扁形動物 1.条虫類
虫名 | 症状 | 生活史・感染経路 | 検査法・予防・治療 | その他 | |
擬葉目 |
広節裂頭条虫(北欧原産) |
多い順から自然虫体排泄、下痢、腹痛など。 条虫貧血(条虫のビタミンB12の奪取による悪性貧血) |
生活史:水中(虫卵からコラシジウム)→第一中間宿主:ケンミジンコ(プロセルコイド)→第二中間宿主:サクラマスやサケ(プレロセルコイド)→終宿主:ヒト、イヌ、ネコ、熊など(日本海裂頭条虫はヒト)。 感染経路:第二中間宿主であるサケやマスの生食。 |
検査:糞便検査による虫卵の検出。排泄された片節の組織学的検査。 治療:プラジカンテル、アミノサイジン。ガストログラフィン法、Damaso de Rivas法。 予防:サクラマスやサケの刺身やすしに注意。 |
分布:フィンランドの湖中心。または日本。 腸管内に寄生。 |
マンソン裂頭条虫 Spirometra erinacei |
マンソン孤虫症:幼虫移行症の一つ。プレロセルコイドが組織内に寄生し、遊走性限局性皮膚腫瘤(周りに細胞浸潤や結合組織増生)が見られる。好酸球増加、IgEレベルの上昇。成虫寄生もまれだが報告例はある。 | 水中(虫卵からコラシジウム)→第一中間宿主:ケンミジンコ(プロセルコイド)→第二中間宿主:両生類(カエル)、爬虫類(蛇)、鳥類、哺乳類など。(プレロセルコイド)。ヒト(待機宿主)では幼虫移行症→終宿主:イヌ、ネコ、キツネ、トラなど | 検査:試験的皮膚切開、Ouchterlony法、免疫電気泳動法など血清免疫学的検査。 治療:外科的摘出、プラジカンテル。 予防:カエル、ヘビ、ニワトリなどの生食を避ける。ミジンコのいそうな汚水の摂取を避ける。 |
孤虫症:裂頭条虫の幼虫(プレロセルコイド)が人体に寄生、その成虫が不明である(孤児)という意味で孤虫症と呼ばれた。 他に芽殖孤虫による芽殖孤虫症がある。マンソン孤虫と異なり体内で分裂増殖するため内臓にも侵襲し、治療は困難で致死的である。 プレロセルコイドを断面にして標本としてみると石灰小体が見える。 |
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大複殖門条虫 Diplogonoporus grandis |
小腸上部に寄生し、腹痛、下痢、食欲不振、全身倦怠感、悪心・嘔吐など消化器症状が多く見られる。 | 生活史:よくわかっていない。クジラから虫卵排泄→第一中間宿主:ケンミジンコ(実験的に1種類確認されたのみ)→第二中間宿主:イワシ、アジ、サバなどの小形群集魚と疑われている。 | 検査:糞便中の虫卵検出。自然排泄された虫体頭節や片節の形態、組織学的検索。 治療:広節裂頭条虫と同じ。 予防:感染源不明のため、現在は適当な予防法がない。 |
分布:日本特有と言われる。 | |
円葉目 | 無鉤条虫 Taeniarhynchus saginatus |
無鉤条虫症:空腸粘膜の軽炎症。普通は自覚がない。時に腹痛と体重減少便に混ざって排出されて気付くことが多い。 | 生活史:卵は片節とともに便に混じって外界へ出て、草などと共にウシに摂取されて、小腸にて六鉤幼虫が遊離する。横紋筋/細胞内で無鉤嚢尾虫になり、食肉でヒトへ感染。小腸にて嚢尾虫は嚢内の頭節を翻転して腸管粘膜に吸着する。 中間宿主:ウシ 終宿主:ヒト |
検査:糞便検査による虫卵陽性率は少ない。セロファン肛門周囲検査法が試みられる。 治療:広節裂頭条虫と同じ。 予防:牛肉の充分な加熱。 |
