臨床薬理学 平成15年度本試験

平成15年9月26日実施 120分
問題用紙は解答用紙と共通。B4で9枚。
受験者102人中7人不合格。

(1枚目)
1. 臨床試験におけるインフォームド・コンセントの必要性について述べよ。(5点)
 書き方は色々あると思います。以下のようなポイントを踏まえて自分なりに作文すればよいかと。
・ 動物実験だけでは不十分で臨床試験は避けられない。
・ だが人体実験であってはならない。(被験者の人権を保護する重要性)
・ ニュルンベルク綱領をうけたヘルシンキ宣言に「インフォームド・コンセントを得る」ことが規定されている。
・ 現在の新GCPでは同意を得るべき内容も細かく定められている。
 なおインフォームド・コンセントは被験者の人権保護のための最重要条件であり、「十分な説明を受け、理解し、納得した上での同意」である必要がある。また同意しない自由、いつでも同意を撤回できる自由が保障される。ということもついでにおさえておきましょう。

2. サリドマイド薬害事件について述べよ。(5点)
 西ドイツで開発、発売された鎮痛・鎮静薬。妊娠初期に内服すると、胎児に四肢短縮(いわゆる「アザラシ肢症」)をはじめとする様々な奇形が発生。日本では副作用判明後もしばらく販売が続き、西ドイツに次ぐ被害者を出した。一方アメリカでは安全性に疑問が持たれ、発売が許可されなかったために被害は最小限に抑えられた。
 生殖毒性のデータが不十分なまま発売が許可されたことが最大の問題であり、これを契機として薬物の催奇形性に関する研究が促進された。
 しかしサリドマイドは、ハンセン病などの治療薬として今日再び用いられつつある。

(2枚目)
3. 薬物動態学的相互作用と薬力学的相互作用の例を一つずつ挙げ、説明せよ。(5点)
 薬物動態学的相互作用とは、作用部位における薬物濃度に影響を与える相互作用のことで、(1)吸収過程での相互作用、(2)分布過程での相互作用、(3)代謝過程での相互作用、(4)排泄過程での相互作用に分けられる。
 このうち、薬物相互作用で最も一般的なのは代謝過程での相互作用で、薬物を代謝するCYPに影響(阻害または誘導)することによる。例えば、気管支拡張薬のテオフィリンとニューキノロン系抗菌薬のノルフロキサシンを同時投与すると、ニューキノロン系抗菌薬がCYP1A2を阻害するため、これで代謝されるテオフィリンの血中濃度が上昇、作用が増強されて痙攣が誘発される。
 薬力学的相互作用とは、標的分子への作用以降の過程に影響を与える相互作用をいう。発生部位は受容体から薬物作用発現まで多岐にわたる。作用機序が異なり効果が同じ薬物同士は、積極的に併用して相互作用を利用する。
 例えば、ニトログリセリン(硝酸薬)とクエン酸シルデナフィルを併用すると、ニトログリセリンはNO産生を介したグアニル酸シクラーゼ活性化により、クエン酸シルデナフィルはホスホジエステラーゼの阻害により、それぞれcGMP濃度を上昇させるので、血管を強く拡張させ、急激な血圧低下・循環不全を招く。

4. 抗狭心症薬としてのβ遮断薬とカルシウム拮抗薬について、作用機序と使用目的の違いを明らかにしながら説明せよ。(5点)
 β1受容体の豊富な心臓では交感神経系の亢進によって、心拍数増加、心筋収縮力増加、および心筋代謝の亢進が起きて酸素消費量が増加する。β遮断薬は主に心仕事量を減少することによって労作狭心症に有効となる。さらに、徐脈によって心拡張期を延長するため、心筋への血液流入時間を延長して血流量を延長させる。頻脈を伴う場合や労作狭心症には著効を示す。
 長期投与では血圧降下をもたらして間接的に後負荷を減少する他、冠血流の再配分によっても抗狭心症作用を示す。
 カルシウム拮抗薬は細胞膜の電位依存性L型Ca2+チャネルに特異的に結合し、Ca2+の細胞内流入を阻止する。これにより血管平滑筋の弛緩を引き起こし、強く血圧を下げて後負荷を減少させる上、抗スパズム作用を持つため、安静狭心症発作の予防には特に効果がある。

