平成16年度 OSCE概要

 平成16年度のOSCEの試験は、全8グループが2グループずつ、1日目、2日目の午前午後に分けられ、まずカルテ記入(問診ビデオを見て、各自記入)、それからOSCEセンターに移ってまず1グループが実技試験(もう1グループは待機)、続いてもう1グループが実技試験(試験を受け終わったグループが患者役)、という流れで行われました。実技試験は医療面接、頭頸部、胸部、腹部、神経系、外科、救急の7ステーションがあり、これを各人が決められた順にローテーションする、という形式でした。時間は医療面接のみ10分、他は5分です。
 まあこの辺は先輩に話してもらった方がわかりやすいでしょう。以下各ステーションで課された課題とありがちなミス、患者役をした人が聞き知った採点基準などをステーション別に記しておきます。
 初めに全体に関わることで寄せられたコメントから。
・ プリントを見て、その内容について問診するのだが、プリントを見ても何をすればいいか分かりにくい。また、しっかりプリントを読まないと、やらなくていいと書いてあることをやってしまう可能性も。
・ 緊張して何をやればいいか忘れてしまうこともあるが、とりあえず、挨拶、自己紹介、患者確認は忘れないように。(忘れていた人もいた。)
・ 全体的なこととしては入室したときは自分の名前をしっかり試験官に伝えたほうが良いと思います。最初に確認する必要があるので。退室時もしっかり挨拶をしないと評価に関係がないとはいえあまりにも不恰好にみえます。


<カルテ記入>
 10分のビデオを見て20分でカルテ記入。僕のあたったのは関節リウマチで10年以上の病歴がある人でした。「ビデオ10分、記入20分だから楽勝だろう」と思っていると時間が足りない、と言われていたのでかなり急いだつもりですが、それでもぎりぎりになりました。


<医療面接>
パターンは4つくらいだったのではないかと。ここだけは模擬患者さんに接することになります。模擬患者さんはそれぞれ症状・生活環境などの他に性格も設定されているようで、質問に対する反応や話し方も様々なようです。
(以下コメント集)
・ 下痢の患者
 思っていた以上に自分から話してくれない人で困りました。
・ 下痢の患者
 とにかく初めはオープンクエスチョンで患者自身からはなすのを促すこと。どんどん話してくれる。また、時間がたって、最後のほうで「忘れたことはありませんか?」の質問で、自分が質問し忘れていた内容もどんどん話してくれる。緊張しすぎて、速く話しすぎないのが大事かと。(遅すぎても時間がなくなるけど。)
・ 胃痛がする65歳女性
初診 6ヶ月前から胃に変な感じが出始める。3ヶ月前から鈍い痛みが伴い始めた。食後一時間ほど症状は続き、ほぼ毎日起きる。痛みはがまんできる程度で、生活にはそれほど大きな影響はない。市販の薬を飲んでみたが効果なし。本人としては最近いそがしかった(娘に二人目の子供が生まれ、その世話で忙しかった)ことで無理をして疲れたせいではないかと考えている。家族は母が子宮癌・父は胃癌であったが最初に家族歴を聴いた程度では教えてくれない。現在は専業主婦をしており主人・娘とも特に健康に問題はない。その他問題点はない。
・ 脳血管障害ではないかと不安に思う頭痛持ちの中年男性。ビデオほどにはしゃべってくれない。
・ 中年女性。心窩部痛を訴える。痛みが左肩まで放散。仕事仲間が心筋梗塞で倒れたので、これを解釈モデルとしていました。聞いても少ししかしゃべってくれませんでした。マニュアルどおりにがんがん質問を投げかけていくべきだったみたいでした。放散痛を聞きそびれた学生がけっこういたみたい?


