法医学 試験問題

平成16年度 法医学 本試験
平成17年1月19日実施(約20分)
102人受験、2人不合格。

あらかじめ以下の2題を出す、と予告がありました。なお、試験後に教授の専門について講義を行うため、試験時間は30分、場所はB棟にする、とも。
・ 日本における解剖の種類
・ 早期死体現象について述べよ(死とは何か)

実際に試験に出題された問題は以下。2については、死とは何かを絡めつつ死体現象について述べ、早期死体現象を説明すればよいのではないかと。
1. 日本における解剖の種類を記載し、説明せよ。
2. 死の確徴について説明せよ。

解答は授業ノートを読んでもらえれば十分と思いますが、以下に少しだけ補足をしておきます。(参考文献:学生のための法医学(南山堂)、池田ら、2002年)
・ 日本における解剖の種類
1) 系統解剖:学生教育および研究上、人体の正常構造を学ぶことを主目的とする。
2) 病理解剖:病変を明らかにし、医学の教育や研究に役立てるもの。
3) 法医解剖:公権力を行使して行われる解剖
@)行政解剖:犯罪に関係のない異状死体に対し、行政法規に基づいて行われる解剖
  a)検疫法に基づく解剖:海外から伝染病が侵入するのを防止するために行われる。
  b)食品衛生法に基づく解剖:食品衛生上必要と判断された時に行われる。
  c)監察医制度に基づく解剖:異状死体を検案し死因が不明な場合に主に死因解明のため行われる。
                 (東京23区、横浜、名古屋、大阪、神戸の5都市のみ)
  d)承諾解剖:監察医制度のない都市で行われる。遺族の承諾が不可欠。
A)司法解剖:刑事訴訟法に基づく最も強い公権力発動による解剖。裁判官の「鑑定処分許可状」がなければ行うことができない。

・ 早期死体現象
死体現象とは個体が死亡した後に死体に発現してくるすべての物理的、化学的、組織学的変化をいう。死体現象は死の確徴であり、これが出現していれば死亡が確認され、また死後経過時間や死因、死因の種類の推定に有用である。
1) 死斑
2) 死後硬直・死体硬直
    以上授業ノート参照。
3) 死体の冷却
 一般的には直腸温度は37℃くらいであり、死後1〜2時間はほとんど低下しないが、その後、死後10〜12時間くらいまでは比較的急速・直線的に下降し、外気温に近づくと降下速度が緩やかになる。死体の冷却速度は死体の年齢、性別、栄養状態、着衣などの他、死体の置かれている環境に影響を受けやすい。
4) 死体の乾燥
 死後も生体と同様体表面からは水分の蒸発が続くが、死体の場合生体と異なり内部からの水分補給が行われないため体表面は時間経過と共に乾燥する。
5) 眼球の変化
 眼圧は生前は一定だが、死亡すると循環の停止、水分の蒸発および就下のために低下する。また角膜は眼圧低下のため死亡後光沢を失い、半日〜1日で全般に半ば混濁し、1〜2日くらいで強く混濁し、瞳孔の透見が不可能となる。

・ 死とは何か
   授業ノート参照。

なお、平成15年度は以下から数題(5つ?)を選んで出題する、ということだったそうです。念のため掲載。
1.日本における解剖の種類を挙げ説明せよ。
2.死の疑候、確候について説明せよ。
3.早期死体現象について説明せよ。
4.アルコールに強い人と弱い人はどこが異なるのか。
5.鋭器損傷について自他為の鑑別を含めて知っていることを述べよ。
6.窒息死体の所見中3大主徴を列挙し説明せよ。
7.内因性急死を来す患者を10列挙せよ。
8.絞頸後定型的総死を偽装した場合の矛盾点を記せ。
9.一酸化炭素の危険性について知っていることを述べよ。
10.法医学の犯罪捜査に果たす役割について考えるところを述べよ。
11.嬰児死体の解剖における生産児であることの証明法について説明せよ。
12.小児虐待を分類し説明せよ。
13.ピストルによる射創を分類し説明せよ。
14.DNA型検査の法医学における役割について説明せよ。
15.覚醒剤の危険性について知っていることを述べよ。

もどる

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送