肝胆膵 平成15年度卒業試験

(獲得)
問題1.A型肝炎ウイルスとE型肝炎ウイルスに関して正しい記載はどれか。
 a.慢性化することがある。
 b.肝炎発症時にはウイルスは体内に残っていない。
 c.経口感染する。
 d.日本での若年者のA型肝炎ウイルス陽性者は年々少なくなっている。
 e.E型は輸入感染症のみである。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

(解答)?   (文献:内科学 朝倉書店 第8版)
a. ? A型は慢性化することなく完全に回復する(p1100)。E型は通常発症1ヶ月で完治する(p1107)
b. × HAVは潜伏期から発症初期までごく短期間排泄される(p1099)  c.○ その通り
d.  × 年によって発生数に大きな差が見られる(p1098)
e. ○ 日本では常在せず輸入感染症として散在的に発生をみる程度(p1107)


問題2.C型肝炎に関して正しい記載はどれか。
 a.日本国内で多く認められるウイルスのセロタイプは1型である。
 b.C型急性肝炎のうち約2割は自然に治癒する。
 c.慢性肝炎の主たる原因は母子感染である。
 d.肝硬変にまで至るとインターフェロンでウイルスが消失しても肝硬変は進行する。
 e.感染のごく初期からHCV抗体が陽性化する。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

(解答)?
a.○ 1b型が70 %、2a型は20 %、2b型は10%程度
b.× 自然治癒は0.2%程度 c.× 輸血(注射)、移植、傷口からの侵入が主(朝倉p1104)
d.?  e.× HCV抗体は感染後1〜2ヶ月で検出できる(p1105)


問題3.肝硬変に合併しやすいのはどれか。
 a.血球細胞の増加       b.血中アンモニアの上昇   c.高アルドステロン血症
 d.高尿酸血症           e.高アルブミン血症
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

(解答)多分1 ? (参考文献:year note2002 B-46,47)
a.× 脾機能亢進のため低下   b.○ 解毒が障害されるから  c.?  d.?
e.× 肝細胞の合成機能障害を反映するから(y note2002 B-47)


問題4.肝硬変の合併症で一番多いのはどれか。
 a.心機能亢進   b.肝肺症候群   c.膵機能亢進   d.肝腎症候群   e.門脈圧亢進症
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

(解答)e ?
d.肝腎症候群は 肝硬変の9〜11%(朝倉 p1089)


問題5.経皮的肝癌治療法はどれか。
 a.PEITまたはPEI   b.Radiofrequency Ablation   c.Catheter Ablation
 d.BRTO           e.EISとEVL
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

(解答)1
a.○ 経皮的エタノール注入療法(PEIT= percutaneous ethanol injection therapy)
b.○ RFA。ラジオ波は、腹部から病巣に長さ20センチほどの針を刺し、中波ラジオと同じ周波数が生み出す強力な高熱を放射し、がんを焼き殺す
c.× カテーテルアブレーション。心疾患に対して行う治療法( C-55 )
d.×  BRTO= balloon-occludedretrograde transvenous obliteration of gastric varices(バルーン下逆行性 経静脈的塞栓術)門脈圧亢進症による胃静脈瘤に対して。
e. EVL= endoscopic variceal ligation(内視鏡的食道静脈瘤結紮療法)、EIS= Endoscpic Injection Sclerotherapy(内視鏡的食道静脈瘤硬化療法)


問題6.自己免疫性肝炎に関して誤った記載はどれか。
 a.抗核抗体が陽性となるが抗ミトコンドリア抗体は陰性である。
 b.組織学的に形質細胞の浸潤を特徴とする。
 c.血清γグロブリン値またはIgG値の高値を認める。
 d.薬剤服用を原則として認めない。
 e.急性肝炎で発症するのは稀である。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

(解答)4
a.○ 抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性は、PBC(原発性胆汁性肝硬変)で陽性(朝倉p1128)
b.○ 浸潤細胞に形質細胞が認められることが特徴(朝倉p1120)
c.○ γグロブリンは平均2.69g/dl、IgGは平均3351mg/dlと高値を示す(朝倉p1120)
d.× 副腎ステロイドによる免疫抑制療法が著効する (朝倉p1119)
e.○ 特異的な症状はなく、無症状で診断されるものが38.1%存在(朝倉p1120)


問題7.図1は腹部超音波検査で得られた写真です。考えられる組み合わせはどれか。
 a.B型肝炎ウイルス   b.劇症肝炎   c.アルコール   d.脂肪肝  e.肝癌
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

(解答)4    アルコール性肝障害と脂肪肝ともにbright liver。副腎コントラスト(+)


問題8.症例は30歳、女性。10代で発症した再生不良性貧血のため、輸血歴がある。
今回CBCでWBC 3830, RBC 202万, Hb 6.1g/dL, 血小板 5万、血液生化学検査でアルブミンが3.2g/dL, AST/ALT 56/108U/L, ALP/γ-GTP 368/55U/L, 空腹時血糖120mg/dL, HbA1c 7.2%、凝固能でプロトロンビン時間が60%と肝機能異常を指摘され、血液内科から紹介となった。添付されたCTを図2に記す。この患者で下記の設問に正しい組み合わせはどれか。
 a.腹部エコーの所見では、肝臓のエコーレベルは上昇している。
 b.初の輸血は10-20年前であるから、輸血によるC型肝炎の危険性も考慮する必要がある。
 c.フェリチンの値は2580ng/mL(正常は5-120)である。
 d.CTで観察される腹水は浸出性よりも漏出性を疑い、かつ血性腹水のrule outが必要でる。
 e.糖尿病を合併しており、その病態はいわゆる肝硬変時の高インスリン血症後のインスリン感受性低下から発生した膵臓の疲弊が中心である。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

(解答)3
a.?     b.○ HCVは輸血などの感染が多い
c.○ 造血能低下により鉄の利用障害を来し、血清鉄・フェリチンの上昇(year note2002 G28)
d.?     e.× 空腹時血糖120mg/dL, HbA1c 7.2%だけではDMと診断できない


問題9.現在(検査時)の肝(実質細胞)の合成能をみるのに最も適切なものはどれか。
 a.アルブミン      b.コリンエステラーゼ      c.ヘパプラスチンテスト
 d.プロトロンビン時間     e.コレステロール
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

(解答)?
a.○  b.○  c.○ U、Z、]因子を反映   d.○ T、U、X、Z、]因子を反映  e.○

問題10.血液検査にて、総ビリルビン 3.0mg/dl、直接ビリルビン 0.9mg/dlの結果を得た。考えられる疾患はどれか。
 a.Rotor症候群         b.Dubin-Johnson症候群   c.Gilbert症候群
 d.Crigler-Najjar症候群   e.溶血性貧血
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

(解答)3
a.× 直接型。ビリルビンの肝細胞摂取および胆汁中への排泄障害(朝倉p1139)
b.× 直接型。抱合型ビリルビンの胆汁中への排泄障害(朝倉p1139)
c.○ d.○ グルクロン酸(UGT1A1)活性欠如による間接ビリルビン血症(p1136)
e.○ 溶血により間接ビリルビン優位に上昇


問題11.トランスアミナーゼ AST、ALTについての解釈で正しいものはどれか。なお正常値はAST 13~33U/L, ALT 6~30U/Lである。
 a.ASTは肝に特異的であるのに対して、ALTは肝以外で赤血球や筋肉にも存在する。
 b.急性肝炎において、(1) AST/ALT=2000/1000と(2) AST/ALT=1000/2000では、 (1)の方がさらに病状(肝炎)が悪化する可能性が強い。
 c.AST、ALTの上昇は肝実質細胞(肝細胞)の破壊を意味している。
 d.C型肝炎の患者でALT 60、AST 70であった。これらトランスアミナーゼの値が低いので肝硬変症は考え難い。
 e.ASTの半減期は約40時間で、ALTの約16時間に比べて長い。
1)a b  2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答:3)
 a × ASTは心筋細胞、骨格筋、赤血球にも豊富に存在するため、心筋梗塞、心筋炎、多発性筋炎、溶血性貧血にても、上昇する。ALTは比較的肝疾患に特異的である。(STEP)
 b.〇 ASTは細胞質、ミトコンドリアに分布しているのに対して、ALTは細胞質に限局している。そのため、ミトコンドリアが破壊されるほど重篤な肝障害ではAST/ALT比が1を超える。急性肝炎では病初期にAST>ALTとなり、黄疸の出現とともにAST<ALTとなる。(STEP)
 c.〇?上述及び、選択枝より。
 d.× 肝硬変でのAST,ALTの上昇は比較的軽度(year note)
 e.× ASTの半減期は10~20時間、ALTのが40時間(year note)


