衛生学 平成14年度本試験

Thanks to Takagi, Tatsushima
A1.職場における健康管理業務について、具体的に列挙せよ。
<解答例・解説>
(9月17日、産業保健総論の講義プリント(森先生)5ページ、ステップp292参照)
・ 作業環境や作業に起因する健康障害リスクを許容レベル以下にする。
・ 健康増進により労働者の職務適性の向上を図る。
・ 特別の適正が必要な労働について、適性検査を実施し、適正配置で対応する。
・ カバーできなかった健康障害を早期発見する。
どうもこれではずれているような気もします。ステップをまとめると以下のようになるでしょうか。
・ 一般健康診断を行う(雇入時健康診断と年1回の定期健康診断)。
・ 特殊健康診断を行う(有害作業場の労働者に対して、6ヶ月または3ヶ月に1回行う)。
・ 健康診断後の事後措置(結果の通知と作業転換、保健指導など)を適切に行う。
・ 心身両面の健康増進を図るために、快適な職場環境の形成に努める。


A2.ホルムアルデヒドに関して、許容範囲と室内ガイドラインがあるが、違いについて説明せよ。
<解答例・解説>
(11月16日室内環境と健康(平田先生)の講義プリント、15年度本試験大問2参照)
@ 許容濃度(ステップp291):ほとんどすべての労働者に健康上の悪影響がみられない空気中の濃度とされ、日本産業衛生学会の勧告による指標。労働上の指標であるから、週40時間の曝露を基準として算定されている。行政上の拘束力はない。
A 室内ガイドライン(ステップp368、動向p283):シックハウス対策として導入された指標で、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなど13の揮発性有機化合物について定められている。この値以下であれば、一生曝露を受けたとしても有害な影響を受けないとされる値である。
許容濃度は労働環境における基準、室内ガイドラインは居住環境における基準である。


B1.感染性廃棄物について説明せよ。説明においては1)感染性廃棄物の定義、2)感染性廃棄物の分類、3)感染性廃棄物の管理、収集・運搬・保管、処理における要点、についての説明を必ず加えること。なお、設問に無関係な解答は減点対象とする。
<解答例・解説>
(11月2日廃棄物(大村先生)の講義プリント、ステップp351参照)
1)感染性廃棄物とは医療機関、試験研究機関などから医療行為・研究活動にともなって発生した廃棄物のうち、排出後に人に感染症を生じさせる恐れのある病原微生物が含まれ、または含まれる恐れのあるもののこと。2)この中には@)血液・体液など、A)手術などに伴う病理廃棄物、B)血液などが付着した鋭利なもの(割れると鋭利になる試験管なども含む)、C)病原微生物に関連した試験・検査などに用いられたもの、D)その他血液などが付着したもの、E)伝染病予防法などの法律に規定されている疾病に罹患した患者から発生したもの、もしくはこれらが付着した恐れのあるもので、上記に該当しないもの。の6種類が含まれる。3)取り扱いに当たっては、特別管理産業廃棄物管理責任者を置き、必要に応じて管理規定を策定した上で処理計画を定め、処理が適正に行われているかどうかを把握、記録の作成・保存(最低5年間)を行わねばならない。要点としては、排出(ゴミ箱に入れる)の時点から他の廃棄物と分けること。区別して保管すること。密閉容器に感染性廃棄物である旨を表示して運搬すること。原則として病院内で適切に滅菌すること、などが挙げられる。


B2.次の文章に引かれている下線部の正しいものの合計数字を書け。
イ)廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に分けられるが、(1)一般廃棄物の1日1人あたりの排出量はおよそ100g。なお、(2)一般廃棄物、産業廃棄物とも、その処理の責任は市町村にある。産業廃棄物では安定型処分場への埋め立てが認められる場合もあるが、(4)廃PCBなどの特別管理廃棄物では管理型処分場への埋め立てが定められている。
<解答・解説>
(11月2日、廃棄物(大村先生)の講義プリント1枚目、ステップp350〜参照)
(1)×:一般廃棄物のみで1kg以上。産業廃棄物を含めると約10kg。
(2)×:産業廃棄物は排出者に処理責任がある。
(4)×:無毒化処理を施してから「遮蔽型」埋め立てを行わねばならない。
よって解答は0。

ロ)一般廃棄物の焼却過程でのダイオキシンの発生が指摘されているが、(1)炉内の温度をあまり高温(700℃以上)にしない、(2)炉内が高温にならないように連続運転して焼却を行わない、(4)ただし炉から出た排ガスは可能な限り速やかに冷却することによって、ダイオキシン発生を最小限に抑える。
<解答・解説>
(11月2日、廃棄物(大村先生)の講義プリント1枚目右下、ステップp346参照)
(1)×:800−1000度の高温で完全に焼却する。
(2)×:連続運転しないと炉温の低い焼却開始、終了時にダイオキシンが発生する。
(4)○:冷却不十分では集塵装置でダイオキシンが発生。
よって解答は4。

