呼吸器 平成18年度概説(11/6暫定版)

<放射線科>
【1】次の文章のうち、正しいものを選べ。
1)胸部立位正面X線撮影では、2m離れて撮影する。
2)胸部臥位X線撮影では、心拡大が見られる。
3)胸部立位正面X線撮影では、通常100kVp以上の高圧で撮影する。
4)?
5)小葉間裂は通常胸部正面撮影にて左肺野に描出される。
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答]A 2005年度概説1番と類似?
1)○  2)選択肢より○  3)○:120-140kVp。その方が肋骨をよく透過する。  4)×?  5)×:右肺上葉と中葉の間(レジュメp21)

【2】

【3】胸部正面X線画像で、シルエットサイン陽性を示すのはどこか。正しい組み合わせを答えよ。
1)心右縁−右中葉  2)右横隔膜−右下葉  3)心左縁−左下葉  4)左横隔膜−左舌区  5)下行大動脈−左下葉
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答]B 2005年度概説3番と同じ
水濃度と水濃度の陰影が接して存在する場合に、それらの境界コントラストが消失することをシルエットサイン陽性という。右中葉の病変で心右縁の消失、右S8の病変で右横隔膜の消失、左舌区(S4+S5)の病変で心左縁の消失、左S8の病変で左横隔膜の消失、左S6,S10の病変で下行大動脈の消失、など。

【4】


<耳鼻科>
【1】(  )内に適当な語句を下から選べ。(記号で選ぶ問題)
内喉頭筋の内、(a)筋のみは(b)神経に支配されており、声のピッチ(音程)調節に関与している。他の喉頭筋は全て(c)神経により支配されているが、吸気時などに声門を(d)する作用をもつのは(e)筋のみである。また(b)神経の内枝は喉頭内に進入し、粘膜内に終末を形成し、喉頭粘膜の(f)をつかさどる。この(f)が刺激されると嚥下や(g)などの気道防御反射が誘発される。

[解答] 2004年度、2005年度概説1番と同じ
a:輪状甲状(または前)  b:上喉頭  c:下喉頭(または反回)  d:開大  e:後輪状披裂(または後)  f:知覚  g:咳嗽

【2】頭頸部のX線画像で、左上顎洞に異常陰影と骨の欠損を認めた。考えられる病気はどれか。
1)乾酪性上顎洞炎  2)?性上顎洞炎  3)歯性上顎洞炎  4)上顎癌  5)術後上顎炎
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答]C
1)○:副鼻腔真菌炎と同義。アスペルギルス感染症で片側性、骨破壊像を認め、上顎癌との鑑別が重要。
2) 3)選択肢より×、歯性上顎洞炎=う歯からの炎症の波及。骨欠損はおこらない?
4)○:片側性の上顎洞の病変で、骨破壊を呈するものとして重要。
5)○:術後性頬部(上顎)嚢胞のことか?副鼻腔手術十数年後に発生。上顎洞に嚢胞を作り、骨欠損像が見られる。

【3】気管切開について正しいのはどれか。
1)上気道閉塞による呼吸困難は気管切開の適応である。
2)一側性反回神経麻痺は気管切開の適応となることがある。
3)気管支異物は気管切開による摘出が一般的である。
4)中気管切開では甲状腺の切離を行う。
5)輪状軟骨を切断するとカニューレ抜去困難症を起こしやすい。
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答]C  2003概説耳鼻科3番、2005年度卒試3番に類似、2004年度、2005年度概説3番、2004年度卒試3番と同じ
1)○  2)×:両側では適応となる。  3)×:気管支鏡を用いて除去する。
4)○  5)○:甲状・輪状・第一気管軟骨は靱帯でつながっているため。