問題12.アルカリフォスファターゼ(ALP)、γ-GTPについての解釈で正しいものはどれか。
 a.これらの上昇は胆管の障害・病変、胆汁うっ帯を反映している。
 b.これらの酵素は薬剤性肝障害でトランスアミナーゼに比して優位に上昇してくることがある。
 c.ALPのアイソザイムには、主に骨型、肝型、胎盤型、肺型がある。
 d.ALPはアルコール摂取にてその合成に誘導がかかり、上昇してくる。
 e.γ-GTPはアルコール摂取にてその合成に誘導がかかり、上昇してくる。
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

解答:5)
a.〇 b. 〇 薬剤性肝障害には、肝細胞障害型、胆汁うっ滞型があり、後者では胆道系酵素の増加が著明である。(year note)
c. × ALPのアイソザイムには、肝型、骨型、胎盤型、小腸型がある。(year note)
d. ×  e. 〇 γ―GTPはアルコール摂取でも上昇する。(STEP)


問題13.肝炎ウイルスに関する記述で正しいものはどれか。
 a.A型肝炎ウイルスは経口感染する。
 b.A型肝炎既感染であっても、再感染する可能性が高い。
 c.B型肝炎ウイルスは性交によっては感染しない。
 d.B型肝炎ウイルスの母子感染の率は高い。
 e.C型肝炎ウイルスの針刺し事故による感染は、B型肝炎ウイルスの場合よりもその率は低い。
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

解答:5)
a. 〇 b. × 罹患すると、HA抗体が産生され、通常10年以上体内に存在するため、再発は稀である。(終生免疫を獲得することも多い。) (year note)
c. ×  d. 〇 Hbe抗原陽性妊婦の児は、抗HBヒト免疫グロブリン、HBワクチンを摂取しなければ、約95%以上、HBs抗原キャリアーとなる。(year note)
e. 〇 針刺し事故感染率 HBV=30%,HCV=3%,HIV=0.3% (院内感染の講義プリント、手術部甲斐先生) 気を付けましょう!!


問題14.肝細胞癌に関する記述で正しいものはどれか。
 a.肝細胞癌の腫瘍マーカーとしては、αフェトプロテインとCA19-9が有用である。
 b.転移性肝癌との鑑別には67Ga-citrateによる肝シンチグラフィーが有用である。
 c.腹部超音波検査では2cm以下の肝細胞癌の検出率は低い。
 d.ダイナミックCTにおいて、肝細胞癌は肝動脈相で造影され、門脈相では造影されない為に、いわゆるhigh→lowパターンを示す。
 e.肝細胞癌の症例の多くは肝硬変を発生母地として持っている。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答:5)
a.× 肝細胞癌の腫瘍マーカーはPIVKA-U、AFP(year note)
b.× 転移性肝癌との鑑別には血管造影を用いる。HCCはhypervascularであり、転移性肝癌はhypovascularである。(year note)
c.× エコーで1cm程の肝細胞癌の発見も可能である。(year note) d.〇  e.〇


問題15.肝性脳症について正しい記述はどれか。
 a.肝性脳症II度以上では羽ばたき振戦を認めることが多い。
 b.肝性脳症では、尿素回路がうまく働かないために血中アンモニアが上昇している。
 c.肝性脳症ではフィッシャー比が上昇してくる。
 d.肝性脳症では、アミノ酸の異常バランスを補正するために、芳香族アミノ酸の輸液を行う。
 e.肝性脳症では、合成2糖類(ラクチュロース等)を経口、または注腸を行う。
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

解答:4)
a. 〇 (year note) b. 〇 (year note)
c. × Fischer比(分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸)は肝不全が重症であるほど低い傾向にある。d. × 分枝鎖アミノ酸製剤(Fischer液)を用いる。(year note)
e. 〇 腸管のpHを下げ下痢を起こさせるより腸内細菌による有害窒素化合物の生成を阻止して、高アンモニア血症を緩和する。(year note)


問題16.劇症肝炎について正しい記述はどれか。
 a.血漿交換は劇症肝炎の治療において有用である。
 b.劇症肝炎とは、症状発現後8週間以内に高度の肝障害に基づいて肝性脳症II度以上の脳症を来し、プロトロンビン時間40%以下を示すものである。
c.劇症肝炎で発症後10日以内に脳症を発現する急性型のほうが、それ以降に脳症が発現する亜急性型より予後が良い。
 d.A型肝炎のほうがB型肝炎より、劇症化しやすい。
 e.劇症肝炎は肝移植の対象とならない。
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

解答:1)
a.〇 肝機能低下に伴う、T-Bil,NH?等貯留毒素の改善のため血漿交換を行う。(year note)
b.〇 (year note) c.〇 生存率30%弱(急性型が50%強、亜急性型が焼く10%) (year note)
d.× B型肝炎が最も劇症化しやすい。 e.× 45歳以下の亜急性型には肝移植の適応がある。


問題17.34歳の男性。10日前に39℃の発熱があり、感冒と思い市販薬を服用していた。家族に黄疸を指摘され5日前に来院し入院した。入院後、全身倦怠感と食欲不振とが急激に増強してきた。昨日から昏睡状態となった。呼気にアンモニ臭がある。血清生化学所見:総ビリルビン 14mg/dl, AST 1260U/L(正常40以下), ALT1460U/L(正 常35以下), プロトロンビン時間 15%(正常 80~120)。IgM型HA抗体陽性、IgG型HA抗 体陽性、HAV-RNA陰性、IgM型HBc抗体陰性、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性、HCV-RNA陰性であった。以下の記述で正しいものはどれか。

 a.劇症肝炎の急性型である。  b.劇症肝炎の亜急性型である。
 c.重症肝炎であるが劇症肝炎ではない。  d.性交により感染したと考えられる。
 e.経口感染したと考えられる。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答:2)
a.〇 発病してから10日以内に脳症が発現しているので急性型である。(year note) b.×
c.× 昏睡は肝性脳症W度である。(year note) d.×
e.〇IgM型HA抗体陽性、IgG型HA抗体陽性だから


問題18.64歳の男性。2ヵ月前から始まった倦怠感、食欲不振を主訴として来院した。胸部にクモ状血管腫、手掌紅斑を認めた。肝は触知しなかった。白血球3000/mm3,赤血球 350万/mm3, 血小板 6万/mm3, 総ビリルビン 1.2mg/dl, アルブミン 3.0mg/dl, AST 69U/L, ALT 48U/L, ヘパプラスチンテスト 45%(正常80以上),αフェトプロテイン 350ng/dl(正常10以下), CA19-9, CEAはともに正常範囲内、
HBs抗原陰性、HCV抗体陽性であった。腹部エコーにて肝左内側区域に直径2cmの低エコーを呈するSOL(space occupied lesion)を認めた。以下の記述で正しいものはどれか。
 a.エコー上のSOLは肝血管腫である可能性が最も高い。
 b.エコー上のSOLは胆管癌である可能性が最も高い。
 c.エコー上のSOLは肝細胞癌である可能性が最も高い。
 d.SOL以外の肝は肝硬変である。
 e.SOL以外の肝は慢性肝炎である(肝硬変ではない)。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答:4)
a.× 肝血管腫では、境界明瞭な高エコー像を呈する。(year note)
b.× 胆管癌には特異的なエコー像は無い。(year note) c.〇
d.〇 クモ状血管腫、手掌紅斑が認められるから。(year note) e.×