<頭頸部>
1日目「・顔貌・黄疸、貧血・口腔、口唇(歯、歯肉、舌はやらなくてよい)・リンパ節・甲状腺」
2日目「・顔貌・眼(眼球突出・眼球運動・直接対光反射を含む)・口腔・甲状腺の視診(設定:最近視力低がと口内炎がある)」
(以下コメント集)
・ 各項目が終わるごとに視診については所見を述べるんですが、実際は各部をチェックしながら所見を述べる人が多かったです。先生曰く、「前までは念仏みたいに順に所見を述べさせていたけどこないだから各部の終わりにまとめてもらうことになった。」だそうです。話してみるとこの先生の場合、別に念仏みたいにやってもあまり気にしていないようでした。
・ 先生は二人。一内の先生と長大の先生。実習の手引きにのっている学習項目に沿ってチェックしてました。どういうふうに異常がないのか、詳しく説明してと言われてました。説明で間違ったことを言っても気にしてるようではなかったです。ただ、舌圧子を清潔に扱うことを特に注意することが多かったです。
・ 頭頚部の診察では、口腔底の視診と、嚥下させての甲状腺の視診を忘れた人が多かったと先生が言ってました。
・ 所見は腫脹、発赤…など全部言う必要はなくて、何か一つでもいえば良いと聞きました。
・ 口腔は異常なしだけでは具体的な説明を求められる。試験官によると一つでもいいのでどこを確認しているか(潰瘍ありません等)を言えば評価となるようです。舌圧子は開け方に誰もが戸惑っている様子。一度あけ方を指導医に教えてもらうことをすすめる。


<胸部>
1日目「片方の腕の血圧測定(脈の左右差は見なくていいし、触診法もしなくていい=「触診は終わっているものとし120mmHgという結果」との注意がある。)、前胸部の視診、打診、聴診(肺肝境界は示さなくていい)、背中の打診と聴診(肺底部の打診を含む)」
2日目「橈骨動脈の触診と脈拍の測定・前胸部の視診・打診(肺肝境界の決定を含む)・呼吸音の聴診と背部の視診・打診(清音・濁音境界の決定を含む)・呼吸音の聴診」
(以下コメント集)
・ 「呼吸数は数えなくて良い」、「肺肝境界は探さなくて良い」の指示を忘れている人が多かった。
・ 両日ともとにかく時間が足りません。ただ全てをこなすことはさほど重要視されていないようでした。
・ 血圧計を開くところから。まずonにしないと水銀柱が上がらない。
・ ワイヤレス聴診器なし。
・ 反省会で、あれは医師でも時間的に無理という意見が多数でたとのこと…。
・ 背中を向けてもらっただけでも2点あるらしい…。

<腹部>
1日目「虫垂炎の疑いがある右下腹部痛の患者に対して、視診・打診・触診(浅・深)・圧痛点・反跳痛」
2日目「食欲不振の患者・明らかな腹痛なし。視診・腸蠕動音の聴診・全体の打診・肝臓の上下境界の確認・脾臓の打診・腹部全体の浅い触診、深い触診・肝臓の触診」
(以下コメント集)
・ バスタオルの使用や、聴診器、打診の際の患者への声かけ等、患者に対する配慮が重要らしい。
・ 評価者の先生がおっしゃっるには、評価が高い人ほど時間が足りない傾向があり、自分としては、あせってすべて終わらせるよりも、丁寧にやって時間が足りないほうが高評価になるとのこと。
・ なんといっても膝の伸ばしっぱなし(ホントは打診・触診で曲げる)。間違い集ではこれに尽きる。
・ 深い触診を片手で行う。自分も含めて散見された間違い。
・ 誰も間違っていなかったけど、聴診は必ず打診・触診の前にやらないと減点らしい(先生同士の会話より)。
・ 蠕動音聴診の際の聴診器の押し付け方は見られていたようだ。ギュッと押し付けるのはどうかと・・・
・ 些細な間違い(不必要なところで膝を曲げさせる、靴下も脱がせる等)は減点していなかったようだ。
・ 様々なミスがありましたが、「打診で2回以上叩く」が最も重いようです。先生が「あれはやらないようにね」とわざわざ忠告してくれました。
・ 自らウェルパスをつけるとポイントが上がるという噂が流れてましたが、僕が患者役をやった時は先生が受験者一人一人にウェルパスをつけるよう指示してました。だから、ウェルパスをつけると点数が上がるということはないんじゃないでしょうか。


