ターミナルケア 平成19年度本試験
(獲得)
○ 2007.12.14 10:00〜12:00実施
○ 問題用紙はA4×3(裏表印刷)、解答用紙はA4×1、どちらも提出。
○ 不合格:0人
【1】以下の問に答えよ。(10点)
1)痛みに関する情報を伝える神経線維はどれか。
1)Aα 2)Aβ 3)Aγ 4)Aδ 5)C
a)12 b)23 c)34 d)45 e)すべて
答:d
2)モルヒネについて誤りはどれか。
1)肝臓で代謝される。 2)PaCO2を下げる。 3)下痢を起こす。
4)ナロキソンで拮抗される。 5)縮瞳を起こす。
a)12 b)23 c)34 d)45 e)すべて
答:c
解説:嘔吐、便秘、縮瞳、眠気、呼吸抑制などを起こす。
急性中毒の呼吸抑制にはナロキソンが有効。
3)癌性疼痛に対してモルヒネの併用が適切なものはどれか。
1)アスピリン 2)アセトアミノフェン 3)カルバマゼピン
4)ペンタゾシン
a)123 b)12 c)23 d)4 e)すべて
答:a
解説:モルヒネと併用していけないのは拮抗性鎮痛薬である。
ペンタゾシン、ブプレノルフィンなどがこれに相当する。
4)WHOがん疼痛治療法の第2段階に用いる薬剤として正しいものはどれか。
1)ペチジン 2)フェンタニル 3)コデイン 4)トラマドール
5)ガバペンチン
a)12 b)23 c)34 d)45 e)すべて
答:c
5)レスキュー(オピオイドが定期投与されているが、痛みが残存または出現した場合に
追加投与すること)に用いる薬剤として正しいものはどれか。
1)塩酸モルヒネ錠 2)塩酸モルヒネ散 3)塩酸モルヒネ徐放錠
4)塩酸オキシコドン徐放錠 5)フェンタニルパッチ
a)12 b)23 c)34 d)45 e)すべて
答:a
解説:レスキューには半減期の短い速効性モルヒネ製剤を用いる。
6)アセトアミノフェンについて正しいものはどれか。
1)抗炎症作用がほとんどない。 2)消化性潰瘍の原因となることはない。
3)NSAIDsとの併用で鎮痛効果の増強を期待できる。
4)血液凝固能への影響はほとんどない。 5)腎血流低下や腎機能への影響が少ない。
a)12 b)23 c)34 d)45 e)すべて
答:e
1)○ 2)○ 通常はない 3)○ 相加効果あり 4)○ 5)○
7)神経障害性疼痛(神経因性疼痛)の治療に用いられる薬剤として正しいものはどれか。
1)抗うつ薬 2)抗不整脈薬 3)NMDA受容体拮抗薬 4)副腎皮質ステロイド
a)123 b)12 c)23 d)4 e)すべて
答:e
8)次のうち正しいものの組み合わせをあげよ。
1)膵臓癌による背部痛 − 腹腔神経叢ブロック
2)上顎癌による顔面痛 − 三叉神経節ブロック
3)肋骨転移癌による頬部痛 − 肋間神経ブロック
4)直腸癌による肛門痛 − 不対神経性ブロック
a)123 b)12 c)23 d)4 e)すべて
答:e
9)硬膜外鎮痛に用いるオピオイドとして不適切なものはどれか。
1)モルヒネ 2)フェンタニル 3)ブプレノルフィン 4)ペンタゾシン
a)123 b)12 c)23 d)4 e)すべて
答:d
解説:局所麻酔薬、モルヒネ、フェンタニル、ブプレノルフィンなどを用いる。
ペンタゾシンは効かないので用いない。
10)腹腔神経叢ブロックの合併症として起こりうるもので正しいものはどれか。
1)下痢 2)低血圧 3)性機能異常 4)腸管穿孔 5)後腹膜出血
a)12 b)23 c)34 d)45 e)すべて
答:e
【2】骨転移の放射線治療(10点)
1)以下の中で骨転移の頻度が最も高い組み合わせはどれか。
1)肺癌 2)乳癌 3)子宮癌 4)肝細胞癌 5)神経膠芽腫
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:a