【4】声帯麻痺について正しい記載は次のうちのどれか。
1)両側麻痺の主な症状は呼吸困難である。
2)原因として甲状腺術後の麻痺が多い。
3)一側性麻痺では努力性嗄声を呈する。
4)一側麻痺では誤嚥はまれである。
5)一側麻痺では肺炎のリスクが高くなる。
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答]B?  2005年度卒試2番にやや類似、STEP耳鼻科のp212参照
1)○  2)○:甲状腺手術は声帯麻痺を生じるが多いかどうかは不明。原因不明が多いらしい。
3)×?:努力性嗄声→気息性嗄声?
4)×:片側麻痺で最も多い症状は嗄声だが、開大位で麻痺すると失声と誤嚥が生じる。
5)○?:誤嚥が生じれば当然嚥下性肺炎のリスクが高まるはず。

【5】正しい組み合わせを2つ選べ。
1)ポリープ様声帯(ラインケ浮腫)の原因として喫煙が最も多い。
2)声帯結節は通常両側性である。
3)声帯ポリープの原因はパピローマウイルスである。
4)声帯白斑症は女姓に多い。
5)声帯ポリープの好発部位は声帯膜様部中央である。
A(15)  B(34)  C(234)  D(125)  E(すべて)

[解答]D  2004年度概説5番、2004年度卒試5番に類似、2005年度概説5番と同じ
1)○:レジュメp15に「中年女性にやや多い。原因のほとんどが喫煙。」とのメモあり。
2)○:声帯の酷使により両側対称性に生じる。STEP耳鼻科p199より。
3)×:声帯酷使と喫煙習慣が原因。STEP耳鼻科p200より。
4)×:声帯に白斑または白色腫瘤状の病変をきたすもので症状としては嗄声が主。病理組織学的には異形成から癌まで多彩である。誘因としては喫煙、音声の酷使、飲酒がいわれている。
5)○:声帯振動の最も激しい部分。STEP耳鼻科p200より。


<第二外科>
呼吸器外科疾患について下記の記述の空白部分に適切な語句を記入せよ。
(いずれも2005年度卒試、概説に類似)

【1】原発性自然気胸の患者像は、若年、男性、(a)、痩躯で、肺尖部に好発する胸膜直下の(b)の破裂が主因である。続発性自然気胸の基礎疾患として、慢性肺気腫、間質性肺炎、肺癌、マルファン症候群、(c)などがある。気漏部のcheck valve機構によって1方向性に持続的に気漏が続く場合、(d)性気胸に陥りやすく急性呼吸・循環不全となる。ただちに(e)を施さなければならない。

[解答]a:喫煙者  b:bleb  c:肺結核  d:緊張  e:胸腔ドレナージ

【2】全身状態の良い臨床(f)期および一部のIII期非小細胞肺癌患者には標準手術である(g)切除+縦隔リンパ節郭清が行なわれる。IA期の切除後の5年生存率は概ね(h)%であるが、IIB期では(i)%以下である。
転移性肺腫瘍に対する肺切除は原則として(j)が制御されており、他臓器に転移が無く全身我態が良い場合には適応となる。全組織型の平均5年生存率は(k)%である。
胸膜中皮腫に対する有効な治療法は開発されていないが、I期(l)型(組織型)の場合、根治切除が可能な事がある。(m)を合併する重症筋無力症は、非合併例に比べ、胸腺摘出による治癒率が悪い。

[解答]f:I・II  g:肺葉  h:80  i:40  j:原発巣  k:40?  l:上皮  m:胸腺腫
授業ノートp106には術後5年生存率としてIA期80%、IB期60%、IIA期:55%、IIB期40%、IIIA期25%、IIIB期7-8%、IV期5-8%とある。全組織型については記載なく朝倉から転載。

【3】肺分画症は、(n)より直接分枝する異常動脈により支配される。異常肺組織で、気道と交通するものは感染をきたしやすい。肺良性腫瘍で最も多い(o)は緩徐に増大するが通常転移はしない。

[解答]n:大動脈  o:過誤腫


<病理>
【1】Wegener肉芽腫症の三主徴は、半月体形成性糸球体腎炎、上気道や肺の血管炎と( )である。
A)乾酪性肉芽腫  B)壊死性肉芽腫  C)Masson体  D)閉塞性細気管支炎  E)好酸球性肉芽腫