分布:世界中 食習慣によりイスラム教徒に多い。 4〜6mにもなり、外界で片節自身が自動性をもつ。 |
有鉤条虫 Taenia solium |
成虫寄生の場合は無鉤条虫症と同じ。 有鉤嚢尾虫症:幼虫寄生による。中枢神経、皮下、眼などに嚢虫形成。 |
生活史:卵は片節に入ったまま外界に出て、ブタに経口的に摂取される。小腸にて六鉤幼虫が遊離し、横紋筋で有鉤嚢尾虫に。これを食べてヒトに感染する。または、虫卵を食べて感染する。消化液で片節が消化されて、六鈎幼虫が小腸内で孵化すると、有鉤嚢尾虫が体内にて増殖、有鉤嚢虫尾症になる。また、成虫保有の場合、遊離した虫卵が腸管内で孵化した時自家感染が起こり、全身に六鈎幼虫が運ばれ、有鈎嚢尾虫による重感染が起こる。 | 検査:虫卵をセロファン肛門周囲検査法で検出。嚢虫症では免疫診断法、X線CTなど。 治療:無鈎条虫に同じ。ただしプラジカンテル、メベンダゾールは受胎節を融解させ自家感染を起こすので注意。有鈎嚢尾虫症は外科的摘出。 予防:豚肉の生食、不完全調理を避ける。 |
分布:世界中 食習慣によりヒンズー教徒、スラブ諸国民に多い。 成虫はヒトの小腸上部に、有鈎嚢尾虫は脳、眼、皮下、その他全身の臓器に寄生する。 無鉤条虫より短い(2〜3m)、運動性もなく、筋肉層が薄く内部を透視できる。 |
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単包条虫 Echinococcus granulosus |
包虫症 潜伏期:無症状(数年から数十年) 進行期:各臓器の包虫による嚢腫の圧迫症状。肝臓→肝腫大、黄疸。肺→咳、血痰。脳→脳腫瘍様症状。 |
生活史:中間宿主の小腸で六鉤条虫が遊離し、主に肝や腎、脾に到達して成長、包虫となり、この包虫を終宿主が摂取すると終宿主小腸にて7週で成虫になる。 中間宿主:ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ 終宿主:イヌ、キツネ、オオカミ 感染経路:終宿主から排出される虫卵を経口摂取。 |
検査:胞嚢が破れたときの包虫砂(包虫液内の感染能力のある頭節原基)の検出。酵素抗体法、補体結合法などの免疫学的診断法。穿刺生検は禁止(包虫液が腹腔にもれるとアナフィラキシーがおこるので)。他にX線、CTなど。 治療:外科的切除(内容液漏出をさける)メベンタゾール、プラジカンテル。 予防:終宿主、中間宿主の検索。食肉・食用獣検疫体制の強化。 |
分布:世界中。特に牧草、牧牛地帯。 単包条虫、多包条虫はエキノコッカス症(包虫症)の病原体。 |
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多包条虫 Echinococcus multilocularis |
単包条虫と同じ経過をたどり、肝や肺などに包虫形成(肝包虫症、肺包虫症)、発育するにつれて外生出芽により周囲組織を浸食しつつ拡大する。 | 生活史:虫卵が何らかのルートで中間宿主のノネズミ、ブタなどに摂食され、六鈎幼虫が多くは肝臓で包虫となり、外生出芽により増大、転移もおこる。これが終宿主に感染。 中間宿主:ネズミ、ヒト、ブタ 終宿主:イヌ、キツネ 感染経路:キタキツネ、イヌとの接触。汚染された飲み水。イチゴ、キノコなどの野生植物。 |
検査:問診、X線CTなど。単包条虫と同じ。 治療:単包条虫と同じ。 予防:ノネズミの撲滅など感染循環を断ち切ること。 |