2)以下の骨転移の画像所見に関する記述のうち正しいのはどれか。
1)骨転移の画像所見として、溶骨性転移と硬化性(造骨性)転移に大別される。
2)乳癌、前立腺癌では、溶骨性転移が多い。
3)FDG-PET検査は、骨転移の診断には有用でない。
4)骨転移は遠隔転移であるので、脊椎などの躯幹骨に比べ四肢末端の骨に多い。
5)肺癌では、溶骨性転移が多い。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:b
1)○ 2)× 骨形成像を示すことが多い 3)×
4)× 脊椎や体幹に近い骨に多い 5)○
3)骨転移に対する放射線治療の目的として誤っているのはどれか。
1)いかなる骨転移があっても、痛みがなければ放射線治療の適応がない。
2)麻痺などの神経症状を有する脊椎転移では、緊急照射の適応になる。
3)多臓器転移のない単発の骨転移であれば、根治的または準根治的放射線治療の適応
になる。
4)放射線感受性の低い腫瘍の骨転移の場合、放射線治療による除痛効果は期待できな
い。
5)全身多発骨転移では、局所療法である放射線治療の適応はない。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:?
1)× 根治の可能性があったり麻痺が出現したりしたときに用いることがある
2)○ 3)○ 4)× 除痛効果は組織型によらない 5)× 除痛などに用いる
4)骨転移に対する放射線治療の目的として誤っているのはどれか。
1)痛みを伴う骨転移に対する除痛
2)脊髄圧迫症状を伴う脊椎転移に対する麻痺の改善・予防
3)多臓器転移を伴う骨転移に対する局所腫瘍制御
4)生命予後の延長
5)荷重骨の骨転移に対する病的骨折の治療・予防
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:d
5)骨転移に対する放射線治療に関する以下の記述で誤っているのはどれか。
1)骨転移の放射線治療では副作用を考慮する必要はない。
2)30Gy/10分割、20Gy/5分割などの線量・分割で行われることが多い。
3)骨転移に対する放射線治療の除痛効果は約80-85%の症例で期待できる。
4)全身状態不良な症例には8Gy・1回照射が行われることもある。
5)除痛効果は治療後1〜2ヶ月たたないと得られない。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:b
1)× 2)○ 3Gy 10回が多い 3)○ 4)○ 脊髄圧迫の患者に8Gyあてると浮腫
が起こってひどくなるのでステロイドを併用する必要がある 5)× 数日〜10日
【3】
T.以下の問に答えよ。(4点)
1)がん患者の精神症状に関する次の記述のうち正しいものをあげよ。
1)がん患者の精神症状が問題となるのはがんの再発・進行期のみである。
2)有病率の高い疾患は、適応障害・うつ病・せん妄である。
3)がん患者の自殺のリスクは一般人口に比べ高い。
4)がん患者のうつ病の治療に抗うつ薬は含まれていない。
5)がん患者のせん妄は抗うつ薬で悪化しない。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:c
5)× 悪化するので抗精神病薬を用いる
2)サイコオンコロジー・緩和ケアに関する次の記述のうち正しいものをあげよ。
1)緩和ケアはがん治療の早期から行われる。
2)サイコオンコロジーの対象はがん患者のみである。
3)がん患者のストレスへの対処様式は生存率を改善させる。
4)がん患者の全身倦怠感や食欲低下は、がんの身体的な問題であるためうつ病の診断
基準の症状として含めない。
