血液 平成16年度卒業試験

T.造血幹細胞および造血因子の臨床的意義を、合計500字以内で記せ。

(解答) 2003年度概説、2002年度卒試と似た問題。
造血幹細胞とは、多分化能により必要に応じて生体内に各系統の血液細胞を補充するという能力を持つと同時に、自己複製能により自分と同じ細胞を産生して造血幹細胞の数を維持するという能力を持つ細胞である。
造血因子は造血幹細胞に働きかけてその分化を促す因子で、エリスロポエチン(EPO)やコロニー刺激因子(CSF)などがあげられる。EPOは血液酸素分圧を感知して腎臓で産生され、赤血球造血に働く。貧血と腎性貧血の鑑別(前者で上昇し後者では上昇しない)、相対多血症と絶対多血症(心肺疾患に伴うもの、真性多血症、EPO産生腫瘍など)の鑑別(前者では上昇せず、後者では上昇)に役立つ。CSFは顆粒球および単球、マクロファージの増殖と分化を調節する因子で、G-CSF、M-CSF、GM-CSF、マルチコロニー刺激因子(IL-3やstem cell factorなど)の存在が知られている。遺伝子組み換えによりCSFが大量に入手可能になったため、臨床面ではG-CSFが好中球減少症患者に投与され、有効な成績をあげている。しかし病態の診断、治療モニターとしては、いずれの場合もこれら造血因子の血中濃度を測定する臨床意義は少ない。(500字)

解説:
1、造血幹細胞は多分化能(multipotentiality)と自己複製能(self-renewal)を持つ。
2、造血幹細胞にも未分化な細胞からやや成熟した段階の細胞までが存在するが、やや分化した造血幹細胞でさえ、状況によっては未分化な細胞へと逆戻りし、さらには骨髄から出て血液中を流れて、肝や筋肉、心臓、脳などの臓器を形成している肝細胞、骨格筋や心筋細胞、神経細胞などにも分化しうる可能性がある(可塑性plasticity)。一方、逆に他の臓器の細胞を生み出している肝幹細胞や神経幹細胞、筋幹細胞などの各種幹細胞もまた、条件によっては骨髄に流れてきて造血幹細胞に分化しうることが明らかにされつつある。            参考:朝倉内科学P.1784
造血因子について…参考 今日の診療Vol.11 (C)2001 IGAKU-SHOIN Tokyo


U.下記の問に答えよ。
(1) 成人男性の基準範囲を赤血球、白血球、血小板に関して記せ。
(2) Wintrobeの赤血球指標であるMCV(平均赤血球容積)の基準範囲の大凡の値をその単位と共に記せ。
(3) Wintrobeの赤血球指標であるMCH(平均赤血球ヘモグロビン量) の基準範囲の大凡の値をその単位と共に記せ。
(4) Wintrobeの赤血球指標であるMCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度) の基準範囲の大凡の値をその単位と共に記せ。
(5) 血液検査用の抗凝固剤は何を一般的には用いるか。
(6) 凝固検査用の抗凝固剤は何を一般的には用いるか。
(7) 血球検査・凝固検査用に採血した後、検査をするまでの間で守らなければならない点を挙げよ。

(解答)
(1) RBC: 410〜530万/mm3、WBC: 5000〜8500/mm3、Plt: 15〜40万/mm3
(2) 80〜100μm3 (3)28〜32pg(4)31〜35% (5)ヘパリン
(6)クエン酸(ヘパリンはTT, APTTなどに影響を与える。)
(7)@早く搬送し保存時間を短くする。A長く保存するときは冷やす。ただし、全血を冷蔵庫で保存してはならない。B密封容器で保存すること。C検体を振ったり揺すったりしない。D感染性があるものにはラベルを貼り、取り扱いに注意する。


V.下記は造血系検査に関して述べたものである。カッコ内に適当な語句を入れよ。
 (1) ( @ )染色は顆粒球系のgolden markerとして用いられ、FAB分類に重要である。
 (2) エステラーゼ(E)染色には( A )E染色と( B )E染色があり、前者には( C )阻害がみられ、( D )系の重要なマーカーである。
 (3) PAS染色は多糖類を染色し、( E )芽球で陽性に染まることがある。骨髄線維症で( F )、サラセミアでは( G )、HbSでは( H )、細小血管障害性溶血性貧血では( I )の赤血球像を認め、貧血の型を決める上で大切なヒントを与えてくれる。