問題19.28歳女性。全身倦怠感、食欲不振があり来院した。昨年までの年一度の会社検診では少なくともここ5年間AST、ALT、γGTPの異常は指摘されたことがない。家族歴として母親が肝臓病で通院している。飲酒はしない。半年前に結婚したが、配偶者の肝障害の有無は不明である。来院時の検査所見は、AST 450U/L, ALT300U/L, γGTP 100U/L, IgM-HA抗体陰性、HBs抗原陽性、HBs抗体陰性、HBe抗原陽性、HBe抗体陰性、 HBc抗体陽性(200倍希釈にても陽性)、IgM-HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、HCV- RNA陰性であった。下記のうち正しい記述はどれか。
 a.B型肝炎ウイルス非キャリアーから発症したB型急性肝炎。
 b.B型肝炎ウイルスキャリアーからのB型肝炎発症(急性増悪)。
 c.母子感染(垂直感染)である。
 d.経口感染である。
 e.配偶者からの性交を介した感染である。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答:1)
a.〇 HBs抗体陰性よりB型肝炎ウイルス非キャリアーである。 b.×  c.× d.× e.〇


問題20.検診にて肝機能障害とHCV抗体陽性を指摘された患者が来院した。自覚、他覚症状ともにない。当院での検査結果はAST 80IU/L, ALT 60IU/L, ALP 380U/L(正常115-359), γ-GTP 50, 総蛋白 8.0g/dl, アルブミン3.6g/dl, ヘパプラスチンテスト 60%(正常80%以上), 血小板 7万/mm3, AFP 350ng/mlであった。今後進めていくべき検査はどれか。
 a.脳波検査  b.腹部エコー検査 c.腹部CT検査
 d.上部消化管内視鏡検査  e.心電図検査
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

解答:2)
a.× 肝性脳症の徴候が認められないから。 b.〇 肝臓の萎縮、変形を見るために行う。(step)
c.〇 肝細胞癌の探索(step) d.〇 食道胃静脈瘤の精査のために行う。(step) e.×


問題21.62歳の男性。倦怠感、食欲不振、腹部膨満を主訴として来院した。総ビリルビン 3.2mg/dl, アルブミン 2.8g/dl, AST 49U/L, ALT 38U/L, ヘパプラスチンテスト 35%(正常80以上), HBs抗原陰性、HCV抗体陽性であった。図3左に腹部エコー(右肋 間操作)を、図3右に腹部CTを示す。以下の記述で正しいものはどれか。
 a.慢性肝炎である。 b.代償性肝硬変(Child A)である。
 c.非代償性肝硬変(Child B)である。  d.腹水を認める
e.腹水を認めない。
1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e
 
【解答】 4  
【解説】  a.× b.×  c.○ 腹水(+)、血清ビリルビン、血清アルブミン、ヘパプラスチンテストより非代償性肝硬変(ChildB)に分類される。
d.○  e.× 明らかな腹水を認める                     (参考文献:朝倉内科学)


問題22.αフェトプロテイン高値(500ng/ml)のC型肝硬変患者に腹部造影CTを施行した。図4左は動脈相(early phase)図4右は門脈相(delayed phase)である。最も考えられる診断はどれか。
 a.大腸癌肝転移  b.胆管癌  c.肝細胞癌  d.胆嚢癌  e.肝血管腫
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

【解答】 3
【解説】 αフェトプロテインは肝細胞癌のマーカーであること、造影CTにてhigh(early) - low (delay) patternを示していることより肝細胞癌であると考えられる。


問題23.正しい記述はどれか。
 a.尾状葉は肝右葉に含まれる。
 b.右肝静脈は前区域と後区域の境界を走行する。
 c.Arantius管は肝前区域と内側区域の境界を走行する。
 d.Couinaud分類のS6は前区域に属する。
 e.中央二区域とは後区域および内側区域のことである。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

【解答】 3
【解説】 
a.× 肝臓は解剖学的には肝鎌状間膜で機能的にはCantlie lineで右葉と左葉に分けられる。
b.× 前区域と後区域の境界を走行するのは右間動脈と門脈である。
c.○ 外側区域と尾状葉の間を走行する。Arantius管とは胎生期に臍静脈と下大静脈を結ぶ静脈管のことであり、出生後には閉鎖して静脈間索となる。
d.× Couinaud分類では尾状葉がS1、外側区域がS2・3、内側区域がS4、前区域がS5・8、後区域はS6・7である。
e.× 後区域ではなく前区域である。 (参考文献:朝倉内科学、日本人体解剖学)


問題24.正しい組み合わせはどれか。
 a.Pringle法・・・・・・・肝臓の止血法  b.Couinaud・・・・・・・肝臓の区域
 c.Cantlie・・・・・・・右肝静脈  d.S2とS3(外側区域)・・・・・・・発生学的に同一
 e.短肝静脈・・・・・・・門脈系へのシャント
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

【解説】 1
【解答】 a.○ 肝門部の血流を遮断する方法である。
b.○ 肝臓を尾状葉、外側区域、内側区域、前区域、後区域に分類する。 
c.× 下大静脈―胆嚢窩を結ぶ線である。  d.? e.? (参考文献:朝倉内科学)


問題25.転移性肝癌について正しい記述はどれか。
 a.大腸癌の肝転移の切除後の5年生存率は40%程度である。
 b.肺癌や乳癌の肝転移は、肝切除の適応となることが少ない。
 c.大腸癌の肝転移は、多発性であってもできる限り切除した方がよい。
 d.転移性肝癌は、新生血管が発達した癌なので肝動脈塞栓(TAE)の良い適応である。
 e.多発性の大腸癌肝転移は、肝移植の適応である。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

【解答】 1
【解説】 a.○ 
b.○ 転移性肝癌で肝切除の適応となるのはほとんど大腸がんの転移の場合である。
c.× 多発性でも切除することはあるが一葉内に限るなどの条件がある。
d.× 転移性肝癌は血行に乏しい。
e.× 肝移植の禁忌として肝胆道系以外の悪性腫瘍、重症感染症、多臓器不全がある。
                (参考文献:朝倉内科学、消化器疾患最新の治療2003~2004)


問題26.肝膿瘍について正しい記述はどれか。
 a.感染経路は門脈系由来が多い。
 b.起炎菌はグラム陰性菌が多い。
 c.アメーバ性肝膿瘍は、細菌性肝膿瘍に比べ単発性が多い。
 d.単発の肝膿瘍に対しては、肝切除が第1選択である。
 e.肝膿瘍では、黄疸が初期から出現することが比較的多い。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

【解答】 3
【解説】 a.× 胆道系からのほうが多い。 b.○ E.coliが2/3を占める。 c.○ 95%が単発性。
d.× エコーガイド下のドレナージ、抗生物質の局注が第一選択である。
e.× 肝膿瘍の三主徴として発熱、右季肋部痛、肝腫大があるが黄疸が初期から出現することは少ない。 (参考文献:朝倉内科学)

問題27.肝血管腫について正しい記述はどれか。
 a.肝血管肉腫の合併は約1%である。
 b.MRIのT1強調画像において、境界明瞭なhigh intensityを呈する。
 c.Kasabach-Merritt症候群は汎血球減少を伴い手術適応となる。
 d.肝動脈造影ではcotton wool-like signを示す。
 e.超音波検査ではbull's eye signを示す。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

【解答】 4
【解説】 a.? b.× T1ではなくT2強調画像で見られる。
c.× 巨大血管腫とDICを合併する症候群で血小板減少を伴う。
d.○ 造影剤のpoolingの所見である。 e.× 転移性肝癌で見られる所見である。


