寄生虫学のまとめ

  虫名 症状 生活史・感染経路 検査法・予防・治療 その他
根足虫類 赤痢アメーバEntamoeba histiolytica ・腸アメーバ症:潰瘍、苺ゼリー状粘血便。
・腸管外アメーバ症:肝膿瘍の頻度が高い。
・無症状:嚢子保有者。一度も発症しない、または回復してから無症状になる。前者を接触保虫者、後者を回復期保虫者という。嚢子を放出し続ける。

宿主:ヒトが主だが他にイヌ、ネコ、サルなど。

栄養型が大腸にて増殖。糞便とともに下降して嚢子型になり、嚢子型の経口摂取により感染する。栄養型は飲み込んでも胃液で殺されるので感染しない。

検査:便生鮮標本から虫体を検出。肝膿瘍ではX線、CT、超音波など。
免疫学的診断法:間接蛍光抗体法(IFA)、酵素抗体法(ELISA法)など。
予防:飲み水からの嚢子の経口接種を予防。
治療:メトロニダゾール。抗生剤併用

非病原性の大腸アメーバは赤血球の捕食が見られないが赤痢アメーバでは見られる。また、カリオソームが核の中心にある。
分布:世界中
病原性自由生活アメーバ
1.ネグレリアフォレリNaegleria fowleri
2.アカントアメーバカルバートソニAcanthamoeba culbertsoni

1.原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM):3〜4日で嘔吐や意識障害、5〜6日で死亡。

2.アメーバ性髄膜脳炎(AME):一種の日和見感染と考えられており、経過はPAMより緩徐で脳病巣の慢性炎症やアメーバ性脳肉芽種を示す。またコンタクトレンズ使用者のアメーバ性角膜炎(潰瘍)も見られる。

1.水泳や水浴で鼻粘膜から嗅神経を介して脳内に侵入。
生活史:外囲の条件により栄養型、鞭毛型、嚢子型いずれにも移行しうる。
2.皮膚、肺、泌尿生殖器、眼瞼結膜などの初期病巣から血行性に脳に転移。
1.検査:脳脊髄液からの検出。
治療:一般に困難だが早期のアムホテリシンBの静注、テトラサイクリン、サルファ剤の投与。
2.検査・治療とも1のPAMと同様であるがやはり特効的な治療法はない。

1.分布:世界中病巣は大脳皮質に限局し、アメーバの全身感染は見られない。

2.分布:世界中

胞子虫類

マラリア原虫Plasmodium〜

1.三日熱マラリア原虫 P.vivax

2.熱帯熱マラリア原虫 P.falciparum

3.四日熱マラリア原虫 P.malariae

4.卵形マラリア原虫 P.ovale

メロゾイト放出時の赤血球破壊による、溶血性貧血、低酸素症、毒素性物質の体温中枢刺激による熱発作
急性マラリア:熱発作、貧血、脾腫を主徴とする。熱発作は悪寒期→高熱の灼熱期→発汗期→無熱期の周期。その周期は三日、卵型は48h、四日は72h。
悪性マラリア:熱帯熱マラリアによる。悪性なのは全日齢の赤血球に侵入するため(三日、卵型は幼若、四日は老齢赤血球に侵入)36〜48hごと。諸臓器に重篤合併症(腎障害)、DIC、出血、ショック、血色素尿を排出する黒水熱など。
慢性マラリア:熱型は不定となるが、貧血と脾腫が著明。
再発:
再燃=治療不足で血中残存の赤内型原虫増殖による。
再発=三日熱、卵型熱にて、肝細胞内のヒプノゾイドによる。
潜伏期:三日、卵型:2週 四日:30日 熱帯:12日
感染経路:スポロゾイドをもったハマダラカの刺咬。他に輸血や汚染注射針など。
分布:三日熱は熱帯から温帯まで広く分布。四日熱、熱帯熱は、熱帯、亜熱帯に分布。卵型は、熱西帯アフリカの一部に限局。
生活史:(エッセンシャル寄生虫病学p62)
検査:末梢血の厚層および薄層塗抹標本をギムザ染色して鏡検。
三日熱:Schufner斑点。
熱帯熱:輪状体のみ。Maurer斑点。卵形:Schufner斑点
急性期熱発作療法:
@クロロキンAファンシダール錠B硫酸キニーネ AとBは妊婦には禁忌。
薬剤耐性マラリアの熱発作療法:
クロロキン耐性の度合いによりA、B、抗生物質(テトラサイクリンなど)を併用する。
重症マラリアの緊急療法:塩酸キニーネ
再発防止:プリマキン(三日熱と卵型に対して行う。ヒプノゾイドに対して)
予防:ハマダラカの駆除。抗マラリア薬の予防内服。
スポロゾイトが感染蚊の吸血時に唾液腺から注入されると、一時間以内に肝細胞に侵入して発育し、多数のメロゾイトを生じる。三日熱と卵型では、一部のスポロゾイトが静止状態で増殖(ヒプノゾイト)→再発の原因。
メロゾイトの赤外型は赤血球に侵入し、輪状体、アメーバ体、シゾントと発育して赤血球を破壊して、新たなメロゾイトを作る(熱帯熱マラリアでは輪状体以降の発育が脳、肝、脾、腎などの毛細血管にて行われるので、末梢血では見られない)赤内型は、雌雄の生殖母体を作って死滅。吸血時に媒介蚊に取り込まれた生殖母体は胃内で減数分裂し生殖体になる。これが融合してザイゴートになり、ついで運動性のあるオーキネートになる。そして、胃壁を穿通して胞嚢体(オーシスト)になりスポロゾイトを形成する。スポロゾイトが多数形成されると胞嚢体の破裂によって体腔に放出され、唾液腺に集積して感染性となる。
トキソプラズマToxoplasma gondii