ハ)上水処理においては、(1)安全性、おいしさといった質の確保も重要であるが、必要十分な量の水を安価に供給するといった量の確保も重要である。ちなみに(2)ヒトの生存に必要な水の量は1日2〜3リットル程度であるが、(4)日本ではヒト1人あたり1日数トンの水を平均して使用している。
<解答・解説>
(10月13日、上水と下水(大村先生)の講義プリント1枚目、ステップp359参照)
(1)○
(2)○:講義では2〜2.5リットルとおっしゃっていました。
(4)×:生活用水は約200リットル/日。
よって解答は1+2=3。

ニ)イギリスの開業医ジョン・スノウはロンドンでのペストの流行時の調査結果から"疾病が飲料水を介して伝播する"ということを見いだした.このように水を介して拡がる伝染病を(1)水系伝染病といい,(2)コレラや赤痢,A型肝炎などもその代表的なものである。ちなみに,Mills-Reincke現象というのは,(4)水を濾過して供給することで水系伝染病による死亡が減少することを指している.
<解答・解説>
(10月13日、上水と下水(大村先生)の講義プリント1枚目、ステップp359参照)
(1)(2)○:チフスもこれに含まれる。
(4)○?:ろ過は水系伝染病のみならず全ての感染症予防に有効、ということを指します。
よって解答は1+2+4=7。

ホ)水処理は基本的に濾過+滅菌(消毒)という2つの過程から成り立っている。濾過処理では緩速濾過法・急速濾過法がその代表的なものであるが、緩速濾過法は微生物の働きによって汚染物質を分解・除去する方法であり、(1)大量処理が求められる現在の上水処理の状況に適した処理方法である。滅菌(消毒)では(2)塩素イオンの殺菌力によって殺菌を行う塩素処理がその代表的なものである。滅菌(消毒)処理の際に注入される塩素量は、(4)水道水のカルキ臭を極力減らすために滅菌(消毒)に必要な最低量に抑えられている。
<解答・解説>
(10月13日、上水と下水(大村先生)の講義プリント1枚目、ステップp359参照)
(1)×:上記の通り、非常に処理速度が遅く、基本的には行われていない。
(2)○:
(4)×:給水時点での有効濃度が殺菌力の保たれた値になるように調整されている。
よって解答は2。

へ)塩素消毒に耐性の病原微生物としては、(1)クリプロスポロンジウムやランブル鞭毛虫などがある。これらの集団感染が・・・
<解答・解説>
(10月13日、上水と下水(大村先生)の講義プリント2枚目右下参照)
(1)○:これらはろ過で除くことが出来ますが、ろ過は浄水における義務ではありません。

ト)下水の高度処理として、(1)主にリンの除去を目的としたものとして嫌気・好気法(AO法)、(2)窒素の除去方法として嫌気・無気・好気法(AO2法)・・・・
<解答・解説>
(講義ではここまで詳しく高度処理の話はありませんでした。)
(1)×?:主に窒素を除くのでは?(http://www.takuma.co.jp/product/mizushori/02.html
(2)×?:A2O法のはず…。
http://www.city.tsuchiura.ibaraki.jp/section/kensetsu/9004/gesuido/mechanism/high_treat02t.htm

チ)一般的な日本における下水処理では,沈殿処理で大きな汚物が取り除かれた後、活性汚泥法による処理が行われる。活性汚泥は(1)汚染物質の酸化処理用に様々な薬品を配合した汚泥である。なお、(2)家単位や団地単位で下水処理をするために使われているものとして浄化槽がある。現在,普及が進められている(4)合併処理浄化槽は家庭排水中の汚染物質の90%あまりを除去することができる.
<解答・解説>
(10月13日、上水と下水(大村先生)の講義プリント2枚目、ステップp361参照)
(1)×:細菌や菌類、原生動物などの微生物群が泥状になったもの。
(2)○:下水道の普及がまだまだ=浄化槽である程度処理され放流されている。
(4)○:公共下水道整備の遅れから、補助金付きで普及が進められている。(ただしこれも高価)
よって解答は2+4=6。

リ)(1)日本における四大公害のすべてが水の汚染が原因だったことからも分かるように、水質汚濁は日本の環境対策において大きな課題であった。河川の汚れの原因としては、(2)工場排水の占める割合が依然として高い。(4)ただし、河川のBOD値は昭和40年代と比較して今では大きく低下している。
<解答・解説>
(10月13日、上水と下水(大村先生)の講義プリント2枚目、ステップp362〜、動向p312参照)
(1)×:四日市喘息が違います。他は水俣病、イタイイタイ病、新潟水俣病でいずれも水の汚染。
(2)×:規制がなく、努力義務にとどまる生活排水が70%を占めるとも言われている。
(4)○:動向p312のグラフによると達成率は50%以下→85%と上昇。
よって解答は4。


