侵襲医学 平成17年度卒業試験

平成17年11月30日実施(持ち帰り可)

問1麻酔の安全を確保するために必要なモニターを列記し簡潔に説明せよ。

問2局所麻酔の方法を3つ以上挙げ、その適応と合併症について記せ。

問3以下の各小問に対し、A〜Eから適当なものを選んで解答欄に記せ。
【1】本邦における酸素ボンベの色はどれか。
(A)白  (B)灰色  (C)黒  (D)緑  (E)青

【2】気道に関して誤っているのはどれか。
(A)小児では、声門よりも輪状軟骨部が狭い。
(B)成人の気管分岐部は第7胸椎の高さにある。
(C)輪状甲状間膜穿刺は、緊急時の気道確保のために行われることがある。
(D)成人の右上葉への気管支は、気管分岐部から約2.5cmのところから分岐する。
(E)声帯から気管支にかけての知覚は反回神経に支配されている。

【3】正しいのはどれか。
(A)大腿静脈は大腿動脈の外側を併走する。  (B)胸管は右鎖骨下静脈に合流する。
(C)内頸静脈は総頸動脈の前内側を併走する。
(D)内頸静脈は皮膚と胸鎖乳突筋の間を走行する。
(E)鎖骨下静脈は鎖骨と第1肋骨の間を走行する。

【4】インスリン依存性糖尿病を合併する55歳、女性。閉塞性動脈硬化症も合併しており、間歇性跛行がある。閉経後の性器出血に対して、経膣的子宮摘出術が予定された。本症例のASA-PS (American Society of Anesthesiologists-Physical Status)として正しいのはどれか。
(A)I  (B)II  (C)III  (D)IIIE  (E)IV

【5】急性腎不全患者で心電図にT波の先鋭化、次いでPR間隔の延長、P波の消失およびQRS幅の拡大がみられた。最も即効性のある治療法はどれか。
(A)イソプロテレノール静注  (B)ジゴキシン静注  (C)陽イオン交換樹脂注腸
(D)重炭酸ナトリウム液点滴静注  (E)グルコン酸カルシウム液静注

【6】健常人における血漿アルブミンの半減期はどれか。
(A)12時間  (B)2日  (C)7日  (D)21日  (E)90日

【7】アドレナリン受容体について不適当なのはどれか。
(A)β受容体刺激薬は、刺激性G蛋白質(Gs)を活性化してアデニルシクラーゼを刺激する。
(B)一酸化窒素(NO)は、アデニルシクラーゼに直接作用して血管拡張を起こす。
(C)クロニジンは、α2受容体のアゴニストである。
(D)β1受容体刺激により心拍数が増加する。
(E)β遮断薬を投与されている患者では、β受容体数は増加している。

【8】散瞳をきたす薬剤として誤っているのはどれか。
(A)スコポラミン  (B)エフェドリン  (C)モルヒネ
(D)ニトログリセリン  (E)硫酸アトロピン

【9】気管支拡張作用を有しない薬剤はどれか。
(A)セボフルラン  (B)エピネフリン  (C)テルブタリン
(D)ネオスチグミン  (E)ケタミン

【10】薬剤とその禁忌となる病態の組み合わせとして不適当なのはどれか。
(A)チアミラール−急性間欠性ポルフィリン症
(B)スキサメトニウム−悪性高熱  (C)ドパミン−褐色細胞腫
(D)ケタミン−頭蓋内圧亢進  (E)キシロカイン−心室性期外収縮

【11】喫煙患者で発生しにくいのはどれか。
(A)一酸化炭素ヘモグロビンの増加  (B)虚血性心疾患
(C)クロージングキャパシテイと機能的残気量の逆転
(D)肺コンプライアンスの増加  (E)気道の被刺激性亢進

【12】麻酔中に死腔換気が増加する原因として不適切なのはどれか。
(A)肺塞栓  (B)浅い頻呼吸  (C)無気肺  (D)低血圧麻酔  (E)出血性ショック

【13】67歳、男性。1日60本、30年の喫煙歴がある。全身麻酔下での膀胱全摘術が予定された。主治医による禁煙指導が不十分で、術前1日だけの禁煙となった。短期間の禁煙によって改善が期待される項目として正しいのはどれか。
(A)繊毛運動の改善  (B)喀痰の減少  (C)気道抵抗の低下
(D)手術部位感染発生率の低下  (E)P50の回復

【14】次のうち、心筋虚血の診断の感度が最も高いのはどれか。
(A)心電図上のST下降  (B)肺毛細管楔入圧上昇  (C)体血圧低下
(D)心室局所壁運動異常  (E)III音の聴取

【15】ニトログリセリンの抗狭心症作用について誤っているのはどれか。
(A)ニトログリセリンは血管内皮で一酸化窒素(NO)合成の基質として働く。
(B)冠動脈拡張作用により冠血流量が増加する。  (C)前負荷は減少しない。
(D)血圧が低下し、心筋酸素消費量は低下する。
(E)低酸素性肺血管収縮の抑制が、血液の酸素化悪化の原因である。

【16】頭蓋内圧を下げるための処置とその作用機序の組み合わせとして誤っているのはどれか。
(A)ステロイド−腫瘍の圧迫による浮腫軽減
(B)マンニトール−血清浸透圧上昇、脳実質容積減少
(C)フロセミド−脳脊髄液産生抑制、脳実質容積減少
(D)チアミラール−脳代謝率低下、脳血流量減少  (E)過換気−動脈血酸素分圧増加