先天性トキソプラズマ症:4大徴候(1)網脈絡膜炎、(2)水頭症、(3)脳内石灰化像、(4)精神・運動障害、他に発熱、黄疸、リンパ節腫脹、貧血、脳炎、心筋炎など。

後天性トキソプラズマ症:通常ほとんど不顕性感染(たまにリンパ節腫脹)だが免疫能が低下すると顕性化し全身性に増殖、病巣を形成しリンパ節炎、発熱など。最近AIDS患者のトキソプラズマ脳炎の併発が注目されている。

宿主:ネコが終宿主。ヒトをはじめ多くの哺乳類や鳥類が中間宿主。
感染経路:
1.ブタや羊の肉の生食による嚢子およびオーシストの感染。
2.ネコの糞便中のオーシスト。
3.ネコとの接触感染。
4.感染母体から胎児へのタキゾイトによる胎盤を通じた垂直感染。
検査:原虫の検出は困難なため、
血清学的診断:
・色素試験(Sabin -Feldman's dye test)
・IHA:赤血球凝集反応
・LA:ラテックス凝集反応
治療:ピリメサミンやアセチルスピラマイシンと、サルファ剤の併用。
予防:ネコの糞便に注意。豚や羊などの生食をさける。調理器具にも注意。

分布:世界中

中間宿主内では、摂取された嚢子またはオーシストは小腸で脱嚢し、栄養型やスポロゾイトになり、血行性に各所に運ばれ細胞内で分裂増殖(この発育期の原虫をタキゾイド)。宿主の抗体産生につれ、嚢子型になる。

終宿主内では嚢子またはオーシストは小腸で脱嚢し、多数のメロゾイトを放出、その一部が雌雄の生殖母体となり、生殖体に発育すると有性生殖を行って融合体を形成、これがオーシストになり、糞便とともに排出。

分類不能 ニューモシスチスカリニ Pneumocystis carinii 一種の日和見感染。多呼吸、発熱、次いで呼吸困難とチアノーゼを呈する肺炎。重要な所見として肺胞毛細管ブロックによるPao2の1/2〜1/3に低下。 感染経路:確定されていないが、嚢子の経気道感染と考えられている。 検査:喀痰や生検材料からの虫体の検出で診断。
治療:
@イセチオン酸ペンタミジン(本来はアフリカ睡眠病の治療薬)
AST(スルファメトキザールと、トリメトプリム)
免疫低下で発症。AIDSや白血病などのときに感染がおこる日和見感染。
鞭毛虫類 ランブル鞭毛虫
Giardia lamblia

消化器寄生鞭毛虫類

少数では無症状。小腸上部の広汎な炎症と吸収障害を伴って脂肪性下痢。胆道への寄生で胆汁鬱滞により胆嚢炎

感染経路:嚢子の経口感染で、汚染飲食物の摂取による。
栄養型:軸索を中心に左右対称。4対の鞭毛
嚢子型:2〜4個の核終
宿主:ヒト

検査:有形便から嚢子、下痢便から栄養型や嚢子を検出。

治療:メトロニダゾール、チニダゾール(いずれも妊婦、血液疾患、器質的精神病には禁忌)。キナクリン。

分布:世界中に広く分布。とくに熱帯・亜熱帯に多い。
膣トリコモナス
Trichomonas vaginalis
泌尿・生殖器寄生鞭毛虫類
膣炎が主体。自覚症状を示さない患者(主に男性)もおり、感染源になりうる。
栄養型のみ。女性の膣とその付属性腺に寄生する。
感染経路:性交などの接触感染。浴場でも感染あり得る。
検査:新鮮な膣分泌物または尿道分泌物を鏡検
治療:メトロニダゾール、チニダゾール(妊婦には禁忌)。男女間の相互感染(ピンポン感染)があるため配偶者も同時治療。
分布:世界中
予防:性病予防に準じる。
ガンビアトリパノソーマ
Trypanosoma brucei gambiense
ローデシアトリパノソーマとともにアフリカ睡眠病、またはガンビアトリパノソーマ症の病原体。
以下、血液・組織寄生鞭毛虫類
初期:発熱、高熱が持続し、頭痛、嘔吐、背痛。
中期:肝脾腫、リンパ節とくに項部リンパ節腫大が特徴→ウィンターボトム徴候
末期:中枢神経症状が顕著となり、歩行などの障害から昏睡に陥り、多くは合併症を併発して死亡。この間は2〜3年。虫血症は2〜3ヶ月ごろから見られる。
生活史:血流中のトリポマスチゴート型がツェツェバエに吸血されると、中腸で分裂増殖、唾液腺でエピマスチゴート型から感染型のトリポマスチゴート型に発育する。吸血時にそれをヒトに注入する。
感染経路:感染ツェツェバエの刺咬。
宿主:ヒトのみが自然宿主。