 <解答>@ペルオキシダーゼ Aブチルアセテート( 非特異的エステラーゼのこと)
 Bクロロアセテート(特異的エステラーゼのこと) CNaF D単球 E巨赤 
 F涙滴赤血球 G標的赤血球  H鎌状赤血球 I破砕赤血球


W.鉄欠乏性貧血の成因は、A:摂取不足、B:吸収障害、C:需要増大、D:出血、に大別される.以下の病態をそれぞれに分類せよ(A〜Dの記号で答えなさい)。
   @胃摘出術後  (  )   A消化管の癌  (  )
   B妊娠     (  )   C成長     (  )
   D偏食     (  )   E摂食障害   (  )
   F子宮筋腫   (  )   G吸収不良症候群(  )
   H盲締係症候群 (  )   I頻回の献血  (  )

 <解答>@B(胃酸によるFeの酸化が障害されるため) AD  BC  CC  DA  EA
        FD  GB  HB  ID


X.悪性貧血に関して誤っているのはどれか。
  @ビタミンB12の吸収に必要な内因子は、胃底部の壁細胞から分泌される。
  A悪性貧血では抗内因子抗体を高率に認める。
  B血中ガストリン値が低値である。
  Cシリング試験陽性である。
  D骨髄中に巨赤芽球を認める。
 
<解答>@ ○、A ○(T型抗体の陽性率60%、U型抗体の陽性率40%)
B ×(悪性貧血で、もっとも多い原因である胃切除によるものでは、胃酸↓により、ガストリン↑。)
C ○、D ○


Y.括弧内に、最も適切な言葉を記載せよ。
 (1).急性(  A  )白血病では一般に白血球数は減少していることが多く、また著明な出血傾向を呈する。出血傾向の原因は血小板減少に加えて、腫瘍細胞表面に(  B  )が発現されDICが起こるからである。この細胞は胞体中に松葉様の(  C  )を多数持ち(  D  )と称される。通常みられる染色体異常は(  E  )で、第17番の染色体上の(  F  )が第15番染色体上にある(  G  )遺伝子と癒合遺伝子を形成している。この遺伝子産物は白血病細胞の分化を阻止しているが、(  H  )は大量投与によりこの抑制を解除し白血病細胞を(  I  )にまで分化させアポトーシスにより死滅させる。この薬剤治療中には好中球が増加し肺毛細管につまり、サイトカイン放出により(  J  )が起こることがある。
 
(2)急性白血病にみられる予後良好の染色体異常を3つ列記し、その遺伝学的特徴について記載し、それを持つ白血病の治療戦略について述べよ。

(3)急性白血病の診断で患者さんが急患として入院した。主治医となった時、直ちに行うべき検査、処置を順序立てて記載せよ。

(4)急性白血病における寛解導入療法、強化療法、維持療法について述べよ。

 <解答>(1) A 前骨髄性、 B 組織トロンボプラスチン様物質、 C アズール顆粒、 D faggot、
     E t(15,17)、 F RARα、 G PML、 H ATRA、 I 好中球、 J 間質性肺炎、
     (2)(3)(4) 2003年度概説の6と同じ。


Z.白血球増多の検査のため、46歳の患者が来院した。白血球数は32000/μl、貧血を認めず、血小板数は軽度増加していた。白血球像および好中球アルカリフォスファターゼ(NAP)スコアを以下に示す。
(白血球像 %) 分葉核球 38 桿状核球 17 後骨髄球 7 骨髄球 20 前骨髄球 7 単球 3 好酸球 3 好塩基球 5 (NAPスコアー) 患者 6 正常対照 43 
(A) もっとも考えられる疾患は? (B) 治療法につき述べよ。

<解答>(A) CML (NAP scoreが低下する疾患として、急性転化を除くCMLと、PNHが重要である。PNHでは白血球が著増しないので、CMLとなる。)
(B)@50歳以下でHLA適合ドナーが見つかればfirst choiceとなる。根治を期待しうる唯一の治療法である。AIFN-α療法では70〜80%に完全寛解が見られる。Bグリベック(STI571: シグナル伝導遮断薬)はBcr/Ablチロシンキナーゼに対する阻害剤であり、寛解率は90%である。