問題28.肝細胞癌の治療について正しい記述はどれか。
 a.経皮的エタノール注入療法の適応は3cm以下の肝癌である。
 b.マイクロ波凝固療法は3cm以上の肝癌に対して良い適応である。
 c.カルチノイドの肝転移は化学療法が第一選択である。
 d.門脈本管閉塞を伴う肝癌に対するTAEは有効である。
 e.ICGが30%以上の場合、肝切除術はできない。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

【解説】 1
【解答】
a.○ 3センチ以下、3個以下が適応である。 b.× 3~4センチまでの肝癌に対して行われる。
c.× 化学療法は有効でないため手術が第一選択となる。
d.× 門脈本管閉塞を伴う場合TAEは禁忌である。
e.× 原則的にICGが30%をこえると手術は行わないが40%程度でも核出術を行うこともある。


問題29.肝細胞癌について正しい記述はどれか。
 a.門脈から栄養されることが多い。  b.リンパ節転移が多い。
 c.高分化癌では肝内転移がほとんどない。  d.高分化癌では被膜を持つことが多い。
 e.高分化癌では血管新生を特徴とする。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

【解答】 4
【解説】 a.× 肝動脈から栄養される。  b.× 血行性転移が多い。
c.×肝癌の転移は肝内転移が最も多い d.○高分化癌は比較的小さく、被膜を持つことが多い。
e.× 低分化癌によく見られる。 (参考文献:朝倉内科学)


問題30.リピオドリゼーションについて正しい記述はどれか。
 a.肝機能にかかわらず行える。
 b.初期の高分化型肝癌に十分な効果がある。
 c.被膜浸潤部への効果はあまり期待できない。
 d.脈管浸潤部への効果はあまり期待できない。
 e.胆嚢炎、胃潰瘍を生じることがある。
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

【解答】 ?
【解説】 a.× 門脈の閉塞や高度の肝不全があるときには行えない。 b.? c.○ d.○  e.?


問題31.32.
 60歳女性、5年前に右肺癌にて右肺上葉切除を施行。今回、follow-upのため胸腹部CTを施行したところ、肝臓に径約2cmのSOLを指摘され入院となった。20年前に輸血歴有り。血算・凝固系:赤血球 385万, 白血球 2850μL, 血小板 8.5万/μL, プロトロンビン時間 70%。血液生化学:アルブミン 3.4g/dl, 総ビリルビン1.2mg/dl, AST 76IU/L, ALT 120IU/L, AFP 15ng/ml, PIVKA-II 35mAU/ml(正常40mAU以下), CEA 1.5 ng/ml(正常2.5以下), ICG(15分値) 20%, HBs抗原(-)、HCV抗体(+)。CTA、CTAP、MRI(T1強調)を示す(図5)。

問題31.次の中で可能性の最も高い診断はどれか。
 a.肝血管腫   b.転移性肝癌   c.肝内胆管癌   d.肝限局性過形成  e.肝細胞癌
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

問題32.処置として適切なものはどれか。
 a.Lipiodolization  b.経皮的ラジオ波焼灼術   c.肝亜区域切除   d.肝右葉切除
 e.経過観察
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

問題31 解答 5
解説 a. × 造影CTにてlate phaseにおいてもhigh densityを示し、MRIにて著明なT2延長を示す
    b. × 多発性のことが多い。Low densityであり、LCの合併はまれである。
    c. × ring状enhanceを示す。
    d. × 若い女性に多く、星芒状の繊維化やspoke wheel appearanceを示す。
    e. ○ CTAPで低吸収となり、plain CTでlow、造影CTでhighなSOLとなる。

問題32 解答 1)
CTの画像がはっきりしないが、大きさとして大きくなく(3cm以下)、孤立性の病変であると考えられるので、解答を1)とした。肝細胞癌の手術適応として、ICG15分値が30%以下となっており、本問でもその適応内であるため、外科的な治療も可能であると考えるが、画像上は単発であり、LCも存在しているのでまずはPEITやRFAを第1選択とした。(New外科・Year-Note)


問題33.34.
 症例48歳、女性。生来健康であったが、検診のエコーにて肝に腫瘤を指摘され、入院。血算・凝固系:白血球 4200, ヘモグロビン 13.5g/dl, 血小板 24万, プロトロンビン時間 11.2秒(98%)。血液生化学:総タンパク 7.2g/dl, アルブミン4.5g/dl, AST 12 IU/L, ALT 10IU/L, ICGR15 6.5%, AFP 7.0ng/ml, PIVKA II 11mAU/ml, CEA 1.2 ng/ml, HBs Ag (-), HCV Ab (-)。CT(図6A)と血管造影を示す。(図6B)

問題33.正しい診断はどれか。
 a.肝血管腫  b.肝細胞癌  c.肝内胆管癌 d.肝細胞腺腫 e.FNH(限局性結節性過形成)
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

問題34.治療法として適切なものはどれか。
 a.肝切除  b.経皮的ラジオ波焼灼術  c.肝動脈塞栓術 d.Lipiodolization e.経過観察
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

問題33 解答 1)
解説 選択肢は問題31とほぼ同じである。造影CTにてhighなSOL、血管造影にてcotton-wool appearanceを認めるため、肝血管腫であると考えられる。(New外科)


問題34 解答 5)
解説 肝血管腫の治療方針として、10cm以下の病変に関しては経過観察でよいとなっている。しかし、背景に肝炎ウイルス感染をもち、かつ進行した肝繊維化を有するhigh echoic lesionは肝細胞癌の可能性が高く、厳重なfollow upが必要である。本問においては、背景となるような肝臓の機能低下を示すものはなく、経過観察でよいと考える。(朝倉・New外科)


問題35.次のうち正しい記述はどれか。
 a.食道静脈瘤形成に最も関与している供血路は右胃静脈である。
 b.肝硬変による門脈圧亢進は肝内前類洞性に分類される。
 c.胃静脈瘤のほとんどは奇静脈系と交通している。
 d.下肢静脈瘤の形成に門脈圧亢進は関与していない。
 e.門脈圧亢進症の患者では循環血液量が増加している。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答 4)
解説 a. × 右→左     b. × 肝内前類洞性→肝内後類洞性  c. ○ d. ○
    e. × 増加→減少(New外科)


問題36.次のうち正しい記述はどれか。
 a.胃静脈瘤は主に胃の前庭部にできることが多い。
 b.食道胃静脈瘤の治療の一つとして、内服薬による薬物療法がある。
 c.食道胃静脈瘤出血の際にSB-tubeを使うのも一つの手段である。
 d.正常健人の脾重量は約300gである。
 e.門脈圧亢進症に起因する静脈瘤は食道と胃にしかできない。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答 3)
解説  a. × 前庭部→上部
    b. ○ バゾプレッシンにより、腹腔内細動脈を収縮させ、門脈圧を下げる。    c. ○
   d. × 300g→100〜150g   e. × 痔核や腹壁皮下静脈にも出来る。(New外科)


問題37.下記の画像をみて以下の問いに答えなさい。
 65歳男性。昨日、洗面器一杯の吐血をしたとのことで来院した。普段よりアルコール多飲歴があるとのこと。上部消化管内視鏡で図7のような所見が得られた。次のうち誤った記述はどれか。
 a.食道静脈瘤よりの出血である。
 b.RC signを認める。
 c.内視鏡的食道静脈瘤結紮術は次に行う処置の一つの選択肢である。
 d.肝機能を評価することが重要である。
 e.上部消化管内視鏡は不用意に施行すべきでない。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

解答 5)
解説 上部消化管内視鏡の所見で、食道静脈瘤が確認できる。これは、長年にわたる飲酒歴から考えて、アルコール性の肝硬変から来る門脈圧亢進の影響であると考えられる。これにより、選択肢のうち、a・b・c・dは正しいと考えられ、出血部位やその状況の把握、内視鏡下での処置の必要性を考えると上部消化管内視鏡は必要な処置であると考えた。(New外科)