[解答]B
2005年度、2004年度卒試に類似

【2】歌手で、嗄声が出現。喉頭病変で最も予想される病理所見は、
A)白板症  B)多発ポリープ  C)類上皮細胞結節  D)嚢胞形成  E)類線維素物質沈着

[解答]CまたはE?
声帯ポリープは重層扁平上皮性の結節、とある。(ロビンス基礎病理学p509)

【3】

【4】

【5】特発性間質性肺炎の病理像で誤りはどれか?
A)硝子膜形成  B)蜂窩肺  C)慢性炎症細胞浸潤  D)類上皮細胞結節  E)線維化胞隔炎

[解答]D
Dの選択肢を変えて毎回のように出題。

【6】喫煙関連肺気腫に最も開係があるものは、
A)汎小葉性肺気腫  B)小葉中心性肺気腫  C)傍隔壁性肺気腫  D)不規則性肺気腫  E)間質性肺気腫

[解答]B
2005年度卒試7番、2005年度概説15番、2004年度概説6番に類似

【7】Churg-Strauss症候群に特徴的な臨床病理学的には、肉芽腫性血管炎、喘息、単もしくは多発性神経炎、肺浸潤と(  )がある。
A)半月体形成性腎炎  B)好酸球性肉芽腫  C)Masson体形成  D)閉塞性細気管支炎  E)乾酪性肉芽腫

[解答]B
2005年度卒試8番、2004年度卒試8番、2004年度概説7番に類似

【8】以下の肺病変でリウマチ様関節炎と関連が少ない病変は、
A)アミロイド沈着  B)閉塞性細気管支炎  C)血管炎  D)間質性肺炎  E)肺血鉄症

[解答]E
2003〜2005年度卒試9番、2003年度概説8番と類似

【9】肺組織球症の病理で誤りは、
A)異型リンパ球  B)Langerhans細胞  C)線維症  D)喫煙  E)Birbeck顆粒

[解答]A?  2005年度概説7番に類似
気管支壁を中心に好酸球の浸潤を伴う肉芽腫性病変。9割は喫煙者。Biebeck顆粒を持つ。

【10】肺小細胞癌の発生母地は、
A)気管支腺細胞  B)化生扁平上皮細胞  C)気管支基底細胞  D)神経上皮細胞  E)クララ細胞

[解答]D
例年出題される。Bは扁平上皮癌の、Eは腺癌の発生母地。

【11】原発性肺癌の予後に関係の少ない因子は、
A)?  B)臨床・病理学的病期  C)胸膜浸潤  D)中心性・末梢性発生  E)リンパ節転移

[解答]D?
中心性か、末梢性かは組織分類を決める助けにはなるが、それだけで予後は決まらないのでは?

【12】若年女性で肺門リンパ節腫大と血清高カルシウム値を認める。リンパ節生検の病理像で予想されるのは、
A)アミロイド沈着  B)乾酪性肉芽腫  C)非乾酪性肉芽腫  D)膿瘍  E)壊死性組織球増生

[解答]C
2005年度、2004年度概説12番に類似。サルコイドーシスが疑われる。

【13】原発性肺高血圧症に最も特徴的な肺病変は
A)肉芽腫性血管炎  B)多発性血栓性塞栓  C)蔓状血管病変  D)tumolet病変  E)癌性リンパ腫

[解答]C
卒試、概説共に例年出題される。若年女性に多い。

【14】肺動肺主幹部に血栓を認めた。塞栓の由来で最も可能性のあるものは、
A)大腿動脈  B)膝窩動脈  C)下肢表在静脈  D)下肢深在静脈  E)三尖弁

[解答]D
血栓の80%は血栓、特に深部静脈血栓に由来。

【15】悪性中皮腫の病理像として誤っているものは、
A)アスベスト暴露  B)異所性関節原発  C)肉腫性  D)上皮性  E)カルチノイド抗原

[解答]BまたはE
組織学的に中皮腫は、肉腫型、上皮型、混合型(二相型)の3つの様式がある。

<呼吸器科>
【1】60歳の女性が肺炎を生じた。膿性の喀痰を伴っている。喀痰グラム染色をしたところ、青紫色の双球菌の好中球貪食像が認められた。以下の原因菌で最も考慮が必要なものはどれか。
A) Streptcoccus pneumoniae  B) Legionella pneumophilia  C) Pseudomonas aeruginosa
D) Mycoplasma pneumoniae  E) Haemophilis influenzae