(3枚目)
5. カリウム保持性利尿薬を二つ挙げ、それらが他の利尿薬と併用される理由を作用機序にもとづいて説明せよ。(5点)
 カリウム保持性利尿薬にはスピロノラクトン(抗アルドステロン薬の1つ)やトリアムテレンがある。
 抗アルドステロン薬はアルドステロンが集合管でNa+の再吸収、K+,H+の分泌を促進するとき、アルドステロンが結合する受容体に結合して、アルドステロンの作用に拮抗する。
 トリアムテレンは遠位曲尿細管、接合尿細管および集合管の主細胞でのNa+チャネルを抑制する。その結果、管腔内電位は0mVに近づき、この電位に依存して分泌されるK+は分泌が減少する。
 利尿薬は程度の大小はあるものの、Na+排泄量の増加に伴ってK+の排泄増加をきたし、低カリウム血症を起こす。K+の排泄を最小限にし、低カリウム血症を防ぐためにカリウム保持性利尿薬が用いられる。

6. 消化性潰瘍に用いられる攻撃因子抑制薬と防御因子増強薬について、例を挙げて説明せよ。(5点)
 攻撃因子には胃酸、ヘリコバクター・ピロリ菌、ストレス、喫煙などが挙げられる。また防御因子には粘液、粘膜血流、プロスタグランジンが挙げられる。
 攻撃因子抑制薬
(1) 制酸薬(胃酸を中和、炭酸水素ナトリウム(重曹)など)
(2) ヒスタミンH2受容体阻害薬(間接的にH-K,ATPaseを阻害、シメチジンなど)
(3) ガストリン受容体阻害薬(同上、セクレチンなど)
(4) ムスカリンM1受容体阻害薬(同上、ピレンゼピンなど)
(5) H-K,ATPase阻害薬(胃酸分泌を抑制、オメプラゾールなど)
(6) ヘリコバクター・ピロリ菌の完全除去(アモキシシリン、クラリスロマイシン、H+ポンプ阻害薬の三剤併用療法)
 防御因子増強薬
(1) スクラルファート(蛋白質と結合し胃粘膜保護層を形成)
(2) テプレノン(高分子糖タンパク質の合成を促進)
(3) スルピリド(粘膜の血流を増加させる)
(4) プロスタグランジン製剤(血流増加と粘液分泌促進)

(4枚目)
7. 副腎皮質ステロイドホルモンの副作用を列挙し、併用するとき特に注意すべき薬物について理由とともに述べよ。(5点)
 まず、免疫抑制作用に伴う抗炎症作用は対症療法であり、原病を治すことはないことを認識しておかねばならない。また、副作用には以下のようなものがある。
・ 感染症の増悪…感染防御機能の低下による。
・ 消化性潰瘍…胃酸分泌の亢進による。
・ 糖尿病…糖質コルチコイドとしての作用による。
・ 血栓・動脈硬化
・ 骨粗鬆症・骨折…骨芽細胞の抑制などによる。
・ 視床下部、下垂体、副腎皮質系機能の抑制…ACTH分泌を抑制する。
・ 水電解質代謝異常
 併用に注意すべき薬剤としては、作用が同じ免疫抑制剤、作用が相反する糖尿病薬などが挙げられる。
また、ワルファリンとの併用では、(ステロイドは血液凝固能を増大させるため)ワルファリンの効果を減弱したり、消化性潰瘍の誘発+血液凝固阻害により消化管出血を起こしやすくしたりする。

8. 宿主細胞と微生物の構造や機能の違いを説明しながら、抗細菌薬の作用点と作用機序について述べよ。(5点)
(1) 細胞壁合成阻害剤…βラクタム系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質など
 微生物のほとんどは細胞壁を持ち、宿主細胞はこれを持たないので、細胞壁合成阻害剤は選択性の高い抗細菌薬である。
(2) 核酸合成阻害剤…リファンピシン、キノロン類など
(3) 蛋白質合成阻害剤…マクロライド系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質など
 宿主(動物)細胞のリボソームは、60Sの大サブユニットと40Sの小サブユニットからなるのに対し、細菌のリボソームは50Sの大サブユニット、30Sのサブユニットからなる。このため、これらのサブユニットを阻害すれば、細菌の蛋白合成のみを選択的に阻害できる。30Sサブユニットを阻害する抗生物質の代表がアミノグリコシド系、50Sサブユニットを阻害するものの代表がマクロライド系抗生物質である。
(4) 葉酸合成阻害剤…サルファ剤など
 DNA合成には葉酸が必須であるが、これを吸収に頼る宿主に対し、細菌は自ら合成してまかなっている。つまり、葉酸合成を阻害すれば細菌のみのDNA合成を抑制できることになる。