[.(A) 再生不良性貧血について、正しいものには「○」、間違ったものに「×」をつけよ。
   1.汎血球減少を認める。    2.血清鉄は減少する。
   3.免疫抑制療法が著効することがある。    4.小球性低色素性貧血になる。
   5.網赤血球数は増加する。    6.骨髄生検では繊維化の所見を認めることが多い。
  
(B) 自己免疫性溶血性貧血で認められる検査所見を3つ選べ。
 1.LDH上昇  2.ハプトグロビン高値  3.骨髄の赤芽球過形成
 4.抗グロブリン試験陽性 5.赤血球の浸透圧抵抗の減弱  6.骨髄細胞の染色体異常

<解答>
(A)1.○、 2.×、  3.○(ATG(抗胸腺細胞ブロブリン)とシクロスポリンの併用で2年生存率は40%から80%に上昇した。  4.×(正球性正色素性貧血である。)、 
5.×(骨髄の造血機能低下により、網状赤血球は低下する。)、 6.×(脂肪組織が上昇する。)

(B)1.○(赤血球の破壊による)、  2.×(溶血により出てくるヘモグロビンの担体なので、消費されて低下する。)、  3.○(溶血に対する代償)
4.○(抗グロブリンとは免疫グロブリンに対する抗体であり、患者の赤血球にこれを加えると、赤血球表面には免疫グロブリンが付着しているので、赤血球が凝集する。Coombs試験のこと。)
5.○、 6.×(骨髄に異常はない。)


\.骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)について、正しい記述の組み合わせを選べ
(1) 染色体異常を呈することが多い.
(2) 高齢者に多い.
(3) 好中球のペルゲル(Pelger)様核奇形や巨赤芽球様変化(megaloblastoid)などが認められる.
(4) WHO分類では芽球が20%以上となったら白血病と分類される.
(5) 造血幹細胞のクローン性異常と考えられている.
a(1),(2),(5)  b(2),(3),(5)  c(1),(2),(3)  d(4)  eすべて

<解答>e (1)○( -5/5q-, -7/7q-, 第8染色体トリソミーなど染色体異常がよく見られる。)
(2)○ (3)○ (4)○ (5)○
].以下の病態や症状のうち、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病、マクログロブリネミアに当てはまるものを選べ。
   (1) Bリンパ球の腫瘍であり、細胞表面にはimmunoglobulinを発現していない。
   (2) 白血球数が増加していることが多い。
   (3) ほとんどの症例で血清中にM蛋白が上昇している。
   (4) 末梢血中で大型の成熟リンパ球数が増加していることが多い。
   (5) 核が遍在し、車軸核を持つ細胞が骨髄中で増加している。
   (6) 眼底にソーセージ様静脈怒張が見られることがある。
   (7) 骨に再生像を伴わない骨融解像がみられ、骨折しやすい。
   (8) 血清Ca値が上昇する症例は稀ではなく、それに伴う意識障害で受診する例もある。
   (9) 腎障害を生じやすい。
   (10)欧米では白血病の約30%を占めるが、我が国では2-3%とその頻度は低い。
   (11)IgM産生細胞が単クローン性に増殖した疾患である。
   (12)血小板数などに比し、出血傾向が見られやすい。
   (13)約10%の症例でアミロイドーシスを合併する。
   (14)細胞表面にCD5を発現していることが多い。
   (15)若い成人には稀で、高齢者に好発する。
   (16)病期が進行すると貧血、血小板減少を生じることが多い。
   (17)病初期からの積極的な化学療法が予後を改善する。
   (18)病期が進行すると、肝、脾腫が見られることが多い。
   (19)急性白血病に比べ、経過は緩やかであることが多い。

<解答>2002卒試Y-1と同じ
   多発性骨髄腫…3、5、7、8、9、13、15、(16)
   慢性リンパ球性白血病…2、4、10、14、15、19
   マクログロブリネミア…3、6、11、12、15、16、18