検査:血液、リンパ節穿刺液、脳脊髄液から原虫検出。IgMの長期にわたる著増。ElISAなど。

治療:スラミン、ペンタミジン。脳症を伴う場合トリパルサミド、メラルソプロール。しかしペンタミジンを除き国内未発売。

予防:ツェツェバエの刺咬回避。

分布:緯度が南北15度のアフリカ中西部。

ローデシアトリパノソーマの方が悪性で急性。

クルーズトリパノソーマ Trypanosoma cruzi シャーガス病、アメリカトリパノソーマ症。
急性期:多くは小児。刺咬部に発赤を伴う腫瘤(シャゴーマchagoma)を生じる。ついで高熱を発し、全身に浮腫をみる。片側性の眼瞼周囲の浮腫(ロマーニャ症候)は最も特徴的な初期症状である。
慢性期:侵襲臓器の病変を反映する症状が十年余にわたって緩徐に進行する。よく見られるのは心筋炎、うっ血性心不全、牛心と呼ばれる心室肥大、消化管肥大(巨大食道 megaesophagus、巨大結腸 megacolon)であるが、神経型もある。成人の場合は最初から慢性病型をたどる例が多い。
生活史:サシガメ類の消化管でトリマスチゴート型にて発育。中腸でエピマスチゴート型となって分裂増殖。後腸でトリポマスチゴート型になって糞便中へ。これが皮膚傷面や粘膜からの侵入、筋や網内系細胞内にてアマスチゴート型になって細胞を破壊し、再び細胞内に侵入を繰り替えす。
感染経路:サシガメの糞便中に排出される感染型虫体の皮膚傷面や粘膜からの侵入。
終宿主:ヒト、サル、アルマジロ、イヌ、ネコなど。

検査:末梢血、リンパ穿刺液のギムザ染色。標本中に虫体血液、生検材料のモルモット摂取やNNN培地で培養し、エピマスチゴート型の検出。未感染サシガメに患者を咬ませる外因診断法。

治療:特効薬はない。流行地ではnifurtimox(国内未発売)

予防:サシガメの防除とその刺咬の回避。

分布:中南米

刺咬部を無意識に掻いて、虫体を刷り込むことが多い。流行地では、輸血や母乳、胎盤感染もある。

ドノバンリーシュマニア群 Leishmania donovani complex

カラアザール(黒熱病=皮膚乾燥、色素沈着)、ダムダム熱などの内蔵リーシュマニア症として知られる。

主な症状は発熱、不快感、食欲不振で熱帯性巨脾症と呼ばれる著明な脾腫、肝腫が見られ、高γグロブリン血症を伴う。治癒後1〜5年を経てカラアザール性皮膚型(PKDL)を生じることがある。

生活史:サシチョウバエの中腸内でプロマスチゴート型で増殖し、吻に移行してアマスチゴート型(2〜4μmの卵円系)にて吸血時に宿主に注入。人体内では網内系細胞や、食細胞内にアマスチゴート型の寄生と増殖。

感染経路:サシチョウバエの吸血によるプロマスチゴートの注入。まれにアマスチゴートによる経胎盤感染もある。

検査:検査材料をギムザまたはライト染色し、アマスチゴートの証明。また血液寒天培地に接種しプロマスチゴートを証明。

免疫診断:遅延型のMontenrgro法、PCRなど。

治療:ペントスタムやグルカンタイム

予防:サシチョウバエの吸血を避ける。

分布:インド亜大陸、中国東北部、旧ソ連南部、中近東、地中海沿岸、中南米など。

中近東や旧ソ連南部ではleishmanizationという一種の生ワクチンが古くから実施されている。

1.熱帯リーシュマニア種群

2.メキシコリーシュマニア種群など。

旧大陸、新大陸の皮膚リーシュマニア症
無痛性の潰瘍(火口状)。皮膚リーシュマニアの別名(チクレロ潰瘍)はゴム園で働く労働者に外耳の潰瘍が多く見られることから使われるようになった言葉である(チクレとはゴムの木のこと)。
前述のドノバンリーシュマニア群と同じ。 前述のドノバンリーシュマニア群と同じ。 リーシュマニア症には
1.内臓リーシュマニア症
2.皮膚リーシュマニア症
3.粘膜皮膚リーシュマニア症
4.汎発性皮膚リーシュマニア症がある。
繊毛虫類 大腸バランチジウム
Balantidium coli
無症状のものから軽度の水様性下痢、あるいは腹痛、嘔吐、体重減少に粘血便を呈するものまで多様である。

生活史:宿主に経口摂取された嚢子は小腸で脱嚢し、栄養型は大腸に達すると成熟して横二分裂で増殖するが接合も営む。
感染経路:嚢子の経口感染であるが、感染しても無症状に耐過するブタとの接触によるものが最重要である。

検査:下痢便から栄養型虫体、有形便から嚢子を検出。

治療:メトロニダゾールやテトラサイクリン投与が有効

繊毛虫類は体表は繊毛に覆われ、体前端の細胞口、大核と小核の2核を有し、生殖は2分裂と有性生殖の接合を行うのが特徴。自然界には多数種類が見られるが人体寄生種は1つ。世界に広く分布し、各地のブタに高率に感染している

