自律神経系(高木先生)設問解答

kimland氏提供

1、 交感神経と副交感神経の各々の特徴について。
・ 両神経系ともに中枢神経系にある節前ニューロンの細胞体から出た節前線維が神経節に至り節後ニューロンにシナプス結合する。節後線維から興奮によって伝達物質が放出されるが、交感神経ではノルアドレナリン、副交感神経ではアセチルコリンがそれぞれ放出される。
・ 交感神経は急激な変化に対応して作動し、呼吸循環機能を亢進させ、消化機能を抑制するといったエネルギーを消費する方向(異化)に作用するが、副交感神経は安静時に働き、エネルギーを蓄積、保持する方向(同化)に作用する。

2、 自律神経系における二重支配と拮抗支配の例。
二重支配…交感、副交感両神経による支配のこと。
拮抗支配…二重支配のとき、両神経による作用は一般に反対方向の支配であること。
例)心臓 交…機能亢進、冠動脈拡張 副…機能抑制、冠動脈収縮
  肺・気管支 交…気管拡張 副…気管収縮
  瞳孔 交…瞳孔散大 副…瞳孔縮小
  膀胱 交…壁弛緩、括約筋収縮 副…壁拡張、括約筋弛緩

3、 節前ニューロンと節後ニューロンの主な伝達物質。
・ 節前線維末端では、交感、副交感両神経ともにアセチルコリンである。
・ 節後線維末端では、交感神経では主にノルアドレナリンであるが、筋細胞ではアセチルコリンである。副交感神経ではアセチルコリンである。

4、 内臓感覚を大きく2つに分類し、それぞれが果たす生理学的意義。
・ 内臓痛覚
生体内の各種臓器に分布する痛みの受容体が刺激を受けて起こす痛み感覚。生体内で起こった異常を認知し、生体の安静を保たせるために必要な感覚情報。
・ 臓器感覚
生体内の環境を至適な状態に保つために、各種臓器には種々の感覚受容器が存在する。これらの受容器からの入力によって引き起こされる感覚には以下のようなものがある。
@)一般には自覚されにくく、基本的生命活動維持に関わる感覚。
A)食、性、排泄行動などと関連し、快、不快の情動が伴うことによって行動発現の動機付けとなるもの。

5、 代表的な自律機能反射の(1)受容器と求心路、(2)反射中枢、(3)遠心路と効果器を例を挙げて説明。
*過去問には「動脈圧受容器反射」と限定があるので、動脈圧受容器を例に挙げます。
頚動脈洞圧受容器からの情報は舌咽神経を、大動脈弓圧受容器からの情報は迷走神経を求心路として中枢である延髄の孤束核(NTS)に入力する。その後、延髄から迷走神経、交感神経を遠心路として、心臓では徐脈、心収縮力低下、心拍出量減少、副腎髄質ではカテコールアミン分泌減少、血管では拡張が起こり、動脈圧を和らげる方向に作用する。

6、筋性防御が起こるメカニズム。
激しい腹痛が起こると、無意識に腹筋を緊張させ、腹部を押さえたりして、その痛みをこらえようとする反射を筋性防御という。これは内臓からの求心性情報が脊髄に入力し、その近傍の脊髄分節内の体性運動系の運動ニューロンを多シナプス性に興奮させて、骨格筋を収縮させる一種の内臓体性反射である。

7&8、関連痛の成因に関する「収束説」、「促通説」を説明し、関連痛の具体例を4例。
・ 「収束説」
体性求心性神経線維と内臓求心性線維とが同一の脊髄視床路ニューロンに収束している。この場合、皮膚の痛み受容器を麻酔しても痛みは消えない。
・ 「促通説」
内臓臓器より上行するインパルスが体性領域からの求心線維を受け取る脊髄視床路ニューロンの発火閾値を低下させる。皮膚の痛み受容器を麻酔してやると痛みは消える。
例)狭心痛…左腕内面、胆石痛…右肩へ抜ける痛み、膵臓痛…背部痛、尿管結石…精巣

9、自律神経系が傷害されたときに生じる症状や症候を挙げて説明。
不整脈、血圧変動、吐気・嘔吐、くしゃみ、吃逆、便秘・下痢など。



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