法医学授業ノート

9月13日 法医学総論(池田先生)プリントなし
・法医学(Legal Medicine)とは、法律上問題となる医学的事項を取り扱い、その研究・解明にあたる学問である。日本は法治国家であり、戸籍上でヒトの出生と死亡は管理されている。(昔は嬰児殺などあって、厳しくは管理されていなかったそうです)
・法医学が対象とするもの
 1.生体
  a)DNA等を用いた個人識別、年齢推定、親子鑑定
  b)損傷・・・損傷による血液、骨や毛髪からのMt DNAを対象とする。
  c)性犯罪
 2.死体
   異状死体・・・外因死あるいはその疑いのあるもの(明らかな病死以外)
・死亡診断書と死体検案書
 死亡診断書は、最終診療から24時間以内の病因による死亡の際に記載する。
 死体検案書は、それ以外の場合の死体に対して記載するとのこと。(医学的判断により、自他殺の区別や病死なのかを決定する)
・死体との遭遇後の流れ
 死体→病死(診療後24時間以内)→死亡診断書→火葬許可
 死体→異状死体→(医師が届出)→警察→検視(検察官・司法警察員が行う。その際に、自他為・死後経過・死因等を医師が助言する。これを検死という)→死体検案書へ
・検視の種類
 行政検視・・・犯罪性がないときの検視をいい、その後行政解剖が行われることがある。
       (但し、行政解剖は東京23区、大阪、名古屋のみ)
 司法検視・・・犯罪性があるときの検視をいい、その後司法解剖が行われることがある。
・解剖の種類(毎年試験に出すとおっしゃってましたが・・・)
1. 系統解剖
2. 病理解剖
3. 法医解剖・・・行政解剖、司法解剖、承諾解剖

9月15日 死体現象論(池田先生)プリントなし
・死とは呼吸・循環の永久的、不可逆的停止を意味する。
・死の三徴候説
  呼吸・循環(心拍、血圧)・中枢機能(対光反射)の消失
・脳死について
 池田先生は、正確に「脳死」と診断された脳死が、死であることに疑いの余地はないと強調されていました。ただ、正確に「脳死」であると診断できるのかが問題であり、事実診断は難しいようです。
 脳死とは、人工的に呼吸管理、強心剤やホルモン剤などで循環管理を行っているが、確実に時間がたてば死亡にいたる状態である。
・仮死について
 仮死とは、呼吸(−)・心拍(−)・対光反射(−)の状態であるが、生へもどる状態のことである。最も多いのが、低体温状態であり、他には催眠剤(中毒)、溺水、感電でもなる。
・死の判定を行うにあたって
1. 死の徴候をみる。
  上で述べた死の三徴候を調べる。
     →呼吸停止、循環停止、対光反射消失が15分持続する。
2. 早期死体現象があるかどうかをみる。
a) 死斑
心停止しても血液は重力により沈むため、その沈下した血液を体表から見たもの。
血管内の血液である。死斑の色で死因が判明することもある。
    死後1〜2時間   死斑が出現し始める。
    死後5〜6時間   死斑がはっきりし始める。血液の血管外への漏出も始まる。
    死後5〜8時間   この時間帯までであれば、死体の体位変換などで血管内血液
              つまり死斑の移動がおこる。
    死後12時間    死斑はMAXとなる。さらに死後12時間以内であれば、指圧により死斑が消失する。
  b)死後硬直(死体硬直)
    死の直後(1〜2時間)では、筋は弛緩するが、その後硬直する。
       →死によって、筋細胞の筋小胞体の膜破壊がおこり、Caが放出されて筋収縮がおこるのではないかとの説があるとのこと。
    死後1〜2時間   死後硬直が出現し始める。下顎から頚部に向けて始まる。
    死後5〜6時間   上肢に出現
    死後12時間    全身に出現
    死後20〜24時間 MAX