分布:キツネの生息する高緯度地方。シベリア、アラスカ、カナダ、日本など。 | |
小型条虫 Vampirolepis nana |
腸絨毛の破壊による炎症、小潰瘍。 下痢、食欲不振 |
生活史:中間宿主を必要とせず、小腸で六鈎幼虫が孵化し、擬嚢尾虫から腸壁に吸着し成虫となる。自家感染も起こす。 感染経路:排出された虫卵の経口摂取。 中間宿主:なし。 終宿主:ネズミ、まれにヒト。 |
検査:糞便中の虫卵の検出。 治療:硫酸パロモマイシン、プラジカンテル。 予防:ネズミの駆除、清潔に保つ。 |
分布:世界中。特に温暖な地域。 | |
瓜実条虫 Dipylidium caninum |
一般に無症状。ときに食欲不振、腹痛、下痢、倦怠感。 | 虫卵をノミ、イヌハジラミなどが摂取。その体内で前擬嚢尾虫、擬嚢尾虫となる。この昆虫をヒトが経口摂取すると小腸で成虫となる。 終宿主:イヌ、ネコ |
検査:糞便中の虫卵の検出。 治療:条虫症の治療と同じ。 予防:イヌ、ネコ、それらのノミの駆除。 |
分布:世界中。ペットブームによる人体症例の増加傾向。小児の感染率高い。 |
2.吸虫類
血管寄生 | 日本住血吸虫 Schistosoma japonicum |
潜伏期:侵入部の皮膚炎。 急性期:腸毛細血管で虫卵塞栓をおこし、腸壁が壊死して腸管内へ脱落。粘血便、腸出血。発熱、腹痛。 慢性期:虫卵性肉芽腫が組織化して肝硬変→腹水、肺性心。他に脳障害。 |
生活史: 中間宿主:宮入貝。宮入貝の中ではスポロシスト。宮入貝でセルカリア産生、ヒトに経皮的に感染、血行性に門脈系(上腸間膜)静脈に定着して増殖。腸上皮脱落にて虫卵が排出されて、ミラシジウムが宮入貝に感染。 終宿主:ヒト、イヌ、ウシなど多くの哺乳類。 |
検査:糞便検査→直接塗抹法、集卵法(AMSV法)。免疫診断→COPT(虫卵と被検血清との間に起こる虫卵周囲沈降反応)。 治療:プラジカンテル 予防:流行地での川や湖での水との接触を避ける。 |
分布:中国、フィリピンなどアジア5カ国。日本では撲滅。 組織の虫卵塞栓部位では肉芽腫が形成される。これを虫卵結節という。 |
マンソン住血吸虫 Schitosoma mansoni |
日本住血吸虫と同じだが産卵数が少ないため軽症。 | 中間宿主:Biomphalaria属 終宿主:ヒト、チンパンジーなど多くの哺乳類。 生活史、感染経路は日本住血吸虫と同じ。 |
日本住血吸虫に同じ。 | 分布:アフリカ、南米53カ国。 セルカリア皮膚炎→鳥類の住血吸虫セルカリアがヒトに侵入するときに見られる皮膚炎。 |
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ビルハルツ住血吸虫 Schistosoma haematobium |
尿路住血吸虫症→血尿。肺のうっ血性変化。好酸球増加。 | 中間宿主:Bulinus属 セルカリアは経皮感染した後血行性に膀胱、肛門動脈叢などに定着し、虫卵は尿とともに外界へ排出される。 |
検査:尿中に虫卵の検出。 後は日本住血吸虫に同じ。 |
分布:アフリカ、中近東52カ国。 膀胱癌の発生率高くなる。 |
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消化管寄生 | 異形吸虫 @シーボルト異形吸虫 Heterophyes heterophyes A有害異形吸虫 Heterophyes heterophyes nocens |
粘膜のカタル性炎症→下痢 心臓異形吸虫症:虫卵が血行、リンパ行性に心、脳などに達し、心筋や心弁膜に障害。 |
