮内進展

  4)膵癌:組織学的異型度(G1-G3)  5)乳癌:皮膚浸潤

  a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:b

  1)○ 2)○ 3)× 食道癌 4)× 膵内神経浸潤と主膵管内進展を評価する 5)○

 

 

 (5)乳癌の治療方針決定のために必要な免疫組織化学染色のマーカーの組み合わせはどれか。

  1)Cytokeratin  2)CEA  3)HER2  4)エストロゲンレセプター

  5)プロゲステロンレセプター

  a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:e

  解説:3はハーセプチンの適応かどうか、4と5はホルモン療法の適応かどうかを調べるのに必要。

 

 

 (6)悪性リンパ腫の診断に必要な免疫組織化学染色のマーカーの組み合わせはどれか。

  1)Vimentin  2)CD45(LCA)  3)CD20  4)CD45RO(UCHL-1)  5)S-100

  a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:d

  1)× 肉腫 5)× メラノーマ

 

 

 (7)悪性黒色腫(メラノーマ)の診断で免疫組織化学染色のマーカーの反応の組み合わせで正しい

ものはどれか。

  1)S-100陽性  2)HMB-45陽性  3)Cytokeratin陰性

  4)Lysozyme陽性  5)CD3陽性

  a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:a

 

 

 (8)以下の腫瘍と免疫組織化学染色のマーカーの組み合わせで正しいものはどれか。

  1)移行上皮癌:Prostate acid phasphatase  2)悪性中皮腫:Calretinin

  3)Gastrointestinal stromal tumorGIST):c-kit

  4)カルチノイド:Chromogranin A  5)胃癌:CD68

  a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:d

 

 

 (9)肉腫における免疫組織化学染色のマーカーの組み合わせで正しいものはどれか。

  1)横紋筋肉腫:Myoglobin  2)血管肉腫:CD34

  3)悪性末梢神経鞘腫瘍:S-100

 4)平滑筋肉腫:EMAEpithelial membrane antigen

 5)悪性筋線維芽細胞性腫瘍:CD31

 a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:a

 

 

 (10)以下の腫瘍と免疫組織化学染色のマーカーの組み合わせで正しいものはどれか。

  1)髄膜腫:EMAEpithelial membrane antigen

  2)形質細胞腫:Placental ALP  3)セミノーマ:α-fetoprotein

  4)グリオーマ:GFAPGlial fibrillary acid protein

  5)絨毛癌:HCGβ

  a)123 b)125 c)145 d)234 e)345

 

  答:c

 

 

【2】骨腫瘍の臨床(岩本先生)

 (1)骨腫瘍の単純X線所見について正しいものの組み合わせはどれか。

  1)原発性悪性骨腫瘍は、単純X線で骨皮質の非薄化、膨隆を示す。

  2)癌の長管骨への転移では、骨膜反応はみられない。

  3)石灰化陰影は、単発性骨嚢腫の特徴的所見である。

  4)前立腺癌の骨転移は、単純X線で骨形成像を示すことが多い。

  5)椎弓根破壊像は、癌の脊椎転移の特徴的所見である。

  a)134 b)145 c)245 d)345

 

  答:c

  1)× 骨皮質欠損、骨膜反応骨梁破壊など

2)○ 骨転移と悪性線維性組織球症ではみられない

3)× 単房性骨透明像としてみられる 4)○ 5)○

 

 

 (2)転移性骨腫瘍について正しいものの組み合わせはどれか。

  1)最も高頻度に骨転移が発生する部位は、脊椎である。

  2)肺癌の骨転移では、単純X線で骨形成像を示すことが多い。

  3)多発性の骨転移病巣の分布を同定するためには、骨シンチグラフィが有用である。

  4)女性の場合、子宮癌の骨転移の頻度が最も高い。

  5)前立腺癌の骨転移の診断マーカーとして、PSAが最も有用である。

  a)123 b)124 c)135 d)145 e)234

 

  答:a

  4)× 乳がん

 

 

 (3)癌の骨転移の治療について正しいものの組み合わせはどれか。

  1)骨吸収マーカーの測定は、治療効果判定に有用である。

  2)大腿骨転移の手術では、掻爬・骨移植術が用いられる。

  3)放射線照射により、脊椎転移による疼痛は軽減する。

  4)脊椎転移による脊髄麻痺では、椎弓切除による除圧だけでなく内固定が行われる。

  5)抗TNF-α製剤は、骨転移による高カルシウム血症に対し有効である。

  a)134 b)145 c)234 d)245 e)345

 