問題38.次の文章のうち誤ったものはどれか。
 a.胆汁脂質は胆汁酸塩、コレステロール、およびビリルビンからなる。
 b.ビタミンCの吸収には胆汁酸が必要である。
 c.胆汁酸が欠乏するとコレステロール合成が増加する。
 d.HMG-CoA還元酵素阻害剤により高コレステロール血症を治療することができる。
 e.ケノデオキシコール酸の経口投与によりコレステロール胆石を溶解しうる。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

問題39.次の文章のうち誤ったものはどれか。
 a.クローン病では胆汁酸の吸収障害が起こる。
 b.胆汁酸が欠乏すると難治性の下痢が起こる。
 c.原発性胆汁性肝硬変では、ケノデオキシコール酸による治療が有効である。
 d.ウルソデオキシコール酸はコレステロールを複合ミセルとして可溶化させる。
 e.胆汁酸は主に回腸末端より吸収される。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答 2)
解説 a. ○ 胆汁酸の吸収は回腸の末端で行われているために小腸に病変が及ぶと吸収障害が起こると考えられる。
b. ?   c. × ケノデオキシコール酸→ウルソデスオキシオール酸     d. ?   e. ○(New外科)


問題40.次の文章のうち誤ったものはどれか。
 a.抱合型ビリルビンはUDP glucuronyl transferaseにより脱抱合される。
 b.Dubin-Johnson症候群では直接ビリルビンが増加する。
 c.ポルフィリンは分子の中央に鉄原子を1個含んでいる。
 d.閉塞性黄疸では尿中ウロビリノーゲンが陰性となる。
 e.間接ビリルビンはグロブリンと結合した形で血液中に存在する。
1)a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答 ? 解説 a. ?    b. ○ c. ?  d. ○  e. ○(New外科)


問題41.次の文章のうち誤ったものはどれか。
 a.Mayo-Robson点は胆石症の圧痛点であり、臍の右上方に位置する。
 b.膵癌による閉塞性黄疸ではCourvoisire徴候がみられる。
 c.胆石症の三主徴は上腹部の疝痛・黄疸・悪心嘔吐である。
 d.溶血性黄疸では直接ビリルビンが優位となる。
 e.Solar点は胆石症の圧痛点であり、心窩部に位置する。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

正解) 4)
解説)胆石の圧痛点…Head胆嚢圧痛点、Solar点、Mayo-Robson点、G点(沢田点)、Boas点、Liebmann点、Mauban-小野寺点、鎖骨上窩点などがある。→a、eはまさにその通りである。Head胆嚢圧痛点は右季肋部で第9肋軟骨付着部と臍を結ぶ線と右腹胸骨縁線との交点。
間違いは、cで悪心嘔吐→発熱、dで直接が間接である。


問題42.次の文章のうち誤ったものはどれか。
 a.欧米では閉塞性黄疸患者の術前には、PTCD等による減黄術は一般的ではない。
 b.腹水を伴った閉塞性黄疸患者では、内視鏡的逆行性胆道ドレナージ術を考慮する。
 c.閉塞性黄疸時には経皮経肝胆管ドレナージを速やかに行う必要がある。
 d.肝門部胆管癌による胆道閉塞では経皮経肝胆嚢ドレナージが有効である。
 e.閉塞性黄疸時には、一般的にビタミンKの非経口的投与が必要である。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

正解) 3)
解説)a, 授業プリントには欧米では閉塞性黄疸の治療は必要ではないとなっている。胆管系の拡張があったほうが吻合に好都合。b, ?記載しているものを見つけれなかった。c,とd,
閉塞性黄疸の治療には経皮経肝的胆管ドレナージがある。授業プリントには急性閉塞性化膿性胆管炎には緊急胆道ドレナージが必要と書いてあるが。 e, 脂質及び脂溶性ビタミンの吸収障害が起こるため点滴で補充。


問題43.胆石について正しいものはどれか。
 a.黒色石はビ系石である。  b.コレステロール系結石は割面で層状構造を呈する。
 c.ビリルビン系結石は割面で無構造を呈する。  d.胆嚢結石は中年、男性に多い。
 e.ビリルビン系結石には大腸菌が関係する。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

正解) 2)
解説) すべてyn-Bに載っている。a,とe,はその通り。b,で層状→放射状、c,でビ系結石はときに無構造を呈する。d,で中年、男性→40代女性(5Fですよ。)


問題44.胆石症について正しいものはどれか。
 a.疼痛、発熱、白色便はCharcotの3徴である。
 b.Mirizzi症候群は胆嚢頚部結石による十二指腸の圧迫である。
 c.confluence stoneは胆嚢管の結石が胆管に内瘻を形成し、胆管内に露出したものである。
 d.腹部単純レ線で胆石は石灰化像を見るものは少ない。
 e.胆嚢全体の石灰化を見るときにphrygian capという。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

正解) 4)
解説) a,で白色便→黄疸。b,で十二指腸の圧迫→総胆管の狭窄。c,標準外科学には、胆嚢頚部あるいは胆嚢管に胆石が長期にわたり存在し胆嚢管と総胆管の隔壁が消失し(biliobiliarry fistula)胆石が胆管内に及んだ状態、と書いている。d,10%に見られる。e,胆嚢壁に広範に石灰化したものは陶器様胆嚢pocelain gallbladder(磁器様胆嚢china gallbladder)と呼ぶ。Phrygian capは、胆嚢底部と体部の間で屈曲しているものでアジアのPhrygian 人の帽子にたとえている。


問題45.胆石症に対する治療法として誤っているのはどれか。期
 a.体外衝撃波結石破砕術  b.腹腔鏡下胆嚢摘出術  c.内視鏡的乳頭切開術
 d.ウルソデオキシコール酸  e.総胆管十二指腸側々吻合術
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

正解) 5)
解説) 結石症の治療としては、経口胆石溶解薬(ケノデオキシコール酸、ウルソデスオキシコール酸)、ESWL(体外衝撃波胆石破砕法)、手術(Lap-c、胆嚢摘出+胆嚢管切開+Tチューブドレンージ、内視鏡的乳頭切開術)などがある。yn-Bに載っています。


問題46.胆石随伴疾患として誤っているのはどれか。
 a.胆汁性腹膜炎  b.Lemmel症候群 c.Mirizzi症候群  d.胆嚢水腫  e.内胆汁瘻
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

正解) 2)
解説)Lemmel症候群は憩室炎が乳頭部に波及したもので、胆汁鬱帯、膵炎などを起こすものである。これが間違い。Mirizzi症候群は胆石の胆嚢部嵌頓及び炎症の波及により総胆管狭窄を来したものを言う。その他の胆石の随伴疾患は、急性閉塞性化膿性胆管炎、胆嚢蓄膿症などがある。


問題47.肝内結石症について間違ったものはどれか。
 a.コレステロール系結石が多い。  b.肝右葉前区域に多い。
 c.胆管癌の合併を約10%に認める。  d.肝内胆管の狭窄と細菌感染が原因となる。
 e.肝萎縮があれば罹患肝の肝切除の適応となる。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

正解) 1)?
解説)a, 10%程度である。b, 肝左葉に多い。d. 新消化器病学に仮説ではあるが載っている。e, 肝内胆管に結石があれば肝切除の適応となるとは書いていたが、、。


問題48.原発性硬化性胆管炎について間違ったものはどれか。
 a.女性に多い。  b.胆管のび漫性拡張を認める。
 c.進行性で肝移植の適応となる。  d.自己免疫性疾患と考えられている。
 e.潰瘍性大腸炎を合併しやすい。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

正解) 1)
解説) a, 男性に多い。 b, 胆管に線維性狭窄を認める。c, 欧米では肝移植の適応となる。 d, 文光堂内科学では、原因不明で、門脈細菌感染説、免疫異常説、肝動脈虚血説んどがあるが、仮説の域を出ない。最近、好中球細胞質抗体が高率に検出されている。e, 20%に合併する。


問題49.膵胆管合流異常症(PBM)について間違ったものはどれか。
 a.西洋人、男性に多い。  b.共通管は短い。  c.先天性胆道拡張症を合併する。
 d.胆道癌の発生が多い。  e.特発性膵炎として診断されることがある。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

