薬理学 平成11年度 本試験

1.次の2組の文章には1(a.正、b.正)2(a.正、b.誤)3(a.誤、b.正)4(a.誤、b.誤)がある。
 正解の番号を解答欄に記入せよ。
…問題は忘れたけど、ほとんど過去問(平成10年度本試験など)通りだったと思う。
(平成10年度本試験T,平成9年度追試験Tなどを参照)


2.( )内に適当な語句を挿入せよ。
中枢薬理の穴埋め問題、26問。


3.抗喘息薬を作用機序によって分類し、それぞれ1つずつ例を挙げて説明せよ。
・気管支拡張薬
   テオフィリン:PDE阻害作用により気管支平滑筋を弛緩。
   プロカテロール:β2受容体作用によって気管支平滑筋を弛緩。
・ケミカルメディエーター遊離抑制薬
   クロモグリク酸:気管支粘膜の肥満細胞からのヒスタミンなどのケミカルメディエーターの
遊離抑制作用により発作を予防。
・抗ヒスタミン薬
   テルフェナジン:抗ヒスタミン作用によりケミカルメディエーターの遊離抑制。
・抗コリン薬
   イプラトロピウム
・コルチコステロイド
   ベクロメタゾン:局所へのTリンパ球、マクロファージ、好酸球の滲出抑制。
・去痰薬:気管支内の喀痰を薄めて喀出を容易にして咳を抑制
・抗トロンボキサン薬
   オザグレル
・抗ロイコトリエン薬
   プランルカスト
・Th2サイトカイン阻害薬
   スプラタスト


4.ホルモンについての記号選択問題(5問)
(平成9年度追試Xを参照)


(5、6はいずれか1問を選択)
5.高血圧治療薬について、Ca拮抗薬、交感神経系作用薬・阻害薬、降圧利尿薬の利点と欠点を挙げ、説明せよ。

高血圧治療薬 利点 欠点
Ca拮抗薬 年齢・レニン活性・交感神経活性に関係なく強力な降圧作用。代謝面の悪影響がない。動脈硬化の伸展阻止作用。 顔面紅潮、動悸、頭痛、便秘、下肢の浮腫、歯肉炎などを生ずる。脳・心血管系合併症を発症する可能性。
交感神経系作用薬   副交感神経優位となるため、鼻閉、下痢傾向、起立性低血圧を生じたり、カテコラミンの枯渇からうつ状態、Parkinson症候群をきたすことがある。
降圧利尿薬 1日1回の投与で軽・中等症高血圧患者の約60%に有意な降圧をもたらす。急激に降圧させることなく、重篤な副作用がない。Naや水貯留を除去する。他薬と併用しやすい。安価。 低K血症の他、糖や脂質代謝に悪影響を与える。血清尿酸値を上昇させて痛風を生じやすい。血液凝縮により血栓を生じやすい。

6.不整脈の発生機序を3つに分けて述べ、それぞれに対する薬の例を挙げ、その作用機序を述べよ。
○刺激生成の異常
・プロプラノール:β1受容体拮抗薬で第4相の抑制
・キニジン:Naチャネル阻害薬で活動電位閾値の増加
○興奮伝導の異常
・ベラパミル:Caチャネル阻害薬で不活性化からの回復遅延
・アミオダロン:Kチャネル阻害薬で活動電位の持続時間延長
○上記2つの機序が同時に発生

7.強心薬を作用機序によって分類し、それぞれ2つ例を挙げて説明せよ。
○Na-K ATPase阻害薬:ジギトキシン・ジゴキシン
Na,K-ATPaseを阻害。細胞内Na濃度が上昇すると、普段はCaイオン1つをくみ出し、Naイオン3,4つを取り込むNa/Ca exchangeが逆に働き、Naを排出してCaが流入する。こうして細胞内Ca濃度が上昇するために、心収縮力が上昇する。
○PDE阻害薬:アムリノン
cAMP分解酵素であるPDE活性の抑制により、細胞内cAMPが増加。これによりCa storeからのCa releaseが増加するので収縮力が増強。
○アドレナリンβ受容体作用薬:ドブタミン・ドパミン
β1受容体を刺激して心収縮力の増強。
○Ca感受性増強薬:ピモベンダン
収縮蛋白のCaに対する感受性を増強して収縮力を回復。
○血管拡張薬:ニトロプルシド・ヒドラジン
前負荷・後負荷を軽減し、仕事量を減らすことで心筋酸素需要を減少させる。