  答:a

  1)○ 2)× 広汎切除と人工関節または病巣内切除と骨接合 3)○

  4)○ 5)× ビスホスホネート

 

 

 (4)癌の骨転移の臨床像について正しいものの組み合わせはどれか。

  1)四肢の長管骨転移のうち、最も頻度が高い部位は中足骨である。

  2)肺癌の骨転移では、骨転移病巣発見後の生命予後は平均約4年である。

  3)乳癌の大腿骨近位部転移では、病的骨折をおこしやすい。

  4)男性では、肺癌の骨転移が最も多い。

  5)脊椎転移例では、神経の圧迫と不安定性により麻痺や疼痛が発生する。

  a)134 b)145 c)245 d)345

 

  答:d

  1)× 体幹に近い骨に多い 2)× 予後不良

 

 

 (5)癌の骨転移の病態について正しいものの組み合わせはどれか。

  1)MMPmatrix metalloproteinase)を分泌する癌細胞よりも、破骨細胞のほうが骨破壊の主役

を担っている。

  2)カドヘリンは、癌細胞の原発巣からの遊離に関与している。

  3)腫瘍血管新生は、骨転移病巣における腫瘍の増大に関与している。

  4)骨転移による骨破壊の結果、血中、尿中のU型コラーゲン分界産物の濃度が上昇する。

  5)癌の骨転移における高カルシウム血症は、癌から分泌されるVEGFによって発生する。

  a)123 b)124 c)135 d)145 e)234

 

  答:a

  1)○ 2)○ カドヘリンが外れることで起こる 3)○ 4)× T型

 5)× PTHrPによる

 

 

【3】婦人科悪性腫瘍(小林先生)

 1)子宮頚癌に関して明らかな誤りを選べ。

  a)年々増加傾向にある。 b)発生には性行動が関連する。

  c)ヒトパピローマウイルスの1618型が発生に関与する。

  d)異形成は子宮頚部移行帯から発生する。

 

  答:a

  解説:子宮頚癌は減少傾向、子宮体癌が増加傾向。

 

 

 2)子宮頚癌に関して明らかな誤りを選べ。

  a)リンパ節転移をきたし易い。

  b)傍子宮結合織浸潤が骨盤に達していたら進行期は2b期である。

  c)根治的放射線療法には骨盤外照射と腟内照射が併用される。

  d)3-4期には化学療法併用放射線療法が行われる。

 

  答:c

  c)× 外照射と腟内照射

 

 

 3)子宮体癌に関して明らかな誤りを選べ。

  a)年々増加傾向にある。 b)発生にはエストロゲンが関与する。

  c)子宮内膜増殖症は体癌の前癌病変である。

  d)子宮頚部に浸潤したら進行期は2期である。

  e)組織型としては明細胞腺癌が多い。

 

  答:e

  解説:漿液性腫瘍、類内膜癌などが多い。

 

 

 4)卵巣癌に関して明らかな誤りを選べ。

  a)年々増加傾向にある。 b)不妊症は危険因子である。

  c)顆粒膜細胞腫の患者では血中プロゲステロンが高い。

  d)癌が卵巣に限局しながらも腹水細胞診陽性の場合、進行期は1c期である。

  e)基本術式として大網も切除する。

 

  答:c

  c)× エストロゲン

 

 

【4】泌尿器科領域の臨床(内藤先生)

 (1)膀胱癌について、正しいのはどれか。

  1)症候性肉眼的血尿を主訴とするものが多い。

  2)膀胱癌の発生と芳香族アミン化合物(ベンチジン、2-ナフチラミンなど)の相関は、疫学的に

認められる。

  3)膀胱上皮内癌にはBCGの膀胱内注入が有用である。

  4)膀胱全摘術に伴う尿路変向術には回腸導管に代表される失禁型尿路変向術と自然排尿型代用膀

胱に代表される禁制型尿路変向術とがある。

  5)経尿道的膀胱腫瘍切除術で切除後は表在性膀胱癌の場合、膀胱内に再発することはまれである。

  a)123 b)234 c)1234 d)2345 e)すべて

 