@第一中間宿主:タテマキガイ 第二中間宿主:ボラ A第一中間宿主:ヘナタリ 第二中間宿主:ボラ、メナダ、ハゼなど。 終宿主:ヒト 第二中間宿主にてメタセルカリアになって経口的にヒトの小腸に感染、1週間くらいで成虫になる。 |
検査:検便で虫卵の検出。 治療:カマラ、その後塩類下剤。プラジカンテル。 予防:ボラを生食しない。 |
分布:@ナイル河口地帯(汽水域)。 A日本、特に瀬戸内海沿岸。 生殖吸盤を有する。 |
横川吸虫 Metagonimus yokogawai |
前述の異形吸虫症と同じ。下痢、腹痛など。 | 第一中間宿主:カワニナ 第二中間宿主:アユ、ヤマメなどの淡水、汽水魚 終宿主:ヒト、イヌ、ネコなど。第二中間宿主の生食によって感染。 |
検査:検便で虫卵の検出 治療:プラジカンテル 予防:淡水魚の充分な加熱(メタセルカリアの抵抗性が強い) |
分布:アジアに広く分布。 生殖腹吸盤を有する。 |
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組織寄生 | 肝蛭 Fasciola hepatica |
虫体の肝通過に伴う肝実質の壊死、出血 胆管の病変により、 急性:黄疸、肝肥大、発熱、上腹部痛、嘔吐 慢性:胆嚢症、肝硬変 |
水中(虫卵からミラシジウム)→第一中間宿主:モノアラガイ(セルカリア)→水草、牧草(メタセルカリア)→終宿主:ヒト、ウシ、ヒツジなど。 | 検査:検便、虫卵(AMS III法)好酸球増加。十二指腸ゾンデによる胆汁内容物の検鏡 治療:プラジカンテル 予防:水草、牧草の取扱いに注意。特にサラダに用いられるタガラシは感染源として注意する。 |
分布:世界中。特にヒツジ、ウシなどの牧畜の盛んなところ。 2年以上寄生すると皮下、腹腔などに異所寄生も起こりうる。 |
肝吸虫 Clonorchis sinensis |
胆管・胆嚢内に寄生し壊死、胆汁うっ滞から肝硬変となる。初期に食欲不振、発熱、下痢で慢性化し肝硬変が著名なら黄疸、貧血。 | 胆管を経て虫卵が外界へ→第一中間宿主:マメタニシ→第二中間宿主:コイ科の各種魚(筋肉内で被嚢してメタセルカリア)→これを終宿主:ヒト、イヌ、ネコが経口的に摂取して感染。 | 検査:集卵法による検便。十二指腸ゾンデによる胆汁中の虫卵の確認。 治療:プラジカンテル 予防:淡水魚の熱処理。 |
分布:日本、中国、韓国など極東に分布。 | |
宮崎肺吸虫 Paragonimus miyazakii |
虫体の肺膜穿通に伴う気胸・胸水の貯留。好酸球の増加。 | 第一中間宿主:ホラアナミジンニナ 第二中間宿主:サワガニ(心臓・血管内に) 終宿主:イタチ、イノシシ、イヌ、テン。 サワガニの生食によって感染。 |
検査:肺水からの虫卵の検出。免疫血清学的診断。 治療・予防はウェステルマン肺吸虫と同じ。 |
分布:日本各地。 | |
ウェステルマン肺吸虫 Paragonimus westermanii |
胸部肺吸虫症:肺実質の破壊、虫嚢腫の形成。限局性胸膜炎。咳やチョコレート色の血痰。 脳肺吸虫症:若年者にて。脳内への異所寄生による。ジャクソン型痙攣(てんかん)。 その他皮下や臓器に異所寄生。 |
第一中間宿主:カワニナ 第二中間宿主:モクズガニ、サワガニ 延長中間宿主:イノシシ 虫嚢腫内に虫卵が産出され、虫嚢腫内容液と共に痰として喀出、または嚥下されて糞便中に排出。水中などでミラシジウム、貝内でスポロジスト、第1,2代レジナを経過して、セルカリアとなる。貝をカニが食べてメタセルカリア形成。これがそのままヒトへまたはイノシシを介してヒトへ経口感染する。 |