]T.以下の文章につき、正しいものには○を、間違っているものには×をつけよ。
(1) 形質細胞はTリンパ球が最終分化した細胞であり、免疫グロブリンを産生する。
(2) 良性M蛋白血症が、多発性骨髄腫などのリンパ球系悪性腫瘍に移行する割合は、10年間で約15%程度である。
(3) 多発性骨髄腫のStageTでは、抗癌剤を用いた治療のみでは治療は困難で、経過観察することが多い。
(4) 若年の多発性骨髄腫に対し、同種造血幹細胞移植の有効性が示されている。
(5) 多発性骨髄腫では、末梢血で赤血球のRouleaux formationがよく見られる。
(6) Bence-Jones蛋白は、免疫グロブリンL鎖由来であり、酢酸緩衝液存在下では、56度で白濁するものの、煮沸すると再融解する。
(7) 慢性リンパ球性白血病と診断した場合、病期が進行していない(Rai分類で0-U)時から治療を開始したほうが予後が良い。
(8) 慢性リンパ球性白血病では、脾腫はほとんど見られない。

<解答>2002卒試Y-2.と同じ
(1) ×:Bリンパ球、(2) ○、(3) ×(?)、(4) ○、(5) ○、(6) ○、
(7) ×、病期0・T・Uでは経過観察、Uで肝脾腫による圧迫症状あるときや、V・Wでは化学療法。
(8) ×、末梢リンパ球増加、リンパ節腫大、肝脾腫をおこす。


]U.(A) ホジキン病に関して、正しい記述に○、誤った記述に×をつけよ。
  (1)日本では欧米より頻度が高い。
  (2)リンパ節外に発症することが多い。
  (3)高度悪性群に属し、5年生存率は10%以下である。
  (4)大部分の症例で骨髄にReed-Sternberg細胞を認める。
  (5)混合細胞型は、EBウイルスとの関連が深い。

   (B) 非ホジキンリンパ腫に関して、正しい記述に○、誤った記述に×をつけよ。
  (1)リンパ節外に発症することは稀である。
  (2)濾胞性リンパ腫は、T細胞由来である。
  (3)中、高悪性度非ホジキンリンパ腫において、血清LDH値は予後を予測する重要な検査の1つである。
  (4)成人T細胞性白血病は、主に輸血を介して感染し発症する。
  (5)びまん性大細胞リンパ腫は、化学療法に反応良好であり5年生存率は80%以上である。

<解答>2002卒試 V-1, V-2と同じ
(A) (1) ×:日本では欧米に比べて発症率は低く、悪性リンパ腫全体に占める割合の6~10%。欧米は30~50%。
   (2) ×:リンパ節に発症。節外発症は非ホジキン病。
   (3) ×:最も予後の悪いリンパ球減少型でも5年生存率は20%。 (4) ○ (5) ○

(B) (1) ×:リンパ節外の発症もある。50%のものは節外性。
(2) ×:B細胞性 (3) ○ (4) ×:母乳が多い。他には精液など。西日本(特に九州に多い)
(5) ×、予後は悪い


]V.(A) 小児の再生不良性貧血について正しい組み合わせはどれか。
(1) 骨髄異形成症候群と急性白血病には進展しない。
(2) Fanconi貧血の診断には染色体不安定性の確認が重要である。
(3) 免疫抑制療法(抗リンパ球グロブリン+シクロスポリン)中は、ウイルス、真菌および細菌感染に注意する。
(4) エリスロポエチン大量療法が最も有効な治療である。
(5) 重症例には非血縁臍帯血移植が治療の第一選択となる。
 a (1),(2)  b (1),(5)  c (2),(3)  d (3),(4)  e (4),(5)

   (B) 小児の出血性疾患について正しい組み合わせはどれか。
(1) 軟口蓋の出血斑は粘膜出血として注意すべき所見である。
(2) 母体からの移行抗体は新生児に血小板減少をきたすことがある。
(3) 特発性血小板減少性紫斑病の乳児には積極的に脾摘を行う。
(4) 血友病Bの患者はすべて男性である。
(5) 第XIII因子欠損症患者のPTとAPTTは正常である。
a (1),(2),(3)  b (1),(2),(5)  c (1),(4),(5)  d (2),(3),(4)  e (3),(4),(5)

<解答>(A)c (B)((3)小児においては脾臓は免疫系において重要な役割を果たしている。)
(2003年卒試16.4問を参照)


]W.  (A)-(D)の設問に関し、a-eの中から2つ選びなさい。
         a (1)、 b (2)、 c (3)、 d (4)、 e (5)
 (A) 正しいものはどれか。
(1) 小児がんでは成人における悪性腫瘍と比べ、造血器腫瘍・肉腫・胎児性腫瘍・脳腫瘍などの割合が多い。
(2) 小児固形腫瘍においては、特徴的な染色体転座がみられることがある。
(3) 小児がんは、成人における癌と比べ、診断時にすでに全身に広がっている可能性は低い
(4) 小児がんに対する化学療法は、単剤で行うことが多い。
(5) 小児がんに対する化学療法の反応性は、成人における癌と比べて低いことが多い。