  答:b

  1)× 無症候性血尿 2)○ 3)○ 第一選択 4)○ 後者のほうがQOLが高い

  5)× 6070%は再発する

 

 

 (2)腎細胞癌について、正しいのはどれか。

  1)化学療法は免疫療法よりもよい治療成績が得られている。

  2)転移部位としては肺が最も多く、続いて骨と肝が多い。

  3)肺転移に対し、インターフェロン、インターロイキン2などによる免疫療法が有用である。

  4)近年従来の治療法を上回る成績が分子標的薬にて得られている。

  5)CTなどの画像検査の普及にともない検診などで発見される偶発癌が増加している。

  a)123 b)234 c)1234 d)2345 e)すべて

 

  答:d

  1)× 抗がん剤は細胞外に排泄されて効かないことが多い

 

 

 (3)精巣腫瘍について、正しいのはどれか。

  1)他の多くの癌と同様に高齢者に発生頻度が高い。

  2)通常、充実性腫瘍であり、陰嚢水腫との鑑別は透光性の有無で比較的容易であるが、はっきり

しない場合には経皮的超音波ガイド下の針生検が有用である。

  3)精巣腫瘍の腫瘍マーカーとしてはAFPHCG-β、LDHなどがあるが、AFPは絨毛癌に特異

的なマーカーとして有用である。

  4)胚細胞性精巣腫瘍の単一組織型はセミノーマと非セミノーマに大別され、非セミノーマには胎

児性癌、絨毛癌、卵黄嚢腫瘍、奇形腫などがある。

  5)転移を有する精巣腫瘍の治療として、セミノーマには放射線療法、非セミノーマにはシスプラ

チンを中心とした化学療法が有効である。

  a)14 b)35 c)45 d)234 e)145

 

  答:c

  1)× 青壮年期に多い 2)× 生検は禁忌 3)× yolk sac tumorのマーカー

  4)○ 5)○

 

 

 (4)前立腺癌について正しいのはどれか。

  1)前立腺癌の直腸診所見としては、硬い結節として触れることが多いが、進行した症例では、

全体的に板状硬として触れることもある。

  2)前立腺癌の代表的な腫瘍マーカーとしてPSAprostatic specific antigen)があるが、前立腺

肥大症や前立腺炎の場合でも上昇することがある。

  3)前立腺癌は男性ホルモン依存性であり、進行前立腺癌では男性ホルモンを抑えるホルモン療法

が効果的である。

  4)癌が前立腺皮膜内に限局している場合、放射線療法は手術治療と同等の効果が期待できる。

  5)前立腺癌に対する標準的外科治療としては経尿道的前立腺摘除術(TUR-P)があげられる。

  a)123 b)234 c)1234 d)2345 e)すべて

 

  答:c

  5)× 根治的前立腺摘除術

 

 

 (5)泌尿器癌について正しいのはどれか。

  1)前立腺癌は欧米では発生頻度が高いが、日本を含む東アジアでは低く、近年も発生頻度はほぼ

一定しており、増加傾向はみられない。

  2)全膀胱癌患者の半数以上は筋層以上に深く浸潤した浸潤癌患者であり、外科的治療として膀胱

全摘除術が選択されることが多い。

  3)VHL(von Hippel-Lindau)症候群患者では腎細胞癌が高頻度に発生するが、一方clear cell腎細

胞癌患者ではVHL遺伝子の変異が見られることが多い。

  4)前立腺癌は骨に転移しやすく、X線上は溶骨性変化として捕らえられることが多い。

  5)膀胱癌は膀胱の三角部や側壁に好発する。

  a)15 b)34 c)35 d)234 e)235

 

  答:c

  2)× 表在性膀胱がんが多い 4)× 骨形成像を示す

 

 

【5】骨髄の腫瘍(豊嶋先生)

 1)急性白血病について正しいものの組み合わせはどれか。

  a)一般的に高齢者の急性白血病は進行が遅く、予後良好な場合が多い。

  b)WHO分類では骨髄中の芽球が20%以上のものを急性白血病と定義する。

  c)治療関連白血病は、アルキル化剤によるものと、トポイソメラーゼU阻害薬によることが多い。

  d)Philadelphia染色体陽性急性リンパ性白血病は極めて予後不良である。

  e)骨髄異形成症候群から進展する白血病は骨髄性よりリンパ性が多い。

  1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde

 

