寄生虫学 平成10年度本試験

1.クルーズ・トリパノソーマについての文章.
→ガンビアトリパノソーマ:アフリカ睡眠熱, Vector:ツェツェバエ
 急性期のクルーズ・トリパノソーマ症について:刺咬部に発赤を伴う腫瘤(シャゴーマchagoma)を生じる。ついで高熱を発し、全身に浮腫をみる。片側性の眼瞼周囲の浮腫(ロマーニャ症候)は最も特徴的な初期症状である。多くは小児に見られる。
 慢性期のクルーズ・トリパノソーマ症について→心臓と消化管について:侵襲臓器の病変を反映する症状が十年余にわたって緩徐に進行する。よく見られるのは心筋炎、うっ血性心不全、牛心と呼ばれる心室肥大、消化管肥大(巨大食道 megaesophagus、巨大結腸 megacolon)であるが、神経型もある。成人の場合は最初から慢性病型をたどる例が多い。
 クルーズ・トリパノソーマの診断法3つ:
@ 抹消血、リンパ節穿刺液のギムザ染色標本中の虫体の観察→急性期以外は検出率が低い。
A 血液、生検材料のモルモット接種法やNNN培地での培養→培養法ではエピマスチゴート型が検出される。
B 外因診断法:人工飼育した未感染サシガメに吸血させ、その腸管内で増殖する原虫を検出する。
 クルーズ・トリパノソーマの予防法:サシガメの防除とその刺咬を避ける。刺された場合は速やかに消毒し、傷口から糞便中の原虫が侵入しないようにする。

2.以下の表の穴埋め.

  中間宿主orベクター 症状・疾患 検査法
ブラジルリーシュマニア サシチョウバエ 皮膚・粘膜皮膚リーシュマニア 検査材料のギムザ・ライト染色標本によるアマスチゴート、材料の血液寒天培地接種によるプロマスチゴートの観察
トキソプラズマ ブタ、ヒツジ、ネコ 先天性トキソプラズマ症:1網脈絡膜炎、2水頭症、3脳内石灰化像、4精神・運動障害
後天性トキソプラズマ症:リンパ節炎、発熱など。
髄液、リンパ節からの虫卵の検出。色素試験(Sabin-Feldman’s dye test)、ELISAなどの血清学的診断
有鉤条虫 ブタ 条虫症:小腸の軽炎症
有鉤嚢尾虫症:幼虫寄生で皮下、眼などに嚢虫形成。
虫卵をセロファン肛門周囲検査法で検出。嚢虫症ではX線CTなど。
多包条虫 キタキツネ、イヌ 肝包虫症:肝腫大、黄疸
肺包虫症:咳、血痰
胞嚢が破れたときの包虫砂(包虫液内の感染能力のある頭節原基)の検出。酵素抗体法、補体結合法などの免疫学的診断法。
回虫 中間宿主無し、野菜摂取により経口的に感染。 幼虫による病害:肝の繊維化、回虫性肺炎またはレフラー症候群(咳、発熱、呼吸困難、肺浸潤、好酸球増加)。
成虫による病害:腹痛、食欲不振、吐気、神経過敏、迷入による虫垂炎、胆道回虫症。
検便(直接塗抹法、集卵法)。雄のみの寄生では虫卵は陰性。
ウェステルマン肺胞虫 モクズガ二、サワガニ、イノシシ 胸部肺吸虫症:肺実質の破壊、虫嚢腫の形成。限局性胸膜炎。咳やチョコレート色の血痰。
脳肺吸虫症:若年者にて。脳内への異所寄生による。ジャクソン型痙攣(てんかん)。
検便による集卵法(AMSV法)。VBS抽出抗原による皮内反応。
バンクロフト糸状虫 アカイエカ 急性期:熱発作(リンパ管炎を伴う)
慢性期:象皮病、陰嚢水腫、乳糜尿。
熱帯性肺好酸球増加症(喘息様症状)
指尖血で厚層塗抹標本のギムザ染色にて鏡顕。
有棘顎口虫 ライギョ、ドジョウ 皮下組織通過に伴い、皮膚の線状爬行疹と移動性皮下腫瘤。中枢神経系や肝、肺などに迷入も。 移動性の皮膚病変部位からの虫体の検出(切開)。移動性の皮膚病変+好酸球の増加。

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