臨床薬理医学 平成14年度追試験

1. 臨床試験における倫理性の確保について述べよ。(6点)
(解答略・・・それらしいキーワードを使って文章を書いて下さい)

2.日本で起きた薬害について、例を2つ挙げて述べよ。(6点) (→2002年度・本−2)

3.次の組み合わせで起こりうる薬物相互作用について述べよ。(各3点)
a. ジギタリスとフロセミド
(解答)フロセミドにより血清カリウム濃度が低下し、ジギタリス中毒が起こりやすくなる。

b. テオフィリンとノルフロキサシン(ニューキノロン系抗菌薬)
(解答)ニューキノロン系抗菌薬はCYP1A2を阻害するため、これで代謝されるテオフィリンの血中濃度が上昇し、痙攣が誘発される。

4.アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬の作用機序と臨床的特徴について、両薬を比較して述べよ。(6点)   (→2002年度・本−4)

5.エリスロポエチンの作用とその臨床応用について述べよ。(6点)
(解答)腎臓は血中の酸素分圧を感知して、酸素圧低下時に遠位尿細管周囲細胞からエリスロポエチンを分泌する。その作用は主として後期赤芽球前駆細胞に働き、その赤血球への分化増殖を促進する。臨床的にはヒトの遺伝子組換え体であるエポエチンアルファとエポエチンベータが、慢性腎疾患に伴う貧血や、治療中のAIDSや癌患者の貧血の治療に用いられている。

6.がんの治療に使われる抗生物質の名前を1つ挙げ、その作用機序について説明せよ。(6点)
(解答略・・・適当な抗腫瘍薬の作用機序を説明しておいて下さい)

7.サイアザイド系利尿薬とループ利尿薬の作用機序と臨床応用について、両薬を比較して述べよ。(6点)
(解答)
サイアザイド系利尿薬は、遠位曲尿細管及び接合尿細管でNa+/Cl−共輸送を抑制する。また、遠位曲尿細管に負荷されてくるNa+の増大に伴う、Na+とK+の交換反応の亢進によりK+分泌が増加し、K+排泄を増加させる。以上の機序によりサイアザイド系利尿薬は、Na+、Cl−、K+、Mg2+と水の排泄を増加させる。中程度の効力のある利尿薬、高血圧治療薬、腎性尿崩症等に用いられるが、長期間の使用により、低カリウム血症、高尿酸血症、高脂血症、耐糖能の低下など高血圧の危険因子を増悪させることがある。
ループ利尿薬は、ヘンレ係蹄の太い上行脚の尿細管腔側からNa+/K+/2Cl−共輸送系を阻害することにより、Na+とCl−の再吸収を抑制すると同時に、尿の濃縮機構を抑制する。その結果、糸球体濾過量の20〜30%の水・NaClを尿中に排泄させ、強力な利尿効果を起こす。またプロスタグランジンの生成を促進して腎血流量の増加とレニン分泌の増加を起こすことも、利尿効果の一因と考えられる。臨床的には、肝硬変、腹水、腎不全、心不全に伴った浮腫の治療やうっ血性心不全による肺うっ血に有効である。副作用としては急性の脱水及び電解質喪失、聴覚障害等があげられる。

8.次の言葉について簡単に説明せよ。(各3点)
a. 初回通過効果(→2002年度・本−8a)
b. 生体利用率(→2002年度・本−8b)
c. 血液脳関門(→2002年度・本−8c)
d. 遺伝的多型性(→2002年度・本−8d)
e. 二重盲検
(解答)プラセボを用い、外観上で被験薬かプラセボであるかを医療側と患者側の両方がわからないようにして、心理的・主観的評価の偏りによる薬効評価変動を排除する方法。

f. CRC(→2002年度・本−8h)
g. ヘルシンキ宣言
(解答)1964年にヘルシンキで開催された世界医師会総会で採択された医学研究に携わる医師のための勧告。臨床試験を含む臨床研究の必要性を認めながら、被験者の人権を最大限に保護すべきことをうたい、医学研究の倫理性を確保するための規範を示す。

h. IRB
(解答)当該臨床試験に直接関わる者から独立した第三者による審査委員会で、最も重要な役割は被験者の人権を保護し安全を確保すること。医学・薬学の専門家とともに、非専門家や外部委員を加えなければならない。

i. 服薬コンプライアンス(→2002年度・本−8i)
j. TDM(→2002年度・本−8j)

9.それぞれの問いの答えをひとつずつ選び、A〜Eに○をつけよ。(各2点)
1. 受容体とアンタゴニストとの組み合わせで正しいものはどれか。
A. ムスカリン受容体 ― ピロカルピン
B. α2受容体 ― クロニジン
C. β2受容体 ― プロカテロール
D. オピオイド受容体 ― ナロキソン
E. GABAA受容体 ― ジアゼパム
(解答)D

