衛生学 平成15年度卒業試験

1. 下記の各文章の内容が正しければ○を、正しくなければ×を解答欄に記せ。
1) 上水道の普及率は下水道と比較するとまだまだ低く、未普及地域では合併処理浄化槽の設置も行われている。
2) 下水処理には主に生物学的な処理方法が用いられるが、活性汚泥法はその代表的なものである。
3) 廃棄物の法的処理責任はその排出者にある。
4) 特別管理廃棄物以外の一般廃棄物はそのまま埋め立て処分を行っても構わないが、一般的には減容(容積を減らす)を目的として焼却(可燃性の場合)、破砕(不燃性の場合)といった中間処理が行われる。
5) 血液の付着した注射針は感染性廃棄物だが、血液の付着したガラス製注射筒は感染性廃棄物ではないので、廃棄に際して分別する必要がある。
6) 感染性廃棄物の処理を委託した業者が不法処理を行った場合、委託契約をしていなかった業者が関与していた場合は医療機関の責任は問われない。
7) 非発ガン性の化学物質の場合、現在の安全性評価においては、これ以上の曝露量ではその毒性は無いと考える閾値が存在することを前提としている。

<解答>10月13日、上下水、11月2日、廃棄物(大村先生)講義プリント参照
1.1) ×:10/13プリント1枚目、ステップp358。下水の普及率が低い(H12年で上水道96%、下水道60%)。
2) ○:2枚目、ステップp362。
3) ×:11/2プリント1枚目、ステップp350。一般廃棄物は市町村。
4) ×:1枚目左下、ステップp350。廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に大別される。特別管理廃棄物=病院、診療所などから出る感染性廃棄物。
5) ×:2枚目左、p351。血液(が付着したもの)は感染性廃棄物。
6) ×:2枚目右上、p350。廃棄物の処分が完了するまで、責任はあくまで委託した事業者。
7) ?


2. 化学物質について正しいのはどれか。正しいものには○を、間違っているものには×をつけなさい。
a ダイオキシン類には、土壌についての環境基準が設定されていない。
b PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、現在、化学物質審査規正法に基づき、製造・輸入・新規使用の禁止がなされている。
c 我が国では、母乳中のダイオキシン類は年々増加している。
d テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、化学的に安定で分解されにくい。

<解答>講義なし
2.a) ×:土壌は1.000pg-TEQ/g以下
b) ○:ステップp308。原則として。例外はあるようです。
c) ×:減少傾向にある。
d) ○


3. 我が国の最近の労働災害について正しいものに○、誤っているものに×を記せ。
a 負傷に起因する腰痛は業務上疾病発生件数の約3分の1を占める。
b 死亡者数は建設業と製造業とで全体の半分以上を占める。
c 労働災害による死傷者数はこの10年間横ばい傾向である。

<解答>講義なし
3.a) ?:H.5、腰痛症は業務上疾病の6割を占める。
b) ○:ステップp295。
c) ×:ステップp296。減少傾向。


4. 正しいものに○、誤っているものに×を記せ。
a 許容濃度以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪影響がみられない。
b 許容濃度は一般室内汚染の衛生基準としても用いられる。

<解答>ステップp291。
4.a) ○:許容濃度=1日8時間、週40時間程度の労働時間中に肉体的に激しくない労働に従事
      する場合の暴露濃度の算術平均値がこの数値以下であれば「ほとんど全ての労働者に健
      康上の悪影響がみられない」と判断される濃度。
b) ×:作業環境中に用いられる。


5. 大気汚染について正しいものには○、誤っているものに×を記せ。
a ロンドン型スモッグは夏季の早朝に発生しやすい。
b 粒子径が10μm以上の粉塵は肺胞に沈着しやすい。
c 大気中の二酸化硫黄の濃度は昭和40年代に比べて激減している。
d 商業地域における大気中の二酸化窒素の排出源は自動車が主体である。
e 我が国の自動車排気ガス対策では、亜硫酸ガスは重点的に規制されている。