扁形動物 1.条虫類

  虫名 症状 生活史・感染経路 検査法・予防・治療 その他
擬葉目

広節裂頭条虫(北欧原産) 
Diphyllobothrium latum
(日本産のものは日本海裂頭条虫 Diphyllobothrium nihonkaiense)

多い順から自然虫体排泄、下痢、腹痛など。
条虫貧血(条虫のビタミンB12の奪取による悪性貧血)
生活史:水中(虫卵からコラシジウム)→第一中間宿主:ケンミジンコ(プロセルコイド)→第二中間宿主:サクラマスやサケ(プレロセルコイド)→終宿主:ヒト、イヌ、ネコ、熊など(日本海裂頭条虫はヒト)。
感染経路:第二中間宿主であるサケやマスの生食。
検査:糞便検査による虫卵の検出。排泄された片節の組織学的検査。
治療:プラジカンテル、アミノサイジン。ガストログラフィン法、Damaso de Rivas法。
予防:サクラマスやサケの刺身やすしに注意。
分布:フィンランドの湖中心。または日本。
腸管内に寄生。
マンソン裂頭条虫
Spirometra erinacei
マンソン孤虫症:幼虫移行症の一つ。プレロセルコイドが組織内に寄生し、遊走性限局性皮膚腫瘤(周りに細胞浸潤や結合組織増生)が見られる。好酸球増加、IgEレベルの上昇。成虫寄生もまれだが報告例はある。 水中(虫卵からコラシジウム)→第一中間宿主:ケンミジンコ(プロセルコイド)→第二中間宿主:両生類(カエル)、爬虫類(蛇)、鳥類、哺乳類など。(プレロセルコイド)。ヒト(待機宿主)では幼虫移行症→終宿主:イヌ、ネコ、キツネ、トラなど 検査:試験的皮膚切開、Ouchterlony法、免疫電気泳動法など血清免疫学的検査。
治療:外科的摘出、プラジカンテル。
予防:カエル、ヘビ、ニワトリなどの生食を避ける。ミジンコのいそうな汚水の摂取を避ける。
孤虫症:裂頭条虫の幼虫(プレロセルコイド)が人体に寄生、その成虫が不明である(孤児)という意味で孤虫症と呼ばれた。
他に芽殖孤虫による芽殖孤虫症がある。マンソン孤虫と異なり体内で分裂増殖するため内臓にも侵襲し、治療は困難で致死的である。
プレロセルコイドを断面にして標本としてみると石灰小体が見える。
大複殖門条虫
Diplogonoporus grandis
小腸上部に寄生し、腹痛、下痢、食欲不振、全身倦怠感、悪心・嘔吐など消化器症状が多く見られる。 生活史:よくわかっていない。クジラから虫卵排泄→第一中間宿主:ケンミジンコ(実験的に1種類確認されたのみ)→第二中間宿主:イワシ、アジ、サバなどの小形群集魚と疑われている。 検査:糞便中の虫卵検出。自然排泄された虫体頭節や片節の形態、組織学的検索。
治療:広節裂頭条虫と同じ。
予防:感染源不明のため、現在は適当な予防法がない。
分布:日本特有と言われる。
円葉目 無鉤条虫
Taeniarhynchus saginatus
無鉤条虫症:空腸粘膜の軽炎症。普通は自覚がない。時に腹痛と体重減少便に混ざって排出されて気付くことが多い。 生活史:卵は片節とともに便に混じって外界へ出て、草などと共にウシに摂取されて、小腸にて六鉤幼虫が遊離する。横紋筋/細胞内で無鉤嚢尾虫になり、食肉でヒトへ感染。小腸にて嚢尾虫は嚢内の頭節を翻転して腸管粘膜に吸着する。
中間宿主:ウシ 終宿主:ヒト
検査:糞便検査による虫卵陽性率は少ない。セロファン肛門周囲検査法が試みられる。
治療:広節裂頭条虫と同じ。
予防:牛肉の充分な加熱。
分布:世界中
食習慣によりイスラム教徒に多い。
4〜6mにもなり、外界で片節自身が自動性をもつ。
有鉤条虫
Taenia solium
成虫寄生の場合は無鉤条虫症と同じ。
有鉤嚢尾虫症:幼虫寄生による。中枢神経、皮下、眼などに嚢虫形成。