9月16日 アルコールの法医学(池田先生)プリントなし
・アルコールの一つのエチルアルコールは麻酔作用があり、中枢の高次機能を抑制する働きがある。
・アルコールの血中への吸収・代謝について
 吸収 胃<20% 代謝 分解     95%(肝細胞が95%、体細胞が5%担う)
    腸>80%    尿・呼気・汗 5%  
・肝臓でのアルコールの分解について
 まず肝細胞内に取り込まれたエチルアルコール(エタノール)はアルコール脱水素酵素(ADH)の働きでアセトアルデヒドになる。
そして生成されたアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酢酸になり、TCAサイクルに入って代謝される。
ADHには個人差はなく、ALDHは個人差が大きいことが特徴である。
飲酒による諸症状はアセトアルデヒドによるため、ALDHの働きが小さいといつまでもアセトアルデヒドが酢酸へと代謝されないため、「お酒に弱い」ということになる。
・アルデヒド脱水素酵素(ALDH)について
 ALDH活性は個人差が大きく、黄色人種には3つのタイプがある。
   NN type 活性normal 60%の人がこのtype
ND type 活性 中間  30%   〃
   DD type 活性 defect  10%   〃
 ちなみに、白色、黒色人種はすべてNN typeであり、お酒に強いそうです。
・血中アルコール濃度について
 日本の道路交通法では血中アルコール濃度0.3mg/ml以上が飲酒運転となる。(英国は0.8mg/mlだそうです)
 アルコールの呼気濃度は血中濃度の1/2000である。
    (道路交通法違反→呼気濃度では0.15mg/l以上ということになる)
 ビール中瓶一杯で、血中濃度は0.5mg/mlとなる。
 血中アルコール濃度
    <0.5mg/ml           アルコールの代謝にはおおよそ6時間かかるそうです。
  0.5〜1.5mg/ml 軽度
  1.5〜2.5mg/ml 中等度
  2.5〜3.5mg/ml 高度
  3.5〜4.5mg/ml 意識(−)
    >4.5mg/ml 死
 アルコールは、交通事故などの傷害や急性・慢性アルコール中毒などをもたらすこともあり、社会的責任を考えてのみ過ぎないようにとのこと。
 アルコール飲酒で頭部外傷患者や酩酊患者が来た場合には一晩入院させるのがよいとのこと。

10月14日 窒息総論(池田先生) プリントなし
・窒息の定義
 呼吸が阻害されること。それによる死を窒息死という。
・呼吸の定義と種類
 呼吸とは酸素を取り入れて、二酸化炭素を排出することであり、呼吸には外呼吸と内呼吸がある。外呼吸は外界と個体間でのO2とCO2のやりとりであり、内呼吸は組織でのO2とCO2のやりとりである。
 内呼吸の阻害を内窒息(あまり使わない言葉ではあるそうです)といい、例として一酸化炭素中毒や青酸中毒があげられる。
 一般には、外呼吸の阻害を(外)窒息という。
・(外)窒息の分類
 大気中のO2が血液に入るまでには以下のような道をたどる。その各々での閉塞が窒息の分類へとつながる。
1) 大気(O2)→2)鼻口→3)咽・喉頭→気管→気管支→4)肺→血液
1) 大気(O2)
  O2分圧低下(大気もしくは吸気の酸欠窒息)
  高山・狭所・ビニール袋内で起こり得る。
  おおよそO2分圧が10〜12%まで下がると危険とされている。(通常は21%ある)2)鼻口
  鼻口部(呼吸口)閉塞による窒息で、痕跡が見つからないことも多い。
3)咽・喉頭→気管→気管支
一般に気道閉塞という。外から気管を圧迫する頚部圧迫が多い。
気道閉塞の分類
 ・内因→喉頭癌、声帯ポリープ、急性喉頭浮腫、喘息などによる気道閉塞
 ・外因→頚部圧迫(縊頚、絞頚、扼頚など)←詳しくは窒息各論で(12月16日)
 ・外因が内部で締まるもの→異物
4)肺
  肺胞閉塞による窒息である。
  肺胞閉塞の分類
   ・内因→肺炎、肺水腫
   ・外因→溺水、血液を飲み込んでしまったなど
  死因を、溺死であるか溺水吸引による窒息死であるか判断するのは容易ではないとのこと。相当多くの水を吸引した時は窒息死であると先生はおっしゃってました。
5)呼吸運動の阻害
  分類
   ・内因→筋疾患
   ・外因→胸部圧迫、圧死など
6)胸腔異常
  気胸、血胸など
・低酸素血症と低酸素症について
 低酸素血症とは血液中のO2分圧が低下している状態のことである。
 低酸素症とは、組織中のO2分圧が低下している状態のことである。
 だから、低酸素血症であれば低酸素症であるけれども、低酸素症だからといって低酸素血症ではないのである。低酸素症は低酸素血症の必要条件であり、十分ではない。
・窒息死体の所見
1.顔面の所見
 →静脈圧迫時は、顔面はうっ血、腫脹、結膜に溢血点
  動脈圧迫時は、顔面は蒼白になる。
2.死斑
死斑が強いことが特徴である。血液の流動性が高く、O2分圧が低下しているので暗赤色になって死斑が強く現れる。臓器もうっ血し、臓器にも溢血点が見られる(腎盂、心外膜、肺胸膜など)
・溢血点について
 溢血点は、O2欠乏によって毛細血管内皮細胞が脆弱になり破綻することによってできる点状出血のことである。