<解答>1月12日、大気環境・大気汚染(田中先生)の講義プリント。
5.a) ×:2枚目右中。夏期→冬期(12月、1月)
b) ×:以上→以下。特に1〜2マイクロメートルのものが肺胞に沈着しやすい。
c) ○
d) ○:固定発生源=工場(ボイラーなど)
    移動発生源=高速走行時の自動車排ガス
e) ×:アイドリング時に排出されるCOや、d)でもあった二酸化窒素が問題なのでは。


6. 職業性曝露で膀胱がんが発生するものに○、そうでないものに×を記せ。
a ベンジジン
b 6価クロム
c スチレン
d β-ナフチルアミン
e トルエン

<解答>講義なし。ステップp307、p334。
6.a) と d) に○


7. A群の有毒ガスによる中毒の原因物質をB群の中から選べ。
A群
1) 腐卵臭を示す無色のガスで、下水清掃、汚水処理場で中毒の発生がある。
2) 無色・無臭のガスで、失語、失行、失認、パーキンソンニズムなどの後遺症が現れる。
3) こげたアーモンド臭を示すガスで、メッキ作業中に中毒の発生がある。
4) 医療機器工場やガス殺菌作業中の中毒の発生があり、慢性中毒では末梢神経障害が発現する。
5) にんにく臭を呈する無色のガスで、強力な溶血作用がある。

B群
a シアン化水素
b 砒化水素
c 硫化水素
d 酸化エチレン
e 一酸化炭素

<解答>12月1日、有毒ガスによる健康障害(田中先生)の講義プリント
7.1) c):1枚目右上、ステップp311。下水中の硫黄分と細菌の反応による。
2) e):1枚目左下、p309。酸素に敏感な大脳、心筋の障害。
3) a):2枚目左下、p310。眼、気道の粘膜を刺激。
4) d):3枚目左下。多発性神経炎が起きる。
5) b):2枚目左上、p302。別名アルシン。溶血性貧血、腎障害、肝障害、神経障害など。


8. 作業環境測定を行うべき作業場で正しい箇所はどれか。正しいものを全て選べ。
a 暑熱、寒冷または多湿の屋内作業場
b 著しい騒音を発する屋外作業場
c 中央管理方式の空調設備を設けている事務所

<解答>11月30日、生物学的モニタリング2枚目左下。ステップp290。
8.a) ○
b) ×:屋外→屋内
c) ○


9. A群と最も関係の深いものをB群から選べ(同じ語句の重複使用は出来ない)。
A群
1) 富栄養化 2) トリハロメタン 3) 神通川下流地域 4) 宮崎県土呂久地区 5) 硝酸性窒素
B群
あ.イタイイタイ病 い.砒素 う.メトヘモグロビン血症 え.塩素処理 お.アオコ

<解答>
9.1) お):ステップp345。(比較的)閉鎖された海域で水中の窒素、リンが多くなった状態。
2) え):ステップp359。塩素消毒の副生成物として生じ、変異原性を持つ。
3) あ):ステップp341。カドミウム。
4) い):ステップp341。
5) う):ステップp306。


10. Q1:産業医の選任が規定されているのは何という法律か?
ア 憲法  イ 労働基準法  ウ 労働安全衛生法  エ じん肺法  オ 商法
Q2:産業医は何人以上の事業場で選任する必要があるか?
ア 30人  イ 50人  ウ 500人  エ 1000人  オ 3000人
Q3:精神障害の労災認定が急激に増加したのはいつからか?
ア 平成元年  イ 平成9年  ウ 平成10年  エ 平成11年  オ 平成14年

<解答>
10.Q1) ウ:ステップp287。
   Q2) イ:ステップp288。
   Q3) ?