5)サイコオンコロジーはがんが心に与える影響と、心ががんに与える影響を取り扱う。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45
答:b
1)○ 2)× 3)×? 4)× 5)○
3)がんの精神症状に関連していると報告されたものの組み合わせをあげよ。
1)QOL(生活の質)の全般的低下 2)自己決定能力の障害
3)家族の精神的負担増大 4)医療スタッフの疲弊 5)在院日数の長期化
a)12 b)23 c)34 d)45 e)すべて
答:e
4)サイコオンコロジー・緩和ケアに関する次の記述のうち正しいものをあげよ。
1)日本のがん死亡者の2割は、ホスピスで死亡している。
2)難治がんの告知など、悪い知らせを伝えるコミュニケーションは、患者のストレス
に関連しない。
3)再発進行期の乳がん患者に対するグループ療法は、追試された後もグループ療法が
施行された群の生存期間の延長を認めた。
4)抗がん剤の使用は、がん患者の認知機能障害に影響を与える可能性がある。
5)がん患者の適応障害・うつ病の危険因子の一つにサポートに対する低い満足感があ
る。
a)12 b)23 c)34 d)45 e)すべて
答:d
1)× 約5% 2)× 3)× 1989年にSpiegelが転移性乳がん患者でグループ療法
が寿命を延長すると報告したが、現在はまだ検討中 4)○ 脳も抗がん剤で障害される
5)○
U.以下の文章の内容が正しいか(○)間違っているか(×)を記入しなさい。(6点)
1)国立がんセンターで行われたがん患者の精神症状の有病率調査で、適応障害とうつ病
が一番多かった疾患は再発乳がんである。
2)がん患者の抑うつ症状の早期発見のため、簡便なスクリーニングが有用であると報告
されている。
3)化学療法が原因と考えられる脳障害は、明確にされていない。
4)本年4月に施行されたがん対策基本法は、がん患者の死亡率減少のみを大目標として
いる。
5)難治がんの告知など悪い知らせを伝える際のコミュニケーションには、文化差がある。
6)これまで日本以外の世界で行われてきたコミュニケーション・スキル・トレーニング
は患者の意向を反映して作成された。
答:1)○ 2)○ 3)× 補助化学療法で脳体積が減少したとするデータがある
4)× 5)○ 6)× 医療者の経験則に基づいていた
【4】精神科緩和ケア(30点)
T.以下の文章の内容が正しいか(○)間違っているか(×)を記入しなさい。
1)担がん患者さんの緩和ケアにおいて見られる精神症状として、告知後あるいは再発後
の気分障害(うつ病・うつ状態)は、各種の悪性腫瘍で認められることが報告されて
いるが、頻度は著しく多くほとんどの患者さんで認められる。
2)担がん患者さんの精神症状を評価する場合には、その患者さんが置かれている生活状
況、性格素因、使用している薬剤(化学療法剤、ステロイド、インターフェロン、免
疫抑制剤)、疼痛の程度、など種々の要因を考えなければならない。
3)担がん患者さんは、多くの精神症状を発現し、健常な精神的及び心理的反応として、
自らの身体的状態を受容することは困難である。
4)担がん患者さんの身体的疾患およびその状況、自らの死に対する心理的反応の変化の
プロセスについては、多くの研究があり、時間経過とともにその内容が変化し、最終
的に受容しながら生きていくということが知られている。
5)悪性腫瘍に対して使用される薬剤によって惹起される精神症状については、頻度が少
ないため、悪性腫瘍に対する治療が優先されるべきで、あまり対処する必要はない。
6)疼痛緩和に用いられる、オピオイド製剤では、身体症状の副作用発現が主であり、精
神症状が発現することは少ないため、疼痛緩和のためのオピオイド使用後はあまり精