検査:検便による集卵法(AMSV法)。VBS抽出抗原による皮内反応。 治療:プラジカンテル 予防:モクズガニ、サワガニ、イノシシの生食を避ける。 |
分布:東、東南、南アジアに広く分布。 体内移行:メタセルカリアが小腸で脱嚢→腸壁から腹腔、腹壁に筋内で1週間停滞→再び腹腔から横隔膜を通過、肺腔から肺実質へ→成熟・産卵 この間約二ヶ月。 染色体数が二倍体のものと三倍体のものがある。 |
線形動物 線虫類
消化管寄生 | 回虫 Ascaris lumbricoides |
幼虫による病害:肝の繊維化、回虫性肺炎またはレフラー症候群(咳、発熱、呼吸困難、肺浸潤、好酸球増加)。 成虫による病害:腹痛、食欲不振、吐気、神経過敏、迷入による虫垂炎、胆道回虫症。 |
幼虫包蔵卵付着の野菜などによる経口感染→上部小腸で孵化→血行、リンパ行性に肺へ→気管系から小腸で成熟(胆道などへ迷入有り)→虫卵排出、幼虫包蔵卵へ 中間宿主無し。終宿主ヒト。 |
検査:検便(直接塗抹法、集卵法)。雄のみの寄生では虫卵は陰性。 治療:パモ酸ピランテル(コンバントリン)、ピペラジン。 予防:下水処理、集団検便、集団駆虫。 |
分布:熱帯・温帯など温暖で湿潤な地域に多い。 イヌ回虫症:イヌ回虫による幼虫移行症。肝臓、眼、その他臓器に移行。治療にはチアベンダゾール。 |
蟯虫 Enterobius vermicularis |
肛門周囲のかゆみ(雌成虫の産卵のため)。虫垂に侵入し虫垂炎の誘因。小児ではかゆみのため、睡眠障害、神経過敏など。 | 手指、寝具、ちりなどによる経口感染→小腸にて孵化→盲腸にて成虫に発育→夜間に肛門まで下ってきて産卵し、死滅→かゆみのために掻きむしり、手から再び感染 中間宿主無し、終宿主:ヒト。 |
検査:セロファンテープによる肛門検査法。(三日連続) 治療:パモ酸ピランテル(コンバントリン)、アルベンダゾール 予防:爪を切って手指を清潔に。集団検査と集団駆虫。 |
分布:世界中の寒冷地や温暖な地方。水浴が多い熱帯ではむしろ少ない。 寄生は幼少児に多く見られる。 |
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ズビニ鈎虫 Ancylostoma duodenale |
鈎虫症: 皮膚炎→フィラリア型(F型)幼虫の皮膚侵入箇所に生じる。 若菜病→ズビニ鈎虫のF型幼虫の経口感染により起こる。咳、嘔吐、腹痛。 鈎虫性貧血→鈎虫が小腸粘膜から吸血するため。 他に成虫感染により爪の変形、異味症。 |
糞便から虫卵→ラブジチス型幼虫(R型幼虫)→第二期幼虫であるフィラリア幼虫(F型幼虫)が経口、ときに経皮的に感染→小腸で成熟、産卵。 終宿主:ヒト、ブタ |
検査:浮遊法による虫卵の検出。 治療:コンバントリン 予防:生野菜生食の回避。処理、集団検便、駆虫。 |
分布:ヨーロッパ、アフリカ、アジア、南米など広範に存在。 二対の歯牙を有する。 |
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アメリカ鈎虫 Necator americanus |
第二期幼虫が経皮感染。血流、リンパにのって肺にて第三期幼虫となり気道を伝って小腸へ達し、成熟して産卵。 終宿主:ヒト |
分布:世界中。 一対の歯板を有する。 |
