血液 平成15年度卒業試験

平成15年11月14日

1.記述・図示

2.2002年度概説試験Uと同じ。

3.2002年度卒試U−2と同じ。

4.2002年度卒試]−2と同じ。

5.2002年度卒試]−3と同じ。

6.2002年度卒試の]U−1と同じ。

7.2000年度概説試験]Vと同じ。

8.(1)穴埋め A〜J
M3についての問題。15番17番染色体転座の意味。ATRA療法、その副作用
RAR-α再構成という遺伝子異常を伴う。これは細胞分化をつかさどるretinoic acid recepter αをコードする遺伝子とPML遺伝子の再構成である。APLの発症に関与する。
ATRA療法・・・ATRA(all-trans レチノイン酸)による分化誘導療法。白血球細胞の正常分化を誘導。DICも軽快。副作用としてはレチノイン酸症候群がある。ATRA後にAPL細胞が分化し、白血球が増加する時期に一致して、発熱、呼吸困難、浮腫などcapillary leak syndromeによる症状が出現。副腎皮質ホルモンが有効。予防のため、白血球数に応じて、ATRAと化学療法を併用する。

(2)急性白血病に見られる予後良好な遺伝子変異を3つあげ、その遺伝学的特徴とそれを基にした治療法について書きなさい。
t(8;12)(q22;q22)[M2]・・・8q22のETO(MTG-8)遺伝子と12q22のAML-1遺伝子が転座によりAML1/ETO融合遺伝子を形成する。
t(15;17)(q22;q12)[M3]・・・上述。
inv(16)(p13;q22)[M4]・・・PEBP2β、MYH11が関与。

(3)急性白血病と診断された患者さんが来ました。主治医のあなたはどういう検査・処置を急いで行うか順序だてて書きなさい。(過去問通り)
(4) 記述

9.○×10問

10.(1)(2)記述

11.骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome; MDS)について正しい記述の組み合わせは?
(1)染色体異常を呈することが多い。
(2)高齢者に多い。
(3)好中球のペルゲル(Pelger)様核奇形や巨赤芽球様変化(megaloblastoid)などがみられる
(4)WHO分類では芽球が20%以上となったら白血病と分類される。
(5)造血幹細胞のクローン性異常と考えられている。
a. 125 b. 235 c. 123 d. 4 e.すべて   →e

12.2002年度卒試Y−1と同じ。

13.2002年度卒試Y−2と同じ。
  2001年度卒試]や、2000年度卒試]Yに類似、という話もありますのでこれも参考にしてください。

14.ホジキン病について正しい記述には○を,誤った記述には×を記せ。
1)日本の悪性リンパ腫の約50%を占める。 →× 10%前後
2)リンパ節に発症し,隣接性に広がることが多い。 →○
3)放射線感受性が高いので,進行例でも放射線照射が第1選択となる。 →×進行例は転移があり、放射線照射は困難。ABVDなど多剤併用化学療法が標準。
4)Reed-Sternberg細胞はT細胞由来である。 →× B細胞と言われている
5)臨床病期の決定はWHO分類に沿って行われる。 →× Ann Arbor分類

15.非ホジキンリンパ腫に関して正しい記述に○、誤った記述に×をつけよ。
(1)リンパ節外に発症することは稀である。 →× 約1/2
(2)濾胞性リンパ腫はB細胞由来である。 → ○
(3)CD20抗原は主にB細胞上に発現しており、治療の標的分子となっている。 →○
(4)成人T細胞白血病は東日本に多くHTLV−1ウイルスの感染によっておこる。 →×西南部中心
(5)びまん性大細胞リンパ腫は化学療法に反応良好であり、進行性であっても5年生存率は80%以上である。  →×?進行性ではそのように良好な予後は期待できない。

16.4問
(A)小児の再生不良性貧血について正しいものを選べ。
 (1) 骨髄異形成症候群や急性白血病に進展することはない。 →×
 (2) Fanconi貧血は急性骨髄性白血病を発症することがある。 →○固形腫瘍も高率に発症。
 (3) 免疫抑制療法(抗リンパ球グロブリン+シクロスポリン)中はウイルス、真菌及び細菌感染に注意すべきである。(免疫抑制剤と抗リンパ球グロブリンは著効することがある。だった?) →○
 (4) メチルプレドニゾロンパルス療法が最も有効な治療である。 →×最も有効…同胞から骨髄移植か?
 (5) 重症例は非血縁臍帯血移植が第一選択となる。 →×生着不全が多く今のところ予後不良。
   ア. 1,2  イ. 1,5  ウ. 2,3  エ. 3,4  オ. 4,5  →ウ

(B)小児の出血性疾患について正しい組み合わせはどれか。
 (1) 軟口蓋の出血斑は粘膜出血として注意すべき所見である。 →○
 (2) 母体からの移行抗体は新生児に血小板減少を来たす。 →○
 (3) 特発性血小板減少性紫斑病には少量γグロブリン療法を行う。 →× 大量
 (4) 血友病A患者は全て男性である。 →× X連鎖劣性遺伝病だから理屈上そんなことはない。
 (5) 第]V因子欠損症患者ではPT、APTTは正常である。 →○ PTは第T、U、X、Z、]因子の、APTTは第T、U、X、]、[、\、]T、]U因子の欠損により延長。
   ア. 1,2,3  イ. 1,2,5  ウ. 1,4,5  エ. 2,3,4  オ. 3,4,5 →イ
      
17.2問

18.GVL効果について100字以内で述べよ。
造血幹細胞移植では移植前処置を行って白血病細胞根絶をはかるが、同種移植では移植した造血幹細胞から分化した白血球が、免疫反応により残った白血病細胞を一掃することが期待される。これをGVL効果という。
(98字)  ※GVL=Graft-Versus-Leukemia

19.輸血後の移植片対宿主病(GVHD)に関して、( )内に適当な語句を入れよ。
1)輸血後に合併することがある移植片対宿主病(GVHD)は、血液製剤中の(1 Tリンパ球)によって惹起される。
2)輸血後GVHDでは皮膚、肝臓、腸管の他に(2 骨髄)も標的臓器となり、造血幹細胞移植後のGVHDと比較して発症後の(3 致死率)が極めて高い。
3)輸血後GVHDの予防法には、(4 白血球除去フィルター)、(5 放射線照射)などがある。
4)PT-GVHDは供血側がHLA(6 一方向適合)の時生じる。また、PT-GVHDは(7 新鮮血)、(8 免疫不全者)で生じやすく、輸血血液は採血後13日目でも起こった例がある。

※PT-GVHD=post transfusion graft-versus-host disease=輸血後移植片対宿主病
※一方向適合 例えば、血液提供者がaa、受血者がabという遺伝子型を持っているとすると、「a」を自分で持っている受血者は「aa」を排除できない。一方、提供者のT細胞は「b」を非自己とみなすので受血者の組織を攻撃する、というイメージ。

 輸血後移植片対宿主病は、本来は自己の免疫系が排除するはずの輸血血液中のTリンパ球が、免疫が弱っている、HLAが類似していて異物認識されない、などの理由で排除されず、生着して受血者の組織を攻撃するために発生する。
 輸血直後は無症状で、1〜2週間で発熱、紅斑により発症。肝障害、下痢、下血が続き、骨髄無形成による汎血球減少症に至る。顆粒球減少は特に顕著で、敗血症など重症合併症によりほぼ全例が死亡する。
 7、8の解答は「血縁者」(HLAが類似している)や「初回輸血」でもいいかも。

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