生活史:卵は片節に入ったまま外界に出て、ブタに経口的に摂取される。小腸にて六鉤幼虫が遊離し、横紋筋で有鉤嚢尾虫に。これを食べてヒトに感染する。または、虫卵を食べて感染する。消化液で片節が消化されて、六鈎幼虫が小腸内で孵化すると、有鉤嚢尾虫が体内にて増殖、有鉤嚢虫尾症になる。また、成虫保有の場合、遊離した虫卵が腸管内で孵化した時自家感染が起こり、全身に六鈎幼虫が運ばれ、有鈎嚢尾虫による重感染が起こる。 検査:虫卵をセロファン肛門周囲検査法で検出。嚢虫症では免疫診断法、X線CTなど。
治療:無鈎条虫に同じ。ただしプラジカンテル、メベンダゾールは受胎節を融解させ自家感染を起こすので注意。有鈎嚢尾虫症は外科的摘出。
予防:豚肉の生食、不完全調理を避ける。
分布:世界中
食習慣によりヒンズー教徒、スラブ諸国民に多い。
成虫はヒトの小腸上部に、有鈎嚢尾虫は脳、眼、皮下、その他全身の臓器に寄生する。
無鉤条虫より短い(2〜3m)、運動性もなく、筋肉層が薄く内部を透視できる。
単包条虫
Echinococcus granulosus
包虫症
潜伏期:無症状(数年から数十年)
進行期:各臓器の包虫による嚢腫の圧迫症状。肝臓→肝腫大、黄疸。肺→咳、血痰。脳→脳腫瘍様症状。
生活史:中間宿主の小腸で六鉤条虫が遊離し、主に肝や腎、脾に到達して成長、包虫となり、この包虫を終宿主が摂取すると終宿主小腸にて7週で成虫になる。
中間宿主:ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ
終宿主:イヌ、キツネ、オオカミ
感染経路:終宿主から排出される虫卵を経口摂取。
検査:胞嚢が破れたときの包虫砂(包虫液内の感染能力のある頭節原基)の検出。酵素抗体法、補体結合法などの免疫学的診断法。穿刺生検は禁止(包虫液が腹腔にもれるとアナフィラキシーがおこるので)。他にX線、CTなど。
治療:外科的切除(内容液漏出をさける)メベンタゾール、プラジカンテル。
予防:終宿主、中間宿主の検索。食肉・食用獣検疫体制の強化。
分布:世界中。特に牧草、牧牛地帯。
単包条虫、多包条虫はエキノコッカス症(包虫症)の病原体。
多包条虫
Echinococcus multilocularis
単包条虫と同じ経過をたどり、肝や肺などに包虫形成(肝包虫症、肺包虫症)、発育するにつれて外生出芽により周囲組織を浸食しつつ拡大する。 生活史:虫卵が何らかのルートで中間宿主のノネズミ、ブタなどに摂食され、六鈎幼虫が多くは肝臓で包虫となり、外生出芽により増大、転移もおこる。これが終宿主に感染。
中間宿主:ネズミ、ヒト、ブタ
終宿主:イヌ、キツネ
感染経路:キタキツネ、イヌとの接触。汚染された飲み水。イチゴ、キノコなどの野生植物。
検査:問診、X線CTなど。単包条虫と同じ。
治療:単包条虫と同じ。
予防:ノネズミの撲滅など感染循環を断ち切ること。
分布:キツネの生息する高緯度地方。シベリア、アラスカ、カナダ、日本など。
小型条虫
Vampirolepis nana
腸絨毛の破壊による炎症、小潰瘍。
下痢、食欲不振
生活史:中間宿主を必要とせず、小腸で六鈎幼虫が孵化し、擬嚢尾虫から腸壁に吸着し成虫となる。自家感染も起こす。
感染経路:排出された虫卵の経口摂取。
中間宿主:なし。 終宿主:ネズミ、まれにヒト。
検査:糞便中の虫卵の検出。
治療:硫酸パロモマイシン、プラジカンテル。
予防:ネズミの駆除、清潔に保つ。
分布:世界中。特に温暖な地域。
瓜実条虫
Dipylidium caninum
一般に無症状。ときに食欲不振、腹痛、下痢、倦怠感。 虫卵をノミ、イヌハジラミなどが摂取。その体内で前擬嚢尾虫、擬嚢尾虫となる。この昆虫をヒトが経口摂取すると小腸で成虫となる。
終宿主:イヌ、ネコ
検査:糞便中の虫卵の検出。
治療:条虫症の治療と同じ。
予防:イヌ、ネコ、それらのノミの駆除。
分布:世界中。ペットブームによる人体症例の増加傾向。小児の感染率高い。