正解) 1)or 2) 多分1)だと思うが。
解説) a, わが国に多く、女児に好発。 b, とe, は、はっきりとした文献を見つけることは出来なかった。c, とd, は正しい。


問題50.胆嚢癌について間違ったものはどれか。
 a.m, mpの胆嚢癌は胆嚢全層切除術が適応となる。
 b.進行胆嚢癌は肝臓の左葉切除を中心とした肝切が適応となる。
 c.胆嚢癌の肝十二指腸靱帯浸潤は予後不良である。
 d.壁深達度診断には術中超音波検査が有用である。
 e.ss胆嚢癌にはS4a+5の肝切が適応となる。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

正解) 2)
解説) a,でm癌には胆嚢摘出、mp癌には開腹下胆嚢摘出術+D1郭清が有力説である。b,で左葉→右葉である。c, 肝十二指腸間膜内の進展がある場合は、膵頭十二指腸切除術を行うが侵襲が大きくまた生命予後に関しても満足のいく成績が残されていない。(Step外科学2参照) d, はその通り。e, 進行癌に対してはS4a5切除、時に拡大右葉切除が行われる。(Step外科学2参照)


問題51.十二指腸乳頭部癌について正しいものはどれか。
 a.進行性黄疸が特徴である。  b.腫瘤型は潰瘍型より予後不良である。
 c.5年生存率は約50%である。  d.幽門輪温存膵頭十二指腸切除が適応となる。
 e.多くは扁平上皮癌である。
1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

〈解答〉4)
a×消長する(year−note)
b×潰瘍型では十二指腸粘膜下層や固有層を広範に侵し膵内に浸潤していくことが少なくなく小さくても意外とリンパ節転移や肝転移をきたしやすいので油断ならない(内科学 文光堂)
c○切除率91% 5年率51%(標準外科学)
d○慢性膵炎などの良性疾患や乳頭部癌が適応(新消化器病学 肝胆膵 医学書院)
e×腺癌(標準外科学)


問題52.慢性膵炎について間違ったものはどれか。
 a.腫瘤形成性膵炎と膵癌の鑑別は難しい。
 b.有症状、3ヵ月以上変化のない仮性嚢胞は手術適応である。
 c.膵実質に存在する膵石は体外衝撃波の適応である。
 d.慢性膵炎に対する手術として膵肝空腸吻合術がある。
 e.炎症性腫瘤が膵頭部にある時には膵頭十二指腸切除術の適応となる。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

〈解答〉
a? b○6週間以降は消失しないので手術適応を考える〈標準外科〉
c×主膵管内の膵石が適応(year−note) d○膵管減圧術(year−note) e?


問題53.膵癌について間違ったものはどれか。
 a.腹膜播種例は外科切除適応ではない。
 b.肝転移例は外科切除適応ではない。
 c.胃十二指腸動脈浸潤例は外科切除非適応である。
 d.癌性疼痛に対して腹腔神経叢ブロックが適応となる。
 e.術中照射は腫瘍の縮小とともに除痛効果が期待される。
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

〈解答〉3) a○〈year−note〉
b○(step外科2)腹膜・肝・遠隔転移例はstageWBで適応外 c×(step外科2)
dフェノール、アルコールを注入するchemical aplanchnicectomy(新消化器病学肝胆膵医学書院)
d○70%に疼痛の完解が見られた(新消化器病学 肝胆膵 医学書院)


問題54.膵嚢胞性腫瘍について正しいものはどれか。
 a.膵漿液性嚢胞性腫瘍は多くは悪性である。
 b.粘液嚢胞腺腫に対して嚢胞空腸吻合が適応である。
 c.solid pseudopapillary tumor(solid and cystic tumor)若年、女性に多い。
 d.粘液嚢胞腺癌は通常型膵癌同様、拡大膵切除の適応である。
 e.粘液嚢胞性腫瘍は膵管との交通を認める。
1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

〈解答〉5)
a×漿液性嚢胞腺癌が悪性。鑑別は難しい。(癌の画像診断 肝癌・胆嚢癌・胆管癌・膵癌
b○(step外科2) c×高齢(新消化器病学 肝胆膵 医学書院) d○(step外科2)
e△半数に認める(step外科2)


問題55.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術の合併症について誤ったものはどれか。
 a.10-20%に術後晩期に糖尿病を生じる。  b.膵空腸吻合術の縫合不全は約20%に認める。
 c.術後仮性動脈瘤は総肝動脈に多い。  d.逆行性胆管炎さらには肝膿瘍を認める。
 e.長期にH2レセプター拮抗薬の投与が必要である。
1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

〈解答〉c?


問題56.70歳、女性。生来、健康であったが、右季肋部痛を訴え、来院した。胆嚢の超音波検査をしたところ、図8の像をえた。考えられる疾患はどれか。
 a.胆石症  b.コレステロールポリープ c.胆嚢腺筋症  d.胆嚢癌  e.胆嚢腺腫
1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

〈解答〉1 acoustic shadow(year−note)


問題57.50歳、女性。腹痛を主訴に来院。CT(造影早期相)を撮った所、図9の像をえた。考えられる疾患はどれか。
 a.膵管癌  b.膵石症  c.膵ラ氏島腫瘍  d.漿液性嚢胞腺腫  e.膵粘液嚢胞性腫瘍
1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

〈解答〉3
a  enhance(−)  b石灰化  c○インスリノーマはhyperbascularな腫瘤状陰影(step)
d蜂巣状(新消化器病学 肝胆膵 医学書院)
eブドウの房状小?胞(新消化器病学 肝胆膵 医学書院)


問題58.75歳、男性。2年前、腹部外傷歴あり。腹痛と発熱を主訴に来院。CTを撮った所、膵頭部に図10のような所見を得た。考えられる疾患はどれか。
 a.膵頭部癌  b.膵仮性嚢胞  c.慢性膵炎  d.急性膵炎 e.膵嚢胞性腫瘍
 1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

〈解答〉3
low densityの辺縁性の陰影が見られ、膵管の拡張が見られる。しかし、外傷の既往があるから仮性嚢胞も考えられる?


問題59.40歳女性。上腹部痛と発熱を主訴に来院。図11に内視鏡的逆行性胆管造影を示す。正しいものはどれか。
 a.症状は胆管内の結石が原因である。
 b.胆汁中のアミラーゼは正常値を示すことが多い。
 c.成因には自己免疫による影響が考えられている。
 d.胆道癌に対する検索が必須である。
 e.手術は胆管切除とリンパ節の郭清が必要である。
1) a 2) b 3) c 4) d 5) e

〈解答〉d
先天性胆道拡張症?ならdだが年齢が40歳とあわない。しかし、画像よりどっちみちこたえはdな気がする?(year-note atlas)


問題60.次の膵臓に関係の深い消化管ホルモンに関する記述のうち正しいものの組み合わせはどれか。
 a.Somatostatinは膵外分泌腺に対し抑制的な作用を有する。
 b.Secretinは胃前庭部の粘膜上皮より分泌され膵外分泌腺の刺激作用を有する。
 c.Cholecystokinin(CCK)は胆嚢収縮作用と膵外分泌腺の刺激作用を有する。
 d.Pancreatic Polypeptide(PP)は膵内分泌組織(ラ氏島)以外に、膵外分泌組織にも存在する。
1) a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

〈解答〉1)
a○?セクレチン分泌抑制(year-note) b×十二指腸S細胞で分泌。水より水・重炭酸分泌を促進
c○(year-note) d○?