神症状に注意を向ける必要はない。
7)担がん患者さんに出現するせん妄については、それを惹起する要因の特定が困難なこ
とが多い。しかし、できるだけせん妄に対する治療を優先し、悪性腫瘍の治療を第二
義的に考えるべきである。
8)担がん患者さんに発現する、告知後のうつ病・抑うつに関してはできるだけ抗うつ剤
を使用しないようにする。なぜなら自殺の危険性も少ないからである。抗うつ剤を使
用するにしても、うつ病治療が優先されるべきなので他の悪性腫瘍に対する薬剤との
相互作用を考える必要はあまりない。
9)癌腫(血液、肺がん、消化器、膵癌、等)によっても、抑うつ症状や不安症状の出現
の頻度の違いはあるため、それぞれの癌腫に基づいた対応が必要である。
10)通常認められるうつ病・抑うつ状態と悪性腫瘍におけるうつ病・抑うつ状態とは、症
候学的にも発現メカニズムにも大きな差は認められないと考えられており、通常のう
つ病治療のように基本的には薬物療法を基本とし、精神療法は、あまり効果がないも
のと考えられている。
答:1)× うつ病は3〜10%、軽いものを含めても20〜40% 2)○ 3)× 4)○
5)× 6)× 7)× 8)× 9)○ 10)×
U.以下の文章を読み、正しいものには○、誤っているものには×を記し、誤っている場
合は理由を述べよ。
1)終末期医療は、緩和ケアと同義である。終末期医療において出現してくる精神症状と
悪性腫瘍初期に出現してくる精神症状は類似している。
2)せん妄は、意識障害を伴わない。認知症と同義である。
3)せん妄は、医療用で用いる薬剤で発現しない。
4)近年の緩和医療の概念は、悪性腫瘍罹患当初より開始され、心の痛み、疼痛緩和、身
体的治療の3本柱を中心として全人的医療を目標にしている。
5)せん妄は、意識障害と精神症状の発現が定義となっているが、可逆性であり、認知症
とは全く異なる概念である。治療には、基本的に抗精神病薬を用いる。
答:1)× ターミナルケアは緩和ケアの一部であり、また、出現する症状も異なる
2)× 意識障害を伴い、認知症とは全く異なるものである
3)× 中枢神経系に作用する薬で起こることがある
4)○ 5)○
6)せん妄は、術後せん妄、振戦せん妄、夜間せん妄、作業せん妄、等種々の疾患を基盤
として出現し、多様な症候学的表現型を取る。特に、多種の薬剤が必要な終末期の治
療にはせん妄の対処は重要な問題となってくる。
7)緩和ケアにおいては、統合失調症様の幻覚妄想状態が出現することはない。
8)現代におけるせん妄、幻覚妄想状態、鎮静の薬物療法の基本は、クロールプロマジン、
ハロペリドールを中心とした従来型の抗精神病薬の使用である。
9)物質誘発型精神障害に関しては、化学療法剤、免疫抑制剤、インターフェロン、ステ
ロイド、身体症状の悪化において認められることが多いが、幻覚においては症候学的
には幻聴よりも幻視が見られることが多い。
10)緩和ケアについては、担がん患者さんはいずれにせよ死を迎えるのであるから、実験
的な薬物使用も許される。
答:6)○ 終末期はせん妄が多い(30〜80%) 7)×
8)× 非定型抗精神病薬が中心 9)○
10)× 実験的使用はICをとる、倫理審査などの一連の必要な手続がいる
11)せん妄は、ベンゾジアゼピン系薬剤の単剤使用、抗コリン剤の使用によって悪化する
ことがあるので注意を要する。脳波、画像診断で、脳の器質的な評価および機能的な
評価が診断には必要である。
12)1950年代以降の精神化治療はフロイトの影響もあり、精神分析学的治療が盛んであっ
た。現在は神経化学の急速な進歩を基盤とした生物学的精神医学の確立によって、新
しい薬の開発も盛んになり、薬物療法の重要性がより強調される時代になってきてい
るが、現在でもフロイトの精神分析学的治療は第一選択である。
