衛生学 平成14年度卒業試験

A.感染性廃棄物について説明せよ。説明においては1)感染性廃棄物の定義、2)感染性廃棄物の分類、3)感染性廃棄物の管理、収集・運搬・保管、処理における要点、についての説明を必ず加えること。なお、設問に無関係な解答は減点対象とする。
<解答例・解説>14年度本試験B1と同じ問題。
(11月2日廃棄物(大村先生)の講義プリント、ステップp351参照)
1)感染性廃棄物とは医療機関、試験研究機関などから医療行為・研究活動にともなって発生した廃棄物のうち、排出後に人に感染症を生じさせる恐れのある病原微生物が含まれ、または含まれる恐れのあるもののこと。2)この中には@)血液・体液など、A)手術などに伴う病理廃棄物、B)血液などが付着した鋭利なもの(割れると鋭利になる試験管なども含む)、C)病原微生物に関連した試験・検査などに用いられたもの、D)その他血液などが付着したもの、E)伝染病予防法などの法律に規定されている疾病に罹患した患者から発生したもの、もしくはこれらが付着した恐れのあるもので、上記に該当しないもの。の6種類が含まれる。3)取り扱いに当たっては、特別管理産業廃棄物管理責任者を置き、必要に応じて管理規定を策定した上で処理計画を定め、処理が適正に行われているかどうかを把握、記録の作成・保存(最低5年間)を行わねばならない。要点としては、排出(ゴミ箱に入れる)の時点から他の廃棄物と分けること。区別して保管すること。密閉容器に感染性廃棄物である旨を表示して運搬すること。原則として病院内で適切に滅菌すること、などが挙げられる。

B.上水(浄水)処理について説明せよ。説明においては1)上水(浄水)処理の目的、2)二つの代表的な濾過処理の方法とその特徴、3)代表的な消毒方法の原理、についての説明を必ず加えること。なお、設問に無関係な解答は減点対象とする。
<解答例・解説>
(10月13日上水・下水(大村先生)の講義プリント、ステップp359参照)
1)上水処理においては、安全性、おいしさといった質の確保も重要であるが、必要十分な量の水を安価に供給するといった量の確保も重要である。水処理は基本的に濾過+滅菌(消毒)という2つの過程から成り立っている。2)濾過処理では緩速濾過法・急速濾過法がその代表的なものであるが、緩速濾過法は微生物の働きによって汚染物質を分解・除去する方法であり、処理速度が非常に遅いために基本的には行われない。急速濾過法は浮遊物質を物理的にこし取る方法であり、大量処理が求められる現在の上水処理の状況に適した処理方法である。3)滅菌(消毒)では塩素イオンの殺菌力によって殺菌を行う塩素処理がその代表的なものである。滅菌(消毒)処理の際に注入される塩素量は、滅菌(消毒)に必要な量ではなく、給水栓でも有効塩素濃度以上になるように設定されている。

C.公害の事例の中で四日市市臨海地域と神通川下流地域の各事例の違いについて述べよ。
<解答例・解説>
(1月11日、公害(久永先生)の講義プリント、ステップp340)
違いはたくさんあると思いますが…。
・ 大気の汚染か、水の汚染か
・ 原因物質の違い(二酸化硫黄とカドミウム)
・ 原因工場の数(複数の石油コンビナート由来と1つの鉱業所)
などを書けばいいのではないかと。他にも思いついたら教えてください。

D.大気汚染にかかわる環境基準の中で従来の5物質(1〜5、各順不同)と最近新たに設定された5物質(6〜10、各順不同)の各物質名を以下に記入せよ。
<解答・解説>
(1月11日、公害(久永先生)の講義プリント3枚目右上、ステップp354参照)
従来の5物質:(環境基本法により)SO2、NO2、CO、浮遊粒子状物質、光化学オキシダント
最近新たに設定された5物質:(平成9年2月より)ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、(平成13年4月より)ジクロロメタン、(平成12年1月より、ダイオキシン類対策特別措置法により)ダイオキシン

E.有害要因に対する労働衛生対策の基本は、作業環境管理、作業管理、健康管理の3つがあげられる。3管理の内容や判断基準について、該当する管理概念を下記枠内に記号(A,B,C)で記入せよ。
  A、作業環境管理 B、作業管理 C、健康管理
 管理の内容
  a より安全な代替物質への変更
  b 作業(暴露)時間の制限
  c 作業の自動化
  d 局所排気装置の設置
  e 呼吸保護具や防塵服の着用
  f 配置転換
  g 壁やカーテンによる発生源の密閉
  h 作業姿勢の管理
 管理の判断基準
  i 生物学的モニタリング値
  j 個人サンプラーによる暴露濃度(量)把握
<解答・解説>
(10月18日、作業環境管理、作業管理、健康管理(藤代先生)および11月30日、生物学的モニタリング(川本先生)の講義プリント、ステップp289参照)
自信ありません。どっちに入れてもいいんじゃないか、というものもあります…。
A、作業環境管理:a、c、d、g、j
有害物質の濃度があらかじめ定められた許容範囲以下になるようにすることを基本とする。具体的には、発生を抑制するために生産工程や作業方法の変更を検討する、設備の自動化や密閉を考慮する、局所排気により換気をはかる、など。
B、作業管理:b、e、h
作業環境管理は異なり、作業そのものの管理である。曝露時間の短縮、作業姿勢管理、作業衣の定期的交換、防毒マスクなど保護具の着用などが挙げられる。
C、健康管理:f、i
1年に1回の定期健康診断、雇い入れ時の健康診断を行うと共に有害業務に従事する労働者に対しては6ヶ月(一部は3ヶ月)に1回の特殊健康診断を行う。またその結果を医師が判断し、それに応じた対策(就業場所変更、作業転換、労働時間短縮など)を行う。労働者に対しては健康診断結果を説明し、必要に応じて保健指導を行う。

