病理学 平成14年度本試験

一病理
1 次の事項について略述せよ
(1)再還流障害
 交感神経緊張亢進のため血管が収縮して血流量が一時的に減ったあと(虚血)、解放されたとたん血流がもどり(再還流)、そこに大量の酸素が流れて活性酸素が発生する。その繰り返しにより体の中に産生される活性酸素の量が増えて組織障害の原因となる。これを再還流障害という

(2)白血球血管内皮細胞の好中球遊走の多段階モデル
 内皮表面を白血球が転がり互いの接着分子が活性化され外に出る

(3)線維素性炎症の転帰
 線維素性炎症になるとフィブリンの析出が観察され、長引くと器質化を起こし不可逆的に臓器の機能を障害する。フィブリンによる膜を偽膜という。

(4)奇異性塞栓症
 心臓に中隔欠損、卵円孔開存等が存在すると、体循環系の静脈に生じた塞栓は肺循環系を通過せず欠損孔を通り直接大動脈に入り体循環系の臓器に塞栓を生じる。

(5)浮腫の原因とメカニズム
 原因;局所的には毛細血管浸透圧亢進、毛細血管圧上昇、血漿膠質浸透圧低下、全身性としてはNaを主体とする電解質バランスが挙げられる
 メカニズム;血漿浸透圧の低下により血液成分が漏出するのが主流かと。

2 次の文章の( )を埋めなさい
(1)血管内皮細胞の生物学的特長は( )( )( )である(過去問参照)

(2)組織内の血液増加は炎症時は( )と呼ばれ、右心不全の場合は( )と呼ばれる
 血流停滞、肝うっ血

(3)トロンビンの作用は( )( )( )である
 フィブリン生成、線溶系活性化、血小板凝集と放出

(4)止血の順序( )( )( )
 血小板凝集による一時的止血血栓
 内因系、外因系によりX因子が活性化されトロンビンができる
 フィブリン形成

(5)出血の影響は局所的には( )、全身性には( )( )( )がある
 血腫形成、全身血管の収縮、貯血臓器の収縮、組織液の血管内吸収

(6)血栓の分類( )×4(過去問と同じ)

(7)血栓の器質化、再疎通について( )×2(過去問と同じ)

(8)血管新生の際、内皮細胞は( )、前駆細胞は( )をする
 内皮細胞は炎症細胞を血管外遊走させる、前駆細胞は新しい血管を作るよう活性化する

(9)炎症接着蛋白の発現機構はPセレクチンが( )、E、LセレクチンとV−CAMが( )、インテグリンが( )である
 ???よくわかりません

(10)慢性炎症リウマチに伴う肺病変には( )×3がある
間質性肺炎、胸膜炎、肺線維症?

3 次の文章について正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい
(1)肺水腫(過去問と同じ)

(2)出血性梗塞(過去問と同じ)

(3)塞栓症の原因?
血液と共に流れてきた物質で血管腔が閉塞され起こる

(4)深在性化膿性炎の種類?
 よくわからないです

(5)接着蛋白は白血球の種類に特異的である ○

(6)敗血症によって起こる症状?
 敗血症とは感染症により免疫担当細胞、炎症細胞がサイトカインを生じ血中を循環し、全身性炎症反応を引き起こした状態

(7)白血球の動きケモカイネシスとケモタキシス(過去問とおんなじ)

(8)T型アレルギーについて(過去問と同じ)

(9)バセドウ病?
 甲状腺機能亢進症。自己免疫疾患であり、組織学的には濾胞の大小不均一化、Hurthle細胞の出現、甲状腺実質の繊維化等が観察される

(10)シェーグレン症候群
 唾液腺や涙腺等の外分泌腺にリンパ、形質細胞浸潤が観察され、リンパ濾胞の形成を伴い、腺組織の萎縮、繊維化が見られる。乾燥性角結膜炎、口内乾燥、膠原病の合併を三主徴とする

2病理
1 癌の浸潤と転移を病理組織形態と分子生物学の両面から述べよ
 すいません、この問題は出題者が何を求めているのかが解りません
 癌の浸潤・転移といった癌特有の悪性形質は、癌細胞とそれをとり囲む宿主間質細胞とその相互作用によって付与される。多くの癌細胞は各種HGF誘導因子を分泌して間質細胞のHGF産生を高める一方、間質由来のHGFは癌細胞のHGFレセプターの活性化を介して浸潤・転移を促す。組織形態としてはまず上皮基底膜を破壊し間質に浸潤し、リンパ管を介し他の組織へと転移する

2 次の事項に関して略述せよ
(1)癌抑制遺伝子
 癌遺伝子の発現を抑制する遺伝子。

(2)手根管症候群?
 手根管症候群は手関節で横手根靱帯の下に走行している正中神経が圧迫されるために生じるもので、感覚、運動、さらに自律神経障害による症状が出現する

(3)フリーラジカル
 酸素、過酸化物、放射線等が原因で生じる遊離基

(4)皮膚の創傷治癒過程
 上皮被覆を示す一次癒合と肉芽により補填され瘢痕を残す二次癒合がある。まず創傷面に血液成分が滲出し凝固する。次に線維芽細胞や毛細血管内皮細胞が増殖して肉芽組織を形成し、周囲の上皮が細胞増殖し再生上皮を作る。最後に肉芽組織が膠原線維と置き換わる

(5)肥大と過形成の違い
 肥大は細胞の大きさが増し、過形成は細胞数が増加する。

(6)癌の多段階発生
 癌は様々な原因が重なり多段階的に発生する

(7)小児と成人に好発する軟部肉腫を各々二つずつ
 小児;先天性線維肉腫、横紋筋肉腫
 成人;成人型線維肉腫、平滑筋肉腫

(8)リンパ管内蔓延
 腫瘍細胞がリンパ管内を満たしながら連続性に増殖する現象

(9)アポトーシス
 プログラムされた細胞死

(10)特異的なキメラ細胞を持つ軟部肉腫とその遺伝子を列挙せよ
 蜂巣型横紋筋肉腫 PAX3-FKHR、PAX7-FKHR

(11)in situ hybridizatiom
 in situ で編成変性させた染色体DNAに対し標識DNAプローブをハイブリダイズさせてあるDNA配列や遺伝子が染色体のどの位置にあるかを決定する手法

(12)石灰転移
 高カルシウム血症の結果組織に石灰沈着を起こす現象。

(13)閉塞性黄疸
 胆管が障害され閉塞して起こる黄疸。胆汁が逆流し、血中抱合型ビリルビンが増加。毛細胆管に胆汁の貯留、胆栓形成を見ることができる

(14)乾酪壊死
 結核性の変化で、好中球が少なく脂肪酸により分解が抑制された壊死組織が特有のチーズ状の色と硬さを呈するようになったもの

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