 (B) 小児の悪性腫瘍について正しい記述はどれか。
(1) 15歳未満の小児における死亡原因の第1位である。
(2) 年間の発症頻度は、15歳未満の小児人口10万人に対し約1.3人である。
(3) 白血病は小児悪性腫瘍の約10%を占める。
(4) 小児白血病の約70%は急性リンパ性白血病である。
(5) 小児急性リンパ性白血病の発症年齢のピークは3〜4歳頃である。

 (C) 小児の急性リンパ性白血病について正しい記述はどれか。
(1) ダウン症候群における発症率は健常児に比べ有意に高い。
(2) 初診時の末梢血白血球数が多いほど予後は良好である。
(3) HLA一致同胞がいれば、原則として第1寛解期に造血幹細胞移植を行う。
(4) 髄外再発の部位として、中枢神経および精巣が重要である。
(5) 現行の治療法による5年生存率は約50%である。

   (D) 正しいものはどれか。
(1) ドナー登録数(臍帯血保存数)および移植実施数は、骨髄バンク、臍帯血バンクともに年々減少傾向である。
(2) 予後が極めて不良と考えられる染色体転座を認める小児白血病は、同種造血幹細胞移植の適応とならない。
(3) 末梢血幹細胞移植後の好中球の回復は、一般に骨髄移植や臍帯血移植に比べ早い。
(4) 小児患者における造血幹細胞移植後のGVHD(移植片対宿主病)は、成人患者と比較して頻度が高く重症であることが多い。
(5) 小児がん治療後の晩期障害として、成長障害・内分泌障害・臓器機能障害・二次がんなどが挙げられる。

<解答>
(A)(1)(2)が○
(B)(1)×(5-14歳での死因:1、不慮の事故 2、悪性新生物) (2)×(1万人あたり1人)  
(3)×(40%) (4)○ (5)○
(C)(1)○ (2)×(WBC多いほど予後が悪い) 
(3)×(t(9;22)、t(4;11)など予後不良因子を持つ場合に行う) (4)○(骨髄も重要)
(5)×(急性白血病の中で小児のALLが最も治療成績がよく5生率も60%を超えている。)
(D)(4)(5)が○


]X.出血傾向について、正しいものを選べ。
   a. 後天性凝固インヒビターでは、PTのみ延長することが多い。
   b. 先天性血小板機能異常症(Bernard-Soulier症候群)では、血小板数は正常である。
   c. von Willebrand病では、出血時間が著明に延長する。
   d. D-ダイマーは、二次線溶を示す検査である。
   e. ビタミンK欠乏性出血では、FDPが増加することが特徴である。

<解答>a. ×([因子による抗体ができてしまうので、APTTが延長する。)
b. ×(Pltは低下する。) c. ○  d.○  e. ×(PIVKAが上昇するのが特徴的である。)


]Y.58歳男性 主訴:意識障害、発熱
1ヶ月程度前より38度の発熱があり倦怠感がみられた。一週間前より39度の高熱となり意識レベルも低下し、近医受診した。下肢に紫斑もみられ血小板数が2万と低下していたため血小板輸血をうけたところ、意識レベルの増悪とけいれんをきたしたため救命センターに入院となった。
理学所見:意識レベルJCS200、眼球瞳孔に異常なし。血圧、脈、呼吸などvitalは良好。血液ガス所見正常、皮膚に紫斑多数あり。軽度貧血あり、軽度黄疸あり。呼吸音、心音に異常なし。肝脾腫なし。四肢腱反射やや亢進。
Hb 8.1g/dl,WBC 9,800/μl,platelet 15,000/μl,T.bil 3.1mg/dl,D.bil 0.3mg/dl,LDH 1,531 IU/l,Creat 2.3mg/dl
この症例について下記の2問について答えよ。

 (A) 予測される検査結果で正しいものを選べ。
  a. ハプトグロビンの減少   b. 骨髄巨核球の減少   c. 破砕赤血球の出現
  d. FDPの増加           e. vWFの減少