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東洋毛様線虫 Trichostrongylus orientalis |
少数感染は無症状。 多数感染で下痢、腹痛、貧血(成虫の小腸粘膜刺入による吸血) |
ズビニ鈎虫に似ていてヒトはF型幼虫を経口摂取し、体内移行せずに小腸で成熟。 終宿主:ヒツジ、ウマ、ヒト |
検査、治療ともに鈎虫症と同じ。 予防:屎尿で汚染された野菜、漬物に注意。 |
分布:世界中。特に、中近東のラクダ、ヒツジなどは高率に感染。 虫卵は寒冷抵抗性高い。 |
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鞭虫 Trichuris trichiura |
少数感染は無症状。 多数感染で寄生部位の炎症、虫垂炎、下痢、貧血。 |
幼虫包蔵卵を経口的に摂取→小腸で孵化、発育→盲腸・結腸部に寄生→感染後三ヶ月で成熟、受精。 | 検査:検便(直接塗抹法、遠心沈殿法)。 治療:メベンダゾール。 予防:野菜の洗浄、手指の清潔。 |
分布:世界中。特に温暖な地域のヒトに感染。 | |
糞線虫 Strongyloides stercoralis |
F型幼虫:肺炎(肺を通過するため)レフラー症候群。 成虫:小腸粘膜のカタル性変化、びらん、浮腫、水様性下痢。 |
F型幼虫が経皮感染→血行性に肺、気管支を経て、小腸に至り、定着、成熟。産卵して、R型幼虫が腸内でできる。自家感染するか、そのまま糞便に混ざって出て、外界にて自由生活を行う。 終宿主:ヒト、イヌ、ネコ |
検査:糞便中のR型幼虫の検出(多数感染)。糞便のろ紙培養によるF型幼虫検出。 治療:チアベンダゾール 予防:畑に屎尿をまかない。 |
分布:熱帯・亜熱帯の湿潤な地域。 | |
アニサキス科 Anisakidae |
幼虫移行症 急性腹症 アレルギー性好中球浸潤を伴う膿瘍・肉芽腫 |
第一中間宿主:オキアミ 延長中間宿主:サバ、スルメイカ 終宿主:クジラ、イルカ延長中間宿主を食べることで経口感染。 |
検査:二重造影法。モノクローナル抗体による抗原検出法。 治療:内視鏡による虫体摘出(胃)、開腹手術(腸)。 コンバントリン 予防:タラ、サバ、アジなどの生食に注意。 |
分布:海産魚を生食する北海沿岸諸国、日本など。 レネット細胞(排泄機能) |
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血管・組織寄生 | バンクロフト糸状虫 Wuchereria bancrofti |
急性期:熱発作(リンパ管炎を伴う) 慢性期:象皮病、陰嚢水腫(リンパ系閉塞、リンパのうっ滞、表皮・リンパ管の増殖)。乳糜尿(腎臓周囲のリンパ系の閉塞により、リンパ液が尿中に出てくる)。 仔虫は一般に無害だが強いアレルギー反応を起こすこともある→熱帯性肺好酸球増加症(喘息様症状) |
中間宿主:アカイエカ(日本)、ネッタイイエカ 終宿主:ヒト。 中間宿主の吸血により感染し、リンパ系に寄生。 |
検査:指尖血で厚層塗抹標本のギムザ染色にて鏡顕。 治療:クエン酸ジエチルカルバマジン |
分布:世界の熱帯、亜熱帯。 白濁した尿と乳糜尿と区別するには、尿に1/5容のエタノールを加えて振盪し、さらにエーテルを加えて振盪すると後者では透明になる。 |
回旋糸状虫 Onchocerca volvulus |