[解答] A [解説] A) S.pneumoniaeはグラム陽性双球菌 B) × レジオネラはグラム染色では見えない。非定型肺炎の一つの特徴はグラム染色で起炎菌が同定できないこと C) × 緑膿菌はグラム陰性小桿菌 D) × マイコプラズマもグラム染色では見えない E) × インフルエンザ桿菌はグラム陰性球桿菌

【2】

【3】抗結核薬で視力障害を起こすものは、
A)イソニアジド  B)リファンピシン  C)エタンブトール  D)ピラジナミド  E)ストレプトマイシン

[解答] C [解説] A) × イソニアジドの副作用は末梢神経障害と肝機能障害 B) × リファンピシンの副作用は血小板減少・肝機能障害 C) ○ エタンブトールの視力障害(球後視神経炎)は有名 D) × ピラジナミドの副作用は肝機能障害 E) × ストレプトマイシンは第8脳神経障害が有名

【4】

【5】以下の呼吸器疾患の内、世界の死因トップ10に入らないものを1つ選べ。
A)肺炎  B)結核  C)COPD  D)気管支喘息  E)肺癌

[解答] D [解説] WHOによれば2020年には全世界の死因トップ10のうちCOPD3位、下気道感染症4位、肺癌5位、結核7位となるとのこと。

【6】喀血の特徴で正しいものを1つ選べ。
A)pHが低い  B)外観はコーヒー残渣様  C)最も多い死因は失血死である  D)泡沫を含む  E)出血傾向を伴わない

[解答] D [解説] A) × pHは高い B) × 痰との混じり具合によって様々な色を示す C) × 死因は窒息 D) ○ E) × 出血傾向を来たす疾患(血友病や白血病など)により喀血を来たすことがある

【7】49歳男性。前胸痛を訴えて来院した。局所に圧痛を認めた。除外できる疾患を1つ選べ。
A)肋間神経痛  B)胸肋関節炎  C)筋肉痛  D)肋骨骨折  E)胸膜炎

[解答] E [解説] A-D) ○ 圧痛が認められる E) × 胸膜炎では圧痛は著明ではなく、痛みは咳や通常の呼吸で増強する

【8】

【9】肺癌の徴候・検査所見で間違ったものを1つ選べ。
A)癌性心膜液−奇脈
B)癌性リンパ管症−末梢血管拡張
C)上大静脈症候群−顔面浮腫
D)パンコースト腫瘍−ホルネル症候群
E)異所性クッシング症候群−高血糖

[解答] B [解説] A) ○ 心タンポナーデを来たせば奇脈が見られる B) × 浮腫は見られるが C) ○ D) ○ E) ○

【10】気管支喘息大発作の治療として正しい組み合わせを選べ。
1)酸素投与  2)β2受容体刺激薬吸入  3)抗コリン薬吸入  4)副腎皮質ステロイド点滴
A(134)  B(12)  C(23)  D(4)  E(すべて)

[解答] E [解説] 1) ○ 全例に 2) ○ 全例に 3) ○ 重症例に 4) ○ 重症例やβ刺激薬への反応が悪い症例に用いる

【11】

【12】慢性閉塞性肺疾患について正しい組み合わせを選べ。
1)肺気腫ではLow attenuation areaはみられない。
2)1秒率が低下する。
3)好中球優位の気道炎症が存在する。
4)喫煙は重要な発生因子であり、わが国では発生頻度は低下している。
5)気道過敏性は亢進しない。
A(12)  B(15)  C(23)  D(34)  E(45)