 (B) この症例の第一選択治療について正しいものを選べ。
  a. ヘパリン投与   b. 基礎疾患を治療し,基礎疾患の治療を優先する。
  c. アンチトロンビンを投与する。  d. 血漿交換を行う。  e. ステロイドホルモンを投与する。

診断は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)である。
発熱、溶血性貧血、血小板減少による出血傾向、中枢神経症状、腎障害、の5徴すべてが揃っている。
(A)a. ○(溶血性貧血だから、ハプトグロビンが低下する。)
   b.×(上昇する。) c.○ d.×(進行するとDICとの合併があるため、FDPは上昇する。)
   e.○(本症では、vWF切断酵素活性が低下する。)

(B) d まずFFPによる血漿交換、血漿輸注療法。
内服としてプレドニン、抗血小板薬(アスピリン、ベルサンチン、ドルナー)
参考:今日の診療Vol.11 (C)2001 IGAKU-SHOIN Tokyo


]Z.GVL効果について100字以内で説明せよ。

平成16年度概説16と同じ
【解答】白血病に対する造血幹細胞移植においておこる、ドナーとレシピエント間の組織適合抗原の差異に基づく免疫学的反応を主体とした抗白血病効果。白血病の再発率が有意に低下する。GVHDと一体の関係にある。(97文字)
【解説】Graft Versus Leukemia効果のこと。


][.
(A) 輸血検査について正しい文章を選べ。
  a. 抗A抗体、抗B抗体を不規則抗体という。
  b. 輸血を受ける可能性のある患者が入院した際には、不規則抗体スクリーニングをあらかじめ施行しておく。
  c. 血液型のうら試験では受血者赤血球のA、B抗原の存在を調べる。
  d. ABO血液型判定ミスの原因として最も多いのは悪性腫瘍の存在によるものである。
  e. 交差適合試験の副試験では患者の血清と供血者の血球の適合を調べる。
(1) a (2) b (3) c (4) d (5)e

(B) 血液製剤の適正使用について正しい文章の組み合わせを選べ。
  a. 36歳女性、貧血で受診、ビタミンB12欠乏性貧血と診断されたがHb 6g/dl と高度の貧血を認めたため症状は軽かったが濃厚赤血球2単位を輸血した。
b. 1年前に診断され,慢性的に血小板が1x104/μl以下の15歳の再生不良性貧血患者、本日外来受診時、血小板数が0.8x104/μlであったため、明らかな出血症状は認めなかったが、予防的に血小板輸血を行った。
c. 不明熱の42歳男性、血清アルブミン値が3.1g/dlであったためアルブミン製剤の投与を行った。
d. 体重40kgの患者に血小板濃厚液(10単位)を輸血した場合、末梢血血小板数は4-6x104/μl増加する。
e. 体重50kgの患者に、血清アルブミン値を2g/dl上昇させるためには約100グラムのアルブミンが必要となる。
       (1) a,b (2) c,d (3) a,d (4) b,d (5) d,e

(C) 輸血副作用について誤った文章の組み合わせを選べ
  a. TRALI(transfusion related acute lung injury)は輸血1-2時間で急激な呼吸困難を発症し、胸部X線上、肺水腫を呈する。
  b. 輸血後GVHDを防止するために、なるべく近親者の血液を輸血することが望ましい。
  c. 血液製剤からの白血球除去は輸血副作用軽減に有効である。
  d. 濃厚赤血球を誤って、A型製剤をAB型患者に投与した場合には、AB型製剤をA型患者に投与した場合より重症化しやすい。
  e. 血液製剤中のウイルスの検出のために核酸増幅法(NAT)を用いた検査が全国的に導入されている。
       (1) a,b (2) c,d (3) a,d (4) b,d (5) d,e

<解答>
(A) a.×(ABO式血液型における抗A、抗B抗体は規則抗体といわれる。)b. ○ 、
 c. ×(うら試験は受血者の血清を調べる検査。) d. ?、 e. ×(主試験のこと)