F.従業員が900名のゴム靴製造工場で、600人が有機溶剤のトルエンを使用している。この工場の労働衛生管理について、正しいものに○を、誤っているものに×を記入せよ。
 a 作業場の空気中のトルエン濃度の測定を半年以内ごとに行う。
 b 有機溶剤取り扱い作業者の特殊健康診断を1年ごとに行う。
 c 専属産業医を置く。
 d トルエンは経皮吸収を起こしやすい有機溶剤なので、トルエンを手で扱う業員に保護手袋着用を促す。
 e 尿中馬尿酸の測定は医師が必要と判断した場合に実施しなければならない。
<解答・解説>
a.×:作業環境測定は年に1回。
b.×:6ヶ月に1回。
c.○:専属産業医は従業員1000人以上の事業所で必要であるが、有害業務に従事する労働者が500人以上の事業所でも必要となる。有機溶剤を扱う業務も有害業務とされている。
d.○?
e.○:トルエンは馬尿酸に代謝されて尿より排泄される。

G.労働安全衛生規則で規定されている産業医の職務で、正しいものに○を、誤っているものに×を記入せよ。
 a 月1回以上の職場巡視。
 b 産業医はその職場の総括安全衛生管理者になる。
 c 衛生管理者への指導・助言。
 d 月1回の衛生委員会への参加。
 e 労働者への出勤停止命令。
<解答・解説>
(9月17日、産業保健総論(森先生)の講義プリント4枚目左下、ステップp288)
a.○
b.×:産業医は総括安全衛生管理者への勧告を行う立場。
c.○
d.○:3枚目右下。
e.×

H1.騒音性難聴の特徴を3つあげよ
<解答例・解説>
(1月12日、物理因子による健康障害(槇田先生)の講義プリント1枚目右側、ステップp320)
・ 感音性難聴
・ 不可逆性
・ リクルートメント現象陽性
・ 4000Hz付近の聴力から低下を始める(C5-dip)
などを書けばよいでしょう。

H2.WECPNLとは何か?
<解答例・解説>
(1月12日、物理因子による健康障害(槇田先生)の講義プリント1枚目左側)
航空機などのように強大な騒音がある間隔において繰り返される場合のうるささの尺度。
WECPNL=Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Level
WECPNL=dB(A)+10log(N1+3N2+10N3)-27

I1.VDT作業とは何か簡単に説明し、それに伴う健康障害を3つあげよ
<解答例・解説>
(講義なし、ステップp332)
VDT=visual display terminal。コンピュータを用いたデータ入力、ワープロ操作、プログラミングなどの作業のことで、
・ 視機能に対する症状…視覚に負担が大きいため。眼精疲労、眼の痛み、流涙、調節障害、色覚異常など
・ 神経筋症状…キーパンチャーと共通。頸肩腕障害を起こす。
・ 精神神経系の疲労症状…いらいら、不安、抑うつ気分など。

I2.職業性アレルギーの治療について簡単に述べよ。
<解答例・解説>

J1.鉛中毒の治療について述べよ。
<解答例・解説>13年度本試験大問2と同じ問題。
(12月15日、重金属による健康障害(鉛、大村先生)の講義プリント、ステップp299参照)
鉛曝露が著しい場合にはキレート剤の投与によって鉛の体外排出をはかる場合もあるが、とにかく鉛曝露から離脱させることが最重要である。曝露状態から離脱しさえすれば貧血や腹部症状は回復するし、重症でない神経症状も回復する。

J2.熱射病の治療について述べよ
<解答例・解説>14年度本試験C3、13年度本試験大問4と同じ問題
(講義なし、ステップp315、朝倉p85参照)
全身の体温を下げるのが原則。衣服を脱がせて風通しのよい場所に移し、水やアルコールを吹きかける、冷水に浸す、冷却した輸液を行うなどの手段によって体温の下降をはかる。また必要に応じて呼吸管理や痙攣に対するジアゼパム投与などを行う。

K1.塵肺について述べよ。
<解答例・解説>
(講義なし=6年生で、ステップp327)
粉塵を吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病。原因となる粉塵について限定はなく、鉄、アルミニウム、黒鉛、石炭など多岐にわたる。粉塵吸入後、15〜20年という長期間を経て胸部X線上に陰影が出現し、次第に乾性咳嗽、呼吸困難といった間質性肺炎の症状が現れる。聴診上捻髪音を認め、拘束性障害と拡散障害が出現する。不可逆性病変であり、曝露中止後も病変は進行する。

K2.石綿の健康影響について述べよ。
<解答例・解説>
(講義なし=6年生で、ステップp327)
 石綿は保温・耐火材料として用いられてきたが、吸入によって塵肺を起こす。石綿による塵肺は特に石綿肺と呼ばれ、胸膜の肥厚、石灰化を起こし、また悪性中脾腫を起こすことがある。

もどる

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送