【17】プロトロンビン時間が延長するのはどれか。
(A)血友病B  (B)von Willebrand病  (C)血栓性血小板減少性紫斑病
(D)抗リン脂質抗体症候群  (E)播種性血管内凝固症候群(DIC)

【18】発作性上室性頻脈の既往がある僧帽弁前尖逸脱の患者が胆嚢摘出術を受けることになった。予防的処置として正しいのはどれか。
(A)抗凝固薬  (B)経静脈的に心臓ペースメーカーを挿入  (C)抗不整脈薬
(D)抗生物質  (E)硫酸アトロピン

【19】27歳、女性。腹腔鏡下卵巣嚢腫切除術が予定された。プロポフォール、ベクロニウムで導入後、酸素−空気−イソフルラン麻酔が開始された。トロッカー挿入後、30度のTrendelenburg体位とし、二酸化炭素による気腹を開始したところ、急速に低血圧が進行した。原因として不適当なのはどれか。
(A)体位  (B)イソフルラン  (C)二酸化炭素塞栓症  (D)出血  (E)下大静脈圧迫

【20】26歳、男性が胸部、顔面、上腕に各々1度、2度、3度の熱傷で救急外来に搬入された。意識清明で、激痛を訴えていた。呼吸は浅く、32回/分であった。空気吸入下での動脈血液ガスデータはpH:7.48、PCO2:30mmHg、PO2:78mmHgであった。
(1)検査所見の解釈として適切なのはどれか。
(A)呼吸性アシドーシス  (B)呼吸性アルカローシス  (C)代謝性アルカローシス
(D)代謝性アシドーシス  (E)酸素分圧は正常である。

(2)呼吸状態に関して誤っているのはどれか
(A)上気道の浮腫をきたしうる。  (B)最低24時間の集中看視を要する。
(C)気道熱傷の可能性がある。  (D)気管切開が必要である。
(E)気管支ファイバーを準備する。

(3)浅くて早い呼吸について正しいのはどれか。
(A)空気の効率的な動きを可能にする。  (B)コンプライアンスが高いためである。
(C)最小限の呼吸努力で酸素化を保っている。
(D)一回換気量に対する死腔の影響を増大している。
(E)分時換気量を増加させる効果はない。

(4)COHbは20%を占めていた。正しいのはどれか。
(A)チアノーゼとして現れる。
(B)パルスオキシメータによる酸素飽和度(SpO2)は実際よりも高く表示される。
(C)吸入気酸素濃度はSpO2が100%になるように調節する必要がある。
(D)この値は致死的濃度を超えている。  (E)高圧酸素療法の適応がある。

【21】小児の幽門狭窄に関して誤っているのはどれか。
(A)代謝性アルカローシス  (B)二酸化炭素蓄積  (C)高ナトリウム血症
(D)低カリウム血症  (E)低クロール血症

【22】心疾患合併妊娠の分娩で注意すべき事項として誤っているのはどれか。
(A)血圧低下には輸液負荷で対処する。
(B)大動脈弁狭窄症例の帝王切開術には硬膜外麻酔は不適切である。
(C)大動脈弁閉鎖不全症例の分娩には硬膜外麻酔は適切である。
(D)僧房弁狭窄症例では分娩にともなう心拍出量増加を最小限に抑える。
(E)分娩後の循環血液量増加は心不全の原因となる。

【23】40歳、女性。右手の灼熱痛を主訴としてペインクリニックに来院した。痛みは患部をちょっと触っただけでも増悪し、時々青く変色することもあるという。診断のためのブロックとして適当なのはどれか。
(A)星状神経節ブロック  (B)腕神経叢ブロック  (C)腋窩神経ブロック
(D)静脈内局所麻酔  (E)腰部交感神経ブロック

【24】帯状疱疹について誤っているのはどれか。
(A)水痘と共通の病原体による。  (B)主として成人が侵される。
(C)悪性リンパ腫に合併しやすい。  (D)病変は両側性に生じる。
(E)膝神経節が侵されるとRamsay Hunt症候群を呈する。

【25】後天性免疫不全症候群患者からの採血後、針刺し事故をおこしてしまった。ヒト免疫不全ウイルスに感染する確率として正しいのはどれか
(A)0.01%  (B)0.05%  (C)0.2%  (D)2%  (E)10%

【26】手術の際の説明と同意のあり方について誤っているのはどれか。
(A)患者は統合失調症で判断能力がないため、父親の同意を得て手術を行った。
(B)患者は外傷性硬膜下血腫による脳ヘルニアの状態にあり緊急手術が必要であるが、家族に連絡することができないため、本人・家族の同意なしに手術を開始した。
(C)手術を行うことは医学的に不適切と判断したが、家族の強い要望で手術に踏み切った。
(D)血液型がAB型の患者における全身麻酔下の手術中に予期せぬ大量出血が発生した。血液センターからのAB型赤血球濃厚液の追加供給は不可能であることが判明したので、家族の同意を得て院内にあったO型赤血球濃厚液を輸血した。
(E)全身麻酔下での子宮筋腫核出術中に卵巣癌が発見されたが、卵巣癌に関する説明をしていなかったので、そのまま手術を終了した。

【27】異状死体の届出義務に関する条文が記載してあるのはどれか。
(A)憲法25条 (B)民法415条 (C)民法709条 (D)医師法21条 (E)刑法211条前段

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