平成14年度 細胞・システム生理学 追試験

平成15年3月11目実施。120分。
1,2,3を解答用紙1に、4,5,6を解答用紙2に、7,8を解答用紙3に、9,10は問題用紙に直接解答

[ 1] 血液凝固について知るところを書きなさい。

[ 2] スタニウスの結紮実験とはどういう実験か述べよ。また、この実験から何が分かるか説明しなさい。

[ 3] 以下の文中(1)から(10)に適切な言葉を入れなさい。
平滑筋は骨格筋と同様に収縮・弛緩をするためにアクチンとミオシンを含んでいるが、これらのフィラメントは規則正しい配列をしていないため(1)を示さず、Z線が無い。平滑筋を支配している自律神経節後線維は、神経伝達物質を含んでいる多数の(2)を持っている。この平滑筋は単一単位平滑筋および複合単位平滑筋の2種類に分類されるが、このうち(3)単位平滑筋は相互に(4)によって結合しており、これらの筋はしばしばゆっくりと静止電位が上昇して閾値に達するような神経支配とはまったく関係のない活動電位をもつ自律性活動を示す。一方、(5)単位の平滑筋は固有の自発活動を示さずに神経支配に依存しているので、この点に関しては骨格筋に似ていると考えられる。平滑筋の収縮は、骨格筋と同様に細胞内Ca2+濃度が上昇することが引き金となって起こる。しかし、Ca2+の基本的作用機構は骨格筋と異なっており、平滑筋細胞内で上昇したCa2+は(6)に結合し、それがミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)を活性化する。活性化されたMLCKは(7)のリン酸基をミオシンの軽鎖に移してミオシン軽鎖をリン酸化する。この反応によりミオシン頭部はアクチンと(8)を形成して筋の収縮が起こる。平滑筋により運動が行われる消化管は、その内部にマイスネル神経叢と(9)神経叢を有する。これらの神経は腸神経系と呼ばれ、消化管が内容物により局所的に直接刺激を受けたときに口側が収縮し、肛門側が弛緩するという(10)の法則に関与していると考えられる。

[ 4] クロージングボリュームについて知るところを記せ。

[ 5] 1.次の言葉を使って適切な文章を作りなさい。
膜電位依存性カルシウムチャネル(N型、P/Q型)、シナプシン、カルモジュリン、ニコチン様受容体、ラージカチオンチャネル、αブンガロトキシン、微小終板電位、終板電位、内向き電流、活動電位

2.骨格筋収縮―弛緩におけるATPの役割を簡潔に説明しなさい。

[ 6] Hbの酸素解離曲線を描き、それに影響する因子について述べなさい。

[ 7] ヘモグロビンが生成されてから排泄されるまでの過程について述べなさい。

[ 8] インシュリン分泌について知るところを記せ。

[ 9] 次の文章のうち正しいものには○を、誤っているものには×を、問題番号の左に記し、誤っている場合はその部分を訂正しなさい。

1.細胞膜の脂質二重膜を構成するリン脂質分子は、単一層内の移動も反対の層へのフリップ・フロップも頻繁に起こる。

2.脂質二重膜の流動性は、構成するリン脂質の脂肪鎖におけるシス二重結合が多いほど、コレステロールが多いほど低い。

3.生体膜の脂質二重膜の細胞外側は、負に帯電したフォスファチジルセリンが多い。

4.脂質二重膜の細胞膜の厚さは数nmである。

5.腸上皮細胞におけるグルコースの細胞内取り込みや細胞外液への排出は、主にエンドサイトーシス、エキソサイトーシスによって行われる。

6.神経細胞の活性電位発生によって細胞内流入するNa+は、Na+-K+ATPアーゼによって排出される。この時の消費エネルギーは細胞全消費エネルギーの2/3以上である。

7.細胞外フリーCa2+濃度は数mMでK+同様細胞内濃度が高い。

8.神経細胞では一般にK+平衡電位は過分極側で、Na+平衡電位は脱分極側である。

9.静止電位は一般にK+平衡電位より脱分極側をとる。この時静止電位はネルンストの式によって求めることが可能で、K、Na、Clなどの細胞内外イオン濃度と、それぞれのイオンの透過係数を用いて求める。

10.イオンをまったく透過しない人工脂質二重膜を作り、細胞膜とし、それにK+イオンだけを自由に透過させるK+チャネルを埋め込んだ。内側のK+濃度を高く、外側の濃度を低くしてK+チャネルを開くと、内側のKは濃度勾配にしたがって外側に流出し、内外のK+濃度は同じとなり膜電位が発生する。

[10] 次の文章の誤っている部分に下線を引いて訂正しなさい。

1.生殖器の分化はX染色体36KbにコードされているH-P抗原の有無によって決定される。[中略]よってXXYのクラインフェルター症候群のヒトの生殖器は男性型を示す。

2.Lutenizing Hormone Releasing Hormone産出細胞は嗅球の原基で発生し、視床下部へ脳内移動することが知られている。嗅球発生障害に起因するKallman症候群の特徴は、嗅覚異常とともに血中ゴナドトロピン濃度が高い。正常な女性においてゴナドトロピンのうちLHは排卵直後に急増し、排卵された卵子は卵管漏斗で精子と受精する。卵巣での排卵後、残った黄体からエストロゲンが盛んに分泌され、この分泌は子宮内に行われる。この作用には基礎体温の上昇などがある。
胎児循環の大きな特徴の一つは、肺動脈・大動脈間のボタロー管、心室中隔の卵円孔がある。これらにより動脈系と静脈系間にシャントがある。


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