11. 騒音性難聴について正しいものに○、誤っているものに×を記せ。
a 4000Hz付近の聴力低下で始まる。
b 労働安全衛生法により、定期的聴力検査が必要である。
c 伝音性難聴である。
d 騒音曝露を中止すれば徐々に回復する。

<解答>1月12日、物理因子による健康障害(槇田先生)の講義プリント1枚目、ステップp320。
11.a) ○
b) ○
c) ×:感音性難聴
d) ×:不可逆性で適切な治療法はない。聴力検査での予防が大切。


12. 正しいものに○、誤っているものに×を記せ。
a 赤外線はビタミンDを活性化する。
b 潜函病では、ベンズとよばれる関節症状が最も多い。
c UVAは窓ガラスを通過する。
d 赤外線は急性白内障の原因となる。
e 振動障害ではレイノー現象はまれである。
f 妊娠可能な女性の腹部レントゲン検査は月経開始後10日以内に行うべきである。
g 塵肺の健康診断には、胸部エックス線間接撮影が含まれる。
h イソシアネートは過敏性肺炎を引き起こす原因となる。
i VDT作業による障害を防止するために連続作業時間を制限してもあまり効果はない。

<解答>多くは講義のなかった内容。
12.a) ×:ステップp322。赤外線→紫外線
b) ○:ステップp318。
c) ×:紫外線は普通のガラスを透過しない。
d) ○:ステップp322。
e) ×:1月12日、物理因子による健康障害(槇田先生)の講義プリント3枚目右。ステップp320。チェーンソーなどによる局所振動障害→レイノー現象(白ろう病)
f) ?
g) ×:ステップp328。直接撮影。
h) ○:1月14日、物理因子による健康障害(槇田先生)の講義プリント2枚目右。
i) ×:一連作業時間が1時間を越えないようにし、次の連続作業までに10〜15分の作業休止時間を設ける。


13. 有機溶剤曝露について正しいのはどれか。正しいものに○、誤っているものに×を記せ。
a 有機溶剤のうち、特に塩素系のものは肝臓に対する影響が強い。
b 脂質の多い臓器・組織と親和性が高い。
c 健常な皮膚からは吸収されない。
d 吸収された溶剤はほとんどが呼気中に排泄される。
e 有機溶剤の排泄は早く、曝露中止後翌日まで体内に残留しない。

<解答>ステップp303。
13.a) ○
b) ○
c) ×:皮膚から容易に吸収されるものが多い。
d) ×:1部はそのまま呼気中へ。残りは肝で代謝され尿中に排泄される。
e) ×:脂溶性のものは脂質の多い臓器に蓄積してしまうため体内に残留する。


14. 有機溶剤について誤っている組み合わせはどれか。
a 二硫化炭素            筋電図検査
b ベンゼン             貧血検査
c ノルマルヘキサン         末梢神経伝導速度検査
d メタノール            視力検査
e キシレン             尿中マンデル酸検査

<解答>
14.a) ○?:ステップp305。網膜や腎臓に細動脈瘤ができることがある。→眼底検査。
b) ○:ステップp304。白血病への移行も。尿中フェノールで測定。
c) ○:ステップp305。尿中ヘキサディオンを測定。多発神経炎。
d) ○:ステップp309。誤飲の際は高濃度エタノールを投与。
e) ×:ステップp304。チレンで尿中マンデル酸増加。キシレンはメチル馬尿酸を測定。


15. 下記の各文章の内容が正しければ○を、正しくなければ×を解答欄に記せ。
1) 有機水銀による精神症状としては不眠、易刺激性、幻覚などを伴ったせん妄が有名で、水銀過敏症とも呼ばれる。
2) 無機ヒ素による皮膚症状としては色素沈着、白斑、角化症があり、さらにボーエン病、皮膚ガンへと進展する場合もある。
3) クロム中毒では、無機ヒ素中毒と同様に鼻中隔穿孔が見られる。
4) ベリリウムの慢性中毒としてベリリウム肺(びまん性、散在性の肉芽腫形成)があるが、ベリリウム肺は進行性ではなく予後良好である。
5) 金属熱は溶接作業などにより酸化亜鉛の粉塵などを吸入することによって引き起こされるが、予後良好で1-2日で解熱し回復する。

<解答>
15.1) ×:12月3日、水銀による健康障害(槇田先生)の講義プリント1枚目左。有機水銀→金属水銀
2) ○:4)まで、12月16日、その他の重金属による健康障害(田中先生)の講義プリント。1枚目右上。他にも呼吸器症状や運動失調など様々。
3) ○:2枚目右。
4) ×:2枚目左下。ベリリウム肺は進行性(曝露中止後も)。だんだんやせ細って死んでいく。

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