  答:4

  a)× b)○ c)○ d)○ e)× AMLに移行しやすい

 

 

 2)白血病の治療について正しいものの組み合わせはどれか。

  a)急性前骨髄性白血病ではDICが高頻度に合併し、緊急に治療を開始する必要がある。

  b)急性骨髄性白血病に対する寛解導入療法が無効であっても、地固め療法へと進んでよい。

  c)急性骨髄性白血病に対する標準的寛解導入療法はanthracyclinara-Cの併用療法である。

  d)急性リンパ性白血病に対する化学療法は、急性骨髄性白血病のときよりも多種類の薬剤を併用

する。

  e)急性転化期慢性骨髄性白血病では同種骨髄幹細胞移植の適応はない。

  1)abc 2)acd 3)bcd 4)bde 5)cde

 

  答:2

 

 

 3)白血病の分子標的治療について正しいものの組み合わせはどれか。

  a)All-trans retinoic acidATRA)はt8;21)転座型の急性骨髄性白血病に有効である。

  b)ATRA単独よりもATRAと化学療法の併用のほうが治療率が高い。

  c)イマチニブは分子標的薬であるので、副作用はほとんど発生しない。

  d)亜ヒ酸は急性前骨髄性白血病に対し有効である。

  e)慢性期慢性骨髄性白血病に対する標準的治療はイマチニブ単独療法である。

  1)abc 2)ace 3)bcd 4)bde 5)cde

 

  答:4

  a)× t15;17) b)○ アントラサイクリンなどを組み合わせる

  c)× 骨髄抑制や皮疹、下痢などをおこす d)○ e)○

 

 

 4)骨髄腫について正しいものの組み合わせはどれか。

  a)くすぶり型多発性骨髄腫でも化学療法を行ったほうがよい。

  b)貧血は多発性骨髄腫の病期と関係しない。

  c)サリドマイドは骨髄腫に有効である。

  d)骨髄腫の溶骨病変に対し、bisphosphonate製剤の投与が推奨される。

  e)Dexamethasoneは骨髄腫に対するキードラッグである。

  1)abd 2)ace 3)bcd 4)bde 5)cde

 

  答:5

  a)× 経過観察でよい b)× c)○ 再発・難治性多発性骨髄腫に用いる d)○ e)○

 

 

【6】腫瘍の分子機序と化学療法(九州がんセンター織田先生)

 1)発がんの原因として普遍的なものはどれか。

  a)染色体変化  b)感染  c)遺伝  d)環境要因

  1)a 2)cd 3)abd 4)acd 5)全て

 

  答:5?

  解説:授業では“遺伝子における突然変異の蓄積”“染色体再編成”“ウイルス遺伝子の感染”の

3つを言っていました。

 

 

 2)癌細胞にみられる生物学的特徴のうち、腫瘍の発生初期から必要とされると考えられるものは

どれか。

  a)局所免疫応答の撹乱  b)薬剤感受性の変化

  c)細胞周期制御の異常  d)細胞-細胞/細胞-間質相互作用の異常

  1)a 2)cd 3)abd 4)acd 5)全て

 

  答:4

  解説:薬剤耐性は後から出てきます。

 

 

【7】小児固形腫瘍(田口先生)

 1)抗がん剤の特異的な副作用に関して正しい組み合わせを選べ。

  1)サイクロフォスファミド―聴力障害  2)アドリアマイシン―心筋障害

  3)ビンクリスチン―末梢神経炎  4)シスプラチン―出血性膀胱炎

  5)イリノテカン―腎機能障害

  a)12 b)15 c)23 d)34 e)45

 

  答:d

  1)× 出血性膀胱炎 2)○ 3)○ 4)× 腎障害 5)× 骨髄抑制、下痢、肺炎など

 

 

 2)小児固形悪性腫瘍の腫瘍マーカーの組み合わせで正しいものを選べ。

  1)横紋筋肉腫―CA19-9  2)神経芽腫―尿中VMA,HVA

  3)卵黄嚢癌―AFP  4)ウィルムス腫瘍―βHCG 5)肝芽腫―CA125

  a)12 b)15 c)23 d)34 e)45

 

