免疫学 平成9年度本試験

1.胸腺におけるpositive selectionおよびnegative selectionについてそのメカニズムと意味を簡潔に述べよ。(25点)
平成10年度大問3参照  意味について追加
ボジティブセレクション…自己MHCクラスUのみが抗原提示をできるようになる。自己MHCクラスUを持つ細胞を自己とみなす。クラスTを持たないとNK細胞に殺される。
ネガティブセレクション…免疫学的寛容(自己抗原に対して反応しない)をつくる。

2.以下の文章はアポトーシスについて述べたものである。( )内に最も適当な語句を下の語群から選び解答欄に記号で答えなさい。(15点)
アポトーシスは細胞死の一種の形態であり、細胞核の大きさが(1:V;急激に縮小)するとともにクロマチンが(2:T;凝縮)し、DNAが(3:R;断片化)するなど核に強い変化が見られるが、細胞質の変化は比較的軽度であることがその特徴である。アポトーシスは通常、細胞群において(4:L;散発的に)起こる。アポトーシスを起こした細胞は、細胞の内容物が(5:M;流出)することなく、(6:O;貪食細胞)によって処理される。キラーT細胞が標的細胞を殺すときは、パーフォリンによって細胞膜に小孔を開けて破壊する機構とともにT細胞レセプターからのシグナルがキラーT細胞の膜表面へ(7:G;FasL)という分子の発現を誘導し、標的細胞にアポトーシスを起こす。(7)は標的細胞膜上の(8:S;Fas)という分子と結合しその結合は(8)の細胞内領域に結合したFADDという分子を介して細胞内へとシグナルを伝達する。FADDはさらに(9:A;FLICE)というシステインプロテアーゼに結合し、この(9)の活性化を引き起こす。この(9)のようなシステインプロテアーゼのグループを総称して(10:Q;Caspase)ファミリーと呼ぶ。(9)の活性化は別の(10)の切断を起こすことによってその分子を活性化し、その分子がさらに次の(10)の切断を起こすことによってその分子を活性化するといったプロテアーゼカスケードが存在する。線虫では(11:C;ced-3)がこの(10)ファミリーに構造的・機能的に類似している。(8)を先天的に欠損したマウスは(11)マウスと呼ばれ、リンパ節腫大や自己免疫病を発症する。アポトーシスを阻害する分子も存在し(13:I;Bcl-2)がその代表的な分子である。この分子はB細胞リンパ腫において(14:B;免疫グロブリン重鎖)遺伝子と高率に染色体転座を起こしている遺伝子として発見され、線虫の(15:E;ced-9)に構造的・機能的に類似している。

語群 A:FLICE B:免疫グロブリン重鎖 C:ced-3 D:徐々に膨大化 E:ced-9
F:p53 G:FasL H:Ipr I:Bcl-2 J:TNF K:ced-4 L:散発的に M:流出
N:ced-8 O:貪食細胞 P:Myc Q:Caspase R:断片化 S:Fas T:濃縮
U:いっせいに V:急速に縮小 W:セラミド X:gld Y:リンパ球


3.ノックアウトマウス作製法について以下の用語を使用して説明せよ。なお、使用した用語は文中に下線を引くこと。(10点)
用語:遺伝子、ES細胞、相同組換え、胚盤胞、生殖系列伝播、ノックアウトマウス
偽妊娠マウス(仮親)、子宮内移植、キメラマウス、マイクロインジェクション
大事なところかもしれませんが調べようがありませんでした。
ノックアウトマウスはある遺伝子を人工的に欠損させたマウスです。ES細胞は胎生期のすべてに分化できる細胞。そのくらいしかわかりません。


4.「免疫学的多様性」と「免疫学的多型性」についてそれぞれに代表的な例を挙げて説明しなさい。またそれぞれの獲得と機序について述べなさい。(25点)
免疫学的多様性…抗体とTCR。再構成反応、N−シークエンスの付加、体細胞超突然変異(B細胞)による。前述。(平成11年度大問1など参照)
免疫学的多型性…ABO式血液型、MHCなど。一つの遺伝子座にコードされる遺伝子ならびに一つの動物種における遺伝子産物が多様であること。その異なる遺伝子のタイプを対立遺伝子という。MHCは100以上の対立遺伝子を持つ。獲得の機序…父から一つ母から一つもらっている。


5.ヒトの癌特異抗原を例として免疫系による腫瘍細胞の認識と排除における、抗原提示細胞(APC)、主要組織適合抗原複合体(MHC)、T細胞抗原受容体(TCR)の関わりを図示しながら説明しなさい。(25点)
腫瘍細胞は変異ベプチド(ガン特異抗原)を発現する。
ガン特異抗原はAPCのMHCクラスUに収容され、これに特異的T細胞によって認識されそのT細胞は活性化する。(抗原提示)
腫瘍細胞にはガン特異抗原を収容したMHCクラスTが膜上に発現しており、これを活性化したT細胞がCD8とTCRで認識し、細胞傷害によって排除する。

図がなくてわかりにくいかもしれませんが、二つのステップに分けて書いています。

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