<神経系>
1日目「脳神経の診察(嗅覚、聴覚および眼底鏡を用いた検査、顔面の痛覚検査は除く)」
2日目「対光反射・眼底鏡・髄膜刺激徴候・下肢腱反射・Babinski反射」
(以下コメント集)
・ 胸鎖乳突筋の検査の仕方は先生によく習ってください。「間違っている人が多」かったそうですが、先生によって「首をどちらに向かせて、検者がどちらに力をかけ、どちらの筋を検査するか。」がまちまちなようでした。
・ 部屋にはハンマー・音叉・ライト・眼底鏡など神経診察の道具が全ておいてある状況から始まるので、余計なものを使わないよう注意。(除かれている顔面の痛覚検査をやる人が多かったらしい)
・ 2日目の課題で最もミスの多かったのは髄膜刺激徴候で、事前に枕をとるのを忘れること、それから前屈させる前に首を少し左右に動かし、緊張をとるのを忘れること。
・ 対光反射での間接対光反射、髄膜刺激徴候でのKernig徴候は評価項目に含まれていないとのこと。
・ 神経に関しては、検査のたびに「○○正常です」などの所見は述べなくてよい、とこのと。
・ ウェルパスは使うべきだが評価項目には含まれていない、とこのと。


<外科>
課題は3通り。手洗い(帽子、マスク着用を含む)、ガウンテクニック、縫合。割合としては半分が縫合、手洗いとガウンテクニックが4分の1ずつだったようです。
(手洗いについて)
・ 絶対時間が足りない。だからもう諦めて丁寧にやるのも良いかと。
・ 手洗いは担当の先生によってやり方が若干異なります。「正しい」手洗いのやり方をしっかりチェックしといた方が良いと思います。
・ まず時計、名札、胸ポケットに入っているものを取り出すことを忘れないこと。時間がかなり厳しいので、ガウンテクニックに比べると不利だろう、と先生は言っておられました。急いでもしょうがないけれど、少しは急ぐべきのようです。
(ガウンテクニックについて)
・ 手はすでに洗って清潔という条件で開始。ガウンはLLサイズ、手袋は新品が各サイズで準備されていて介助者にサイズを伝える。介助役の学生が全てをしてくれる。ドレープを敷いた場所が清潔野としてあり、そこで手袋の入れ物を広げるように指示される。入室して試験が開始される前に試験管に爪を見せるように指示される。装飾品を事前にはずすこともチェックにはいっていた。
・ 帽子とマスクのつけ方(鼻の針金をピッタリ合わせる)も採点対象のようだった。
・ 介助役をやりました。まず、爪。あとマスクを裏表逆につける学生が多すぎ。青い方が外側、針金の方が上(鼻に合わせるから)。気をつけましょう。時計を外すのもお忘れなく。緊張して手に汗をかいているようなので、手袋はみな、スムーズに入っていませんでした。
・ ガウンの着方の最大のポイントは前面に絶対に触れないこと。触れている学生ばかりで先生は嘆いておられました。あと、介助者へのあいさつ、声かけを怠らないこと。介助者に無言で紐を手渡す学生が多かったようで、先生これまた嘆いていました。
(縫合について)
・ 消毒用の綿をどこに捨てたらいいか迷うらしい。聞いた話だけど、不燃物と可燃物のゴミ袋が用意されているとか。糸の束から糸を取り出すけど、まれに短い糸が混入していることがあるらしい。短いなと思ったら新しいのを取るべき。
・ (先生にもよるみたいだったけど)結紮のうまさよりも清潔・不潔の区別をかなり気にしてるみたいでした。一旦手袋をはめたらあちこち(手袋を包んでた紙なども)触らないとか、針に通した糸は不潔域に触れさせないようにするとか。あと、糸を持針器の先の割れ目→針穴と通したあとにもう一度持針器の割れ目に通すのを忘れる人が多いけど、糸抜けちゃうよーってみんなに言っといてって言われました。
・ 患者役の腕に巻かれたキットに、患者への声かけ、消毒、清潔術野の作成(穴あきドレープをかける)、縫合・結紮、抜糸、廃棄物の処理(ゴミ箱に使ったものを入れる)の順で行った。傷の確認やドレッシングは含まれていない。
・ 手袋にみんながかなり苦労していたので、来年からはパウダー入りになるかもしれない。
・ 採点は27項目ほどあって、できなかったら1点ずつ引いていく方式らしい。


<救急>
 課題は1つ、「心肺蘇生」。倒れている人を発見してから意識確認、助けを呼ぶ、呼吸確認、人工呼吸、循環確認、心臓マッサージの一連の流れ。手袋(未滅菌なので普通にすればいい)とフェイスシールドは用意されている。AEDはなし。
(以下コメント集)
・ 人形にはちゃんとセンサーがついており、受験者は見ることができない上に、評価者はそれを見て評価している模様。

もどる

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送