  答:c

 

 

 3)神経芽腫に関して正しい組み合わせを選べ。

  1)神経芽腫の好発部位で最も多いのは後腹膜であり、次に縦隔である。

  2)神経芽腫には、自然に退縮するものは存在しない。

  3)神経芽腫のstage4Sは、転移巣は肝、骨、皮下に限る。

  4)神経芽腫の約70-80%の症例で尿中VMA,HVAが高値を示す。

  5)乳児神経芽腫マススクリーニングは、現在は行われていない。

  a)12 b)15 c)23 d)34 e)45

 

  答:e

  1)× 副腎が多い 2)× 3)× 肝、皮下、骨髄 4)○ 5)○

 

 

 4)3歳女児の骨転移を伴う巨大副腎神経芽腫の初期治療方針について最も適切なものを1つ選べ。

  a)原発腫瘍の生検後に腫瘍の特性に基づいた化学療法や放射線療法を行う。

  b)浸潤臓器を含め、最初に原発巣の拡大手術を行った後に強力な化学療法を行う。

  c)外科的処置は行わず、直ちに強力な化学療法と放射線照射を行う。

  d)骨髄移植を伴う大量化学療法を施行し、腫瘍縮小後に外科的手術を行う。

  e)免疫療法を施行し、腫瘍縮小後に外科的手術を行う。

 

  答:c

  解説:1歳以上でstageWなので多剤大量化学療法を基本にし、残存原発巣や骨転移層に放射線照

射を行う。

 

 

 5)神経芽腫の予後因子に関して正しい組み合わせを選べ。

  1)aneuploiddiploidを示す神経芽腫に対して予後不良である。

  2)Shimada分類とは神経芽腫の病理分類である。

  3)MYCN遺伝子は二番染色体短腕に存在している。

  4)MYCN増幅症例には一番染色体短腕が欠失している症例は少ない。

  5)TrkAの高発現症例は予後不良である。

  a)12 b)15 c)23 d)34 e)45

 

  答:c

  1)× 予後良好 2)○ 3)○ 4)× 1p欠損とMYCN増幅には相関がある

  5)× 予後良好、TrkB高発現が予後不良

 

 

【8】腫瘍の放射線療法(塩山先生)

 1.(  )内に適当な語を入れよ。

 

   腫瘍に対する放射線治療において最も一般的に用いられている放射線の種類は(1)と(2)で

あり、(1)は主に深部臓器腫瘍に、(2)は表在性腫瘍に対する治療として使い分けられている。治療

には、主に医療用直線加速器(リニアック)が用いられるが、近年では、CTMRIなどの画像デ

ータを用いて計画・評価され、腫瘍の形状に合わせた多方向からの放射線照射により、腫瘍への線

量増加、正常臓器への副作用低減が可能となった。このような治療法が3次元原体照射と言われる

方法である。特に、脳腫瘍、肺腫瘍、肝臓腫瘍に対して数mm以内の照射精度で、誰方向から1

回に大線量を集中的に腫瘍へ照射する技術が(3)である。また、(4)は、照射野内で線量強度

を場所により変化させ、そのような照射を多方向から行うことで、さらに腫瘍に対する線量集中性

を上げ、周囲リスク臓器の副作用低減を図る照射方法である。さらに、陽子線、炭素イオン線など

を用いた重粒子線治療は、(5)という理想的な線量分布を持ち、特に、炭素線は生物学的効果も

高いことから、より高い抗腫瘍効果、副作用リスク低減が可能で、近年注目されている。

 

  答:1)X線 2)電子線 3)定位放射線照射 4)強度変調放射線治療 5)ブラッグピーク

 

 

 2)上記のような近年の放射線治療を行う上、CTMRIなどの画像データを用いた3次元放射線治

療計画が必須であるが、治療計画上で決定・入力する必要がある各種体積を5つ挙げ、それぞれに

ついて簡単に述べよ。

 

  答:GIV→画像や触診で確認できる肉眼的腫瘍体積

    CTVGIVと顕微鏡的な進展範囲を含む臨床的な標的体積

    ITVCTVと呼吸移動や消化管ガスの影響などによる体内の動きを誤差として考慮したもの

    PTVITVと毎日の治療における設定誤差を含めた標的体積

 