問題61.次の急性膵炎についての記述のうち正しい組み合わせはどれか。
 a.多くの場合はうっ血性膵炎で軽症である。
 b.血中カルシウムの異常高値が誘因となる場合がある。
 c.ある種の抗腫瘍剤が原因となる場合がある。
 d.膵石が原因となる場合が多い。
1)a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.3)
解説.高カルシウム血症により膵管内結石を生じるため急性膵炎を起こしうる.病因としてはアルコール(35〜40%)、特発性(25%)、胆石症(20%前後)で薬剤性もある。抗癌剤としてはアザチオプリンが代表的(year note B82-83)。慢性膵炎の合併症として膵石(男性47%、女性28%)が最も多いが、慢性膵炎の原因という記述は見られなかった(授業プリント11/14)


問題62.膵癌についての記述のうち正しい組み合わせはどれか。
 a.膵癌の90%以上は膵の腺細胞由来である。
 b.膵液の細胞診の正診率は90%以上である。
 c.腹部超音波検査における腫瘤形成慢性膵炎との鑑別所見として重要なものに、膵癌で認められるpenetrating signがある。
 d.腫瘍マーカーは膵癌の早期診断には有用とは言えない。
 1) a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.4)
解説.a?・・・膵管上皮由来が80%以上。
b?・・・頭部では正診率は高く、尾部では低いため、90%以上はないと思われる。
   c.×・・・penetrating sign は腫瘤形成慢性膵炎の所見である。
   d.○・・・CA19-9、Span-1が有用だが、特異性が低く早期診断には役に立たない(stepE317)
従って、選択肢的に4)


問題63.膵内分泌腫瘍についての記述のうち正しい組み合わせはどれか。
 a.Gastrinomaの主な症状は多発性消化性潰瘍を生じることである。
 b.VIPomaはWDHA症候群の原因である。
 c.Insulinomaの10%は悪性で転移を生じる。
 d.Glucagonomaは特徴的な皮膚炎を生じる。
 1) a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.5) year note D65-68参照


問題64.自己免疫性膵炎について正しい組み合わせはどれか。
 a.逆行性膵管造影で瀰漫性狭細化が特徴である。
 b.自己抗体の出現や血中IgGおよびγーグロブリンの上昇を伴う。
 c.耐糖能の異常を伴う症例でもステロイド治療は禁忌でない。
 d.硬化性胆管炎の合併が多い。
 e.組織的にリンパ球優位の炎症細胞浸潤と線維化が著明である。
 1) a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.5)
解説.自己免疫性膵炎……特発性膵炎の中に、びまん性膵腫大、びまん性膵管狭窄像、下部総胆管の狭窄、、胆汁うっ滞型の黄疸などを呈し、自覚症状は乏しいが膵癌との鑑別困難なため開腹し、膵切除を行ったときに経験する。膵組織はリンパ球の浸潤と線維化が著名でリンパ濾胞の形成を伴う事がある。ステロイド投与により膵腫大は著名に改善する事が多い。このような症例は自己免疫性疾患を伴う事が多く、上記のような特徴のほかに、高γ-グロブリン血症、抗核抗体陽性、比較的良好な長期経過などの臨床的特徴を示す。(授プリ 11/14 参照) c,dに関する記述は認められなかったが、a,b,eは間違いないので選択肢的に5)でしょう。


問題65.膵の機能診断法について正しい組み合わせはどれか。
 a.PFD試験(BT-PABA試験)は膵のランゲルハンス島のB細胞の機能検査である。
 b.75gOGTTは膵のランゲルハンス島のA細胞の機能検査である。
 c.Arginin負荷試験は膵の外分泌機能検査である。
 d.Secretin試験は膵の外分泌機能検査である。
 1) a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.4)
解説.PFD試験は膵外分泌機能検査で、機能低下によりPFD値は低下する。(year note B87)Arginin負荷試験はA細胞の機能検査。Secretin負荷試験は膵外分泌機能検査で、@液量A最高HCO3−濃度Bアミラーゼ総分泌量 の一つでも低下があれば、膵外分泌機能低下といえる。


問題66.消化吸収について正しい組み合わせはどれか。
 a.鉄の主要吸収部位は十二指腸である。
 b.胆汁酸の主たる吸収部位は空腸である。
 c.脂溶性ビタミンおよびビタミンB12以外の水溶性ビタミンは空腸から吸収される。
 d.吸収不良症候群ではビタミンDの吸収障害があり低Ca血症をきたしやすい。
 e.糞便中脂肪の判定にはアザン染色が用いられる。
1)a c d  2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.1)
解説.year note A11参照。胆汁酸の主要吸収部位は回腸末端である。糞便中脂肪の定性試験はSudan V 染色、定量試験は131I-triolein test


問題67.膵液について正しい組み合わせはどれか。
 a.膵液は無色・透明である。
 b.膵液は無味、無臭で粘稠度は低い。
 c.膵液は乳酸によりアルカリ性(pH8~9)に保たれている。
 d.膵液分泌を促す最も重要な消化管ホルモンはコレシストキニンである。

1) a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.2)
解説.膵液は無色・透明・無味無臭で粘調度は低い(授プリ 11/14 C)。膵液は重炭酸イオンによりアルカリ性(7〜8.5)に保たれる。Dについては分かりませんでしたが、選択肢的に2)です


問題68.膵炎の理学的所見として有用な診察法の組み合わせはどれか。
 a.高山圧診法  b.Boas点圧診法  c.澤田P点圧診法  d.背部叩打法
 1) a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.1)
解説.Boas点圧診法は胆石の圧痛点診察法


問題69.重症急性膵炎の治療として行われることがある正しい組み合わせはどれか。
 a.絶食・絶飲
 b.大量輸液投与
 c.蛋白分解酵素阻害剤投与
 d.CHDF(持続的血液濾過透析)
1) a c d 2) a b 3) b c 4) dのみ 5) すべて

解答.5)
解説.year note B85参照。蛋白分解酵素(≒膵酵素)。 大量の浸出液産出によるhypovolemia に対して積極的に血漿成分を中心とした輸液を行い、同時に体液や電解質の補正を行う。 CHDFは全身の集中管理を行っても効果の得られない場合や重要臓器障害の発現を認める場合に行われる。毒性の強い膵酵素やプロスタグランジン、キニンなどの有害物質を除去する目的があり、急性腎不全やショックなどの際に有効性が高い。(授プリ 11/14 GH)


問題70.症例は31才、女性。5年前から十二指腸潰瘍があり、近医で投薬治療を受けて いた。十二指腸潰瘍が難治であるため、当院受診したところ、膵と肝に腫瘍を指摘され た。血液検査では、Hb 9.1g/dl, Ht 30.4%, RBC 380万、血液生化学検査では、Fe低 値(24μg/dl), UIBC高値(390μg/dl)であり、TP, Alb, Ca, Pはいずれも正常であっ  た。内分泌検査では、intact PTH 30pg/ml(正常値10〜65pg/ml),ガストリン 1420pg/ml(正常値 200pg/ml以下)であり、プロラクチン等の血中の下垂体ホルモン値は正常であった。セクレチン試験により、血中ガストリンは基礎値から2倍以上の上昇が見 られた。図12に本症例の腹部CT(膵全体を占める腫瘍)と腹部血管造影(肝腫瘍)を示す。
 本症例につき正しい組み合わせはどれか。
 a.肝の腫瘍はともに血流に乏しい腫瘍である。
 b.多発性内分泌腺腫症(MEN)2A型に合併しやすい腫瘍である。
 c.遊走性壊死性紅斑が本疾患では特徴的である。
 d.プロトンポンプ・インヒビターを消化性潰瘍の治療に用いる。
 e.ソマトスタチンアナログが有効な場合がある。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

解答.5)
解説.診断……ガストリノーマ(Zollinger Ellison 症候群)
   ・3徴:@難治性潰瘍 A胃酸分泌亢進 B膵頭部非β細胞腫瘍
   ・Hb↓、Fe↓、UIBC↑……消化性潰瘍による鉄欠乏性貧血
   ・ガストリン……200pg/ml以上で疑い、1000pg/ml以上でほぼ確定
   ・セクレチンは胃液分泌↓、膵外分泌↑、胆嚢収縮↓に作用するがガストリノーマ
    の場合、逆にガストリン分泌↑(paradoxical reaction)
 a.×…腹部血管造影から明らかに血流に富んだ病変である
 b.×…MENT型に合併しやすい。 c.×…グルカゴノーマに特徴的な所見  d,e.○