2.吸虫類

血管寄生 日本住血吸虫
Schistosoma japonicum
潜伏期:侵入部の皮膚炎。
急性期:腸毛細血管で虫卵塞栓をおこし、腸壁が壊死して腸管内へ脱落。粘血便、腸出血。発熱、腹痛。
慢性期:虫卵性肉芽腫が組織化して肝硬変→腹水、肺性心。他に脳障害。
生活史:
中間宿主:宮入貝。宮入貝の中ではスポロシスト。宮入貝でセルカリア産生、ヒトに経皮的に感染、血行性に門脈系(上腸間膜)静脈に定着して増殖。腸上皮脱落にて虫卵が排出されて、ミラシジウムが宮入貝に感染。
終宿主:ヒト、イヌ、ウシなど多くの哺乳類。
検査:糞便検査→直接塗抹法、集卵法(AMSV法)。免疫診断→COPT(虫卵と被検血清との間に起こる虫卵周囲沈降反応)。
治療:プラジカンテル
予防:流行地での川や湖での水との接触を避ける。
分布:中国、フィリピンなどアジア5カ国。日本では撲滅。
組織の虫卵塞栓部位では肉芽腫が形成される。これを虫卵結節という。
マンソン住血吸虫
Schitosoma mansoni
日本住血吸虫と同じだが産卵数が少ないため軽症。 中間宿主:Biomphalaria属
終宿主:ヒト、チンパンジーなど多くの哺乳類。
生活史、感染経路は日本住血吸虫と同じ。
日本住血吸虫に同じ。 分布:アフリカ、南米53カ国。
セルカリア皮膚炎→鳥類の住血吸虫セルカリアがヒトに侵入するときに見られる皮膚炎。
ビルハルツ住血吸虫
Schistosoma haematobium
尿路住血吸虫症→血尿。肺のうっ血性変化。好酸球増加。 中間宿主:Bulinus属
セルカリアは経皮感染した後血行性に膀胱、肛門動脈叢などに定着し、虫卵は尿とともに外界へ排出される。
検査:尿中に虫卵の検出。
後は日本住血吸虫に同じ。
分布:アフリカ、中近東52カ国。
膀胱癌の発生率高くなる。
消化管寄生 異形吸虫
@シーボルト異形吸虫
Heterophyes heterophyes
A有害異形吸虫
Heterophyes heterophyes nocens
粘膜のカタル性炎症→下痢
心臓異形吸虫症:虫卵が血行、リンパ行性に心、脳などに達し、心筋や心弁膜に障害。
@第一中間宿主:タテマキガイ 
第二中間宿主:ボラ
A第一中間宿主:ヘナタリ 
第二中間宿主:ボラ、メナダ、ハゼなど。
終宿主:ヒト
第二中間宿主にてメタセルカリアになって経口的にヒトの小腸に感染、1週間くらいで成虫になる。
検査:検便で虫卵の検出。
治療:カマラ、その後塩類下剤。プラジカンテル。
予防:ボラを生食しない。
分布:@ナイル河口地帯(汽水域)。
A日本、特に瀬戸内海沿岸。
生殖吸盤を有する。
横川吸虫
Metagonimus yokogawai
前述の異形吸虫症と同じ。下痢、腹痛など。 第一中間宿主:カワニナ
第二中間宿主:アユ、ヤマメなどの淡水、汽水魚
終宿主:ヒト、イヌ、ネコなど。第二中間宿主の生食によって感染。
検査:検便で虫卵の検出
治療:プラジカンテル
予防:淡水魚の充分な加熱(メタセルカリアの抵抗性が強い)
分布:アジアに広く分布。
生殖腹吸盤を有する。
組織寄生 肝蛭
Fasciola hepatica
虫体の肝通過に伴う肝実質の壊死、出血
胆管の病変により、
急性:黄疸、肝肥大、発熱、上腹部痛、嘔吐 
慢性:胆嚢症、肝硬変
水中(虫卵からミラシジウム)→第一中間宿主:モノアラガイ(セルカリア)→水草、牧草(メタセルカリア)→終宿主:ヒト、ウシ、ヒツジなど。 検査:検便、虫卵(AMS III法)好酸球増加。十二指腸ゾンデによる胆汁内容物の検鏡
治療:プラジカンテル
予防:水草、牧草の取扱いに注意。特にサラダに用いられるタガラシは感染源として注意する。  
分布:世界中。特にヒツジ、ウシなどの牧畜の盛んなところ。
2年以上寄生すると皮下、腹腔などに異所寄生も起こりうる。
肝吸虫
Clonorchis sinensis
胆管・胆嚢内に寄生し壊死、胆汁うっ滞から肝硬変となる。初期に食欲不振、発熱、下痢で慢性化し肝硬変が著名なら黄疸、貧血。 胆管を経て虫卵が外界へ→第一中間宿主:マメタニシ→第二中間宿主:コイ科の各種魚(筋肉内で被嚢してメタセルカリア)→これを終宿主:ヒト、イヌ、ネコが経口的に摂取して感染。 検査:集卵法による検便。十二指腸ゾンデによる胆汁中の虫卵の確認。
治療:プラジカンテル
予防:淡水魚の熱処理。
分布:日本、中国、韓国など極東に分布。
宮崎肺吸虫
Paragonimus miyazakii
虫体の肺膜穿通に伴う気胸・胸水の貯留。好酸球の増加。 第一中間宿主:ホラアナミジンニナ
第二中間宿主:サワガニ(心臓・血管内に)
終宿主:イタチ、イノシシ、イヌ、テン。
サワガニの生食によって感染。
検査:肺水からの虫卵の検出。免疫血清学的診断。
治療・予防はウェステルマン肺吸虫と同じ。
分布:日本各地。
ウェステルマン肺吸虫
Paragonimus westermanii
胸部肺吸虫症:肺実質の破壊、虫嚢腫の形成。限局性胸膜炎。咳やチョコレート色の血痰。
脳肺吸虫症:若年者にて。脳内への異所寄生による。ジャクソン型痙攣(てんかん)。
その他皮下や臓器に異所寄生。
第一中間宿主:カワニナ
第二中間宿主:モクズガニ、サワガニ
延長中間宿主:イノシシ
虫嚢腫内に虫卵が産出され、虫嚢腫内容液と共に痰として喀出、または嚥下されて糞便中に排出。水中などでミラシジウム、貝内でスポロジスト、第1,2代レジナを経過して、セルカリアとなる。貝をカニが食べてメタセルカリア形成。これがそのままヒトへまたはイノシシを介してヒトへ経口感染する。
検査:検便による集卵法(AMSV法)。VBS抽出抗原による皮内反応。
治療:プラジカンテル
予防:モクズガニ、サワガニ、イノシシの生食を避ける。
分布:東、東南、南アジアに広く分布。
体内移行:メタセルカリアが小腸で脱嚢→腸壁から腹腔、腹壁に筋内で1週間停滞→再び腹腔から横隔膜を通過、肺腔から肺実質へ→成熟・産卵
この間約二ヶ月。
染色体数が二倍体のものと三倍体のものがある。