13)うつ病では、不眠が必発であり、過眠はきたすことはない。
14)抗精神病薬投与中に急速に、筋緊張亢進、振戦、神経症状、高熱、多量の発汗、自律
神経症状の出現、CK値の上昇が見られた。その治療のため、抗精神病薬を増量した。
15)悪性症候群は、抗精神病薬投与中にしか出現しない病態である。
答:11)○ 12)× 13)×
14)× 悪性症候群なので薬を中止し、ダントロレンを投与する
15)× 抗うつ薬でもなることがある。抗パーキンソン薬の突然の中止でもなる
16)緩和ケア医は、担がん患者さんの心の苦痛や身体的苦痛を取り、できるだけ身体的疾
患との受容、共生を促すように患者さんと関わる必要がある。
17)抗うつ剤の効果出現は比較的早く、どれも約2、3日である。
18)うつ病の治療で用いられる三環系うつ薬の副作用は、抗コリン作用が問題となる。た
とえば、口渇、唾液分泌減少、起立性低血圧、尿閉、便秘等がある。
19)機能性の精神障害の精神科的診断を行うときに、症状が典型的であれば器質性精神疾
患および身体疾患の除外を行う必要はない。
20)終末期医療において患者は自殺することがみられるので注意が必要である。
答:16)○ 17)× 2〜4週かかるため、予後が悪いと効果が期待できない 18)○
19)× 必ず行う 20)○
【5】以下の問に答えよ。(20点)
1)がん対策基本法について誤った組み合わせはどれか。
a)がんの予防の推進 b)がんの早期発見の推進
c)全病院への緩和ケア病棟の設置 d)がん患者の療養生活の質の向上
e)がん患者の病院死亡の推進
1)ab 2)ae 3)bc 4)ce 5)de
答:4
解説:第1節 がんの予防・早期発見の推進
第2節 がん医療の均てん化の促進等、がん患者の療養生活の質の維持・向上
第3節 研究
2)がん対策推進計画について誤っているのはどれか。
a)すべての2次医療圏に拠点病院を設置
b)すべての2次医療圏に相談支援センターを設置
c)がん登録の推進
d)治療初期段階からの緩和ケアの実施
e)手術を専門的に行う医師の養成
答:e
a)○ 3年以内が目標 b)○ 3年以内が目標 c)○ d)○
e)× 手術は日本が優れたものを持っているので、それについてはその水準を維持しな
がら、放射線や化学療法を行う人材を育成
3)緩和ケアについて正しいのはどれか。
a)緩和ケアは、患者とその家族のQOL改善のためのアプローチである。
b)精神的な痛みとは、麻薬による精神的依存を指す。
c)緩和ケアは、がん診断時には対象とならない。
d)治療費の問題には、気を配る必要はない。
e)身体的苦痛の緩和には麻薬を投与しておけばよい。
答:a
4)53歳男性。早期胃がんの診断を受け、主治医からの手術の説明を受けに夫妻で訪れた。
主治医は、手術内容と予後を丁寧に説明し、夫妻は5年生存率が95%であることを理解
した。しかし、夫妻とも今後への不安が大きく、妻から「先生、主人は本当に大丈夫な
のでしょうか。」と尋ねられた。
夫妻の不安軽減に適切な主治医の対応はどれか。
a)「信用していないなら、手術はやめましょう。」
b)「今そんなに心配しても仕方ないと思います。」
c)「胃癌の手術には100%の成功はありません。」
d)「どのようなことが心配なのですか。」
e)「手術をしてみなければわかりません。」
答:d
5)45歳男性。早期肺がんが見つかり、十分な説明の元に、手術を前提に入院を勧めた。
患者は仕事の多忙を理由にかたくなに入院を拒否している。
対応として最も適切なものはどれか。
a)死の転帰をとる可能性もあることを強調し、入院を強く迫る。
b)入院を拒否する背景を理解すべく患者と対話する。
c)治療方針に納得されないので終診とする。