10月20日 司法解剖見学のため、休講

10月20日、11月1、9日は法医学実習の説明および実習
 実習本を参照

12月3日 多様な病因・死因解明に向けての法医中毒分析の実際(工藤先生)プリントなし
・法医中毒分析の目的
1) 中毒起因物質の特定 2)薬毒物濃度と病因、死因との関連付け 3)医療事故の鑑定 4)犯罪の立証 5)患者の訴え・被疑者の供述との整合性
・解剖に伴う詳細薬毒物検査
 覚せい剤・薬毒物スクリーニング
  →フェノバルビタール、クロルプロマジン、、、の順に検査頻度が多い。
   (頻度の多いもの程、分析時間が短くて済む傾向にあるそうです。)
・クロマトグラフィー
 移動相と固体相にわかれており、そのどちらに親和性があるかで分離する。
・実例のスライド
1. タンザニアでバスの中でもらった飴を食べたところ
   →ロラゼパム(ベンゾジアゼピン系抗不安薬・中期作用型)であったことが判明
2. 11歳男児が継母といるときに水性下痢を訴え、継母のいないときに軽快
    →コーラック・スルーラック(抗便秘薬)であったことが判明
3. 4年間山中放棄されていた医師らの2遺体から、ハルシオン(睡眠薬)、トリアゾラム検出
4. プロムワレリル尿素中毒死
    →このスライドのとき、法医学の試料として尿は使えないといっておられました。
     一番有用性が高いのは大腿部静脈血で、心臓血も使えない(胃が浸潤してくるから?と言っていた様な感じがしましたが、よくわかりませんでした。)
     あと、血液以外の組織で使えるのは大腿部の筋肉のようです。
5. 58歳女性が関節リウマチの術後、右上肢壊死
    →ヘパリンナトリウムの代わりにヒビテンを誤って投与していたことが判明
6. 76歳男性、労作性狭心症でリドカイン投与後、低酸素脳症による呼吸循環停止
    →リドカインの濃度間違い(2%2.5mlを10%5mlと間違える)
7. ジヒドロコデイン中毒
    →咳止め薬であるが、モルヒネに構造が類似しているため起こった
8. 56歳スナック店員女性、低比重テトラカインによる腰椎麻酔で死亡
    →死因は高位麻酔による中枢性急性呼吸循環不全
     (高位麻酔すると脳幹に大量にテトラカインが行くため)
・薬物の身体依存と精神依存
 身体依存(アルコールなど)…切れると身体不調になる
 精神依存(ニコチンなど)…身体不調はないが、薬物が欲しいという気持ちが強くなる
・今後の課題
1. 実情に沿った薬毒物スクリーニング法がない。(新薬毒物スクリーニングシステムの開発←中毒起因物質の有無がすぐ分かるようなシステム)
2. 薬物分析のできない施設が多数存在(→展望として、分析依頼のネットワークの構築が重要)