[解答] C [解説] 1) × 肺胞の破壊を反映してCTにて数多くの低吸収領域が見られる(レジュメp56) 2) ○ 3) ○ COPDの気道・肺胞の主な炎症細胞は好中球とマクロファージ 4) × 喫煙は重要な発症因子だが発生頻度は増加している 5) × 気道の過敏性は亢進していることが多い

【13】慢性閉塞性肺疾患に関して正しいものを選べ。
1)気管支拡張薬投与では呼吸困難は改善しない。
2)高炭酸ガス血症があれば酸素投与は禁忌である。
3)喫煙を止めても長期間にわたる肺機能低下は軽減しない。
4)呼吸リハビリテーションは運動耐性能を改善する。
5)低酸素血症を有する患者では在宅酸素療法が生命予後を改善する。
A(12)  B(15)  C(23)  D(34)  E(45)

[解答] E [解説] 1) × COPDの治療にはβ刺激薬や抗コリン薬が使われる 2) × CO2ナルコーシスへの注意は必要だが、酸素投与自体は禁忌ではない 3) × 4) ○ 5) ○ 在宅酸素療法(HOT)と禁煙はCOPDの生命予後を改善する

【14】気管支喘息について正しい組み合わせを1つ選べ。
1)アトピー型は高齢者に多い。
2)人口の5-10%に見られる。
3)気道過敏性亢進の症状である。
4)左心不全との鑑別は困難である。
5)アスピリンは発作を誘発することがあるが、他の消炎鎮痛薬は安全である。
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答] D [解説] 1) × アトピー型は10才以下の小児に多く小児喘息の大部分を占める。成人の喘息に遺伝素因の関与は少ないとされる 2) △ 罹患率は3〜5% 3) ○ 4) ○ 喘鳴、呼吸困難で受診する 5) × アスピリン喘息患者には他のNSAIDsも注意して用いる必要がある

【15】

【16】肺循環障害について正しい組み合わせを1つ選べ。
1)続発性肺高血圧症の成因として低酸素血症が重要であり、酸素療法はこの現象の改善を目的として行われる。
2)肺性心より右心不全が進行するとチアノーゼ、頸静脈怒張、肝腫大、下腿浮腫、腹水などが出現する。
3)原発性肺高血圧症は老年男子に好発する。
4)肺血栓塞栓症の胸部X線写真所見として肺の過膨張や気腫化が特徴的である。
5)肺血栓塞栓症は長期臥床、手術、妊娠・出産などに合併しやすく、入院中の発症が高いことも特徴の一つである。
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答] B [解説] 1) ○ 低酸素性肺血管攣縮を防ぐことで肺高血圧への進展を防ぐことができる 2) ○ 右心不全の徴候が出現する 3) × 原発性肺高血圧症(PPH)は20〜30才代の若い女性に多い 4) × PPHの胸写所見は左右の第2弓拡大、肺動脈末梢の急激な狭小化 5) ○

【17】肺水腫について正しい組み合わせを1つ選べ。
1)透過性亢進型肺水腫では心拡大は見られず、また左心室拡張期圧に近似される肺動脈楔入圧(wedge pressure)が上昇していない。
2)肺水腫では著明な低酸素血症が見られ、呼吸パターンとして浅く速い呼吸(rapid shallow breathing)が特徴的である。
3)肺血管の透過性は肺血管内の静水圧だけで決定される。
4)ARDS(急性呼吸窮迫症候群)は肺血管内皮細胞の障害を介して出現する肺水腫で、その原因疾患は肺だけである。
5)肺水腫の胸部X線写真所見の1つとして、肺門から肺野に向かって広がる浸潤影が出現し、その形から蝶形陰影と呼ばれる。
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答] B [解説] 1) ○ 非心原性の肺水腫では心拡大、左房圧の上昇は見られない 2) ○ 3) × 血液の膠質浸透圧や血管側の因子も関与する 4) × 敗血症、急性膵炎、多発外傷、重症熱傷なども原因となる 5) ○ 蝶形陰影は非心原性の肺水腫の特徴