線形動物 線虫類

消化管寄生 回虫
Ascaris lumbricoides
幼虫による病害:肝の繊維化、回虫性肺炎またはレフラー症候群(咳、発熱、呼吸困難、肺浸潤、好酸球増加)。
成虫による病害:腹痛、食欲不振、吐気、神経過敏、迷入による虫垂炎、胆道回虫症。
幼虫包蔵卵付着の野菜などによる経口感染→上部小腸で孵化→血行、リンパ行性に肺へ→気管系から小腸で成熟(胆道などへ迷入有り)→虫卵排出、幼虫包蔵卵へ
中間宿主無し。終宿主ヒト。
検査:検便(直接塗抹法、集卵法)。雄のみの寄生では虫卵は陰性。
治療:パモ酸ピランテル(コンバントリン)、ピペラジン。
予防:下水処理、集団検便、集団駆虫。
分布:熱帯・温帯など温暖で湿潤な地域に多い。
イヌ回虫症:イヌ回虫による幼虫移行症。肝臓、眼、その他臓器に移行。治療にはチアベンダゾール。
蟯虫
Enterobius vermicularis
肛門周囲のかゆみ(雌成虫の産卵のため)。虫垂に侵入し虫垂炎の誘因。小児ではかゆみのため、睡眠障害、神経過敏など。 手指、寝具、ちりなどによる経口感染→小腸にて孵化→盲腸にて成虫に発育→夜間に肛門まで下ってきて産卵し、死滅→かゆみのために掻きむしり、手から再び感染
中間宿主無し、終宿主:ヒト。
検査:セロファンテープによる肛門検査法。(三日連続)
治療:パモ酸ピランテル(コンバントリン)、アルベンダゾール
予防:爪を切って手指を清潔に。集団検査と集団駆虫。
分布:世界中の寒冷地や温暖な地方。水浴が多い熱帯ではむしろ少ない。
寄生は幼少児に多く見られる。
ズビニ鈎虫
Ancylostoma duodenale
鈎虫症:
皮膚炎→フィラリア型(F型)幼虫の皮膚侵入箇所に生じる。
若菜病→ズビニ鈎虫のF型幼虫の経口感染により起こる。咳、嘔吐、腹痛。
鈎虫性貧血→鈎虫が小腸粘膜から吸血するため。
他に成虫感染により爪の変形、異味症。
糞便から虫卵→ラブジチス型幼虫(R型幼虫)→第二期幼虫であるフィラリア幼虫(F型幼虫)が経口、ときに経皮的に感染→小腸で成熟、産卵。
終宿主:ヒト、ブタ
検査:浮遊法による虫卵の検出。
治療:コンバントリン
予防:生野菜生食の回避。処理、集団検便、駆虫。
分布:ヨーロッパ、アフリカ、アジア、南米など広範に存在。
二対の歯牙を有する。
アメリカ鈎虫
Necator americanus
第二期幼虫が経皮感染。血流、リンパにのって肺にて第三期幼虫となり気道を伝って小腸へ達し、成熟して産卵。
終宿主:ヒト
分布:世界中。
一対の歯板を有する。
東洋毛様線虫
Trichostrongylus orientalis
少数感染は無症状。
多数感染で下痢、腹痛、貧血(成虫の小腸粘膜刺入による吸血)
ズビニ鈎虫に似ていてヒトはF型幼虫を経口摂取し、体内移行せずに小腸で成熟。
終宿主:ヒツジ、ウマ、ヒト
検査、治療ともに鈎虫症と同じ。
予防:屎尿で汚染された野菜、漬物に注意。
分布:世界中。特に、中近東のラクダ、ヒツジなどは高率に感染。
虫卵は寒冷抵抗性高い。
鞭虫
Trichuris trichiura
少数感染は無症状。
多数感染で寄生部位の炎症、虫垂炎、下痢、貧血。
幼虫包蔵卵を経口的に摂取→小腸で孵化、発育→盲腸・結腸部に寄生→感染後三ヶ月で成熟、受精。 検査:検便(直接塗抹法、遠心沈殿法)。
治療:メベンダゾール。
予防:野菜の洗浄、手指の清潔。
分布:世界中。特に温暖な地域のヒトに感染。
糞線虫
Strongyloides stercoralis
F型幼虫:肺炎(肺を通過するため)レフラー症候群。
成虫:小腸粘膜のカタル性変化、びらん、浮腫、水様性下痢。
F型幼虫が経皮感染→血行性に肺、気管支を経て、小腸に至り、定着、成熟。産卵して、R型幼虫が腸内でできる。自家感染するか、そのまま糞便に混ざって出て、外界にて自由生活を行う。
終宿主:ヒト、イヌ、ネコ
検査:糞便中のR型幼虫の検出(多数感染)。糞便のろ紙培養によるF型幼虫検出。
治療:チアベンダゾール
予防:畑に屎尿をまかない。
分布:熱帯・亜熱帯の湿潤な地域。
アニサキス科
Anisakidae
幼虫移行症
急性腹症
アレルギー性好中球浸潤を伴う膿瘍・肉芽腫
第一中間宿主:オキアミ
延長中間宿主:サバ、スルメイカ
終宿主:クジラ、イルカ延長中間宿主を食べることで経口感染。
検査:二重造影法。モノクローナル抗体による抗原検出法。