12月10日 特別講義(宮崎先生)プリントあり
・法中毒においては、中毒の原因が、薬物のover dose(中毒量の量を服用すること)だけでなく、designer drug 、designer steroidと呼ばれる、まだ検査にひっかからない薬物を作る人が存在するということ。
 ドーピング検査の技術と違法ドラッグの開発はいたちごっこであり、1988年のベン・ジョンソンが使用したスタノゾロールを説明されておりました。
・シンナーについて
30年ほど前から薬物乱用が流行しはじめた。
 シンナー中毒には、産業中毒と乱用があり、乱用の方には毒物及び劇物取締法で規制されている。(但し、この法律はトルエン・メタノール・酢酸エチルを規制するのみと説明がありました。)
 トルエン・メタノールなどの各シンナー成分の特徴はプリント一枚目で確認しておいてください。トルエンの循環系への毒性と、メタノールの代謝と毒性の関係について強調されておりました。
 トルエンの循環系への毒性
  →心筋のカテコールアミン感受性↑↑ → 心室細動 →死亡
 メタノール中毒の治療
  →エタノール投与(国試に出る!)
・青酸化合物について
 プリント確認
 治療の(a)に追加→亜硝酸ナトリウム→ヘモグロビン中のFe2+をFe3+(メトヘモグロビン)に変えてしまい、CN-がチトロームオキシダーゼ酵素ではなく、Fe3+に結合して(シアンメトヘモグロビンにして)解毒する。
・薬物乱用について
 日本の薬物乱用の歴史について→プリント確認
 麻薬とは
  →覚せい剤と麻薬は異なると医学者は考えるそうです。麻薬は法律用語であると理解するのがよい。
・覚醒剤について
プリント確認
2.作用 への追加→覚醒剤には身体依存はないそうです。
 〔事例〕 への追加→表について
    右端の「比」とは、メタンフェタミン(摂取した薬物)とアンフェタミン(代謝されたもの)の比である。
   問.覚醒剤の摂取方法は経口である。
    →静脈注射したのなら胃内容は血液と同じ比にならないといけないから

12月14日 特別講義(神田先生)プリントあり
はじめの30分ちょっとでプリント2枚を説明されました。プリントはだいたい全て説明
されていたと思います。以下追加です。
・メンデルの遺伝の法則について
優劣の法則→MN式のMとNも共優性である
・SNP(single nucleotide polymorphism)について
 日本人のお酒の強さの違いや薬物動態の違いなどもSNPによる。
・蛋白質翻訳部位の遺伝子変異について
 (2)ミスセンス変異→アセトアルデヒド脱水素酵素の違い
 (4)フレームシフト変異→A、B、O型の違い
授業後半(大半)は全てスライドで神田先生の研究説明でした。B型は生物進化学的に奇妙な存在である等の説明しか覚えておりません。

12月16日 窒息各論(池田先生)プリントなし
・頚部圧迫による窒息
 絞頚(こうけい) strangulation
  →索状物を頚部にかけ(巻き)、自己の体重以外の力で圧迫
 縊頚(いっけい) hanging
  →索状物を頚部にかけ(巻き)、自己の体重で圧迫    →自殺が多い
 扼頚(やっけい)
  →手指で締める
・索状物について
 ひも、タオル、ネクタイ、電話コード、チェーンetc・・・
・各論
1.絞頚
   絞死(絞殺)と自殺死があるが、絞殺の場合には防御創(爪痕)が残ることが多く
そして決定的な違いは、自殺死の場合は必ず索状物が残るということである。索状痕は交差・水平とあるが甲状軟骨の辺りが多く、少なくとも一周している。
(a)気管圧迫
(b)血管圧迫
  左右頚動脈→5kgで締まる
  左右頚静脈→1kgで締まる
  左右椎骨動脈→絞頚では締まらない
 よって、顔面はうっ血し、毛細血管が破れて、結膜に溢血点ができる。
 また絞頚の際、索状物が頚部を二周していると索状間に点状出血ができる。これを索状間出血という。
(c)神経圧迫
  動脈洞・迷走神経を圧迫→頻脈、徐脈、心停止
2.縊頚
  (a)顔面蒼白
→縊頚では、下顎角直下を索状物を通ることがほとんどで、頭部へ行く四動脈が全て閉塞するため顔面が蒼白になる。
  (b)舌根が上がって窒息 → 縊頚による窒息を縊死という。
  (c)神経が伸びる
 縊頚の縛り方
  →頚部後方で一周していないopen loop
   頚部後方で一周して結んであるclose loop
   一周した後、輪を作る遊走係締というのもあるそうです。
   (詳しい絵は誰かの授業ノートをみせてもらってください)
3.扼頚
   頚部を手指や腕で圧迫(すべて他殺であるとのこと)
   血管の圧迫が不十分なため、うっ血が強い。
   拇指痕や扼痕が死因特定に有用