2. 薬物の効果を増強する可能性が高いものはどれか。
A. 喫煙習慣
B. 血漿アルブミン濃度の減少
C. セントジョンズワート
D. 利尿の促進
E. 結核の薬物治療
(解答)B
(アルブミン非結合型薬物のみが組織へ分布し薬効を発揮する。)

3. 弱酸性薬物の尿中排泄が最も増加するのはどれか。
A. 尿がアルカリ性のとき
B. 尿が中性のとき
C. 尿が酸性のとき
D. 尿のpHが薬物のpKaに等しいとき
E. 血漿のpHが薬物のpKaに等しいとき
(解答)A

4. 薬物アレルギーについて誤っているものはどれか。
A. 多くは抗原抗体反応である
B. 少数の人だけに起こる
C. 用量依存性である
D. 薬物を再投与すると症状が現れる
E. 発疹・浮腫・ショックなどが出現する
(解答)C

5. 薬物の有害反応として誤っているものはどれか。
A. HMG-CoA還元酵素阻害薬 ― 横紋筋融解
B. 抗精神病薬 ― 悪性症候群
C. アンジオテンシン変換酵素阻害薬 ― 血管神経性浮腫
D. マクロライド系抗生物質 ― 難聴
E. インターフェロン ― うつ状態
(解答)D

6. 高齢者に薬物を投与するとき最も注意を要するものはどれか。
A. 肝機能
B. 心機能
C. 肺機能
D. 膵機能
E. 腎機能
(解答)E

7. 誤っているものはどれか。
A. 妊娠16週以降は、薬物による催奇形性はあまりみられない
B. 血液胎盤関門のため、脂溶性の低い薬ほど胎児移行性は低い
C. 胎児は血液脳関門が未発達なので、多くの薬が脳へ移行しうる
D. 小児の薬用量は体重にもとづいて算出するのが最もよい
E. 高齢者では血中薬物濃度が高くなりやすい
(解答)D

8. ニトログリセリン錠について正しいのはどれか。
A. 安静狭心症には効かない
B. 耐性は起こりにくい
C. 細胞内サイクリックAMPの上昇を介して作用する
D. 飲み込むと効かない
E. 噛むと爆発の危険があるので舌下で溶かす
(解答)D

9. カルシウム拮抗薬の副作用として起こりにくいものはどれか。
A. 頻脈
B. 起立性低血圧
C. 顔面紅潮
D. 便秘
E. 歯肉増生
(解答)E?

10. 局所麻酔薬について正しいものはどれか。
A. Na+, K+-ATPaseを抑制する。
B. 低頻度の脱分極刺激で神経伝導を強く抑制する。
C. 興奮頻度の高い神経を強く抑制する。
D. コカインは最初に合成された局所麻酔薬である。
E. リドカインの効力は市販の局所麻酔薬のうち最大である。
(解答)D(局所麻酔薬は電位依存性Na+channelを遮断する。use-dependent inhibition。リドカインより効力が強いものにジプカイン等がある)

11. 癌性疼痛に対するモルヒネの使用について誤っているものはどれか。
A. 鎮痛必要量を正しく用いれば、薬物中毒や依存が臨床的に問題となることはまれである。
B. 症例によって、あるいは同じ症例でも時期や体調によって、至適投与量は異なる。
C. モルヒネには鎮痛・腸管蠕動抑制・呼吸抑制作用がある。
D. 最強の鎮痛薬なので、あらゆる痛みに効果がある。
E. 病期ではなく、痛みの強さを指標にして用いる。
(解答)D

12. カフェインの薬理作用として誤っているものはどれか。
A. 中枢神経興奮
B. 末梢血管拡張
C. 心筋収縮力抑制
D. 骨格筋興奮
E. 胃酸分泌亢進
(解答)C

13. 次の組み合わせのうち誤っているものはどれか。
A. シスプラチン ― 白金製剤
B. フルオロウラシル ― ピリミジン代謝拮抗薬
C. シクロホスファミド ― アルキル化薬
D. ビンカアルカロイド ― 微小管阻害薬
E. メトトレキサート ― プリン代謝拮抗薬
(解答)E(メトトレキサートは葉酸代謝拮抗薬)

14. 臨床試験コーディネーターの業務内容として誤っているものはどれか。
A. 被験者の同意を取得する時の補足説明
B. 試験スケジュールの管理
C. 試験計画の倫理審査
D. 症例報告書作成への協力
E. モニタリング・監査への対応
(解答)C(これはIRBの業務です)

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