(5枚目)
9. 次の言葉や略号について簡単に説明せよ。(各3点)
(1) EDRF
 内皮細胞由来弛緩因子(endothelium derived relaxing factor)?
 実体はNO。内皮細胞、血小板、ニューロン、マクロファージ、好中球、副腎髄質細胞、血管平滑筋において、AChなどの刺激により、NO合成酵素の働きで合成される。これは血管平滑筋に作用し、グアニル酸シクラーゼを活性化、cGMPの合成促進、Gキナーゼ活性化という過程によって血管平滑筋を弛緩させる。
 インターネットで検索すると赤血球分化関連因子(Erythroid differentiation-related factor)とかいうのもありますね。全ヒット数の1割強くらい。まあ、僕なら書きませんけど。内皮細胞由来弛緩因子は狭心症のとき冠スパズムとかの関係で出てきたらしいです。

(2) ISA
 内因性交感神経刺激作用(intrinsic sympathomimetic activity)のこと。β受容体遮断薬の一部が持つ付随的薬理作用で、内因性カテコラミンが少ない時に交感神経刺激作用を示す性質をいう。ISAのあるものでは、末梢血管抵抗の亢進や徐脈の程度が少ないが、クレアチニンキナーゼの増加をきたし、まれに筋麻痺を生じることもある。

(3) 生体利用率
 バイオアベイラビリティbioavalability、すなわち投与された薬物量のうち、全身循環系に入った薬物量の割合。消化管における吸収率が100%と考えられる薬でも、全身循環系に入る前に腸や肝臓で速やかに代謝される薬の生体利用率は低くなる。(このように全身循環系に入る前に腸や肝臓で代謝されることを初回通過効果という。)生体利用率は静脈注射による投与で100%となる。

(4) 血漿蛋白質結合率
 血漿中には薬物と結合しやすい蛋白があり、アルブミン(大部分の酸性薬物の結合蛋白)が代表的である。血漿蛋白質結合率はこれらの結合蛋白と結合する薬物の割合をいい、非結合型(遊離型)薬物のみが組織へ分布し、薬効を発揮する。

(5) TDM
 治療的薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring)のこと。医薬品の体内動態(血中薬物濃度など)を患者ごとに調べ、この結果をもとに医薬品の投与量を個別に設定し、治療の最適化をはかろうとするもの。薬力学的モニタリングと薬物動態学的モニタリングに大別され、特に治療濃度と中毒濃度の接近した薬物では重要である。

(6枚目)
(6) ニュルンベルク綱領
 第二次世界大戦後、ニュルンベルク国際軍事裁判においてナチスの医師らによって行われた残虐な人体実験などの非人道的行為が裁かれた。この際の判決に伴い明文化された、10項目からなる人体実験の倫理基準のこと。医学研究に関する初の国際的ガイドラインとなった。

(7) 治験
 医薬品開発に際し、動物実験で効果を認められた薬物を臨床試験により効果検定することで、以下の第T相〜第V相に分かれる。
 第T相(臨床薬理試験)…少数の健常者を対象に安全性の検討と薬物動態の調査を行う。
 第U相(探索試験)…少数の患者を対象に安全性と有効性の検討(前期)、投与方法の検討(後期)を行う。
 第V相(検証試験)…比較的多数の患者を対象に有効性の検証を行う。

(8) IRB
 臨床試験審査委員会。当該臨床試験に直接関わる者から独立した第三者による審査委員会。被験者の人権を保護し、安全を確保することを最大の役割とする。構成委員には、医学、薬学の専門家と共に、非専門家ならびに当該施設に所属しない外部委員を加えなくてはならない。

(9) プラセボ
 比較試験(特に二重盲検比較試験)の対照薬として用いる有効成分を含まない薬。外見では被検薬と区別できず、医師も、企業の開発担当者も、中身を分析しない限り判別できない。

(10)ドーピング
 スポーツにおいて、競技能力を高めるために薬物を使用するなど、特殊な処置を施すこと。
 一般に大量の薬物を使用するため、副作用が不可避である上、スポーツの存在意義をも脅かす行為と言える。

(7枚目)
10. それぞれの問いの答えをひとつずつ選び、A〜Eに○をつけよ。(各2点)
(1)関連のある薬物と酵素の組み合わせのうち誤っているものはどれか。
A.アロプリノール/キサンチンオキシダーゼ
B.カプトプリル/アンジオテンシン変換酵素
C.テオフィリン/シクロオキシゲナーゼ
D.プラバスタチン/HMG-CoA還元酵素
E.アセタゾラミド/炭酸脱水素酵素