 

【9】呼吸器腫瘍の臨床(矢野先生)

 内容が正しい文章には○、間違っている文章には×を記入しなさい。

 1)わが国の肺癌による死亡数は増加し、現在毎年10万人が肺癌で死亡している。

 2)夫から妻への受動喫煙による肺癌発生のリスクは23倍(夫が非喫煙の妻に対して)に達する。

 3)非小細胞性肺癌において遺伝子異常が知られている代表的な遺伝子はK-rasp53である。

 4)U期の非小細胞性肺癌の標準的な治療法は化学・放射線治療である。

 5)最近は喫煙歴のない女性の腺癌が増加している。

 6)切除可能な非小細胞性肺癌全体の術後5年生存率は30%に過ぎない。

 7)非小細胞性肺癌の切除後に、抗癌剤による全身的な補助療法が予後を改善するというエビデンス

はない。

 8)分子標的治療薬のひとつであるゲフィニチブ(商品名イレッサ)は上皮増殖因子(EGF)受容体

遺伝子に異常があると効果が期待できない。

 9)胸膜中皮腫の原因の多くはアスベスト曝露である。

 10)胸膜中皮腫は、抗癌剤や放射線治療に胸膜外肺全摘を加えた集学的治療により多くは治癒するよ

うになった。

 

 答:1)× 56万人程度 2)× 1.2倍 3)○ 4)× 手術と術後化学療法 5)○

   6)× 50%程度 7)× TB期はUFT、U・V期ではシスプラチンが予後を改善する

   8)× EGFRに変異がある人に効く 9)○ 10)× 基本的に予後が悪い

 

 

10】脳腫瘍の臨床(佐々木先生)

 1)原発性脳腫瘍の中で頻度の高い腫瘍を2つ選べ。

  a)神経膠腫  b)悪性リンパ腫  c)髄芽腫  d)胚細胞腫瘍  e)髄膜腫

  1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de

 

  答:2

 

 

 2)原発性脳腫瘍の年間発生頻度として最も近いものはどれか。

  1)百人に一人  2)千人に一人  3)一万人に一人  4)十万人に一人

  5)百万人に一人

 

  答:3

 

 

 3)転移性脳腫瘍の原発巣として、頻度の高いものはどれか。

  a)腎癌  b)胃癌  c)肝臓癌  d)肺癌  e)乳癌

  1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de

 

  答:5

 

 

 4)膠芽腫(Glioblastoma)について正しいものを選びなさい。

  a)硬膜から発生する。  b)大脳より小脳に発生することが多い。

  c)手術と放射線化学療法を行っても5年生存率は10%以下である。

  d)内部に出血や壊死を伴うことが多い。

  e)小児に多く、成人に発生することはほとんどない。

  1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de

 

  答:4

  a)× グリア細胞由来です b)× 大脳半球に多い c)○ d)○

  e)× 4564歳の男性に多い

 

 

 5)70歳男性のGd造影MRIを示す。鑑別診断にあがる疾患を3つ選びなさい。

  a)脳膿瘍  b)転移性脳腫瘍  c)膠芽腫  d)髄膜腫  e)髄芽腫

  1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


  答:1

  解説:リングエンハンスメントです

 

 

 6)痙攣発作で発症した57歳男性の造影MRI冠状断を示す。最も考えられる診断はどれか。

  1)髄膜腫  2)膠芽腫  3)神経鞘腫  4)悪性リンパ腫  5)頭蓋咽頭腫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


  答:1

  解説:典型的な画像です。Gd造影で均一に増強されます。

 

 

 7)頭痛、嘔吐で発症した3歳男児のGd造影MRIを示す。

鑑別診断にあがる疾患を2つ選びなさい。

  a)髄膜腫  b)神経鞘腫  c)上衣腫  d)髄芽腫  e)悪性リンパ腫

  1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


  答:4

  解説:小児の小脳虫部の腫瘍の鑑別にはこの2つがあがります。

 

 

 8)34歳、女性。1ヶ月前に左聴力低下、耳鳴を自覚した。造影MRIを示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


  病変の存在するのは次のうちどこか?

