１． 選択問題
２． （１）老人に対しての投薬量の注意点を５つ挙げよ。
①用量は少な目から始める。②薬の数は最小限にする。③用法を簡略化する。
④対症療法薬は早期に中止する。⑤併用薬に注意する。
（４）CYPについて知るところを書け。
主に肝臓において脂溶性の薬の代謝に重要な役割を持つ薬物代謝酵素のことで、酸化反応により脂溶性の薬が水溶性の代謝物となり尿中や胆汁中へ排泄されやすくなる。多くの分子種が存在し（ヒトでは薬物代謝に関するものは約20種）、基質特異性が低いので20種の酵素で100万以上の脂溶性の化合物を代謝できる。また遺伝型が多く、これが薬物代謝の個人差の原因となっている。
（５）鎮咳薬について分類を示して説明せよ。
中枢性鎮咳薬…咳中枢の求心性インパルスに対する閾値を上昇させて咳反射を抑制する。
末梢性鎮咳薬…気道粘膜における求心性インパルスの生成を抑制する。
３． （１）EAD・DADの発生する機序と治療の仕方について書け。
EAD…心筋の活動電位の第3相が不活性化してQTが延長するか、IKrの選択的阻害薬による薬物誘発性のために、再分極相K電流がブロックされることによる。治療は活動電位持続時間を短縮させればよく、Ikを増強させたり、INaやIca.Lをブロックすることで活動電位持続時間を短縮させることができる。
DAD…交感神経過緊張やジギタリス中毒などにより、細胞内ストアヘのCa overloadが引き起こされ、Caの自発的誘発が生じ、Ca依存性非特異的陽イオンチャネルが活性化されることによる。治療はベラパミルの投与がある。Caチャネル阻害によりCa負荷を軽減すればよい。
（２）re-entryの治療を2つ以上のイオン機構から説明せよ。
re-entryはブロック箇所での伝導速度が落ちることにより他の経路から回り込んだインパルスにより脱分極が生じることによる。したがって、実効不応期を延長できれば良い。
Naチャネル阻害薬…Naチャネルの阻害により不活性化からの回復が起こらず実効不応期が延びる。
Kチャネル阻害薬…Kチャネル阻害により再分極が抑制され実効不応期が伸びる。
４． （１）ジギタリスとcAMP増加薬の違いについて書け。
（２）Ca感受性増加薬の利点について書け。
平成１２年度大問４参照
５． （１）２型糖尿病薬の薬理作用（薬品名と薬理作用の選択肢有）
（２）抗甲状腺薬の作用機序を挙げ、発現時間が遅い理由について説明せよ。
チロキシン合成阻害薬…甲状腺のペルオキシダーゼを阻害し、チログロブリンのヨウ素化を抑制する。
ヨウ素取り込み阻害薬…甲状腺のNa+/I-シンポーターによる能動的I-取り込みを阻害して甲状腺ホルモンの合成を阻害する。
以上の薬剤は、甲状腺ホルモン合成を阻害するが、投薬以降の合成のみを阻害するものであり、投薬以前の過剰な甲状腺ホルモンの効果を直ちに抑制するものではない。（すでに合成されたホルモンを使い切るのには長い時間がかかる）
６． （１）NSAIDの副作用には消化器潰瘍と不耐性があるが、それぞれが起こる機序について説明せよ。
消化器潰瘍…シクロオキシダーゼ阻害によって、消化管粘膜で粘液を分泌させたり血流量を増加させたりして消化管粘膜を保護しているプロスタグランジンの生成が抑制されるため。
不耐性…？
（２）解熱鎮痛薬の副作用が起こる機序をピリン系と非ピリン系について書け。
７． （１）浸透圧下剤と刺激性下剤の作用機序の違いについて書け。
浸透圧下剤…腸管粘膜から吸収されにくく、腸管内を高張液状態にすることで腸管腔の水分を保持するとともに組織から腸管腔に水を吸引して腸管内容量を増加させ、水様便を排出する。
刺激性下剤…腸粘膜直接刺激作用、知覚神経終末刺激作用により壁内神経叢の反射を亢進させて蠕動運動を亢進する。胃粘膜に対する刺激作用は示さず腸で作用を示す。
（２）Glycyrrhizinを使用する病気を挙げよ。
慢性肝炎など…。
（３）PPIの作用機序を書け。
（プロトンポンプ阻害薬のこと）壁細胞に存在するH+,K+-ATPアーゼ（プロトンポンプ）は胃酸分泌過程における最終機構であるが、PPIはこのプロトンポンプのSH基と反応して酵素活性を阻害し、壁細胞からの酸分泌を抑制する。
（４）悪性腫瘍治療薬の副作用によって生じる嘔吐と船酔いで起こる嘔吐の違いについて説明せよ。
８． ピルの作用機序を女性の性周期と共に説明せよ。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤であり、経口避妊薬として用いられる。月経周期28日にあわせて21日間内服、7日間休薬を繰り返すことで、視床下部－下垂体系に作用しGnRH、ゴナドトロピンの分泌を抑制して排卵を抑制する。これが主な避妊機序である。また、子宮頚管の精子進入障害、卵管の胚輸送障害、子宮内膜の着床障害も妊娠を阻害するのに役立つ。
９． リアノジン受容体の神経筋接合部での役割について書け。
横管系と筋小胞体の近接部で筋小胞体側に存在し、細胞膜の脱分極に際して相対する細胞膜に存在するL型Caチャネルから情報を受け取りCa2+を放出する。CICRの性質を持つため、骨格筋の収縮を引き起こすCa2+シグナルの形成に関与している。
１０． 穴埋め問題
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