(B) a. ×(VitB12の投与が先)
b. ×(再生不良性貧血など慢性の血小板減少状態では、重篤な出血を認めなければ、5000/μlあれば血小板輸血はしないほうが良い。症状が安定して、出血傾向がある場合、5000/μl以下で血小板輸血の適応となる。)
c. × (適応は出血性ショック、熱傷、肝硬変、ネフローゼなどである。まずは栄養状態の改善などを試みるべき。)
d. ○ 予測血小板増加数(/μl)=(輸血血小板総数/循環血液量(ml)×10^3)×2/3
最後の×2/3は、輸血された血小板の約1/3は脾臓にプールされるから。循環血漿量は体重の1/13である。また、血小板濃厚液1単位中、約0.2×10^11個の血小板が含まれる。増加数(/μl)=2×10^11/(40000×1/13×10^3)×2/3=4.3×10^4個 
e. ○ アルブミンの必要投与量(g)=血清アルブンミンの期待上昇値(g/dl)×循環血漿量(dl)×2.5
ただし、循環血漿量は0.4dl×体重(kg)、投与アルブミンの血漿内回収率は4/10とする。
この仮定に従うと、結局、必要投与量=期待上昇値(g/dl)×体重(s)となる。
したがって、2×50=100g

(C) a. ○ TRALIは、輸血後数時間で起こる、急性の肺水腫による呼吸不全。
b. ×(親近者だと、GVHDが起こりやすい。) c. ○
d. ×(AB型では血清中に抗A抗体、抗B抗体がないため、A型製剤をAB型患者に投与した場合は、重症化しにくい。)
e.○ NATとは核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test)の頭文字を取ったもの。遺伝子の一部の核酸を取り出し(抽出)、その核酸を倍々で増やして(増幅)、増えた核酸を検出することで遺伝子の有無を確認する検査法のこと。


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(A).胸腺病変について,正しい組み合わせはどれか
(1) 胸腺のリンパ組織増生は重症筋無力症でよく診られる.
(2) 胸腺腫では自己免疫疾患の合併が見られる.
(3) 胸腺腫はすべて悪性腫瘍である.
(4) 胸腺腫の腫瘍細胞はTリンパ球に由来する.
(5) 胸腺では肝臓よりも悪性リンパ腫の発生率が少ない.
a.(1),(2)   b.(1),(5)   c.(2),(3)   d.(3),(4)   e.(4),(5)

(B).Langerhans細胞組織球症の臨床病理像を説明せよ.

(C).以下の記述で、正しいものの組み合わせを選べ。
   a) 再生不良性貧血の骨髄は膠様髄となるのが特徴である。
   b) 急性前骨髄球性白血病の腫瘍細胞にはAzur顆粒は認められない。
   c) 急性赤白血病ではPAS陽性の巨赤芽球が出現する。
   d) 慢性骨髄性白血病では続発性の骨髄線維症によりdry tapとなることがある。
   e) 真性赤血球増加症の骨髄では赤芽球系細胞のみが異常増加する。
      1) a b  2) a e  3) b c  4) c d  5) d e

(D).以下の記述で、正しいものの組み合わせを選べ。
   a) Langhans巨細胞は抗原提示細胞でBirbeck顆粒を持つ。
   b) Gaucher病で出現ずるGaucher細胞にはスフィンゴミエリンが蓄積している。
   c) Hodgkin病の中にはReed-Sternberg巨細胞が出現しないものがある。
   d) 原発性骨髄線維症では巨大脾腫を伴うことがある。
   e) 胸腺腫は病理組織学的には胸腺上皮細胞とリンパ球で構成されている。
      1) a b  2) a e  3) b c  4) c d  5) d e

(A)
(1)○ 重症筋無力症の65%に胸腺の過形成がある。
(2)○ 30%に重症筋無力症、5%に赤芽球癆、その他(RA, SLE SjS, 甲状腺機能亢進or低下)
(3)? 病理学的には良性だが、臨床学的に悪性なものが多い。(浸潤性に発育)
(4)× 上皮細胞、リンパからなる。 (5)×

(B) 肉芽腫を形成し、腫瘍性に増殖する。また、肉芽腫は、Birbeck顆粒を有するLangerhans細胞と、好酸球、リンパ球から構成される。

(C) a)× 脂肪髄  b)× Azur顆粒を持つ c)○  d)○  e)× 顆粒球、巨核球系も増殖する。

(D)
a)○  b)×(スフィンゴミエリンが増殖するのはNiemann-Pick病。)
c)× (Hodgkin病を診断するためには、Hodgkin細胞とReed-Sternberg巨細胞の存在が必要)
d)○(髄外造血により、肝脾腫をきたす。)
e)○

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