<答え>C
<解説>
アロプリノール…キサンチンオキシダーゼを阻害。尿酸合成を抑制する高尿酸血症・痛風治療薬。
カプトプリル…アンジオテンシン変換酵素阻害薬。血管拡張をもたらす心不全治療薬。
テオフィリン…ホスホジエステラーゼを阻害。気管支を拡張する喘息の薬。
プラバスタチン…HMG-CoA還元酵素阻害薬。コレステロール生合成を抑制する高脂血症治療薬。
アセタゾラミド…炭酸脱水素酵素阻害薬。利尿薬だが現在ほとんど使われない。
シクロオキシゲナーゼ…COX。COX-2を阻害するとプロスタグランジン産生が抑制され、抗炎症、鎮痛、解熱作用を示す。(NSAID)


(2)初回通過効果を受ける薬物投与法はどれか。
A.気管内投与(吸入)
B.舌下投与
C.静脈内投与
D.経口投与
E.筋肉内投与

<答え>D
<解説>全身循環系に入る前に腸や肝臓で代謝されることを初回通過効果という。


(3)チトクロームP450(CYP3A4)の阻害作用がもっとも強いものはどれか。
A.パイナップルジュース
B.グレープフルーツジュース
C.トマトジュース
D.オレンジジュース
E.グレープジュース

<答え>B


(4)薬物の排泄について正しいものはどれか。
A.薬は唾液腺からは排泄されない
B.酸性薬の排泄を促進するには尿のpHを上げる
C.脂溶性薬物は腎から排泄されやすい
D.血漿蛋白質と結合しやすい薬ほど排泄されやすい
E.グルクロン酸抱合され胆汁中へ排泄された薬が再び吸収されることはない

<答え>B
<解説>
B…イオンの状態では再吸収されにくい。pHが上昇すると酸性薬はイオン型が増える。
C…脂溶性の物質は腎臓で濾過されても再吸収される。
E…胆汁中排泄の条件はある程度の極性、脂溶性、ある程度以上の分子量。


(5)小児の薬物動態について正しいものはどれか。
A.細胞外液量の割合は年齢とともに増加する
B.細胞外液量と体表面積は相関しない
C.薬物投与量は年齢で決めるのが最もよい
D.核黄疸は抱合型ビリルビンによる
E.新生児はグルクロン酸抱合能が未発達である

<答え>E
<解説>
A…減少する。→成人と比べ、水溶性薬物の血中濃度は低く、脂溶性薬物は高くなる傾向にある。
B…ほぼ比例する。
C…従って体表面積で決めるのが最もよい。
D…新生児では血液脳関門が未発達で、脳に非抱合型ビリルビンが蓄積し、核黄疸(高度の神経障害)をきたす。抱合型ビリルビンは水溶性で無毒である。

(8枚目)
(6)薬物と副作用の組み合わせで正しいものはどれか。
A.塩酸ドキソルビシン/肺線維症
B.シスプラチン/腎障害
C.塩酸ブレオマイシン/心筋障害
D.酢酸リュープロレリン/低血糖
E.塩酸イリノテカン/尿閉

<答え>B
<解説>
塩酸ドキソルビシン…アントラサイクリン系抗腫瘍薬。副作用は骨髄抑制、脱毛、消化器毒性。
シスプラチン…白金製剤(抗腫瘍薬)。副作用は腎障害が強い。
塩酸ブレオマイシン…抗腫瘍性抗生物質。副作用は間質性肺炎、肺線維症、ショックなど。
酢酸リュープロレリン…LHRHアゴニスト。(乳癌、前立腺癌に使用)副作用に間質性肺炎など。
塩酸イリノテカン…トポイソメラーゼ阻害薬(抗腫瘍薬)。骨髄抑制と消化器毒性が副作用の主体。


(7)乱用されやすい薬物と関連の深い植物(菌類を含む)の組み合わせのうち誤っているものはどれか。
A.アンフェタミン/マオウ
B.メスカリン/ペヨーテ
C.カンナビノール/タイマ
D.モルヒネ/ケシ
E.コカイン/バッカク

<答え>E
<解説>
アンフェタミンはマオウ(麻黄)が含むエフェドリンの誘導体。覚醒剤。中枢興奮作用。
メスカリンは北中米の幻覚性サボテン(ペヨーテ)の有効成分。幻覚薬。
カンナビノールはタイマ(大麻)が含むアルカロイドの一つ。幻覚薬。
モルヒネはアヘンの主成分。アヘンはケシの未熟果に含まれる。鎮静作用。
コカインはコカノキの葉から取れるアルカロイド。精神高揚感・陶酔感。
バッカク(麦角)はライ麦などの穂に寄生する菌核で、麦角アルカロイドはα受容体遮断薬。