治療:内視鏡による虫体摘出(胃)、開腹手術(腸)。 コンバントリン
予防:タラ、サバ、アジなどの生食に注意。
分布:海産魚を生食する北海沿岸諸国、日本など。
レネット細胞(排泄機能)
血管・組織寄生 バンクロフト糸状虫
Wuchereria bancrofti
急性期:熱発作(リンパ管炎を伴う)
慢性期:象皮病、陰嚢水腫(リンパ系閉塞、リンパのうっ滞、表皮・リンパ管の増殖)。乳糜尿(腎臓周囲のリンパ系の閉塞により、リンパ液が尿中に出てくる)。
仔虫は一般に無害だが強いアレルギー反応を起こすこともある→熱帯性肺好酸球増加症(喘息様症状)
中間宿主:アカイエカ(日本)、ネッタイイエカ
終宿主:ヒト。
中間宿主の吸血により感染し、リンパ系に寄生。
検査:指尖血で厚層塗抹標本のギムザ染色にて鏡顕。
治療:クエン酸ジエチルカルバマジン
分布:世界の熱帯、亜熱帯。
白濁した尿と乳糜尿と区別するには、尿に1/5容のエタノールを加えて振盪し、さらにエーテルを加えて振盪すると後者では透明になる。
回旋糸状虫
Onchocerca volvulus
虫体の周囲に肉芽組織形成(オンコセルカ腫瘤)。産出された仔虫が集積し害を以下の害をもたらす。
皮膚炎、眼病変→失明にいたる。
中間宿主:ブユ
終宿主:ヒト
ブユの吸血中感染幼虫が皮下へ。皮下で腫瘤形成。ブユは再び吸血の際に皮下の仔虫を取り込む。
検査:検皮法による仔虫の検出。腫瘤を見つける。マソッティ試験(ジエチルカルバマジンによってアレルギー反応が起こるかを見る)。
治療:アイバメクチン(仔虫殺虫)、ジエチルカルバマジン。腫瘤摘除術。
予防:ブユ撲滅。
分布:西アフリカから東アフリカ、ラテンアメリカ
有棘顎口虫
Gnathostoma spinigerum
顎口虫症:典型的な幼虫移行症
皮下組織通過に伴い、皮膚の線状爬行疹と移動性皮下腫瘤。中枢神経系や肝、肺などに迷入も。
第一中間宿主:ケンミジンコ
第二中間宿主:ライギョなど多くの魚類、両生類
待機宿主:大型淡水魚、ヘビ、ネズミなど。
終宿主:ネコ、イヌヒトへは第二中間宿主や待機宿主の生食によって感染し、そのまま成虫になれずに体内のあちこちを移動する。
検査:移動性の皮膚病変部位からの虫体の検出(切開)。移動性の皮膚病変+好酸球の増加。
治療:虫体の摘出。薬物は確立しておらず、一般的なチアベンダゾールなどが試みられている。
分布:タイ、ミャンマー、中国など主にアジア。
輸入ドジョウの踊り食い→剛棘顎口虫、マムシの生食(宮崎県)→ドロレス顎口虫、国産ドジョウの生食→日本顎口虫の感染が起こる。
広東住血線虫
Angiostrongylus cantonensis
幼虫が胃から血行性に中枢神経→くも膜下腔へ。虫体は脳内では肉芽腫に囲まれ、シャルコーライデン結晶、異物巨細胞が見られる。その後頭痛、嘔吐などの髄膜刺激症状。 中間宿主:アフリカマイマイ、ナメクジなど。
終宿主:ネズミ
感染幼虫を保有するナメクジ、マイマイの生食により感染する。
検査:髄液中の好酸球増加、二重拡散法など。幼若虫を検出すれば確実。
治療:チアベンダゾール。頭痛に対しては腰椎穿刺による髄液の排除。
予防:流行地の中間宿主やこれが触れた野菜類の生食や漬物を避ける。
分布:南太平洋の諸島、タイ、台湾、フィリピン、日本など広く分布。
外見上腸がらせん状に透視できる。
旋毛虫
Trichinella spiralis
第一期(潜伏期):腸粘膜のカタル性炎症、下痢。
第二期(急性期):発熱、顔面浮腫、発疹。(横紋筋内の幼虫は被嚢し筋細胞は破壊されている)
第三期(慢性期):浮腫が続き、悪液質や心筋炎や肺炎で死亡することも。(幼虫の被嚢完成期)
成虫はヒト、ブタ、イヌ、クマなどの小腸に寄生→幼虫産生→血行、リンパ行性に幼虫が横紋筋へ→他の宿主が筋内の幼虫を食べることで感染。
ヒトでは獣肉の生食、非加熱のハムやソーセージによる感染が多い。
検査:筋生検による幼虫の検出。二重拡散法、ラテックス凝集反応。
治療:メベンダゾール、チアベンダゾール
予防:獣肉(とくにクマ、ブタ)の生食を避ける。
分布:ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、中南米、タイ。

 

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