  1)右海綿静脈洞  2)左内耳道  3)蝶形骨洞  4)右側頭葉  5)左外耳道

 

  答:2

  解説:聴神経腫瘍(shwannoma

 

 

 9)上記腫瘍が最も高率に発生するのはどれか。

  1)三叉神経  2)顔面神経  3)前庭神経  4)動眼神経  5)迷走神経

 

  答:3

 

 

 1034歳、女性。造影MRIを示す。出現する可能性がある症状はどれか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


  a)無月経  b)顔面神経麻痺  c)嚥下障害  d)味覚障害  e)視野障害

  1)ab 2)ae 3)bc 4)cd 5)de

 

  答:2

  解説:下垂体腫瘍

 

 

11】消化器腫瘍の臨床(前原先生)

 1)次のうち正しい組み合わせを選べ。

  a)現在、わが国において、悪性新生物による死亡率は心疾患による死亡率より高い。

  b)わが国において、死亡率の増加傾向にある癌として肺癌、胃癌、結腸癌がある。

  c)食道癌の好発年齢は胃癌のそれよりも高い。

  d)現在、男性で最も死亡率の高い癌は肺癌である。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:1

  b)× 胃がんは減少

 

 

 2)食道癌に関して正しいのはどれか。

  a)日本人の食道癌は腺癌が扁平上皮癌より多い。

  b)日本人の食道癌の好発部位は頚部食道である。

  c)食道癌と合併しやすい癌として肝細胞癌が代表的である。

  d)一般に、食道癌は胃癌に比べ放射線感受性が高い。

  e)食道切除後の縫合不全の頻度は後縦隔経路が胸壁前経路より高い。

  1)a 2)b 3)c 4)d 5)e

 

  答:4

  a)× 扁平上皮癌が多い b)× 胸部中部食道に多い c)× 頭頚部がんが合併しやすい

  d)○ 扁平上皮癌なので放射線が有効 e)× 胸壁前に多い

 

 

 3)胃癌に関して正しいのはどれか。

  a)胃の上部は下部より癌の発生頻度が高い。

  b)早期胃癌の肉眼型は1型である。

  c)上部胃癌の脾門部リンパ節への転移は稀である。

  d)浸潤型の進行癌では口側は6cm程度は離して切離する必要がある。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:4

  a)× 下部(幽門側に多い) b)× 0型 d)○

 c)× リンパ節の完全郭清をするために上部進行胃癌では脾摘が行われることが多い

 

 

 4)結腸癌に関して正しいのはどれか。

  a)結腸癌の7080%は低分化腺癌である。

  b)結腸癌の好発年齢のピークは40歳代である。

  c)粘膜内癌はポリペクトミーで治療は完了する。

  d)進行癌の80%は潰瘍浸潤型である。

  e)血中CEA値は結腸早期癌の発見に有用である。

  1)a 2)b 3)c 4)d 5)e

 

  答:3

  a)× 高分化腺癌 b)× 60代 c)○ d)× 限局潰瘍型 e)× 便潜血反応が有用

 

 

 5)直腸癌に関して正しいのはどれか。

  a)Rb領域とは第二仙椎下縁から腹膜翻転部までの直腸である。

  b)初発症状として下血が最も多い。

  c)Ra領域の癌では直腸温存手術が可能なことが多い。

  d)Rb領域の癌では側方へのリンパ節郭清は省略できる。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:3

  a)× 腹膜飜転部から恥骨直腸筋付着部まで b)○ c)○ 低位前方切除術

  d)× 側方転移が多い

 

 

 6)肝細胞癌に関して正しいのはどれか。

  a)日本の肝細胞癌の約70%はB型肝炎に関連している。

  b)Eggelの分類の分類によると肝細胞癌は肉眼形態により3つの型に分けられる。

  c)高カルシウム血症、赤血球増多症等を合併することがある。

  d)肝動脈造影ではhypervascularを示すものが多い。

  e)手術は肝切除および2群までのリンパ節郭清とが原則である。

  1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde

 

  答:4

  a)× C型肝炎 b)○ c)○ 腫瘍随伴症状の代表例 d)○

 e)× リンパ節郭清はしない

 

 