虫体の周囲に肉芽組織形成(オンコセルカ腫瘤)。産出された仔虫が集積し害を以下の害をもたらす。 皮膚炎、眼病変→失明にいたる。 |
中間宿主:ブユ 終宿主:ヒト ブユの吸血中感染幼虫が皮下へ。皮下で腫瘤形成。ブユは再び吸血の際に皮下の仔虫を取り込む。 |
検査:検皮法による仔虫の検出。腫瘤を見つける。マソッティ試験(ジエチルカルバマジンによってアレルギー反応が起こるかを見る)。 治療:アイバメクチン(仔虫殺虫)、ジエチルカルバマジン。腫瘤摘除術。 予防:ブユ撲滅。 |
分布:西アフリカから東アフリカ、ラテンアメリカ | |
有棘顎口虫 Gnathostoma spinigerum |
顎口虫症:典型的な幼虫移行症 皮下組織通過に伴い、皮膚の線状爬行疹と移動性皮下腫瘤。中枢神経系や肝、肺などに迷入も。 |
第一中間宿主:ケンミジンコ 第二中間宿主:ライギョなど多くの魚類、両生類 待機宿主:大型淡水魚、ヘビ、ネズミなど。 終宿主:ネコ、イヌヒトへは第二中間宿主や待機宿主の生食によって感染し、そのまま成虫になれずに体内のあちこちを移動する。 |
検査:移動性の皮膚病変部位からの虫体の検出(切開)。移動性の皮膚病変+好酸球の増加。 治療:虫体の摘出。薬物は確立しておらず、一般的なチアベンダゾールなどが試みられている。 |
分布:タイ、ミャンマー、中国など主にアジア。 輸入ドジョウの踊り食い→剛棘顎口虫、マムシの生食(宮崎県)→ドロレス顎口虫、国産ドジョウの生食→日本顎口虫の感染が起こる。 |
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広東住血線虫 Angiostrongylus cantonensis |
幼虫が胃から血行性に中枢神経→くも膜下腔へ。虫体は脳内では肉芽腫に囲まれ、シャルコーライデン結晶、異物巨細胞が見られる。その後頭痛、嘔吐などの髄膜刺激症状。 | 中間宿主:アフリカマイマイ、ナメクジなど。 終宿主:ネズミ 感染幼虫を保有するナメクジ、マイマイの生食により感染する。 |
検査:髄液中の好酸球増加、二重拡散法など。幼若虫を検出すれば確実。 治療:チアベンダゾール。頭痛に対しては腰椎穿刺による髄液の排除。 予防:流行地の中間宿主やこれが触れた野菜類の生食や漬物を避ける。 |
分布:南太平洋の諸島、タイ、台湾、フィリピン、日本など広く分布。 外見上腸がらせん状に透視できる。 |
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旋毛虫 Trichinella spiralis |
第一期(潜伏期):腸粘膜のカタル性炎症、下痢。 第二期(急性期):発熱、顔面浮腫、発疹。(横紋筋内の幼虫は被嚢し筋細胞は破壊されている) 第三期(慢性期):浮腫が続き、悪液質や心筋炎や肺炎で死亡することも。(幼虫の被嚢完成期) |
成虫はヒト、ブタ、イヌ、クマなどの小腸に寄生→幼虫産生→血行、リンパ行性に幼虫が横紋筋へ→他の宿主が筋内の幼虫を食べることで感染。 ヒトでは獣肉の生食、非加熱のハムやソーセージによる感染が多い。 |
検査:筋生検による幼虫の検出。二重拡散法、ラテックス凝集反応。 治療:メベンダゾール、チアベンダゾール 予防:獣肉(とくにクマ、ブタ)の生食を避ける。 |
分布:ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、中南米、タイ。 |
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