12月17日 損傷(池田先生) プリントなし
・損傷
 injury,trauma,woundなどと訳されるが、詳しくはinjuryは傷、traumaは外傷、woundは創といった感じである。全身性外力が加わった場合はtraumaと呼ぶことが多いそうです。
 損傷とは機械的、物理的外力による障害で、おおよそ局所的であるが、まれに全身性であることもある。熱による熱中症や寒冷による凍死は損傷ではないとのこと。
・損傷の分類
(a)形状による分類
(b)成傷器による分類
(c)組織による分類
・各論
(a)形状  (詳しい絵は誰かの授業ノートをみせてもらってください)
 皮膚面の創であるか傷であるか
  →傷口が開いていれば創、開いていなければ傷という感じ。
   創の側方の縁を創縁、創縁と創縁の交わるところが創端、創縁と創端で囲まれたところが創口である。
   創の深みが創洞、えぐれた創の内部の側面が創壁、創の底が創底である。
 離断しているか否か
 擦過傷であるか
  →表皮剥脱、皮下出血していることが多い。
(b) 成傷器
 (1)鋭器
  一般的には刃器、まれに尖器
  だいたいの刃器は片刃であり、片刃を刺すことによって刺創が、引くことによって切創が、当てる(打つ)ことによって割創ができる。割創は鋭器損傷ともいう。
  刃角とは鋭器の先端がなす角度のことで、引いて切れる刃角の最大限度は33°くらいである。ちなみにカミソリ15°、庖丁20~25°、日本刀30~35°、のこぎり30~33°ほどであるとのこと。
  刃長とは鋭器の先端までの長さであり、創洞に相当することになる。60cm以上が太刀と言われ、30~60cnが脇差、30cm以下があいくち(短刀)となる。
 (2)鈍器
  打つ → 挫創
  引く → 裂創
  刺す → 杙創(よくそう)(鈍体による串刺し)
(c)組織
 皮膚 →表皮剥脱、皮下出血しているか
 筋肉 →内出血、断裂しているか
 骨 →骨折、離断しているか
 脳 →出血、挫傷しているか
・刺創から
 刺創を見て、まずその長さ、尖と鈍の部分を確かめて、刃がどういう方向で刺入していったかを知る。
 刃長のうち何cmのところまで入ってるか →創洞を見て
 刃幅は何cmか             →刺創の長さから
 刃背の厚さは何cmか          →刺創の幅から
・損傷の自他為
        自為         他為
  致命傷   1つ         多数
  配列   規則正しい       不規則
  
 この他にも、浅い規則正しい、複数のためらい傷が自為には認められることが多い。
さらに、自為の場合は、着衣の上から刺していることが多く、遺書があるときもある。

12月17日 一酸化炭素中毒(池田先生) プリントなし
・一酸化炭素は無色・無臭の気体であり、密度0.967で空気より軽い。燃焼時には必ず出現する。
・COはO2に比べ、「Hbとの結合力」は1/10であるが、「親和性」と「離開しにくさ」は2500倍であるため、総合的に250倍、ヘモグロビンとくっつきやすい。よって、O2が組織に運ばれなくなるため、組織が酸欠状態になる(内窒息)。
・血中CO・Hb濃度
   血中CO・Hb濃度が50~60%を超えると致死的である。
   (このときO2・Hb濃度が50%ということである)
   →大気中のO2濃度は20%であるから、大気中のCO濃度が20/250=0.08%あれば、血中O2・Hb濃度とCO・Hb濃度はともに50%となり、致死的である。よって、大気中の致死的CO濃度は0.08%となる。
・生活環境におけるCO濃度
 タバコの煙      0.5~1.0%
 都市ガス       2~5%(福岡などの天然ガスは0%) 
 プロパン        0%
 排ガス(ガソリン車) 1~2%(ハイオク車は2.5%、軽油車は0%)
 煉炭         8~10%
・一酸化炭素中毒では、Fe2+の多い白質・淡蒼球が傷害される。
 また意識のあるうちに動けなくなるのが、一酸化炭素中毒の特徴である。

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