 7)肝腫瘍に関して正しいのはどれか。

  a)肝芽腫で肝硬変を合併するのは稀である。

  b)胆管細胞癌は原発性肝癌の約20%を占める。

  c)肝門型の胆管細胞癌では黄疸を主訴にすることが多い。

  d)子宮癌からの肝転移は経肝動脈性のことが多い。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:1

  a)○ b)× 510% c)○ d)○

 

 

 8)胆嚢癌に関して正しいのはどれか。

  a)胆嚢癌は女性のほうが男性より罹患しやすい。

  b)胆嚢癌の大部分は腺癌である。 c)超音波検査は発見に有用な手段である。

  d)手術として膵頭十二指腸切除術がなされることがある。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:5

 

 

 9)胆管癌および膨大部癌(乳頭部癌)に関して正しいのはどれか。

  a)膵内胆管癌は上部胆管癌よりリンパ節転移の頻度が低い。

  b)下部胆管癌の外科的切除としては、胆管切除術が基本である。

  c)膨大部癌の予後は膵癌に比べ良好である。

  d)膨大部癌の切除率は約90%である。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:1

  a)○ 肝転移・リンパ節転移ともに低い b)× 膵頭十二指腸切除術 c)○

  d)○ 黄疸が出やすく、早期に見つかりやすい

 

 

 10)膵癌に関して誤っているのはどれか。

  a)膵臓癌は女性のほうが男性より罹患しやすい。

  b)Courvoiser徴候とは、黄疸を伴う右季肋部の疼痛である。

  c)門脈に浸潤している場合は手術適応ではない。

  d)膵癌切除術の5年生存率は約20%である。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:5

  a)× 男性に多い b)× 無痛性胆嚢触知 c)× 門脈合併切除再建が行われる

  d)× 217

 

 

12】頭頚部腫瘍の臨床(中島先生)

 1)頭頚部扁平上皮癌患者に重複癌が多い理由について簡潔に述べよ。

 

 答:頭頚部癌のリスクファクターは酒やタバコなどであり、それらは共通のリスクファクターである。

また、酒やタバコはびまん性、広範囲に曝露されるものであるから、多発性の腫瘍を作りやすい。

このため、重複癌が多い。

 

 

 2)正中頚嚢胞について正しい組み合わせはどれか。

  a)甲状舌管遺残嚢胞である。 b)好発部位は舌骨レベルである。

  c)第2鰓弓の発生異常である。 d)放射線感受性が高い。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:2

 

 

 3)頚部リンパ節転移に関する記載で正しい組み合わせはどれか。

  a)頚部リンパ節転移が疑われるときは原発巣の検索の前にリンパ節生検(摘出)を行い組織診断

を確定させる。

  b)上咽頭癌の頚部リンパ節転移は稀である。

  c)頚部リンパ節の細胞診を行う際はなるべく太い針を用いる。

  d)左鎖骨上リンパ節腫大は胃癌、肺癌などの転移も疑う必要がある。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:4

  a)× 原発巣の検索をまず行う b)× c)× リンパ節1コを全部取る d)○

 

 

 4)唾液腺腫瘍に関する記載で正しい組み合わせはどれか。

  a)耳下腺腫瘍は良性腫瘍より悪性腫瘍が多い。

  b)耳下腺腫瘍の手術では顔面神経に注意する必要がある。

  c)がま腫は唾液腺の貯留嚢胞で舌下腺に好発する。

  d)唾液腺腫瘍は大半が顎下腺に発生する。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:3

  a)× 良性が多い b)○ c)○ がま腫→舌下腺、唾石症→顎下腺 d)× 7割が耳下腺

 

 

 5)鼻副鼻腔腫瘍に関する記載で正しい組み合わせはどれか。

  a)鼻副鼻腔癌の亜部位で最も多いのは上顎洞である。

  b)上顎癌に対する治療は手術・放射線・化学療法を用いた集学的治療が一般的に行われる。

  c)鼻副鼻腔癌の病理組織型で最も多いのは腺癌である。

  d)アレルギー性鼻炎は鼻副鼻腔癌のリスクファクターである。

  1)acdのみ 2)abのみ 3)bcのみ 4)dのみ 5)adのすべて

 

  答:2

  a)○ ちなみに欧米では篩骨洞の腺癌が多いようです b)○ c)× 扁平上皮癌 d)×

 

 

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