問題71. 65才、男性。大酒家であり、10年前より飲酒後の腹痛、背部痛を自覚していた。近医にて腹部単純撮影で異常を指摘され受診。身長 165cm, 体重 48kg, 上腹部に圧痛(高山法)、腰背部叩打痛あり。血液生化学では、膵アミラーゼ 7U/L(正常値 10~65U/L), リパーゼ 6U/L(正常値 16~51U/L), 空腹時血糖 332mg/dl, HbA1c 13.6%, PFD 46%であった。グルカゴン負荷試験におけるΔCPRは0.4ng/mlで低下していた。 図13に腹部単純X線検査(図13A)と上腹部CT(図13B)を示す。本症例につき、正しい組み合わせはどれか。

 a.膵頭部に膵石を認める。
 b.CTでは主膵管の拡張を認めない。
 c.一般に膵性糖尿病では糖尿病の合併症の頻度は一次性糖尿病に比し少ない。
 d.まず、SU剤などの経口糖尿病薬の投与により糖尿病のコントロールを行う。
 e.消化酵素剤の内服が必要である。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

<解答> 2)
<解説>  a.○  b.× 認められる
c.×? 腎症の発生は少ないが網膜症と末梢神経障害の頻度に差はない[インターネットで]
d.× インスリンの投与を行う[11/14プリント] e.○ 

問題72.以下の記述の中で、正しいものの組み合わせはどれか。
 a.原発性胆汁性肝硬変の初期には化膿性胆管炎を呈する。
 b.肝硬変による脾腫では白脾髄の増加を認める。
 c.肝における移植片対宿主病では胆管上皮に障害が現れやすい。
 d.サイトメガロウイルス感染では感染肝細胞に封入体がみられることがある。
 e.慢性活動性肝炎ではグリソン鞘の破壊が特徴的である。
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

<解答> 3)
<解説> a.× 原発性胆汁性肝硬変は非化膿性胆管炎である
b.× 門脈圧亢進症によるものは脾洞の壁である脾索(赤脾髄の網目)が線維性に厚くなる[わかりやすい病理学] c.○ d.○ e.○


問題73.自己免疫性肝炎についての記述の中で、正しい組み合わせはどれか。
 a.急性期には巣状に肝細胞の壊死・虚脱が見られる。
 b.形質細胞浸潤が目立つことが特徴である。
 c.炎症細胞浸潤は肝実質よりも門脈域内部にみられる傾向がある。
 d.肝細胞には銅結合蛋白の沈着を高度に認める。
 e.ステロイドが著効する例がある。
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e
<解答> 4)?
<解説> a.? b.○ c.○? d.× e.○


問題74.肝細胞癌に関する記述の中で、正しいものの組み合わせはどれか。
 a.2cm以下の小型癌では癌と非癌部の境界は不明であることが多い。
 b.肝内結石症は肝細胞癌の危険因子とはいえない。
 c.高分化型の肝細胞癌では癌細胞の脂肪化を認めることがある。
 d.大型(5cm以上)の肝細胞癌は門脈によって栄養されていることが多い。
 e.肝内転移を伴う例ではリンパ節転移を半数に認める。
 1) a b c 2) b c d 3) c d e 4) a b e 5) a d e

<解答> 1)
<解説> a.○ b.○ 肝内結石症は肝内胆管癌に10%合併している c.○ d.× e.×


問題75.68歳男性。検診にて胆道系酵素の上昇を指摘され、エコー、CTにて肝左葉を占拠する腫瘤を認め肝左葉切除が施行された。図14の写真はその肝切除標本の組織の写真であるが、この腫瘍について次のうち正しいものの組み合わせはどれか。

 a.線維性被膜を有することが多い。
 b.CEAが高値であることが多い。
 c.粘液を産生することがある。
 d.胆管浸潤はまれである。
 e.血管造影にて早期濃染することが多い。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

<解答> 2)? 画像がはっきり見えませんでした。HCCと考えて、、、


問題76.慢性膵炎についての記述で、正しいものの組み合わせはどれか。
 a.ランゲルハンス島は萎縮するが膵腺房は比較的保たれる。
 b.膵実質と周囲脂肪組織の壊死が特徴的。
 c.腺房細胞の過形成もしくは腺種による膵液の過剰産生が原因である。
 d.アミロイドの沈着が原因となることもある。
 e.膵実質の間質に著明なリンパ球浸潤と線維性結合織の増生がみられる。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

<解答> 5)
<解説>
a.× 初期には主に腺房が侵され、症状の進展とともにラ氏島も徐々に破壊される(STEP)
b.× 慢性膵炎は膵実質の破壊・脱落と線維組織の増生が特徴である。 c.× d.○ e.○
問題77.膵嚢胞についての記述で、正しいものの組み合わせはどれか。
 a.膵嚢胞線維症は外分泌腺の代謝異常で常染色体劣性遺伝子疾患である。
 b.膵仮性嚢胞は扁平上皮で覆われており自然消失することが多い。
 c.膵漿液性嚢胞腫瘍は悪性化することが多く早期に転移する。
 d.膵菅内乳頭粘液腫瘍は急性膵炎後に発生することが多く貯留性嚢胞である。
 e.膵粘液性嚢胞腫瘍は中年女性の膵尾部に好発する。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

<解答> 2)
<解説> a.○ b.× 上皮を欠き結合組織で覆われているだけである
c.× 中年女性に多い良性腫瘍であり癌化はまれである。悪性化する傾向が強いのは膵粘液仮性嚢胞腺腫である
d.×急性膵炎後に発生することが多いのは膵仮性嚢胞である[11/20プリント] e.○


問題78.72歳男性。腹痛を主訴に来院。血液検査にてアミラーゼとエラスターゼ1の上昇が、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)では膵頭部主膵管の不整な閉塞・狭窄が認められたため、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)が施行された。図15の写真はその切除標本の組織の写真であるが、この疾患について正しいものの組み合わせはどれか。

 a.一般的に間質は少なく充実性に増殖し被膜を有することが多い。
 b.AFPを産生することが多く血中値の測定が診断に有用である。
 c.膵管の閉塞を来すため慢性膵炎を随伴することが多い。
 d.神経及び神経周囲に浸潤することがある。
 e.総胆管乳頭部への結石の嵌頓によっておこることが多い。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

<解答> 4) 管状腺癌と考えて
<解説>
a.× 管状腺癌は線維性間質を豊富に持っており極めて硬い腫瘤を形成するが、浸潤傾向が非常に強い b.× 腫瘍マーカーはCA19-9とSPan-1がある c.○ d.○ e.×


問題79.膵・腎臓移植について正しいものはどれか。
 a.血液型が異なると移植できない。
 b.1型糖尿病で慢性腎不全を合併している患者に対して行う。
 c.移植膵の4年生着率は約80%である。
 d.移植をしても二次的合併症(網膜症等)の進行は緩和されない。
 e.膵島移植と比較すると生着率は劣る。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d e

<解答> 3) [一外科のホームページ]
<解説> a.× できる b.○ c.○ d.× される e.×


問題80.脳死移植について誤っているものはどれか。
 a.脳死とは脳幹を含めて脳全体の機能が失われた状態をいう。
 b.法的脳死判定は6時間以上の間隔を置いて2度行われる。
 c.図16のカードを保持していた場合、家族の承諾がなくても脳死からの臓器提供
   ができる。
 d.15歳以下でも脳死からの臓器提供の意思表示ができる。
 e.心臓停止後の腎臓移植については、本人の意志表示がなくても家族の承諾が
   あれば可能である。
 1) a b 2) a e 3) b c 4) c d 5) d

<解答> 1)
<解説> 脳死の基準(竹下基準)
@ 深い昏睡
A 瞳孔の散大と固定
B 脳幹反射の消失
C 平坦な脳波
D 自発呼吸の停止
E 6時間以上後の同じ検査

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