【18】呼吸調節について誤っている組み合わせを1つ選べ。
1)呼吸中枢は基底核から淡蒼球にかけて存在する。
2)末梢化学受容体は大動脈と頸動脈に存在する。
3)低酸素換気応答のグラフは双曲線を呈する。
4)末梢化学受容体は主に低酸素を刺激として反応する。
5)後頭葉には呼吸困難を司る知覚野が分布する。
A(12)  B(15)  C(23)  D(34)  E(45)

[解答] B [解説] (レジュメはp89-) 1) × 呼吸中枢は延髄に存在する 2) ○ 末梢の化学受容器には大動脈小体と頚動脈小体がある 3) ○ 低酸素刺激に対する換気応答はVE=W/(PO2-C)で表される(VEは換気量)。簡単に言うと、PO2が低下するほど換気量を増やそうとする(PO2と換気量が反比例して、グラフにすると双曲線になる)ということです 4) ○ 頚動脈小体はPaO2の低下を感知し呼吸中枢にシグナルを送る 5) ×?

【19】

【20】

【21】特発性肺線維症(IPF)について正しい組み合わせを選べ。
1)50〜60才代女性に多い。
2)肺癌の合併頻度が高い。
3)症状発現後の平均寿命は4、5年である。
4)CT所見はhoneycombing, traction bronchiectasisである。
5)BLA・TBLBにより他のIIPと鑑別できる。
A(123)  B(125)  C(145)  D(234)  E(345)

[解答] D [解説] 1) × 50〜60才代に多いが、男女比が約2:1 2) ○ 肺癌の合併が見られる 3) ○ 診断後の5生率は20〜40%と予後不良 4) ○ 蜂窩肺、牽引性の気管支拡張はIPFの特徴的なCT所見 5) × 他のIIPと鑑別するには外科的肺生検を行う必要がある。

【22】

【23】

【24】気管支肺胞洗浄(BAL)と経気管支的肺生検(TBLB)について正しいものを選べ。
1)BALによって肺胞蛋白症を診断できる。
2)BALではTリンパ球のCD4+/CD8+の値は過敏性肺臓炎で上昇する。
3)BALではTリンパ球のCD4+/CD8+の値はサルコイドーシスで低下する。
4)TBLBによって特発性間質性肺炎の病理分類を決めることができる。
5)TBLBは感染症において診断意義がある。
A(12)  B(15)  C(23)  D(34)  E(45)

[解答] B [解説] 1) ○ 肺胞蛋白症(PAP)ではBALの所見は確定診断に重要であり、特徴的な乳白色の混濁液が回収される。ちなみにPAPではBALによる肺洗浄が治療的意義も持つ 2) × 夏型過敏性肺臓炎であればCD4/CD8比↓(農夫肺であればCD4/CD8比↑) 3) × サルコイドーシスではCD4/CD8比↑ 4) × 特発性間質性肺炎の診断において病理組織所見は非常に重視されるため、外科的肺生検が望ましい 5) ○ 喀痰を喀出できない患者や、アスペルギルス症などの真菌性疾患、CMVなどのウイルス性疾患やニューモチスティス肺炎(カリニ肺炎)などの原虫疾患では喀痰検査だけでは診断が確定できず、BALやTBLBで診断が得られることがある。

【25】

【26】喫煙との関連が最も深いと考えられるものを1つ選べ。
A) Idiopathic pulmonary fibrosis
B) Nonspecific interstitial pneumonia (NSIP)
C) Cryptogenic organizing pneumonia (COP)
D) Acute interstitial pneumonia (AIP)
E) Desquamative interstitial pneumonia (DIP)

[解答] E [解説] 剥離性間質性肺炎(DIP)は特発性間質性肺炎(IIP)の一疾患で、上皮が剥離していることから命名された。40〜50歳代の喫煙者に好発し男女比は約2:1。自覚症状としては緩徐に進む呼吸困難があり、進行症例では呼吸不全を呈す。禁煙やステロイドに反応するとされ予後は特発性肺線維症(IPF)に比較して良好であり、10年生存率は約70%である。

【27】

【28】

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