(8)カフェインの薬理作用として誤っているものはどれか。
A.骨格筋興奮
B.中枢神経興奮
C.末梢血管拡張
D.胃液分泌亢進
E.心筋収縮力抑制

<答え>E
<解説>ホスホジエステラーゼ阻害剤。cAMPを増加させ、アデニル酸シクラーゼと共役する伝達物質受容体の機能が亢進する。心機能を亢進させる。


(9)免疫賦活作用を有するものはどれか。
A.シクロスポリン
B.プレドニゾロン
C.インターフェロン
D.アザチオプリン
E.シクロホスファミド

<答え>C
<解説>
シクロスポリン…特異的免疫抑制薬。骨髄抑制をきたさず、強力にT細胞機能を抑制する。
プレドニゾロン…ステロイド抗炎症薬。
インターフェロン…免疫刺激薬。サイトカインの1つでウイルス抑制因子。
アザチオプリン…細胞毒性薬。自己免疫疾患の治療に用いられる。
シクロホスファミド…細胞毒性薬。T細胞、B細胞の増殖能・機能を抑制。


(10)抗アレルギー薬とその薬理作用の組み合わせで正しいものはどれか。
A.ケトチフェン/トロンボキサンA2受容体拮抗
B.プランルカスト/ロイコトリエン受容体拮抗
C.スプラタスト/トロンボキサン合成酵素阻害
D.クロモグリク酸ナトリウム/ヒスタミンH1受容体拮抗
E.ラマトロバン/ヒスタミン遊離抑制

<答え>B
<解説>
ケトチフェン…ヒスタミンH1受容体拮抗
プランルカスト…ロイコトリエン受容体拮抗
スプラタスト…抗Th2型サイトカイン薬
クロモグリク酸ナトリウム…ケミカルメディエーター遊離抑制薬
ラマトロバン…プロスタノイド抑制作用、トロンボキサン(TX)A2受容体拮抗薬。


(9枚目)
(11)疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の特徴として誤っているものはどれか。
A.遅効性である
B.効果が持続する
C.発病早期の症例に効果が大きい
D.長期使用すると効果が減弱ないし無効となる
E.比較的副作用が少ない

<答え>E
<解説>比較的副作用が多く、重篤なものもある。


(12)主としてヘンレ係蹄の太い上行脚に作用する利尿薬はどれか。
A.トリアムテレン
B.スピロノラクトン
C.ハイドロクロロサイアザイド
D.フロセミド
E.アセタゾラミド

<答え>D
<解説>
トリアムテレン…カリウム保持性利尿薬。遠位曲尿細管、接合尿細管、集合管に作用。
スピロノラクトン…抗アルドステロン薬、カリウム保持性利尿薬。皮質部集合管で作用。
ハイドロクロロサイアザイド…遠位曲尿細管、接合尿細管でNa+/Cl-共輸送を抑制。
フロセミド…ループ利尿薬。ヘンレ係蹄の太い上行脚の尿細管腔側からNa+/K+/2Cl-共輸送系を阻害する。
アセタゾラミド…近位尿細管で炭酸脱水素酵素を阻害。利尿作用は弱く持続も短い。


(13)中枢性ではない制吐作用を有する薬物はどれか。
A.クロルプロマジン
B.スコポラミン
C.ジメンヒドリナート
D.スルピリド
E.モルヒネ

<答え>B
<解説>
クロルプロマジン…CTZ(化学受容器引き金帯、chemoreceptor trigger zone)のD2受容体遮断。
スコポラミン…抗コリン作用薬。末梢性制吐薬。
ジメンヒドリナート…ヒスタミンH1受容体遮断薬。中枢性の抗悪心・嘔吐作用。
スルピリド…CTZのドパミンD2受容体遮断。中枢性制吐作用。
モルヒネ…CTZへの直接刺激作用により催吐作用を持つ。


(14)プロトンポンプ阻害薬について誤っているものはどれか。
A.壁細胞のH+,K+-ATPaseを特異的に阻害する
B.消化性潰瘍の治癒率はH2受容体拮抗薬より高いと言われている
C.ヘリコバクター・ピロリの除菌薬と併用される
D.チトクロームP450(CYP)で代謝される
E.逆流性食道炎には無効である

<答え>E
<解説>欧米では抗潰瘍薬の第一選択薬。特に逆流性食道炎に用いられる。


(15)臨床第U相試験にもっともよく当てはまるものはどれか。
A.健常ボランティアを対象として薬物動態を調べる
B.数百人〜数千人の患者を対象として薬効を検証する
C.長期投与による副作用を調査する
D.比較的少数の患者を対象として薬効の有無を調べる
E.第T相試験で認められた副作用のデータを解析する

<答え>D
<解説>大問9の(7)参照

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