d)検査だけでもと言って入院させる。
e)そのまま様子を見るように言う。
答:b
6)85歳女性。胃がんの末期であと数ヶ月の予後と本人にも告知されている。疼痛等に対
する症状コントロールは十分に行われているが、今朝の回診時に主治医に対して「先生、
もう早く死なせてほしい」と訴えかけた。
応答として適切なのはどれか。
a)「今日、明日には死なないので大丈夫ですよ。」
b)「どうしてそのようなお気持ちになられたのか話してもらえますか。」
c)「医師は安楽死を手伝うことはできません。」
d)「外泊でもして気分転換してきてください。」
e)「そんなふうに考えないで頑張ってください」
答:b
7)悪い知らせを伝える際の適切な対応の組み合わせを選べ。
a)患者の家族に優先して伝える。 b)患者がどこまで知っているかを確認する。
c)患者がどこまで知りたいかは変化することがある。
d)検査結果などは専門用語を使い正確に説明する。
e)情報の提供に専念する。
1)ab 2)ae 3)bc 4)ce 5)de
答:3
8)76歳男性。胃がんの治療のため外科病棟に入院していたが、夜間急に興奮状態となっ
た。現病歴:3日前に胃全摘術を受けたが、手術後、発熱が持続している。昼間は傾眠で
あるが、夜間は睡眠が取れていない。夜になって急に言動に脈絡がなくなり、点滴を自
ら外そうとした。それを止めようとした看護師に物を投げつけ、「泥棒、無断で家に入っ
てくるな」などと激しくののしった。既往歴、家族歴ともに特記すべきことはない。
現症:かかりつけた当直医が話しかけても、上の空だったり、興奮したりする。ここが
病院であることを理解していない様子である。
この状態はどれか。
a)うつ病 b)せん妄 c)心因反応 d)不安状態 e)統合失調症
答:b
解説:典型例です
9)がん疼痛治療について正しい組み合わせを選べ。
a)段階的な徐痛目標を設置する。
b)痛みの強さにあわせて鎮痛剤を選択する。
c)鎮痛剤は、痛みが耐えられなくなってからの使用が望ましい。
d)鎮痛剤は注射での投与が望ましい。
e)鎮痛剤投与時には副作用対策は不要である。
1)ab 2)ae 3)bc 4)ce 5)de
答:1
d)× 経口がよい
10)経口モルヒネ製剤の投与で起こりやすいのはどれか。
a)食欲増加 b)呼吸停止 c)眠気 d)幻聴 e)便秘
1)ab 2)ae 3)bc 4)ce 5)de
答:4
解説:便秘、嘔吐、眠気が起こりやすい。
呼吸抑制は重篤な副作用だが、頻度は高くない。
【6】以下の問に○、×で答えよ。(20点)
1)緩和ケアは、1960年代に英国St.Christopher Hospiceが開設されたことに始まる。
2)緩和ケアチームの有用性は、疼痛、満足度などにおいて系統的レビューに基づくメ
タアナリシスで明らかになっていっている。
3)外来緩和ケア診療加算ができる。
4)九州大学病院では、2010年4月より緩和ケアチームによる診療がなされる。
5)がん対策基本法は2007年4月より施行されている。
6)がん対策推進基本計画では、5年以内にすべてのがん診療に携わる医師が緩和ケアに
ついての基本的知識を習得するとされている。
7)緩和ケアの評価表として、QOL評価表が作られている。
8)身体症状の評価としては、疼痛、呼吸困難感、倦怠感の評価が必要である。
9)精神症状の評価としては、幻聴、幻覚の評価が重要である。
10)がん患者の精神疾患としては、適応障害が最も多い。
答:1)○ 2)○ 3)× 外来はない 4)× 既に行われている 5)○
6)× 10年以内 7)○ 8)○
9)× 不安、抑うつ、気分、感情、せん妄の評価 10)○
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