8.免疫抑制剤CyclosporinAおよびFK506の作用機序を、以下の言葉を使用して説明せよ。
(T細胞、NFATの細胞質内画分、脱リン酸化、phosphatase活性、calucineurin、FKBP、TCR、cyclophillin、核内移行)
T細胞受容体であるTCRが刺激されると、phosphatase活性によりPIレスポンスが亢進し、Ca storeからCaがreleaseされ、細胞内Ca濃度が増加。このCaとカルモジュリンによってcalucineurinが活性化される。
また、細胞質中でリン酸化された状態のNF-ATc(IL-2遺伝子の転写因子)は核内に移行できないが、calucineurinで脱リン酸化されることで核内移行し、IL-2遺伝子などの転写活性を上げる。
シクロスポリンはT細胞内のcyclophillinと複合体を形成し、NFATの核内移行を阻害し、FK506はFKBPと結合して同様の働きを示すことでIL-2蛋白の産生を阻害する。

9.排尿に関わるreceptorを2つ挙げ、agonist、antagonist、細胞内情報伝達も含めて説明せよ。
○V2受容体:agonist;ADH antagonist;
cAMP依存性プロテインキナーゼによりリン酸化され活性化するとともに、exocytosisにより細胞膜の水チャネルが増加する。
○鉱質ステロイドホルモン受容体:agonist;アルドステロン antagonist;
受容体にagonistが結合し複合体を形成すると、転写が起き蛋白質に翻訳される。この蛋白が尿細管腔側膜のNaチャネルを開き、細胞内へのNa流入を増加させ、側底膜側のNa-K ATPaseを活性化。

10.今年、避妊薬としての低用量ピルが解禁となったが、ピルはエストロゲンとプロゲステロンとの合剤である。その作用機序を述べよ。
 視床下部−下垂体系に作用しGnRH、ゴナドトロピンの分泌を抑制して排卵を抑制するのが主な避妊機序であるが、子宮頸管の精子侵入障害、卵管の胚輸送障害、子宮内膜の着床障害も妊娠を阻害するのに役立つ。

11.消化器についての問題
1)刺激性下剤の種類を1つ挙げ、その作用機序についても述べよ。
  ヒマシ油:リパーゼによりリシノール酸とグリセリンに分解され、リシノール酸は蠕動促進。
グリセリンは粘滑作用を示す。

2)オメプラゾールの作用機序について述べよ。
H+-K+ ATPase阻害によって壁細胞からの酸分泌を抑制。

3)5-HT3receptor阻害がなぜ制吐作用を示すのか、説明せよ。
  嘔吐中枢に近い第4脳室底にある化学受容器引き金帯(CTZ)にはドパミンD2 receptorやヒスタミン5-HT3receptorが存在し、これらが刺激されると嘔吐を生じる。また、胃の機能に関与する5-HT3receptorが、胃から低位脳幹部に達する求心性迷走神経終末にも存在し、セロトニン刺激で嘔吐を誘発する。これらの5-HT3receptorを遮断することにより、制吐作用がもたらされる。

12.(NMDAreceptorについての問題:図つき)

13.GABAreceptorについて(図つき)
1)slowIPSPとは何か説明しなさい。
GABAB受容体がG蛋白質・セカンドメッセンジャー系を介して、Kチャネルを開口させることにより持続時間の長い抑制性シナプス後電位を発生させる。これをslowIPSPという。

2)fastIPSPとは何か説明しなさい。
GABAA受容体の内蔵しているClチャネルが開くと、Cl透過性が上昇し膜電位が過分極性の変化をするため、興奮性が低下する。この過分極性の変化をfastIPSPという。

3)slowIPSPを起こさずにfastIPSPを起こすにはどのようにすればよいか。
 細胞外カリウム濃度を上げて、Ek=静止膜電位にする。

4)細胞内外のクロールイオン濃度を等しくすると、電流の流れ方はどうなるか。
細胞内外のC1-濃度が等しいので平衡電位はOmVだから、脱分極性にfastIPSPが起きる。よってCl-電流は外向きに流れる。

14.(ヤリイカの巨大軸索実験の問題:図つき)

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