寄生虫学 平成12年度本試験

1.次の語句を説明せよ。
1) 幼虫皮膚移行症
ヒトが固有宿主でない場合、その体内では成熟し得ない。このため、寄生虫が主として幼虫形でヒトの体内(皮内あるいは皮下)を移行することにより病害を示すこと。
幼虫移行症:顎口虫、イヌ回虫、アニサキス、広東住血線虫、マンソン孤虫など
2) 異所寄生
本来の寄生部位以外に定着し、そこで発育を続けている。肺吸虫の脳内、皮膚寄生など。
他に、 偶発的寄生:非固有宿主に寄生が認められるもの。
迷入:本来の寄生部位で発育が進み、成熟後に他部位へ移動する状況。回虫成虫が虫垂、胆道に入るなど。
転移:増殖した一部分が血流・リンパ管などで他臓器へ運ばれて定着する。赤痢アメーバにおける肝膿瘍など。
3) 自家感染
産み出された幼虫がそのまま宿主内で成熟して次世代を産むこと。
4) 幼生生殖
吸虫の幼虫が第一中間宿主貝体内で行うもの。一つのミラシジウムから最終的に数千〜数万のセルカリアを生ずること。
住血吸虫:ミラシジウム→スポロシスト→娘スポロシスト→セルカリア→経皮感染
吸虫類:ミラシジウム→スポロシスト→レジア→娘レジア→セルカリア→経口感染
5) パラテニック・ホスト(待機宿主)
寄生虫幼虫はその発育上の必要性からみてこの宿主体内にとどまる必要はないが、宿主の食物連鎖の関係で感染する中間宿主を指す。

2.次の文章で,正しい方を○で囲め。
1) 円葉目の条虫は、(1,2)つの中間宿主を必要とし、幼虫被殻から(嚢尾虫,共尾虫,包虫,擬嚢尾虫)が生じる。
1、 幼虫被殻から六鉤幼虫が生じ、終宿主へ感染してくる時期の幼虫の名称として円葉目のTaenia属:嚢尾虫、Echinococcus属:包虫、Hymenolepis属:擬嚢尾虫、Multiceps属:共尾虫と呼ぶため全部当てはまると思います。
2) 肝蛭卵を22〜25℃に置いておくと、卵内に(ミラシジウム,コラシジウム)が形成された。
ミラシジウム
3) 有鉤条虫には(虫卵,豚の生食)で感染し、有鉤嚢尾虫には(虫卵,豚)の摂取で感染する。
豚の生食→ヒンズー教徒に多い、虫卵→有鉤嚢尾虫症(幼虫寄生)
4) 無鉤条虫の卵は(非常に薄い卵殻,厚い卵殻)で被われていて、内部に六鉤幼虫がある。
非常に薄い卵殻→糞便中では消失する。
5) マラリアを媒介するのは(ハマダラカ,ナミカ,オオカ)である。
ハマダラカ
6) マラリアのうち半月状の生殖母体が見られるのは(三日熱,四日熱,熱帯熱,卵形)マラリアである。
熱帯熱
7) ライム病の病原体は(細菌,リケッチア,ウィルス)である。
細菌 スピロヘータBorrelia.burgdorferi ベクターは日本ではシュルツェマダニ
8) マンソン裂頭条虫の体内には(石灰小体,    )が見える。
石灰小体 条虫類の特徴で石灰小体形成細胞で作られ、プレロセルコイドで見られる。

3.症状をもたらす寄生虫を選択肢より選ぶ問題。5年くらい前の問題と同じらしいです。

ロマーニャ徴候 クルーズ・トリパノソーマ(シャーガス病)
ウィンターボトム症候群 ガンビアトリパノソーマ(アフリカ睡眠病)
チクレロ潰瘍 メキシコリーシュマニア
肝硬変 日本住血吸虫 肝吸虫
悪性貧血 広節裂頭条虫 裂頭条虫性貧血と呼ばれる悪性貧血
乳糜尿 バンクロフト糸状虫 
血尿 ビルハルツ住血吸虫 
ジャクソン型てんかん 単包虫・多包虫 ウェステルマン肺吸虫の脳肺吸虫症
異味症 鉤虫(ズヒニ鉤虫、アメリカ鉤虫)
盲目症 広東住血線虫 重症患者で視力障害、失明
新興寄生虫病 クリプトスポリジウム、アカントアメーバ、旋尾線虫など

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