C1.硫化水素中毒について説明せよ。
<解答例・解説>
(12月1日、有毒ガスによる健康障害(田中先生)の講義プリント1枚目、朝倉p104参照)
特有の孵卵臭がある無色の刺激性ガスであるが、より高濃度では甘い感じがし、さらに高濃度では嗅神経麻痺のため臭いがわからず気付かれない。経気道性曝露により体内に入り、中毒症状としては、20ppmで結膜炎・角膜障害、200〜400ppmで眼・鼻・上気道に対する灼熱疼痛、400〜700ppmでは肺水腫が起こって生命に危険が生じ、それ以上になると頸動脈球を刺激し反射性呼吸中枢麻痺で即死する。

C2.メタノール中毒の症状を説明せよ。
<解答例・解説>
(ステップp309、朝倉p106参照)
急性でも、慢性でも視神経障害が生じる(代謝産物の蟻酸が視神経に強い毒性を持つため)。蟻酸だけでなく、乳酸も蓄積するため代謝性アシドーシスをきたすほか、急性膵炎も合併する。

C3.熱射病の治療について説明せよ。
<解答例・解説>
(講義なし、ステップp315、朝倉p85参照)
全身の体温を下げるのが原則。衣服を脱がせて風通しのよい場所に移し、水やアルコールを吹きかける、冷水に浸す、冷却した輸液を行うなどの手段によって体温の下降をはかる。また必要に応じて呼吸管理や痙攣に対するジアゼパム投与などを行う。

C4.鉛中毒の診断について説明せよ。
<解答例・解説>
(12月15日、重金属による健康障害(大村先生)の講義プリント、ステップp299、朝倉p102参照)
貧血や発作性の激しい腹痛(鉛疝痛)といった鉛中毒を疑わせる所見を見落とさないことが重要である。疑った場合や、鉛を使用する仕事に従事する作業員の特殊健康診断では、血中鉛濃度、尿中δ−アミノレブリン酸量を測定する。また鉛中毒を疑うためには職業歴を聴取することが欠かせない。


D−a.次の文章を読んで、正しいものには○、間違っているものには×をつけよ。
1.生物学的濃縮を受けやすい物質の特性は、水溶性が高いことである。
2.有機塩素系農薬は、残留性が高い。
3.量反応関係は、集団に適用される。
4.死亡の原因となる臓器を標的臓器という。
5.ED50とは、50%の個体が死亡に至る濃度である。
6.騒音性難聴では、初期に1000Hz付近の聴力低下が認められる。
7.騒音職場では、労働安全衛生法により、定期的な聴力検査が義務付けられている。
8.騒音性難聴には、適切な治療法がない。
9.騒音に関する許容基準には法的規制力がある。
10.騒音レベルの測定単位はホンである。
<解答・解説>
(1月12日、物理因子による健康障害(槇田先生)の講義プリント)
1.×:脂溶性が高いこと。
2.〜5.?:以上講義で言及なし
6.×:ステップp320参照。4000Hz付近=C5dip
7.○
8.○:不可逆性で回復しない。
9.○
10.○:dB(A)という単位で表し、慣用的に「ホン」と呼ぶそうです。


D−b.次のa)〜g)に最も関係のあるものを1)〜7)の中から選べ。
a)ほや  b)イソシアネート  c)パラフェニレンジアミン
d)クロム  e)アナフィラキシー  f)農夫肺  g)接触性皮膚炎
1)IgE抗体  2)遅延型  3)染料  4)セメント  5)かき  6)ほし草  7)ポリウレタン
<解答・解説>
(1月14日、物理因子による健康障害(槇田先生)の講義プリント)
a)ほや:5)かき(1枚目右下。ほやは牡蠣についている生物。これで喘息を起こすそうです。)
b)イソシアネート:7)2枚目左下
c)パラフェニレンジアミン:3)2枚目左中。髪を染めるのに用いる。
d)クロム: 4)セメントにはクロムが含まれ、接触性皮膚炎の原因となる。
e)アナフィラキシー:1)IgE抗体(アナフィラキシーショックはIgEによって引き起こされる)
f)農夫肺:6)ほし草(ほし草中の真菌による過敏性肺炎)
g)接触性皮膚炎:2)アレルギー性接触性皮膚炎は4型、遅延型皮膚反応(ステップ皮膚科p87)


E1.作業環境測定場所に関して、次の1)〜5)に当てはまる場所を書け(順不同)
「次の」というのが何なのか…どうしようもありません。

E2.1996年に改正された大気汚染防止法における有害大気汚染物質対策について述べよ。
<解答例・解説>
(1月12日、大気環境・大気汚染(田中先生)の講義プリント2枚目左下、ステップp357)
排出基準を定め、工場など固定発生源に対してその遵守を求めると共に、高汚染地域においては各施設ごとに排出できる量の上限を定める総量規制を行っている。

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